Archive for the ‘暴力事件’ Category

児童ポルノを送らせて逮捕②~強要罪~

2019-11-16

児童ポルノを送らせて逮捕②~強要罪~

児童ポルノを送らせて逮捕されたケースの強要罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~前回からの流れ~

会社員のAさんは、SNSの配信機能を通じて、京都市下京区に住む15歳の女子高生Vさんと知り合いました。
ある日Aさんは、Vさんに対し、「ちょっとだけでいいから服を脱いでいる写真が欲しい。お礼にSNSのポイントをあげる」などと言って、Vさんに体を露出した写真を送るように求めました。
Vさんがそれに応じて下着姿の写真を撮り、Aさんに送ったところ、今度はAさんは「次は裸の写真を送ってこい。そうでなければ下着姿の写真をSNSでばらまいてやる」などと言い、Vさんにさらなる要求を行いました。
Vさんは怖くなり、しばらく要求に従って写真を送り続けていましたが、今後要求がさらに過剰になるのではと不安になったことから両親に相談しました。
その結果、Vさんは両親とともに京都府下京警察署に被害申告を行い、捜査ののち、Aさんは児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造)と強要罪の容疑で逮捕されることとなりました。
(※この事例はフィクションです。)

・強要罪

前回の記事では、Aさんの逮捕容疑のうち、児童ポルノ製造による児童ポルノ禁止法違反について取り上げました。
今回の記事では、もう1つの逮捕容疑である強要罪について詳しく取り上げていきます。

強要罪は、刑法223条に規定のある犯罪です。

刑法223条(強要罪)
1項 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
2項 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3項 前二項の罪の未遂は、罰する。

強要罪は、簡単に言えば、脅迫や暴行によって相手を怖がらせることで、相手がする必要のない行為を無理矢理させる犯罪です。
強要罪で用いられる脅迫は、「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知」をすることによって行われ、相手に恐怖心を生じさせる目的で行われるものを指します。
例えば、「痛い目に合わせるぞ。」といった文言であれば身体に害を加える告知をしたことになりますし、「車を壊すぞ。」といった文言であれば、財産に害を加える告知となるでしょう。

今回の事例では、AさんはVさんに対し、「従わなければ下着姿の写真をSNSでばらまく」という旨を伝え、それによってVさんに裸の写真を送らせています。
下着の写真をSNSで拡散されるということは、Vさんの名誉・社会的立場を下げることにつながるでしょう。
こうしたことから、AさんがVさんに「下着の写真をSNSでばらまく」と言ったことは、「名誉…に対し害を加える旨を告知して脅迫」したと考えられます。
そして、それによってAさんはVさんに裸の写真を送らせていますが、もちろんVさんにとって裸の写真をAさんに送ることは何の義務もないことです。
これをAさんの脅迫によってさせられているわけですから、Aさんには強要罪が成立することになるでしょう。
なお、今回のケースでは、最初に下着姿の写真をVさんに送らせたときには、Aさんは脅迫も暴行もしていなかったため、強要罪は成立しないと考えられます。

強要罪は条文を見てわかる通り、罰金刑の規定がありません。
ですから、有罪が確定した場合には、執行猶予が付かなければ刑務所へ行くことになります。
それだけ重い犯罪ですから、強要罪の容疑がかかってしまった場合には、早急に弁護士に相談し、今後の対応を決めましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、土日祝日でも初回無料法律相談・初回接見サービスを受け付けています。
まずはお気軽に0120-631-881までお問い合わせください。

児童ポルノを送らせて逮捕①~児童ポルノ製造~

2019-11-14

児童ポルノを送らせて逮捕①~児童ポルノ製造~

児童ポルノを送らせて逮捕されたケースの児童ポルノ製造行為について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

会社員のAさんは、SNSの配信機能を通じて、京都市下京区に住む15歳の女子高生Vさんと知り合いました。
ある日Aさんは、Vさんに対し、「ちょっとだけでいいから服を脱いでいる写真が欲しい。お礼にSNSのポイントをあげる」などと言って、Vさんに体を露出した写真を送るように求めました。
Vさんがそれに応じて下着姿の写真を撮り、Aさんに送ったところ、今度はAさんは「次は裸の写真を送ってこい。そうでなければ下着姿の写真をSNSでばらまいてやる」などと言い、Vさんにさらなる要求を行いました。
Vさんは怖くなり、しばらく要求に従って写真を送り続けていましたが、今後要求がさらに過剰になるのではと不安になったことから両親に相談しました。
その結果、Vさんは両親とともに京都府下京警察署に被害申告を行い、捜査ののち、Aさんは児童ポルノ禁止法違反児童ポルノ製造)と強要罪の容疑で逮捕されることとなりました。
(※この事例はフィクションです。)

・送らせたのに児童ポルノ製造罪?

ご存知の方も多いでしょうが、18歳未満の者の性行為や衣服を身に着けない姿態の画像や動画は、「児童ポルノ」として「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(略称:児童ポルノ禁止法、児童買春禁止法等)で規制されています。

児童ポルノ禁止法2条3項
この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
1号 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
2号 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
3号 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

この児童ポルノは、児童ポルノ禁止法で所持や提供、製造等が禁止されています。
今回の事例のAさんはそのうち、児童ポルノ製造の容疑をかけられて逮捕されているようです。

児童ポルノ禁止法7条
3項 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。
同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
※注:「前項」「前項に掲げる行為」とは、児童ポルノ禁止法7条2項で禁止されている児童ポルノの提供行為とその規定を指しています(法定刑は後述)。

4項 前項に規定するもののほか、児童に第2条第3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第2項と同様とする。
※注:「第2項」は児童ポルノの提供の禁止を定めており、その刑罰は「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」です。

