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監禁致傷罪の刑罰の重さは?

2021-10-21

監禁致傷罪の刑罰の重さは?

監禁致傷罪の刑罰の重さについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市左京区に住んでいる会社員の男性Aさんは、同じ会社で働いている同僚の女性Vさんを自宅に呼び、一緒に食事していました。
Aさんは、Vさんのことを好ましく思っていたこともあり、もっと長時間一緒に過ごしたいと考え、Vさんの飲み物に睡眠薬を入れ、Vさんの意識を失わせると、翌朝まで自宅から出られないようにしました。
Vさんは、意識を取り戻すと自力でAさん宅から出ると、近くにあった京都府下鴨警察署の交番に助けを求めました。
Aさんは、監禁致傷罪の容疑で京都府下鴨警察署に逮捕されることになり、Aさんの家族は逮捕の連絡を受け取ってすぐ、京都市の逮捕に対応している弁護士に相談することにしました。
(※令和3年10月12日YAHOO!JAPANニュース配信記事を基にしたフィクションです。)

・監禁致死傷罪の刑罰の重さは?

今回の事例のAさんは監禁致傷罪の容疑で逮捕されていますが、Aさんのように刑事事件を起こして逮捕されてしまった状況において、被疑者本人やその家族が心配する大きなことの1つとして挙げられるのが、有罪になった場合の刑罰の重さがどれほどになるのかということでしょう。
罰金を支払って終わりとなるのか、それとも正式裁判となって公開の法廷に立つことがあるのか、そこで有罪となったら執行猶予が付く可能性があるのか、それとも実刑となって刑務所に行くことになるのか、将来に大きく関わることだからこそ、関心も高く不安も大きいでしょう。

ここで、監禁罪監禁致死傷罪の刑罰について確認してみましょう。

刑法第220条(逮捕及び監禁罪)
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

刑法第221条(逮捕及び監禁致死傷罪)
前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

監禁罪の刑罰が「3月以上7年以下の懲役」と定められているのに対し、監禁致死傷罪の刑罰は、「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」と定められています。
監禁罪のように「3月以上7年以下の懲役」とされていれば、どれほどの重さの刑罰か想像しやすいですが、「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」と言われても、刑罰の重さがどのくらいの範囲でさだめられているのか分かりづらいという方も多いでしょう。
「傷害の罪と比較して」とは、監禁致傷罪監禁致死罪それぞれの場合について、刑法の傷害の罪、すなわち傷害罪と傷害致死罪それぞれと比較して重い刑罰である方で処断することを指しています。

例えば、監禁致傷罪の場合を検討してみましょう。
刑法の傷害罪は以下のように刑罰を定めています。

刑法第204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪の刑罰として定められているのは「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となりますから、これと監禁罪の「3月以上7年以下の懲役」という刑罰を比較していくことになります。
これらを比較すると、刑罰の下限は監禁罪の「3月以上」「の懲役」の方が重く、上限は傷害罪の「15年以下の懲役」が重いことが分かります。
このことから、それぞれ重い部分を取り、監禁致傷罪の刑罰は「3月以上15年以下の懲役」ということになるのです。
なお、監禁致死罪の場合は、「3年以上の有期懲役」となります。

刑法では、執行猶予を付すことのできるのは言い渡された刑が3年以下の懲役であることが条件であるとされていますが(刑法第25条)、監禁致傷罪で有罪となった場合、先述の「3月以上15年以下の懲役」の範囲で刑罰が言い渡されることになりますから、言い渡される刑罰の重さ次第では執行猶予を付けることができるということになります。
ですから、早い段階から示談交渉などの被害者対応や、カウンセリングの受診などの再犯防止策の構築など、執行猶予獲得のための準備をしていくことが重要と言えるでしょう。

刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、逮捕直後から被疑者やその家族のサポートを開始することができます。
監禁致傷事件などの刑事事件にお悩みの際は、お早めに弊所弁護士までご相談ください。

睡眠薬を飲ませて監禁致傷事件に

2021-10-18

睡眠薬を飲ませて監禁致傷事件に

睡眠薬を飲ませて監禁致傷事件に発展したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市左京区に住んでいる会社員の男性Aさんは、同じ会社で働いている同僚の女性Vさんを自宅に呼び、一緒に食事していました。
Aさんは、Vさんのことを好ましく思っていたこともあり、もっと長時間一緒に過ごしたいと考え、Vさんの飲み物に睡眠薬を入れ、Vさんの意識を失わせると、翌朝まで自宅から出られないようにしました。
Vさんは、意識を取り戻すと自力でAさん宅から出ると、近くにあった京都府下鴨警察署の交番に助けを求めました。
Aさんは、監禁致傷罪の容疑で京都府下鴨警察署に逮捕されることになり、Aさんの家族は逮捕の連絡を受け取ってすぐ、京都市の逮捕に対応している弁護士に相談することにしました。
(※令和3年10月12日YAHOO!JAPANニュース配信記事を基にしたフィクションです。)

・監禁罪・監禁致傷罪とはどんな犯罪なのか?

