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【事例紹介】SMS認証代行と不正作出私電磁的記録供用罪

2022-07-31

不正作出私電磁的記録供用罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)を使った本人確認手続き「SMS認証」を代行し、SNS(交流サイト)のアカウントを依頼者に不正取得させたとして、京都府警サイバー犯罪対策課と城陽署は25日までに、私電磁的記録不正作出・同供用容疑で、神戸市の男子専門学校生(19)や東京都国分寺市の男子大学生(18)ら男女5人を書類送検した。
(中略)
書類送検容疑は、専門学校生と大学生が、依頼者側の20~30代の男女3人と共謀し、何らかの方法で入手した他人の電話番号と認証コードを依頼者側に提供し、SNSサイトのアカウントを不正取得させた疑い。
(中略)
捜査関係者によると、専門学校生と大学生は、オンラインゲームのキャラクターやアイテムを売買するサイトで、「アカウント1500円」などと認証代行をほのめかす投稿をしていた。
不正取得したSNSアカウントの一部は、売春グループの誘客に使われていたという。

(7月25日 京都新聞 「「SMS認証」代行でアカウント不正取得疑い、男女5人書類送検 京都府警」より引用)

不正作出私電磁的記録供用罪

前回の記事では、取り上げた事例の私電磁的記録不正作出罪について触れましたが、報道を見ると、書類送検された男女にかけられた容疑は私電磁的記録不正作出罪だけでなく、「同供用罪」というものもあるようです。
この「同供用罪」とは、不正作出電磁的記録供用罪のことを指します。
不正作出私電磁的記録供用罪は、刑法第161条の2第3項で「不正に作られた権利、義務または事実証明に関する電磁的記録を、第1項の目的で、人の事務処理の用に供した者は、その電磁的記録を不正に作った者と同一の刑に処する。」と定められています。

簡単にまとめると、不正に作成された電磁的記録を他人の事務処理に間違いを生じさせる目的で使用した場合には不正作出私電磁的記録供用罪が適用されます。

不正作出私電磁的記録供用罪において使用される不正に作成された電磁的記録は、自分で作ったものに限らず、他人が作成したものを使用した場合も不正作出私電磁的記録供用罪が適用されます。
自分で不正なデータを作って使用すれば、前回の記事で取り上げた私電磁的記録不正作出罪と、今回取り上げた不正作出私電磁的記録供用罪がどちらも成立することになります。
こうした場合、今回の事例の報道にある通り、「私電磁的記録不正作出罪・同供用罪」と併記されることが多いです。

今回の事例では、SMS認証を本人以外が代行し不正なアカウント取得をしたということですから、自分たちで不正なデータを作成し使用した上で本人ではない別人のアカウントを作成したということになり、前回の記事で取り上げた私電磁的記録不正作出罪に加えて、今回の記事で取り上げた不正作出私電磁的記録供用罪が成立すると考えられたのでしょう。

今回扱った事例の他にも、チケット販売サイトのアカウントや、フリーマーケットサイトのアカウントの不正作出など、SMS認証代行による私電磁記録不正作出・同供用罪の容疑で逮捕、書類送検をされる事件が発生しています。
こうした刑事事件では、専門家のフォローを早い段階から受けることが望ましいでしょう。
私電磁的記録不正作出・同供用罪でご不安な方や逮捕・捜査されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
初回無料法律相談初回接見サービスの受付は、0120-631-881で承っております。

【事例紹介】SMS認証代行と私電磁的記録不正作出罪

2022-07-29

私電磁的記録不正作出罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)を使った本人確認手続き「SMS認証」を代行し、SNS(交流サイト)のアカウントを依頼者に不正取得させたとして、京都府警サイバー犯罪対策課と城陽署は25日までに、私電磁的記録不正作出・同供用容疑で、神戸市の男子専門学校生(19)や東京都国分寺市の男子大学生(18)ら男女5人を書類送検した。
(中略)
書類送検容疑は、専門学校生と大学生が、依頼者側の20~30代の男女3人と共謀し、何らかの方法で入手した他人の電話番号と認証コードを依頼者側に提供し、SNSサイトのアカウントを不正取得させた疑い。
(中略)
捜査関係者によると、専門学校生と大学生は、オンラインゲームのキャラクターやアイテムを売買するサイトで、「アカウント1500円」などと認証代行をほのめかす投稿をしていた。
不正取得したSNSアカウントの一部は、売春グループの誘客に使われていたという。