条文の項目は2つに分かれていますが、つまるところ、児童ポルノ製造をすれば「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」となるということになります。
「製造」という言葉から、自分自身で児童ポルノを作り出す=自分で実際に児童ポルノを撮影するというイメージがわきやすいため、Aさんのように児童ポルノを児童自身に自撮りをさせて送らせた事例では、児童ポルノ製造による児童ポルノ禁止法違反になることにピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、こうした自撮りの要求をして児童ポルノを撮らせることは児童ポルノにあたる「姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写する」ことに当てはまります。
そのため、たとえ児童を直接目の前にして自分自身が児童ポルノを撮影していなくとも、児童ポルノにあたる画像や動画を撮影させることは児童ポルノ製造による児童ポルノ禁止法違反となるのです。

SNSやメッセージアプリの普及により、Aさんのようなケースの児童ポルノ製造事件も増えています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部ではこういった児童ポルノ製造事件のご相談もお受けしていますので、まずはお気軽にご相談ください。

酔った勢いで公務執行妨害事件

2019-11-10

酔った勢いで公務執行妨害事件

酔った勢いで公務執行妨害事件を起こしたケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

【事件】
大学生のAさんは深夜11時ごろ,飲み会を終えて1人で帰宅していました。
京都市左京区の路上を歩いていたところ,京都府下鴨警察署の警察官2人に呼び止められ職務質問を受けました。
かなり酔っていたAさんは警察官の胸倉を掴み暴言を繰り返したため,公務執行妨害罪の現行犯として逮捕されました。
(フィクションです)

【公務執行妨害罪】

公務執行妨害罪は刑法第95条第1項によって「公務員が職務を執行するに当たり,これに対して暴行又は脅迫を加えた者は,3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する」と定められています。

公務執行妨害罪が保護しているのは国または公共団体の事務の円滑・公正な遂行です。
なので,公務員に対する暴行・脅迫で公務員の身体が侵害を加えられたり意思決定の自由が侵害されたりした場合は別に暴行罪(刑法第208条),傷害罪(刑法第204条),脅迫罪(刑法第222条),強要罪(刑法第223条),職務強要罪(刑法第95条第2項)などが成立する可能性があります。
また,公務執行妨害罪は抽象的危険犯で,公務の遂行あたって実害が生じなくともその危険があるとされた場合は,公務執行妨害罪に問われる可能性があります。

なお,公務執行妨害罪にいう公務員は刑法第7条第1項によって「国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員,委員,その他職員」と定義されています。

そして,公務執行妨害罪で保護される職務の執行は,条文中には明記されていませんが適法なものに限られます。
公務執行妨害罪は国や公共団体の適正な作用を妨害から保護するためのものであって,公務員の違法な行為について刑法的保護を与える理由がないためです。
したがって,公務員の行う職務執行が違法なものであった場合,これを暴行行為で妨害したときは要件を満たせば正当防衛(刑法第36条)として違法性が阻却され暴行罪や傷害罪に問われないこともあり得ます。

ここで,「職務を執行するに当たり」とは,職務を執行するに際してという意味です。
判例によって,職務の執行は抽象的・包括的に捉えられるべきではなく,具体的・個別的に特定された職務の執行として理解されるべきとされています。
よって,公務執行妨害罪が成立するのは①特定の職務の執行中または②特定の職務をまさに開始しようとしているときに暴行・脅迫によってこれを妨害した場合に限られることになります。
例えば,休憩中の警察官に暴行を加えた場合には公務執行妨害罪は成立しません(ただし暴行罪などには当たり得ます)。

また,公務執行妨害罪にいう暴行は,公務員に向けられた有形力の行使であれば足り,直接には物に対して加えられてもそれが公務員に対する暴行と認められる限り,公務執行妨害罪における暴行に含まれます。
これは,暴行罪にいう暴行が人に対する有形力の行使であることに比べより緩やかな概念となっています。
例えば,営業のため車で移動中の会社員に向かって石を投げ車のフロントガラスを割っても器物損壊罪(刑法第261条)にしかなりませんが,パトロール中のパトカーに乗車している警察官に向かって同じくフロントガラスを割った場合,投石が警察官に向けられたものと認められる限り,器物損壊罪に加え公務執行妨害罪が成立します。

公務執行妨害罪での脅迫も,脅迫罪における脅迫より広い概念となっています。
脅迫罪での脅迫は,被害者自身またはその親族に対して,生命,身体,自由,名誉または財産に対し害を加える旨を告知することをいいます。
他方で,公務執行妨害罪の脅迫はこうした加害対象や告知する対象の限定はなく,およそ公務員を畏怖させるに足りる害悪の告知を行うこととされています。

先ほども述べたように公務執行妨害罪は抽象的危険犯ですので,暴行・脅迫は公務の執行を妨害し得る程度のものでなければなりませんが,実際に公務の執行が妨害されたことまでは要求されません。
公務執行妨害罪はAさんの事件のように警察官と口論になったりするなどして暴行したというケースがほとんどです。
その場合,現行犯逮捕され身柄の拘束が開始されても,きちんと反省し身元も明らかにして証拠隠滅や逃亡のおそれもないと判断されれば微罪処分として早期に身柄が解放される事件が多いです。

ただし,すべての公務執行妨害事件が身柄解放や不起訴につながるわけではありません。
妨害の態様や前科・前歴などから身柄拘束が長期に及んだり,起訴に至ることもあります。
もし公務執行妨害罪の被疑者となってしまった場合は,刑事事件に強い弁護士に事件を依頼し適切な対処を図ることが重要です。
弁護士に事件を依頼することによって取調べや今後の対応に関するアドバイスを受けることができ,早期の身柄の解放や微罪処分,不起訴,執行猶予の可能性を高めることができます。

公務執行妨害罪の被疑者となってしまった方,京都府下鴨警察署の警察官に逮捕されてしまった方は,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

