ポスターを破ったら公職選挙法違反に?

2021-10-25

ポスターを破ったら公職選挙法違反に?

ポスターを破って公職選挙法違反に問われたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市伏見区に住んでいるAさんは、この度の選挙に出ている候補者のうち、Vさんのことを嫌悪していました。
そして選挙期間中、Aさんの通勤途中の道路脇に、いくつか選挙ポスターを貼っている看板があることに気が付きました。
Aさんは、Vさんの選挙ポスターを目にするのが嫌になり、通勤途中に貼ってあったVさんの選挙ポスターを合計5枚破り捨てました。
後日、Vさんが選挙ポスターが破り捨てられていることに気づき、京都府伏見警察署に被害を届け出たことから捜査が始まり、Aさんは公職選挙法違反の容疑で逮捕されることとなりました。
(※この事例はフィクションです。)

・ポスターを破ったら器物損壊罪ではないのか?

上記事例のAさんは、選挙ポスターを破り捨てたことで逮捕されていますが、ここで逮捕容疑が公職選挙法違反であることに疑問を持たれる方がいらっしゃるかもしれません。
物を壊すことによっておこる刑事事件といえば、刑法上の器物損壊罪が適用されるイメージが強いでしょう。

刑法第261条(器物損壊罪)
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

貼ってある選挙ポスターは「他人の物」ですし、それを破り捨てることは物の効用を害することになりますので「損壊」にも当たることになるでしょう。
こうしたことからも、選挙ポスターを破り捨てることは器物損壊罪になり、その罪によって逮捕されたり捜査されたりするのではないでしょうか。
もちろん、選挙ポスターを破るという行為自体が器物損壊罪に該当することに間違いはないのですが、実は公職選挙法という法律で、こうした選挙に関わる妨害行為について規定があるのです。

・選挙ポスターを破ると公職選挙法違反?

公職選挙法は、簡単に言えば選挙制度の確立やその選挙の自由・公正を守るための法律です。
そして公職選挙法の中には、以下のような条文があります。

公職選挙法第225条第1項
選挙に関し、次の各号に掲げる行為をした者は、4年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
第2号 交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもって選挙の自由を妨害したとき。

このうち「文書図画」には、社会一般で用いられる「文書図画」よりも非常に広い範囲のものが含まれるとされています。
公職選挙法の「文書図画」の例としては、書籍や新聞、挨拶状、ポスター、看板、プラカードなどが挙げられます。
そして「毀棄」とは、物を壊したり捨てたりすることでその物の効用を害することです。
ですから、選挙期間中に選挙ポスターを破り捨てるということは公職選挙法の「文書図画を毀棄し」ていることに当てはまります。
そしてこうした方法によって選挙の自由を妨害したと認められれば、いわゆる「自由妨害」をしたとして、公職選挙法違反となるのです(この公職選挙法違反を「自由妨害罪」と呼ぶこともあります。)。
今回のような選挙ポスターを複数枚破り捨てるという行為は、選挙運動の自由を害すことに繋がると考えられますから、公職選挙法違反となりうるのです。

このように、刑事事件では、対象となるものや犯行の期間などによって、見知った犯罪ではない犯罪が成立するということも多々考えられます。
こうした場合、自分のどういった行為がその法律のどの部分に違反しているのか、なぜ自分がその犯罪の容疑をかけられているのかを把握しきれず、取調べなどの対応がうまくできなかったり不安が大きかったりすることが考えられます。
だからこそ、まずは専門家である弁護士に相談してみることがおすすめです。
弁護士に相談することで、なぜその容疑をかけられているのかということから、今後の刑事手続きでどのような対応をすべきなのかということまでアドバイスを聞くことができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、公職選挙法違反事件などの特別法違反事件にも対応しています。
まずはお気軽にご相談ください。