(7月25日 京都新聞 「「SMS認証」代行でアカウント不正取得疑い、男女5人書類送検 京都府警」より引用 )

私電磁的記録不正作出罪

今回取り上げた事例で登場した私電磁的記録不正作出罪という犯罪は、刑法第161条の2第1項で規定されています。

人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務または事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、5年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。(刑法第161条の2第1項)

刑法が規定する「電磁的記録」とは、「電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもの」(刑法第7条の2)とされており、磁気テープや磁気ディスク、ICメモリーなどが当てはまります。
また、権利・義務に関する電子的記録とは、銀行の預金元帳ファイル、乗車券などが当てはまります。
加えて、事実証明に関する電子的記録は、キャッシュカードの磁気ストライプ部分の記録、売掛金その他の会計帳簿ファイルの記録、パソコン通信のホストコンピュータ内の顧客データベースファイルなどが挙げられます。

簡単にまとめると、他人の事務処理に間違いを生じさせる目的で不正に電磁的記録を作成した場合には、この私電磁的記録不正作出罪が適用されることになります。

では、ここで、今回取り上げた事例と私電磁的記録不正作出罪を照らし合わせてみましょう。
そもそも、報道で取り上げられているSMSとは、「ショートメッセージサービス(Short Massage Service)」の略称で、SMS認証とは、携帯電話のSMSを利用して認証コードをやり取りすることで本人確認をする仕組みのことを指します。
このSMS認証について本人以外が代行すると偽名でサイトに登録できてしまいますが、今回の事例ではそれを悪用し、SNSサイトで不正にアカウントを取得したということです。

先ほど確認したように、他人の事務処理に間違いを生じさせる目的で不正に電磁的記録を作成した場合に私電磁的記録不正作出罪が成立します。
本人確認をするためのシステムであるSMS認証を悪用して本人ではない別人がアカウントを作成したという今回の事例では、本人ではない名義のアカウントを作らせるという、他人の事務処理に間違いを生じさせる目的で、SMS認証を利用して本人を装ったデータを作ることになりますから、私電磁的記録不正作出罪にあたると考えられたのでしょう。

私電磁的記録不正作出罪などは、なかなか生活の中で触れづらい犯罪でしょう。
こうした犯罪に問われた際、自身のどういった行為が法律のどの部分に触れているのか等が分かりづらく、適切な対応が分からないというケースも考えられます。
だからこそ、犯罪の容疑をかけられた段階で弁護士に相談し、自分にかけられた容疑や自身の認識をきちんと整理しておくことが大切です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービス初回無料法律相談など、ご相談者様の状況に合わせたサービスをご準備しています。
ご予約は0120―631―881までお電話ください。

(事例紹介)選挙ポスターと公職選挙法違反(公選法違反)

2022-07-26

~事例~

京都府警宇治署は20日、器物損壊と公選法違反(自由妨害)の疑いで、京都府宇治市の男(73)を再逮捕した。
容疑を認めているという。
再逮捕容疑は、7月1日午前1時ごろに宇治市内のビル外壁に張られた政治活動用ポスター1枚を破り、2日午後9時すぎに同じ外壁に張られた参院選向けの同ポスター2枚を刃物で切った疑い。
男は、8日に政治活動用ポスターを切ったとして器物損壊容疑で現行犯逮捕された。

(※2022年7月20日19:32京都新聞配信記事より引用)

~選挙ポスターと公職選挙法(公選法)~

先日、参議院議員選挙が行われたことは皆さんの記憶にも新しいでしょう。
こうした選挙の際、候補者の選挙ポスターが掲示されているところを見たという方も多いのではないでしょうか。
今回取り上げた事例では、逮捕された男性は、政治活動用ポスターと参院選向けの選挙ポスターを刃物で切ったという事実で逮捕されています。
そのうち、参院選向けの選挙ポスターを切ったという事実については、公職選挙法違反公選法違反)の容疑がかけられていることが分かります。

