Archive for the ‘刑事事件’ Category
置引きが強盗罪に?
置引きが強盗罪に?
置引きが強盗罪に発展してしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
Aさんは、京都市南区にあるカフェを利用している際、隣の席に座ったVさんが財布をソファの上に置きっぱなしにしているところを見ました。
Aさんは、「こっそり持って行ってもばれないかもしれない」と思い、Vさんが雑誌を見ている間にこっそりVさんの財布をこっそり自分の方へ引き寄せると、そのまま財布を持って店を出ました。
しかし、Aさんが店を出るところでVさんが財布を取られたことに気が付いて追いかけてきたため、Aさんは咄嗟にVさんを突き飛ばし、激しく転倒させたうえで逃走しました。
その後、通報を受けた京都府南警察署の捜査により、Aさんは事後強盗罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは、置引き程度のつもりだったのに強盗罪の容疑で逮捕されたことに驚き、家族の依頼で警察署にやってきた弁護士に接見すると、どうして強盗罪の容疑をかけられているのか詳しく聞いてみることにしました。
(※令和3年11月15日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・置引きが強盗罪になる?
置引きとは、置いてある他人の物を持ち去ってしまう窃盗行為の手口の1つです。
今回のAさんが置いてあったVさんの財布を持ち逃げしようとした行為は、まさにこの置引きの手口であったといえるでしょう。
多くの場合、置引きには窃盗罪が成立します。
置引きと聞いて窃盗罪をイメージする方も多いでしょう。
刑法第235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
しかし、今回のAさんの逮捕容疑は事後強盗罪という強盗罪の1種です。
置引きが強盗罪にまでなることがあるのでしょうか。
事後強盗罪は、刑法第238条に定められている犯罪です。
刑法第238条(事後強盗罪)
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
事後強盗罪の主体となるのは「窃盗」です。
これは「窃盗犯」を指しており、今回のAさんも置引きをしている窃盗犯ですから、Aさんは事後強盗罪の主体となり得ることになります。
そして、この「窃盗」が盗んだ財物を取り返されることや捕まることを防ぐため、犯罪のあとを隠すために暴行や脅迫をした場合に成立するのが事後強盗罪です。
今回のAさんは、Vさんが財布を取られたことに気が付いて追いかけてきたところを突き飛ばして逃げ切っています。
Aさんは財布を取り返されることや捕まることを防ぐためにVさんを突き飛ばすという暴行をふるっていると考えられます。
こうしたことから、Aさんには事後強盗罪が成立すると考えられるのです。
ここで、事後強盗罪の法定刑は「強盗として論ずる」ということから、強盗罪と同じものです。
刑法第236条第1項(強盗罪)
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
窃盗罪が「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」という刑罰と定められているのに比べると、強盗罪の刑罰は下限が5年の懲役刑のみで罰金刑の規定もないという、非常に重い刑罰が設定されていることが分かります。
さらに、もしもVさんがAさんの暴行によって怪我をしていた場合には、事後強盗罪ではなく強盗致傷罪が成立する可能性もあります。
刑法第240条(強盗致死傷罪)
強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
強盗致傷罪も事後強盗罪のように主体が限定されており、「強盗」=強盗犯ということになります。
Aさんの場合、事後強盗罪を犯している強盗犯ということになりますので、AさんがVさんを突き飛ばした時にVさんが怪我をしていれば、Aさんには強盗致傷罪が成立することになるのです。
強盗致傷罪となれば、その刑罰は「無期又は6年以上の懲役」となり、さらに重い刑罰が予想されることになります。
単なる置引きがきっかけであったとしても、その後の行動によっては強盗罪や強盗致傷罪といった非常に重い犯罪が成立します。
特に、強盗致傷罪となった場合には、起訴されれば裁判員裁判の対象となり、特別な準備も必要となってきます。
まずは自分が容疑をかけられている犯罪の把握、その犯罪で起訴されたり有罪となったりした場合の見通し・手続の把握などをすることが重要ですから、早い段階で弁護士に相談してみましょう。
刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、置引き事件から強盗事件まで、幅広い事件のご依頼・ご相談を受け付けています。
まずはお気軽にお問い合わせください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、京都市中心部にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う法律事務所です。
京都を中心に近畿地方一円の刑事事件・少年事件について、逮捕前・逮捕後を問わず、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士が素早く対応致します。
当事務所は初回の法律相談を無料で行っております。土日祝日であっても夜間を含め、24時間体制でご相談を受け付けております。お急ぎの方については、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。刑事事件・少年事件に関することなら、どんな疑問でも、どなた様でもご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 京都支部 弁護士紹介
児童ポルノ製造・強要事件を弁護士に相談
児童ポルノ製造・強要事件を弁護士に相談
児童ポルノ製造・強要事件を弁護士に相談するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
Aさんは、動画配信アプリを通じて京都府宮津市に住んでいるという女子高生Vさん(16歳)と知り合いました。
アプリ内のメッセージ機能を使ってやり取りするようになったAさんとVさんは、メッセージアプリでもアカウントを教え合い、やり取りをするようになりました。
その後、Aさんが「裸の写真が見たい」とVさんに伝え、Vさんに服を脱いだ写真を送ってもらう関係に発展しました。
しかし、Vさんが次第に写真を送ることを怖がり渋るようになると、AさんはVさんに対して「言うことを聞かないなら今まで送って来た写真を拡散するぞ」「晒されたくないなら写真を送れ」などと言うようになりました。
