置引きが強盗罪に?

置引きが強盗罪に?

置引き強盗罪に発展してしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都市南区にあるカフェを利用している際、隣の席に座ったVさんが財布をソファの上に置きっぱなしにしているところを見ました。
Aさんは、「こっそり持って行ってもばれないかもしれない」と思い、Vさんが雑誌を見ている間にこっそりVさんの財布をこっそり自分の方へ引き寄せると、そのまま財布を持って店を出ました。
しかし、Aさんが店を出るところでVさんが財布を取られたことに気が付いて追いかけてきたため、Aさんは咄嗟にVさんを突き飛ばし、激しく転倒させたうえで逃走しました。
その後、通報を受けた京都府南警察署の捜査により、Aさんは事後強盗罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは、置引き程度のつもりだったのに強盗罪の容疑で逮捕されたことに驚き、家族の依頼で警察署にやってきた弁護士に接見すると、どうして強盗罪の容疑をかけられているのか詳しく聞いてみることにしました。
(※令和3年11月15日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・置引きが強盗罪になる?

置引きとは、置いてある他人の物を持ち去ってしまう窃盗行為の手口の1つです。
今回のAさんが置いてあったVさんの財布を持ち逃げしようとした行為は、まさにこの置引きの手口であったといえるでしょう。
多くの場合、置引きには窃盗罪が成立します。
置引きと聞いて窃盗罪をイメージする方も多いでしょう。

刑法第235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

しかし、今回のAさんの逮捕容疑は事後強盗罪という強盗罪の1種です。
置引きが強盗罪にまでなることがあるのでしょうか。

事後強盗罪は、刑法第238条に定められている犯罪です。

刑法第238条(事後強盗罪)
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

事後強盗罪の主体となるのは「窃盗」です。
これは「窃盗犯」を指しており、今回のAさんも置引きをしている窃盗犯ですから、Aさんは事後強盗罪の主体となり得ることになります。
そして、この「窃盗」が盗んだ財物を取り返されることや捕まることを防ぐため、犯罪のあとを隠すために暴行や脅迫をした場合に成立するのが事後強盗罪です。
今回のAさんは、Vさんが財布を取られたことに気が付いて追いかけてきたところを突き飛ばして逃げ切っています。
Aさんは財布を取り返されることや捕まることを防ぐためにVさんを突き飛ばすという暴行をふるっていると考えられます。
こうしたことから、Aさんには事後強盗罪が成立すると考えられるのです。

ここで、事後強盗罪の法定刑は「強盗として論ずる」ということから、強盗罪と同じものです。

刑法第236条第1項(強盗罪)
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

窃盗罪が「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」という刑罰と定められているのに比べると、強盗罪の刑罰は下限が5年の懲役刑のみで罰金刑の規定もないという、非常に重い刑罰が設定されていることが分かります。
さらに、もしもVさんがAさんの暴行によって怪我をしていた場合には、事後強盗罪ではなく強盗致傷罪が成立する可能性もあります。

刑法第240条(強盗致死傷罪)
強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

強盗致傷罪事後強盗罪のように主体が限定されており、「強盗」=強盗犯ということになります。
Aさんの場合、事後強盗罪を犯している強盗犯ということになりますので、AさんがVさんを突き飛ばした時にVさんが怪我をしていれば、Aさんには強盗致傷罪が成立することになるのです。
強盗致傷罪となれば、その刑罰は「無期又は6年以上の懲役」となり、さらに重い刑罰が予想されることになります。

単なる置引きがきっかけであったとしても、その後の行動によっては強盗罪強盗致傷罪といった非常に重い犯罪が成立します。
特に、強盗致傷罪となった場合には、起訴されれば裁判員裁判の対象となり、特別な準備も必要となってきます。
まずは自分が容疑をかけられている犯罪の把握、その犯罪で起訴されたり有罪となったりした場合の見通し・手続の把握などをすることが重要ですから、早い段階で弁護士に相談してみましょう。

刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、置引き事件から強盗事件まで、幅広い事件のご依頼・ご相談を受け付けています。
まずはお気軽にお問い合わせください。

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