Archive for the ‘暴力事件’ Category

【解決事例】暴行事件で不起訴処分獲得 就活への影響を抑える

2022-05-14

【解決事例】暴行事件で不起訴処分獲得 就活への影響を抑える

~事例~

大学生のAさんは、京都府綾部市の路上で自動車を運転している際、前方に停まっていた自動車が邪魔だと感じました。
そこから、前方に停まっていた自動車を誘導していたVさんとトラブルになり、Vさんを押してしまいました。
トラブルを目撃していた人が京都府綾部警察署に通報し、Aさんは暴行罪の容疑で逮捕されてしまいました。
その後、Aさんは釈放されましたが、暴行事件の被疑者として引き続き捜査されることとなりました。
Aさんとそのご家族は、今後の手続や処分を不安に思い、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部に相談にいらっしゃいました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

~弁護活動と結果~

Aさんは、大学4回生で、暴行事件が起きたのは就活中の期間でした。
Aさんと親御様は、暴行事件が起訴されて経緯裁判になってしまったり、Aさんに前科が付いたりしてしまえば、就活に悪影響が出てしまうのではないかと心配されていました。
そこで、起訴や前科を避けるために、弁護士不起訴処分を求める弁護活動を開始することになりました。

弁護士は、捜査機関を通じて暴行事件の被害者であるVさんと連絡を取ると、謝罪と弁償を含めた示談交渉を行いました。
Aさんは、暴行事件について反省しており、Vさんやトラブルに巻き込んでしまった周囲の方に対して謝罪文を作成しました。
そして、弁護士を通じてその謝罪文をVさんへと送り、お詫びの気持ちをお伝えしました。
その結果、Vさんからはお許しのお言葉をいただくことができ、示談も成立しました。

弁護士は、示談締結の事情に加え、Aさんが深く反省していることや、Aさんのご家族の協力もあることなどを検察官に伝え、不起訴処分を求めました。
結果として、Aさんは不起訴処分となることができました。

不起訴処分となったことで、Aさんは刑事裁判を受けることもなく、前科が付くこともなく事件を終えることができ、就活への影響を最小限に抑えることができました。

起訴され刑事裁判となれば、誰でも傍聴ができる公開の法廷に立つこととなりますから、自分が刑事事件を起こしてしまったということが露見してしまう可能性があります。
また、罰金であっても有罪となり刑罰を受ければ前科となってしまいますから、賞罰欄などに書かなければならなくなってしまいます。
こうした刑事裁判を受けることや前科が付くことは、Aさんのような就活をしている方からすると避けたいことでしょう。

起訴や前科を避けるためには、不起訴処分の獲得を目指すことが先決です。
検察官の判断が下される前に活動を開始し、かつ不起訴処分を求めることが必要ですから、早期に弁護士に相談・依頼することが重要と言えるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、就活中であるなどのご相談者様ごとの事情に合わせてアドバイスや活動を行います。
京都府刑事事件にお悩みの際は、お気軽にご相談下さい。

【解決事例】触法少年の傷害事件で施設送致を回避

2022-05-07

【解決事例】触法少年の傷害事件で施設送致を回避

事件

京都市中京区に住む中学生のAくん(13歳)は友達らといる際、Vさんとトラブルになり、Vさんを友達と一緒に殴るなどして暴行を加えました。
Vさんは殴られたことにより、全治一か月の怪我を負いました。
Aくんは傷害事件を起こしたとして京都府中京警察署の警察官によって発見され、児童相談所に通告されてしまいました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

事件解決までの流れ

Aくんは、児童相談所に保護された後に家庭裁判所に送られ、観護措置がとられている状態でした。
Aくんのご家族はAくんの将来を心配し、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部を訪れ、弁護士に相談・依頼をしました。
Aくんは今後少年事件の手続に沿って家庭裁判所の審判を受けることが決まっていたため、弁護士は審判に向けた準備を含めた付添人活動を開始しました。

付添人活動の一環として、弁護士はAくんの更生のための環境調整に取り組みました。
弁護士は京都少年鑑別所にいるAくんに会いに行き、Aくんの話を聞いたうえでAくんやAくんの家族に対して課題を出しました。
この課題はこれまでの生活の振り返りや今後の生活についてを考えたり、人の気持ちを理解することを目的としたものです。
この課題を通してAくんの更生や生活環境を整えるための足掛かりにしました。
Aくんは事件前まで素行不良が目立っていましたが、事件を機に反省を深め、Aくんの家族もA君に対する向き合い方を改めることになりました。

また、弁護士はAくんの学校の先生と面談を行いました。
Aくんが学校に通いやすくなるように、Aくんに適した環境づくりをお願いし、校長先生や担任の先生をはじめとした多くの先生の協力を得てAくんのための環境を整えました。

