Archive for the ‘暴力事件’ Category

暴行事件の逮捕から前科を回避

2020-10-15

暴行事件の逮捕から前科を回避

暴行事件逮捕から前科を回避したいというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都市北区で飲酒した帰り道、京都市北区内にある駅のホームで眠り込んでしまいました。
駅員がAさんを起こしたところ、Aさんは酔っぱらっていたこともあって駅員に怒り、駅員につかみかかるなどしてしまいました。
その様子を目撃していた人が京都府北警察署に通報し、警察官が駆け付けました。
Aさんは暴行罪の容疑で逮捕されてしまい、Aさんの妻がその連絡を受けました。
慌てたAさんの妻は、京都市刑事事件に強い弁護士にAさんとの接見を依頼。
弁護士と接見したAさんは、逮捕されてしまっても前科を回避できるのか、弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・暴行事件で逮捕

ご存知の方も多いとおり、人に暴力をふるってしまえば暴行罪になります。
さらに、その暴行によって相手が怪我をしてしまえば傷害罪が成立します。

刑法第204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法第208条(暴行罪)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

人に暴力をふるってしまった場合に暴行罪と傷害罪どちらが成立するかということは、相手が怪我をしているかどうかによって分かれます。
そのため、最初は暴行罪の容疑で逮捕されたり捜査されたりしていても、後々捜査が進んで被害者の怪我が発覚するなどして被疑罪名が暴行罪から傷害罪に切り替わる可能性もあります。

暴行事件逮捕されるというと大げさに感じる方もいるかもしれませんが、「暴行」と一口にいっても態様や事件の起こった状況によっては逮捕されることも十分考えられます。
現行犯であったり逃亡していたり暴れていたりするような場合などにはちょっとした喧嘩から発展したような暴行事件でも逮捕されてしまう可能性があります。

・逮捕されても前科は回避できる?

逮捕という言葉から、逮捕されてしまったらそのまま裁判を受けて刑罰を受けることになる、というイメージを思い浮かべられる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、逮捕されたからといって必ずしも裁判になったり刑罰を受けたりするとは限りません。

そもそも、逮捕は犯罪をしたと相当程度合理的に疑われる人がされるものであり、逃亡や証拠隠滅を防ぎ捜査をするために行われるものです。
ですから、逮捕は刑罰ではなく、逮捕されたからといってその人が有罪と決まるわけではありません。
そして、起訴するか不起訴するかは逮捕後の捜査で分かった内容を基に検察官が決め、さらに起訴されればその後の裁判で有罪・無罪や刑罰の重さが争われることになります。
すなわち、逮捕されても不起訴となって刑罰を受けないこともありえるのです。

法律上、「前科」という言葉の定義は決められていませんが、一般的には有罪判決を受けて刑罰を受けたことを指します。
有罪判決は起訴されなければ受けることはありません。
ですから、不起訴を獲得できればそもそも前科がつくということはなくなるのです。
つまり、逮捕されても不起訴を獲得することができれば前科を回避できるということになります。

では、逮捕されても安心して何もせずにいていいかというとそうではありません。
逮捕などの身体拘束を伴う刑事事件では、手続を進める上で厳しい時間制限がつきます。
逮捕から勾留請求されるまでは最大3日間、勾留は延長を含めて最大20日間ありますが、身体拘束されながら刑事事件が進んでいく場合、この最大23日間の中で起訴・不起訴の判断が決まってしまうのです。
この期間中に、例えば示談交渉や被害弁償を行ったり、再犯防止策を立てて実行に移したり、本人の反省を表したりすること、さらにその事実を証拠化して主張することで、不起訴の獲得に向けて前進することができます。

刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、暴行事件の弁護活動についてもご相談・ご依頼を承っています。
前科を回避したいとお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせ用フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

子どもが強盗未遂事件で逮捕されたら

2020-08-20

子どもが強盗未遂事件で逮捕されたら

子どもが強盗未遂事件逮捕されてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

17歳の高校生Aさんは、小遣い欲しさに高齢者から金品を奪い取ることを思いつきました。
Aさんは、京都府亀岡市にある商業施設で買い物をしていた80歳の女性Vさんの鞄を奪い取ろうとしました。
しかし、Aさんの予想よりもVさんが抵抗したためAさんは鞄を奪い取ることができず、そうしているうちにVさんの声を聞いて人が集まってきたため、Aさんはその場から逃げ出しました。
その後、通報を受けて捜査を開始した京都府亀岡警察署の警察官により、Aさんは強盗未遂罪逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、子どもが強盗未遂事件を起こして逮捕されたと聞いてどうしてよいか分からなくなり、少年事件に強い弁護士に相談することにしました。
(※令和2年8月10日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・強盗未遂罪

強盗罪というと、凶器などを手に家や店舗に押し入って金品を脅し取るような、いわゆる押し入り強盗がイメージされやすいです。
しかし、今回のAさんのケースのように、凶器を用いないケースや、家や店舗に押し入らないケースでも強盗罪は成立する可能性があります。
刑法の条文では、強盗罪は以下の条件に当てはまる場合に成立するとされています。

