Archive for the ‘刑事事件’ Category

【解決事例】痴漢事件を家族に秘密にしたい

2022-04-12

【解決事例】痴漢事件を家族に秘密にしたい

~事例~

京都府城陽市に住んでいる会社員のAさんは、通勤途中の電車内でVさんに対する痴漢行為をしたことで、京都府城陽警察署痴漢事件の被疑者として捜査されていました。
Aさんには同居の妻子がいましたが、どうにか痴漢事件を起こしてしまったことを同居の妻子に秘密にしたいと希望され、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部に相談に来られました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

~弁護活動と結果~

Aさんから依頼を受け、Aさんのお話を伺った弁護士は、カウンセリングなどを受診し、Aさんが痴漢事件を起こしてしまった原因を突き止め、再び痴漢事件を起こすことのないよう対策を立てることをおすすめしました。
Aさんは自分の通いやすいカウンセリング施設に通いはじめ、痴漢事件を起こしてしまった原因や、今後再犯防止のために必要な行動をカウンセリングを通じて学ばれ、今後も継続的にカウンセリングを利用することに決められました。

また、万が一にも被害者様に遭遇し、恐怖を感じさせてしまうことのないよう、通勤経路を変更するなどして、被害者様のご負担を少しでも軽減できるよう努められました。

被害者様のご意向により、謝罪・弁償を含めたご連絡はできなかったものの、こうしたAさんの取り組みを弁護士から検察官に伝えることで、事件は略式罰金での終了となりました。
事件が正式な刑事裁判となることを避けられたことで、Aさんの家族に事件が知られることなく事件終了となりました。

痴漢事件などの性犯罪については、刑事事件を中心に取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部へご相談ください。
在宅捜査を受けている方については、初回無料で法律相談をご利用いただけます。

同性相手の盗撮事件を弁護士に相談

2022-04-07

同性相手の盗撮事件を弁護士に相談

同性相手盗撮事件弁護士に相談したいというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市東山区在住の男性会社員Aさんは、近所にある入浴施設の脱衣場で、着替え中だった男性利用客Vさんをスマートフォンを使って盗撮しました。
Vさんが盗撮されていることに気が付き、施設職員に相談。
京都府東山警察署に通報され、Aさんは盗撮をしたことによる京都府迷惑防止条例違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、家族の依頼で接見に訪れた弁護士に、「同性相手でも盗撮になるのか」と相談することにしました。
(※令和4年3月28日YAHOO!JAPANニュース配信記事を基にしたフィクションです。)

・同性相手の盗撮事件

今回の事例のAさんは、盗撮事件を起こしたことで逮捕されてしまったようです。
昨今、カメラ付きのスマートフォンを所持している人も多く、盗撮行為をしようと思えば誰でもできてしまうというのが現実なのかもしれません。
ですから、盗撮事件は比較的身近な刑事事件とも言えるでしょう。

こうした盗撮事件では、「加害者は男性、被害者が女性」というイメージを持たれることが多く、実際にそういった状況の盗撮事件も多いです。
しかし、今回の事例のように、盗撮行為の加害者と被害者が同性同士であったり、加害者が女性で被害者が男性であったりしても、盗撮行為をしてそれが法律に違反するものであれば、当然犯罪となります。

盗撮事件で成立することの多い犯罪の1つとして、各都道府県で定められている迷惑防止条例違反が挙げられます。
どの都道府県の迷惑防止条例が適用されるのかは、盗撮行為が行われた都道府県によります。
例えば、今回の事例の場合、Aさんの盗撮行為が行われたのは京都府ですから、京都府の迷惑防止条例(正式名称「京都府迷惑行為等防止条例」)が適用されることになります。

では、京都府迷惑防止条例の中で、今回の盗撮事件に関係するであろう条文を見ていきましょう。

静岡県迷惑防止条例第3条第3項
何人も、住居、宿泊の用に供する施設の客室、更衣室、便所、浴場その他人が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる他人に対し、第1項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 当該状態にある他人の姿態を撮影すること。

今回のAさんは、入浴施設の脱衣場で盗撮行為をしています。
入浴施設の脱衣場は、入浴のために京都府迷惑防止条例にあるような「住居、宿泊の用に供する施設の客室、更衣室、便所、浴場その他人が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」といえるでしょう。
そして、京都府迷惑防止条例の条文中では、そうした場所にいる「他人」に対し、「第1項に規定する方法」、すなわち、「他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法」(同条例第3条第1項より)で、「当該状態」=「着衣の全部又は一部を着けない状態」にある他人を撮影することを禁止しています。
Aさんは、着替え中のVさん=「衣服の全部又は一部を着けない状態」のVさんをスマートフォンで撮影していますから、この条文に違反する京都府迷惑防止条例違反となると考えられます。

ここで、京都府迷惑防止条例の条文中で使われているのは、「何人も」や「他人」といった言葉のみであり、加害者や被害者の性別について限定をしていません。
ですから、今回の事例のように加害者と被害者が同性同士であっても、加害者が女性で被害者が男性であっても、迷惑防止条例の条文に当てはまる行為をしていれば、迷惑防止条例違反が成立することになります。

Aさんのような盗撮行為をして京都府迷惑防止条例違反となった場合、刑罰の重さは以下のように定められています。

京都府迷惑防止条例第10条
第2項 第3条第2項(第2号を除く。)若しくは第3項(第1号に係る部分に限る。)又は第6条の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

盗撮事件のような性犯罪は、異性間で起こるものというイメージがあるかもしれませんが、同性間でも起こり得ます。
セクシャリティの関係で盗撮事件を他人に相談しづらいという場合もあるかもしれません。
そういった場合でも、弁護士であれば守秘義務を負っていますので、情報漏えいの不安なくご相談頂けます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、同性相手盗撮事件についてもご相談・ご依頼いただけます。
まずはお気軽にお問い合わせください。

キャバクラで未成年者を働かせたら犯罪?