京丹後市で居直り強盗事件

2019-11-08

京丹後市で居直り強盗事件

京丹後市居直り強盗事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

【事件】

Aさんは京都府京丹後市にあるVさん宅に侵入し,金品を盗もうと物色していました。
Vさんの通帳を発見したAさんがこれを盗もうと思ったところ,在宅していたVさんに発見され,焦ったAさんは抵抗する意思を見せなくなるまで所持していたスパナでVさんを数回殴打し,Vさんに全治2か月のけがを負わせました。
そのまま通帳を持って逃走したAさんでしたが,後日,京都府京丹後警察署強盗致傷罪住居侵入罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)

【居直り強盗】

居直り強盗とは,初めは空き巣など窃盗のつもりで盗みに入った者が家人などに見とがめられ,急に態度を豹変させ強盗となることをいいます。
Aさんのように空き巣から強盗になった場合,住居侵入罪強盗罪あるいは強盗致傷罪などに問われる可能性があります。

【住居侵入罪】

正当な理由がないのに,人の住居もしくは人の看守する邸宅,建造物もしくは艦船に侵入した場合には住居侵入罪(刑法第130条前段)が成立します。
この罪の法定刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。
また,住居侵入罪は未遂も処罰されます(刑法第132条)。

住居侵入罪の条文にある「住居」とは,人の起臥寝食に使用される場所を指します。
一方,「邸宅」とは,住居用に作られた建造物とこれに付随する囲繞地(塀や柵などで囲まれている土地)のことです。
そして「人の看守する」とは,管理人や監視人がいたり,鍵がかけられているなど,現実に人が支配・管理している状況にあるという意味です。

また,住居侵入罪の「侵入」とは,住居権者またはその委任を受けた看守者等の推定的意思を含む意思に反して,住居等の領域に立ち入ることと理解されています。
違法な目的を隠しての住居権者等の承諾を得た場合も,真意に基づく承諾ではないため本罪の成立が認められています。

AさんがVさん宅に立ち入ったことについてVさんの承諾はありませんので,Aさんの侵入行為は住居侵入罪に当たる可能性が非常に高いです。

【強盗致傷罪】

AさんはスパナでVさんを殴打しけがを負わせたうえでVさんの通帳を持ち去っています。
ここで,強盗行為について定めた刑法の条文を見てみましょう。

刑法第236条第1項(強盗罪)
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は,強盗の罪とし,5年以上の有期懲役に処する。

刑法第240条(強盗致死傷罪)
強盗が,人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し,死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

Vさんに見つかっても暴行や脅迫がなければ通常の空き巣と同様に窃盗罪(刑法第235条)となる可能性が高いですが,今回のケースでは強盗致傷罪の適用が考えられます。
強盗致傷罪は強盗の機会に相手に傷害を加えることで成立します。
よってAさんの行為が強盗に当たるかがまず問題となります。

強盗罪が成立するためには手段として暴行・脅迫がなければなりません。
また,その暴行・脅迫は反抗を抑圧するに足りる程度の強さのものでなければなりません。
これは,暴行罪(刑法第208条)に規定されている暴行が,端的に人に向けられた有形力(物理力)であればよいとされているのに比べて,それが客観的に見て反抗を抑圧する程度のものであると認められる必要があることを意味します(最判昭和24年2月8日刑集3巻2号75頁)。

また,暴行・脅迫は,財物を奪うための手段として行われる必要があります
そのため,暴行・脅迫によって相手の反抗が抑圧された後に財物奪取の意思が生じたような場合には強盗罪とはなりません(大判昭和8年7月17日刑集12巻1314頁)。
ただし,財物奪取の意思を生じた後に新たに反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫があったことが認められれば強盗罪に問われる可能性があります。

そして,暴行・脅迫の相手方は必ずしも財物の所有者に限られません
例えば,過去の判例の中には,留守番をしていた10歳の子供に対して暴行・脅迫を加えて財物を奪取したときであっても強盗罪が成立するとされた事例があります(最判昭和22年11月26日刑集1巻1号28頁)。

加えて,「強取」とは,暴行・脅迫によって相手方の反抗を抑圧し,財物の占有を移転することを意味します。
ここでの占有とは,財物に対する事実上の支配状況のことで,他者の管理の及んでいる状態(例えば,鍵付きの金庫に保管してある状態やすぐ手の届く場所に置いてある状態にあるなど)があれば占有があると認められる場合が多いです。

さらに,相手方の反抗が抑圧されなかった場合について,財物を取得することができなかった場合は強盗未遂罪に問われる可能性があります。
暴行・脅迫を行ったものの被害者の反抗は抑圧されてはおらず任意に財物を差し出した場合について,学説上の争いはありますが,判例によれば強盗罪の既遂が認められるようです(最判昭和24年2月8日刑集3巻2号75頁)。
AさんはVさんが反抗の姿勢を見せなくなるまでスパナで殴打していますので,強盗罪が要求している強度の暴行の存在が認められます。
また,Aさんの暴行行為がVさんの通帳を盗むためだということが立証されれば強盗致傷罪の成立が認められることになると考えられます。

【居直り強盗事件の弁護方針】

まず,Aさんのように逮捕・勾留されている場合,逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがないことを示して早期の身体拘束状態からの解放を目指すことが考えられます。
Aさんが釈放されても逃亡や証拠隠滅をするリスクがない環境を整えたり,Aさんが釈放されなければ困る事情を訴えたりして,釈放を求めることになるでしょう。

また,被害者と示談をまとめることによって,不起訴や執行猶予を得られる可能性を高めることができます。
刑事事件に強い弁護士に事件を依頼することで,より円滑に示談交渉を進められることが期待できます。
示談締結ができれば,前述した釈放を求める活動でも有利に働くことが考えられます。