刑法第236条
第1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
第2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

金品を奪い取るような強盗事件の場合、刑法第236条第1項に該当する強盗罪が成立することになり、多くの強盗事件でこの条文に当てはまる強盗罪が成立することになります。

強盗罪が成立するには、他人の財物を奪う手段として暴行や脅迫を用いている必要があります。
この時用いられる暴行や脅迫は、相手の反抗を抑圧する程度の強さが必要とされています。
つまり、相手が反抗できないほどの強さで暴行や脅迫をして金品を奪うことで強盗罪が成立するということになります。
ですから、たとえ凶器を使用していなかったとしても、例えば相手の手足を押さえつけるなどして相手の反抗を押さえつけて金品を奪えば強盗罪となるのです。
そして、注意しなければいけないのは、例えば最初はひったくりや置き引きのような形で相手の財物を奪おうと考えていたとしても、被害者が抵抗したことに対抗してその抵抗を押さえつけて財物を奪い取れば、強盗罪が成立してしまうということです。
今回のAさんはどのような態様でVさんの鞄を奪い取ろうとしたのかは定かではありませんが、Vさんの抵抗を押さえつけるような形で脅迫や暴行を用いていたのであれば、強盗罪強盗未遂罪の成立が考えられます。

また、今回のAさんは、強盗罪の実行に着手しているものの、結果としてVさんの鞄=財物を奪い取るまでには至っていません。
ですから、Aさんには強盗未遂罪(刑法第243条)が成立すると考えられるのです。

・子どもが強盗未遂事件で逮捕されてしまったら

Aさんは20歳未満であることから、この強盗未遂事件少年事件として扱われることになります。
少年事件では、基本的に刑罰を受けることはありません。
少年の更生のための「保護処分」という処分を受けることが基本的な少年事件の終局処分です。
しかし、少年が少年事件を起こしてしまった環境などによっては、保護処分ではなく刑罰を受けさせる刑事手続きに移す、いわゆる「逆送」が行われることも考えられます。
「逆送」された少年事件は、成人の刑事事件のように起訴か不起訴か判断され、起訴されれば有罪・無罪を裁判で決められることになります。
有罪となれば刑罰を受けることになり、刑務所に行くことも考えられます。

「逆送」されずに少年事件の手続きによって処理されることとなったとしても、強盗未遂罪のような重大な犯罪を起こしてしまった場合、現在の環境に大きな問題があると判断され、その環境から切り離して更生を目指すことが適切=少年院送致などの施設送致という処分が下されることも考えられます。
当然、少年院送致も少年の更生を目指す「保護処分」であることから、少年のためにならない処分というわけではありません。
しかし、少年院に入ってしまえば、その期間社会から遠ざかってしまうことも否定できません。
スムーズな社会復帰のためにも、少年院送致を避けたいと考えるご家族も少なくありません。

このように、強盗事件強盗未遂事件は「逆送」の有無にかかわらず少年やその家族にとって大きな影響を及ぼす処分が下されることが考えられます。
だからこそ、強盗事件強盗未遂事件で子どもが逮捕されてしまったら、早期にできる弁護活動・付添人活動を始めることが求められるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件少年事件専門の弁護士が、逮捕直後から少年審判や刑事裁判までフルサポートを行います。
強盗事件強盗未遂事件子どもが逮捕されてしまったら、お気軽にご相談ください。

放火罪と器物損壊罪

2020-06-11

放火罪と器物損壊罪

放火罪器物損壊罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市中京区の会社に勤めるAさんは、同寮のVさんを恨んでいました。
ある日、AさんはどうしてもVさんへの恨みを抑えることができなくなり、会社の駐車場に停めてあったVさんの自動車のタイヤ付近に火をつけました。
しかし、火がつけられてすぐに駐車場を警備していた警備員が火に気付き消し止めたため、火は燃え上がることなく、Vさんの自動車のタイヤを焦がした程度でした。
その後、Vさんからの被害届を受けて捜査をしていた京都府中京警察署がAさんの犯行であることを突き止め、Aさんは器物損壊罪の容疑で逮捕されました。
「Aさんが火をつけて逮捕された」と聞いたAさんの家族は、Aさんが容疑をかけられている罪名が放火罪ではなく器物損壊罪であることを不思議に思い、今後の手続きなども含めて弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・放火と器物損壊罪

前回の記事では、建造物等以外放火罪について取り上げました。
今回の記事では、建造物等以外放火罪に当てはまらなかった場合について、Aさんの事例と照らし合わせながら検討をしていきます。

前回の記事で触れた通り、建造物等以外放火罪の成立には、放火・焼損だけでなく、「公共の利益」の発生が求められます。
「公共の利益」は、「放火行為によって一般不特定の多数人をして、所定の目的物に延焼しその生命、身体、財産に対し危害を感じせしめるにつき相当の理由がある状態」を指すとされています(大判明治44.4.24)。
ですから、例えば周囲に延焼する危険性が一切ない広い空き地の中心で何かを燃やした、というような場合には、この「公共の危険」の発生がないと考えられ、建造物等以外放火罪は成立しないということも考えられるのです。