2022-04-05

キャバクラで未成年者を働かせたら犯罪?

キャバクラ未成年者を働かせたら犯罪に当たるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市左京区キャバクラXを経営しているAさんは、SNSを通じて中学2年生のVさん(14歳)と知り合いました。
Vさんが「お金を稼ぎたい」と言っていたことから、Aさんは、「中学生とばれないようにメイクしてくれればいいよ」と話し、キャバクラXでVさんをキャストとして採用し、いわゆるキャバ嬢として接客対応をさせていました。
AさんがVさんをキャバクラで働かせ始めてからしばらくして、京都府下鴨警察署がAさんの店を訪れ、Aさんは児童福祉法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
(※令和4年3月15日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・15歳未満の未成年者とキャバクラ

今回の事例のAさんは、自分の経営しているキャバクラで、14歳の未成年者であるVさんをキャストとして働かせ、接客をさせていたようです。
こうした場合にまず問題となるのが、今回のAさんの逮捕容疑にもなっている、児童福祉法違反という犯罪でしょう。

児童福祉法とは、児童の適切な養育や生活の保障、成長や発達、福祉の保障のために、関連施設についての定めや措置などを決めている法律です。
その児童福祉法には、以下のような条文があります。

児童福祉法第34条第1項
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
第5号 満15歳に満たない児童に酒席に侍する行為を業務としてさせる行為

この条文の「酒席に侍する」とは、いわゆるキャバ嬢やホステスのように、飲酒の席で客相手にその応接に努める行為を指すと考えられています。
児童福祉法第34条第1項第1号~第5号では、児童に有害な影響を与えると考えられる行為を禁止しており、その趣旨からすると、15歳未満の者を酒の席にとどまらせるということ自体が児童に悪影響を与えると考えられ、後述する風営法の「接待」までの限定は求めないと考えられています。

今回の事例のAさんの場合、キャバクラで働かせていたVさんは14歳=15歳未満です。
そのVさんにキャバ嬢として接客対応をさせていたのですから、「酒席に侍する」行為を業務としてさせていたことになります。
こうしたことから、Aさんは児童福祉法違反の容疑をかけられたのでしょう。

・15歳以上の未成年者とキャバクラ

では、15歳以上の未成年者についてはキャバクラで働かせてよいのかという問題が出てくるかもしれません。
この場合、風営法(正式名称「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」)という法律が問題となります。

この風営法では、名前の通り、風俗営業等に係る規制や業務の適正化のための措置などが定められています。
例えば、キャバクラはこの風営法上の「風俗営業」に当たります。

風営法第2条第1項
この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
第1号 キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業

風営法の「風俗営業」にあたるということは、キャバクラはが営業するにあたっては、風営法の規制を受け、その中で営業をしなければ、風営法違という犯罪になってしまいます。
ここで、その風営法の中に、18歳未満=未成年者に関する規定があります。

風営法第22条第1項
風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
第3号 営業所で、18歳未満の者に客の接待をさせること。
第4号 営業所で午後10時から翌日の午前6時までの時間において18歳未満の者を客に接する業務に従事させること。

風営法第22条第1項第3号は、未成年者に「客の接待をさせること」自体を禁止しています。
風営法にいう「客の接待をさせること」とは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と解されています。
キャバクラでいわゆるキャバ嬢が客の席に着き、客をもてなし談笑するといった行為はこの「接待」にあたると考えられます。
つまり、18歳未満の未成年者がいわゆるキャバ嬢のような形でキャバクラで接客すること自体が、風営法で禁止されているのです。

また、いわゆるキャバ嬢のような形で「接待」しない形であっても、風営法第22条第1項第4号のように、午後10時から翌日午前6時の間については、「客に接する業務」をすることが禁止されていることにも注意が必要です。
「客に接する業務」とは、客に接し、客にサービスを提供するなどの業務を指しており、例えば、先ほど挙げた「接客」の他、客を席に案内することや、客席に飲食物を運搬すること、客の手荷物を預かることや客から飲食代金等を徴収することも含まれます。
いわゆる接客サービス全般が含まれると考えてよいでしょう。
ですから、「キャバ嬢の立場でなければ大丈夫」「キャストで無ければ大丈夫」ということではないということです。

これらの条文から分かる通り、未成年者キャバクラで働かせるというケースでは、先ほど掲載した15歳未満の者をキャバクラでキャストとして働かせた場合の児童福祉法違反だけでなく、この風営法違反についても成立する可能性があるということなのです。

・児童福祉法違反・風営法違反は弁護士に相談

自分のした行為が児童福祉法違反風営法違反に当たるのかどうか、どういった部分がどの条文に当たるのか、違反しているのであれば手続はどのように進んでいくのかといったことは、当事者だけで分かりづらいものでしょう。
特に、手続がどのように進んでいくのか、自分にどういった処分が下され得るのかといったことは、多くの被疑者・被告人とその家族の方にとって気がかりなことだと思われます。
だからこそ、早めに弁護士に相談することで、その不安解消につながることが期待できます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件を数多く取り扱う弁護士が逮捕・勾留された被疑者・被告人の方、在宅捜査を受けている被疑者の方など、様々な状況に応じてサポートを行います。
京都刑事事件にお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

改正少年法の「特定少年」とは?