今回の事例のAさんは、Vさんに睡眠薬を飲ませて意識を失わせ、それによってAさんの自宅からVさんを出られないようにしたという行為によって監禁致傷罪の容疑をかけられ逮捕されています。
Aさんの逮捕容疑である監禁致傷罪は、刑法で以下のように定められている犯罪です。

刑法第220条(逮捕及び監禁罪)
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

刑法第221条(逮捕及び監禁致死傷罪)
前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

刑法第221条の「前条の罪」は、刑法第220条に定められている逮捕罪及び監禁罪のことを指します。
つまり、監禁罪を犯し、そのことによって人を傷害した場合に、今回問題となっている監禁致傷罪が成立するということになります。

では、そもそも監禁罪における「監禁」とはどういった行為を指すのでしょうか。
監禁罪における「監禁」とは、一定の場所から脱出できないように相手の移動の自由を奪うことを指すと考えられています。
なお、手足を縛るといった直接的な強制力を使って相手の移動の自由を奪った場合は、同じ刑法第220条に定められている「逮捕」の方に当たると考えられています。

ですから、「監禁」の具体例としては、部屋に閉じ込める、自動車の中に閉じ込めるといったケースが考えられます。
そして、その「監禁」が行われる方法としては、部屋に鍵をかけるといったケースが思いつきやすいですが、それ以外にも、相手を乗せた自動車やバイクを高速で走行させる、脅迫によって恐怖心をあおり心理的に動けなくする、睡眠薬を飲ませて意識を失わせることで移動を不可能にするといった方法が挙げられます。

こうした「監禁」を「不法に」行うことで監禁罪が成立します。
「不法に」とは、正当な理由がなく行われることを指します。
例えば、警察官が被疑者を逮捕するという行為は、確かに「逮捕」に当たる行為ですが、刑法・刑事訴訟法に基づいた正当な行為であるため、「不法に」行われたものではない=逮捕罪には当たらないということになります。

今回のAさんについては、睡眠薬によってVさんの意識を失わせてAさんの自宅から出られないようにしている上、その行為は正当な理由があって行われたものではないため、「不法に」人を「監禁」しているものと考えられ、まずは監禁罪が成立すると考えられます。

・睡眠薬で眠らせる=「傷害」に?

先ほど、「監禁致傷罪監禁罪を犯したことによって人を傷害したときに成立する」ということを確認し、今回の事例のAさんにはひとまず監禁罪は成立しそうだというところまで検討しました。
今回の事例のAさんは監禁致傷罪の容疑で逮捕されていますから、監禁罪を犯したことでVさんを傷害したと疑われていることになります。
ここで、「Vさんに怪我を負わせているわけでもないのに傷害したことになるのか?」と疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに、「傷害」や「致傷」といった言葉からは、流血を伴う切り傷や擦り傷、骨折などの物理的で分かりやすい怪我を思い浮かべやすいです。
しかし、刑法でいわれる「傷害」とは、人の生理的機能に障害を与えることであると解されています。
つまり、先ほど例として挙げた切り傷や擦り傷、骨折などの物理的に分かりやすい怪我だけでなく、意識障害なども「障害」に当てはまるのです。

今回のAさんは、Vさんを監禁するにあたって、Vさんに睡眠薬を飲ませることでVさんの意識を失わせるという意識障害を引き起こしています。
そのため、Aさんの行為は監禁罪を犯したことによってVさんを傷害した=監禁致傷罪にあたると考えられるのです。

刑事事件では、言葉のイメージから実際に成立する犯罪と想像していた犯罪が異なってしまうことがあります。
自分にかけられた容疑をきちんと把握しながら刑事手続きに対応していくことも重要なことですから、早い段階から専門家である弁護士に相談し、自分にかけられた容疑が何であるのか、なぜその容疑をかけられているのかを把握しておきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門の弁護士が逮捕直後から相談者様をサポートします。
まずはお気軽にご相談ください。

少年によるDV事件

2021-09-20

少年によるDV事件

少年によるDV事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

Aさんは、京都市上京区に住んでいる17歳の男子高校生です。
Aさんは、母親と兄弟と一緒に生活していましたが、気にくわないことがあると日常的に母親に対して暴力をふるっていました。
ある日、Aさん宅から激しい物音を聞いて不審に思った隣人が通報したことで、Aさんは暴行罪の容疑で京都府上京警察署逮捕されてしまいました。
Aさん逮捕の連絡を聞いたAさんの祖父母は、家庭内のトラブルが警察沙汰になったことに驚くと同時に、今後どのように対応すべきなのか分からず、困ってしまいました。
そこでAさんの祖父母は、京都府少年事件に対応している弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・DVと少年事件

DVとは、「domestic violence」の略であり、いわゆる家庭内暴力のことを指します。
DVというと、親が子どもに対して暴力を振るうなどするケースが思い浮かびやすいですが、あくまで「家庭内」の暴力であることから、大人が子どもに対して行うものと限定されているわけではありません。
今回の事例のAさんのように、子どもから親への暴力、子どもから大人に対して行うDVも存在します。

令和2年版犯罪白書によると、少年によるDVの認知件数は、平成24年から毎年増加しており、令和元年に認知された少年によるDVは3,596件だったそうです。
令和元年に認知されたDVを就学・就労別に見ると、一番多いのは中学生によるDV(1,525件)であり、その次に高校生(1,082件)、小学生(631件)となります。
特に近年は小学生によるDVが大きく増加しており、前年度に比較して40%も増加しているという数値が出ています。
そして、家庭内暴力の対象としては(同居の家族に限る)、母親が2,187件と最も多く、次いで父親が403件、兄弟姉妹が329件となっています。
さらに、家財道具等に暴力を振るうケースも465件認知されています。
こうした数値を見ると、子どもによるDVは少ないものではないということが分かりますし、近年では小学生という低年齢の子どもによるDV事案も少なくない数があるということが分かります。

DV事件、特に子どもによるDV事件では、「家庭内のトラブルだから大事にはならない」「子どもが反抗しているだけで大したことではない」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、人に暴力を振るう行為は刑法の暴行罪(刑法第208条)に、暴力によって人に怪我をさせれば傷害罪(刑法第204条)となります。
その他にも、DVの態様によっては、器物損壊罪や侮辱罪、名誉毀損罪など、様々な犯罪に触れる可能性があります。
家庭内で起こったこととはいえ、犯罪になることであれば刑事事件少年事件となりうることであり、警察などの捜査機関や裁判所が絡む話になってくるのです。