今回のAさんの事例を考えると、Aさんは駐車場でVさんの自動車に火をつけています。
火をつけた対象だけ考えれば、Aさんには建造物等以外放火罪が成立しそうですが、Aさんには建造物等以外放火罪の容疑はかかっていないようです。
事例からは明らかではありませんが、Aさんのつけた火が「焼損」の域まで達していなかった可能性や、Vさんの車周辺に他の車や建物がなく延焼の危険性がなかった=「公共の危険」が発生していると判断されなかった可能性が考えられます。
そうした事情があれば、Aさんには建造物等以外放火罪が成立しないということになりそうです。

そうした時に成立が考えられるのは、今回のAさんの逮捕容疑でもある器物損壊罪です。

刑法第261条(器物損壊等罪)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪の「損壊」とは、その物の効用を失わせしめる行為を広く含んでいるとされています。
「焼損」や「公共の危険」の発生までいかずとも、火をつけていることから、その火をつけられたものは「損壊」されている可能性が高いでしょう。
今回のAさんの事例についても、Vさんの自動車のタイヤは焦げてしまっていますから、そのままでは使えない状態になってしまっていると考えられます。
ですから、Vさんの自動車は「損壊」されていると考えられ、Aさんには器物損壊罪が成立すると考えられるのです。

器物損壊罪の場合、放火罪とは異なり親告罪という犯罪になります。
親告罪は、被害者等の告訴権者の告訴がなければ起訴することのできない犯罪です。
つまり、示談締結によって告訴を提出しない旨や取り下げる旨を約束してもらえることができれば、不起訴処分の獲得が可能となるのです。

しかし、今回のように被疑者本人が逮捕されてしまっていれば、自分で被害者へ謝罪することはもちろんできません。
そうでなかったとしても、捜査機関としては被疑者と被害者が接触することをよしとしないことが多いです。
だからこそ、プロである弁護士に相談・依頼し、迅速に示談交渉を含めた活動を開始してもらうことが重要となるのです。
弁護士が介入したからといって必ずしも示談交渉の席についてもらえるというわけではありませんが、専門家であり弁護士という立場の第三者が間に入ることで、安心して話し合いができると示談交渉の機会を設けてくださる被害者も少なくありません。
まずは弁護士に相談してみることをおすすめいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、放火事件器物損壊事件のような刑事事件少年事件を専門に取り扱っています。
京都府刑事事件少年事件にお困りの際は、お気軽にご連絡ください。

放火罪の種類~建造物等以外放火罪

2020-06-04

放火罪の種類~建造物等以外放火罪

放火罪の種類のうち、特に建造物等以外放火罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市中京区の会社に勤めるAさんは、同寮のVさんを恨んでいました。
ある日、AさんはどうしてもVさんへの恨みを抑えることができなくなり、会社の駐車場に停めてあったVさんの自動車のタイヤ付近に火をつけました。
しかし、火がつけられてすぐに駐車場を警備していた警備員が火に気付き消し止めたため、火は燃え上がることなく、Vさんの自動車のタイヤを焦がした程度でした。
その後、Vさんからの被害届を受けて捜査をしていた京都府中京警察署がAさんの犯行であることを突き止め、Aさんは器物損壊罪の容疑で逮捕されました。
「Aさんが火をつけて逮捕された」と聞いたAさんの家族は、Aさんが容疑をかけられている罪名が放火罪ではなく器物損壊罪であることを不思議に思い、今後の手続きなども含めて弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・色々な「放火罪」~「建造物等以外」への放火

前回の記事では、「建造物等」への放火罪について取りあげましたが、今回の記事では「建造物等」以外への放火罪を紹介します。
「建造物等」以外=「建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑」以外のものに対しての放火罪は、刑法第110条に規定されている建造物等以外放火罪です。

刑法第110条(建造物等以外放火罪)
第1項 放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
第2項 前項の物が自己の所有に係るときは、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

建造物等以外放火罪の対象となるのは、刑法第108条・第109条のいう「建造物等」=「建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑」以外のものですから、今回のAさんがターゲットとした自動車なども含まれます。
では、この建造物等以外放火罪が前回の記事で紹介した放火罪と異なる点は対象とするもの以外にあるのでしょうか。

建造物等以外放火罪も、現住建造物等放火罪非現住建造物等放火罪と同様、火をつけるだけで成立するものではありません。
条文を見れば分かる通り、建造物等以外放火罪の成立にも、放火して「焼損」することが必要とされています。
この「焼損」の意味は、他の放火罪同様、火が媒介物を離れて目的物に移り、独立して燃焼作用を継続しうる状態に達した時点であるとされています(最判昭和23.11.2)。

しかし、建造物等以外放火罪の成立要件は、これだけではありません。
放火し、焼損したことに加え、それによって「公共の危険を生じさせた」必要があるのです。
これは現住建造物等放火罪非現住建造物等放火罪にはない、建造物等以外放火罪独特の条件です。