具体的な事件の内容に応じて,弁護士は依頼者と相談しながら弁護活動を展開していくことになります。

空き巣や,居直り強盗による強盗事件強盗致傷事件の被疑者となってしまった方,ご家族やご友人が京都府京丹後警察署に逮捕されてしまってお困りの方は,お早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

心中事件で逮捕されたら

2019-11-06

心中事件で逮捕されたら

心中事件逮捕について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

【事件】
京都市伏見区に住むAさんは,夫が友人の連帯保証人になっていたために突然多額の借金を抱えることになってしまいました。
Aさん夫妻は共に働いて返済していましたが,しばらくすると体に無理が出てしまい次第に返済も滞っていきました。
Aさんらはしだいに精神が疲弊していき,もう死んで楽になりたいと考えるようになりました。
そしてAさんは夫に心中することを提案し,夫もこれを受け入れました。
ある晩,Aさんは寝ている夫を包丁で刺し,自身も死のうとしましたが死にきれず,京都府伏見警察署に通報しました。
駆けつけた京都府伏見警察署の警察官によって,Aさんは殺人未遂罪の容疑で現行犯逮捕されました。
Aさんの親族がこの逮捕を聞き,Aさんの話を聞いてやってほしいと弁護士を依頼。
依頼を受けた弁護士逮捕されているAさんのもとへ接見に向かいました。
(フィクションです)

【心中と犯罪】

心中とは,本来は相思相愛の仲にある男女がその愛情が変わらないことの証として双方合意の上で自殺することをいいますが,現在では広く複数人が合意の上で死を遂げる場合も心中と呼ばれます。
被害者に死ぬ意思がなかった場合は無理心中と呼ばれることもあります。

無理心中の場合は殺人罪(刑法第199条)やその未遂に問われることになりますが,被害者が死ぬことに同意していたり希望していた場合は刑法上どのような扱いを受けるのでしょうか。

刑法が規定する罪の多くは,被害者の同意の上で行われた行為は違法性がないものとして犯罪として成立しないものが多いです。
しかし,たとえ被害者の同意があっても,自殺を助けた場合には,人命の重さから医療行為における安楽死のような場面を除いて罪に問われる可能性が出てきます。

【自殺関与罪と同意殺人罪】

刑法第202条は,「人を教唆し若しくは幇助して自殺させ,又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は,6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する」と自殺関与罪同意殺人罪を規定しています。

この条文によって
①自殺教唆
②自殺幇助
③嘱託殺人
④承諾殺人
の4つの類型が処罰されうることになります。

まず,①自殺教唆と②自殺幇助とを併せて自殺関与罪と表現します。
この2つは自殺者が自身の手で命を絶つことが共通しています。

教唆とは,そうするよう唆して相手をその気にさせることです。
自殺教唆の場合ですと,自殺する気がなかった人を唆して自殺する気を起こさせ,実際に自殺に至らせることで自殺教唆に問われます。

対して幇助とは,ある行為がしやすくなるように,道具を与えたり助言するなどして行為者を助けることを意味します。
自殺幇助の場合,自殺をしようと考えている人に自殺するための道具を与えたり,場所を提供したり,その他アドバイスをすること等がこれにあたります。

そして,③嘱託殺人と④承諾殺人とを併せて同意殺人罪といいます。
この2つは死にたいと願っている者を他者が殺害する点で自殺関与罪と異なります。

嘱託殺人とは,死ぬことを望む者の依頼を受け,手を下してその者を殺すことをいいます。
承諾殺人とは,殺害されることに同意するように積極的に持ちかけ,同意を得た上で殺すことをいいます。
一般に,被害者に死ぬことへの同意があったかどうかは,少なくともその行為によって死亡する可能性があることを認容していれば同意があったものと判断されます。
よって,死ぬことを意欲していたり願望していたりしていたことは必要とされません。

自殺関与罪同意殺人罪普通殺人罪(区別するためにあえてこの表現をします)は,実際上区別するのが難しい場合が多いです。
自殺や殺人について同意していたのかどうかは被害者の内心の問題であり,それを証明することは難しいからです。
そして,被害者が自殺の方法によって死亡しても,原因に他者からの強い働きかけがあり被害者に自殺するほかないと思わせていたのであれば,自殺教唆ではなく,自殺者を実行行為者とする普通殺人罪を構成する場合があります。
また,自殺することを決意している人のために毒物を食事に混ぜたり,ガスの元栓を開くことなどは,一見して自殺幇助罪なのか同意殺人罪なのか区別できません。

こうした心中事件では,自殺関与罪同意殺人罪にあたるのに殺人罪の容疑で立件されるなど不当に重い罪に問われる事態を回避するために,お早めに法律の専門家である弁護士にご相談されることをおすすめします。
自殺関与罪同意殺人罪殺人罪の被疑者となってしまった方は,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

強盗致傷事件で示談交渉

2019-10-19

強盗致傷事件で示談交渉

強盗致傷事件とその示談交渉について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~
Aさんは,京都市右京区にある中古車販売の事務所に侵入し,経営者のVさんを刃物で刺して現金約100万円を奪いました。
Vさんは,刃物で刺されたことにより,全治1カ月のけがを負いました。
Vさんが通報したことで,京都府右京警察署の警察官が駆け付け,Aさんは強盗致傷罪の容疑で京都府右京警察署の警察官に逮捕されました。
(フィクションです。)

~強盗致傷罪~

強盗犯人が人を負傷させた場合には,強盗致傷罪(刑法240条前段)が成立し,無期又は6年以上の有期懲役が科せられます。

刑法240条
強盗が,人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し,死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