今回のAさんのような未成年者の起こした少年事件では、少年のその後、更正できる環境を整えることが重要です。
DV事件のように生活の拠点である家庭で起きた少年事件では、特にその環境調整活動に力を入れる必要がありますが、家族が当事者となるため、なかなか当事者だけで今までの問題を解決し環境を改善することは難しいことも多いです。
だからこそ、少年事件を取り扱う専門家の弁護士のフォローを受けながら手続きに臨んでいくことが望ましいと考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、子どもによるDV事件についてもご相談・ご依頼を承っています。
京都府少年事件にお困りの際は、お気軽にご相談ください。

半グレ同士の喧嘩で傷害事件

2021-09-13

半グレ同士の喧嘩で傷害事件

半グレ同士の喧嘩で傷害事件を起こしてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府木津川市に住む18歳のAさんは、自身の通う高校の卒業生であり、素行のよくないBさんらが組織する、いわゆる半グレ集団に所属していました。
Aさんは半グレの仲間たちとたびたび夜間に外出したり学校をさぼったりしていました。
ある日、京都府木津川市内で、Aさんが所属している半グレグループとは異なる半グレグループXと喧嘩になってしまい、AさんはBさんらと一緒になって半グレグループXに所属している人たちを殴ったり蹴ったりして暴行し、怪我を負わせてしまいました。
喧嘩を目撃した人が通報したことにより、Aさんは半グレの仲間たちと一緒に京都府木津警察署に傷害罪の容疑で逮捕されることになりました。
Aさんは自身が逮捕されるほどの大事を起こしてしまったことに動揺し、両親が逮捕を知って悲しんでいることを知って、半グレから抜けて更生したいと思っているようです。
(※この事例はフィクションです。)

・「半グレ」とは?

ニュースなどで「半グレ」「半グレ集団」といった言葉を耳にしたことのある方もいらっしゃるかもしれません。
半グレは、暴力団に所属せずに犯罪を繰り返す不良集団のことを指しているとされています。
半グレの「グレ」は、不良などになることを指す「グレる」という言葉や、暴力団に所属していないながらも犯罪を繰り返すことから「グレーゾーン」であることなどによるとされています。

この半グレは、暴力団とは異なりその構成は若者が中心となっているといわれています。
暴力団のように上下関係がはっきりしてピラミッドのように組織が作られているわけではなく、暴走族等からそのまま半グレに移行したり、年代でまとまったりして半グレになったりということもあるようです。
そのため、先輩後輩関係から10代で半グレ集団と関わってしまうこともあると考えられるのです。

・喧嘩による傷害事件

多くの場合、人に暴力をふるえば刑法の暴行罪が、それによって相手に怪我をさせてしまえば傷害罪が成立します。
殴る蹴るの喧嘩となった場合、これらの犯罪の成立が考えられます。

刑法204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法208条(暴行罪)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

今回のAさんは18歳であるため、少年事件として扱われ、基本的に刑罰を受けることにはならないと考えられます。
しかし、成人の刑事事件として考えれば、集団で暴行をはたらいたことによる傷害事件は悪質性・危険性の高い犯行であると判断され、厳しい処分が下される可能性も考えられます。

・半グレと少年事件

先ほど触れたように、半グレの構成は若者が多いことから、10代の未成年者であっても半グレに所属してしまう可能性はあります。
Aさんも半グレに所属しており、そこで傷害事件を起こしてしまっているようです。

先述したように、未成年者が犯罪をしてしまった場合には、少年事件として処理されていくことになります。
少年事件で重視されるのは、少年自身が更生するのに適切な環境が整えられるのか否かということです。
例えば、半グレに所属して少年事件を起こしてしまったのに、その半グレとの関係を断ち切れない、断ち切る気がないといった環境のままでは、少年を現在の環境に戻して更生させることは難しいと判断されてしまいやすいと考えられます。

今回のAさんのような少年事件では、Aさん自身がやってしまったことを反省し、被害者への謝罪の気持ちをもつことはもちろんですが、これからの生活でどのような点を改めて再犯を防止していくのかということも重要なのです。

そうした環境の調整やその調整活動の証拠化には、少年事件に強い弁護士のサポートが心強いでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、少年事件も専門に扱う弁護士が初回無料法律相談や初回接見サービスも行っておりますので、まずはお問い合わせください(0120-631-881)。

触法少年と児童相談所

2021-08-26

触法少年と児童相談所

触法少年児童相談所について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府八幡市の中学校に通う12歳のAさんは、ある日、近所に住んでいる女性Vさんに注意されたことをきっかけにVさんと口論になりました。
そして、AさんはVさんに対して暴行を加え、Vさんに全治1ヶ月の大けがを負わせてしまいました。
その様子を目撃した通行人が京都府八幡警察署に通報たことで、京都府八幡警察署の警察官が現場へ駆け付け、Aさんを要保護児童として一時保護し、児童相談所に通告することにしました。
京都府八幡警察署からの連絡でAさんが児童相談所に保護されたことを知ったAさんの家族は、少年事件を取り扱っている弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・触法少年事件と一時保護

14歳未満の少年が犯罪に該当する行為を行った場合、触法少年事件と呼ばれ、その少年のことは触法少年と呼ばれます。
刑法では、14歳未満の者について刑事責任能力をないものとし、罰しないとしています。

刑法第41条
14歳に満たない者の行為は、罰しない。

そのため、14歳未満の少年が犯罪に該当する行為をした場合、つまり、触法少年事件の場合、触法少年が逮捕されることはありません。
つまり、14歳未満の少年が犯罪に該当する行為をしたとしても、刑法上14歳未満は刑事責任能力がないとされてることからそもそも犯罪が成立しないため、逮捕できないのです。

では、触法少年少年事件を起こしても全く身体拘束を受けることがないのかというと、そうではありません。
児童福祉法では、児童相談所長が必要と認める時には「一時保護」を行う、または行わせることができるとされています。

