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夫婦喧嘩で逮捕されたら

2021-08-12

夫婦喧嘩で逮捕されたら

夫婦喧嘩逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

~事例~

京都府宇治市に住んでいるAさんは、妻であるVさんと2歳娘であるBちゃんとともに暮らしていました。
Bちゃんの世話はVさんが主になって行っていましたが、Aさんも平日の家事や食事の支度を積極的に行うなして生活していました。
しかしある日、酒を飲んだAさんとVさんはBちゃんの教育方針について言い争いになり、夫婦喧嘩に発展してしまいました。
そして、カッとなったAさんは、勢いにまかせてVさんの首をしめてしまいました。
Vさんは痛みを感じ、大声で助けを呼びました。
Vさんの悲鳴を聞いた近所の人が110番したことで、京都府宇治警察署の警察官が駆け付けました。
Vさんの首には爪のひっかき跡ができたのみで他に怪我は残りませんでしたが、VさんがAさんから首を狙われたと言っていたことから、Aさんは殺人未遂罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、Aさんが殺人未遂罪逮捕されたと聞いて驚き、急いで刑事事件に対応している弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・夫婦喧嘩から殺人未遂事件に?

今回のAさんは、殺人未遂罪の容疑で逮捕されてしまっています。

刑法第199条
人を殺した者は、死刑又は無期もしくは7年以上の懲役に処する。

殺人罪で問題とされる行為のことを、殺人の実行行為といいます。
この殺人の実行行為は、死亡結果を生じさせる現実的危険性を有する行為をいいます。
この行為に当たるかは、その行為の態様、創傷した部位や程度などを考慮して判断されます。
典型的には、人の腹の中心をナイフで刺すような行為は、人を死亡させる危険性の高い行為といえますから、殺人の実行行為と認められます。

今回のAさんの事例で考えてみましょう。
体の生命維持の中でも最も大事な器官の一つである首を力のある男性=Aさんが絞めたとなれば、被害者=Vさんが死んでしまう可能性は否定できないと思われます。
そうなると、AさんがVさんの首を絞めた力や時間などにもよりますが、Aさんの行為が殺人罪の実行行為であると捉えられる可能性もあるということになります。

ここで、未遂犯について確認しておきましょう。
未遂犯は、その犯罪の実行行為をしたものの、その犯罪の構成要件的結果が発生しなかった場合に成立します。

刑法第43条
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。

未遂犯は全ての犯罪に成立するわけではなく、個別に定められます。
つまり、未遂犯の規定がない犯罪では、未遂犯は成立しないということです(例えば、暴行罪に未遂犯は規定されていませんから、暴行未遂罪はありません。)。
殺人罪については、以下のように未遂犯が規定されています。

刑法第203条
第199条及び前条の罪の未遂は、罰する。

今回のAさんの逮捕容疑である殺人罪では、犯罪の結果となるのは被害者の死亡事実です。
Aさんの行為が殺人罪の実行行為に当たると仮定しても、今回の事例でVさんは軽傷を負ったのみで死亡していません。
つまり、被害者の死亡という殺人罪の結果が発生していませんので、条文の条件だけ見れば、Aさんには殺人未遂罪が成立する可能性があるということになります。

しかし、今回の事例では、AさんとVさんのトラブルはあくまで夫婦喧嘩であり、Aさんには殺意がない=殺人罪の故意がなかったと考えられます。
殺人罪殺人未遂罪も、成立するには故意が必要ですから、Aさんに殺人罪の故意がないのであれば殺人未遂罪は成立しないことになります。

ですが、Aさんの逮捕容疑は殺人未遂罪ですから、捜査機関としてはひとまずAさんに殺人未遂罪が成立するとして事件を捜査することになるでしょう。
ですから、Aさんに殺人罪の故意がなかったことなどからAさんには殺人未遂罪が成立しないことや、成立するにしてもVさんに怪我を負わせたことによる傷害罪にとどまることなどをきちんと主張し対応していく必要があると考えられます。
そのためには、逮捕直後から始まると予想される取調べへの対応や、再犯防止策の構築などに早期から取り組んでいくことが必要です。
だからこそ、事件が起こってからなるべく早い段階で弁護士に相談・依頼することが重要なのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、夫婦喧嘩から刑事事件に発展したケースについてのご相談・ご依頼も承っています。
夫婦喧嘩が発端とはいえ、事件態様によっては今回のAさんのケースのように殺人未遂罪という重大犯罪の容疑がかかってしまうこともあります。
そういった時こそ専門家のサポートを受けることが大切ですから、まずはお気軽にお問い合わせください。

殺人未遂事件の逮捕も弁護士へ

2021-08-05

殺人未遂事件の逮捕も弁護士へ

殺人未遂事件逮捕弁護士に相談するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府向日市に住んでいるVさんのことをひどく恨んでいました。
ある日、AさんはついにVさんを殺してやろうと思い立ち、毒物を混入したワインをVさん宛に発送しました。
宅配業者が預かったワインは、配達当日にVさんが不在のため宅配業者の事業所で保管されていましたが、後日、Vさんのもとに届けられました。
受け取ったワインを飲んだVさんは、混入していた毒物のせいで病院に入院する事態に陥りましたが、命に別状はありませんでした。
後の警察の捜査では、ワインに混入された毒は致死量の9割しかありませんでした。
その後、捜査の結果、Aさんがワインに毒物を入れたことが発覚し、Aさんは殺人未遂罪の容疑で京都府向日町警察署逮捕されました。
(※この事例はフィクションです)

・隔離犯

今回のAさんの事例では、Aさんがワインに毒物を仕込み、それを宅配業者に配達させ、後日そのワインを受け取って飲んだVさんを殺そうとしています。
こうしたケースを隔離犯と呼ぶこともあります。
離隔犯とは、行為と結果発生との間に時間的・場所的な間隔が存在する場合のことをいいます。

