たき火から燃え移って失火罪③

2019-11-24

たき火から燃え移って失火罪③

たき火から燃え移って失火罪となったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~前回からの流れ~

京都市中京区に住んでいるAさんは、自宅の裏に空地を所有していました。
Aさんは、落ち葉や枯葉を集めてその空地でたき火をし、簡単に水をかけ、火が見えなくなったために深く確認することもなく帰宅しました。
しかし、Aさんが消火できたと思っていたたき火の火が消え切ってお

らず、空地内に建っていたAさん所有の小屋に燃え移り、火事となってしまいました。
通報により消防車が駆け付け、他の家に火が燃え移る前に消し止められ、当時小屋には誰もいなかったためけが人もいなかったものの、Aさんは京都府中京警察署に呼ばれ、話を聞かれることになりました。
Aさんは、自分がどのような犯罪にあたる可能性があるのか、どういった処罰を受ける可能性があるか不安になり、刑事事件に強い弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・重過失失火罪

前々回から2回にわたって取り上げてきた失火罪ですが、実は失火罪の中でも重く処罰されるものがあります。
それが、刑法117条の2に規定されている、重過失失火罪です。

刑法117条の2
第116条又は前条第1項の行為が業務上必要な注意を怠ったことによるとき、又は重大な過失によるときは、3年以下の禁錮又は150万円以下の罰金に処する。

「第116条」は前回から取り上げている失火罪のことを指します。
そして、その失火罪にあたる行為が「重大な過失によるとき」には、重過失失火罪となる、と定めているのがこの条文なのです。
なお、失火行為が「業務上必要な注意を怠ったことによるとき」には、業務上失火罪となります。

では、重過失失火罪の「重大な過失」とはいったいどういうことを指すのでしょうか。
「重大な過失」とは、「建造物等の焼損や人の死傷の結果がその具体的な状況下において通常椹として容易に予見できたのにこれを怠り、あるいは結果を予見しながらその回避の措置を取ることが容易であったのにこれを怠ったというような注意義務の懈怠の著しい場合」をいうとされています(東京高判昭和62.10.6)。
つまり、「重大な過失」とは、その文字通り、非常に大きな不注意・落ち度のことを指しており、焼損等の危険が簡単に予想できたにもかかわらずそれを回避をしようとしなかったり、回避する行動を取ることが簡単であったのにその行動を取らなかったりといった、注意すべきことであることについて著しく不注意であったことを指すのです。
過去の例では、盛夏晴天の日ガソリン給油場内においてライターを使用して火災を引き起こしたケースで重過失失火罪が認められたもの(最判昭和23.6.8)や、多量の飲酒により高度の異常酩酊状態になり粗暴な行為に出る習癖があると自覚のある被告人が飲酒をして酩酊状態となり、燃焼中のストーブに椅子を乗せかけて火災を引き起こしたケースで重過失失火罪が認められたもの(最決昭和48.9.6)などが挙げられます。

Aさんのケースの場合、Aさんはたき火を消火しようと水をかける行為をしています。
そしてたき火の火が見えなくなったことからAさんは消火しきったと勘違いをしてその場を立ち去っていることから、Aさんとしては消火する措置をしてはいることになります。
ですから、Aさんとしては火事が起こると容易に予想できる状態で全く回避行動を取らなかった、というわけではありません。
こうしたことから、Aさんに「重大な過失」があったとは考えにくく、重過失失火罪となる可能性は低いように思われます。

しかし、当時の詳細な状況やAさんの行動によっては、「重大な過失」があると判断され、失火罪よりも重い重過失失火罪で処罰される可能性もないわけではありません。
そして、実際には失火罪で処罰されることが妥当なケースであっても、重過失失火罪を疑われてしまう可能性もあります。
ですから、まずは弁護士に事件当時の細かな事情まで話したうえで、見通しや取調べの対応を聞いていくことが望ましいでしょう。

~失火事件と弁護活動~

先述した通り、失火事件での弁護士の弁護活動の1つとして、取調べへの対応のアドバイスをすることが挙げられます。
実際には失火罪にあたる行為であっても、捜査機関が重過失失火罪や放火罪の容疑をかける可能性もあります。
そうした場合には、意図せず自分の主張を異なる供述をしてしまわないよう、細心の注意を払わなければなりません。
刑事事件に精通する弁護士に、どういった点を注意すべきか、どのように話すことできちんと自分の意図を伝えられるのか、相談してから取調べに臨みましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、弁護士による初回無料法律相談のご予約をいつでも承っています。
寒くなり、空気が乾燥してくる季節だからこそ、思わぬ失火事件に巻き込まれてしまうことも考えられます。
もしもそうなってしまった場合には、すぐに弊所弁護士までご相談ください。