Archive for the ‘暴力事件’ Category

ひったくり事件で逮捕されたら

2020-12-24

ひったくり事件で逮捕されたら

ひったくり事件逮捕されてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市下京区の商店街は、年末年始ということもあり、少し人通りが多くなっていました。
21歳のAさんは、その商店街で買い物をしていた76歳のVさんのバッグを後ろから自転車に乗ってひったくるという、いわゆるひったくり事件を起こしました。
目撃者が京都府下京警察署に通報し、京都府下京警察署の捜査の結果、Aさんはひったくりをした容疑で逮捕され、Aさんが逮捕された旨はAさんの両親に連絡されました。
Aさんの逮捕を知ったAさんの両親はどうすればいいのか分からずにいましたが、年末年始の時期に入っていたこともあり、なかなか相談できる弁護士が見つかりません。
そこでAさんの両親は、インターネット検索で出てきた、年末年始も対応している刑事事件を取り扱う弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・ひったくり

ひったくりとは、物を持って歩いている歩行者や前かごにバッグなどの荷物を入れている自転車に近づき、すれ違いざまや追い越しざまに、歩行者の持っている物や自転車の前かごに入っている荷物を奪い取って逃走する行為のことを指します。
ひったくりの手口としては、バイクや自転車などの乗り物に乗って犯行に及ぶ手口が多く、ひったくりの被害者は女性や高齢者が多いと言われています。
今回のAさんも、自転車に乗ってひったくりの犯行をしたようです。

ひったくり事件では、犯人は犯行後すぐに逃走してしまう上、犯人が自転車やバイクに乗っていることも多いことから、犯人を現行犯逮捕するというケースはそう多くないと考えられます。
犯人が何度か同じようなひったくり行為を繰り返していた場合、ひったくりの被害者・目撃者の証言や防犯カメラの映像、警察官の巡回などによって犯人が発覚し、逮捕されるというケースが度々見られます。

刑事事件として捜査される=逮捕されるというわけではありませんが、逮捕は逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがあると判断されれば行われる可能性が出てきます。
ひったくり事件の場合、犯人は犯行現場から逃げてしまっているか、あるいは犯行現場から逃げようとしていることから、捜査中にも逃亡のおそれがあると判断されて逮捕を伴う強制捜査となる可能性があるのです。

・ひったくりは何罪?

ひったくりは、一般的には「窃盗罪」として刑事罰の対象となると考えられています。
窃盗罪というとこっそり人の物を取ってしまう、というイメージがあるかもしれませんが、ひったくりも持ち主の同意を得ずに持ち主の管理下にある物を自分の物にしてしまう行為であることから、一般的には窃盗罪に当たると考えられているのです。

刑法第235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

しかし、ひったくり=必ず窃盗罪となる、というわけではありません。
過去の裁判では、自動車やバイク等を利用して走りながらひったくりを行った場合において、強盗罪にあたると判断された例も存在します。

刑法第236条第1項(強盗罪)
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

これは、ひったくりの被害者がひったくられた物を渡すまいとして被害品から手を離さない状態となっている時に、ひったくり犯の方が手を離さなければひったくりの被害者はバイクや自転車に乗ったひったくり犯にひきずられるような格好になることから、ひったくり犯が手を離さなければひったくりの被害者の生命・身体に重大な危険をもたらすおそれのある暴行を用いていると判断されたことによります。
強盗罪のいう「暴行」とは、相手方の反抗を抑圧するに足りる暴行であることが求められますが、ひったくり犯が自転車やバイクに乗ってひったくりの被害者を引きずる行為はこの「暴行」にあたり、その「暴行」を加えて財物を奪い取っているために強盗罪であると判断されたのです。

ですが、自転車やバイクを使ったひったくりが必ず強盗罪になるわけではなく、これもケースバイケースに判断されることです。
お悩みになっているひったくり事件が何罪にあたるのかによってその後の見通しや対応も異なってきますから、まずは専門家である弁護士に相談してみることが望ましいといえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門の弁護士による初回無料法律相談や初回接見サービスの受付を年末年始問わず受け付けています(お問い合わせ:0120-631-881)。
年末年始であっても、逮捕や捜査といった刑事事件の手続は進んでいきます。
まずはお気軽にお電話ください。

電子計算機損壊等業務妨害事件で逮捕

2020-12-03

電子計算機損壊等業務妨害事件で逮捕

電子計算機損壊等業務妨害事件逮捕されてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府向日市にある会社Vに勤務していましたが、会社Vに解雇されたことをきっかけに会社Vに対して恨みをもっていました。
Aさんは、会社Vになんとか痛い目を見せてやろうと考え、会社Vのサーバーにアクセスすると、会社Vが業務で使用していたシステムのデータを壊し、システムを使えないようにしました。
会社Vはシステムが破壊されたことで業務をすることができなくなり、京都府向日町警察署に被害を届け出ました。
京都府向日町警察署の捜査により、会社Xのシステムが壊されたのはAさんの犯行であることが発覚し、Aさんは電子計算機損壊等業務妨害罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、Aさんが聞きなれない犯罪名の容疑で逮捕されたことに驚き、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(※令和2年11月16日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・電子計算機損壊等業務妨害罪