2022-03-23

改正少年法の「特定少年」とは?

改正少年法の「特定少年」とはどういったものなのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府京田辺市に住んでる高校3年生(18歳)のAさんは、近所の書店で雑誌を万引きしたところを店員に見とがめられ、店員を突き飛ばして逃亡しました。
その後、Aさんは京都府田辺警察署の警察官に事後強盗罪の容疑で逮捕され、Aさんの両親にも逮捕の知らせが届きました。
Aさんの両親は、少年法が改正され厳しくなるといったニュースを見ていたため、今後Aさんがどのような処分を受ける可能性があるのか不安に思い、少年事件を取り扱っている弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・改正少年法と「特定少年」

令和4年4月1日に、改正少年法が施行されます。
少年法では、20歳未満の者を「少年」と定義し(少年法第2条第1項)、少年法の対象としています。
しかし、令和4年4月1日から施行される改正少年法では、この20歳未満の「少年」のうち、18歳と19歳の少年を「特定少年」として17歳以下の少年と分けて考える部分が出てきます。

まずは、改正少年法の中で「特定少年」という言葉の出てくる条文を確認してみましょう。

改正少年法第62条
第1項 家庭裁判所は、特定少年(18歳以上の少年をいう。以下同じ。)に係る事件については、第20条の規定にかかわらず、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。

第2項 前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、特定少年に係る次に掲げる事件については、同項の決定をしなければならない。
ただし、調査の結果、犯行の動機、態様及び結果、犯行後の情況、特定少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。
第1号 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るもの
第2号 死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件であつて、その罪を犯すとき特定少年に係るもの(前号に該当するものを除く。)

改正少年法第62条第1項では、改正少年法において18歳・19歳の少年は「特定少年」として扱われるということに加え、「特定少年」に係る少年事件については、少年法第20条の規定にかかわらず、諸々の事情から相当と認められるときには検察官への送致(いわゆる「逆送」)をしなければならないということを定めています。
なお、少年法第20条では、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の少年事件について諸々の事情に照らして相当と認められる場合には逆送を行うことや、故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた少年事件で事件当時16歳以上であった少年については原則逆送とすることが定められています。

さらに、改正少年法第62条第2項では、先ほど記載した少年法第20条で定められていた、故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた少年事件で事件当時16歳以上の少年を原則逆送とするというもの(改正少年法第62条第2項第1号)だけでなく、事件時に「特定少年」であった場合には「死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件」について原則逆送とすることが定められています(改正少年法第62条第2項第2号)。
原則逆送とするときの条件が16歳以上の少年については「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件」とされているのに対し、「特定少年」については「死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件」と、16歳以上の少年に比べて範囲が拡大していることが分かります。

例えば、今回の事例のAさんの場合、容疑をかけられている犯罪は事後強盗罪(刑法第238条)で、その刑罰は「5年以上の有期懲役」と定められています。
改正少年法のもとでは、「短期1年以上の懲役」にあたる犯罪の事件を「特定少年」時に起こした場合は原則逆送となりますから、令和4年4月1日以降にAさんが18歳となっている状態で今回の事件を起こしていた場合には、Aさんの事件は原則逆送されることとなります。

こうしたことから、改正少年法のもとでは、「特定少年」が逆送され、成人と同じ刑事手続きに乗りやすくなるといえるでしょう。
こういったことから、今回の事例のAさんの両親が見たニュースのように、「改正少年法では処分が厳しくなる」というようにとらえられたのだと考えられます。

・「特定少年」と逆送

ここで、「逆送」とは、家庭裁判所から検察官へ事件を送りなおすことを指します。
通常の少年事件は、警察・検察での捜査を終えた後、検察から家庭裁判所に送致されます。
「逆送」では、そこからさらに家庭裁判所から検察へ事件を戻すことになるため、「『逆』送致」=「逆送」と呼ばれているのです。

逆走された少年事件は、成人と同様の刑事手続きの流れに乗ることになります。
検察官が起訴するかどうかを判断し、起訴されれば裁判となり、有罪になれば刑罰を受けることになります。
場合によっては刑務所へ行くことになることも考えられます。
ですから、改正少年法のもとで特に逆送の可能性のある「特定少年」による少年事件については、刑事裁判となることも見据えて弁護活動をしてもらうことが重要です。

今回取り上げた逆送について以外にも、改正少年法下では、「特定少年」として取り扱われる18歳・19歳の少年の手続きが現行の少年法と大きく異なります。
少年事件も多く取り扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、改正少年法に関係するご相談も受け付けています。
子どもが少年事件を起こしてしまったが改正少年法下でどういった扱いになるのか不安だという方、「特定少年」の手続きが分からないとお悩みの方は、お気軽にご相談下さい。