Aくんの観護措置が終わり審判が開始されるにあたって、弁護士は家庭裁判所に対し、施設送致とせずに試験観察とするように求めました。
弁護士から、Aくんが勉強に対して意欲があり学校に行きたがっていること、課題を通じて人の気持ちを考えられるようになったこと、Aくんの周りの環境が整いつつあることを主張したことで、1回目の審判の結果、Aくんは3か月間試験観察に付されることになりました。

3か月の試験観察期間中、家族や学校、そして弁護士のサポートを受けながらAくんは学校に通いました。
2回目の審判当日、まだ更生途中にあるAくんには保護司や保護観察官の手助けが必要だと感じた弁護士は、保護観察処分を求めました。
審判の結果、弁護士の要望が認められ、Aくんは保護処分の1つである保護観察処分となりました。

保護観察処分となったことにより、Aくんは家族の下で学校に通うことができ、保護観察所の手助けを受けながら更生を目指し、社会復帰することが可能となりました。

施設送致の回避や試験観察・保護観察の獲得のためには、事件後に環境調整を行うことが大切ですが、環境調整は1日2日で劇的なことはできませんから、早い段階から弁護士に相談・依頼し、早期に取りかかることが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、少年事件を数多く取り扱っています。
子どもが逮捕されてしまったなど、何か不安なことがございましたらフリーダイヤル0120―631―881までお問い合わせください。
無料の法律相談初回接見サービスもいたしております。

【解決事例】否認の児童虐待の傷害事件で不起訴獲得

2022-05-03

【解決事例】否認の児童虐待の傷害事件で不起訴獲得

~事例~

京都市東山区に住んでいるAさんは、自身の子供である乳幼児のVさんに対して暴行をふるって怪我を負わせたとして、京都府東山警察署傷害罪の容疑で逮捕されてしまいました。
しかし、Aさんとしては故意的にVさんに暴力をふるったことはなく、Aさんは容疑を否認していました。
Aさんを心配したAさんの家族は、何かAさんへのサポートはできないかと弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談に来られました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

~弁護活動と結果~

Aさんは、児童虐待の事実はないと容疑を否認しているものの、捜査機関から厳しく追及されていました。
捜査機関の強い追及も重なり、Aさんは精神的に大きな不安を抱え続けることとなり、メンタルの不調が心配されました。
また、もしも取調べで誘導などによってAさん自身の認識と異なることを調書とされてしまえば、本来Aさんとしてはやっていないはずの児童虐待によって冤罪となる危険がありました。

そこで、弁護士はこまめにAさんのもとへ接見に訪れました。
弁護士が頻繁に接見に行くことにより、Aさんの精神的なケアを行うことだけでなく、取調べの状況を逐一把握し、適宜アドバイスをすることが可能となりました。
取調べでは、Aさんに対して捜査官から厳しい言葉をかけられるなどしましたが、弁護士から頻繁にアドバイスをすることができたため、Aさんが厳しい言葉に屈して嘘の自白をしてしまったり、誘導に乗って嘘の自白をしてしまったりということなく取調べを終了することができました。

Aさんへの接見を重ねることと並行し、弁護士はVさんのカルテなどを調査に出したり、医師から聞き取りをおこなったりして、Aさんが暴行をふるう以外でもVさんが怪我をする可能性があったということを主張していきました。

その結果、Aさんは処分保留で釈放となり、その後不起訴処分となりました。

特に容疑を否認している刑事事件では、取調べで捜査機関の厳しい追及に耐えかねて嘘の自白をしてしまったり、誘導に乗ってしまって意図しない自白をしてしまったりすることを避けなければなりません。
もちろん、後から「その自白は本意ではない」と主張することはできますが、調書として証拠になったものを撤回させることは非常に難しいためです。
そのためには、自身の権利や事件の見通しなどを把握した上で、適切な対応方法を知っておかなければなりません。
だからこそ、早期に弁護士のサポートを受けるメリットが大きいのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件を数多く取り扱っています。
容疑をかけられたが否認したい、家族が傷害事件の容疑をかけられて悩んでいるといった方は、まずはお気軽にご相談ください。

傷害致死罪と殺人罪

2022-04-28

傷害致死罪と殺人罪

京都市上京区傷害致死事件を基に傷害致死罪殺人罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

ケース

勤務終りのAさんは、京都市上京区にある自宅に会社の後輩であるVさんを招きました。
AさんとVさんは楽しくお酒を飲んでいましたが、次第にVさんがAさんに不遜な態度をとるようになりました。
AさんはVさんの態度にだんだんと怒りがわいてきました。
ついに我慢できなくなったAさんは、Bさんに少し痛い目にあわせてやろうと思い、傍に置いてあったスプレー缶でVさんの頭を殴りました。
殴られたVさんは頭から血を流し転倒しました。
我に返ったAさんは直ぐに救急車を呼びましたが、搬送先の病院でVさんは死んでしまいました。
その後、Aさんは傷害致死罪の容疑で京都府上京警察署の警察官に逮捕されました。
(フィクションです。)