VさんはしばらくAさんの言う通りにしていましたが、恐怖に耐え切れず、両親に相談。
Vさんとその両親は京都府宮津警察署へ被害を申告し、Aさんは児童ポルノ製造による児童ポルノ禁止法違反と強要罪の容疑で逮捕されてしまいました。
事件について知ったAさんの家族は、京都府の逮捕に対応している弁護士に相談し、Aさんのもとへ接見に行ってもらうことにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・写真を送らせる=児童ポルノ製造に
今回のAさんの逮捕容疑の1つである児童ポルノ製造行為とは、文字通り児童ポルノを作り出すことを指します。
児童ポルノ禁止法第7条第4項
前項に規定するもののほか、児童に第2条第3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第2項と同様とする。
「前項に規定するもの」とは、児童ポルノを提供する目的での児童ポルノの製造・所持・運搬・輸出入行為のことです。
児童ポルノを提供する、すなわち、他の人へ渡したり広めたりする目的以外で児童に児童ポルノ禁止法第2条第3項にある姿態を取らせて写真などを撮影して児童ポルノを作成した場合に、この条文に該当する児童ポルノ禁止法違反となります。
つまり、自分でその写真を見て楽しむといった目的のために児童ポルノ製造行為をしたような場合には、この条文に該当する児童ポルノ禁止法違反になるということです。
そして、「第2条第3項各号」とは、児童ポルノ禁止法の中で児童ポルノというものを定義している条文です。
例えば、児童相手の性交の様子や性交類似行為や、児童が一部又は全部服を脱いでいて性的部分を強調している様子などが当てはまります。
今回のAさんがVさんに写真を送らせた目的は定かではありませんが、自分で写真を見る目的であれば、先述の児童ポルノ禁止法の条文に当たることになります。
さらに、Aさんが送らせたVさんの写真はVさんの裸の写真であるため、「児童ポルノ」に定義されることになるでしょう。
そして、ここで、その児童ポルノを「製造した」という文言から、実際に児童ポルノにあたる写真を撮影したのはVさん自身ではないかと考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、今回の事例ではAさんから児童ポルノをVさんに作らせたという経緯ですから、AさんがVさんに写真を撮らせることで児童ポルノ製造をしたということになります。
こうしたことから、Aさんには児童ポルノ製造の罪に当たると考えられるのです。
・児童ポルノと強要罪
今回のAさんは、児童ポルノ製造による児童ポルノ禁止法違反だけでなく、強要罪の容疑もかけられています。
刑法第223条第1項(強要罪)
命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
強要罪は、脅迫や暴行を用いて人に義務のないことをさせることで成立する犯罪です。
似たような犯罪に脅迫罪がありますが、脅迫罪が脅迫するだけにとどまるのに対し、強要罪では加えて人に義務のないことを行わせる犯罪です。
人に義務のないことを強いるという分、強要罪の方が法定刑も重く設定されています。
参考:刑法第222条第1項(脅迫罪)
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
今回のAさんは、Vさんの裸の写真を拡散させると脅迫し、Vさんにさらなる写真の提供を要求しています。
裸の写真を拡散されるということはVさんの名誉が害される可能性のあることで、「名誉…に対し害を加える」旨の告知と言えるでしょう。
当然、VさんにAさんへ裸の写真を提供する義務はないですから、Aさんには強要罪が成立すると考えられるのです。
児童ポルノを児童から送らせていたという事件では、その児童ポルノ自体を材料に脅迫罪や強要罪にあたる行為をしてしまったという被疑者・被告人の方もままいらっしゃいます。
児童ポルノ製造による児童ポルノ禁止法違反だけでなく、脅迫罪や強要罪も犯してしまっているとなれば、それぞれの犯罪にどのように対応していけばよいのか分からなくなってしまうかもしれません。
だからこそ、まずは専門家である弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、児童ポルノ禁止法違反事件や強要事件などの刑事事件を専門に取扱っています。
0120-631-881ではお問い合わせを24時間いつでも受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、京都市中心部にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う法律事務所です。
京都を中心に近畿地方一円の刑事事件・少年事件について、逮捕前・逮捕後を問わず、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士が素早く対応致します。
当事務所は初回の法律相談を無料で行っております。土日祝日であっても夜間を含め、24時間体制でご相談を受け付けております。お急ぎの方については、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。刑事事件・少年事件に関することなら、どんな疑問でも、どなた様でもご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 京都支部 弁護士紹介
パーティードラッグで麻薬取締法違反
パーティードラッグで麻薬取締法違反
パーティードラッグで麻薬取締法違反となった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
Aさんは、京都市右京区にあるクラブに良く通っていましたが、そのクラブでXさんという男性と知り合いました。
Aさんは、Xさんから「テンションが上がってより楽しめるものがある」と言われ、ピンクやブルーといったカラフルな色の錠剤を渡されました。
Aさんは、「きっとパーティードラッグというやつだろう」と思ったものの、知人やその場にいた客がXさんからその錠剤をもらって服用しているのを見て、「みんな使っているのだから大丈夫だろう。この場所でしか使わないのならそんなに大したことにはならないだろう」と思い、自分もXさんから錠剤を受け取ると服用し、時間を過ごしました。
その後、Aさんはクラブに行くたびにXさんからそのパーティードラッグを購入していたのですが、ある日、クラブ帰りに京都府右京警察署の警察官から職務質問を受けました。
Aさんは余った錠剤を携帯していたのですが、警察官からそれを見咎められ、任意同行されることになりました。
その後の捜査でAさんの所持していた錠剤がMDMAだということが発覚し、結果、Aさんは麻薬取締法違反の容疑で逮捕されることとなってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・パーティードラッグで麻薬取締法違反