京都市下京区の万引き(窃盗)事件で現行犯逮捕

2022-03-12

京都市下京区の万引き(窃盗)事件で現行犯逮捕

京都市下京区のスーパーでの万引き事件現行犯逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

ケース

京都市下京区のスーパーで買い物をしていたAさんは、レジに並ぶ直前に財布を家に忘れて来てしまったことを思い出しました。
家まで財布を取りに帰るのを面倒に思ったAさんは日用品数点を万引きしてしまい、一部始終を目撃していた京都府下京警察署の警察官に万引きの罪(窃盗罪)で現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

万引き(窃盗)

刑法上では万引き(窃盗)という罪状での定めはなく、窃盗罪として扱われます。
窃盗罪は、自分以外の者が所有している物をその人の意思に反して盗む罪です。
刑法235条で規定されており、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」と定められています。

現行犯逮捕

通常、逮捕は警察官が裁判所に逮捕状を請求してから行われます。
しかし、今まさに罪を犯している、もしくは罪を犯した直後の人に対しては、逮捕状をなしに逮捕することが出来ます。
これを現行犯逮捕といいます。
また、現行犯逮捕は、警察といった捜査機関だけでなく私人でも行うことができます。

現行犯逮捕後の流れ

現行犯逮捕の場合でも通常の逮捕と同じ流れで手続が進むことになります。
逮捕された直後、犯した罪の内容、弁護士をつけることができることを伝えられた後、弁解の機会が設けられます。
そして、弁解の聞き取りやそれと並行して行われる捜査の結果、身柄を拘束されてから48時間以内に、警察は釈放(身柄の解放)するか送致(身柄を検察に送る)するかを決定します。

送致されてしまった場合、検察官が身柄を受け取ったときから24時間以内に勾留請求するか釈放するかを決定します。
勾留請求が出された場合は裁判官が勾留をするかどうかの最終判断をし、勾留が決定してしまった場合、検察官が勾留を請求してから10日、最長で20日間留置施設に留置されることになります。

起訴されてしまった場合、保釈が認められない限り、長期間にわたって拘束されることになります。
また、日本で行われる刑事裁判の99%以上が有罪の判決を下されているといわれており、起訴されてしまうと有罪判決のリスクが高まる可能性があります。

勾留中の被疑者は連日にわたって取調べを受けることになり、心身的苦痛を伴う可能性があります。
勾留されてしまうと外部との連絡は制限されてしまいますが、弁護士であれば勾留中の被疑者に会う(接見する)ことができます。
勾留中の被疑者にとって、外部と連絡をとることができる弁護士の存在は、取調べによる身を守る準備や拘禁による苦痛を軽減するためにも、重要なものになると思われます。
弁護士の活動として接見の他にも、検察官や裁判官が勾留や起訴の判断をする段階で各捜査機関等に釈放や保釈(起訴後の身柄の解放)等を求める働きかけを行えます。

また、早期の段階で各捜査機関への働きかけといった弁護活動を行うことによって、被疑者にとって不起訴処分の獲得による釈放や起訴後の保釈決定の獲得等になるなど、被疑者にとって有利になる可能性が高まります。

万引き(窃盗)事件に強い弁護士活動

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部刑事事件少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
ご家族等が万引き(窃盗罪)等で現行犯逮捕をされた場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部までご相談ください。
フリーダイヤル0120―631―881では24時間365日いつでもお問い合わせをお待ちしております。
また、初回の法律相談を無料で致しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

盗撮事件において示談をするメリット

2022-03-01

盗撮事件において示談をするメリット

盗撮事件において示談を成立させるメリットについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、京都府八幡市内の駅構内において、前を歩く女性の下着を、カバンに忍ばせた盗撮カメラで盗撮しようとしました。
Aさんの挙動が不審だったので、駅構内を警戒していた鉄道警察隊から職務質問を受けることになり、結果、盗撮しようとしていたことを認めました。
Aさんは現在、京都府八幡警察署において、京都府迷惑行為等防止条例違反の疑いで取調べを受けています。
Aさんの家族は、Aさんが盗撮の疑いをかけられていることを知り、「示談という単語をよく聞くが、示談をした方がよいのか」と悩み、刑事事件を取り扱っている弁護士に相談してみることにしました。
(フィクションです)

~Aさんの行為で成立し得る犯罪は?~

Aさんの行為は、京都府迷惑行為等防止条例第3条2項2号の罪が成立する可能性が高いでしょう。

京都府迷惑行為等防止条例
第3条 何人も、公共の場所又は公共の乗物にいる他人に対し、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
(1)~(9)省略
2 何人も、公共の場所、公共の乗物、事務所、教室、タクシーその他不特定又は多数の者が出入りし、又は利用する場所又は乗物にいる他人に対し、前項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 通常着衣等で覆われている他人の下着等を撮影すること。
(2) 前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣等の中をのぞき込み、又は撮影する機能を有する機器(以下「撮影機器」という。)を通常着衣等で覆われている他人の下着等に向けること。
(3) 前項第6号に規定する機器を使用して、通常着衣等で覆われている他人の下着等の映像を撮影すること。
3 省略
(1)~(2)省略
4 省略

今回のケースでは、Aさんの行為によって女性の下着が盗撮されたわけではありませんが、京都府迷惑行為等防止条例第3条2項2号は、撮影機器を「通常着衣等で覆われている他人の下着等に向けること」をも禁止しています。
これによれば、他人の下着等を盗撮する目的でカメラを差し向けた時点で京都府迷惑行為等防止条例違反の罪が成立することになります。
これにより有罪判決が確定すると、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処せられます(京都府迷惑行為等防止条例第10条1項)。