多くの業務妨害事件で成立する犯罪としては、刑法にある偽計業務妨害罪」や「威力業務妨害罪が挙げられるでしょう。

刑法第233条(偽計業務妨害罪)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法第234条(威力業務妨害罪)
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

偽計業務妨害罪の「偽計」とは人を騙したり人の不知・錯誤を利用したりすることを指し、威力業務妨害罪の「威力」とは人の意思を制圧するに足りる勢力のことを指します。
これらを利用して実際に業務を妨害したり、業務を妨害する相当の危険性を生じさせた場合、それぞれ偽計業務妨害罪や威力業務妨害罪が成立することになります。
例えば、商業施設に爆破予告をして業務妨害したような場合には、爆破予告によって人の意思を制圧していると考えられるため、威力業務妨害罪にあたると考えられます。

業務妨害事件が起こった際、この2つの業務妨害罪が成立することが多いのですが、刑法にはもう1つの業務妨害罪が定められています。
それが、今回のAさんの逮捕容疑である、電子計算機損壊等業務妨害罪です。
電子計算機損壊等業務妨害罪は、刑法の以下の条文に定められています。

刑法第234条の2(電子計算機損壊等業務妨害罪)
第1項 人の業務に使用する電子計算機若しくはその用に供する電磁的記録を損壊し、若しくは人の業務に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与え、又はその他の方法により、電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、又は使用目的に反する動作をさせて、人の業務を妨害した者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
第2項 前項の罪の未遂は、罰する。

電子計算機損壊等業務妨害罪は、業務妨害の手段として「人の業務に使用する電子計算機若しくはその用に供する電磁的記録を損壊」すること、「人の業務に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与え、又はその他の方法により、電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、又は使用目的に反する動作をさせ」ることを用いることで成立する犯罪です。
難しいように思えますが、要は業務に使用されている電子計算機=コンピュータやそのシステム・データを壊したり、コンピュータやそのシステム・データに対して嘘の情報や指令を与えることでコンピュータ等を作動させなかったり誤作動させたりすることを手段として業務を妨害したり妨害の危険性を発生させたりすることによって電子計算機損壊等業務妨害罪となるということです。
偽計業務妨害罪や威力業務妨害罪とは異なり、電子計算機損壊等妨害罪には未遂罪の規定があることにも注意が必要です。

今回のAさんの事例では、Aさんは会社Vが業務に使用しているシステムを破壊してその業務ができないようにしています。
これは、「人の業務に使用する電子計算機若しくはその用に供する電磁的記録を損壊」して「人の業務を妨害」していることになりますから、Aさんには電子計算機損壊等業務妨害罪が成立すると考えられるのです。

電子計算機損壊等業務妨害事件では、コンピュータやシステムにアクセスする際に不正な手段が取られることもあり、そうなれば電子計算機損壊等業務妨害罪に加えてさらに不正アクセス禁止法違反など他の犯罪も成立する可能性があります。
複数の犯罪が成立しても柔軟に対応していけるよう、まずは刑事事件に強い弁護士に相談してみることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門の弁護士が初回無料法律相談から初回接見サービスまで、ご相談者様の状況に合ったサービスをご提供しています。
まずはお気軽にお問い合わせ用フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

少年事件と試験観察

2020-11-26

少年事件と試験観察

少年事件試験観察について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市東山区に住んでいるAさん(高校1年生)は、近所の高校に通うVさんと喧嘩になり、Vさんに対して全治1ヶ月程度の大けがを負わせてしまいました。
Aさんは、喧嘩を目撃していた通行人の通報で駆け付けた京都府東山警察署の警察官に傷害罪の容疑で逮捕され、京都府東山警察署に留置されることとなりました。
実はAさんは、中学生の時にも喧嘩による傷害事件を起こしており、保護観察処分となったことがありました。
またしても同じ傷害事件を起こしてしまったことから今回は少年院送致となるかもしれないと警察官から聞いたAさんの両親は、どうにかAさんを社会内で更生させることはできないかと考え、京都府少年事件を取扱っている弁護士に相談することにしました。
そこでAさんの両親は、少年事件試験観察について弁護士から詳しい説明を聞きました。
(※この事例はフィクションです。)

・少年事件の終局処分

少年事件では、成人の刑事事件と異なる手続きや処分が取られます。
未成年の者は可塑性、すなわち柔軟性が高く、矯正教育などをすることで更生できる可能性が高いとされているため、少年事件では少年の更生を重視した手続・処分が取られることとなっているのです。

少年事件では、捜査機関が捜査を終了した後は事件は原則として全て家庭裁判所に送られます(全件送致主義)。
これは、少年の更生のためには専門的な立場から少年自身の資質や少年のいる環境について調査することが求められるため、少年事件の専門家がいる家庭裁判所に調査や判断を委ねようというシステムなのです。

少年事件では、基本的にはこの家庭裁判所での調査を経た上で家庭裁判所で開かれる審判を受けることになります。
審判の結果下される処分は、成人の刑事事件で処される刑罰とは異なり、その犯行・非行をしたことへの「罰」というわけではなく、あくまで少年の更生のための処分(保護処分)という扱いです。
例えば、少年院や児童自立支援施設などの施設に送致して今までいた環境から離れて更生を目指す処分(少年院送致・児童自立支援施設送致)や、保護司や保護観察所と定期的に連絡を取りながら社会内で更生を目指す処分(保護観察処分)があります。

少年院送致というと成人の刑事事件でいう刑務所に行くようなものだとイメージされがちですが、前述のようにあくまで保護処分は更生のための処分であるため、刑務所とは性質が異なります。
少年院の中では、生活習慣の矯正や学校で行われるような教育、就業指導・支援など、少年の社会復帰のための活動が行われています。

・試験観察とは?