MDMAは、合成麻薬の1種で、使用すると高揚感や多幸感を得られるということから、パーティードラッグとしても使用されることの多い薬物です。
MDMAは、見た目もカラフルに着色された錠剤とされていることが多く、さらにその錠剤自体にも可愛らしいキャラクターやロゴ、文字が刻まれていることもあります。
MDMAはこうしたポップな見た目からも、若者に利用されやすい薬物とされていおり、そのためパーティードラッグとしてクラブなどで使用されることもあるようです。
しかし、MDMAは紛れもない合成麻薬であることから、使用を続ければ錯乱状態になることや、腎臓や肝臓の機能に障害を発生させたり、心不全になったりして最悪の場合紙に至ることもある危険な薬物です。
パーティードラッグなどと言われていても、中身は違法・危険な薬物であることに変わりはありません。
そして、MDMAは先ほど触れたように手を出しやすい違法薬物とされていることから、大麻同様に「違法薬物の入り口」とも言われています。
このMDMAは、先述したように合成麻薬の1種であるため、麻薬として麻薬取締法(正式名称「麻薬及び向精神薬取締法」)で規制されています。
麻薬取締法第66条
第1項 ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持した者(第69条第4号若しくは第5号又は第70条第5号に該当する者を除く。)は、7年以下の懲役に処する。
第2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、1年以上10年以下の懲役に処し、又は情状により1年以上10年以下の懲役及び300万円以下の罰金に処する。
第3項 前二項の未遂罪は、罰する。
麻薬取締法第66条の2
第1項 第27条第1項又は第3項から第5項までの規定に違反した者は、7年以下の懲役に処する。
第2項 営利の目的で前項の違反行為をした者は、1年以上10年以下の懲役に処し、又は情状により1年以上10年以下の懲役及び300万円以下の罰金に処する。
第3項 前二項の未遂罪は、罰する。
※注:麻薬取締法「第27条」は、ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬の施用等について禁止している条文です。
今回のAさんは、MDMAの所持だけでなく施用もしています。
逮捕容疑はMDMA所持による麻薬取締法違反ですが、今後の捜査によってはMDMA施用による麻薬取締法違反の罪にも問われる可能性が出てきます。
MDMAに関連した麻薬取締法違反は、条文を見ていただけるとわかるように、罰金刑のみの規定がありませんから、起訴されるということは刑事裁判を受けるということにつながります。
性質上、起訴まで勾留され続けるということも考えられますから、身体拘束からの解放を求める活動と並行して裁判の準備をしていくことが求められます。
パーティードラッグとして流通していれば、気軽なものだと勘違いしやすいですが、MDMAを所持・施用するということはこれだけ重いことなのです。
だからこそ、もしも当事者となってしまったら、弁護士のサポートが重要なのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門の弁護士が、身柄解放活動だけでなく公判弁護活動も含めた刑事事件のフルサポートを行っています。
パーティードラッグによる麻薬取締法違反事件にお困りの際は、お気軽に弊所弁護士までご相談ください。
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弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 京都支部 弁護士紹介
名誉棄損事件を無料法律相談
名誉棄損事件を無料法律相談
名誉棄損事件を料法律相談するケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
Aさんは,京都府舞鶴市に本社があるV社の商品を良く購入していました。
しかし,ある日V社から購入した商品が気に入らず,V社に問い合わせをしたAさんは,商品だけでなくV社の対応にも不満を持ち,「V社はひどい会社だ。ひどい仕打ちを受けたと広く知らしめてやりたい」と思うようになりました。
そこでAさんは,「V社の商品は欠陥品だ。V社はぼったくりで詐欺師だ」「V社のいうことはデマばかり」などと書いた看板を京都府舞鶴市内のV社の近くの路上に多数設置しました。
それを見たV社は京都府舞鶴警察署に通報し,被害届を出したことを公表しました。
Aさんは,報道でV社に対する名誉毀損事件の捜査が開始される見込みであることを知り,どうしてよいのか分からなくなり,ひとまず弁護士の無料法律相談を受けて今後の対応を考えてみることにしました。
(フィクションです。)
~名誉毀損罪~
公然と事実を摘示し,人の名誉を毀損した場合,名誉毀損罪(刑法230条1項)が成立し,3年以下の懲役もしくは禁錮又は50万円以下の罰金が科せられます。
刑法230第条第1項
公然と事実を摘示し,人の名誉を毀損した者は,その事実の有無にかかわらず,3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
名誉毀損罪の条文を見ると,その対象が「人」の名誉とされていることから,名誉毀損罪の被害者は個人でなければならないようにも見えます。
しかし,名誉毀損罪の被害者が個人でなく法人などの団体であっても名誉毀損罪は成立しますから(大判大正15年3月24日),今回のAさんの事例のような会社相手の名誉棄損事件も起こり得ることに注意が必要です。
名誉毀損罪のいう「公然」とは,摘示された事実を不特定又は多数の人が認識しうる状態をいいます(大判昭和6年6月19日)。
このうち,不特定とは,摘示の相手方が特殊な関係によって限定されていないことをいい,多数とは,単に複数であればよいのではなく,相当の多数であることをいいます。
そして,名誉毀損行為において摘示される事実は,それ自体として人の社会的名誉を低下させるような具体的事実であることが必要ですが,公知の事実でもよく,摘示された事実の真否も問いません。
また,摘示の方法は問わず,噂や風評・風聞の形をとっても構いません(大判昭和5年8月25日)。
なお,事実の公共性,目的の公共性,真実性の証明がなされた場合,免責が認められています(刑法230条の2)。
今回の事例のAさんは,京都府舞鶴市内の路上に看板を設置し,通行する相当多数の者が看板を見られるようにしているので,公然と事実を摘示したといえるでしょう。
さらに,その看板の内容も,V社の商品やサービスを貶めるものであることから,V社の社会的名誉を低下させるような具体的事実であると判断される可能性があります。
名誉毀損罪の刑事事件として京都府舞鶴警察署の警察官が捜査を開始するのも仕方がないといえるでしょう。