公共の危険」の発生とは、「放火行為によって一般不特定の多数人をして、所定の目的物に延焼しその生命、身体、財産に対し危害を感じせしめるにつき相当の理由がある状態」を指すとされています(大判明治44.4.24)。
つまり、たとえ「建造物等以外」のものに放火し、それが焼損したとしても、「公共の危険」が発生していないような場合には、建造物等以外放火罪は成立しないということになるのです。

では、建造物等以外放火罪が成立しないということになれば、何罪が成立することになるのでしょう。
次回の記事でAさんの事例と照らし合わせながら検討していきます。

刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、建造物等以外放火罪についてのご相談も安心してお任せいただけます。
「放火」という単語は知っていても、その種類や区別の仕方が分からず、どういった刑罰が見込まれるのか等悩まれる方も少なくないでしょう。
専門家の弁護士であれば、刑事事件の見通しや手続の注意点、適切な活動についてアドバイスをすることが可能です。
まずはご相談だけでも、お気軽にご利用ください。

放火罪の種類~2つの建造物等放火罪

2020-05-28

放火罪の種類~2つの建造物等放火罪

放火罪の種類のうち、特に2つの建造物等放火罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市中京区の会社に勤めるAさんは、同寮のVさんを恨んでいました。
ある日、AさんはどうしてもVさんへの恨みを抑えることができなくなり、会社の駐車場に停めてあったVさんの自動車のタイヤ付近に火をつけました。
しかし、火がつけられてすぐに駐車場を警備していた警備員が火に気付き消し止めたため、火は燃え上がることなく、Vさんの自動車のタイヤを焦がした程度でした。
その後、Vさんからの被害届を受けて捜査をしていた京都府中京警察署がAさんの犯行であることを突き止め、Aさんは器物損壊罪の容疑で逮捕されました。
「Aさんが火をつけて逮捕された」と聞いたAさんの家族は、Aさんが容疑をかけられている罪名が放火罪ではなく器物損壊罪であることを不思議に思い、今後の手続きなども含めて弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

多くの方のイメージでは、「火をつけたら放火罪が成立する」という印象が強いのではないでしょうか。
しかし、放火罪とひと口にいっても、実は放火罪の中にも種類がある上、さらにただ「火をつけた」ということだけで放火罪が成立するわけではありません。
今回から複数回に分けて、放火罪とAさんの逮捕容疑でもある器物損壊罪について見ていきます。

・色々な「放火罪」~「建造物等」への放火

刑法には、単純な「放火罪」という犯罪は存在しません。
放火され、焼損した対象がどういったものだったかによって、どういった「放火罪」となるのか種類が分かれるのです。
刑法に定められている放火罪は、現住建造物等放火罪非現住建造物等放火罪・建造物等以外放火罪です。

刑法第108条(現住建造物等放火罪)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

刑法第109条(非現住建造物等放火罪)
第1項 放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、2年以上の有期懲役に処する。
第2項 前項の物が自己の所有に係るときは、6月以上7年以下の懲役に処する。
ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。

刑法第110条(建造物等以外放火罪)
第1項 放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
第2項 前項の物が自己の所有に係るときは、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

刑法第108条・第109条に定められている放火罪は、どちらも「建造物等」に対して放火し、焼損した場合に成立する放火罪です。
この2つの放火罪は、放火・焼損した「建造物等」に放火時に人がいたか若しくは住居として使用されていた場合(=現住建造物等放火罪)か、放火・焼損した「建造物等」に放火時に人がいない上に住居としても使用されていなかった場合(=非現住建造物等放火罪)かで分かれます。
例えば、マンションに放火し焼損した場合、マンションは人の住居として使用されている建造物ですから、現住建造物等放火罪となります。
一方、閉店後で誰もいない飲食店に放火し焼損した場合、飲食店は住居として使用されていない上に誰もいない状態であることから、非現住建造物等放火罪の成立が考えられるということになります。

そして、この「建造物等」への放火罪は、どちらも建造物等に火をつけるだけで成立するものではありません。
これらの放火罪が成立するには、放火して「焼損」することが必要とされています。
「焼損」とは、火が媒介物を離れて目的物に移り、独立して燃焼作用を継続しうる状態に達した時点であるとされています(最判昭和23.11.2)。
つまり、家を燃やそうとして火をつけたとしても、火が家に燃え移って独立して燃え続ける程度にならなければ放火罪の成立には満たないということになるのです(その場合、放火未遂罪の成立や、態様によっては別罪の成立も考えられます。)。

「建造物等」への放火罪は、放火罪の中でも重い刑罰が定められており、特に現住建造物等放火罪は死刑も含まれている重大犯罪です。
だからこそ、もしも自身や家族が当事者となってしまったら、刑事事件に強い弁護士のサポートを受けることをおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門弁護士が、重大犯罪の弁護活動についてのご相談・ご依頼も承っています。
まずはお気軽にご相談ください。