傷害致死罪

傷害致死罪は、大まかに説明すると、相手に傷害を与えた結果、相手が亡くなってしまった場合に適用されます。
傷害致死罪は刑法205条で規定されており、「身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。」と定められています。
有期懲役とは期限が定められている懲役のことを言います。
傷害致死罪で有罪となってしまった場合には、3年以上の懲役を科されることになります。

殺人罪

殺人罪は人を殺す意図をもって人を殺してしまったときに適用されます。
殺人罪は刑法199条で規定されており、「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」と定められています。
殺人罪で有罪となってしまった場合には、死刑か無期懲役、もしくは5年以上の懲役を科されることとなり、非常に重い刑罰を科されることになります。

傷害致死罪と殺人罪の違い

傷害致死罪と殺人罪の大きな違いは、人を殺す意図があったかどうかです。
ですので、人に暴行を加えた結果として人が死んでしまったという点では同じでも、人を殺す意図をもっていたかどうかで適用される罪名が変わります。

今回のケースの場合、Aさんには傷害致死罪殺人罪どちらが適用されるのでしょうか。
傷害致死罪となる場合と殺人罪となる場合、それぞれ当てはめて考えていきましょう。

AさんはVさんに怪我を負わせるつもりで、スプレー缶でVさんを殴ったがその結果、Vさんを殺してしまった場合は傷害致死罪が適用されます。
一方で、AさんがVさんを殺すつもりでVさんをスプレー缶で殴り、殺してしまった場合は殺人罪が適用されることになります。

今回の事件では、Aさんは、Vさんを殺す意図があったのでしょうか。
Aさんは、Vさんにあくまで少し痛い目にあわせてやろうというつもりでスプレー缶でVさんを殴りました。
つまり、AさんはVさんに怪我を負わせる目的はありましたが、殺そうとまでは考えていなかったと考えられます。
AさんはVさんを殺すつもりではなかったので、今回のケースの場合は、Aさんには傷害致死罪が適用されることとなります。

傷害致死事件、殺人事件に強い弁護士活動

今回の記事で見てきたように、傷害致死罪殺人罪では、「人を死なせた」という外観は同じであっても、行為者の認識(殺すつもりであったかどうか)の部分が異なります。
実際は殺すつもりでなかったのに殺人罪に問われてしまえば、本来受けるべき刑罰よりも重い刑罰を受けることになりかねません。
実際の認識はどういったものであったのかなど、内面の部分を主張していくためには、自分の持っている権利や自分の認識・行為を正確に把握しておくことが必要です。
そのためにも、刑事事件に精通している専門家の力を借りることが重要でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では刑事事件少年事件を中心とした弁護活動を行っております。
あなたの周りの人が、傷害致死罪殺人罪等で逮捕された際には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部までご相談ください。
フリーダイヤル0120―631―881では24時間365日いつでもご予約を承っております。
また、初回無料の法律相談や初回接見サービスをご用意いたしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

傷害致死罪と傷害罪、暴行罪

2022-04-26

傷害致死罪と傷害罪、暴行罪

京都市上京区傷害致死事件を基に傷害罪暴行罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

ケース

勤務終りのAさんは、京都市上京区にある自宅に会社の後輩であるVさんを招きました。
AさんとVさんは楽しくお酒を飲んでいましたが、次第にVさんがAさんに不遜な態度をとるようになりました。
AさんはVさんの態度にだんだんと怒りがわいてきました。
ついに我慢できなくなったAさんは、Vさんに少し痛い目にあわせてやろうと思い、傍に置いてあったスプレー缶でVさんの頭を殴りました。
殴られたVさんは頭から血を流し転倒しました。
我に返ったAさんは直ぐに救急車を呼びましたが、搬送先の病院でVさんは死んでしまいました。
その後、Aさんは傷害致死罪の容疑で京都府上京警察署の警察官に逮捕されました。
(フィクションです。)

今回の事例のAさんは、Vさんを殴って死なせてしまったということのようです。
今回の記事では、まず暴行によって成立する犯罪として代表的な傷害罪、暴行罪について解説します。

傷害罪

傷害罪は、刑法204条で規定されており、「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められています。
傷害罪で有罪となった場合は、15年以下の懲役、もしくは、50万円以下の罰金のどちらかの刑罰が科されることになります。

