店舗への落書きは建造物損壊罪?器物損壊罪?

2022-04-23

店舗への落書きは建造物損壊罪?器物損壊罪?

店舗への落書き建造物損壊罪になるのか、器物損壊罪になるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

京都市山科区に住んでいるAさんは、近所の飲食店Vが大人数の客で騒がしいことをよく思っていませんでした。
飲食店Vへの鬱憤が溜まったAさんはある日、飲食店Vの店舗の入口のドアや壁面に「いい加減にしろ」「やかましい店」などとスプレー塗料やペンキを使って落書きをしました。
飲食店Vは、店舗の落書きを発見して京都府山科警察署に被害届を提出。
京都府山科警察署の捜査の結果、落書きはAさんによるものと発覚し、Aさんは建造物損壊罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの逮捕を知ったAさんの家族は、京都市刑事事件に対応している弁護士に相談し、今後の手続きの流れや可能な弁護活動について詳しく聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・落書きによって刑事事件に?

今回の事例のAさんは、飲食店Vの店舗に落書きをして逮捕されています。
落書き程度で刑事事件になり、逮捕されるような事態になるのか、と驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、落書きも立派な犯罪になり得る行為です。
店舗に落書きをすることで成立しうる主な犯罪としては、今回のAさんの逮捕容疑である建造物損壊罪と、器物損壊罪が挙げられます。

建造物損壊罪器物損壊罪は、刑法に定められている犯罪です。

刑法第260条(建造物損壊罪)
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。
よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

刑法第261条(器物損壊罪)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

建造物損壊罪器物損壊罪も、それぞれ対象となるものを「損壊」することで成立する犯罪です。
建造物損壊罪の対象は「建造物」であり、器物損壊罪の対象は「他人の物」です。
建造物損壊罪の「建造物」は「家屋その他これに類似する建築物」(大判大正3.6.20)とされており、ざっくりと建物一般を指していると捉えて問題ないでしょう。

ここで注意しなければいけないのは、その建物から取り外せる物は「建造物」なのか「他人の物」なのかという問題です。
例えば、建物内にある襖を壊したとして、襖は「建造物」と言えるのか、といった問題です。
現在この問題については、建物から取り外せる物については、取り外すことがどれほど容易か、その物が建物の構造上どれほど重要なものか、といった点を考慮して判断されています。
玄関のドアが「建造物」かどうかが問題となった裁判では、玄関のドアは取り外し可能なものではあるものの、玄関のドアは外界と住居との遮断、防犯、防音等の重要な役割を果たしていることから「建造物」と言えるとされました(最決平成19.3.20)。

では、建造物損壊罪器物損壊罪の「損壊」とはどういったことを指しているのでしょうか。
建造物損壊罪器物損壊罪の「損壊」は、その物の効用を害する一切の行為を指すとされています。
簡単に言えば、その物をその物として使えなくしてしまう行為が建造物損壊罪器物損壊罪の「損壊」に当てはまる行為なのです。
例えば、壺を割ってしまうといった物理的な破壊行為はもちろん、食器に放尿するといった、その後その物を心理的に使用できなくする行為も「損壊」行為となります。
建造物を対象とした場合、落ちにくいペンキやインクで大々的に落書きした場合のように、建物の外観や美観を著しく汚し、原状回復が相当程度困難にしたような場合も「損壊」行為とされます。

今回のAさんの落書き行為をこれに当てはめて考えてみましょう。
Aさんは、飲食店Vの店舗の壁や入り口に、ペンキやスプレー缶を利用して落書きしたとのことです。
壁や入り口は「建造物」である店舗から取り外すことのできない部分であったり、店舗にとって機能上重要な部分であったりしますから、Aさんが落書きをした部分は「建造物」であったと言えるでしょう。
そして、ペンキやスプレー缶といった、簡単には落ちない塗料によって落書きをしたことから、原状回復が簡単にはできない、外観を大きく損なう行為をしたと考えられます。
このことから、Aさんには建造物損壊罪が成立すると考えられるのです。

繰り返しになりますが、落書きという言葉からはいたずらや嫌がらせ程度のものであるというイメージがつきやすいものの、建造物損壊罪器物損壊罪といった犯罪が成立します。
特に建造物損壊罪は、起訴されれば公開の法廷に立つこととなる非常に重い犯罪です。
落書き行為をしないことはもちろんですが、もしも落書き行為によって刑事事件となってしまったら、早期に弁護士に相談し、刑事手続きに対応していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、落書きによる刑事事件についてのご相談も受けつけています。
まずはお気軽に、0120ー631ー881までお電話ください。