次回の記事では、建造物等以外放火罪について取りあげます。

暴行事件で勾留回避

2020-04-27

暴行事件で勾留回避

暴行事件での勾留回避活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府南丹市にある会社で経営者として働くAさんは、ある日の夜、酒に酔って暴行事件を起こしてしまいました。
その場で京都府南丹警察署に通報され、暴行事件の被疑者として現行犯逮捕されてしまったAさんでしたが、ひどく酒に酔っていたため、暴行事件を起こした当時のことを一切覚えてしませんでした。
逮捕後の取調べでも、事件当時のことを聞かれても記憶にないAさんに対し、警察官は「何も覚えていないのならこのまま勾留することになるかもしれない」と言いました。
しかし、Aさんは会社経営者として、連日多くの取引や商談を抱えており、逮捕・勾留によって身体拘束が続けば会社にダメージが出てしまうことになります。
Aさんの逮捕を知ったAさんの妻は、どうにかAさんを早期に釈放できないかと、弁護士を探しましたが、夜中であることもあって連絡がつく弁護士事務所がなかなかありません。
(※この事例はフィクションです。)

~勾留~

勾留とは、被疑者または被告人を刑事施設に拘禁することをいいます。
刑罰としての「拘留」と読み方が同じであるため、混同されがちですが、この勾留は刑罰ではなく、勾留をすることで被疑者・被告人の逃亡または罪証隠滅を防ぐのです。

勾留は、逮捕に引き続く身体拘束であり、逮捕されてから最大72時間以内に勾留がなされるかどうかが決まります。
逮捕された被疑者は、逮捕されたときから48時間以内に検察官のもとへと送られます。
これを「送検」といい、ニュースなどでも使われるワードです。
送検された被疑者は、検察官の取調べを経て、送検から24時間以内に勾留請求をされるかどうか決められます。
検察官が勾留の必要があると判断した場合には、裁判所に対して勾留請求がなされ、請求が認められれば最大10日間、延長されればさらに最大10日間、合計最大20日間の勾留となります。

勾留されてしまうと、家族はもちろんのこと、被疑者が普段働いている会社にも被害が及びます。
具体的には、勾留によって長期に家を空けることで逮捕・勾留の事実が外部に知られてしまったり、家事が回らなくなってしまったり、会社を欠勤してしまったりすることが挙げられます。
先述したように、勾留は延長を含めれば最大で20日間にも及びます。
1か月弱も外に出られず連絡もできない事態になってしまうわけですから、どうにか勾留を避けたいと考える方は多いでしょう。

~勾留回避の弁護活動~

勾留を回避する手段の1つとして、弁護士が検察官へ勾留請求をしないように求め、交渉することが挙げられます。
罪証の隠滅が不可能であることや家族の監督により逃亡が行えないことを理由に、勾留の必要がないことを訴えることが考えられるでしょう。
また、勾留により働いている会社に迷惑がかかることや失業により家族を養えなくなること等の事情についても訴え、勾留請求をしないよう求めることも考えられます。
それでも勾留請求がなされた場合には、勾留請求先の裁判官に対して勾留請求を認めないように求めることになります。

これらの勾留回避活動をしても、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれが認められれば、容疑者は勾留されることとなります。
しかし、勾留が決まったとしても勾留に対して準抗告という、不服申し立てを行うことができます。
釈放を求める場合には、ここで再度、勾留要件を充たさないことを説明していくことになります。

以上のような方法で、弁護士は勾留を避けたり、勾留を短くしたりすることを求めていくことができます。
ですが、これらの活動を充実して行うためには、早期の弁護士への相談・依頼が重要です。
今まで見てきたように、逮捕から勾留が決定されるまでは短い時間の間に行われることから、釈放を求める機会を全て生かすには、逮捕からなるべく早い段階で弁護士が活動を始める必要があるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、24時間いつでも弊所弁護士によるサービスの予約・申し込み受付を行っています。
夜中に起きた刑事事件や逮捕でも、すぐに弁護士のサービスを予約・申し込みできるため、活動を素早く開始することにつながります。
まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。

会社に対する脅迫罪は成立するのか?

2020-04-19

 

会社への脅迫罪が成立するのかどうかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

◇脅迫罪で逮捕◇

Aさんは、京都府宇治市で建設会社を経営しています。
ある日Aさんは、いつも下請けの仕事をAさんの会社に任せていた会社Xが、下請けの仕事を別の会社に任せたことを知りました。
Aさんは怒り心頭となり、会社Xへ赴くと、会社Xの社長であるVさんに対し、「なんでこちらに下請けの仕事を発注しないんだ。そんな態度であれば営業できなくしてやることは簡単なんだぞ。俺には暴力団の知り合いもいる」「何回でも痛い目を見せてやるぞ。二度と仕事できなくしてやる」「こういうことについてあんたはどう考えているんだ」などと話しました。
これを聞いたVさんは恐ろしくなり、京都府宇治警察署に相談しました。
その結果、Aさんは脅迫罪の容疑で京都府宇治警察署に逮捕されることとなってしまいました。
(※フィクションです。)

◇脅迫罪◇

今回問題となっている脅迫罪は、刑法に規定されている犯罪です。

刑法第222条
第1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
第2項 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

この条文を見ると、脅迫罪が成立するには、「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫」するか(刑法第222条第1項)、「親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫」する(刑法第222条第2項)ことが必要とされます。

