睡眠薬を飲ませて監禁致傷事件に

2021-10-18

睡眠薬を飲ませて監禁致傷事件に

睡眠薬を飲ませて監禁致傷事件に発展したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市左京区に住んでいる会社員の男性Aさんは、同じ会社で働いている同僚の女性Vさんを自宅に呼び、一緒に食事していました。
Aさんは、Vさんのことを好ましく思っていたこともあり、もっと長時間一緒に過ごしたいと考え、Vさんの飲み物に睡眠薬を入れ、Vさんの意識を失わせると、翌朝まで自宅から出られないようにしました。
Vさんは、意識を取り戻すと自力でAさん宅から出ると、近くにあった京都府下鴨警察署の交番に助けを求めました。
Aさんは、監禁致傷罪の容疑で京都府下鴨警察署に逮捕されることになり、Aさんの家族は逮捕の連絡を受け取ってすぐ、京都市の逮捕に対応している弁護士に相談することにしました。
(※令和3年10月12日YAHOO!JAPANニュース配信記事を基にしたフィクションです。)

・監禁罪・監禁致傷罪とはどんな犯罪なのか?

今回の事例のAさんは、Vさんに睡眠薬を飲ませて意識を失わせ、それによってAさんの自宅からVさんを出られないようにしたという行為によって監禁致傷罪の容疑をかけられ逮捕されています。
Aさんの逮捕容疑である監禁致傷罪は、刑法で以下のように定められている犯罪です。

刑法第220条(逮捕及び監禁罪)
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

刑法第221条(逮捕及び監禁致死傷罪)
前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

刑法第221条の「前条の罪」は、刑法第220条に定められている逮捕罪及び監禁罪のことを指します。
つまり、監禁罪を犯し、そのことによって人を傷害した場合に、今回問題となっている監禁致傷罪が成立するということになります。

では、そもそも監禁罪における「監禁」とはどういった行為を指すのでしょうか。
監禁罪における「監禁」とは、一定の場所から脱出できないように相手の移動の自由を奪うことを指すと考えられています。
なお、手足を縛るといった直接的な強制力を使って相手の移動の自由を奪った場合は、同じ刑法第220条に定められている「逮捕」の方に当たると考えられています。

ですから、「監禁」の具体例としては、部屋に閉じ込める、自動車の中に閉じ込めるといったケースが考えられます。
そして、その「監禁」が行われる方法としては、部屋に鍵をかけるといったケースが思いつきやすいですが、それ以外にも、相手を乗せた自動車やバイクを高速で走行させる、脅迫によって恐怖心をあおり心理的に動けなくする、睡眠薬を飲ませて意識を失わせることで移動を不可能にするといった方法が挙げられます。

こうした「監禁」を「不法に」行うことで監禁罪が成立します。
「不法に」とは、正当な理由がなく行われることを指します。
例えば、警察官が被疑者を逮捕するという行為は、確かに「逮捕」に当たる行為ですが、刑法・刑事訴訟法に基づいた正当な行為であるため、「不法に」行われたものではない=逮捕罪には当たらないということになります。

今回のAさんについては、睡眠薬によってVさんの意識を失わせてAさんの自宅から出られないようにしている上、その行為は正当な理由があって行われたものではないため、「不法に」人を「監禁」しているものと考えられ、まずは監禁罪が成立すると考えられます。

・睡眠薬で眠らせる=「傷害」に?

先ほど、「監禁致傷罪監禁罪を犯したことによって人を傷害したときに成立する」ということを確認し、今回の事例のAさんにはひとまず監禁罪は成立しそうだというところまで検討しました。
今回の事例のAさんは監禁致傷罪の容疑で逮捕されていますから、監禁罪を犯したことでVさんを傷害したと疑われていることになります。
ここで、「Vさんに怪我を負わせているわけでもないのに傷害したことになるのか?」と疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに、「傷害」や「致傷」といった言葉からは、流血を伴う切り傷や擦り傷、骨折などの物理的で分かりやすい怪我を思い浮かべやすいです。
しかし、刑法でいわれる「傷害」とは、人の生理的機能に障害を与えることであると解されています。
つまり、先ほど例として挙げた切り傷や擦り傷、骨折などの物理的に分かりやすい怪我だけでなく、意識障害なども「障害」に当てはまるのです。

今回のAさんは、Vさんを監禁するにあたって、Vさんに睡眠薬を飲ませることでVさんの意識を失わせるという意識障害を引き起こしています。
そのため、Aさんの行為は監禁罪を犯したことによってVさんを傷害した=監禁致傷罪にあたると考えられるのです。

刑事事件では、言葉のイメージから実際に成立する犯罪と想像していた犯罪が異なってしまうことがあります。
自分にかけられた容疑をきちんと把握しながら刑事手続きに対応していくことも重要なことですから、早い段階から専門家である弁護士に相談し、自分にかけられた容疑が何であるのか、なぜその容疑をかけられているのかを把握しておきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門の弁護士が逮捕直後から相談者様をサポートします。
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