児童福祉法第33条第1項
児童相談所長は、必要があると認めるときは、第26条第1項の措置を採るに至るまで、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため、児童の一時保護を行い、又は適当な者に委託して、当該一時保護を行わせることができる。

このうち、「第26条第1項の措置」とは、児童やその保護者を福祉施設へ送致する等の措置を指します。

上記事例のAさんも、要保護児童(保護の必要がある児童)として一時保護されています。
一時保護は原則として保護者や子ども自身の同意が必要ですが、子どもを放置することでその子どもの福祉を害すると判断された場合はその限りでないとされています(児童相談所運営指針より)。

・児童相談所への通告

先ほど挙げたように、刑法第41条の規定により、14歳未満の者が犯罪に該当する行為をしても犯罪は成立しない(罰せられない)ということになります。
しかし、刑法上犯罪が成立しない(罰せられない)からといって、少年事件を起こした触法少年に対して何の手続きも処分もなく少年事件が終わるということではありません。

少年法では、触法少年について、警察官の調査の結果、「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪」、「死刑又は無期若しくは短期2年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪」に触れると考えられるときや、「家庭裁判所の審判に付することが適当であると思料するとき」に、児童相談所長に事件を送致しなければならないとされています。

少年法第6条の6第1項
警察官は、調査の結果、次の各号のいずれかに該当するときは、当該調査に係る書類とともに事件を児童相談所長に送致しなければならない。
第1号 第3条第1項第2号に掲げる少年に係る事件について、その少年の行為が次に掲げる罪に係る刑罰法令に触れるものであると思料するとき。
イ 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪
ロ イに掲げるもののほか、死刑又は無期若しくは短期2年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪
二 前号に掲げるもののほか、第3条第1項第2号に掲げる少年に係る事件について、家庭裁判所の審判に付することが適当であると思料するとき。

さらに、児童福祉法では、要保護児童を発見した者は、児童相談所へ通告しなければならないとされています。

児童福祉法第25条第1項
要保護児童を発見した者は、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。
ただし、罪を犯した満14歳以上の児童については、この限りでない。
この場合においては、これを家庭裁判所に通告しなければならない。

この児童相談所への通告を要する要保護児童とは、「保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童」(児童福祉法第6条の2第8項)とされています。
この要保護児童の定義には、不良行為や犯罪行為をしたり、そういった行為をするおそれのある児童を含みますから、触法少年も要保護児童に該当するケースが多いのです。

そして、この児童相談所への通告や送致がなされると、そこから、触法少年に対してどのような処遇がなされるのか決定されます。
具体的には、訓戒を与えたり、児童自立支援施設等に入所させたり、家庭裁判所に送致して審判を受けたりという処遇が挙げられます。
このうち、家庭裁判所へ送致されて審判を受けるということになれば、それまでの期間に家庭裁判所調査官からの調査を受け、少年事件を起こしてしまった原因や今後少年が再犯をせずに更生するために必要なことを専門的に探っていくことになります。
その後、少年の更生に適切であると考えられる処分、例えば少年院や児童自立支援施設への送致や保護観察処分などが下されることになります。

少年事件では、少年の更生により適切な環境・処分となるよう、少年自身だけでなく少年の周りの環境も整えていく必要があります。
この環境調整活動は、当事者のみで行うよりも専門家のサポートを受けて行っていくことでより効果的なものになると考えられます。
さらに、今回のAさんの事例のように、被害者が存在する少年事件では被害者対応も必要となってくるでしょうから、まずは少年事件を取り扱っている弁護士に相談してみることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、触法少年事件を含む少年事件・刑事事件を取り扱っています
少年事件は成人の刑事事件とは異なる手続きや処分があることでイメージしづらい部分も多いですが、触法少年事件となるとより一般の方に分かりづらくなってしまうおそれもあります。
まずは弁護士の話を聞くだけでも少年事件の全体像を把握しながら手続きに臨むことが期待できますから、お気軽にご相談ください。

夫婦喧嘩で逮捕されたら

2021-08-12

夫婦喧嘩で逮捕されたら

夫婦喧嘩逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

~事例~

京都府宇治市に住んでいるAさんは、妻であるVさんと2歳娘であるBちゃんとともに暮らしていました。
Bちゃんの世話はVさんが主になって行っていましたが、Aさんも平日の家事や食事の支度を積極的に行うなして生活していました。
しかしある日、酒を飲んだAさんとVさんはBちゃんの教育方針について言い争いになり、夫婦喧嘩に発展してしまいました。
そして、カッとなったAさんは、勢いにまかせてVさんの首をしめてしまいました。
Vさんは痛みを感じ、大声で助けを呼びました。
Vさんの悲鳴を聞いた近所の人が110番したことで、京都府宇治警察署の警察官が駆け付けました。
Vさんの首には爪のひっかき跡ができたのみで他に怪我は残りませんでしたが、VさんがAさんから首を狙われたと言っていたことから、Aさんは殺人未遂罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、Aさんが殺人未遂罪逮捕されたと聞いて驚き、急いで刑事事件に対応している弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・夫婦喧嘩から殺人未遂事件に?