離隔犯に関わる刑事事件では、行為者が意図しない客体を巻き込んでしまったり、結果の発生時期が前後することなどが考えられます。

・不能犯

不能犯とは、およそ結果が発生する可能性のない行為を行うことで犯罪を実現しようとする場合のことをいいます。
例えば、塩を劇薬であると勘違いして毒殺を図るような場合が不能犯のケースに当たります。
行為者が構成要件に該当する行為を行ったつもりでも、もし不能犯であると認められれば未遂も成立せず処罰されることはありません。

今回のケースでは、Aさんは毒物を混入したワインをVさんに飲ませることで殺害しようとしています。
しかし、ワインに混入された毒の量は致死量の9割にとどまるものでした。
AさんはVさんを殺害しようと考えていますので、殺人未遂罪(刑法第199条、同法第203条)の適用が考えられます。
殺人未遂罪の量刑は殺人罪の法定刑である死刑または無期もしくは5年以上の懲役のうち、刑法第43条によって減軽されたものが言い渡されます。
もっとも、未遂犯だからといって刑法第43条によって必ず減免されるわけではありません。

繰り返しになるかもしれませんが、不能犯に当たるかどうかは、基本的にはある行為が構成要件的結果を発生させる具体的な危険を有するかどうかによって判断されます。
今回のケースでも、毒が致死量の9割にすぎないとはいえ、実際にVさんが入院する事態にまで至っていることから、Vさんの体調などの状況によって死亡するリスクも考えられるというような場合には、特にAさんがVさんに毒入りのワインを飲ませた行為が殺人罪の実行行為に当たるとして殺人未遂罪の成立が肯定される可能性は十分にあります。

・「実行の着手」

先ほど「AさんがVさんに毒入りのワインを飲ませた行為が殺人罪の実行行為に当たる可能性がある」と触れましたが、刑法上、具体的にどの行為が実行行為の始まり=「実行の着手」に当たるかが重要になります。

犯罪は行為について成立するものなので、まだ構成要件該当行為がなされていない実行の着手以前の段階では、未遂犯を含めて犯罪が成立し処罰されることはありません。
ただし、殺人罪や強盗罪といった一部の犯罪については実行の着手前であっても準備行為を処罰するものとして予備罪が設けられています。
殺人予備罪(刑法第201条)の法定刑は2年以下の懲役で、但し書きにより刑を免除することができるとされています。

実行の着手時期については学説上様々な見解があり、大きく主観説と客観説の2つに分類されます。
主観説は、客観的事情によって犯意の存在を確定的に認定できる行為が行われた時点を実行の着手時期とする考えです。
客観説は、さらに形式的客観説と実質的客観説に分けられます。
形式的客観説は、実行行為そのものに先行しこれと密接不可分な行為の開始時点を実行の着手時期とします。
例えば、物を盗むためにその物に手を伸ばす行為が行われた時点などが実行の着手時期となります。
対して、実質的客観説は、構成要件の実現や法益侵害の現実的危険性が認められるときに実行の着手があるものとする考えです。

従来の判例の考え方は形式的客観説の立場に立ったものでしたが、実質的客観説に従ったものと考えられるような判例も存在します(最決昭和40.3.9)。

今回のケースについて客観説をベースに検討すると、Aさんが毒入りワインを発送し宅配業者の下で保管されている段階では、まだVさんが死亡する現実的危険性がなく、Vさんを死亡させるに密接な行為とも言い難いため、殺人罪の「実行の着手」は認められないでしょう。
殺人罪の「実行の着手」が認められるのは、Vさんがワインを受け取りいつでも飲める状態になった段階あるいは実際に飲もうとしている段階に求められることになります。
いずれにせよ、Vさんはワインを飲んでしまっているので殺人未遂罪が成立するものと考えられます。

不能犯として不可罰となるか可罰的未遂となるのか、あるいは実行の着手前であるとして不可罰となるのか実行の着手ありとして可罰的となるのかは大きな違いです。
これらの判断は法律の専門家でも難しい場合が多く、事件の解決や処罰を回避できる可能性を高めるためには刑事事件を数多く扱った経験のある弁護士の知識や分析の提供を受けることが必要になります。

殺人未遂罪の被疑者となってしまった方、京都府向日町警察署で取調べを受けることになってしまった方は、お早めに、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

公務執行妨害事件の逮捕に対応

2021-08-02

公務執行妨害事件の逮捕に対応

公務執行妨害事件逮捕に対応するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府京丹後市でタクシー運転手として働いています。
ある日、Aさんがタクシーの乗客をおろすために交差点内で停止したところ、それを見ていた巡回中の京都府京丹後警察署の警察官から注意を受けました。
Aさんは注意されたことに腹を立てると、警察官に向かって複数回タクシーを前進させました。
警察官は転倒したものの怪我はありませんでした。
しかし、Aさんはその場で公務執行妨害罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、Aさんが逮捕されたことを知り、Aさんのために何かできないかと弁護士に相談することにしました。
(※令和3年7月25日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・公務執行妨害罪と逮捕

今回のAさんは、公務執行妨害罪の容疑で逮捕されていますが、公務執行妨害罪は刑法に以下のように定められている犯罪です。

刑法第95条第1項
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若し
くは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

公務執行妨害罪は、ざっくりと大まかにいえば、公務員が仕事をしているところに暴行や脅迫を加えた者に成立するという犯罪です。
刑法における「公務員」とは「国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員」とされていることから(刑法第7条第1項)、今回のAさんの事例で相手となっている警察官も刑法上の「公務員」となります。
そして、今回の事例では、Aさんは巡回中の警察官に対してタクシーを前進させています。
警察官が巡回することは警察官の仕事の1つであり、今回の事例の警察官はその仕事の最中であることから、公務執行妨害罪の「職務を執行するに当たり」という部分にも該当することになります。
さらに、Aさんは警察官に対してタクシーを前進させており、それによって警察官を転倒させていますが、これは「暴行」であると考えられます。
ですから、今回のAさんには公務執行妨害罪が成立すると考えられるのです。

そのAさんは、冒頭でも触れたように公務執行妨害罪の容疑で逮捕されていますが、公務執行妨害事件では現行犯逮捕される事例も少なくありません。
というのも、今回の事例のAさんのように、公務執行妨害罪の「公務員」に当たる人が警察官であることが少なくないからです。
警察官が事件の当事者としてその場にいる場合、犯行を現認してすぐに現行犯逮捕に結びつくため、公務執行妨害事件現行犯逮捕されるというケースがよく見られるのです。