~名誉棄損事件を起こしてしまったら~
名誉毀損罪が成立することに争いがないのであれば,弁護士に依頼して示談をすべきでしょう。
弁護士は名誉棄損事件の依頼を受けた場合,被害者が告訴しないように,あるいは告訴を取り下げてもらうように交渉します。
名誉毀損罪は告訴がなければ起訴できない親告罪(刑法232条)だからです。
そして,被害者の方との間で示談が成立している,あるいは被害弁償も済んでいるという状態にできれば,その後の民事裁判(損害賠償請求訴訟など)も回避することができます。
名誉毀損罪の場合,裁判となれば,初犯であれば執行猶予判決が見込まれますが,その場合も前科となってしまいます。
前科をさけるためには,起訴される前に弁護士に依頼して示談をすることが有効です。
しかし,名誉毀損行為の態様等によっては,警察に逮捕されて取調べを受ける流れになることも考えられます。
今回のAさんの事件も,現在捜査が開始される見込みという段階のようですが,捜査が開始されれば逮捕されてしまう可能性も否定はできません。
逮捕されてしまえば弁護士に自由な時間に相談することはできませんし,自分の名誉毀損行為が刑事事件化している可能性があるのであれば,早い段階から弁護士に相談し,今後の対応について検討しておくべきといえるでしょう。
捜査機関へ自ら出頭することや,早期に被害者対応を開始することを含め,刑事事件の専門家に相談してみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では,刑事事件・少年事件の初回無料法律相談を行っていますから,とりあえず弁護士の話を聞きたい,という方にもお気軽にご相談いただけます。
土日祝日も無料法律相談の受付を行っていますので,まずはお気軽にお電話ください(0120-631-881)。
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飲み会からの帰り道で逮捕されてしまったら
飲み会からの帰り道で逮捕されてしまったら
飲み会からの帰り道で逮捕されてしまったというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
会社員のAさんは、京都市山科区にある職場近くで飲み会をしました。
その飲み会からの帰り道、酔っていたAさんは、通行人であるVさんとトラブルになり、Vさんのことを殴ってけがをさせる傷害事件を起こしてしまいました。
通報を受けた京都府山科警察署の警察官が臨場し、Aさんは傷害罪を犯したとして現行犯逮捕されました。
しかし、Aさんは、飲み会から帰ろうとしたところまでは覚えているのですが、その後の記憶は酔っ払っていたこともあり、全く思い出せません。
逮捕されて警察官に話を聞かれたAさんでしたが、「覚えていない」ということしか言えず、不安に思っています。
その後、Aさんの家族が逮捕を知って弁護士をAさんのもとへ派遣。
Aさんは接見に来た弁護士に事件やその手続きについて相談しました。
(※この事例はフィクションです。)
・飲み会帰りに逮捕されてしまった
今回のAさんは、その飲み会の帰りに傷害事件を起こして現行犯逮捕されるに至っています。
お酒が入ることによって気が大きくなるなどし、傷害事件などの暴力事件を起こしてしまったというご相談は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にもよく寄せられるご相談です。
そして、当事者に飲み会中や飲み会帰りでお酒が入っていたというケースでは、Aさんのように酔っ払っていた影響で事件当時の記憶がない、という方も多くいらっしゃいます。
自分の記憶がないにもかかわらず傷害事件の被疑者として警察官から取調べを受けるのですから、不安を感じて当然でしょう。
事件当時の記憶がなければ、傷害罪について自分がやったと認めることもできませんから、容疑を否認していると捉えられ、逮捕・勾留されて取調べを受けることになるケースも見られます。
その場合、「認めれば帰宅を許される」と誘導をほのめかされることもあるようですし、余計に不安が募ってしまうことでしょう。
だからこそ、こうしたケースの場合には、すぐに弁護士に相談して今後の対応を検討することが重要です。
Aさんのような飲み会帰りに起こった傷害事件では、現行犯逮捕されてしまい、訳の分からないまま警察署に留置されてしまう、というケースも多々見られます。
こうした場合、刑事手続きへの不安や自身の記憶がなかったり曖昧であったりすることから、取調べにおいて自身の認識と異なる供述へ誘導されてしまうリスクが考えられます。
そうしたリスクを軽減するために、弁護士から被疑者の権利や取調べでの注意点、刑事手続きの流れなどを詳しく聞いてアドバイスを受けることが有効なのです。
取調べは逮捕直後から開始されることになりますから、逮捕直後から弁護士への相談・依頼をすることが重要です。
・逮捕直後に弁護士に相談
先述したように、逮捕されてからすぐに弁護士と会って話を聞くことのメリットは大きいものです。
ですから、ご家族などが逮捕されたということを知ったすぐ後から、弁護士に相談・依頼することがおすすめされます。
例えば、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービスがあります。
初回接見サービスでは、お申込みいただいてから最短即日で弁護士が逮捕・勾留された被疑者・被告人のもとへ接見へ向かいます。
逮捕されてしまったご本人はもちろん、そのご家族なども刑事手続きに対する不安は大きいでしょうから、まずは1度弁護士の話をそれぞれ聞いてみることが望ましいでしょう。
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まずはお気軽にご相談ください。
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親子喧嘩をきっかけに逮捕されてしまった
親子喧嘩をきっかけに逮捕されてしまった
親子喧嘩をきっかけに逮捕されてしまったというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都府舞鶴市に住んでいるAさん(20代男性)と母親のVさん(50代女性)は、ある日、親子喧嘩をしました。
最初は言い合っていた2人ですが、ついついヒートアップし、取っ組み合いになってしまいました。
騒ぎに気付いた近所の人が京都府舞鶴警察署に通報。
警察官が駆け付けた際、AさんはVさんに馬乗りになって押さえつけている状態でした。
そのため、警察官はAさんを暴行罪の容疑で逮捕。
AさんもVさんも、まさか親子喧嘩によって逮捕されてしまうとは思わず、困惑してしまいました。
そこで、父親であるBさんが、刑事事件を取り扱っている弁護士に逮捕について相談し、今後どのようにすべきかアドバイスを求めてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・親子喧嘩から逮捕に発展?