しかし、少年院送致が少年のための処分であったとしても、少年院に入っている間は社会から切り離されて生活することになります。
一度社会から全く離れてしまうと、少年院から出てきてもなかなかスムーズに社会復帰できないという悩みを抱える方がいることも事実です。
そういったことを避けたいと、少年院送致を回避したい、社会内で更生を目指したいと考える方も少なくありません。

こうした場合に取られる手段の1つとして、試験観察を目指すという活動が挙げられます。
試験観察とは、文字通り、試験的に観察する期間を設ける処分を指します。
試験観察は、審判の場で少年の処分をどういったものにするのかすぐに決められない場合に取られます。
試験観察となった場合、決められた期間を家庭裁判所の観察のもと過ごし、その期間中の少年の生活態度や様子などによって最終的な処分が決められることになります。
この試験観察期間は、少年の自宅で過ごす場合もあれば、民間の協力者や専門施設に指導を委ねてその指定された場所で過ごす場合(補導委託)もあります。

今回のAさんの事例を見てみましょう。
Aさんは以前にも同じような傷害事件を起こして家庭裁判所から保護処分を受けているようです。
すでに社会内でやり直す機会をもらっていたのにまた同じことを繰り返してしまったことから、更生のためには今までの環境と切り離して生活することが必要と判断され、少年院送致となる可能性もあると考えられます。
こうしたことから、少年院送致を避けたいと考えるのであれば、前回よりもより具体的な手段で社会内での更生が可能であることやそのためにAさん本人やその周囲の家族が具体的に行動し続けられることを示していく必要があると考えられます。
ですから、弁護士と共にAさんやその家族で更生のための環境づくりを行うと共に、その成果を家庭裁判所に見て判断をしてもらえるよう試験観察を目指していく活動が有効であると考えられるのです。

ただし、試験観察はあくまでその期間中試験的に少年やその周囲を観察し、その様子によって最終的な処分を決めるものです。
試験観察を目指すことを最終目的としてしまうのではなく、さらにその先も見据えながら、更生できる環境を整えることが重要です。
そのためには、少年事件の専門知識がある弁護士のサポートを受けることが効果的です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、成人の刑事事件だけでなく少年事件の取り扱いも行っております。
京都府の少年事件にお困りの際は、お気軽にご相談ください。

商品の袋を破って器物損壊事件

2020-11-19

商品の袋を破って器物損壊事件

商品の袋を破って器物損壊事件になった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、「X」という漫画作品のグッズを入手しようと京都府京丹後市にある量販店に行きました。
しかし、Aさんの購入しようとしていた「X」のグッズは、中身がランダムに入っているタイプのグッズであり、Aさんがほしいキャラクターのグッズかどうかは購入して開封してみないと分からないようになっていました。
Aさんは、「欲しいのは特定のキャラクターのグッズだけなのだから確認してから購入したい」と考え、商品の袋をこっそり破って中身を確認し、自分の欲しいキャラクターのものだけを購入しました。
後日、商品の袋が破れていることに量販店の店員が発見して京都府京丹後警察署に通報し、被害届を提出しました。
防犯カメラの映像などからAさんの犯行であることが発覚し、Aさんは器物損壊罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんが逮捕されたことを知ったAさんの家族は、今後の手続やAさんの処遇を心配し、刑事事件を取り扱っている弁護士に相談してみることにしました。
(※令和2年11月16日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・器物損壊罪とは

器物損壊罪は、刑法の以下の条文に定められている犯罪です。

刑法第261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
※注:「前三条」とは、刑法第258条の公用文書等毀棄罪、刑法第259条の私用文書等毀棄罪、刑法第建造物等損壊及び同致死傷罪のことを指します。

器物損壊罪は「他人の物」を「損壊」した場合に成立する犯罪ですが、単純に「物を壊したら器物損壊罪になる」と認識している方も多いのではないでしょうか。
概ねその認識は間違っていませんが、器物損壊罪の成立要件を詳しく確認しておきましょう。

器物損壊罪の対象となっているのは、刑法第258条の公用文書等毀棄罪、刑法第259条の私用文書等毀棄罪、刑法第建造物等損壊及び同致死傷罪の対象となっているもの以外の他人の物です。
例えば今回のAさんの事例にあるお店の商品は、公文書でも私用文書でも建造物でもありませんから、器物損壊罪のいう「他人の物」となります。

そして、器物損壊罪の「損壊」とは、ただ物理的に破壊することだけを指しているわけではありません。
この「損壊」という言葉には、その物の効用を害する行為、すなわちその物としての価値を落とす行為やその物して使えなくなる行為が広く含まれるとされています。
例えばお皿を割ってしまえばそのお皿は使えなくなるわけですから、当然器物損壊罪の「損壊」に当たります。
対して、お皿に放尿したような場合は、お皿自体は壊れていません。
しかし、誰かに放尿されたお皿を使おうという人はいないでしょうから、お皿としての効用を害しているということになり、こうした場合にも器物損壊罪の「損壊」になりうるということになるのです。

