中学生が高額の商品を万引きし逮捕①

中学生が高額の商品を万引きし逮捕①

万引き

中学生が万引きをした容疑で逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務京都支部が解説いたします。

事例

京都府宮津警察署によりますと、昨年4月18日、中学生の男子生徒が学校の帰りにリサイクルショップにて高額の商品を万引きした容疑で逮捕されました。
同署によりますと生徒は京都府宮津市内にあるリサイクルショップにて1万円相当の人気アニメのフィギアを自分のカバンに入れ、会計をせずに店舗をでたところ、店員に呼び止められ、その場で逮捕されたとのことです。
後日防犯カメラから、男性生徒が同じお店で過去に数回万引きをしていたことが分かり、警察は詳しい事情を聴いているとのことです。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)

少年事件と成人事件の違いは?

万引きは法的には窃盗罪に該当し、「10年以下の懲役もしくは、50万円以下の罰金」という刑罰が科せられます(刑法第235条)。
成人事件の場合は警察に逮捕され、身柄拘束された場合48時間以内に検察に送致されるかが決定されます。
送致後は、引続き身柄拘束が必要とされれば、24時間以内に検察から裁判所に勾留請求がされます。
裁判所は容疑者に勾留質問をし、勾留が必要と判断すれば最大10日間(延長はさらに10日間)の勾留決定をします。
その間、検察は起訴・不起訴を決定するために捜査を行い、不起訴になれば事件は終了し、起訴が相当と判断された場合は、そこからさらに身柄拘束が続き、裁判が行われます。

判決で懲役になれば刑務所での服役、執行猶予(言い渡された刑が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金であるとき、有罪判決による刑の執行を一定期間猶予する制度)や罰金(一定の金銭の支払いを命じる刑罰)であれば釈放されることになります。
しかし執行猶予・罰金でも前科がつくことになります。

では少年事件の場合ではどのような流れになるのでしょうか。

少年法には「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。」(第1条)と規定されています。
成人事件の刑罰の目的は社会秩序を維持して犯罪を予防し、社会復帰できるよう更生させることが目的ですが,罪に対して報復をする目的を重視する立場もあります。
一方、少年の未来を見据え周りの環境を整え更生をさせていく方針が基本になりますので、成人事件とは異なる手続きになります。

捜査段階では成人と一緒ですが、検察に送致された後、身柄拘束が引続き必要であれば、成年と同じ勾留される場合と、少年事件特有の「勾留に代わる観護措置」の場合があります。
「勾留に代わる観護措置」とは検察の請求で行われるもので、少年の身柄拘束を留置所ではなく少年鑑別所で行います。
少年鑑別所は少年の犯罪原因を医学的・心理学的・教育的視点で少年の資質や環境を調査する施設で、拘束期間は10日で延長ありません。

少年事件の場合は犯罪の嫌疑がある少年については、検察官は必ず家庭裁判所へ送致することが義務付けられています(少年法第41条、第42条)(全件送致主義)。
ここで観護措置として少年鑑別所に送致されることがあります。
観護措置は原則4週間収容されることになるため、学校や職場を休まざるを得なくなります。
その後家庭裁判所による審判をうけることになります。

家庭裁判所での裁判は「審判」とよばれ、その結果として以下のようなものがあります。

1.不処分決定
以下の保護処分、逆送が不要な場合や付すことができない場合は、この処分になります。
不処分となればこれで事件が終了になります。

2.保護処分 

①保護観察
少年を家庭や社会での一般環境で生活しながら保護観察所の行う「社会内処遇」によって、少年の更生を図る処分です。

②児童自立支援施設または児童養護施設送致
児童自立支援施設とは,児童福祉法第44条に規定されているように、「不良行為をなし,又はなすおそれのある児童」や「家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童」を入所や通わせることにより、自立支援の指導を行い、退所後も相談や援助を行う施設です。
児童自立支援施設は開放施設であり,少年が容易に外に出て行くことができる施設になっておりますので、比較的軽い犯罪や非行性が低い場合に送致される場合が多いようです。
在所期間に決まりはなく1年以上になることが一般的のようです。
児童養護施設は、児童福祉法41条に規定されており、保護者のない児童や保護者に監護させることが適当でない児童に対し、生活環境を整え様々な指導と環境を整えることにより児童の自立を支援する機能をもちます。

③少年院送致 
少年院とは刑務所とは異なり、少年に対し刑罰としての懲役や禁固を科す場所ではなく、矯正教育や社会復帰などの支援をしていく場所で、非開放的でない点が児童自立支援施設や児童養護施設とは異なります。

3.検察官送致(逆送)
逆送とは、少年事件において、犯罪の内容が重く刑事手続が相当であると判断した場合に、家庭裁判所から検察へ事件が返される手続きです。
その後は成人と同じ裁判が行われることになります。

今回の事例では同じお店にて数回万引きを繰り返しています。
常習性が認められた場合、更生に慎重な判断が下される場合もあるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部少年事件に精通した法律事務所です。
お子様が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

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