~Aさんは今後どうなるか?~

Aさんは京都府八幡警察署で取調べを受けていますが、今後、身元引受人に迎えにきてもらい解放されるケースと、逮捕されてしまうケースが考えられます。
解放されれば在宅で捜査が行われ、逮捕された場合には身体拘束を伴う捜査が行われることになります。

いずれの場合においても、弁護士を依頼して弁護活動を行い、有利な事件解決を目指すことが重要です。

~想定される弁護活動と示談のメリット~

今回のAさんのケースの場合は、被害者と示談を成立させ、不起訴処分等の有利な処分の獲得を目指すことが考えられます。
示談締結により、被害者への被害弁償や謝罪ができていることを示すことができるため、不起訴処分等を獲得するために有利な事情となるのです。
場合によっては被害者からお許しの言葉をいただくこともあり、そういった場合には被害者の被害感情のおさまりも表すことが可能です。
こうした事情を示すことで有利な処分を獲得するための材料になることは、示談締結のメリットの1つです。
他にも、事件後に蒸し返しによるトラブルが発生するおそれがなくなるといったことなど、弁護士を介して示談を締結することのメリットは複数存在しますから、弁護士に相談した際に詳しく聞いてみることがおすすめです。

ケースの経緯であれば、捜査機関において被害者が特定されている可能性が高いでしょう(被害者が現場から立ち去ってしまった場合にはこの限りではありません。)。
ですから、その特定された被害者と示談交渉をすることが弁護活動の1つとなることが予想されます。

しかし、多くの盗撮事件においては、被疑者と被害者の面識がありません。
そのため、示談交渉を行うためには、捜査機関に被害者の情報を教えてもらう必要があります。
ですが、こうしたケースで被害者に謝罪したい、示談交渉したいと捜査機関に要求しても、Aさん本人には被害者の情報を教えてもらえないことが多いです。
当事者同士で接触することは、証拠隠滅のおそれがあると判断されやすいためです。
そのため、弁護士限りで被害者の情報を開示するよう交渉し、示談交渉をもちかけることが考えられます。

もし示談が成立し、不起訴処分が獲得できれば、裁判にかけられることがないので、前科がつくこともありません。
余罪がなければ、改めて刑事事件化することもありません。
今回のケースの場合は、不起訴処分を獲得することがもっとも有利な事件解決像ということができるでしょう。
京都府内で盗撮事件を起こしてしまった場合は、すみやかに弁護士を依頼し、善後策を立てることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件少年事件の取り扱いを中心とする法律事務所です。
京都府内で起こした盗撮事件でお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

身に覚えのない痴漢事件で高圧的な取調べを受けた

2022-02-18

身に覚えのない痴漢事件で高圧的な取調べを受けた

身に覚えのない痴漢事件の高圧的な取調べを受けた場合の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、京都市南区内を走る満員電車に乗車中、隣の女性から急に声をかけられ、「私に触りましたよね。次の駅で降りてください」と告げられました。
Aさんとしてはまったく身に覚えのないことでしたが、触っていないことを真摯に説明すれば理解してもらえると思い、次の駅で電車を降車しました。
しかしながら、被害を訴える女性はAさんの話を全く信用しようとせず、Aさんはそのまま駆け付けた鉄道警察隊によって京都府南警察署に連れて行かれてしまいました。
京都府南警察署では、Aさんは非常に高圧的な取調べを受け、勝手に作成された調書にサインするよう執拗に要求されたり、「被害者の気持ちを理解する気はないのか。お前、本当に人間なのか」、「お前はすべての女性の敵だ」などと人格を否定するような言葉を浴びせられています。
すでにAさんは女性によって現行犯逮捕された扱いとなっており、現在は留置場の中で不安にかられている状態です。
(フィクションです)

~身に覚えのない疑いである痴漢事件~

痴漢行為が許されるものではないことは誰においても明らかですが、身に覚えのない痴漢の疑いで逮捕されたり、前科がつくこともあってはなりません。
ケースの事件は、典型的な痴漢冤罪事件のようです。

今回のケースでは、Aさんはすでに逮捕されてしまっています。
一刻も早く外に出なければ、無断欠勤をしたとして解雇されてしまうなど、Aさんの社会的立場は日に日に危うくなるでしょう。

また、かなり高圧的な取調べが行われているようですから、外に出るためにやってもいない事件の自白をしてしまうおそれもあります。

さらに、身体拘束が及ぼす心身への悪影響も懸念されます。
このような場合は、すぐに弁護士を依頼して、早期の身柄解放を目指した弁護活動を行ってもらうことを強くおすすめします。

弁護士は、現状のAさんの力になれるほとんど唯一の味方といっていいでしょう。
逮捕などの身体拘束を受けると、非常に孤独な環境で、強大な権限を持つ捜査機関と向き合わなければなりません。
Aさんのために活動してくれる弁護士は、大きな心の支えとなるでしょう。

~今回のケースの問題点~

身に覚えのない疑いで逮捕されてしまったことがすでに大きな問題といえますが、取調官が非常に高圧的な取調べを行っていることも問題です。
最近では、取調室で暴力が振るわれることは少なくなったように思われますが、大声で怒鳴りつける、調書へサインするよう強く迫る、人格を否定する言葉を浴びせるなどの取調べは現在でも存在します。