公職選挙法公選法)では、以下のように選挙の自由を妨害する行為を処罰する旨を定めています。

公職選挙法第225条
選挙に関し、次の各号に掲げる行為をした者は、4年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
第1号 選挙人、公職の候補者、公職の候補者となろうとする者、選挙運動者又は当選人に対し暴行若しくは威力を加え又はこれをかどわかしたとき。
第2号 交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもつて選挙の自由を妨害したとき。
第3号 選挙人、公職の候補者、公職の候補者となろうとする者、選挙運動者若しくは当選人又はその関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の利害関係を利用して選挙人、公職の候補者、公職の候補者となろうとする者、選挙運動者又は当選人を威迫したとき。

今回の事例のように選挙ポスターを切る行為や、選挙ポスターを破る行為、落書きする行為などは、このうち第2号の「…文書図画を毀棄し、…選挙の自由を妨害したとき」に当たると考えられます。

ここで、今回取り上げた事例では、男性は報道されている事件の前、7月8日に政治活動用ポスターを切ったことで器物損壊罪の容疑で現行犯逮捕されているとされています。
この政治活動用ポスターを切った件については、なぜ公職選挙法違反公選法違反)ではないのかと疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。

公職選挙法公選法)では、法律が適用される範囲について、以下のように定められています。

公職選挙法第2条
この法律は、衆議院議員、参議院議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長の選挙について、適用する。

つまり、選挙以外のものについては公職選挙法公選法)の対象ではないということになりますから、今回取り上げた事例でいえば、参院選向けの選挙ポスター公職選挙法公選法)の対象となりますが、選挙に向けたものではない一般の政治活動用ポスターは公職選挙法公選法)の対象外となることから、切って毀棄した場合には器物損壊罪が成立するにとどまるということになるのでしょう。
今回取り上げた報道でも、公職選挙法違反公選法違反)と器物損壊罪が並べられているのは、一般の政治活動用ポスターと参院選向けの選挙ポスターが混ざっていたためだと考えられます。

今回取り上げた事例だけでなく、参院選ではほかにも選挙ポスターへの毀棄行為によって公職選挙法違反公選法違反)で摘発された事例が報道されており、例えば、以下のような報道が見られます。

・参院選期間中に東京選挙区の候補者のポスターに黒のフェルトペンで落書きをしたという公職選挙法違反(公選法違反)の容疑で男性が逮捕された事例(2022年7月22日京都新聞配信記事より)
・参院選候補者の選挙ポスターに泥を塗ったという公職選挙法違反(公選法違反)の容疑で男性が逮捕された事例(2022年7月10日TBS NEWS DIG配信記事より)

選挙という民主主義の根幹にかかわる犯罪であるため、公職選挙法違反公選法違反)は重い刑罰が設定されています。
「たかがポスターを破っただけ」「ポスターに落書きをしただけ」と思われるかもしれませんが、先ほど掲載したように、こうした選挙の自由を妨害したことによる刑罰は「4年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」です。
早めに弁護士に相談し、どのような活動を行うべきなのかきちんと把握することが重要です。

公職選挙法違反公選法違反)は、選挙にかかわる犯罪であるため、起こり得る期間が限定されており、馴染みのない犯罪顔しれません。
刑事事件を中心に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、こうした馴染みの浅い犯罪に対しても、刑事事件を数多く取り扱う弁護士がご相談に乗ります。
まずはお気軽にご相談下さい。

【解決事例】詐欺罪の少年事件で家庭裁判所送致を回避

2022-07-24

事件

京都市西京区に住むAくんは、知人であるXさんに仕事で人手が必要だから誰か紹介してほしいと頼まれました。
AくんはXさんが素行が悪いことを知っていたものの、今回はちゃんとした仕事の依頼だろうと思い、Yさんを紹介しました。
しかし実際は、Xさんが依頼してきた求人は詐欺の人手を集めるためのものであり、XさんとYさんは共謀して詐欺を行いました。
その後、AくんはXさんとYさんのかかわった詐欺事件の共犯者だと疑われて、京都府西京警察署の警察官に詐欺罪の容疑で逮捕されました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

事件解決のながれ

Aくんは逮捕後勾留され、さらには勾留の延長が決定してしまいました。
事件概要部分でも触れた通り、Aくんは詐欺事件については関与しておらず、あくまで適法な仕事を探している知人に人を紹介したという認識でした。
Aくんが逮捕・勾留されて警察の取調べを受けることは初めてであったため、Aくんが受ける負担は大きいと予想され、それゆえにAくんが捜査官の誘導などによって本意ではない自白をしてしまう可能性がありました。
弁護士は、定期的にAくんのもとへ接見に訪れ、取調べの状況をこまめに把握しながらアドバイスを送り、Aくんの認識を正しく伝えられるようにサポートを行いました。