刑法第222条第1項の条文や刑法の構成からは、脅迫罪の「脅迫」の対象は被害者本人であり、自然人=人間に限定されていると考えられているため、会社に対して脅迫をしたところで、会社に対してこちらの脅迫罪が成立することはありません。
そして、刑法第222条第2項に定められている脅迫罪については、成立のために「親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して」脅迫しなければなりませんが、会社などの法人には親族がいるわけもないですから、こちらの脅迫罪ついてはもとより会社に対して成立しないことになります。
ですから、学説によって争いはあるものの、現在のところ会社に対する脅迫罪は成立しないと考えられています。

◇会社に対する脅迫事件の可否◇

しかし、会社に対しての脅迫行為によって脅迫罪が成立しうる場合もあります。
それは、会社への脅迫行為が、その会社の取締役等個人に対する脅迫行為と認められる場合です。
こうした場合には、その会社の取締役等個人に対する脅迫罪として脅迫罪が成立する可能性が出てくるのです。
過去の裁判例では、「それら法人の法益に対する加害の告知が、ひいてその代表者、代理人等として現にその告知を受けた自然人自身の生命、身体、自由、名誉又は財産に対する加害の告知に当たると評価され得る場合にのみ、その自然人に対する同罪の成立が肯定される」(大阪高判昭和61.12.16)とされています。
ですから、今回のAさんについても、会社Xの営業等に害を与える旨の告知を主にしているようですが、これがVさんの生命や身体、財産に対する害悪の告知となるととらえられ、会社XではなくVさん個人に対する脅迫罪が成立するとされたのでしょう。

◇犯罪が成立するかどうかの判断に強い弁護士◇

脅迫罪に限らず、犯罪の成立過程は条文を一見するだけではわかりづらく、成立するのかどうか、被害者は誰なのか、といったことを正確に把握することはなかなか難しいことです。
だからこそ、法律の専門家である弁護士にそうした刑事事件の細かい部分をフォローしてもらうことで、適切な対応を取っていくことが期待できるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、逮捕された方向けの初回接見サービスや、在宅捜査を受けている方や捜査前の方のための初回無料法律相談など、刑事事件の当事者となった方がどういった場面でもご利用いただけるサービスが揃っています。
脅迫事件をはじめとする刑事事件にお困りの際は、まずは弊所お問い合わせ用フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

SNSを利用した脅迫事件

2020-04-13

SNSを利用した脅迫事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

◇SNSで脅迫◇

Aさんは、ファンとして応援していた京都市左京区で活動しているアイドルのVさんが熱愛報道をされたことに腹を立て、VさんのSNSアカウントに、「ファンの怒りを思い知らせてやる。無事でいられると思うな」「1人で出歩く時は気を付けろ」などとコメントを送りました。
Aさんとしては、「SNSは匿名だし、大事になることもないだろう」という軽い気持ちで行ったことでしたが、後日、京都府川端警察署の警察官がAさん宅を訪れ、「SNSのコメントの件で話を聞きたい。脅迫罪の容疑がかかっている」と警察署に任意同行を求められました。
(※この事例はフィクションです。)

SNSを利用した脅迫罪

スマートフォンの普及などにもより、SNSの発達した時代になりました。
この記事を読んでいる皆さんの中にも、何かしらのSNSを利用しているという方も多いのではないでしょうか。
今回は、そのSNSから刑事事件に発展した事例を取り上げます。

脅迫罪は、刑法第222条に規定されている犯罪です。

刑法第222条
第1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
第2項 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

脅迫罪という犯罪名から、「誰かを脅せば脅迫罪になる」とイメージされがちですが、実はそう単純ではないことに注意が必要です。
脅迫罪が成立する条件を確認してみましょう。

まず、「脅迫」の種類について、脅迫罪の条文では、「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨」(刑法第222条第1項)か、「親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨」(刑法第222条第2項)と決められています。
つまり、たとえ脅し文句であっても、この挙げられている種類に該当しないものである場合、脅迫罪には該当しないということになるのです。
例えば、「殺すぞ」という脅し文句は、その人の生命に対して害悪を加える内容ですから、脅迫罪のいう「生命…に対し害悪を加える旨」であると言えます。
しかし、「お前の恋人を殺すぞ」という脅し文句は、本人の「生命、身体、自由、名誉又は財産に対して害悪を加える旨」(刑法第222条第1項)でもありませんし、「親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨」(刑法第222条第2項)でもありません。

そして、この「害悪」は、一般に人を畏怖させる程度のものでなければならず、「害悪」の発生は脅した側で現実に左右できるものでなければなりません。
具対的に言うと、先ほど例に挙げた「殺すぞ」という生命に対する害悪については、それが実現するかどうかを脅した側で決めることができます。
しかし、「天罰がくだる」といった内容では、天罰がくだるかどうかを脅した側が決めることはできませんから、脅迫罪は不成立となる可能性が出てくることになります(前後の状況や事情によっては脅迫罪に当てはまる可能性もあるため、後述のように弁護士に相談してみることが望しいでしょう。)。