今回のAさんの事例では、Aさんはお店の売り物である商品の袋を破いています。
商品の袋を破いてしまえば、その商品はもう売り物にならないわけですから、その物の効用を害する行為=器物損壊罪の「損壊」行為に当たると考えられるのです。
そのため、今回のAさんの行為は器物損壊罪に当たると考えられるのです。

・器物損壊事件の弁護活動

器物損壊罪は、刑法第264条で親告罪と定められています。
親告罪とは、被害者などの告訴権者の告訴がなければ起訴できない犯罪です。
告訴とは、犯罪被害の申告と合わせて犯人の処罰を求める意思を示すことです。
対して、被害届(の提出)とは、犯罪被害に遭ったことを申告するだけのことを指します。
器物損壊罪は親告罪であるため、起訴するには告訴が必要となりますが、捜査をするだけであれば告訴は不要です。
ですから、器物損壊事件では、今回のAさんの事例のように被害届が出た時点で捜査が開始されるというケースも多いのです。

こうした場合、まずは被害を受けた人や店舗と示談交渉を行い、示談締結を目指す弁護活動が効果的です。
というのも、先ほど触れたように器物損壊罪は起訴に告訴が必要な親告罪ですから、示談によって告訴の取下げや告訴を出さないことを約束してもらうことができれば、起訴されることもなくなるのです。
ただし、起訴を防ぐのであれば起訴される前に迅速に示談交渉に取り組み示談締結を目指すことが必要となりますから、器物損壊事件の被疑者として逮捕されてしまったら、すぐに弁護士に相談・依頼することが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、器物損壊事件を含む刑事事件のご相談・ご依頼を受け付けています。
刑事事件専門の弁護士が初回無料法律相談や初回接見サービスをご用意してお待ちしています。
まずはお問い合わせ用フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

暴行事件の逮捕から前科を回避

2020-10-15

暴行事件の逮捕から前科を回避

暴行事件逮捕から前科を回避したいというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都市北区で飲酒した帰り道、京都市北区内にある駅のホームで眠り込んでしまいました。
駅員がAさんを起こしたところ、Aさんは酔っぱらっていたこともあって駅員に怒り、駅員につかみかかるなどしてしまいました。
その様子を目撃していた人が京都府北警察署に通報し、警察官が駆け付けました。
Aさんは暴行罪の容疑で逮捕されてしまい、Aさんの妻がその連絡を受けました。
慌てたAさんの妻は、京都市刑事事件に強い弁護士にAさんとの接見を依頼。
弁護士と接見したAさんは、逮捕されてしまっても前科を回避できるのか、弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・暴行事件で逮捕

ご存知の方も多いとおり、人に暴力をふるってしまえば暴行罪になります。
さらに、その暴行によって相手が怪我をしてしまえば傷害罪が成立します。

刑法第204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法第208条(暴行罪)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

人に暴力をふるってしまった場合に暴行罪と傷害罪どちらが成立するかということは、相手が怪我をしているかどうかによって分かれます。
そのため、最初は暴行罪の容疑で逮捕されたり捜査されたりしていても、後々捜査が進んで被害者の怪我が発覚するなどして被疑罪名が暴行罪から傷害罪に切り替わる可能性もあります。

暴行事件逮捕されるというと大げさに感じる方もいるかもしれませんが、「暴行」と一口にいっても態様や事件の起こった状況によっては逮捕されることも十分考えられます。
現行犯であったり逃亡していたり暴れていたりするような場合などにはちょっとした喧嘩から発展したような暴行事件でも逮捕されてしまう可能性があります。

・逮捕されても前科は回避できる?

逮捕という言葉から、逮捕されてしまったらそのまま裁判を受けて刑罰を受けることになる、というイメージを思い浮かべられる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、逮捕されたからといって必ずしも裁判になったり刑罰を受けたりするとは限りません。

そもそも、逮捕は犯罪をしたと相当程度合理的に疑われる人がされるものであり、逃亡や証拠隠滅を防ぎ捜査をするために行われるものです。
ですから、逮捕は刑罰ではなく、逮捕されたからといってその人が有罪と決まるわけではありません。
そして、起訴するか不起訴するかは逮捕後の捜査で分かった内容を基に検察官が決め、さらに起訴されればその後の裁判で有罪・無罪や刑罰の重さが争われることになります。
すなわち、逮捕されても不起訴となって刑罰を受けないこともありえるのです。

法律上、「前科」という言葉の定義は決められていませんが、一般的には有罪判決を受けて刑罰を受けたことを指します。
有罪判決は起訴されなければ受けることはありません。
ですから、不起訴を獲得できればそもそも前科がつくということはなくなるのです。
つまり、逮捕されても不起訴を獲得することができれば前科を回避できるということになります。