また、弁護士がAくんとAくんの家族との橋渡しも行ったため、Aくんは家族からの言葉を受け取りながら過ごすことができました。

こうした弁護士による取調べのアドバイスなどが功を奏し、Aくんの主張が伝わり、Aくんは家庭裁判所に送られることなく事件を終息することができました(不送致)。

多くの場合で、少年事件は家庭裁判所に送致されることになります。
しかし、少年自身が容疑を否認しているようなケースでは、弁護士を付けて取調べなどに適切に対応することにより、今回の事例のように家庭裁判所への送致を回避して終了するという可能性も出てきます。
まずは弁護士に相談してみることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、少年事件刑事事件を中心に取り扱う法律事務所です。
少年事件刑事事件詐欺罪でお困りのときは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【解決事例】同種前科ありの窃盗事件で不起訴処分獲得

2022-07-22

事件

Aさんは京都府京田辺市を走る電車に乗車中に、乗客Vさんのかばんの中から財布を盗みました。
1年後、京都府田辺警察署に職務質問を受けたAさんが所持していた財布が、窃盗罪の被害届が出ていたVさんの物だと発覚したことにより、Aさんは窃盗罪の容疑で京都府田辺警察署の警察官に取調べを受けることになりました。
事件発覚後、Vさんと示談をしたいと考えていたAさんは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部弁護士初回無料法律相談を受けた後、弁護士に弁護活動を依頼しました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

事件解決のながれ

弁護活動の依頼を受けた弁護士は、Aさんの意向を酌み、示談交渉を行いました。
示談交渉の結果、AさんはVさんに許すと言ってもらうことができ、示談を締結することができました。
また、VさんはAさんに対する被害届を取り下げ、警察官に寛大な処分を求めました。

Aさんは今回が窃盗罪の初犯ではなく、過去に窃盗罪で有罪となったことがありました。
弁護士は、Aさんが再度窃盗を行うことがないように、Aさんに窃盗症(クレプトマニア)の治療のための自助グループへの参加を勧めました。
Aさんは自助グループのミーティングに参加し、自分を客観視することでなぜ窃盗してしまうのかなどを考えるようになり、今後も定期的にミーティングに参加することを決意しました。

Vさんに許してもらっていること、被害届が取り下げられていること、Vさんが寛大な処分を求めていることがAさんにとって有利に働き、Aさんは不起訴処分となりました。

今回の事例では、Aさんは窃盗罪の前科がありましたが、弁護士の活動により不起訴処分を獲得することができました。
今回の事例のように、前科前歴があったとしても不起訴処分を獲得できる可能性がありますので、まずは弁護士に相談し、事件の見通しや可能な弁護活動を聞いてみることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回無料の法律相談を行っています。
窃盗罪で捜査された際には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部の初回無料法律相談をご利用ください。

[事例紹介]京都市の殺人未遂事件で実刑判決となった事例

2022-07-19

京都市で起きた殺人未遂事件で実刑判決となった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都市内の解体工事現場で一緒に働いていた男性を工具で刺したとして、殺人未遂の罪に問われたベトナム国籍の技能実習生の男(28)の裁判員裁判の判決公判が17日、京都地裁であった。
安永武央裁判長は「被害結果は重大」として、懲役8年(求刑懲役10年)を言い渡した。
判決によると、2020年12月7日、同市北区の解体工事現場で、とび職男性=当時(30)=を先端のとがったレンチで刺し、首の骨を折るけがや後遺障害を負わせるなどした。
(中略)
判決理由で安永裁判長は、技能実習生の男が男性の背後から首を狙ったとして殺意を認定した上で、男性からの攻撃はなく正当防衛は成り立たないと判断した。
一方で、2人の間で生じたトラブルには、技能実習生が日本で置かれている環境や文化的背景の違いなどがあるとして、「その点については同情することができる」とも述べた。

(6月17日 京都新聞  「工具で同僚刺した技能実習生に懲役8年判決 京都地裁、正当防衛認めず」より引用)