このような取調べは当然ながら不当なものであり、即刻止めるように抗議する必要があります。
怒鳴りつけるなどの高圧的な取調べ、調書へのサインの強要、人格を否定するような言葉を浴びせられた場合には、すぐに弁護士に報告し、抗議を行ってもらいましょう。

抗議の方法として、警察署長宛の抗議文の送付、刑事課に赴いて直接抗議を行うことなどが考えられます。
その他、担当の取調官を変更してもらう、身体拘束を行う施設を拘置所へ移してもらう(拘置所は法務省の施設なので、警察とは一定の距離を置くことができます)、検察官に抗議を行うことなどが想定されるでしょう。

高圧的な取調べが長時間、長期間続けば、強いストレス、恐怖心が生じます。
ストレスや恐怖心は、身に覚えのない自白につながります。
冤罪「被害」の回避のために、すぐに弁護士と相談することが重要ですが、「弁護士と相談するとまた取調べでひどい目に遭うのではないか」と躊躇してしまう場合もあるかもしれません。
しかしながら、このような不当な取調べを甘受する必要は全くありません。
勇気をもって、取調室で起きていることを弁護士に打ち明け、対策をとってもらいましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件少年事件を多数取り扱ってきた法律事務所です。
ご家族が痴漢の疑いで逮捕されてしまいお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

高校の更衣室での盗撮事件は何罪に?

2022-02-07

高校の更衣室での盗撮事件は何罪に?

高校更衣室での盗撮事件は何罪に当たるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府城陽市にある高校に勤務する教師です。
Aさんは、度々インターネットで未成年の女子のヌード画像などを購入していましたが、そのうちに、「自分でも撮影してみたい」と考えるようになり、ついに勤務先の高校の更衣室にカメラを設置し、女子生徒の更衣室盗撮するようになりました。
しかし、ある日、京都府城陽警察署が児童ポルノ販売事件を捜査していたところ、購入者としてAさんが浮上。
Aさんのスマートフォンが捜査される中で、高校更衣室での盗撮行為も発覚しました。
Aさんは、盗撮事件についても捜査されることになり、今後のことについて弁護士に相談したいと考えています。
(※令和4年1月18日朝日新聞デジタル配信記事を基にしたフィクションです。)

・高校の更衣室での盗撮

今回のAさんの事例では、児童ポルノを購入したことから捜査され、その捜査の延長で盗撮事件が発覚したという経緯のようです。
多くの盗撮事件では、盗撮事件の起こった都道府県で定められている迷惑防止条例に違反する、迷惑防止条例違反という犯罪が成立します。
この迷惑防止条例という条例で注意しなければいけないことは、条例が都道府県ごとに定められている=内容が都道府県によって異なるため、盗撮行為は共通していたとしても、盗撮が行われた都道府県によって迷惑防止条例違反になるのかならないのかということが異なるということです。

今回の事例のAさんの盗撮事件を例にとって考えてみましょう。
盗撮事件が起こったのは京都府ですから、まずは京都府の迷惑防止条例(正式名称:「京都府迷惑行為等防止条例」)に当てはまるかどうかを確認します。

京都府迷惑防止条例第3条第3項
何人も、住居、宿泊の用に供する施設の客室、更衣室、便所、浴場その他人が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる他人に対し、第1項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 当該状態にある他人の姿態を撮影すること。
第2号 前号に掲げる行為をしようとして、他人の姿態に撮影機器を向けること。
注:「第1項に規定する方法」とは、京都府迷惑防止条例第3条第1項にある「他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法」のことを指します。

京都府の迷惑防止条例第3条第3項では、「客室、更衣室、便所、浴場」などで行われるいわゆる盗撮行為をすることを禁止していますから、今回の事例のAさんのような、更衣室での盗撮行為はまさに京都府迷惑防止条例に違反するということになります。

このように、京都府では「客室、更衣室、便所、浴場」といった場所を挙げて盗撮行為を禁止していますが、都道府県によってはこれらの場所を含まない「公共の場所」「公共の乗物」などに限定して盗撮行為を禁止しているということもあります。
そういった場合には、その都道府県の迷惑防止条例違反ではなく、別の犯罪(軽犯罪法違反や建造物侵入罪・住居侵入罪など)が適用される場合もあります。

今回のAさんの事例でさらに注意が必要なのは、盗撮が起こった現場が高校の更衣室であるため、盗撮の対象となった人に、18歳未満の未成年者が含まれている可能性があり、Aさんもそれを認識していただろうという点です。
18歳未満の者を盗撮した場合、その盗撮した画像やデータが児童ポルノとなる可能性があり、そうなると、盗撮によって児童ポルノを作り出した=児童ポルノ製造による児童ポルノ禁止法違反という犯罪になる可能性があるのです。
児童ポルノ禁止法は、今回の事例のAさんが捜査されるきっかけとなった、児童ポルノの売買や所持も禁止している法律です。

児童ポルノ禁止法には、以下のような条文があります。

児童ポルノ禁止法第7条第5項
前二項に規定するもののほか、ひそかに第2条第3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第2項と同様とする。
※注:「第2項と同様とする。」とは、児童ポルノ禁止法第7条第2項に定められている刑罰の「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」と同様の刑罰に処するということです。