こうした警察官相手の公務執行妨害事件では、基本的には示談締結ができません。
これは、法律上公務執行妨害罪の被害者は国や自治体となっているため、国や自治体相手に示談することは難しいということによります。
後述のように、公務執行妨害罪とは別の犯罪が成立した場合には、その犯罪に関しては被害者となる個人と示談交渉をするというケースもありますが、公務執行妨害罪自体は被害者対応をすることが難しいのが実情です。
だからこそ、それ以外の部分、例えば再犯防止策の構築や反省の深まりを表す反省文や贖罪寄付などに早い段階から取り組み、証拠化していくことが重要となります。

・公務執行妨害罪以外の犯罪

今回のAさんは公務執行妨害罪の容疑で逮捕されていますが、例えばAさんの暴行によって警察官が怪我をしていた場合には、公務執行妨害罪とは別に傷害罪(刑法第204条)が成立することになります。
さらに、Aさんが警察官を殺してしまうつもりでタクシーを前進させ、実際に警察官を殺してしまったり、殺す危険性のある行為に及んでいたりする場合には、殺人罪(刑法第199条)や殺人未遂罪(刑法第203条)の成立も考えられます。

公務執行妨害事件では、暴行が用いられることも多いため、その暴行行為から派生して別の犯罪が成立してしまう可能性があることにも注意が必要です。

公務執行妨害事件、特にAさんの事例のような警察官相手の事件では、逮捕などの身体拘束を受けやすく、さらに示談締結も難しいという事情がありますから、一般の方だけで手続に臨むことは負担が大きいでしょう。
刑事事件に強い弁護士に早めに相談することで、刑事事件に臨むことへの不安・負担の軽減が期待できます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、公務執行妨害事件を含む刑事事件全般に対応しています。
京都府公務執行妨害事件逮捕にお困りの際は、お気軽にご相談下さい。

相手が同意していても強制わいせつ罪?

2021-07-19

相手が同意していても強制わいせつ罪?

相手が同意していても強制わいせつ罪に問われたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府宮津市に住んでいる24歳のAさんは、近所に住んでいる小学生のVさん(12歳)と度々挨拶や立ち話をする仲でした。
ある日、Vさんからキスをしてほしいと言われたAさんは、Vさんにキスをして抱きしめたり、Vさんの胸や臀部といった身体を触ったりするようになりました。
AさんとVさんがキスなどの行為をするようになってしばらくしてから、Vさんの両親が、Vさんが何か隠している様子であることに気が付き、Vさんを問い詰めたことで、AさんとVさんの関係が発覚しました。
Vさんの両親が京都府宮津警察署に相談し、Aさんは強制わいせつ罪の容疑で話を聞かれることになりました。
Aさんは、「キスやハグなどは全てVさんから言い出したことで、相手のVさんは同意していた。それでも犯罪になるのか」と思い、刑事事件に対応している弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・「相手の同意がある=強制わいせつ罪にならない」ではない?

強制わいせつ罪という名前から、強制わいせつ罪は「強制的にわいせつな行為をする」という犯罪のイメージがある方も多いのではないでしょうか。
そのため、「わいせつな行為に対して相手の同意がない=強制わいせつ罪が成立する」、「わいせつな行為に対して相手の同意がある=強制わいせつ罪が成立しない」というイメージの方も少なくありません。

しかし、今回のAさんは、相手であるVさんの同意があった上でキスなどをしているにもかかわらず、強制わいせつ罪に問われているようです。
このように、相手の同意があったにも関わらず強制わいせつ罪に問われることがあるのでしょうか。
まずは、強制わいせつ罪の条文を確認してみましょう。

刑法第176条(強制わいせつ罪)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ罪の条文の前段では、「暴行又は脅迫を用いて」わいせつな行為をした者に強制わいせつ罪が成立する旨が定められています。
これは先ほど挙げたような、「相手の同意を得ないわいせつな行為に強制わいせつ罪が成立する」といった、世間一般の強制わいせつ罪のイメージと重なるものではないでしょうか。
ただし、ここで注意しなければいけないのは、この「暴行又は脅迫を用いて」わいせつな行為をした場合に強制わいせつ罪が成立するのは、「13歳以上の者」への行為と限定されているということです。

これに対して、相手が13歳未満の者であった場合については、強制わいせつ罪の条文の後段に定められています。
13歳未満の者が相手であった場合、強制わいせつ罪は「わいせつな行為をした」だけで成立します。
つまり、被害者の年齢次第では、「暴行又は脅迫」という手段が用いられなくとも、わいせつな行為をしただけで強制わいせつ罪が成立することになるのです。
「わいせつな行為をした」だけで成立するのですから、相手がわいせつな行為に同意していたとしても強制わいせつ罪が成立することになるのです。
当然、13歳未満の者に対して暴行や脅迫を用いてわいせつな行為をした場合にも強制わいせつ罪は成立しますが、相手の同意があったからといって必ずしも強制わいせつ罪にはならないというわけではないのです。

今回の事例のAさんは、12歳のVさん相手にキスなどをしているようです。
AさんはVさんの同意を得てした行為だと考えているようにですが、先ほど確認したように、相手が13歳未満の場合、相手に同意があったとしても、わいせつな行為をしただけで強制わいせつ罪が成立します。
ですから、Vさんの同意の有無に関係なく、Aさんには強制わいせつ罪が成立すると考えられるのです。

・被害者が未成年の強制わいせつ事件

強制わいせつ事件は被害者の存在する刑事事件ですから、被疑者・被告人が容疑を認めているのであれば、被害者への謝罪や被害弁償は、重要な弁護活動の1つとなってきます。

しかし、加害者である被疑者・被告人やその家族など近しい人たちが被害者に直接接触することは、刑事手続上よくないと考えられることが多いです。
被疑者・被告人やその家族が被害者に謝罪したいと捜査機関に申し出ても、連絡先等を教えられないと断られることが多いです。

