就活生へのリクルーターによるストーカー事件

2021-04-22

就活生へのリクルーターによるストーカー事件

就活生へのリクルーターによるストーカー事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市伏見区にある会社Xに勤務するAさんは、就活生と連絡を取るリクルーターとして働いていました。
就活生であるVさんの担当になったAさんは、採用活動の一環として何度もVさんとの会食の場を設けたりメールを送っていました。
Vさんと会ううちにVさんに好意を寄せるようになったAさんは、Vさんに好意をもっていることをほのめかすようになったため、次第にVさんがAさんの行為を拒絶する姿勢を見せるようになりました。
しかし、Aさんはこれも仕事だからとしつこくVさんとの接触を図りました。
恐怖を感じたVさんが京都府伏見警察署に相談したことをきっかけにして、Aさんはストーカー規制法違反の容疑で話を聞かれることとなってしまいました。
(※この事例はフィクションです)

・つきまとい行為とストーカー規制法

Aさんは、リクルーターとして何度もVさんと会食したり連絡をとって接触を図っています。
リクルーターとしての仕事を考えれば、連絡を頻繁にするなどの行為がただちに処罰対象となるような行為とはいえません。
しかし、その具体的な内容などによってはつきまとい行為やストーカー行為として、各都道府県に定められている迷惑防止条例違反やストーカー規制法などによって処罰対象となる可能性があります。

今回のAさんは、ストーカー規制法違反の容疑で話しを聞かれるようですから、まずはストーカー規制法について確認してみましょう。
ストーカー規制法は、正式には「ストーカー行為等の規制等に関する法律」という名前の法律です。
名前の通り、ストーカー行為等を規制することで、個人の身体や自由および名誉に対する危害の発生の防止や、国民の生活の安全と平穏に資することを目的としている法律です。

ストーカー規制法第3条
何人も、つきまとい等をして,その相手方に身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせてはならない。

このストーカー規制法第3条に反してつきまとい等を反復してストーカー行為をした場合の法定刑は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金ストーカー規制法第18条)です。

なお、ストーカー規制法が規定している「つきまとい等」はストーカー規制法第2条によって以下のように定義されています。

ストーカー規制法第2条第1項
この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
第1号 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
第2号 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
第3号 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
第4号 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
第5号 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
第6号 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
第7号 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
第8号 その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この号において同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。

ストーカー規制法で禁止されているストーカー行為とは、同一の者に対し上記のつきまとい等を反復してすることをいいます。
今回の事例のAさんは、Vさんに好意をもってVさんに繰り返し連絡を取ろうとしているため、Aさんの行為がつきまとい行為としてストーカー規制法違反に当たる可能性があります。

・つきまとい行為と迷惑防止条例

もしAさんの行為がストーカー規制法違反に当たらなかったとしても、京都府では迷惑防止条例でつきまとい行為を禁止していますので、迷惑防止条例違反として処罰対象となってしまう可能性があります。

京都府の迷惑防止条例で禁止されているつきまとい行為は、大まかに説明するとストーカー規制法での「つきまとい行為」や「ストーカー行為」の定義から恋愛感情を満たすためといった動機を除いた形で定義されています(京都府迷惑防止条例第6条)。

よって、AさんがたとえVさんに対して恋愛感情や好意をもっていなくとも、Aさんが会食の場を設けたりメールを送信することを繰り返した行為が度を越えているものであると判断された場合には、迷惑防止条例違反となる可能性もあるのです。

なお、AさんがVさんに対して暴行や脅迫を用いて面会を強要したような場合には、刑法の強要罪(刑法第223条)に当たる可能性もあります。

最近では就活生に対するハラスメント行為が問題視され社会的な関心が高まっていることから,従来では見逃されていた行為もハラスメントや犯罪に当たるとして警察等から勧告を受けたり処罰の対象となる場合があります。
Aさんのリクルーターという仕事柄、就活生に連絡を取ったり接触を図ったりすること自体は問題のない行為ですが、度を越してしまえば犯罪となりえます。
ただし、犯罪行為としての故意がなかったり、正当業務行為として正当化できる場合も十分に考えられますので、まずは刑事事件に強い弁護士に一度相談することをおすすめします。

つきまとい行為やストーカー行為を行ったとしてストーカー規制法違反や迷惑防止条例違反の被疑者となってしまいお困りの際は、お早めに、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。