この記事を読まれている方の中にも、親子喧嘩をしたことがあるという方はいらっしゃるでしょう。
そんな親子喧嘩から刑事事件に発展し、逮捕されるという事案は、実際のところ少なからず起きています。
上記事例のように、親子喧嘩がヒートアップしてつい手が出てしまったというようなケースで、他のご家族の方が不安に思って警察へ通報されたり、近所の方が騒ぎに気付いて通報されたりといった形で警察が臨場し、現行犯逮捕されることもあるようです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にも、そういった親子喧嘩をきっかけとして逮捕に至ったケースのご相談・ご依頼は寄せられています。
親子喧嘩となると、身内で起きた単なる喧嘩とあって、そう大事にならないだろうと考える方も少なくありません。
しかし、ただの親子喧嘩がヒートアップしただけであっても、暴力をふるってしまえば刑法における暴行罪や傷害罪が成立します。
たとえ加害者と被害者が血縁関係であっても、暴行罪や傷害罪の成立に影響はありませんから、親子喧嘩から暴行事件や傷害事件になってしまうことは十分考えられる話なのです。
刑法第204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法第208条(暴行罪)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
しかし、今回の事例のように、当事者同士が親子喧嘩の延長線上であるとしか認識していなかったような場合には、当事者同士はもちろん、他のご家族の方も、刑事事件となり逮捕された状況に大きく困惑してしまうことでしょう。
だからこそ、こうした時には早期に弁護士に相談することをおすすめいたします。
親子喧嘩をきっかけとした刑事事件の場合、加害者と被害者が同居しているケースも多いため、加害者と被害者の接触を避けるなどのために、逮捕などの身体拘束を伴った捜査となることもあります。
逮捕されてしまったら、すぐに弁護士に相談してみることをおすすめいたします。
今回の事例のAさんとVさんのように、当事者自身が処罰感情を抱いていないという場合には、第三者かつ専門家である弁護士がその旨を丁寧に聞き取って証拠化する、今後同じようなことの起きないよう再犯防止策を練るなどして、釈放や寛大な処分の獲得に向けて活動することになるでしょう。
特に釈放を求めるタイミングには限りがあるため、逮捕直後から弁護士に相談しておくことで、釈放を求めるタイミングをフルにいかすことが期待できるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、親子喧嘩をきっかけとした逮捕にも迅速に対応しています。
京都府の刑事事件のご相談・ご依頼はお気軽にお問い合わせください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、京都市中心部にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う法律事務所です。
京都を中心に近畿地方一円の刑事事件・少年事件について、逮捕前・逮捕後を問わず、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士が素早く対応致します。
当事務所は初回の法律相談を無料で行っております。土日祝日であっても夜間を含め、24時間体制でご相談を受け付けております。お急ぎの方については、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。刑事事件・少年事件に関することなら、どんな疑問でも、どなた様でもご相談ください。
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器物損壊罪と公職選挙法違反
器物損壊罪と公職選挙法違反
器物損壊罪と公職選挙法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都市伏見区に住んでいるAさんは、この度の選挙に出ている候補者のうち、Vさんのことを嫌悪していました。
そして選挙期間中、Aさんの通勤途中の道路脇に、いくつか選挙ポスターを貼っている看板があることに気が付きました。
Aさんは、Vさんの選挙ポスターを目にするのが嫌になり、通勤途中に貼ってあったVさんの選挙ポスターを合計5枚破り捨てました。
後日、Vさんが選挙ポスターが破り捨てられていることに気づき、京都府伏見警察署に被害を届け出たことから捜査が始まり、Aさんは公職選挙法違反の容疑で逮捕されることとなりました。
(※この事例はフィクションです。)
・器物損壊罪と公職選挙法違反…何が違う?
