窃盗をした男を時効間近で逮捕

窃盗の罪を犯した男が時効間近で逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
事例
京都府上京警察署は昨年(2024年)6月6日、無職の男(58)を時効間近の窃盗罪の疑いで逮捕しました。
同署によりますと、2017年8月15日、京都府上京区在住の女性がバックをひったくりされ、捜査していましたが、犯人の逮捕まで至っておりませんでした。
しかし昨年、女性が質店にてバックの中にあった宝石が売りにだされているのを発見し、警察に連絡いたしました。
連絡をうけた警察官が店舗に赴き、宝石を売ったとされる男性に事情を聞いたところ、男の名前が浮上したとのことです。
警察は男に事情を聴いたところ、罪を認めたとのことです。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)
窃盗罪とは?
窃盗罪とは、下記のように規定されています。
「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。」(刑法第235条)
つまり他人のお金や宝石など財産的価値があるものを、自分や他人が占有する意思をもって盗む行為をいいます。
ひったくりや空き巣などが該当しますが、犯行の手段もしくは逃亡の過程などの窃盗の一連の行動で他人に暴行を加えてしまった場合は強盗罪もしくは事後強盗罪が成立する可能性があります。
刑事事件の時効とは?
刑罰には時効があります。
刑事での時効は「消滅時効」と「公訴時効」があります。
「消滅時効」とは刑の言渡しが確定した後、刑を執行できる期間をいいます(刑法第32条)。
普通は判決後に刑務所へ輸送され、そこで身柄拘束されることになるため、逃亡がない限り消滅時効が成立することはないでしょう。
一方、「公訴時効」は実際に犯罪が行われ、検察官が起訴することができる期間をいいます(刑事訴訟法第250条)。
一般でいわれる時効がこれにあたり、時効が完成すればその犯罪行為に対して、捜査・起訴されることがなくなります。
以下、各時効期間に該当する罪名の一部を列記いたします。
・人を死亡させた罪であって拘禁刑に当たるものの場合
①無期拘禁刑に当たる罪については30年
(不同意わいせつ致死罪、不同意性交等致死罪)
②長期20年の拘禁刑に当たる罪については20年
(傷害致死罪、危険運転致死罪)
③前2号に掲げる罪以外の罪については10年
(業務上過失致死罪、過失致死罪)
・人を死亡させた罪であって拘禁刑以上の刑に当たるもの以外の罪の場合
①死刑に当たる罪については25年
(現住建造物等放火罪、外患誘致罪)
②無期拘禁刑に当たる罪については15年
(強盗致傷罪)
③長期15年以上の拘禁刑に当たる罪については10年
(強盗罪、傷害罪)
④長期15年未満の拘禁刑に当たる罪については7年
(窃盗罪、詐欺罪、恐喝罪、業務上横領罪)
⑤長期10年未満の拘禁刑に当たる罪については5年
(未成年者略取及び誘拐罪、監禁罪、収賄罪)
⑥長期5年未満の拘禁刑又は罰金に当たる罪については3年
(暴行罪、侮辱罪、過失傷害罪、過失致死罪、名誉毀損罪、器物損壊罪)
⑦拘留又は科料に当たる罪については1年
(軽犯罪法違反)
上記の規定は2010年に改正されました。
家族が殺害された遺族から時効により罪に問えないのはおかしい、との声をうけ、見直されることになりました。
例えば,「人を死亡させた罪」(殺人罪、強盗殺人罪など)のうち,罰則規定の上限が死刑であるものについては,公訴時効は廃止されました。
また一部の性犯罪の時効期間も長くなっています。(刑事訴訟法第250条3項)
不同意わいせつ等致傷罪、強盗・不同意性交等罪など:15年から20年に延長
不同意性交等罪、監護者性交等罪など:10年から15年に延長
不同意わいせつ罪、監護者わいせつ罪など:7年から12年に延長
今回の事案では歩いている女性からバックをひったくりしておりますので、窃盗罪が成立し、公訴時効は7年になります。
犯行は2017年8月15日に行われていましたので、2024年8月15日には時効が完成するところでした。
時効完成直前に逮捕されたら
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、窃盗罪をはじめとする刑事事件に精通した法律事務所です。
窃盗罪などでご家族の方が逮捕された、警察の捜査、呼び出しを受けて困っている、被害者と示談したい方はフリーダイヤル:0120―631―881までお気軽にお問合せください。
また、ご家族が逮捕されている場合は、最短当日中に弁護士が接見に向かう初回接見サービス(有料)を提供しています。
初回接見サービスのご予約は24時間365日受付中です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、京都市中心部にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う法律事務所です。
京都を中心に近畿地方一円の刑事事件・少年事件について、逮捕前・逮捕後を問わず、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士が素早く対応致します。
当事務所は初回の法律相談を無料で行っております。土日祝日であっても夜間を含め、24時間体制でご相談を受け付けております。お急ぎの方については、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。刑事事件・少年事件に関することなら、どんな疑問でも、どなた様でもご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 京都支部 弁護士紹介