では、逮捕されても安心して何もせずにいていいかというとそうではありません。
逮捕などの身体拘束を伴う刑事事件では、手続を進める上で厳しい時間制限がつきます。
逮捕から勾留請求されるまでは最大3日間、勾留は延長を含めて最大20日間ありますが、身体拘束されながら刑事事件が進んでいく場合、この最大23日間の中で起訴・不起訴の判断が決まってしまうのです。
この期間中に、例えば示談交渉や被害弁償を行ったり、再犯防止策を立てて実行に移したり、本人の反省を表したりすること、さらにその事実を証拠化して主張することで、不起訴の獲得に向けて前進することができます。

刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、暴行事件の弁護活動についてもご相談・ご依頼を承っています。
前科を回避したいとお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせ用フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

子どもが強盗未遂事件で逮捕されたら

2020-08-20

子どもが強盗未遂事件で逮捕されたら

子どもが強盗未遂事件逮捕されてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

17歳の高校生Aさんは、小遣い欲しさに高齢者から金品を奪い取ることを思いつきました。
Aさんは、京都府亀岡市にある商業施設で買い物をしていた80歳の女性Vさんの鞄を奪い取ろうとしました。
しかし、Aさんの予想よりもVさんが抵抗したためAさんは鞄を奪い取ることができず、そうしているうちにVさんの声を聞いて人が集まってきたため、Aさんはその場から逃げ出しました。
その後、通報を受けて捜査を開始した京都府亀岡警察署の警察官により、Aさんは強盗未遂罪逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、子どもが強盗未遂事件を起こして逮捕されたと聞いてどうしてよいか分からなくなり、少年事件に強い弁護士に相談することにしました。
(※令和2年8月10日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・強盗未遂罪

強盗罪というと、凶器などを手に家や店舗に押し入って金品を脅し取るような、いわゆる押し入り強盗がイメージされやすいです。
しかし、今回のAさんのケースのように、凶器を用いないケースや、家や店舗に押し入らないケースでも強盗罪は成立する可能性があります。
刑法の条文では、強盗罪は以下の条件に当てはまる場合に成立するとされています。

刑法第236条
第1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
第2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

金品を奪い取るような強盗事件の場合、刑法第236条第1項に該当する強盗罪が成立することになり、多くの強盗事件でこの条文に当てはまる強盗罪が成立することになります。

強盗罪が成立するには、他人の財物を奪う手段として暴行や脅迫を用いている必要があります。
この時用いられる暴行や脅迫は、相手の反抗を抑圧する程度の強さが必要とされています。
つまり、相手が反抗できないほどの強さで暴行や脅迫をして金品を奪うことで強盗罪が成立するということになります。
ですから、たとえ凶器を使用していなかったとしても、例えば相手の手足を押さえつけるなどして相手の反抗を押さえつけて金品を奪えば強盗罪となるのです。
そして、注意しなければいけないのは、例えば最初はひったくりや置き引きのような形で相手の財物を奪おうと考えていたとしても、被害者が抵抗したことに対抗してその抵抗を押さえつけて財物を奪い取れば、強盗罪が成立してしまうということです。
今回のAさんはどのような態様でVさんの鞄を奪い取ろうとしたのかは定かではありませんが、Vさんの抵抗を押さえつけるような形で脅迫や暴行を用いていたのであれば、強盗罪強盗未遂罪の成立が考えられます。

また、今回のAさんは、強盗罪の実行に着手しているものの、結果としてVさんの鞄=財物を奪い取るまでには至っていません。
ですから、Aさんには強盗未遂罪(刑法第243条)が成立すると考えられるのです。

・子どもが強盗未遂事件で逮捕されてしまったら

Aさんは20歳未満であることから、この強盗未遂事件少年事件として扱われることになります。
少年事件では、基本的に刑罰を受けることはありません。
少年の更生のための「保護処分」という処分を受けることが基本的な少年事件の終局処分です。
しかし、少年が少年事件を起こしてしまった環境などによっては、保護処分ではなく刑罰を受けさせる刑事手続きに移す、いわゆる「逆送」が行われることも考えられます。
「逆送」された少年事件は、成人の刑事事件のように起訴か不起訴か判断され、起訴されれば有罪・無罪を裁判で決められることになります。
有罪となれば刑罰を受けることになり、刑務所に行くことも考えられます。

「逆送」されずに少年事件の手続きによって処理されることとなったとしても、強盗未遂罪のような重大な犯罪を起こしてしまった場合、現在の環境に大きな問題があると判断され、その環境から切り離して更生を目指すことが適切=少年院送致などの施設送致という処分が下されることも考えられます。
当然、少年院送致も少年の更生を目指す「保護処分」であることから、少年のためにならない処分というわけではありません。
しかし、少年院に入ってしまえば、その期間社会から遠ざかってしまうことも否定できません。
スムーズな社会復帰のためにも、少年院送致を避けたいと考えるご家族も少なくありません。

このように、強盗事件強盗未遂事件は「逆送」の有無にかかわらず少年やその家族にとって大きな影響を及ぼす処分が下されることが考えられます。
だからこそ、強盗事件強盗未遂事件で子どもが逮捕されてしまったら、早期にできる弁護活動・付添人活動を始めることが求められるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件少年事件専門の弁護士が、逮捕直後から少年審判や刑事裁判までフルサポートを行います。
強盗事件強盗未遂事件子どもが逮捕されてしまったら、お気軽にご相談ください。