暴行罪と傷害罪の違い

暴行罪傷害罪は異なる罪です。
暴行罪とは、その名の通り相手に暴行を加えた際に適用されます。
暴行罪は刑法208条で規定されており、「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」と定められています。

一方で傷害罪は、多くの場合、暴行等の結果として相手に怪我等をさせてしまった場合に適用されます。
ですので、例外もありますが、簡単に言うと相手を殴る等の暴行を加えたときに怪我を負わせなければ暴行罪、怪我を負わせてしまえば傷害罪となるというイメージでよいでしょう。

暴行を加えない傷害罪

先ほど、相手に暴行を加えた結果、相手が怪我を負った場合に傷害罪が適用されると書きました。
しかし、相手に暴行を加えていなくとも、相手の身体に傷害を与えたときに傷害罪が適用される場合があります。
例えば、騒音により頭痛や精神的障害を生じさせた場合や、けが人を治療しなかった場合などでも傷害罪は適用される可能性があります。

実際の裁判では、騒音により、傷害を負わせたとして有罪判決が下された事件もあります(最判平成17.3.29)。
この事件はいわゆる奈良騒音傷害事件として知られる事件であり、ラジオや時計のアラームなどによる騒音によって、隣人に慢性頭痛などの傷害を負わせた事件です。
この事件では、騒音を出して隣人に慢性頭痛などの症状を出した行為が傷害罪と認められ、最終的に懲役1年8月の有罪判決が下りました。

暴行事件、傷害事件、傷害致死事件に強い弁護士活動

このように、単に相手に暴力をふるったということだけでも結果が違えば成立する犯罪も異なりますし、時には暴行をしていなくとも傷害罪が成立することもあります。
簡単な話に見えて、実はどういった行為からごういった犯罪が成立するのかということは慎重に検討しなければならないことなのです。
こうした検討には、刑事事件の専門的な知識が必要ですから、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では刑事事件少年事件を中心に取り扱っております。
傷害致死事件傷害事件暴行事件でなにかお困りのことがございましたら、0120―631―881までお電話おかけください。
24時間365日いつでもお待ちしております。
また、初回の法律無料相談や初回接見サービスもおこなっておりますので、お気軽にお問い合わせください。

次回の記事では、今回のケースを用いて傷害致死罪と殺人罪の違いについて解説します。

店舗への落書きは建造物損壊罪?器物損壊罪?

2022-04-23

店舗への落書きは建造物損壊罪?器物損壊罪?

店舗への落書き建造物損壊罪になるのか、器物損壊罪になるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

京都市山科区に住んでいるAさんは、近所の飲食店Vが大人数の客で騒がしいことをよく思っていませんでした。
飲食店Vへの鬱憤が溜まったAさんはある日、飲食店Vの店舗の入口のドアや壁面に「いい加減にしろ」「やかましい店」などとスプレー塗料やペンキを使って落書きをしました。
飲食店Vは、店舗の落書きを発見して京都府山科警察署に被害届を提出。
京都府山科警察署の捜査の結果、落書きはAさんによるものと発覚し、Aさんは建造物損壊罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの逮捕を知ったAさんの家族は、京都市刑事事件に対応している弁護士に相談し、今後の手続きの流れや可能な弁護活動について詳しく聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・落書きによって刑事事件に?

今回の事例のAさんは、飲食店Vの店舗に落書きをして逮捕されています。
落書き程度で刑事事件になり、逮捕されるような事態になるのか、と驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、落書きも立派な犯罪になり得る行為です。
店舗に落書きをすることで成立しうる主な犯罪としては、今回のAさんの逮捕容疑である建造物損壊罪と、器物損壊罪が挙げられます。

建造物損壊罪器物損壊罪は、刑法に定められている犯罪です。

刑法第260条(建造物損壊罪)
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。
よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

刑法第261条(器物損壊罪)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

建造物損壊罪器物損壊罪も、それぞれ対象となるものを「損壊」することで成立する犯罪です。
建造物損壊罪の対象は「建造物」であり、器物損壊罪の対象は「他人の物」です。
建造物損壊罪の「建造物」は「家屋その他これに類似する建築物」(大判大正3.6.20)とされており、ざっくりと建物一般を指していると捉えて問題ないでしょう。

ここで注意しなければいけないのは、その建物から取り外せる物は「建造物」なのか「他人の物」なのかという問題です。
例えば、建物内にある襖を壊したとして、襖は「建造物」と言えるのか、といった問題です。
現在この問題については、建物から取り外せる物については、取り外すことがどれほど容易か、その物が建物の構造上どれほど重要なものか、といった点を考慮して判断されています。
玄関のドアが「建造物」かどうかが問題となった裁判では、玄関のドアは取り外し可能なものではあるものの、玄関のドアは外界と住居との遮断、防犯、防音等の重要な役割を果たしていることから「建造物」と言えるとされました(最決平成19.3.20)。