前回の記事では、選挙ポスターを破るという行為と器物損壊罪、公職選挙法違反の関係について取り上げました。
では、器物損壊罪ではなく自由妨害による公職選挙法違反が成立することによって、具体的に何が異なってくるのでしょうか。
①法定刑が異なる
まずは器物損壊罪と自由妨害による公職選挙法違反、2つの犯罪の条文を見てみましょう。
刑法第261条(器物損壊罪)
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
公職選挙法第225条第1項
選挙に関し、次の各号に掲げる行為をした者は、4年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
第2号 交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもって選挙の自由を妨害したとき。
この2つの条文を見比べていただくとお分かりいただけるように、器物損壊罪と自由妨害による公職選挙法違反では、規定されている法定刑、つまりはどの程度の刑罰を受けるのかという範囲が異なります。
器物損壊罪で有罪となった場合に受ける可能性のある刑罰が「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」であるのに対し、自由妨害による公職選挙法違反で有罪となった場合に受ける可能性のある刑罰は「4年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」となっています。
つまり、器物損壊罪となるよりも、自由妨害による公職選挙法違反となった方が重く処罰されるということになります。
②親告罪かどうかが異なる
器物損壊罪は、刑法第264条に規定されている通り、親告罪です。
刑法第264条(親告罪)
第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
※注:器物損壊罪は刑法第261条。
親告罪とは、被害者等による告訴(被害申告+処罰を希望する申し出)がなければ起訴できない犯罪のことをいいます。
つまり、器物損壊罪は、被害者等による告訴なしには起訴できない=裁判とすることができない犯罪ですので、被害者の方と示談を締結するなどして、告訴を出さないようにしてもらったり告訴を取り下げてもらったりすれば、不起訴となり事件を終息させることができます。
対して、公職選挙法違反は親告罪ではありません(非親告罪)。
すなわち、示談をして告訴をしないようにしてもらえば即終了、とはいかないのです。
しかし、実際に損害を被った選挙ポスターの持ち主等に謝罪し被害弁償をする等の活動は全く無駄になるわけではありません。
起訴・不起訴の判断の際や、量刑を決める際に有利な事情として考慮されることとなるでしょう。
このように、器物損壊罪と比べて公職選挙法違反は様々な面で厳しく判断される可能性があります。
だからこそ、刑事事件のプロである弁護士の力がより必要となってくるともいえるでしょう。
また、器物損壊罪と公職選挙法違反、どちらが成立するのか、詳しくどういった違いが出てくるのかといったことは、それぞれの事案に即して専門知識を照らし合わせて判断しなければなりません。
そうしたお悩みの解決のためにも、弁護士に相談・依頼されることをお勧めいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、0120-631-881で初回接見サービスや初回無料法律相談のご予約を24時間いつでも受け付けています。
京都府の器物損壊事件、公職選挙法違反事件でお悩みの際は、遠慮なく弊所弁護士までご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、京都市中心部にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う法律事務所です。
京都を中心に近畿地方一円の刑事事件・少年事件について、逮捕前・逮捕後を問わず、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士が素早く対応致します。
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ポスターを破ったら公職選挙法違反に?
ポスターを破ったら公職選挙法違反に?
ポスターを破って公職選挙法違反に問われたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都市伏見区に住んでいるAさんは、この度の選挙に出ている候補者のうち、Vさんのことを嫌悪していました。
そして選挙期間中、Aさんの通勤途中の道路脇に、いくつか選挙ポスターを貼っている看板があることに気が付きました。
Aさんは、Vさんの選挙ポスターを目にするのが嫌になり、通勤途中に貼ってあったVさんの選挙ポスターを合計5枚破り捨てました。
後日、Vさんが選挙ポスターが破り捨てられていることに気づき、京都府伏見警察署に被害を届け出たことから捜査が始まり、Aさんは公職選挙法違反の容疑で逮捕されることとなりました。
(※この事例はフィクションです。)
・ポスターを破ったら器物損壊罪ではないのか?
上記事例のAさんは、選挙ポスターを破り捨てたことで逮捕されていますが、ここで逮捕容疑が公職選挙法違反であることに疑問を持たれる方がいらっしゃるかもしれません。
物を壊すことによっておこる刑事事件といえば、刑法上の器物損壊罪が適用されるイメージが強いでしょう。
刑法第261条(器物損壊罪)
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
貼ってある選挙ポスターは「他人の物」ですし、それを破り捨てることは物の効用を害することになりますので「損壊」にも当たることになるでしょう。
こうしたことからも、選挙ポスターを破り捨てることは器物損壊罪になり、その罪によって逮捕されたり捜査されたりするのではないでしょうか。
もちろん、選挙ポスターを破るという行為自体が器物損壊罪に該当することに間違いはないのですが、実は公職選挙法という法律で、こうした選挙に関わる妨害行為について規定があるのです。
・選挙ポスターを破ると公職選挙法違反?