強盗致傷罪の条文を見ていただければわかる通り,強盗致傷罪が成立するためには「強盗が,人を負傷させた」と認められることが必要です。
しかし,「強盗が,人を負傷させた」に当てはまるかどうかは,単に強盗罪を犯した人が誰かに怪我をさせたかどうかということだけで判断できません。
怪我の結果がいかなる行為から発生した場合に強盗致傷罪が成立するかというと,判例では,強盗の機会に結果が生じた場合に強盗致傷罪が成立するとしています(大判昭和6年10月29日)。
つまり,強盗罪を犯した人が強盗行為とは離れたところで人に怪我をさせたとしても強盗致傷罪とはならず,強盗をしたその機会に人に怪我をさせたような場合にのみ強盗致傷罪となるということです。

また,強盗致傷罪が成立するために,どの程度の傷害結果が発生する必要があるかについても争いがあります。
判例は,傷害における傷害と同程度で足りるとしています(大判大正11年12月22日)。
傷害罪における傷害とは,人の生理的機能に障害を加えることであるとされています。
例えば,骨折してしまったりどこかから出血させてしまったりといったわかりやすい怪我はもちろんのこと,気絶させてしまうことで意識障害を引き起こしたり,PTSDを引き起こしたりすることも傷害であるとされています。

今回のAさんは,Vさんを刃物で刺すという暴行を加え,Vさんが反抗できないようにして現金約100万円を奪っているので,強盗犯人です。
そして,Aさんの強盗行為の際に行われた暴行行為そのものによってVさんが怪我をしているので,Aさんには強盗致傷罪が成立すると考えられます。

~建造物侵入罪~

先ほど触れた強盗致傷罪に加え,今回のAさんは中古車販売の事務所に侵入しているので,建造物侵入罪も成立します。
強盗致傷罪と建造物侵入罪は,目的手段の関係に立ちます。
つまり,強盗致傷行為をするために建造物侵入行為をしているという関係になります。
複数の犯罪をしてしまった際にその犯罪がこういった目的手段の関係になるときには「牽連犯」という考え方によって処断されることとなり,重い強盗致傷罪で処断されることになります(刑法54条1項後段)。

~強盗致傷事件と示談交渉~

強盗致傷罪が成立することに争いがない場合,弁護士を通じで早期に被害者の方に対する謝罪や被害弁償,示談交渉を進めることが重要です。
すでに警察が介入している事案であっても,前科前歴や犯行の態様,被害の大きさなどの事情によっては,被害者と示談をすることで早期の釈放や不起訴処分を獲得することができる可能性もあります。
早期の釈放や不起訴処分の獲得により,職場復帰や社会復帰をスムーズに行いやすくなります。
不起訴とならなくとも,被害者への謝罪や弁償が行われ示談が締結できていれば,刑罰を判断する際に有利に考慮してもらえる材料とすることができます。

ただし,強盗致傷事件は先ほど触れたように非常に重い刑罰が定められている犯罪ですから,逮捕されてしまい,身体拘束されてしまうことが多いです。
そうなれば,自分自身で謝罪等を行い示談交渉することはできません。
さらに,強盗致傷事件の被害者の方の中には,強盗致傷事件の加害者へ恐怖を感じている方も多く,被疑者本人やその周囲の人と直接やり取りをすることや自分の情報を伝えることを望まない方も多いです。
だからこそ,弁護士示談交渉を依頼するメリットがあるといえるでしょう。

強盗致傷罪で家族,友人が逮捕された,今後が不安という方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士へご相談ください。
弊所は刑事事件専門の法律事務所です。
逮捕直後からスピーディーに活動に移れるよう,0120-631-881でいつでもお問い合わせを受け付けております。
まずはお気軽にお問い合わせください。

急性アルコール中毒で過失傷害罪?

2019-10-09

急性アルコール中毒で過失傷害罪?

急性アルコール中毒過失傷害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

【事件】
Aさんは京都市北区で行われた同窓会で、久々に幼馴染であるVさんと再会しました。
久しぶりの同窓会の席で、AさんとVさんは昔話に花が咲き大いに盛り上がりました。
しばらく経ちアルコールが回ってきたAさんは、Vさんに対してもっとお酒を飲むよう勧めました。
お酒に強くないことを自覚していたVさんはやんわりと断りましたが、Aさんは飲むようさらに勧めました。
気の弱い性格だったVさんはAさんの勧めを断り切れず、促されるままお酒を飲み、45分間でビールをジョッキで2杯、ハイボールを3杯飲んでしまいました。
それから30分の後、Vさんは急性アルコール中毒で倒れ、病院に搬送され処置を受けました。
Vさんの命に別状はありませんでしたが、冷静になったAさんはVさんやその家族から何か被害届を出されるのではないか、京都府北警察署から何か言われるのではないかと心配です。
(フィクションです)

【急性アルコール中毒】

今年も残すところあと3か月を切りましたが、しばらくすれば忘年会など様々な飲み会が頻繁に開催される時期となるでしょう。
新年会や忘年会、成人式のシーズンで話題になるのが急性アルコール中毒です。
人はアルコールを摂取すると体内で徐々にアルコールが分解されていき、酩酊の度合いをだんだんと深めていきます。
酔いが回るうちに足元がふらついたり頭痛の症状が出たりするので、自分で飲酒の量を調節することができますが、短時間で一気に酔いが回ってしまった場合、そうもいかないことがあります。

急性アルコール中毒というのは、短時間で多量のアルコールを摂取することによって血中アルコール濃度が急激に上昇し、アルコールの作用によって脳の中枢神経が麻痺し、呼吸困難や心拍機能の停止を招き、最悪の場合死に至る中毒です。
この急性アルコール中毒の怖いところは、お酒に強い体質や弱い体質に関係なく、飲んだアルコールの量に比例して誰もがなりうることです。

今回、Vさんは死亡こそしませんでしたが、急性アルコール中毒となり病院に搬送され、処置を受ける結果となっています。
民事上はVさんから病院での費用等を請求されることが考えられますが、刑事上はどのようなことが考えられるでしょうか。