というのも、加害者である被疑者・被告人が直接被害者に接触することで、証拠隠滅(例えば証言の変更を迫るなど)や被害者へ危害を加えるといったおそれが考えられるためです。
被害者側としても、当然加害してきた被疑者・被告人に怒りや恐怖の感情を抱いていることが多く、直接接触することは避けたいという意向であることも多いです。
特に、被害者が未成年である場合には、被害者本人ではなく、その両親などの保護者が謝罪等の相手となります。
自分の子供が性被害にあった状況ですから、被害感情が強いことが当然予想されます。
もしも当事者同士で謝罪の場を設けられたとしても、余計にこじれてしまう可能性も考えられます。

だからこそ、謝罪・被害弁償・示談交渉には、弁護士を間にはさむことがおすすめされます。
被害者の側からしても、直接加害者本人と接触せずに済むため、安心して話を聞くことができます。
被疑者・被告人の側からしても、法律の専門家であり第三者である弁護士が間に入ってくれることは安心できる要素でしょう。
早い段階から弁護士に相談・依頼することが望ましいといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、強制わいせつ事件などの性犯罪事件も承っています。
京都府の強制わいせつ事件にお困りの際は、お気軽にご相談ください。

強盗致傷事件の逮捕に対応

2021-07-12

強盗致傷事件の逮捕に対応

強盗致傷事件逮捕に対応する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、宝石を盗み出して儲けようと計画し、京都府舞鶴市にある宝石店Xに侵入し、宝石を物色していました。
しかし、宝石店Xの警備員であるVさんが巡回にやってきて、Aさんは宝石を物色しているところを発見されてしまいました。
Aさんは、こっそり宝石を盗み出すことは諦めて、警備員Vさんを脅して宝石を奪い取って逃げようと計画を変更し、携行していたナイフをチラつかせてVさんを脅すと、宝石を自分のカバンにしまい、逃げようとしました。
ところが、VさんはAさんが目を離したすきに警棒を持ち、Aさんをつかまえようと立ち上がりました。
ポケットにしまったナイフを取り出すのに手間取ったAさんは、とにかく逃げなければいけないと逃げ出しましたが、Vさんの追跡から逃げきれず、Vさんに追いつかれてしまいました。
この時点で、AさんがナイフでVさんを脅迫した時から10分が経過し、宝石店Xから150mほど離れた地点に来ていましたが、AさんはVさんの顔面を殴りつけるなどの暴行を加えて怪我を負わせると、逃亡を再開しました。
ですが、これらのやり取りを目撃した通行人が通報したことで京都府舞鶴警察署の警察官が駆け付け、Aさんは強盗致傷罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・強盗致傷罪と「強盗の機会」

Aさんは元々宝石をこっそり盗み出すという窃盗行為を計画していたようですが、犯行の途中で警備員Vさんを脅して宝石を奪うように計画を変更しています。
このように、当初窃盗行為を意図しながら被害者などに発見されたために、暴行や脅迫をを加えたうえで財物奪おうとする犯人のことを「居直り強盗」と呼ぶことがあります。
居直り強盗というだけあって、こうした行為には刑法の強盗罪が成立すると考えられます。

刑法第236条第1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

強盗罪の「暴行又は脅迫」とは、相手の反抗を抑圧するに足りる程度の強さのある暴行又は脅迫を指しています。
今回のAさんは、警備員Vさんに対してナイフを向けていますが、ナイフを向けられたVさんからすれば反抗するとナイフで刺されるなどする深刻な危害が加えられるおそれがあるため、Aさんの行為はVさんの反抗を抑圧するに足りる脅迫といえるでしょう。
そして、Aさんはそのような脅迫によって生じた状況を利用して宝石をカバンに入れているので「他人の財物を強取した」といえます。
以上から、Aさんには強盗罪が成立すると考えられるのです。

さらに、刑法には以下の規定があります。

刑法第240条
強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

これは、強盗致傷罪強盗致死罪と呼ばれる犯罪であり、強盗犯が人に怪我をさせたり死亡させたりしたときに成立する犯罪です。
しかし、条文からは強盗犯が「いつ」人に怪我をさせたり死亡させたりしたときにこの強盗致死傷罪が成立するか明示されていません。
となると、強盗犯が人に怪我をさせればいつのことであっても強盗致傷罪が成立してしまうのではないか、と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。

強盗犯が「いつ」人に怪我をさせた場合強盗致傷罪が成立するのかということについて、判例では、傷害の結果が「強盗の機会」に行われた行為から生じたものであればよいとしています(最判昭和24.5.28)。
どういった行為が「強盗の機会」における行為といえるかは事案ごとの事情を全て考慮した上で判断せざるを得ませんが、多くの判例は、犯意の継続性、強盗行為との時間的場所的近接性、強盗行為との関連性を考慮して判断しています(最判昭和32.7.18、東京高判平成23.1.25など)。
つまり、簡単に言えば、強盗行為と全く関係のないところで強盗犯が人を死傷したとしても強盗致死傷罪は成立しないということです。

本件では、AさんはVさんの顔面を殴る暴行を加えて怪我をさせているようです。
この暴行行為は、Vさんに捕まる=逮捕されることなく強盗行為を無事終えるためになされたのものであって、いまだ当初の強盗の犯意が継続しているといえます。
また、これは通常の強盗にも認められるような性質の行為であって強盗行為と関連性があります。
加えて、この暴行はAさんがナイフで警備員を脅迫した時から10分が経過し、宝石店Xから150m離れた地点でなされているなど、強盗行為と場所的時間的近接性が認められます。
これらの事情から、AさんがVさんを殴って怪我をさせたことは「強盗の機会」に行われたと考えられ、Aさんには強盗致傷罪が成立すると考えられるのです。

・強盗致傷事件と弁護活動

強盗致傷事件では、当然被害者が存在します。
今回のAさんのケースでは、宝石を奪われた宝石店Xと、Aさんから暴行を受けたVさんが被害者ということになるでしょう。
この被害者に対して、謝罪や被害弁償をしていくことも重要な弁護活動の1つです。