殺人未遂罪

まず、殺人罪は、刑法第199条で「人を殺した者は、死刑または無期もしくは5年以上の懲役に処する。」と規定されています。

この殺人罪は、未遂であっても処罰され、それが今回の報道の事例で問題にもなっている殺人未遂罪です。(刑法203条)
殺人未遂罪は、殺人罪が「死刑または無期もしくは5年以上の懲役」と具体的に法定刑が定められていることと異なり、「殺人未遂罪はこの法定刑」というように具体的な法定刑が定められているわけではありません。
刑法203条の条文は、「第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。」とあるだけです。
こうしたことから、殺人未遂罪も殺人罪と同様に、有罪となれば死刑または無期もしくは5年以上の懲役という範囲で刑罰が決められることになります。

しかし、殺人罪(既遂)と殺人未遂罪では、「その犯罪を遂げたかどうか」が異なるため、実際に言い渡される刑罰は、全く同じ態様のことをして殺人罪となったときよりも殺人未遂罪になったときの方が刑罰が減軽される可能性が高いと考えられます。
刑法43条でも、「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。」と未遂罪の場合には刑罰を減軽することができると定められています。

刑罰が減軽される度合いについては、刑法68条で定められており、殺人未遂罪の場合、
・死刑を減軽するとき:無期の懲役若しくは禁錮又は10年以上の懲役若しくは禁錮(刑法68条1号)
・無期の懲役又は禁錮を減軽するとき:7年以上の有期の懲役又は禁錮(刑法68条2号)
・有期の懲役又は禁錮を減軽するとき:その長期及び短期の2分の1を減ずる(刑法68条3号)=殺人罪の「5年以上の懲役」の2分の1=2年6カ月の懲役

が刑罰の減軽の限度であるといえます。

今回取り上げた事例では、男性に殺人未遂罪により懲役8年の実刑判決が下っています。
殺人罪の「5年以上の懲役」という下限を上回った判決ですから、刑法68条3号のような刑罰の減軽はなかったようですが、検察官の求刑よりも2年短い懲役刑の言い渡しとなっており、被告人の立場や文化の違いなどの情状が考慮された可能性が考えられます。

殺人未遂事件などの重大犯罪では、重い刑罰が下されることが予想されますから、刑事裁判にも特に入念な準備が必要となってきます。
適切なタイミングで適切な活動を行うためにも、早い段階で弁護士に相談されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では無料法律相談・初回接見サービスを行なっております。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約は0120ー631ー881までお電話ください。

[事例紹介]13歳未満に写真を送らせて強制わいせつ事件

2022-07-16

13歳未満の者に写真を送らせて強制わいせつ事件となった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警右京署は28日、強制わいせつと児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで、岡山市東区の運送会社パート従業員の男(24)を逮捕した。
逮捕容疑は、2月26日、京都市右京区の当時小学4年の女児(10)が13歳未満と知りながら、LINE(ライン)を通じて女児に自分の裸を撮影させ、複数の画像を送信させた疑い。容疑者は「女の子に服を脱ぐよう指示した」と容疑を認めているという。
右京署によると、容疑者は事件当日にSNS(交流サイト)を通じて女児と知り合った。女児の家族がLINEでのやりとりに気づき、通報したという。

(6月28日 京都新聞 「10歳女児に裸画像を送らせた疑い 24歳の男を逮捕「女の子に服脱ぐよう指示した」」より引用)

13歳未満の者に写真を送らせて強制わいせつ罪

強制わいせつ罪は、刑法第176条で「13条以上の者に対し、暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」と規定されています。

強制わいせつ罪は13歳以上の者に対して、暴行や脅迫を用いてわいせつ行為をした場合に適用されますが、一般にイメージされる強制わいせつ事件はこの暴行や脅迫を用いてわいせつな行為をするというものではないでしょうか。
しかし、刑法第176条の後段にもある通り、13歳未満の者に対してわいせつな行為をした場合は、暴行や脅迫の有無は関係なく、同意があったとしても強制わいせつ罪が適用されます。

今回取り上げた事例を見てみましょう。
今回逮捕された男性は、13歳未満の女児の年齢を知りながら、服を脱がせてその画像を送らせたという容疑をかけられています。

強制わいせつ罪や「わいせつな行為」という言葉からは、直接身体に触れる行為が思い浮かびやすいですが、裸の写真を撮影するということも「わいせつな行為」となると考えられています(事情によって異なる場合もあるため、詳しくは弁護士にご相談ください。)。
今回の男性は女児に裸の写真を撮影させていますから、「わいせつな行為」をさせたと判断されたのでしょう。