放火罪と器物損壊罪

2020-06-11

放火罪と器物損壊罪

放火罪器物損壊罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市中京区の会社に勤めるAさんは、同寮のVさんを恨んでいました。
ある日、AさんはどうしてもVさんへの恨みを抑えることができなくなり、会社の駐車場に停めてあったVさんの自動車のタイヤ付近に火をつけました。
しかし、火がつけられてすぐに駐車場を警備していた警備員が火に気付き消し止めたため、火は燃え上がることなく、Vさんの自動車のタイヤを焦がした程度でした。
その後、Vさんからの被害届を受けて捜査をしていた京都府中京警察署がAさんの犯行であることを突き止め、Aさんは器物損壊罪の容疑で逮捕されました。
「Aさんが火をつけて逮捕された」と聞いたAさんの家族は、Aさんが容疑をかけられている罪名が放火罪ではなく器物損壊罪であることを不思議に思い、今後の手続きなども含めて弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・放火と器物損壊罪

前回の記事では、建造物等以外放火罪について取り上げました。
今回の記事では、建造物等以外放火罪に当てはまらなかった場合について、Aさんの事例と照らし合わせながら検討をしていきます。

前回の記事で触れた通り、建造物等以外放火罪の成立には、放火・焼損だけでなく、「公共の利益」の発生が求められます。
「公共の利益」は、「放火行為によって一般不特定の多数人をして、所定の目的物に延焼しその生命、身体、財産に対し危害を感じせしめるにつき相当の理由がある状態」を指すとされています(大判明治44.4.24)。
ですから、例えば周囲に延焼する危険性が一切ない広い空き地の中心で何かを燃やした、というような場合には、この「公共の危険」の発生がないと考えられ、建造物等以外放火罪は成立しないということも考えられるのです。

今回のAさんの事例を考えると、Aさんは駐車場でVさんの自動車に火をつけています。
火をつけた対象だけ考えれば、Aさんには建造物等以外放火罪が成立しそうですが、Aさんには建造物等以外放火罪の容疑はかかっていないようです。
事例からは明らかではありませんが、Aさんのつけた火が「焼損」の域まで達していなかった可能性や、Vさんの車周辺に他の車や建物がなく延焼の危険性がなかった=「公共の危険」が発生していると判断されなかった可能性が考えられます。
そうした事情があれば、Aさんには建造物等以外放火罪が成立しないということになりそうです。

そうした時に成立が考えられるのは、今回のAさんの逮捕容疑でもある器物損壊罪です。

刑法第261条(器物損壊等罪)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪の「損壊」とは、その物の効用を失わせしめる行為を広く含んでいるとされています。
「焼損」や「公共の危険」の発生までいかずとも、火をつけていることから、その火をつけられたものは「損壊」されている可能性が高いでしょう。
今回のAさんの事例についても、Vさんの自動車のタイヤは焦げてしまっていますから、そのままでは使えない状態になってしまっていると考えられます。
ですから、Vさんの自動車は「損壊」されていると考えられ、Aさんには器物損壊罪が成立すると考えられるのです。

器物損壊罪の場合、放火罪とは異なり親告罪という犯罪になります。
親告罪は、被害者等の告訴権者の告訴がなければ起訴することのできない犯罪です。
つまり、示談締結によって告訴を提出しない旨や取り下げる旨を約束してもらえることができれば、不起訴処分の獲得が可能となるのです。

しかし、今回のように被疑者本人が逮捕されてしまっていれば、自分で被害者へ謝罪することはもちろんできません。
そうでなかったとしても、捜査機関としては被疑者と被害者が接触することをよしとしないことが多いです。
だからこそ、プロである弁護士に相談・依頼し、迅速に示談交渉を含めた活動を開始してもらうことが重要となるのです。
弁護士が介入したからといって必ずしも示談交渉の席についてもらえるというわけではありませんが、専門家であり弁護士という立場の第三者が間に入ることで、安心して話し合いができると示談交渉の機会を設けてくださる被害者も少なくありません。
まずは弁護士に相談してみることをおすすめいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、放火事件器物損壊事件のような刑事事件少年事件を専門に取り扱っています。
京都府刑事事件少年事件にお困りの際は、お気軽にご連絡ください。

放火罪の種類~建造物等以外放火罪

2020-06-04

放火罪の種類~建造物等以外放火罪

放火罪の種類のうち、特に建造物等以外放火罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市中京区の会社に勤めるAさんは、同寮のVさんを恨んでいました。
ある日、AさんはどうしてもVさんへの恨みを抑えることができなくなり、会社の駐車場に停めてあったVさんの自動車のタイヤ付近に火をつけました。
しかし、火がつけられてすぐに駐車場を警備していた警備員が火に気付き消し止めたため、火は燃え上がることなく、Vさんの自動車のタイヤを焦がした程度でした。
その後、Vさんからの被害届を受けて捜査をしていた京都府中京警察署がAさんの犯行であることを突き止め、Aさんは器物損壊罪の容疑で逮捕されました。
「Aさんが火をつけて逮捕された」と聞いたAさんの家族は、Aさんが容疑をかけられている罪名が放火罪ではなく器物損壊罪であることを不思議に思い、今後の手続きなども含めて弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・色々な「放火罪」~「建造物等以外」への放火