また、強盗致傷罪は法定刑に無期懲役を含む重大な犯罪であることから、逮捕・勾留による身体拘束を伴って捜査が進められることも十分予想されます。
釈放・保釈を求めて随時活動していくことも必要となるでしょう。

そして、強盗致傷事件は裁判員裁判対象事件でもあるため、起訴されれば裁判員裁判への対応が必要となります。
一般の刑事裁判とは異なる手続きも多い裁判員裁判に対応していくためには、入念な準備が必要となりますから、早期に弁護士と連携して備えることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件専門の弁護士事務所です。
強盗致傷事件逮捕にも迅速に対応し、被疑者・被告人やそのご家族のお悩みや疑問の解消をサポートいたします。
京都府逮捕強盗致傷事件にお困りの際は、お気軽にご相談ください。

自宅に放火して逮捕

2021-06-21

自宅に放火して逮捕

自宅に放火して逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

~事例~

京都府南丹市在住のAさんは、自宅が老朽化している状態にもかかわらず、以前と同じように税金を納めることに嫌気がさしていました。
そこで、Aさんは自宅を解体して土地を売りに出すことを思いついたのですが、自宅が木造住居であったことから、解体費用の節約のため燃やすことによって解体してしまおうと思いつきました。
そして、Aさんは妻子には自宅を燃やすことを知らせずに適当な話をして別の家に泊まらせると、自宅に火を放ち、自宅を全焼させました。
当日、自宅の周りには他人の住居はなく、Aさんが自宅に火を放った当時周りに延焼するおそれはありませんでしたが、Aさんの自宅から上がる煙を発見した地域の住民が京都府南丹警察署に通報。
消防車やパトカーが駆け付ける事態となり、自宅の燃える様子を見ていたAさんは、現住建造物等放火罪の容疑で逮捕されることとなってしまいました。
Aさんは、「中に人もいなかったし、燃え移る心配もなさそうだった。何よりこれは自分の家なのだからどうしようと勝手なのではないか」と思い、家族の依頼を受けて接見にやってきた弁護士に、詳しいことを相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・放火罪と放火の対象物

放火罪という犯罪は、実は何種類かに分けられています。
その大まかな違いは、何に対して放火したかという、放火の対象物の違いです。
例えば、今回の事例のAさんは、自身の自宅という建造物に対して放火していますが、刑法の放火罪では、その建造物が①現住性ないし現在性があるもの、②①がなく非現住ないし非現在とされるものとを区別しています。
そして、その区別によって分けられた放火罪が以下の①現住建造物等放火罪と②非現住建造物等放火罪です。

①現住建造物等放火罪
刑法第108条
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

②非現住建造物等放火罪
刑法第109条第1項
放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、2年以上の有期懲役に処する。

以上に加えて、非現住建造物等放火罪については、刑法第109条第2項において、それが自己の所有しているものであり、公共の危険を生じなかったといえれば、罰しないと規定されています。

刑法第109条第2項
前項の物が自己の所有に係るときは、6月以上7年以下の懲役に処する。
ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。

今回のAさんのように、自分の所有する建造物に放火した場合、その建造物に現住性があるかどうかによって、どちらの犯罪が成立し、どのくらいの重さの刑罰を受ける可能性があるのかが大きく異なってくることが考えられます。
つまり、放火罪において、建造物に現住性が認めれるかどうかが重要になってきます。

では、本事例のAさんにはどういった放火罪が成立するでしょうか。

まずは、現住性以外の点について検討してみましょう。
建造物に関する放火については、法文から、①放火し、②建造物を焼損したことが必要だと考えられます。
本件で、Aさんの自宅は「建造物」であることは間違いないでしょう。
さらに、Aさんは火を放っており①「放火」したといえます。
また、②焼損したとは、火が媒介物を離れ独立して燃焼継続しうる状態に至ることをいうと解されていますが、Aさんの自宅は全焼しているので、この要件についても認められると考えられます。
このことから、Aさんは建造物に放火したことによる放火罪は成立すると考えられるものの、Aさんの自宅に現住性があるのかどうかによってその罪名が現住建造物等放火罪になるのか、非現住建造物等放火罪になるのかが変わりそうだということが分かります。

では、次に、Aさんの自宅が「現住性」を有するかどうかを検討してみましょう。
そもそも、建造物の現住性はどういった場合に認められるのでしょうか。
現住建造物等放火罪において「現に人が住居に使用」している場合とは、放火行為当時に犯人以外の人が起臥寝食の場所として使用している場合をいい、また、放火当時に人が現在する必要はないと解されています。
つまり、現住性については、放火当時その建造物内に人がいるという状況だけでなく、建造物を「人が起臥寝食の場所として使用している」抽象的可能性があればよいということとなります。

これを踏まえると、今回の事例では、Aさんは、妻子には放火に関して何も告げずに自宅に放火していることから、Aさんの妻子は日常住居とする意思があり使用形態に変更はなかったといえるので、現住性が認められる可能性が出てきます。
そうなると、Aさんには現住建造物等放火罪が成立する可能性が出てくると考えられるのです。

現住建造物等放火罪は、刑罰に死刑・無期懲役が含まれていることから、起訴されれば裁判員裁判になる重大犯罪です。
裁判員裁判は通常の刑事裁判手続きとは異なる手続きも多く、手続きが分からずに困惑してしまう方もいらっしゃるでしょう。
だからこそ、刑事事件に精通した弁護士のサポートを早いうちから受けておくことが重要です。

「自分の所有している建物だから自分の意思で放火する分には問題ない」と考えていても、その建造物の状況次第ではこれほど重大な犯罪が成立してしまう可能性があります。
もしも自宅など自身の所有する建造物への放火事件で刑事事件の当事者となってしまったら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部までご相談ください。
刑事事件専門弁護士が、被疑者・被告人ご本人やそのご家族の疑問や不安の解消に努めます。
まずはお気軽にお問い合わせください(0120-631-881)。

直接お金を奪わなくても強盗罪に?

2021-06-17

直接お金を奪わなくても強盗罪に?