そして、被害者の年齢が13歳未満であり、男性はそのことを知っていたとされていますから、先述のように、女児が裸の写真を送ることに同意していたとしても、男性には強制わいせつ罪が成立すると考えられるのです。

児童ポルノの製造

今回の事例の男性は、報道によれば強制わいせつ罪以外にも児童ポルノ製造の罪にも問われているようです。

児童ポルノの製造は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(児童買春・ポルノ禁止法)第7条に規定されている犯罪です。
児童ポルノを製造し、有罪となった場合は、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金となります。
また、多数の人に提供する目的で児童ポルノを製造した場合は、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金となります。

児童ポルノ禁止法でいわれている「児童」とは、18歳未満の者を指します。
今回の報道の被害者である女児は当時10歳とのことですので、この「児童」に当たりますし、その裸の画像ということであれば「児童ポルノ」に当たるでしょう。
さらに、その画像は男性が女児に指示して撮影させ送らせたものということですので、男性は児童ポルノの製造に問われているということなのでしょう。

今回取り上げた事例でも、逮捕された男性の住所地と逮捕した警察署の都道府県が異なっていますが、こうしたインターネットやSNSを通じた性犯罪では、被害者が遠方に住んでおり、捜査を管轄する警察署が住所地から離れた警察署であることも珍しくありません。
こうした場合であっても、迅速に弁護士からアドバイスを受けること、早期に釈放を求める弁護活動や被害者対応を開始することが求められますから、各地域で連携をとって活動のできる法律事務所に相談することがおすすめです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件を中心に扱う法律事務所です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、強制わいせつ事件児童ポルノ製造事件も取り扱っております。
また、京都支部を含めて12の都市に支部がありますので、ご相談者様・ご依頼者様のお住まいの地域と捜査を管轄する警察署が異なっていてもスムーズな対応が可能です。
まずはお気軽に0120-631-881までお問い合わせください。

[事例紹介]京都市北区の盗撮事件で逮捕された事例

2022-07-14

京都市北区の盗撮事件で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が紹介します。

事例

京都市北区の学習塾のトイレに時計型のカメラを設置して女子中学生を盗撮したとして、京都府警人身安全対策課と北署は10日、京都府迷惑行為防止条例違反(盗撮)などの疑いで、京都市北区の学習塾を経営していた男(33)=北区=を逮捕した。 
逮捕容疑は昨年12月8日~今年2月9日、塾のトイレにカメラが内蔵された置き時計を設置し、塾生徒の女子中学生の下半身を7回動画撮影した疑い。「盗撮はしたが、トイレを汚す生徒を探すためだった」と容疑を一部否認しているという。
府警によると、カメラは動画の撮影や転送をスマートフォンで遠隔操作が可能。塾には小中学生が通っており、男は授業中などに女子生徒がトイレに立つと、撮影を開始していたとみられる。

(3月10日 京都新聞  「学習塾トイレで女子中学生を動画撮影 盗撮容疑で経営者の男を逮捕」より引用)

京都府迷惑行為等防止条例(迷防防止条例)

盗撮行為は、一部を除いて各都道府県の迷惑防止条例(迷防防止条例)で規制されていることが多いです。
京都府では、京都府迷惑行為等防止条例(迷防防止条例)の第3条で盗撮行為の禁止が規定されています。
今回の事例のようなトイレなどでの盗撮行為は、京都府迷惑行為等防止条例(迷防防止条例)第3条3項で定められている条文に違反することとなるでしょう。
これに違反した場合は、1年以上の懲役または100万円以下の罰金に処されることになります。

盗撮行為での裁判例

では、ここで盗撮行為で裁判となった例について紹介します。

(平成19年1月19日 神戸地方裁判所の裁判例)
被告人は動画撮影状態にした携帯電話をカバンの中に入れ、エスカレーターで女性のスカート内を盗撮しました。
裁判所は被告人に罰金30万円を言い渡しました。

(平成30年9月7日 福岡地方裁判所)
被告人は動画機能を起動した携帯をAさんのワンピースの下方に差し入れ盗撮したと疑われました。
被告人は盗撮した自覚はなく無罪を主張していました。
裁判の結果、被告人がAさんのワンピースの下方に携帯を差し入れたと認めるには合理的な疑いが残ることから、無罪が言い渡されました。