前回の記事では、「建造物等」への放火罪について取りあげましたが、今回の記事では「建造物等」以外への放火罪を紹介します。
「建造物等」以外=「建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑」以外のものに対しての放火罪は、刑法第110条に規定されている建造物等以外放火罪です。

刑法第110条(建造物等以外放火罪)
第1項 放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
第2項 前項の物が自己の所有に係るときは、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

建造物等以外放火罪の対象となるのは、刑法第108条・第109条のいう「建造物等」=「建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑」以外のものですから、今回のAさんがターゲットとした自動車なども含まれます。
では、この建造物等以外放火罪が前回の記事で紹介した放火罪と異なる点は対象とするもの以外にあるのでしょうか。

建造物等以外放火罪も、現住建造物等放火罪非現住建造物等放火罪と同様、火をつけるだけで成立するものではありません。
条文を見れば分かる通り、建造物等以外放火罪の成立にも、放火して「焼損」することが必要とされています。
この「焼損」の意味は、他の放火罪同様、火が媒介物を離れて目的物に移り、独立して燃焼作用を継続しうる状態に達した時点であるとされています(最判昭和23.11.2)。

しかし、建造物等以外放火罪の成立要件は、これだけではありません。
放火し、焼損したことに加え、それによって「公共の危険を生じさせた」必要があるのです。
これは現住建造物等放火罪非現住建造物等放火罪にはない、建造物等以外放火罪独特の条件です。

公共の危険」の発生とは、「放火行為によって一般不特定の多数人をして、所定の目的物に延焼しその生命、身体、財産に対し危害を感じせしめるにつき相当の理由がある状態」を指すとされています(大判明治44.4.24)。
つまり、たとえ「建造物等以外」のものに放火し、それが焼損したとしても、「公共の危険」が発生していないような場合には、建造物等以外放火罪は成立しないということになるのです。

では、建造物等以外放火罪が成立しないということになれば、何罪が成立することになるのでしょう。
次回の記事でAさんの事例と照らし合わせながら検討していきます。

刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、建造物等以外放火罪についてのご相談も安心してお任せいただけます。
「放火」という単語は知っていても、その種類や区別の仕方が分からず、どういった刑罰が見込まれるのか等悩まれる方も少なくないでしょう。
専門家の弁護士であれば、刑事事件の見通しや手続の注意点、適切な活動についてアドバイスをすることが可能です。
まずはご相談だけでも、お気軽にご利用ください。

放火罪の種類~2つの建造物等放火罪

2020-05-28

放火罪の種類~2つの建造物等放火罪

放火罪の種類のうち、特に2つの建造物等放火罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市中京区の会社に勤めるAさんは、同寮のVさんを恨んでいました。
ある日、AさんはどうしてもVさんへの恨みを抑えることができなくなり、会社の駐車場に停めてあったVさんの自動車のタイヤ付近に火をつけました。
しかし、火がつけられてすぐに駐車場を警備していた警備員が火に気付き消し止めたため、火は燃え上がることなく、Vさんの自動車のタイヤを焦がした程度でした。
その後、Vさんからの被害届を受けて捜査をしていた京都府中京警察署がAさんの犯行であることを突き止め、Aさんは器物損壊罪の容疑で逮捕されました。
「Aさんが火をつけて逮捕された」と聞いたAさんの家族は、Aさんが容疑をかけられている罪名が放火罪ではなく器物損壊罪であることを不思議に思い、今後の手続きなども含めて弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

多くの方のイメージでは、「火をつけたら放火罪が成立する」という印象が強いのではないでしょうか。
しかし、放火罪とひと口にいっても、実は放火罪の中にも種類がある上、さらにただ「火をつけた」ということだけで放火罪が成立するわけではありません。
今回から複数回に分けて、放火罪とAさんの逮捕容疑でもある器物損壊罪について見ていきます。

・色々な「放火罪」~「建造物等」への放火

刑法には、単純な「放火罪」という犯罪は存在しません。
放火され、焼損した対象がどういったものだったかによって、どういった「放火罪」となるのか種類が分かれるのです。
刑法に定められている放火罪は、現住建造物等放火罪非現住建造物等放火罪・建造物等以外放火罪です。

刑法第108条(現住建造物等放火罪)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

刑法第109条(非現住建造物等放火罪)
第1項 放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、2年以上の有期懲役に処する。
第2項 前項の物が自己の所有に係るときは、6月以上7年以下の懲役に処する。
ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。

刑法第110条(建造物等以外放火罪)
第1項 放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
第2項 前項の物が自己の所有に係るときは、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

刑法第108条・第109条に定められている放火罪は、どちらも「建造物等」に対して放火し、焼損した場合に成立する放火罪です。
この2つの放火罪は、放火・焼損した「建造物等」に放火時に人がいたか若しくは住居として使用されていた場合(=現住建造物等放火罪)か、放火・焼損した「建造物等」に放火時に人がいない上に住居としても使用されていなかった場合(=非現住建造物等放火罪)かで分かれます。
例えば、マンションに放火し焼損した場合、マンションは人の住居として使用されている建造物ですから、現住建造物等放火罪となります。
一方、閉店後で誰もいない飲食店に放火し焼損した場合、飲食店は住居として使用されていない上に誰もいない状態であることから、非現住建造物等放火罪の成立が考えられるということになります。