直接お金を奪わなくても強盗罪になるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都市東山区にあるVさん宅に忍び込むと、Vさんのクレジットカードを盗み出しました。
そして、AさんがVさん宅から立ち去ろうとした際に、帰宅したVさんに出くわしました。
Aさんは、Vさんにナイフを突きつけると、盗み出したクレジットカードの暗証番号を聞き出し、その場を去りました。
その後、Vさんの通報によって京都府東山警察署の警察官が捜査を開始。
Aさんは、京都府東山警察署強盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、「お金を脅して奪ったわけでもないのに強盗罪になるのか」と疑問に思い、弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・強盗利得罪

強盗というと、金銭や財物を脅し取るイメージが強いでしょう。
しかし、強盗罪には刑法第236条第1項で定められた暴行や脅迫を手段として財物の占有を得る形態のほかに、同法同条第2項の財産上不法の利益を得る類型が存在します。
この第2項の規定に該当する強盗罪を特に2項強盗罪強盗利得罪と呼ぶこともあります。

刑法第236条
第1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
第2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

財産上の利益とは、人の財産の中で財物を除くすべてをいうとされます。
現在、財物は有体物(三態をとって空間の一部を占める物)であるという有体物説が通説となっており、この解釈に従うと、財産上の利益は有体性をもたない無形の財産ということになります。
財産上の利益に当たるものとしては、債権を取得すること、債務の履行を免れること、財産的情報、ノウハウ、企業秘密、重要なデータを取得することなどが挙げられます。

大まかにいえば、強盗罪は、刑法第236条第1項で有形の財産=「財物」に対する強盗行為を、同法同条第2項で無形の財産に対する強盗行為を規制しているということになります。
つまり、よく想像される物理的に金品を奪っていく強盗が第1項の強盗罪、そうではなく利益などの無形の財産を得る強盗が第2項の強盗罪=2項強盗罪や強盗利得罪と呼ばれる強盗罪ということになるのです。

今回のケースでは、AさんはVさんのクレジットカードを盗んだ上で、帰宅したVさんを脅して暗証番号を聞き出しています。
Aさんが盗み出したクレジットカードは有体物であり財産的価値もあるでしょうから「財物」に当たるでしょう。
では、Aさんが脅迫を用いてVさんから聞き出した暗証番号はどうなるのでしょうか。

暗証番号は物として実態があるわけではないため、「財物」には当たらないと考えられます。
そして、クレジットカードや銀行口座などの暗証番号は、それだけでは何の役にも立たない財産的価値のないものといえます。
しかし、暗証番号はクレジットカードによる決済や銀行からの払戻しを受けるために役立つ情報であり、このように特定の状況下で一定の財物を取得するための手段としての価値をもっているため、これを財産上の利益となし得るかどうかが争われています。

過去の高裁判例では,今回のケースと似た事案で、キャッシュカードを窃取した被告人が被害者に包丁を突き付けて同人名義の預金口座の暗証番号を聞き出したという事件について、口座から預金の払戻しを受ける地位という財産上の利益を得たとして強盗利得罪の成立を認めたものがあります(東京高裁判平成21.11.16)。
この高裁判例が強盗利得罪の成立を認める判断は、行為者がいまキャッシュカードを有し、ATMが付近に存在するという状況があり、そのことによってはじめて暗証番号に関する情報が具体的な利益性をもつに至っているというもので、単に暗証番号を聞き出すことが直ちに財産上の利益を得ることと評価されるわけではないため、注意も必要ですが、こういった判断がされる可能性もあるということです。

今回のケースでは、Aさんは既にVさんのクレジットカードを有しており、その状態で暗証番号を聞き出していることから、高裁判例の考えによって強盗利得罪の成立が認められる可能性があります。

・事後強盗罪

今回のケースのAさんとVさんの具体的な状況によっては、強盗利得罪が成立しなかったとしても、事後強盗罪(刑法第238条)が成立する可能性があります。

刑法第238条
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

事後強盗罪は窃盗犯人が窃取した財物を取り返されたり、捕まることを避けたり、あるいは犯罪の痕跡を隠滅したりするために暴行・脅迫を行った場合に成立する罪で、その法定刑は強盗罪と同じく5年以上の有期懲役です。

今回のケースでは、AさんはVさんにナイフを突きつけ脅していますが、この脅迫行為が、すでに盗んでいたクレジットカードを取り返されたり、捕まることの回避や罪証隠滅のために行われたとすると、クレジットカードを盗んだ行為と合わせて事後強盗罪に当たるとされるおそれがあるのです。

暴行・脅迫によって財物でないものを手に入れたとき、それが財産上の利益といえるかどうかは罪名および科刑上大きな違いを生みます。
どの行為がどの犯罪になるかということも含めて、その分析には刑事事件に関する専門的な法的知識が必要となります。

さらに、今回のAさんのケースのように逮捕・勾留を伴う捜査が行われている場合には、身体解放のための弁護活動も考えられますが、そのためには刑事事件に強い弁護士にいち早く相談し,適切な対応を行っていくしかありません。
対応が遅れると刑事手続が進行し、取り返しのつかない事態に陥ってしまう可能性もあります。
どういった場合にせよ、刑事事件の当事者となってしまったら、早期に弁護士に相談してみることが重要でしょう。

刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、弁護士による初回無料法律相談だけでなく、逮捕・勾留中の方に向けた初回接見サービスも受け付けています。
強盗事件などの重大な刑事事件についてのご相談・ご依頼も受け付けていますので、まずはお気軽にお問い合わせください(0120-631-881)。

いやがらせでパンク 器物損壊事件を相談

2021-06-03

いやがらせでパンク 器物損壊事件を相談

いやがらせで車をパンクさせて器物損壊事件となったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

~事例~

京都市左京区に住むAさんは、近所に住んでいるVさんが高級外車に乗っている姿を見て、自分に見せびらかしているのではないかと思うようになりました。
そこで、ある日、酒に酔ったAさんは、Vさんへのいやがらせをしようと思い立ち、Vさんの高級外車の右前輪を五寸釘でパンクさせました。
しかし、Vさんは防犯カメラを設置しており、高級車がパンクしていることが判明した後、この防犯カメラの映像を確認しました。
すると、Aさんが写っており、Aさんがパンクさせた犯人だと判明しましたが、Aさんとは長い付き合いであったため、Vさんは、被害届を一旦出さないこととしました。
他方、Aさんは酒の勢いに任せてVさんの車をパンクさせたものの、逮捕されたり、前科を付けたりしたくないと考えたことから、どうにか穏便に済ませられないか、弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・いやがらせで器物損壊事件