昨今では、盗撮に対する刑罰が重くなったり、迷惑防止条例によって盗撮行為を規制する場所の範囲が広くなったりと、迷惑防止条例改正の動きも目立っています。
容疑を認めている場合には、どの地域で盗撮行為をしたのか、どれほど余罪があるのか、被害者への謝罪や弁償はできているのかといった事情から刑罰の重さが決まりますから、裁判までの間で弁護士と一緒にこれらに対応する準備をしていくことになります。
容疑を否認している場合には、起訴前の取調べから慎重に対応し、不本意な自白などをしないよう注意しながら裁判に臨む必要があるでしょう。
いずれにせよ、弁護士に相談することで適切な方針を選ぶためのアドバイスをもらえますから、弁護士への相談は早い段階で行うことがおすすめです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、多くの盗撮事件を扱ってきた法律事務所です。
盗撮で捜査された際には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

[事例紹介]京都府宇治市の死体遺棄事件で逮捕された事例

2022-07-12

京都府宇治市で起きた死体遺棄事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警宇治署は4日、夫とみられる遺体を自宅に放置したとして、死体遺棄の疑いで京都府宇治市槇島町、無職の女(57)を逮捕した。

逮捕容疑は昨年12月ごろ、宇治市内の自宅で男性が死亡しているのを確認したにもかかわらず、放置して遺棄した疑い。

宇治署によると、女は60代の夫と2人暮らしとみられる。遺体は腐敗が進んでおり、外傷の有無などは不明という。今後、身元の特定とともに死因や経緯を調べる。

生活支援の手続きに訪れた宇治市職員が3日午後1時50分ごろ、2階居室の布団の上で遺体を見つけて119番した。女は「職員が家に来るまで夫が亡くなったことは知らなかった」と否認しているという。

(3月4日 京都新聞  「夫とみられる遺体を自宅に放置 死体遺棄疑いで57歳の女を逮捕」

死体遺棄罪

死体遺棄罪は刑法第190条で「死体、遺骨、遺髪または棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、または領得した者は、3年以下の懲役に処する。」と定められています。

死体遺棄罪の「遺棄」という文字から、「死体を捨てると死体遺棄罪になる」というイメージが強く浮かぶ方も多いでしょう。
しかし、今回取り上げた報道の事例では、逮捕された女性は、女性の夫の遺体をどこかへ捨てたわけではありません。
報道によれば、女性の夫の遺体は自宅の布団の上に放置されていたということですから、一般にイメージされる「遺棄」とは事情が異なるように思えます。

ここで、死体遺棄罪の「遺棄」の定義を確認してみましょう。
死体遺棄罪の「遺棄」とは、先ほどイメージとして挙げた「捨てる」という行為だけでなく、社会風俗上、埋葬と認められないような方法で死体を放棄することであると考えられています。
つまり、本来であれば手続に則って火葬などの「埋葬」の行為をしなければならないところ、死体を放置しているという行為も、死体遺棄罪の「遺棄」に当たるのです。

今回の報道では、女性は夫が亡くなっていることに気が付かなかったと容疑を否認していますが、もしも夫が亡くなっていることを知りながら遺体を放置したのであれば、社会風俗上の埋葬をしなかった=「遺棄」したということで死体遺棄罪が成立することになります。
もちろん、女性の主張通りに夫の死の認識がなかったのであれば、「遺棄」行為に故意がないということになりますから、死体遺棄罪は成立しません。

死体遺棄罪の裁判例

ここで、実際に死体遺棄罪に問われた裁判例を2つ紹介します。

裁判例①
この裁判例の被告人は、出産したえい児2名の死体を段ボール箱に入れ、遺棄しました。
裁判の結果、被告人が死体遺棄に至った経緯には同情の余地があるとして、懲役8月執行猶予3年の判決が被告人に言い渡されました。
(令和3年7月20日 熊本地方裁判所)

裁判例②
被告人は、別の人から衣装ケースの処分を頼まれ、死体が入っていることを認識しながらもその衣装ケースの入った段ボールを湖中に投げ入れて死体を遺棄しました。
被告人は衣装ケースの中身が死体であるという確たる認識はなく、主体的な動機もなかったため、懲役1年6月執行猶予3年の判決が下されました。
(令和元年6月25日 神戸地方裁判所)