今回のAさんは、殺人未遂罪の容疑で逮捕されてしまっています。

刑法第199条
人を殺した者は、死刑又は無期もしくは7年以上の懲役に処する。

殺人罪で問題とされる行為のことを、殺人の実行行為といいます。
この殺人の実行行為は、死亡結果を生じさせる現実的危険性を有する行為をいいます。
この行為に当たるかは、その行為の態様、創傷した部位や程度などを考慮して判断されます。
典型的には、人の腹の中心をナイフで刺すような行為は、人を死亡させる危険性の高い行為といえますから、殺人の実行行為と認められます。

今回のAさんの事例で考えてみましょう。
体の生命維持の中でも最も大事な器官の一つである首を力のある男性=Aさんが絞めたとなれば、被害者=Vさんが死んでしまう可能性は否定できないと思われます。
そうなると、AさんがVさんの首を絞めた力や時間などにもよりますが、Aさんの行為が殺人罪の実行行為であると捉えられる可能性もあるということになります。

ここで、未遂犯について確認しておきましょう。
未遂犯は、その犯罪の実行行為をしたものの、その犯罪の構成要件的結果が発生しなかった場合に成立します。

刑法第43条
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。

未遂犯は全ての犯罪に成立するわけではなく、個別に定められます。
つまり、未遂犯の規定がない犯罪では、未遂犯は成立しないということです(例えば、暴行罪に未遂犯は規定されていませんから、暴行未遂罪はありません。)。
殺人罪については、以下のように未遂犯が規定されています。

刑法第203条
第199条及び前条の罪の未遂は、罰する。

今回のAさんの逮捕容疑である殺人罪では、犯罪の結果となるのは被害者の死亡事実です。
Aさんの行為が殺人罪の実行行為に当たると仮定しても、今回の事例でVさんは軽傷を負ったのみで死亡していません。
つまり、被害者の死亡という殺人罪の結果が発生していませんので、条文の条件だけ見れば、Aさんには殺人未遂罪が成立する可能性があるということになります。

しかし、今回の事例では、AさんとVさんのトラブルはあくまで夫婦喧嘩であり、Aさんには殺意がない=殺人罪の故意がなかったと考えられます。
殺人罪殺人未遂罪も、成立するには故意が必要ですから、Aさんに殺人罪の故意がないのであれば殺人未遂罪は成立しないことになります。

ですが、Aさんの逮捕容疑は殺人未遂罪ですから、捜査機関としてはひとまずAさんに殺人未遂罪が成立するとして事件を捜査することになるでしょう。
ですから、Aさんに殺人罪の故意がなかったことなどからAさんには殺人未遂罪が成立しないことや、成立するにしてもVさんに怪我を負わせたことによる傷害罪にとどまることなどをきちんと主張し対応していく必要があると考えられます。
そのためには、逮捕直後から始まると予想される取調べへの対応や、再犯防止策の構築などに早期から取り組んでいくことが必要です。
だからこそ、事件が起こってからなるべく早い段階で弁護士に相談・依頼することが重要なのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、夫婦喧嘩から刑事事件に発展したケースについてのご相談・ご依頼も承っています。
夫婦喧嘩が発端とはいえ、事件態様によっては今回のAさんのケースのように殺人未遂罪という重大犯罪の容疑がかかってしまうこともあります。
そういった時こそ専門家のサポートを受けることが大切ですから、まずはお気軽にお問い合わせください。

殺人未遂事件の逮捕も弁護士へ

2021-08-05

殺人未遂事件の逮捕も弁護士へ

殺人未遂事件逮捕弁護士に相談するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府向日市に住んでいるVさんのことをひどく恨んでいました。
ある日、AさんはついにVさんを殺してやろうと思い立ち、毒物を混入したワインをVさん宛に発送しました。
宅配業者が預かったワインは、配達当日にVさんが不在のため宅配業者の事業所で保管されていましたが、後日、Vさんのもとに届けられました。
受け取ったワインを飲んだVさんは、混入していた毒物のせいで病院に入院する事態に陥りましたが、命に別状はありませんでした。
後の警察の捜査では、ワインに混入された毒は致死量の9割しかありませんでした。
その後、捜査の結果、Aさんがワインに毒物を入れたことが発覚し、Aさんは殺人未遂罪の容疑で京都府向日町警察署逮捕されました。
(※この事例はフィクションです)

・隔離犯

今回のAさんの事例では、Aさんがワインに毒物を仕込み、それを宅配業者に配達させ、後日そのワインを受け取って飲んだVさんを殺そうとしています。
こうしたケースを隔離犯と呼ぶこともあります。
離隔犯とは、行為と結果発生との間に時間的・場所的な間隔が存在する場合のことをいいます。

離隔犯に関わる刑事事件では、行為者が意図しない客体を巻き込んでしまったり、結果の発生時期が前後することなどが考えられます。

・不能犯

不能犯とは、およそ結果が発生する可能性のない行為を行うことで犯罪を実現しようとする場合のことをいいます。
例えば、塩を劇薬であると勘違いして毒殺を図るような場合が不能犯のケースに当たります。
行為者が構成要件に該当する行為を行ったつもりでも、もし不能犯であると認められれば未遂も成立せず処罰されることはありません。

今回のケースでは、Aさんは毒物を混入したワインをVさんに飲ませることで殺害しようとしています。
しかし、ワインに混入された毒の量は致死量の9割にとどまるものでした。
AさんはVさんを殺害しようと考えていますので、殺人未遂罪(刑法第199条、同法第203条)の適用が考えられます。
殺人未遂罪の量刑は殺人罪の法定刑である死刑または無期もしくは5年以上の懲役のうち、刑法第43条によって減軽されたものが言い渡されます。
もっとも、未遂犯だからといって刑法第43条によって必ず減免されるわけではありません。

繰り返しになるかもしれませんが、不能犯に当たるかどうかは、基本的にはある行為が構成要件的結果を発生させる具体的な危険を有するかどうかによって判断されます。
今回のケースでも、毒が致死量の9割にすぎないとはいえ、実際にVさんが入院する事態にまで至っていることから、Vさんの体調などの状況によって死亡するリスクも考えられるというような場合には、特にAさんがVさんに毒入りのワインを飲ませた行為が殺人罪の実行行為に当たるとして殺人未遂罪の成立が肯定される可能性は十分にあります。

・「実行の着手」

先ほど「AさんがVさんに毒入りのワインを飲ませた行為が殺人罪の実行行為に当たる可能性がある」と触れましたが、刑法上、具体的にどの行為が実行行為の始まり=「実行の着手」に当たるかが重要になります。