【過失傷害罪】

AさんはVさんにお酒を勧め、当初断っていたVさんにお酒を飲ませ急性アルコール中毒に陥らせました。
この事件で捜査が始まった場合、Aさんには後述する過失傷害罪や、お酒を飲ませる際に暴行・脅迫行為があった可能性があれば強要罪の容疑がかけられることも予想されます。
Vさんが急性アルコール中毒等身体機能に支障をきたす可能性を予想しつつもあえて飲酒をさえたのであれば、傷害罪となるおそれもあります。
今回はこのうち過失傷害罪に焦点を当ててみましょう。

過失傷害罪(刑法第209条第1項)は、過失によって人を傷害させた場合に成立します。

過失傷害罪の過失とは、傷害の結果を回避するために必要な注意を怠ったことを意味します。
今回の事件で考えますと、一般的に短時間で多量の飲酒を行えば急性アルコール中毒等により体調を崩すことが懸念されます。
そこでVさんに飲酒を勧めるにあたって、Vさんがそのような飲み方をしたために急性アルコール中毒等の健康不良状態に陥らせないよう注意を尽くす刑事上の義務がAさんには認められるところ、Aさんはこの注意をせずVさんに飲酒を勧め続けたために過失があったと認定されることが考えられます。

さらに、過失傷害罪にいう傷害とは、人の生理機能に障害を与えることを意味します。
今回の場合、AさんはVさんに飲酒させることによってVさんが急性アルコール中毒になっており、Vさんの生理的機能に障害が発生していますので、傷害の結果が認められる可能性は高いといえます。

過失傷害罪の法定刑は30万円以下の罰金又は科料となっています。
また、過失傷害罪は親告罪(刑法第209条第2項)となっており、告訴(刑事訴訟法第230条)がなければ公訴を提起することができないため、Vさんが告訴しない限りAさんが起訴されることはないです。
ただし、今回の場合で仮にVさんが死亡した場合、Aさんは過失致死罪(刑法第210条)に問われることになり、過失致死罪は親告罪ではないため、告訴がなくても起訴される可能性が出てきます。

過失傷害罪や過失致死罪の被疑者となってしまった場合、事実関係に関わらず早めに対処することが重要です。

【過失傷害事件の弁護活動の方針】

Aさんに依頼をされた弁護士はどのような活動をすることになるでしょうか。

告訴前や刑事事件化前であれば、Vさんに告訴の意思があるかどうか確かめ、場合によっては示談に向けた活動を始めることになります。
告訴された後であっても、起訴前に示談が成立すれば不起訴になる可能性がかなり高くなります。
その際Vさんへの謝罪は必要不可欠です。
反省の姿勢や今後どのようにしていくかなど、Vさんに対する真摯な対応を早めに行っていくことによって、Vさんの処罰感情を和らげることが考えられます。

アルコールのトラブルで人を急性アルコール中毒に陥らせてしまった方、京都市北区刑事事件を起こしてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部の無料法律相談、初回接見サービスをご利用ください。

死体遺棄事件の逮捕で取調べ対応

2019-10-05

死体遺棄事件の逮捕で取調べ対応

Aさんは,京都市西京区にある自宅で出産しましたが,死産でした。
Aさんは,どうしていいかわからなくなってしまい,近所にある駅のコインロッカーに赤ちゃんの遺体を運ぶと,コインロッカーに赤ちゃんの遺体を入れ放置して帰宅してしまいました。
その後,駅の職員がコインロッカーに入れられた赤ちゃんの遺体を発見し,京都府西京警察署に通報,捜査が開始されました。
監視カメラの映像からAさんの行為が発覚し,Aさんは死体遺棄罪の容疑で京都市西京区を管轄する京都府西京警察署の警察官に逮捕されました。
Aさんの両親は,Aさんが逮捕されたことを報道で知り,どうにかAさんの助けになりたいと,まずは弁護士にAさんの様子を確認してもらいながら取調べ対応のアドバイスをしてあげてほしいと,刑事事件を取り扱う弁護士にAさんへの接見を依頼しました。
(フィクションです。)

~死体遺棄罪~

死体を遺棄した場合,死体遺棄罪(刑法190条)が成立し,3年以下の懲役が科せられます。

刑法190条
死体,遺骨,遺髪又は棺に納めてある物を損壊し,遺棄し,又は領得した者は,3年以下の懲役に処する。

死体遺棄罪のいう「死体」には,死体の一部であっても該当します(大判昭和6年11月13日)。
そして「遺棄」とは,人間の遺体を葬儀に絡む社会通念や法規に沿わない状態で放置することを指します。
単語のイメージから,遺体を捨てることが死体遺棄罪の「遺棄」であると思われがちですが,社会通念に沿ったきちんとした埋葬をせずに放置するだけでも死体遺棄罪の「遺棄」行為になります。
ですから,例えば遺体を勝手に山に埋めたような場合,本人としては埋葬したつもりでいても死体遺棄罪の「遺棄」行為となる可能性があるのです。

今回のAさんのケースでは,Aさんは赤ちゃんの遺体を駅のコインロッカーに放置しています。
コインロッカーに遺体を放置する行為は,社会通念や法規に沿わない状態で放置していると考えられますから,死体遺棄罪の「遺棄」に当たる可能性が高いです。
したがって,Aさんの行為には死体遺棄罪が成立するでしょう。

~死体遺棄事件で殺人罪も疑われる?~

死体遺棄罪刑事事件となってしまった場合には,弁護士に依頼して取調べ対応等の助言をもらうべきです。
なぜなら,死体遺棄罪の容疑で取調べられていたとしても,捜査機関としては殺人罪での立件も視野に入れて捜査を行う可能性があるからです。
死体遺棄罪は,先ほど触れたように遺体を遺棄する犯罪ですが,死体遺棄行為の前に,そもそもその遺体となっている人物が亡くなってしまっているという経緯があります。
もちろん,検死などの結果にもよると考えられますが,その人物が亡くなってしまった経緯について死体遺棄行為をした被疑者が関与しているのではないか,と捜査機関が疑っている場合も十分考えられます。
ですから,死体遺棄罪の容疑で逮捕し,その身体拘束状態を利用して,殺人罪についても事実上の取調べを行う可能性が考えられるのです。