では、建造物損壊罪器物損壊罪の「損壊」とはどういったことを指しているのでしょうか。
建造物損壊罪器物損壊罪の「損壊」は、その物の効用を害する一切の行為を指すとされています。
簡単に言えば、その物をその物として使えなくしてしまう行為が建造物損壊罪器物損壊罪の「損壊」に当てはまる行為なのです。
例えば、壺を割ってしまうといった物理的な破壊行為はもちろん、食器に放尿するといった、その後その物を心理的に使用できなくする行為も「損壊」行為となります。
建造物を対象とした場合、落ちにくいペンキやインクで大々的に落書きした場合のように、建物の外観や美観を著しく汚し、原状回復が相当程度困難にしたような場合も「損壊」行為とされます。

今回のAさんの落書き行為をこれに当てはめて考えてみましょう。
Aさんは、飲食店Vの店舗の壁や入り口に、ペンキやスプレー缶を利用して落書きしたとのことです。
壁や入り口は「建造物」である店舗から取り外すことのできない部分であったり、店舗にとって機能上重要な部分であったりしますから、Aさんが落書きをした部分は「建造物」であったと言えるでしょう。
そして、ペンキやスプレー缶といった、簡単には落ちない塗料によって落書きをしたことから、原状回復が簡単にはできない、外観を大きく損なう行為をしたと考えられます。
このことから、Aさんには建造物損壊罪が成立すると考えられるのです。

繰り返しになりますが、落書きという言葉からはいたずらや嫌がらせ程度のものであるというイメージがつきやすいものの、建造物損壊罪器物損壊罪といった犯罪が成立します。
特に建造物損壊罪は、起訴されれば公開の法廷に立つこととなる非常に重い犯罪です。
落書き行為をしないことはもちろんですが、もしも落書き行為によって刑事事件となってしまったら、早期に弁護士に相談し、刑事手続きに対応していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、落書きによる刑事事件についてのご相談も受けつけています。
まずはお気軽に、0120ー631ー881までお電話ください。

改正少年法の「特定少年」とは?

2022-03-23

改正少年法の「特定少年」とは?

改正少年法の「特定少年」とはどういったものなのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府京田辺市に住んでる高校3年生(18歳)のAさんは、近所の書店で雑誌を万引きしたところを店員に見とがめられ、店員を突き飛ばして逃亡しました。
その後、Aさんは京都府田辺警察署の警察官に事後強盗罪の容疑で逮捕され、Aさんの両親にも逮捕の知らせが届きました。
Aさんの両親は、少年法が改正され厳しくなるといったニュースを見ていたため、今後Aさんがどのような処分を受ける可能性があるのか不安に思い、少年事件を取り扱っている弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・改正少年法と「特定少年」

令和4年4月1日に、改正少年法が施行されます。
少年法では、20歳未満の者を「少年」と定義し(少年法第2条第1項)、少年法の対象としています。
しかし、令和4年4月1日から施行される改正少年法では、この20歳未満の「少年」のうち、18歳と19歳の少年を「特定少年」として17歳以下の少年と分けて考える部分が出てきます。

まずは、改正少年法の中で「特定少年」という言葉の出てくる条文を確認してみましょう。

改正少年法第62条
第1項 家庭裁判所は、特定少年(18歳以上の少年をいう。以下同じ。)に係る事件については、第20条の規定にかかわらず、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。

第2項 前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、特定少年に係る次に掲げる事件については、同項の決定をしなければならない。
ただし、調査の結果、犯行の動機、態様及び結果、犯行後の情況、特定少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。
第1号 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るもの
第2号 死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件であつて、その罪を犯すとき特定少年に係るもの(前号に該当するものを除く。)

改正少年法第62条第1項では、改正少年法において18歳・19歳の少年は「特定少年」として扱われるということに加え、「特定少年」に係る少年事件については、少年法第20条の規定にかかわらず、諸々の事情から相当と認められるときには検察官への送致(いわゆる「逆送」)をしなければならないということを定めています。
なお、少年法第20条では、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の少年事件について諸々の事情に照らして相当と認められる場合には逆送を行うことや、故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた少年事件で事件当時16歳以上であった少年については原則逆送とすることが定められています。

さらに、改正少年法第62条第2項では、先ほど記載した少年法第20条で定められていた、故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた少年事件で事件当時16歳以上の少年を原則逆送とするというもの(改正少年法第62条第2項第1号)だけでなく、事件時に「特定少年」であった場合には「死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件」について原則逆送とすることが定められています(改正少年法第62条第2項第2号)。
原則逆送とするときの条件が16歳以上の少年については「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件」とされているのに対し、「特定少年」については「死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件」と、16歳以上の少年に比べて範囲が拡大していることが分かります。