犯罪は行為について成立するものなので、まだ構成要件該当行為がなされていない実行の着手以前の段階では、未遂犯を含めて犯罪が成立し処罰されることはありません。
ただし、殺人罪や強盗罪といった一部の犯罪については実行の着手前であっても準備行為を処罰するものとして予備罪が設けられています。
殺人予備罪(刑法第201条)の法定刑は2年以下の懲役で、但し書きにより刑を免除することができるとされています。

実行の着手時期については学説上様々な見解があり、大きく主観説と客観説の2つに分類されます。
主観説は、客観的事情によって犯意の存在を確定的に認定できる行為が行われた時点を実行の着手時期とする考えです。
客観説は、さらに形式的客観説と実質的客観説に分けられます。
形式的客観説は、実行行為そのものに先行しこれと密接不可分な行為の開始時点を実行の着手時期とします。
例えば、物を盗むためにその物に手を伸ばす行為が行われた時点などが実行の着手時期となります。
対して、実質的客観説は、構成要件の実現や法益侵害の現実的危険性が認められるときに実行の着手があるものとする考えです。

従来の判例の考え方は形式的客観説の立場に立ったものでしたが、実質的客観説に従ったものと考えられるような判例も存在します(最決昭和40.3.9)。

今回のケースについて客観説をベースに検討すると、Aさんが毒入りワインを発送し宅配業者の下で保管されている段階では、まだVさんが死亡する現実的危険性がなく、Vさんを死亡させるに密接な行為とも言い難いため、殺人罪の「実行の着手」は認められないでしょう。
殺人罪の「実行の着手」が認められるのは、Vさんがワインを受け取りいつでも飲める状態になった段階あるいは実際に飲もうとしている段階に求められることになります。
いずれにせよ、Vさんはワインを飲んでしまっているので殺人未遂罪が成立するものと考えられます。

不能犯として不可罰となるか可罰的未遂となるのか、あるいは実行の着手前であるとして不可罰となるのか実行の着手ありとして可罰的となるのかは大きな違いです。
これらの判断は法律の専門家でも難しい場合が多く、事件の解決や処罰を回避できる可能性を高めるためには刑事事件を数多く扱った経験のある弁護士の知識や分析の提供を受けることが必要になります。

殺人未遂罪の被疑者となってしまった方、京都府向日町警察署で取調べを受けることになってしまった方は、お早めに、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

公務執行妨害事件の逮捕に対応

2021-08-02

公務執行妨害事件の逮捕に対応

公務執行妨害事件逮捕に対応するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府京丹後市でタクシー運転手として働いています。
ある日、Aさんがタクシーの乗客をおろすために交差点内で停止したところ、それを見ていた巡回中の京都府京丹後警察署の警察官から注意を受けました。
Aさんは注意されたことに腹を立てると、警察官に向かって複数回タクシーを前進させました。
警察官は転倒したものの怪我はありませんでした。
しかし、Aさんはその場で公務執行妨害罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、Aさんが逮捕されたことを知り、Aさんのために何かできないかと弁護士に相談することにしました。
(※令和3年7月25日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・公務執行妨害罪と逮捕

今回のAさんは、公務執行妨害罪の容疑で逮捕されていますが、公務執行妨害罪は刑法に以下のように定められている犯罪です。

刑法第95条第1項
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若し
くは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

公務執行妨害罪は、ざっくりと大まかにいえば、公務員が仕事をしているところに暴行や脅迫を加えた者に成立するという犯罪です。
刑法における「公務員」とは「国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員」とされていることから(刑法第7条第1項)、今回のAさんの事例で相手となっている警察官も刑法上の「公務員」となります。
そして、今回の事例では、Aさんは巡回中の警察官に対してタクシーを前進させています。
警察官が巡回することは警察官の仕事の1つであり、今回の事例の警察官はその仕事の最中であることから、公務執行妨害罪の「職務を執行するに当たり」という部分にも該当することになります。
さらに、Aさんは警察官に対してタクシーを前進させており、それによって警察官を転倒させていますが、これは「暴行」であると考えられます。
ですから、今回のAさんには公務執行妨害罪が成立すると考えられるのです。

そのAさんは、冒頭でも触れたように公務執行妨害罪の容疑で逮捕されていますが、公務執行妨害事件では現行犯逮捕される事例も少なくありません。
というのも、今回の事例のAさんのように、公務執行妨害罪の「公務員」に当たる人が警察官であることが少なくないからです。
警察官が事件の当事者としてその場にいる場合、犯行を現認してすぐに現行犯逮捕に結びつくため、公務執行妨害事件現行犯逮捕されるというケースがよく見られるのです。

こうした警察官相手の公務執行妨害事件では、基本的には示談締結ができません。
これは、法律上公務執行妨害罪の被害者は国や自治体となっているため、国や自治体相手に示談することは難しいということによります。
後述のように、公務執行妨害罪とは別の犯罪が成立した場合には、その犯罪に関しては被害者となる個人と示談交渉をするというケースもありますが、公務執行妨害罪自体は被害者対応をすることが難しいのが実情です。
だからこそ、それ以外の部分、例えば再犯防止策の構築や反省の深まりを表す反省文や贖罪寄付などに早い段階から取り組み、証拠化していくことが重要となります。

・公務執行妨害罪以外の犯罪

今回のAさんは公務執行妨害罪の容疑で逮捕されていますが、例えばAさんの暴行によって警察官が怪我をしていた場合には、公務執行妨害罪とは別に傷害罪(刑法第204条)が成立することになります。
さらに、Aさんが警察官を殺してしまうつもりでタクシーを前進させ、実際に警察官を殺してしまったり、殺す危険性のある行為に及んでいたりする場合には、殺人罪(刑法第199条)や殺人未遂罪(刑法第203条)の成立も考えられます。

公務執行妨害事件では、暴行が用いられることも多いため、その暴行行為から派生して別の犯罪が成立してしまう可能性があることにも注意が必要です。

公務執行妨害事件、特にAさんの事例のような警察官相手の事件では、逮捕などの身体拘束を受けやすく、さらに示談締結も難しいという事情がありますから、一般の方だけで手続に臨むことは負担が大きいでしょう。
刑事事件に強い弁護士に早めに相談することで、刑事事件に臨むことへの不安・負担の軽減が期待できます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、公務執行妨害事件を含む刑事事件全般に対応しています。
京都府公務執行妨害事件逮捕にお困りの際は、お気軽にご相談下さい。

相手が同意していても強制わいせつ罪?