実際に殺人行為をしていなかったとしても,容疑がかかれば殺人罪での再逮捕なども考えられます。
そのため,死体遺棄罪逮捕された直後から,その先を見据えた対応をすることが不可欠です。
殺人罪の法定刑は「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」(刑法199条)と非常に重く,さらに殺人事件で起訴されるとなれば裁判員裁判にもなります。
冤罪を避けるためにも,必要以上に負担を負わないためにも,死体遺棄事件逮捕されてしまった場合には,少しでも早く弁護士を選任し,より慎重に取調べに対応していくことが望ましいでしょう。 

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,死体遺棄事件などの重大犯罪にも対応が可能な刑事事件専門の弁護士がご相談を受け付けております。
逮捕されている方には弁護士が直接警察署や拘置所に赴く初回接見サービスがおすすめです。
まずは0120-631-881からお問い合わせください。

京都市左京区で準強制性交等事件

2019-10-01

京都市左京区で準強制性交等事件

【事件】
Aさんは京都市左京区にある居酒屋で同じ部署の同僚数人と飲み会をしていました。
Aさんはその飲み会で以前から好意をもっていた後輩の女性社員Vさんといい雰囲気になりました。
飲み会の後、AさんはVさんに「これから一緒に飲み直さないか」などと言い、Vさんはこれに応じました。
しばらく二人で飲んだ後、かなり酔っていたVさんをAさんは自宅に送り届けようとしましたが、途中でVさんと一夜を共にしたいと思うようになりました。
AさんはそのままVさんを連れて駅近くのホテルに入りました。
AさんはVさんがベッドで熟睡しているのを確認した上でVさんと性交に及びました。
翌日、被害届を受けた京都府川端警察署の警察官によってAさんは準強制性交等罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)

【準強制性交等罪】

準強制性交等罪(刑法178条2項)は、人の心神喪失・抗拒不能に乗じ、または心神喪失・抗拒不能にさせて、性交等に及んだ場合に成立する罪です。
準強制性交等罪の法定刑は5年以上の有期懲役(有期懲役刑の上限は20年で、加重によって30年)となっています。

この罪は平成29年の刑法改正によって新設された罪で、強制性交等罪(刑法177条)・準強制性交等罪が成立する前は強姦罪・準強姦罪がありました。
改正前の強姦罪の客体は女性に限定されていましたが、強制性交等罪への改正によって男性もこの罪の客体になれるようになりました。

準強制性交等罪の成立要件について詳しくみていきましょう。

準強制性交等罪の成立には、性交等に及ぶ時点で相手が心神喪失状態または抗拒不能に陥っていることが必要です。
心神喪失とは、精神的な障害によって正常な判断力を失った状態をいいます。
抗拒不能とは、精神的・物理的に抵抗できない状態をいいます。
心神喪失・抗拒不能の程度について、完全に抵抗が不可能であることまでは要求されません。
反抗が著しく困難な程度に至っていれば、心神喪失・抗拒不能であると認められます。
心神喪失にあたるとされた事例には、睡眠・飲酒酩酊のほか、著しい精神障害や、知的障害によって被害者が行為(性交等)の意味を理解できない場合などがあります。
抗拒不能にあたるとされた事例には、行為自体は認識しているものの、それが医療行為であると誤信していた場合など、勘違いによって抵抗する意思を失っている場合などがあります。
また、心神喪失や抗拒不能な状態を作るのに暴行・脅迫を用いた場合は、準強制性交等罪ではなく強制性交等罪の成立が考えられます。

次に、性交等についてです。
準強制性交等罪の「性交等」とは、性交、肛門性交または口腔性交を指します。
ちなみに、相手方が13歳未満の者の場合は、暴行・脅迫がなく、または双方の同意があったとしても強制性交等罪を構成します(刑法177条後段)。

今回の場合ですと、AさんがVさんを相手に性交に及んでしまった時点でVさんは酔って熟睡しています。
Vさんは心神喪失にあたり、Aさんはそれに乗じて性交に及んでいますので、準強制性交等罪にあたりそうです。

【準強制性交等事件の弁護活動の方針】

改正前の準強姦罪は、被害者(またはその法定代理人等)の告訴がなければ起訴できない親告罪でした。
親告罪の場合ですと、被害者と示談や弁償をすることによって告訴されないようにする、あるいは告訴を取り下げてもらうことによって起訴を回避することができます。

しかし、準強制性交等罪への改正によって、告訴がなくても検察官が起訴できる非親告罪となりました。
それでも、被害者が告訴しているかどうかは、検察官が起訴するかどうかを決めるうえで重要な要素となっています。
そのため、準強制性交等事件の弁護活動としては、被害者との示談締結が効果的といえます。
被害者が告訴する前に示談を締結することができれば、事件の内容や示談内容、タイミングによってはそもそも刑事事件化を避けられる場合もあります。
また、警察等の捜査当局に告訴された後であっても、起訴前に示談をすることによって被害者に告訴を取り下げてもらうことができれば、不起訴獲得の可能性も出てきます。

Aさんの場合、Vさんから警察へ被害届の提出はありますが、被害届はあくまで被害にあったことを申告するもので、処罰を求める性質はありません。
もっとも、被害届を提出する場合は被害者が犯人を見つけ出したいと思っていたり、さらには犯人を処罰してほしいと思っている場合が多いことも事実ですので、早急な対応が必要です。
可能な限り早く弁護士を通じて被害者に謝罪することによって、被害者感情を抑えることができ示談できる可能性があるので、このような事件でお困りの方は、一刻も早く刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