今回のAさんは、いやがらせで車をパンクさせているようですが、こうした行為には器物損壊罪が成立すると考えられます。

刑法第261条(器物損壊罪)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

まず、Aさんがパンクさせた高級外車はVさんの所有物ですので、器物損壊罪の対象となる「他人の物」にあたることは明らかでしょう。

次に器物損壊罪の「損壊」とは、物の効用を害する行為と解されています。
これは物理的に破壊しない態様の行為についても広く含むもので、例えば皿に放尿する行為(大判明治42.4.16)や公選法違反のポスターにシールを張る行為(最決昭和32.4.4)についても、物理的な破壊が伴わないものの物本来の使用を不可能ないし著しく困難にしている点で「損害」にあたるとされています。
本件ではAさんは五寸釘を用いてVさんの高級車のタイヤをパンクさせて車の走行をできなくさせているので、Aさんの行為は器物損壊罪の「損壊」にあたるといえるでしょう。

これらのことから、Aさんがいやがらせとして行ったVさんの車をパンクさせる行為は、器物損壊罪にあたる行為といえます。

・Aさんはどうすべき?

以上の通りAさんの行為に器物損壊罪が成立するとして、穏便に済ませたいと考えているAさんは今後どのような行動をとるべきでしょうか。

事例におけるAさんの状況は、被害者Vさんに被害届が出されておらず、いまだ刑事事件化していないというものです。
したがって、Aさんとしてはまず被害者に被害届の提出等しないようにしてもらうということが先決でしょう。
器物損壊罪は刑事告訴が公訴提起の条件である親告罪(刑法第264条)であるので、被害者が捜査機関に被害を訴えたり刑事告訴しない旨の合意をめざし示談交渉することが重要となります。
刑事事件化前に当事者間で示談締結ができれば、捜査を受けるなどの心配をする必要はなくなります。

本事例では、上記合意を得るために、慰謝料や被害品が高級外車のタイヤに修理に係る弁償費などの示談金を支払うことが条件となりそうです。
とはいえ、不当に高い示談金を支払う必要はなく、適切な示談額となるよう被害者と上手に交渉する必要があります
このような交渉は当事者同士で行うと、逆に話がこじれて関係が悪化してしまったり、せっかく話がついても法律的に正しい示談が締結出来なかったりするリスクがありますから、弁護士に依頼することが望ましいといえます。

もちろん、被害届の提出などによって刑事事件化してしまった場合でも、示談の締結によって不起訴処分の獲得を目指すことができますから、いずれにせよ早い段階で弁護士に相談・依頼をして対応していくことが必要となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、器物損壊事件などの刑事事件を専門に扱っています。
いやがらせ行為から刑事事件に発展しそうでお困りの際は、まずはご相談ください。

美人局で逮捕されてしまったら

2021-05-27

美人局で逮捕されてしまったら

美人局逮捕されてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、「人妻です。京都市西京区で会える不倫相手募集」というようなメッセージを出会い系サイトに投稿し、その投稿に男性会社員のVさんが反応しました。
AさんはVさんと何通かメッセージのやりとりをし、京都市西京区で会う約束をしました。
後日、AさんとVさんが京都市西京区で約束通り会い、ラブホテルから出てきたところ、Aさんの夫を名乗るBさんが現れ、「人妻に手を出して不倫してただで済むと思っているのか」「誠意をもって対応しなければ裁判にしてやる」「裁判になれば職場にも不倫をしたことがばれるぞ」などと言って慰謝料として30万円を支払うよう言ってきました。
VさんはBさんの言葉に怖くなってしまい、Bさんの要求通り30万円を支払ってしまいました。
実は、AさんとBさんは一緒に計画を立てて美人局をしていたのでした。
しかし、その後もBさんから何か言われるのではないかと不安になったVさんが京都府西京警察署に相談したことから被害が発覚し、捜査が開始されました。
AさんとBさんは、恐喝罪の容疑で逮捕され、京都府西京警察署で取調べを受けることになりました。
(※この事例はフィクションです。)

・美人局

美人局(つつもたせ)とは、女性が被害者となる男性を誘って肉体関係をもったり関係をもとうとしたりしたときに、事前に共謀していた第三者(多くは男性)が現れ因縁をつけ、金銭などを脅し取ることをいいます。
美人局を行う女性と男性は実際に夫婦関係や恋愛関係にある場合もありますが、そうでないこともあります。
今回のケースでも、AさんはVさんを誘い出し、ラブホテルで密会した後に夫を名乗るBさんが現れ30万円を脅し取っています。
この美人局によってBさんが行った金銭を脅し取る行為は、恐喝罪(刑法第249条)によって処罰される可能性があります。

刑法第249条(恐喝罪)
第1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
第2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

条文中にある「恐喝」とは、暴行または脅迫を手段として相手方をその反抗を抑圧するに至らない程度に畏怖させることをいいます。
もし、財物や財産上不法の利益を得る手段として行った暴行または脅迫が相手方の反抗を抑圧する程度のものであった場合には、恐喝罪ではなく強盗罪(刑法第236条)が成立する可能性があります。
強盗罪の法定刑は5年以上の懲役となります。

また、同じような行為であっても害悪を告知して畏怖させた行為であるとして脅迫罪(刑法第222条)が適用されたり、威迫して人に義務のないことを行わせたとして強要罪(刑法第223条)が適用されたりすることも考えられます。
法定刑は、脅迫罪が2年以下の懲役または30万円以下の罰金で、強要罪が3年以下の懲役です。