2021-07-19

相手が同意していても強制わいせつ罪?

相手が同意していても強制わいせつ罪に問われたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府宮津市に住んでいる24歳のAさんは、近所に住んでいる小学生のVさん(12歳)と度々挨拶や立ち話をする仲でした。
ある日、Vさんからキスをしてほしいと言われたAさんは、Vさんにキスをして抱きしめたり、Vさんの胸や臀部といった身体を触ったりするようになりました。
AさんとVさんがキスなどの行為をするようになってしばらくしてから、Vさんの両親が、Vさんが何か隠している様子であることに気が付き、Vさんを問い詰めたことで、AさんとVさんの関係が発覚しました。
Vさんの両親が京都府宮津警察署に相談し、Aさんは強制わいせつ罪の容疑で話を聞かれることになりました。
Aさんは、「キスやハグなどは全てVさんから言い出したことで、相手のVさんは同意していた。それでも犯罪になるのか」と思い、刑事事件に対応している弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・「相手の同意がある=強制わいせつ罪にならない」ではない?

強制わいせつ罪という名前から、強制わいせつ罪は「強制的にわいせつな行為をする」という犯罪のイメージがある方も多いのではないでしょうか。
そのため、「わいせつな行為に対して相手の同意がない=強制わいせつ罪が成立する」、「わいせつな行為に対して相手の同意がある=強制わいせつ罪が成立しない」というイメージの方も少なくありません。

しかし、今回のAさんは、相手であるVさんの同意があった上でキスなどをしているにもかかわらず、強制わいせつ罪に問われているようです。
このように、相手の同意があったにも関わらず強制わいせつ罪に問われることがあるのでしょうか。
まずは、強制わいせつ罪の条文を確認してみましょう。

刑法第176条(強制わいせつ罪)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ罪の条文の前段では、「暴行又は脅迫を用いて」わいせつな行為をした者に強制わいせつ罪が成立する旨が定められています。
これは先ほど挙げたような、「相手の同意を得ないわいせつな行為に強制わいせつ罪が成立する」といった、世間一般の強制わいせつ罪のイメージと重なるものではないでしょうか。
ただし、ここで注意しなければいけないのは、この「暴行又は脅迫を用いて」わいせつな行為をした場合に強制わいせつ罪が成立するのは、「13歳以上の者」への行為と限定されているということです。

これに対して、相手が13歳未満の者であった場合については、強制わいせつ罪の条文の後段に定められています。
13歳未満の者が相手であった場合、強制わいせつ罪は「わいせつな行為をした」だけで成立します。
つまり、被害者の年齢次第では、「暴行又は脅迫」という手段が用いられなくとも、わいせつな行為をしただけで強制わいせつ罪が成立することになるのです。
「わいせつな行為をした」だけで成立するのですから、相手がわいせつな行為に同意していたとしても強制わいせつ罪が成立することになるのです。
当然、13歳未満の者に対して暴行や脅迫を用いてわいせつな行為をした場合にも強制わいせつ罪は成立しますが、相手の同意があったからといって必ずしも強制わいせつ罪にはならないというわけではないのです。

今回の事例のAさんは、12歳のVさん相手にキスなどをしているようです。
AさんはVさんの同意を得てした行為だと考えているようにですが、先ほど確認したように、相手が13歳未満の場合、相手に同意があったとしても、わいせつな行為をしただけで強制わいせつ罪が成立します。
ですから、Vさんの同意の有無に関係なく、Aさんには強制わいせつ罪が成立すると考えられるのです。

・被害者が未成年の強制わいせつ事件

強制わいせつ事件は被害者の存在する刑事事件ですから、被疑者・被告人が容疑を認めているのであれば、被害者への謝罪や被害弁償は、重要な弁護活動の1つとなってきます。

しかし、加害者である被疑者・被告人やその家族など近しい人たちが被害者に直接接触することは、刑事手続上よくないと考えられることが多いです。
被疑者・被告人やその家族が被害者に謝罪したいと捜査機関に申し出ても、連絡先等を教えられないと断られることが多いです。

というのも、加害者である被疑者・被告人が直接被害者に接触することで、証拠隠滅(例えば証言の変更を迫るなど)や被害者へ危害を加えるといったおそれが考えられるためです。
被害者側としても、当然加害してきた被疑者・被告人に怒りや恐怖の感情を抱いていることが多く、直接接触することは避けたいという意向であることも多いです。
特に、被害者が未成年である場合には、被害者本人ではなく、その両親などの保護者が謝罪等の相手となります。
自分の子供が性被害にあった状況ですから、被害感情が強いことが当然予想されます。
もしも当事者同士で謝罪の場を設けられたとしても、余計にこじれてしまう可能性も考えられます。

だからこそ、謝罪・被害弁償・示談交渉には、弁護士を間にはさむことがおすすめされます。
被害者の側からしても、直接加害者本人と接触せずに済むため、安心して話を聞くことができます。
被疑者・被告人の側からしても、法律の専門家であり第三者である弁護士が間に入ってくれることは安心できる要素でしょう。
早い段階から弁護士に相談・依頼することが望ましいといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、強制わいせつ事件などの性犯罪事件も承っています。
京都府の強制わいせつ事件にお困りの際は、お気軽にご相談ください。