公職選挙法は、簡単に言えば選挙制度の確立やその選挙の自由・公正を守るための法律です。
そして公職選挙法の中には、以下のような条文があります。
公職選挙法第225条第1項
選挙に関し、次の各号に掲げる行為をした者は、4年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
第2号 交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもって選挙の自由を妨害したとき。
このうち「文書図画」には、社会一般で用いられる「文書図画」よりも非常に広い範囲のものが含まれるとされています。
公職選挙法の「文書図画」の例としては、書籍や新聞、挨拶状、ポスター、看板、プラカードなどが挙げられます。
そして「毀棄」とは、物を壊したり捨てたりすることでその物の効用を害することです。
ですから、選挙期間中に選挙ポスターを破り捨てるということは公職選挙法の「文書図画を毀棄し」ていることに当てはまります。
そしてこうした方法によって選挙の自由を妨害したと認められれば、いわゆる「自由妨害」をしたとして、公職選挙法違反となるのです(この公職選挙法違反を「自由妨害罪」と呼ぶこともあります。)。
今回のような選挙ポスターを複数枚破り捨てるという行為は、選挙運動の自由を害すことに繋がると考えられますから、公職選挙法違反となりうるのです。
このように、刑事事件では、対象となるものや犯行の期間などによって、見知った犯罪ではない犯罪が成立するということも多々考えられます。
こうした場合、自分のどういった行為がその法律のどの部分に違反しているのか、なぜ自分がその犯罪の容疑をかけられているのかを把握しきれず、取調べなどの対応がうまくできなかったり不安が大きかったりすることが考えられます。
だからこそ、まずは専門家である弁護士に相談してみることがおすすめです。
弁護士に相談することで、なぜその容疑をかけられているのかということから、今後の刑事手続きでどのような対応をすべきなのかということまでアドバイスを聞くことができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、公職選挙法違反事件などの特別法違反事件にも対応しています。
まずはお気軽にご相談ください。
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監禁致傷罪の刑罰の重さは?
監禁致傷罪の刑罰の重さは?
監禁致傷罪の刑罰の重さについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都市左京区に住んでいる会社員の男性Aさんは、同じ会社で働いている同僚の女性Vさんを自宅に呼び、一緒に食事していました。
Aさんは、Vさんのことを好ましく思っていたこともあり、もっと長時間一緒に過ごしたいと考え、Vさんの飲み物に睡眠薬を入れ、Vさんの意識を失わせると、翌朝まで自宅から出られないようにしました。
Vさんは、意識を取り戻すと自力でAさん宅から出ると、近くにあった京都府下鴨警察署の交番に助けを求めました。
Aさんは、監禁致傷罪の容疑で京都府下鴨警察署に逮捕されることになり、Aさんの家族は逮捕の連絡を受け取ってすぐ、京都市の逮捕に対応している弁護士に相談することにしました。
(※令和3年10月12日YAHOO!JAPANニュース配信記事を基にしたフィクションです。)
・監禁致死傷罪の刑罰の重さは?
今回の事例のAさんは監禁致傷罪の容疑で逮捕されていますが、Aさんのように刑事事件を起こして逮捕されてしまった状況において、被疑者本人やその家族が心配する大きなことの1つとして挙げられるのが、有罪になった場合の刑罰の重さがどれほどになるのかということでしょう。
罰金を支払って終わりとなるのか、それとも正式裁判となって公開の法廷に立つことがあるのか、そこで有罪となったら執行猶予が付く可能性があるのか、それとも実刑となって刑務所に行くことになるのか、将来に大きく関わることだからこそ、関心も高く不安も大きいでしょう。
ここで、監禁罪や監禁致死傷罪の刑罰について確認してみましょう。
刑法第220条(逮捕及び監禁罪)
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
刑法第221条(逮捕及び監禁致死傷罪)
前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
監禁罪の刑罰が「3月以上7年以下の懲役」と定められているのに対し、監禁致死傷罪の刑罰は、「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」と定められています。
監禁罪のように「3月以上7年以下の懲役」とされていれば、どれほどの重さの刑罰か想像しやすいですが、「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」と言われても、刑罰の重さがどのくらいの範囲でさだめられているのか分かりづらいという方も多いでしょう。
「傷害の罪と比較して」とは、監禁致傷罪と監禁致死罪それぞれの場合について、刑法の傷害の罪、すなわち傷害罪と傷害致死罪それぞれと比較して重い刑罰である方で処断することを指しています。
例えば、監禁致傷罪の場合を検討してみましょう。
刑法の傷害罪は以下のように刑罰を定めています。
刑法第204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
傷害罪の刑罰として定められているのは「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となりますから、これと監禁罪の「3月以上7年以下の懲役」という刑罰を比較していくことになります。
これらを比較すると、刑罰の下限は監禁罪の「3月以上」「の懲役」の方が重く、上限は傷害罪の「15年以下の懲役」が重いことが分かります。
このことから、それぞれ重い部分を取り、監禁致傷罪の刑罰は「3月以上15年以下の懲役」ということになるのです。
なお、監禁致死罪の場合は、「3年以上の有期懲役」となります。
刑法では、執行猶予を付すことのできるのは言い渡された刑が3年以下の懲役であることが条件であるとされていますが(刑法第25条)、監禁致傷罪で有罪となった場合、先述の「3月以上15年以下の懲役」の範囲で刑罰が言い渡されることになりますから、言い渡される刑罰の重さ次第では執行猶予を付けることができるということになります。
ですから、早い段階から示談交渉などの被害者対応や、カウンセリングの受診などの再犯防止策の構築など、執行猶予獲得のための準備をしていくことが重要と言えるでしょう。
刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、逮捕直後から被疑者やその家族のサポートを開始することができます。
監禁致傷事件などの刑事事件にお悩みの際は、お早めに弊所弁護士までご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、京都市中心部にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う法律事務所です。
京都を中心に近畿地方一円の刑事事件・少年事件について、逮捕前・逮捕後を問わず、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士が素早く対応致します。
当事務所は初回の法律相談を無料で行っております。土日祝日であっても夜間を含め、24時間体制でご相談を受け付けております。お急ぎの方については、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。刑事事件・少年事件に関することなら、どんな疑問でも、どなた様でもご相談ください。
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睡眠薬を飲ませて監禁致傷事件に
睡眠薬を飲ませて監禁致傷事件に
睡眠薬を飲ませて監禁致傷事件に発展したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都市左京区に住んでいる会社員の男性Aさんは、同じ会社で働いている同僚の女性Vさんを自宅に呼び、一緒に食事していました。
Aさんは、Vさんのことを好ましく思っていたこともあり、もっと長時間一緒に過ごしたいと考え、Vさんの飲み物に睡眠薬を入れ、Vさんの意識を失わせると、翌朝まで自宅から出られないようにしました。
Vさんは、意識を取り戻すと自力でAさん宅から出ると、近くにあった京都府下鴨警察署の交番に助けを求めました。
Aさんは、監禁致傷罪の容疑で京都府下鴨警察署に逮捕されることになり、Aさんの家族は逮捕の連絡を受け取ってすぐ、京都市の逮捕に対応している弁護士に相談することにしました。
(※令和3年10月12日YAHOO!JAPANニュース配信記事を基にしたフィクションです。)
・監禁罪・監禁致傷罪とはどんな犯罪なのか?