ご家族やご友人が準強制性交等罪によって逮捕されてしまった方、京都府川端警察署の捜査対象となってしまって困っている方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談下さい。

脅迫罪・暴力行為処罰法違反で逮捕

2019-09-19

脅迫罪・暴力行為処罰法違反で逮捕

Aさんは,京都府亀岡市の自宅で交際相手のVさんと口論になり,「いい加減にしないと痛い目にあわすぞ」などと言ってVさんに包丁を突きつけました。
恐怖を感じたVさんが京都府亀岡市を管轄する京都府亀岡警察署に通報し,Aさんは暴力行為処罰法違反の容疑で京都府亀岡警察署の警察官に逮捕されました。
その後,Aさんの両親が逮捕を知り,どうにかAさんの釈放や刑罰の軽減を実現できないかと,刑事事件専門の弁護士へ相談しました。
その結果,ひとまず弁護士がAさんのもとへ接見へ向かい,事件の詳細を聞くと同時に,今後の手続きの流れや取りうる弁護活動について話をしてくることとなりました。
(フィクションです。)

~脅迫罪~

今回のAさんは暴力行為処罰法違反の容疑で逮捕されていますが,こういった人を脅す行為によって成立する犯罪として耳なじみのある犯罪としては,脅迫罪が挙げられるのではないでしょうか。
人の生命,身体,自由,名誉又は財産に対し,害を加える旨を告知して人を脅迫した場合,脅迫罪(刑法222条1項)が成立します。
その場合,2年以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられます。

刑法222条
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

脅迫罪の「脅迫」とは,一般に人を畏怖させるに足りる害悪の告知をいいます。
告知が相手方に到達して認識されたことは必要であるが,実際に相手方が畏怖したことまでは必要ありません(大判明治43年11月15日)。
脅迫に当たるかどうかは,具体的諸事情を勘案して判断される必要があります(最判昭和35年3月18日)。
Aさんの行為は,包丁という危険な武器を突きつけるものであり,「いい加減にしないと痛い目にあわすぞ」という威圧的な発言も相まって,Vさんが包丁で刺されて身体・生命を害されるのではと畏怖するのに十分といえますし,実際にVさんはそれに恐怖を感じて通報しているようです。
したがって,Aさんの行動は脅迫罪に当たる可能性が高いといえるでしょう。

~脅迫罪と暴力行為処罰法違反~

先ほどAさんには脅迫罪が成立する可能性が高いといいましたが,実際のAさんの逮捕容疑は暴力行為処罰法違反です。
実は,凶器を用いて脅迫を行った場合,より重い暴力行為処罰法(正式名称:暴力行為等処罰に関する法律)が適用される可能性があるのです(暴力行為処罰法1条)。
暴力行為処罰法は,暴力団などの集団的暴力行為や,銃や刀剣による暴力的行為,常習的暴力行為を,刑法の暴行罪,脅迫罪よりも重くかつ広範囲に処罰するための法律です。
暴力行為処罰法違反の場合,3年以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられることとなり,脅迫罪よりも重い刑罰が設定されていることがわかります。

暴力行為処罰法1条
団体若ハ多衆ノ威力ヲ示シ、団体若ハ多衆ヲ仮装シテ威力ヲ示シ又ハ兇器ヲ示シ若ハ数人共同シテ刑法(明治40年法律第45号)第208条、第222条又ハ第261条ノ罪ヲ犯シタル者ハ3年以下ノ懲役又ハ30万円以下ノ罰金ニ処ス
※注:脅迫罪は刑法222条

Aさんは包丁という凶器を用いて脅迫罪にあたる行為をしていたわけですから,暴力行為処罰法のこの条文に該当し,暴力行為処罰法違反となる可能性があるのです。

~脅迫事件・暴力行為処罰法違反事件の弁護活動~

脅迫事件や凶器を用いて脅迫したことによる暴力行為処罰法違反事件を起こした場合で,特にAさんのように見知った近しい人を相手としてこうした事件を起こしてしまったような場合には,逮捕や勾留といった身体拘束を伴う捜査となりやすいです。
というのも,被害者が見知った人である場合,被疑者(加害者)自身が被害者に接触し,その証言を変えさせてしまう=証拠隠滅をしてしまうおそれがあると判断されやすいからです。

このように逮捕されてしまったような場合には,なるべく早く弁護士に依頼すべきです。
脅迫罪暴力行為処罰法違反の容疑で逮捕された事件で依頼を受けた弁護士の活動としては,まずは身体拘束からの解放を目指すことが考えられます。
先ほど触れたような証拠隠滅のおそれのない環境をご家族などと協力して作り上げ,それを検察官や裁判官へ訴えるなどして釈放を求めていくことになるでしょう。

また,脅迫罪暴力行為処罰法違反事件では,先ほど触れたように被害者が存在します。
事実に争いがないのであれば,速やかに被害者へ謝罪・弁償を行い,示談締結をすることで,早期釈放や刑罰の軽減が期待できます。
ただし,何度も繰り返すようですが,被疑者本人が被害者へ直接連絡することは,証拠隠滅のおそれがあるとみられやすいですし,被害者側からも恐怖や怒りから避けられがちです。
こういった場面でも,第三者である弁護士のサポートを受けることが望ましいでしょう。

京都脅迫事件暴力行為処罰法違反事件やその逮捕・勾留にお悩みの際は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士までご相談ください。
事例のAさんのように逮捕されている場合には,まずは弁護士が被疑者本人のもとへ行き,事件の詳細や伝言を聞き取り,アドバイスを行う初回接見サービスがおすすめです。
まずは0120-631-881までお電話ください。

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