自宅出産後の死体遺棄事件で逮捕されたら

自宅出産後の死体遺棄事件で逮捕されたら

自宅出産後の死体遺棄事件逮捕されてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府京丹後市に住むAさんは、妊娠していることを誰にも言い出せず、そうこうしているうちに自宅で出産してしまいました。
しかし、産まれてきた赤ちゃんはすでに亡くなっており、どうしてよいか分からなくなったAさんは、自宅に赤ちゃんの遺体を隠してしまいました。
Aさんの様子がおかしいとAさんの自宅を訪ねてきたAさんの知人が隠されていた赤ちゃんの遺体を発見し、京都府京丹後警察署に通報。
Aさんは死体遺棄事件の被疑者として逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、Aさんの状況を知ると驚き、Aさんの手助けができないかと刑事事件に対応している弁護士に相談することにしました。
(※令和3年4月24日YAHOO!JAPANニュース配信記事を基にしたフィクションです。)

・自宅出産後の死体遺棄事件

妊娠していた女性が自宅や外出先などの病院以外で出産してしまい、赤ちゃんやその遺体を遺棄してしまうという痛ましい事件は、度々報道されているところです。
こうしたケースでは、まず今回の事例のAさんの逮捕容疑でもある死体遺棄罪の容疑で捜査が行われることが多いでしょう。

刑法第190条(死体損壊等)
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。

刑法第190条では、今回問題となっている死体遺棄罪のみでなく、死体損壊罪なども定められており、1つの条文で複数の犯罪が規定されています。
このうち、死体遺棄罪「死体」「を」「遺棄」することで成立する犯罪となります。

死体遺棄罪の定義で一般の方に伝わり辛いのは「遺棄」という部分でしょう。
一般に「遺棄」というと捨てることであるというイメージが強いでしょう。
ですが、死体遺棄罪の「遺棄」は捨てることだけを意味しているのではありません。
死体遺棄罪の「遺棄」とは、人間の遺体を葬儀に絡む社会通念や法規に沿わない状態で放置することを指します。
つまり、「死体をどこかへ捨てる」といった行為はもちろん、社会通念に沿ったきちんとした埋葬をせずに放置するだけでも死体遺棄罪の「遺棄」行為になります。

ですから、例えば死体を勝手に山に埋めたというケースでは、埋めた本人の認識では死体を埋葬したものであったとしても、それが社会通念上・法規上の埋葬に当たらないのであれば、死体遺棄罪の「遺棄」行為をしたことになるのです。

今回のAさんは、赤ちゃんの死体を自宅に隠しているだけで、どこかへ捨てているというわけではありません。
しかし、死体を自宅に隠すということは、社会通念や法規に沿わない状態で放置している状態=死体遺棄罪の「遺棄」行為をしているということになります。
そのため、Aさんには死体遺棄罪が成立すると考えられるのです。

・出産後の死体遺棄事件と弁護活動

今回のAさんのような、出産した赤ちゃんの死体を遺棄してしまったという死体遺棄事件では、死体遺棄罪の刑罰が重いことも影響し、逮捕・勾留によって身体拘束が行われた上で捜査されることも多いです。
出産した赤ちゃんの死体遺棄行為をしてしまった被疑者本人は、精神的なショックを抱えていることも多く、細やかなサポートが必要ですが、逮捕・勾留されていればご家族に会うことも難しいです。
だからこそ、弁護士を通じて伝言のやり取りをする、取調べへの対応や被疑者の権利を把握しておくといったことが重要となります。
早い段階から弁護士を通じて被疑者本人と意思疎通を図ることが大切でしょう。

また、こうした出産に絡む死体遺棄事件では、赤ちゃんが生まれてきてから亡くなったという場合、殺人罪の容疑がかかる可能性もあります。
そうした場合、取調べが厳しくなることも考えられますし、殺人罪で起訴されれば裁判も裁判員裁判という特殊な形態となります。
当然有罪となった場合に予想される刑罰も重くなります(殺人罪(刑法第199条)の法定刑は「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」)。
死体遺棄罪だけでなく、他の犯罪の容疑がかかることも見据えて早め早めの対策が必要なのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、出産後の死体遺棄事件などの刑事事件を専門とする法律事務所です。
出産の絡む死体遺棄事件では、被疑者本人のサポートはもちろん、その後同じことが起こらないように周囲の方と協力して環境を整えることも重要です。
刑事事件の専門家である弁護士の力を借りながら、刑事事件への対応と同時に、その環境調整についても進めていくことがおすすめです。
まずは遠慮なく弊所弁護士までご相談ください。

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