今回取り上げた報道の事例や裁判例を見ても分かる通り、死体遺棄事件といっても様々なケースが想定されます。
どのような事件なのか、当事者の認識がどういったものだったのかなどの事情で、最終的な処分は大きく変わっていきますから、まずは弁護士に事件の詳細を話した上でサポートを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件少年事件を中心とした弁護活動を行なっています。
初回無料法律相談のご予約や初回接見サービスのお申込みは0120ー631ー881までお電話ください。

[事例紹介]京都市上京区の準強制性交等事件

2022-07-09

京都市上京区で起きた準強制性交事件弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警上京署は30日、準強制性交の疑いで、京都市上京区の会社員の男(25)を逮捕した。

逮捕容疑は5月21日午前3時ごろ、自宅で知人の男子大学生(22)=同市=に酒を飲ませ、酔いつぶれて抵抗できない状態にして性的暴行を加えた疑い。容疑を認めているという。

上京署によると、2人はSNS(交流サイト)で知り合った。5月下旬に、男子大学生が同署に被害を申告したという。

(6月30日 京都新聞  「男子大学生を酔わせ、性的暴行を加えた疑い 25歳の会社員男を逮捕」より引用)

準強制性交等罪

準強制性交等罪は、刑法178条第2項で「人の心身喪失もしくは抗拒不能に乗じ、または心身を喪失させ、もしくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。」と規定されています。

ここで言う心身喪失とは睡眠や泥酔、失神等の状態に陥り、性的なことをされている認識ができない場合のことです。
また、抗拒不能とは、性的なことをされている認識はあるが、拘束や恐怖などで物理的もしくは心理的に抵抗することが困難な場合を指します。

強制性交等罪とは異なり、準強制性交等罪が成立するにあたって、性交等をする際に暴行や脅迫が用いられる必要はありません。
ですが、準強制性交等罪は、上記で説明したような「心神喪失」や「抗拒不能」といった、被害者が抵抗することが困難な状態を利用したり、抵抗することが困難な状態にさせたりして性交等を行う犯罪ですから、手段などは異なったとしても、「抵抗が困難な被害者に性交等をする」という部分では、強制性交等罪と重なる部分があるといえます。
そのために、強制性交等罪に「準」ずる=準強制性交等罪とされているのです。

今回の事例では、逮捕された男性は被害者の男性を酔いつぶして性交等に及んでいるようです。
酔いつぶれた被害者は、性的なことをされている認識ができない=「心神喪失」の状態であったと考えられますから、そこに性交等をしたということで準強制性交等罪の容疑のかけられるに至ったのでしょう。

そして、準強制性交等罪では、加害者や被害者の性別に制限がありません。
ですから、今回取り上げた事例のように、男性同士の事件であっても準強制性交等罪は成立します。
「女性相手ではないから成立しない」「女性が加害者側であれば大丈夫」といったこともありません。

類似裁判例

では、準強制性交等罪を犯してしまった場合、どういった刑罰が下る可能性があるのでしょうか。
準強制性交等罪のできる前、旧刑法の準強姦罪で起訴された事例になりますが、類似裁判例を紹介します。

この裁判例の被告人は、他2人と共謀し、被害者を泥酔させて心神喪失にした上で、性的な行為を行いました。
この件だけでなく、被告人はさらに共犯者複数名と別の被害者2名に対して泥酔させた上での性的な行為を行っていました。
被告人はこの複数件の準強姦罪で有罪となり、懲役14年となりました。
(平成16年11月2日 東京地方裁判所)

この裁判例では、複数の同種余罪があったことや、複数人での犯行であったことから、悪質性が高いと判断され、これだけ重い判決となったのでしょう。
準強制性交等罪で有罪となった場合は強制性交等罪と同様に、5年以上の有期懲役となります。(刑法177条)
裁判例でみたような、余罪の有無や共犯者の有無、犯行の態様はもちろん、被害者への謝罪・弁償の有無や今後の監督体制など、どういった判決が下されるかは様々な事情が考慮されます。
事件全体の見通しはどういったものなのか、どういった弁護活動が適切なのかといったことも含めて、まずは弁護士に相談してみましょう。

刑事事件を多数取り扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回無料の法律相談から初回接見サービスまで、ご相談者様の状況に合わせたサービスをご案内中です。
まずはご遠慮なくお問い合わせください。

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