盗撮から児童ポルノ製造事件に②

盗撮から児童ポルノ製造事件に発展したケースで、特に児童ポルノ禁止法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

◇事件◇

京都府向日市に住んでいるAさんは、盗撮に興味を持っていました。
ある日、Aさんはどうしても我慢ができなくなり、京都府向日市にある駅構内のトイレに盗撮用のカメラを仕掛けると、女性客がトイレを利用する様子を盗撮していました。
しかし、盗撮用カメラに気づいた利用客から通報され、捜査の結果、Aさんは盗撮事件の被疑者として京都府向日町警察署で話を聞かれることになりました。
その際、Aさんは、京都府迷惑防止条例違反建造物侵入罪児童ポルノ禁止法違反という3つの犯罪の容疑をかけられていることを知りました。
Aさんは、自分の盗撮行為に3つも犯罪が成立することに驚き、今後の対応を弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・盗撮と児童ポルノ禁止法違反

前回の記事では、多くの盗撮事件で成立しやすい迷惑防止条例違反建造物侵入罪軽犯罪法違反について触れましたが、Aさんはそれだけでなく児童ポルノ禁止法違反にも問われているようです。
これはなぜか、今回の記事で詳しく触れていきます。

そもそも、児童ポルノ禁止法とは、正式名称を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」という法律です。
その名前の通り、児童ポルノ禁止法では、児童買春や児童ポルノを規制しています。
このうち、今回問題となる児童ポルノについてどのように定められているのか確認してみましょう。

児童ポルノ禁止法2条3項
この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
3号 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

児童ポルノ禁止法では、「児童」=18歳未満の者(児童ポルノ禁止法第2条第1項)としているため、18歳未満が服を全て着ていなかったり、一部の服を着ていなかったりする画像や動画、そのデータで、性器や臀部、胸といった部分が露出・強調されているものであれば、児童ポルノになりうるということになります。
この児童ポルノに関して、児童ポルノ禁止法では、製造することはもちろん、所持することも禁止しています。

児童ポルノ禁止法第7条
第1項 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
(略)
第5項 前二項に規定するもののほか、ひそかに第2条第3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第2項と同様とする。
※注:「第2項」は児童ポルノを提供することへの処罰を定めており、その法定刑は「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」となっています。

今回Aさんが盗撮した被害者の中に18歳未満の方がいれば、その被害者は児童ポルノ禁止法のいう「児童」にあたります。
そして、その被害者がトイレを利用している姿が盗撮した写真や動画に写っていれば、それは「児童」が着衣の一部を身につけずにいる写真や動画ですから、児童ポルノ禁止法のいう児童ポルノになりえます。
Aさんは盗撮によりその児童ポルノを作り出しているため、児童ポルノ禁止法第7条第5項にある、ひそかに児童ポルノ製造をしたという児童ポルノ禁止法違反になりうるということなのです。

 

盗撮事件と一口に言っても、自分の予期していなかった犯罪がいくつも成立してしまうということも考えられます。
まずは自分がどういった犯罪の容疑をかけられているのかしっかりと把握した上で、今後の事件の見通しや取れる対策、気をつけるべき注意点を考えるべきでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部の初回無料法律相談では、刑事事件専門の弁護士が、どういった犯罪の容疑をかけられているのか、手続きや対応の注意点は何か、可能な弁護活動はどういったものか、といった疑問や不安に丁寧に対応いたします。
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