このように、脅迫罪の成立には、単に「脅した」というだけでは足らず、その種類や程度といった条件が当てはまっていることが必要です。
もしも自分のしてしまった行為が脅迫罪に当たるのか、脅迫事件を起こしたと捜査されているが自分のどの行為がどう脅迫罪に当たるとされているのか、と不安に思われている方がいれば、早めに専門知識のある弁護士に相談することが効果的です。
犯罪成立の条件に当てはまるのかどうかは、具体的な事件の事情と判例や学説とを照らし合わせて検討しなければなりません。
脅迫事件に限らず、個々の刑事事件の事情によっては似たような事例であっても判断が異なることがあるため、専門家である弁護士にアドバイスを求めることが有効なのです。

さて、今回のAさんですが、SNSにコメントをしてそこから脅迫罪の容疑をかけられるに至っています。
コメントの内容を見てみると、「無事でいられると思うな」1人でいるときは気を付けろ」といった内容になっています。
直接的にVさんを傷つけると明示しているわけではありませんが、「生命、身体」に何かしらの害が及ぶのではないかと想像もできる内容ですから、脅迫罪に該当すると判断されてもおかしくないでしょう。
脅迫罪のいう「告知」の手段は特に決められていませんから、SNSでコメントをしたことでも脅迫罪となりえます。

SNSは匿名でできるものも多く、気軽に投稿できることから、今回のAさんのような行動も簡単にできてしまいます。
しかし、必要があれば、誰がその投稿をしたのか、そのSNSのアカウントは誰が利用しているのか分かってしまいます。
匿名だからといって安易な行動は慎むことが望ましいですが、もしもSNSを通じて脅迫事件などの刑事事件を起こしてしまったら、すぐに弁護士に相談しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回無料法律相談も受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。

殴らなくても暴行罪で逮捕

2020-04-11

殴らなくても暴行罪で逮捕

殴らなくても暴行罪逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、以前から度々ご近所トラブルを起こしていた相手である隣人のVさんを、京都府城陽市にあるファミレスで見かけました。
AさんはVさんに対する恨みを募らせていたため、Vさんに嫌がらせをしてやろうと、ファミレスに置いてあった塩を手に取り、Vさんに向かって塩を振りかけました。
その塩はVさんの頭や顔にかかり、Vさんは驚き、店員に京都府城陽警察署に通報するよう頼みました。
突然の店内トラブルに驚いた店員が京都府城陽警察署に通報した結果、Aさんは駆け付けた警察官により、暴行罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、Aさんが暴行罪の容疑で逮捕されたと聞き急いで刑事事件を取り扱っている弁護士逮捕されたAさんのもとへ行ってもらうことにしました。
逮捕され京都府城陽警察署に留置されていたAさんは、弁護士に直接殴っているわけでもないのに暴行罪逮捕されたことに不満があると相談しましたが、弁護士から暴行罪にあたる旨を説明されました。
(※この事例は福岡高判昭和46.10.11を基にしたフィクションです。)

~塩をかけて暴行罪の「暴行」に?~

刑事事件となる犯罪の中でも、暴行罪は比較的耳にしやすい犯罪のうちの1つではないでしょうか。
法律上の暴行罪は、「暴行を加えたものが人を傷害するに至らなかったとき」に成立します。

刑法208条(暴行罪)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

では、その暴行罪の「暴行」とは具体的にどのような行為を指すのでしょうか。
一般的にイメージされるであろう、殴る・蹴るといった直接的な暴力については、もちろん暴行罪の「暴行」に含まれます。
そして、それだけではなく、加害者の行為が被害者の身体に直接触れていなくとも、暴行罪は成立します。
例えば、今回のようなケースでは、Aの行った行為は、Vに塩を振りかけるというもので、直接殴ったり叩いたりしたわけではありませんが、このような場合でも暴行に含まれる可能性があります。
他にも髪の毛を不法に切断したり、拡声器を使って耳元で大声を叫んだりする行為も暴行罪とみなされた例もあります。
つまり、被害者の身体に触れていなくとも、被害者の身体に向けられた行為がその相手に不法に不快や苦痛を与えていれば、暴行罪は認められうるのです。

しかし、今回取り上げたような塩を振りかける行為が必ず暴行罪の「暴行」として認められるわけではありません。
暴行罪に当たるかの判断は難しく、一概にどの行為が「暴行」になるかは断定できないのです。
ですから、もし暴行罪の容疑で逮捕されてしまった、取調べを受けることになったという場合には、一度、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

~暴行事件を起こしてしまったら~

暴行事件の場合、今回のVさんのように被害者が存在します。
終局処分で有利な結果を得るためにも、Aさんのように逮捕され身体拘束をされている場合には釈放を求めるためにも、被害者の方への謝罪や弁償を行い、示談を締結することは非常に重要なことです。
ですが、こういった暴行事件などの被害に遭われた場合、いくら謝罪をしたいと言われても、直接会ったり個人情報を教えたりするのは怖いと考える被害者の方も多くいらっしゃいます。

そうした場合であっても、弁護士が間に入ることで、被害者の方の不安を軽減しながら示談交渉を行うことが期待できます。
弁護士が示談交渉を行う場合、被害者の方の個人情報は弁護士限りでとどめられるため、被害者の方は上記のような心配をすることなく謝罪や弁償の話を聞くことができるため、話を聞いていただくハードルを下げることができるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部弁護士は、刑事事件専門の暴行事件にも強い弁護士です。
京都府刑事事件逮捕に対応していますので、京都府暴行事件やその逮捕にお困りの際は、一度ご相談ください。