児童ポルノ禁止法のいう「児童」とは18歳未満の者のことであり(児童ポルノ禁止法第2条第1項)、「児童ポルノ」とは大まかにいえばそうした児童の性的な画像やデータなどを指します(児童ポルノ禁止法第2条第3項)。
掲載した児童ポルノ禁止法第7条第5条では、「ひそかに」撮影などをすることでこうした児童ポルノを製造したという場合について定めています。
今回のAさんの事例のようないわゆる盗撮行為は、「ひそかに」撮影することと言えるでしょうし、盗撮現場も更衣室という人が下着姿になったり裸になったりという場所ですから、その盗撮対象が18歳未満の「児童」でありそれを認識しながら盗撮していたのであれば、盗撮によって児童ポルノを製造したことによる児童ポルノ禁止法違反となる可能性が出てくるのです。

今回の事例のAさんの場合、その他に盗撮用のカメラを設置するという目的で更衣室に立ち入ったことによる建造物侵入罪(刑法第130条)が成立する可能性もあります。
このように、盗撮事件では、盗撮が行われた場所によっても成立する犯罪が異なってくる可能性がありますし、盗撮された被害者の年齢によっても成立する犯罪が異なってくる可能性があります。
盗撮事件という身近な刑事事件であるものの、どういった犯罪が成立するのか、見通しがどのようになるのかといったことを検討するには、専門的な知識や経験が必要となります。
だからこそ、当事者となってしまったら、まずは弁護士に相談してみましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、高校更衣室での盗撮事件など、性犯罪についてのご相談・ご依頼を受け付けています。
お問い合わせは0120-631-881で受け付けていますので、まずはお気軽にご相談ください。

飲酒運転中の人身事故だからこそ成立し得る犯罪とは?

2022-01-27

飲酒運転中の人身事故だからこそ成立し得る犯罪とは?

飲酒運転中の人身事故だからこそ成立する可能性のある犯罪とはどういった犯罪なのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市右京区に住むAさんは、昨年成人となった20歳です。
Aさんは、京都市右京区内で行われた成人式に参加し、同級生たちと顔を合わせた後、近くの飲食店で成人式後の同窓会を行いました。
その場でAさんは成人を祝って飲酒していたのですが、その後帰路につくために、乗って来た自動車にそのまま乗り込むと、飲酒運転をしました。
しかし、道中でAさんが通行人Vさんと接触する人身事故を起こしてしまったことから、京都府右京警察署の警察官が駆け付けました。
そこでAさんは、人身事故を起こしたことによる過失運転致傷罪と、飲酒運転をしたことによる道路交通法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、成人式後になかなか帰宅しないAさんを心配して京都府右京警察署に問い合わせたところ、どうやらAさんが逮捕されているらしいことを知りました。
驚いた家族は、ひとまず状況を把握したいと、Aさんのもとへ接見に行ってくれる弁護士を探し始めました。
(※令和4年1月11日YAHOO!JAPANニュース配信記事を基にしたフィクションです。)

・飲酒運転中の人身事故だから成立し得る犯罪

前回の記事では、飲酒運転をして人身事故を起こした多くの場合で、飲酒運転による道路交通法違反と、人身事故を起こしたことによる過失運転致傷罪が成立するということを取り上げ、飲酒運転による道路交通法違反と、人身事故を起こしたことによる過失運転致傷罪、それぞれの犯罪について着目しました。
しかし、飲酒運転中に人身事故を起こしてしまったというケースでは、その飲酒の程度や酔いの程度などの事情によっては、上記2つの犯罪ではない犯罪が成立する可能性があります。
まずは以下の条文を見てみましょう。

自動車運転処罰法第2条
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。
第1号 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為

自動車運転処罰法第3条第1項
アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は12年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は15年以下の懲役に処する。

これらは、いわゆる危険運転致死傷罪準危険運転致死傷罪と呼ばれる犯罪です。
前回の記事で取り上げた過失運転致死傷罪があくまで「過失」(不注意)による人身事故に成立する犯罪であったのに対し、危険運転致死傷罪は、危険運転行為という故意の行為によって人身事故を起こしたという犯罪です。
この中で、「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為」が危険運転行為とされており、それによって人身事故を起こした場合には、危険運転致死傷罪となることが定められています。
「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態」とは、道路及び交通の状況等に応じた運転操作を行うことが困難な心身の状態のことを指すとされています。
例えば、泥酔して飲酒運転している状況で、前方をきちんと見ることができない、ブレーキやアクセルを思った通りに操作できないといった状態であれば、「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態」と判断されやすいでしょう。
ですから、例えば今回のAさんがひどい泥酔状態で飲酒運転をしていたということが判明すれば、危険運転致傷罪として捜査される可能性もあるということになります。

さらに、飲酒運転人身事故を起こした後、飲酒運転を隠すために人身事故後に逃亡したり、水などを飲んでアルコール濃度をごまかそうとしたりした場合には、過失運転致傷アルコール等発覚免脱罪という犯罪が成立するということも注意が必要な点です。

自動車運転処罰法第4条
アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合において、その運転の時のアルコール又は薬物の影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で、更にアルコール又は薬物を摂取すること、その場を離れて身体に保有するアルコール又は薬物の濃度を減少させることその他その影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたときは、12年以下の懲役に処する。