さらに、美人局では、女性がまったく性交を行う気がないのに性交を行おうと被害者を呼出し金銭を要求したり、18歳未満であると偽って児童買春が成立するとして慰謝料や示談金の名目で金銭を要求するパターンもあります。
こうしたパターンでは、虚偽の事実を示して金銭などを要求する行為は場合によっては詐欺罪(刑法第246条)に問われる可能性もあります。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役です。

加えて、ここまでに挙げた主に脅迫行為を行う第三者に成立することが考えられる犯罪だけでなく、被害者を誘い出したり性的な行為を行ったに過ぎない女性(今回の事例でいうAさんの立ち位置)も、共犯(共同正犯あるいは幇助犯など)として第三者と共に罪に問われる可能性があります。

行われた美人局にここまでに挙げたどの罪名が適用されるかは、美人局を行った具体的な状況などによってさまざまで、美人局だからこの犯罪であると断定することは難しいです。
専門家に自身の行った美人局の詳細を話したうえで、どの犯罪に該当し得るのかを聞くことがベストでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、逮捕された方向けの初回接見サービスから、在宅捜査を受けていたり刑事事件化がまだされていなかったりする方向けの初回無料法律相談まで幅広くサービスをご用意しています。
美人局逮捕されてしまった、美人局刑事事件となりそうとお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。

シャワー室への侵入で取調べ

2021-05-17

シャワー室への侵入で取調べ

シャワー室への侵入で取調べを受けたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府城陽市の会社Xに勤務している男性会社員のAさんは、会社にある女性用シャワー室侵入したとして、その現場を目撃した同僚に、京都府城陽警察署に通報されてしまいました。
Aさんは、京都府城陽警察署で事情を聞かれることになり、そこで自身に建造物侵入罪京都府迷惑防止条例違反の容疑がかけられているということを知りました。
自分への処分や自分がたどる刑事手続が今後どのようになるのか不安になったAさんは、京都府刑事事件に対応している弁護士の初回無料法律相談を利用して、弁護士に詳しい話を聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・シャワー室やトイレへの侵入

今回の事例のAさんは、会社内にある女性用のシャワー室に立ち入ったことで犯罪を行った疑いをかけられています。
ただ単純に男性が女性用の、あるいは女性が男性用のシャワー室やトイレなどに立ち入ったということが絶対に犯罪となるわけではありません。
しかし、事情によっては犯罪に問われる可能性のある行為であるということにも注意しなければなりません。
以下では、シャワー室やトイレへの侵入によって問われうる犯罪について確認していきます。

・建造物侵入罪

今回の事例のAさんにかけられている容疑の1つとして建造物侵入罪という犯罪があります。
建造物侵入罪は、刑法第130条前段に規定されている犯罪です。

刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

建造物侵入罪という名前から、建造物侵入罪は建物そのものに立ち入る行為を処罰する犯罪であるというイメージのある方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、建造物侵入罪では、建造物その物への侵入行為のほかにも、立ち入りが許された建造物内部において立ち入ることが禁止されている区画に立ち入る場合についても処罰することになっています。
立ち入り行為が建造物侵入罪にいう侵入に当たるかどうかは、居住者や看守者の意思に反する立ち入りであるかどうか、立ち入りによって事実上の平穏が侵害されたといえるかどうかという2つの点を考慮して判断されます。

例えば、今回の事例で問題となっているシャワー室やトイレといった場所は、普段衣服によって隠されている身体の一部または全部を露出する場所です。
そこに異性が正当な理由なく立ち入るとなれば、安心してそのシャワー室やトイレなどを利用できない状態になると考えることができます。
さらに、正当な理由なしに異性がシャワー室やトイレに入るようなことは、その建造物の看守者(管理している者)の意思にも反することになるでしょう。
こうしたことから、正当な理由なしに異性用とされているシャワー室やトイレに立ち入ることは建造物侵入罪に当たることになると考えられるのです。

ただし、建造物侵入罪の条文にも「正当な理由がないのに」とあるように、シャワー室やトイレへの立ち入りに正当な理由があれば、建造物侵入罪は成立しないということになります。
例えば、異性によるトイレへの立ち入りについては、本来使用すべきトイレがいっぱいで失禁してしまうのを回避するために止む無く立ち入った場合や、トイレに清掃目的で立ち入った場合などが考えられます。

・迷惑防止条例違反

今回の事例のAさんは、先ほど触れた建造物侵入罪だけでなく、京都府迷惑防止条例違反の疑いもかけられています。
各都道府県の迷惑防止条例では、盗撮やのぞき行為を禁止していることが多く、今回の事例のAさんは女性用シャワー室に立ち入っていたという事情から、そうした行為による迷惑防止条例違反を疑われている可能性があります。

京都府迷惑防止条例第3条
第3項 何人も、住居、宿泊の用に供する施設の客室、更衣室、便所、浴場その他人が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる他人に対し、第1項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 当該状態にある他人の姿態を撮影すること。
第2号 前号に掲げる行為をしようとして、他人の姿態に撮影機器を向けること。

例えば、Aさんが女性用シャワー室に立ち入って盗撮行為をしようとカメラなどをシャワー室を利用している人に向けていたり、その様子を盗撮していたりすれば、Aさんにはこの迷惑防止条例違反も成立することになるのです。
都道府県や行為の行われた場所によっては、のぞき行為でも迷惑防止条例違反となるケースもあります。

・軽犯罪法違反

のぞき行為については、軽犯罪法第1条第23号でも「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」を罰する規定があります。
場所などの関係上迷惑防止条例違反にはならない場合でも、立ち入り行為の目的がのぞきであり、実際にのぞき行為をしていたような場合には、軽犯罪法違反に問われる可能性も出てくることになります。

このように、シャワー室やトイレへの侵入によって成立する可能性のある犯罪は複数存在します。
侵入の目的や侵入してからした行為によっても成立する犯罪は異なりますから、シャワー室やトイレへの侵入によって刑事事件化してしまい、取調べを受けることになったら、まずは弁護士に相談し、自分が問われうる犯罪についてきちんと聞いておきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、弁護士による初回無料法律相談も受け付けています。
まずはお気軽にご相談ください。

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