強盗致傷事件の逮捕に対応

2021-07-12

強盗致傷事件の逮捕に対応

強盗致傷事件逮捕に対応する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、宝石を盗み出して儲けようと計画し、京都府舞鶴市にある宝石店Xに侵入し、宝石を物色していました。
しかし、宝石店Xの警備員であるVさんが巡回にやってきて、Aさんは宝石を物色しているところを発見されてしまいました。
Aさんは、こっそり宝石を盗み出すことは諦めて、警備員Vさんを脅して宝石を奪い取って逃げようと計画を変更し、携行していたナイフをチラつかせてVさんを脅すと、宝石を自分のカバンにしまい、逃げようとしました。
ところが、VさんはAさんが目を離したすきに警棒を持ち、Aさんをつかまえようと立ち上がりました。
ポケットにしまったナイフを取り出すのに手間取ったAさんは、とにかく逃げなければいけないと逃げ出しましたが、Vさんの追跡から逃げきれず、Vさんに追いつかれてしまいました。
この時点で、AさんがナイフでVさんを脅迫した時から10分が経過し、宝石店Xから150mほど離れた地点に来ていましたが、AさんはVさんの顔面を殴りつけるなどの暴行を加えて怪我を負わせると、逃亡を再開しました。
ですが、これらのやり取りを目撃した通行人が通報したことで京都府舞鶴警察署の警察官が駆け付け、Aさんは強盗致傷罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・強盗致傷罪と「強盗の機会」

Aさんは元々宝石をこっそり盗み出すという窃盗行為を計画していたようですが、犯行の途中で警備員Vさんを脅して宝石を奪うように計画を変更しています。
このように、当初窃盗行為を意図しながら被害者などに発見されたために、暴行や脅迫をを加えたうえで財物奪おうとする犯人のことを「居直り強盗」と呼ぶことがあります。
居直り強盗というだけあって、こうした行為には刑法の強盗罪が成立すると考えられます。

刑法第236条第1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

強盗罪の「暴行又は脅迫」とは、相手の反抗を抑圧するに足りる程度の強さのある暴行又は脅迫を指しています。
今回のAさんは、警備員Vさんに対してナイフを向けていますが、ナイフを向けられたVさんからすれば反抗するとナイフで刺されるなどする深刻な危害が加えられるおそれがあるため、Aさんの行為はVさんの反抗を抑圧するに足りる脅迫といえるでしょう。
そして、Aさんはそのような脅迫によって生じた状況を利用して宝石をカバンに入れているので「他人の財物を強取した」といえます。
以上から、Aさんには強盗罪が成立すると考えられるのです。

さらに、刑法には以下の規定があります。

刑法第240条
強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

これは、強盗致傷罪強盗致死罪と呼ばれる犯罪であり、強盗犯が人に怪我をさせたり死亡させたりしたときに成立する犯罪です。
しかし、条文からは強盗犯が「いつ」人に怪我をさせたり死亡させたりしたときにこの強盗致死傷罪が成立するか明示されていません。
となると、強盗犯が人に怪我をさせればいつのことであっても強盗致傷罪が成立してしまうのではないか、と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。

強盗犯が「いつ」人に怪我をさせた場合強盗致傷罪が成立するのかということについて、判例では、傷害の結果が「強盗の機会」に行われた行為から生じたものであればよいとしています(最判昭和24.5.28)。
どういった行為が「強盗の機会」における行為といえるかは事案ごとの事情を全て考慮した上で判断せざるを得ませんが、多くの判例は、犯意の継続性、強盗行為との時間的場所的近接性、強盗行為との関連性を考慮して判断しています(最判昭和32.7.18、東京高判平成23.1.25など)。
つまり、簡単に言えば、強盗行為と全く関係のないところで強盗犯が人を死傷したとしても強盗致死傷罪は成立しないということです。

本件では、AさんはVさんの顔面を殴る暴行を加えて怪我をさせているようです。
この暴行行為は、Vさんに捕まる=逮捕されることなく強盗行為を無事終えるためになされたのものであって、いまだ当初の強盗の犯意が継続しているといえます。
また、これは通常の強盗にも認められるような性質の行為であって強盗行為と関連性があります。
加えて、この暴行はAさんがナイフで警備員を脅迫した時から10分が経過し、宝石店Xから150m離れた地点でなされているなど、強盗行為と場所的時間的近接性が認められます。
これらの事情から、AさんがVさんを殴って怪我をさせたことは「強盗の機会」に行われたと考えられ、Aさんには強盗致傷罪が成立すると考えられるのです。

・強盗致傷事件と弁護活動

強盗致傷事件では、当然被害者が存在します。
今回のAさんのケースでは、宝石を奪われた宝石店Xと、Aさんから暴行を受けたVさんが被害者ということになるでしょう。
この被害者に対して、謝罪や被害弁償をしていくことも重要な弁護活動の1つです。

また、強盗致傷罪は法定刑に無期懲役を含む重大な犯罪であることから、逮捕・勾留による身体拘束を伴って捜査が進められることも十分予想されます。
釈放・保釈を求めて随時活動していくことも必要となるでしょう。

そして、強盗致傷事件は裁判員裁判対象事件でもあるため、起訴されれば裁判員裁判への対応が必要となります。
一般の刑事裁判とは異なる手続きも多い裁判員裁判に対応していくためには、入念な準備が必要となりますから、早期に弁護士と連携して備えることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件専門の弁護士事務所です。
強盗致傷事件逮捕にも迅速に対応し、被疑者・被告人やそのご家族のお悩みや疑問の解消をサポートいたします。
京都府逮捕強盗致傷事件にお困りの際は、お気軽にご相談ください。

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