そして、この「建造物等」への放火罪は、どちらも建造物等に火をつけるだけで成立するものではありません。
これらの放火罪が成立するには、放火して「焼損」することが必要とされています。
「焼損」とは、火が媒介物を離れて目的物に移り、独立して燃焼作用を継続しうる状態に達した時点であるとされています(最判昭和23.11.2)。
つまり、家を燃やそうとして火をつけたとしても、火が家に燃え移って独立して燃え続ける程度にならなければ放火罪の成立には満たないということになるのです(その場合、放火未遂罪の成立や、態様によっては別罪の成立も考えられます。)。

「建造物等」への放火罪は、放火罪の中でも重い刑罰が定められており、特に現住建造物等放火罪は死刑も含まれている重大犯罪です。
だからこそ、もしも自身や家族が当事者となってしまったら、刑事事件に強い弁護士のサポートを受けることをおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門弁護士が、重大犯罪の弁護活動についてのご相談・ご依頼も承っています。
まずはお気軽にご相談ください。

次回の記事では、建造物等以外放火罪について取りあげます。

暴行事件で勾留回避

2020-04-27

暴行事件で勾留回避

暴行事件での勾留回避活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府南丹市にある会社で経営者として働くAさんは、ある日の夜、酒に酔って暴行事件を起こしてしまいました。
その場で京都府南丹警察署に通報され、暴行事件の被疑者として現行犯逮捕されてしまったAさんでしたが、ひどく酒に酔っていたため、暴行事件を起こした当時のことを一切覚えてしませんでした。
逮捕後の取調べでも、事件当時のことを聞かれても記憶にないAさんに対し、警察官は「何も覚えていないのならこのまま勾留することになるかもしれない」と言いました。
しかし、Aさんは会社経営者として、連日多くの取引や商談を抱えており、逮捕・勾留によって身体拘束が続けば会社にダメージが出てしまうことになります。
Aさんの逮捕を知ったAさんの妻は、どうにかAさんを早期に釈放できないかと、弁護士を探しましたが、夜中であることもあって連絡がつく弁護士事務所がなかなかありません。
(※この事例はフィクションです。)

~勾留~

勾留とは、被疑者または被告人を刑事施設に拘禁することをいいます。
刑罰としての「拘留」と読み方が同じであるため、混同されがちですが、この勾留は刑罰ではなく、勾留をすることで被疑者・被告人の逃亡または罪証隠滅を防ぐのです。

勾留は、逮捕に引き続く身体拘束であり、逮捕されてから最大72時間以内に勾留がなされるかどうかが決まります。
逮捕された被疑者は、逮捕されたときから48時間以内に検察官のもとへと送られます。
これを「送検」といい、ニュースなどでも使われるワードです。
送検された被疑者は、検察官の取調べを経て、送検から24時間以内に勾留請求をされるかどうか決められます。
検察官が勾留の必要があると判断した場合には、裁判所に対して勾留請求がなされ、請求が認められれば最大10日間、延長されればさらに最大10日間、合計最大20日間の勾留となります。

勾留されてしまうと、家族はもちろんのこと、被疑者が普段働いている会社にも被害が及びます。
具体的には、勾留によって長期に家を空けることで逮捕・勾留の事実が外部に知られてしまったり、家事が回らなくなってしまったり、会社を欠勤してしまったりすることが挙げられます。
先述したように、勾留は延長を含めれば最大で20日間にも及びます。
1か月弱も外に出られず連絡もできない事態になってしまうわけですから、どうにか勾留を避けたいと考える方は多いでしょう。

~勾留回避の弁護活動~

勾留を回避する手段の1つとして、弁護士が検察官へ勾留請求をしないように求め、交渉することが挙げられます。
罪証の隠滅が不可能であることや家族の監督により逃亡が行えないことを理由に、勾留の必要がないことを訴えることが考えられるでしょう。
また、勾留により働いている会社に迷惑がかかることや失業により家族を養えなくなること等の事情についても訴え、勾留請求をしないよう求めることも考えられます。
それでも勾留請求がなされた場合には、勾留請求先の裁判官に対して勾留請求を認めないように求めることになります。

これらの勾留回避活動をしても、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれが認められれば、容疑者は勾留されることとなります。
しかし、勾留が決まったとしても勾留に対して準抗告という、不服申し立てを行うことができます。
釈放を求める場合には、ここで再度、勾留要件を充たさないことを説明していくことになります。

以上のような方法で、弁護士は勾留を避けたり、勾留を短くしたりすることを求めていくことができます。
ですが、これらの活動を充実して行うためには、早期の弁護士への相談・依頼が重要です。
今まで見てきたように、逮捕から勾留が決定されるまでは短い時間の間に行われることから、釈放を求める機会を全て生かすには、逮捕からなるべく早い段階で弁護士が活動を始める必要があるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、24時間いつでも弊所弁護士によるサービスの予約・申し込み受付を行っています。
夜中に起きた刑事事件や逮捕でも、すぐに弁護士のサービスを予約・申し込みできるため、活動を素早く開始することにつながります。
まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。

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