新型感染症を偽って偽計業務妨害罪に

2020-04-06

新型感染症を偽って偽計業務妨害罪に

新型感染症を偽って偽計業務妨害罪に問われたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市伏見区に住むAさんは、ニュース番組で、新型感染症が流行しているニュースを知りました。
Aさんは、日頃から近所にあるコンビニエンスストアの接客態度が気に食わないと思っていたことから、「新型感染症にかかっていると言って迷惑をかけてやろう。営業できなくなって痛い目を見ればいい」と思い、京都市伏見区にあるコンビニエンスストアに行くと、店員に向かって「俺は新型感染症にかかっている」「うつるから消毒した方がいい」などと告げました。
Aさんの言動により、コンビニエンスストアは保健所へ連絡をするなどしたうえで、店内を消毒するために数時間閉店するなどの対応を取りました。
しかし、その後、Aさんが嘘をついていたことが発覚し、Aさんは偽計業務妨害罪の容疑で京都府伏見警察署に逮捕されることとなりました。
(※令和2年4月5日YAHOO!JAPANニュース配信記事を基にしたフィクションです。)

・新型感染症を偽って偽計業務妨害罪

新型感染症が流行しており、連日関連したニュースが報道されています。
その中で、今回のAさんのように新型感染症にかかったと偽って来店し、その業務を妨害するという業務妨害事件もいくつか報道されています。
たとえ本人が軽い気持ちでいたずら感覚で行っていたとしても、こうした行為は犯罪となります。

今回のAさんの逮捕容疑となっているのは、刑法に規定されている偽計業務妨害罪という犯罪です。

刑法233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

この条文によると、偽計業務妨害罪が成立するには、「偽計を用いて」「その業務を妨害した」ことが必要とされています。
今回のAさんの事例と当てはめながらその条件を確認していきましょう。

まず、偽計業務妨害罪の罪名にも入っている「偽計を用いて」という部分ですが、これは「人を欺罔・誘惑し、または他人の無知・錯誤を利用すること」であると言われています。
簡単に言えば、他人を騙したり、他人が知らないことや勘違いしていることを利用したりすることです。
今回のAさんは、実際は新型感染症にかかっていませんが、あたかも新型感染症にかかっているようなふりをしてコンビニエンスストアの店員を騙しています。
新型感染症にかかっているという嘘を利用しているわけですから、Aさんの行為は偽計業務妨害罪の条文にある通り、「偽計を用いて」いると判断できそうです。

では、偽計業務妨害罪の「業務を妨害した」とはどういった状態を指すのでしょうか。
一般に「業務妨害だ」という場合には、「仕事を邪魔した」ということを指すことが多いでしょう。
偽計業務妨害罪の「業務を妨害した」という言葉も、大まかにはそういった認識で間違っていません。
しかし、いくつか注意すべき点もあります。

例えば、偽計業務妨害罪のいう「業務」とは、「自然人または法人、その他の団体が社会生活上の地位において、あるいはこれと関連しておこなう職業その他の継続して従事することを必要とする事務」を指すとされています。
この「業務」には、一般に言う職業的な意味での「仕事」も含まれますが、経済的に収入を得る目的のもの以外も含むため、例えば継続的に行われているボランティア活動なども偽計業務妨害罪の「業務」になりえることに注意が必要です。

また、条文では「業務を妨害した」とあるため、偽計業務妨害罪の成立には実際に業務妨害された事実があることが必要なように見えますが、偽計業務妨害罪の成立には、実際に業務を妨害されたという事実までは不要で、業務を妨害される具体的な危険が発生していればよいとされています。
偽計業務妨害罪の成立を考える際には、こういった点にも注意が必要なのです。

今回のAさんですが、Aさんが新型感染症であると偽ったことによって、コンビニエンスストアは消毒作業などの対応に追われることになり、通常の営業時間内に閉店するという措置も取っています。
通常であれば営業で来ていた時間に閉店し、不要な業務をしなければならなくなったわけですから、十分「業務を妨害」されたと考えられます。
こうしたことから、Aさんには偽計業務妨害罪の成立が考えられるのです。

なお、今回は実際に業務妨害をされたという事実がありますが、先述のように、例えば消毒作業や閉店等をする前にAさんの嘘が分かったとしても、その嘘によって消毒作業や閉店といった業務妨害の危険性が発生していると判断されれば、実際に店側が業務を妨害されていなくとも偽計業務妨害罪の成立が考えられます。

今回の事例のように、偽計業務妨害事件などで実際に施設や店等の業務を妨害した事実がある場合、被害弁償などが多額になることも予想されます。
被害者との謝罪や示談交渉も、施設や店等についている弁護士と行うことになる場合もあり、当事者だけで対応することに不安が大きいという場合もあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、偽計業務妨害事件のご相談・ご依頼も受け付けていますので、まずはお気軽にご相談ください。

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