例えば、今回のAさんが、人身事故を起こした後、飲酒運転が発覚することを恐れてその場から離れたり、大量に水を飲んだりしていた場合には、この過失運転致傷アルコール等発覚免脱罪という犯罪が成立する可能性もあるのです。

このように、「飲酒運転をして人身事故を起こした」という概要だけでは、どういった犯罪が成立し得るのかということすらすぐにわかるものではありません。
単なる不注意で起こしてしまった人身事故とは異なり、飲酒運転中の人身事故であるという状況だからこそ、逮捕された人がどれほど飲酒し酔っていたのか、人身事故の原因はどういったものなのか、人身事故後にどういった対応をしたのかなど、実際の事件の細かな事情によって、成立し得る犯罪が左右されるのです。

事件全体の事情から詳細な事情までを把握し法律の専門的知識と合わせなければ成立する犯罪を検討することはできないからこそ、単に「飲酒運転で事故を起こして逮捕された」という状況であっても、早期に弁護士に相談し、詳細を把握した上で今後の見通しや手続きを聞いておくことが望ましいのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、飲酒運転による人身事故などの交通事件の刑事手続きについても、ご相談やご依頼を承っています。
まずはお気軽にご相談ください。

飲酒運転と人身事故…それぞれ成立する犯罪は?

2022-01-16

飲酒運転と人身事故…それぞれ成立する犯罪は?

飲酒運転人身事故でそれぞれ成立する犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市右京区に住むAさんは、昨年成人となった20歳です。
Aさんは、京都市右京区内で行われた成人式に参加し、同級生たちと顔を合わせた後、近くの飲食店で成人式後の同窓会を行いました。
その場でAさんは成人を祝って飲酒していたのですが、その後帰路につくために、乗って来た自動車にそのまま乗り込むと、飲酒運転をしました。
しかし、道中でAさんが通行人Vさんと接触する人身事故を起こしてしまったことから、京都府右京警察署の警察官が駆け付けました。
そこでAさんは、人身事故を起こしたことによる過失運転致傷罪と、飲酒運転をしたことによる道路交通法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、成人式後になかなか帰宅しないAさんを心配して京都府右京警察署に問い合わせたところ、どうやらAさんが逮捕されているらしいことを知りました。
驚いた家族は、ひとまず状況を把握したいと、Aさんのもとへ接見に行ってくれる弁護士を探し始めました。
(※令和4年1月11日YAHOO!JAPANニュース配信記事を基にしたフィクションです。)

・飲酒運転をして人身事故を起こしたら

今回の事例のAさんは、飲酒運転をして人身事故を起こしています。
今回の事例のAさんのように、飲酒運転をして人身事故を起こした場合には、道路交通法違反と過失運転致傷罪という2つの犯罪が成立することが多いです。

それぞれの犯罪について確認してみましょう。

・飲酒運転で成立する犯罪

飲酒運転は、道路交通法に定められている犯罪行為で、酔いの程度によって「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」に分けられ、どちらとなるかによって刑罰の重さが異なります。

道路交通法第65条第1項
何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。

道路交通法第117条の2
次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
第1号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの
(※注:いわゆる「酒酔い運転」)

道路交通法第117条の2の2
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第3号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの
(※注:いわゆる「酒気帯び運転」)

いわゆる「酒気帯び運転」とは、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上の状態で運転する飲酒運転のことで、道路交通法第65条第1項、道路交通法第117条の2の2第3号に該当します。
対して、「酒酔い運転」は、千鳥足になっていたりろれつが回っていなかったりといった、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状況で運転する飲酒運転を指し、道路交通法第65条第1項、道路交通法第117条の2第1号に該当する飲酒運転です。

今回の事例のAさんは、飲酒運転の末人身事故を起こしていますから、当然飲酒運転の部分については道路交通法違反となるのです。
「酒気帯び運転」「酒酔い運転」のどちらになるのかは、Aさんがどれほど酒に酔っていたかという部分によって異なることになります。

・人身事故で成立する犯罪

そして、人身事故部分については、多くの場合、自動車運転処罰法で定められている過失運転致傷罪が成立することになります。

自動車運転処罰法第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

この過失運転致傷罪は、一般的な人身事故で多くの場合成立する犯罪です。
例えば、わき見運転や標識の見落としなどによって人身事故を起こし、相手に怪我をさせてしまったというケースでは、過失運転致傷罪に問われるということが多いです。

単に飲酒運転人身事故を起こしたという場合には、ここまで見てきた飲酒運転による道路交通法違反と、人身事故を起こした過失運転致傷罪という2つの犯罪が成立することが多いです。
しかし、飲酒運転の態様と人身事故後の態様によっては、今回取り上げた飲酒運転による道路交通法違反、人身事故を起こした過失運転致傷罪という犯罪ではない犯罪が成立する可能性もあります。
こちらについては、次回の記事で詳しく取り上げます。

どういった犯罪が成立するにせよ、人身事故を起こして突然逮捕されてしまったという状況では、逮捕されてしまった本人はもちろん、ご家族も状況や見通しを把握できないでしょう。
だからこそ、まずは専門家である弁護士を頼ってみることをおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、逮捕されてしまった方向けの初回接見サービスをご用意しています。
飲酒運転人身事故、またはそれら両方の容疑で逮捕されてしまったことでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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