今回の事例のAさんは、Vさんに睡眠薬を飲ませて意識を失わせ、それによってAさんの自宅からVさんを出られないようにしたという行為によって監禁致傷罪の容疑をかけられ逮捕されています。
Aさんの逮捕容疑である監禁致傷罪は、刑法で以下のように定められている犯罪です。
刑法第220条(逮捕及び監禁罪)
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
刑法第221条(逮捕及び監禁致死傷罪)
前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
刑法第221条の「前条の罪」は、刑法第220条に定められている逮捕罪及び監禁罪のことを指します。
つまり、監禁罪を犯し、そのことによって人を傷害した場合に、今回問題となっている監禁致傷罪が成立するということになります。
では、そもそも監禁罪における「監禁」とはどういった行為を指すのでしょうか。
監禁罪における「監禁」とは、一定の場所から脱出できないように相手の移動の自由を奪うことを指すと考えられています。
なお、手足を縛るといった直接的な強制力を使って相手の移動の自由を奪った場合は、同じ刑法第220条に定められている「逮捕」の方に当たると考えられています。
ですから、「監禁」の具体例としては、部屋に閉じ込める、自動車の中に閉じ込めるといったケースが考えられます。
そして、その「監禁」が行われる方法としては、部屋に鍵をかけるといったケースが思いつきやすいですが、それ以外にも、相手を乗せた自動車やバイクを高速で走行させる、脅迫によって恐怖心をあおり心理的に動けなくする、睡眠薬を飲ませて意識を失わせることで移動を不可能にするといった方法が挙げられます。
こうした「監禁」を「不法に」行うことで監禁罪が成立します。
「不法に」とは、正当な理由がなく行われることを指します。
例えば、警察官が被疑者を逮捕するという行為は、確かに「逮捕」に当たる行為ですが、刑法・刑事訴訟法に基づいた正当な行為であるため、「不法に」行われたものではない=逮捕罪には当たらないということになります。
今回のAさんについては、睡眠薬によってVさんの意識を失わせてAさんの自宅から出られないようにしている上、その行為は正当な理由があって行われたものではないため、「不法に」人を「監禁」しているものと考えられ、まずは監禁罪が成立すると考えられます。
・睡眠薬で眠らせる=「傷害」に?
先ほど、「監禁致傷罪は監禁罪を犯したことによって人を傷害したときに成立する」ということを確認し、今回の事例のAさんにはひとまず監禁罪は成立しそうだというところまで検討しました。
今回の事例のAさんは監禁致傷罪の容疑で逮捕されていますから、監禁罪を犯したことでVさんを傷害したと疑われていることになります。
ここで、「Vさんに怪我を負わせているわけでもないのに傷害したことになるのか?」と疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに、「傷害」や「致傷」といった言葉からは、流血を伴う切り傷や擦り傷、骨折などの物理的で分かりやすい怪我を思い浮かべやすいです。
しかし、刑法でいわれる「傷害」とは、人の生理的機能に障害を与えることであると解されています。
つまり、先ほど例として挙げた切り傷や擦り傷、骨折などの物理的に分かりやすい怪我だけでなく、意識障害なども「障害」に当てはまるのです。
今回のAさんは、Vさんを監禁するにあたって、Vさんに睡眠薬を飲ませることでVさんの意識を失わせるという意識障害を引き起こしています。
そのため、Aさんの行為は監禁罪を犯したことによってVさんを傷害した=監禁致傷罪にあたると考えられるのです。
刑事事件では、言葉のイメージから実際に成立する犯罪と想像していた犯罪が異なってしまうことがあります。
自分にかけられた容疑をきちんと把握しながら刑事手続きに対応していくことも重要なことですから、早い段階から専門家である弁護士に相談し、自分にかけられた容疑が何であるのか、なぜその容疑をかけられているのかを把握しておきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門の弁護士が逮捕直後から相談者様をサポートします。
まずはお気軽にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、京都市中心部にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う法律事務所です。
京都を中心に近畿地方一円の刑事事件・少年事件について、逮捕前・逮捕後を問わず、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士が素早く対応致します。
当事務所は初回の法律相談を無料で行っております。土日祝日であっても夜間を含め、24時間体制でご相談を受け付けております。お急ぎの方については、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。刑事事件・少年事件に関することなら、どんな疑問でも、どなた様でもご相談ください。
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