会社に対する脅迫罪は成立するのか?

2020-04-19

 

会社への脅迫罪が成立するのかどうかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

◇脅迫罪で逮捕◇

Aさんは、京都府宇治市で建設会社を経営しています。
ある日Aさんは、いつも下請けの仕事をAさんの会社に任せていた会社Xが、下請けの仕事を別の会社に任せたことを知りました。
Aさんは怒り心頭となり、会社Xへ赴くと、会社Xの社長であるVさんに対し、「なんでこちらに下請けの仕事を発注しないんだ。そんな態度であれば営業できなくしてやることは簡単なんだぞ。俺には暴力団の知り合いもいる」「何回でも痛い目を見せてやるぞ。二度と仕事できなくしてやる」「こういうことについてあんたはどう考えているんだ」などと話しました。
これを聞いたVさんは恐ろしくなり、京都府宇治警察署に相談しました。
その結果、Aさんは脅迫罪の容疑で京都府宇治警察署に逮捕されることとなってしまいました。
(※フィクションです。)

◇脅迫罪◇

今回問題となっている脅迫罪は、刑法に規定されている犯罪です。

刑法第222条
第1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
第2項 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

この条文を見ると、脅迫罪が成立するには、「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫」するか(刑法第222条第1項)、「親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫」する(刑法第222条第2項)ことが必要とされます。

刑法第222条第1項の条文や刑法の構成からは、脅迫罪の「脅迫」の対象は被害者本人であり、自然人=人間に限定されていると考えられているため、会社に対して脅迫をしたところで、会社に対してこちらの脅迫罪が成立することはありません。
そして、刑法第222条第2項に定められている脅迫罪については、成立のために「親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して」脅迫しなければなりませんが、会社などの法人には親族がいるわけもないですから、こちらの脅迫罪ついてはもとより会社に対して成立しないことになります。
ですから、学説によって争いはあるものの、現在のところ会社に対する脅迫罪は成立しないと考えられています。

◇会社に対する脅迫事件の可否◇

しかし、会社に対しての脅迫行為によって脅迫罪が成立しうる場合もあります。
それは、会社への脅迫行為が、その会社の取締役等個人に対する脅迫行為と認められる場合です。
こうした場合には、その会社の取締役等個人に対する脅迫罪として脅迫罪が成立する可能性が出てくるのです。
過去の裁判例では、「それら法人の法益に対する加害の告知が、ひいてその代表者、代理人等として現にその告知を受けた自然人自身の生命、身体、自由、名誉又は財産に対する加害の告知に当たると評価され得る場合にのみ、その自然人に対する同罪の成立が肯定される」(大阪高判昭和61.12.16)とされています。
ですから、今回のAさんについても、会社Xの営業等に害を与える旨の告知を主にしているようですが、これがVさんの生命や身体、財産に対する害悪の告知となるととらえられ、会社XではなくVさん個人に対する脅迫罪が成立するとされたのでしょう。

◇犯罪が成立するかどうかの判断に強い弁護士◇

脅迫罪に限らず、犯罪の成立過程は条文を一見するだけではわかりづらく、成立するのかどうか、被害者は誰なのか、といったことを正確に把握することはなかなか難しいことです。
だからこそ、法律の専門家である弁護士にそうした刑事事件の細かい部分をフォローしてもらうことで、適切な対応を取っていくことが期待できるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、逮捕された方向けの初回接見サービスや、在宅捜査を受けている方や捜査前の方のための初回無料法律相談など、刑事事件の当事者となった方がどういった場面でもご利用いただけるサービスが揃っています。
脅迫事件をはじめとする刑事事件にお困りの際は、まずは弊所お問い合わせ用フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。