例えば、今回の事例のAさんの場合、容疑をかけられている犯罪は事後強盗罪(刑法第238条)で、その刑罰は「5年以上の有期懲役」と定められています。
改正少年法のもとでは、「短期1年以上の懲役」にあたる犯罪の事件を「特定少年」時に起こした場合は原則逆送となりますから、令和4年4月1日以降にAさんが18歳となっている状態で今回の事件を起こしていた場合には、Aさんの事件は原則逆送されることとなります。

こうしたことから、改正少年法のもとでは、「特定少年」が逆送され、成人と同じ刑事手続きに乗りやすくなるといえるでしょう。
こういったことから、今回の事例のAさんの両親が見たニュースのように、「改正少年法では処分が厳しくなる」というようにとらえられたのだと考えられます。

・「特定少年」と逆送

ここで、「逆送」とは、家庭裁判所から検察官へ事件を送りなおすことを指します。
通常の少年事件は、警察・検察での捜査を終えた後、検察から家庭裁判所に送致されます。
「逆送」では、そこからさらに家庭裁判所から検察へ事件を戻すことになるため、「『逆』送致」=「逆送」と呼ばれているのです。

逆走された少年事件は、成人と同様の刑事手続きの流れに乗ることになります。
検察官が起訴するかどうかを判断し、起訴されれば裁判となり、有罪になれば刑罰を受けることになります。
場合によっては刑務所へ行くことになることも考えられます。
ですから、改正少年法のもとで特に逆送の可能性のある「特定少年」による少年事件については、刑事裁判となることも見据えて弁護活動をしてもらうことが重要です。

今回取り上げた逆送について以外にも、改正少年法下では、「特定少年」として取り扱われる18歳・19歳の少年の手続きが現行の少年法と大きく異なります。
少年事件も多く取り扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、改正少年法に関係するご相談も受け付けています。
子どもが少年事件を起こしてしまったが改正少年法下でどういった扱いになるのか不安だという方、「特定少年」の手続きが分からないとお悩みの方は、お気軽にご相談下さい。

窓を割った建造物損壊事件で逮捕されてしまった

2022-01-05

窓を割った建造物損壊事件で逮捕されてしまった

窓を割った建造物損壊事件逮捕されてしまったというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府城陽市にある宿泊施設Vに泊まった際、施設の対応が気にくわなかったことから、嫌がらせをしてやろうと考え、ハンマーを使ってVの窓ガラス(縦約0.5メートル、横約2メートル)を1枚割りました。
Vの職員が窓が割れていることに気付き、京都府城陽警察署に通報。
捜査の結果、Aさんが窓ガラスを割ったことが判明し、Aさんは建造物損壊罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんが逮捕されたことを知ったAさんの妻は、突然の事態に何をしてよいのか分からず、混乱しています。
Aさんの妻は、とにかく事態を把握したいと考え、京都府逮捕に対応している弁護士に問い合わせ、Aさんの下へ接見に行ってもらうことにしました。
(※令和3年11月7日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・窓を割って建造物損壊罪に

今回の事例のAさんは、宿泊施設Vの窓ガラスを割ったことで建造物損壊罪に問われているようです。
こうした物を壊す犯罪としては、Aさんの逮捕容疑となっている建造物損壊罪の他に、器物損壊罪もイメージされるところです。

刑法第260条(建造物等損壊罪)
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。
よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

刑法第261条(器物損壊罪)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

刑法第264条(親告罪)
第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

この2つの犯罪は、罪名にある通り、壊した対象が何かという部分に大きな違いがあります。
壊した対象物が異なるだけだと思われるのかもしれませんが、建造物損壊罪が成立するのか器物損壊罪が成立するのかでは、有罪となったときに科される刑罰の重さが大きく異なります。

条文からも見て取れるように、建造物損壊罪には罰金刑の規定がないため、罰金を支払って終了ということはできません。
建造物損壊罪で起訴されれば刑事裁判を受けることになりますし、有罪となれば刑務所へ行く可能性も出てきます。

さらに、器物損壊罪が親告罪=被害者等による告訴(被害申告と処罰意思の表明)がなければ起訴されない犯罪であるのに対し、建造物損壊罪の起訴には告訴は必要とされていません。

今回の事例のAさんは、宿泊施設Vの窓ガラスを割って建造物損壊罪に問われています。
Aさんは窓ガラスを割って=壊しているため、建造物損壊罪器物損壊罪にある「損壊」という行為をしていること自体に間違いはないでしょう。
しかし、窓ガラスは単なる「(他人の)物」であり、「建造物」に当たらないのではないかと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここで、建造物損壊罪のいう「建造物」とは、一般的に、その建物から取り外し可能でないもの、もしくはその建物の中で重要な役割を持っているものを指すと考えられているということに注目してみましょう。

これらに当てはまらないものは、「建造物」以外の物であるとされ、器物損壊罪が成立する可能性が高くなります。

今回の事例でAさんが割った窓ガラスは、もしかするとその性質上、宿泊施設Vという建物から取り外せるものかもしれません。
もしも取り外せるタイプの窓ガラスであれば、建造物損壊罪の「建造物」ではなく、器物損壊罪の「(他人の)物」という判断になるかもしれません(はめ込み式の窓ガラスなどの場合は、そもそも建物から取り外せない一体となっているものと判断されやすいでしょう。)

しかし、過去の事例では、建造物損壊罪の客体である「建造物」であるかどうかは、取り外し可能かどうかだけではなく、その建造物における機能の重要性も考慮する必要があると判断されている事例があります。
例えば、今回の窓ガラスであっても、建造物の外壁と接合して、外界との遮断や防犯等の重要な役割を担っていると判断されれば、「建造物」にあたると考えられる可能性もあります(参考判例:最決平19.3.20)。

窓ガラスと一口に言っても、さまざまなタイプの窓ガラスが存在するため、「窓ガラスだから器物損壊罪」「窓ガラスだから建造物損壊罪」と簡単に判断できるものではないのです。

先ほど触れたように、物を損壊する行為によって建造物損壊罪が成立するのか、器物損壊罪が成立するのかによって、刑罰の重さなども大きく変わってきます。
だからこそ、そもそも自分にどういった犯罪が成立し得るのか、それはなぜなのか、どのような手続きが予想されるのかといったことを早い段階で把握し、適切な対応を取ることが必要です。
そのためには、刑事事件の専門家である弁護士にまずは相談してみることがオススメといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、逮捕された方向けのサービスも取り揃えております。
まずはお気軽にお問い合わせください。

強制性交等事件で合意があったと主張したい

2021-11-27

強制性交等事件で合意があったと主張したい

強制性交等事件で合意があったと主張したいというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市北区に住んでいる会社員の男性Aさんは、知人のVさんと、自宅で性行為をしました。
Aさんは当然Vさんの合意があって性行為をしたと思っていたのですが、翌朝Aさんが目覚めたときにはVさんはすでにいなくなっており、京都府北警察署から「強制性交等罪の被害を受けたという被害届が出ている」と呼び出しの連絡がありました。
Aさんは、あくまで合意のもと性行為をしたと思っていたため、警察署に行く前に強制性交等事件について扱っている刑事事件専門の弁護士へ今後の対応について相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・強制性交等事件で合意があったと主張したい

今回の事例のAさんは、強制性交等罪の疑いをかけられているようです。

刑法第177条(強制性交等罪)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

強制性交等罪の条文には、性交等をする手段として「暴行又は脅迫を用い」ることが強制性交等罪が成立する要件として書かれています。
この条文の文字から、目立った暴行等がなければ「暴行又は脅迫」をしていないとして強制性交等罪にあたらないのではないかと考えられる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際に殴る蹴るといった分かりやすく強い暴行があったのかということだけではなく、被害者との体格等の違いや関係性、事件の起きた場所やその状況といった様々な事情を総合して考慮した結果、強制性交等罪の「暴行又は脅迫」に当たるのかどうかが判断されます。
そのため、強制性交等罪にあたり得るかどうかは、本人の供述だけではなく、事件当時の状況や被害者との関係等、全ての詳しい事情を専門的に検討する必要があるのです。

そして、今回の事例のAさんのように、強制性交等事件では「合意があった」と思って性交等をしたのに、相手方はそう思っておらず、思いもよらず被害届や告訴が出されたというケースも存在します。
Aさんが考えているように、あくまで合意のもとの行為だったと主張するのであれば、強制性交等罪の容疑に対して否認するということになります。

繰り返しになりますが、強制性交等事件では、当事者の認識だけでなく、客観的に見て合意があったように見えたのかどうか、当時の当事者の関係性はどうであったのか等の事情を詳細に検討する必要があります。

加えて、取調べを受ける際にも、「合意があった」と主張するためには取調べ対応の仕方をきちんと把握しておく必要があります。
被疑者の権利や刑事事件の手続を知らずに取調べに対応することになれば、手続きや権利を知らないことによって意図せず不利な言動をしてしまうリスクもあります。
もしも自白を迫られたり誘導されたりして自白をした供述調書を取られてしまえば、それを覆さなければならないという難しい状況にも陥ってしまいます。
だからこそ、合意があったと主張したいということであれば、まずは刑事事件に強い弁護士に相談し、強制性交等罪にあたる可能性があるのかどうか、捜査への対応はどのようにすべきなのかといったことを聞いておくことが大切なのです。

さらに、容疑に対して否認する場合、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されやすい傾向にあり、そうなると逮捕・勾留による身体拘束のリスクもあります。
そうなってしまった場合にすぐに活動を開始できるように準備しておく必要もあるため、やはり弁護士には早い段階で相談・依頼しておくことが重要でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件を専門に取扱っています。
強制性交等事件で合意があったと主張したい、警察から呼び出されて弁護士の話を聞いておきたいという方は、お気軽にご相談下さい。

置引きが強盗罪に?

2021-11-18

置引きが強盗罪に?

置引き強盗罪に発展してしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都市南区にあるカフェを利用している際、隣の席に座ったVさんが財布をソファの上に置きっぱなしにしているところを見ました。
Aさんは、「こっそり持って行ってもばれないかもしれない」と思い、Vさんが雑誌を見ている間にこっそりVさんの財布をこっそり自分の方へ引き寄せると、そのまま財布を持って店を出ました。
しかし、Aさんが店を出るところでVさんが財布を取られたことに気が付いて追いかけてきたため、Aさんは咄嗟にVさんを突き飛ばし、激しく転倒させたうえで逃走しました。
その後、通報を受けた京都府南警察署の捜査により、Aさんは事後強盗罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは、置引き程度のつもりだったのに強盗罪の容疑で逮捕されたことに驚き、家族の依頼で警察署にやってきた弁護士に接見すると、どうして強盗罪の容疑をかけられているのか詳しく聞いてみることにしました。
(※令和3年11月15日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・置引きが強盗罪になる?

置引きとは、置いてある他人の物を持ち去ってしまう窃盗行為の手口の1つです。
今回のAさんが置いてあったVさんの財布を持ち逃げしようとした行為は、まさにこの置引きの手口であったといえるでしょう。
多くの場合、置引きには窃盗罪が成立します。
置引きと聞いて窃盗罪をイメージする方も多いでしょう。

刑法第235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

しかし、今回のAさんの逮捕容疑は事後強盗罪という強盗罪の1種です。
置引きが強盗罪にまでなることがあるのでしょうか。

事後強盗罪は、刑法第238条に定められている犯罪です。

刑法第238条(事後強盗罪)
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

事後強盗罪の主体となるのは「窃盗」です。
これは「窃盗犯」を指しており、今回のAさんも置引きをしている窃盗犯ですから、Aさんは事後強盗罪の主体となり得ることになります。
そして、この「窃盗」が盗んだ財物を取り返されることや捕まることを防ぐため、犯罪のあとを隠すために暴行や脅迫をした場合に成立するのが事後強盗罪です。
今回のAさんは、Vさんが財布を取られたことに気が付いて追いかけてきたところを突き飛ばして逃げ切っています。
Aさんは財布を取り返されることや捕まることを防ぐためにVさんを突き飛ばすという暴行をふるっていると考えられます。
こうしたことから、Aさんには事後強盗罪が成立すると考えられるのです。

ここで、事後強盗罪の法定刑は「強盗として論ずる」ということから、強盗罪と同じものです。

刑法第236条第1項(強盗罪)
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

窃盗罪が「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」という刑罰と定められているのに比べると、強盗罪の刑罰は下限が5年の懲役刑のみで罰金刑の規定もないという、非常に重い刑罰が設定されていることが分かります。
さらに、もしもVさんがAさんの暴行によって怪我をしていた場合には、事後強盗罪ではなく強盗致傷罪が成立する可能性もあります。

刑法第240条(強盗致死傷罪)
強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

強盗致傷罪事後強盗罪のように主体が限定されており、「強盗」=強盗犯ということになります。
Aさんの場合、事後強盗罪を犯している強盗犯ということになりますので、AさんがVさんを突き飛ばした時にVさんが怪我をしていれば、Aさんには強盗致傷罪が成立することになるのです。
強盗致傷罪となれば、その刑罰は「無期又は6年以上の懲役」となり、さらに重い刑罰が予想されることになります。

単なる置引きがきっかけであったとしても、その後の行動によっては強盗罪強盗致傷罪といった非常に重い犯罪が成立します。
特に、強盗致傷罪となった場合には、起訴されれば裁判員裁判の対象となり、特別な準備も必要となってきます。
まずは自分が容疑をかけられている犯罪の把握、その犯罪で起訴されたり有罪となったりした場合の見通し・手続の把握などをすることが重要ですから、早い段階で弁護士に相談してみましょう。

刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、置引き事件から強盗事件まで、幅広い事件のご依頼・ご相談を受け付けています。
まずはお気軽にお問い合わせください。

« Older Entries