人気ラーメン店で食中毒⁉業務上過失致傷罪で書類送検

人気ラーメン店で食中毒⁉業務上過失致傷罪で書類送検

手錠とガベル

人気ラーメン店で食中毒が発生し、店長が業務上過失致傷罪で起訴された事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事案

ラーメンの激戦区として知られる京都市左京区にある人気ラーメン店「さしすせそ」本店で、食中毒が発生した。
「さしすせそ」本店でラーメンを食べた人たちが、腹痛や下痢を訴え病院に運ばれたことがきっかけで保健所の検査が入り、同店の名物である生チャーシューを原因とする食中毒だとわかった。
厚労省は、豚肉の中心部の温度が63℃で30分以上加熱するよう求めているところ、同店の店長は、この基準を知らなかったためにを同基準を満たさない調理をしていたとのこと。
京都府下鴨警察署は、同店長を業務過失致傷罪で書類送検した。
(フィクションです。)

業務業過失致傷罪とは

刑法211条前段
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。

業務上過失致傷罪「業務」とは、「人が社会生活上の地位に基づき、反復継続して行う行為であって、他人の生命、身体等に危害を加えるおそれのあるもの」です(最判昭和33年4月18日)。
上記の業務概念は①社会生活上の地位に基づくこと、②反復継続性があること、③生命・身体に対し危険な行為であること、の3つの要素からなりたっています。

本件で書類送検されたのは、ラーメン店の店長ですから、飲食業者という社会的地位に基づいてラーメンを製造し提供していると言えます(①)。
また、ラーメン店を開業しているわけですから、反復継続性も問題なく認められるでしょう(②)。
それでは、ラーメンの製造、提供は③生命・身体に対し危険な行為といえるのでしょうか?
ラーメンの製造、提供は、厚労省の基準にしたがって適切に調理されている限り、危険な行為にはならないといえるでしょうが、今回のように食べ物は適切に調理されなかった場合、食中毒を招き腹痛や下痢、最悪の場合には死に至ることさえあります。
したがって、ラーメンの製造、提供は、生命・身体に対し危険な行為であるといえるでしょう(③)。

ですので、本件のラーメン店「さしすせそ」の店長がラーメンを製造する行為は業務上過失致傷罪「業務」に該当する可能性が高いといえます。

加えて、業務上過失致傷罪は、「業務上必要な注意を怠」ったといえることが必要です。
本件に即していえば、ラーメン店「さしすせそ」の店長は、チャーシューを作るにあたって、豚肉の中心部の温度が63℃で30分以上加熱する必要があったところ、それを知らずに不適切な調理をしていたようですので、業務上必要な注意を怠っていたといえそうです。

今回、業務上過失致傷罪が問題となっていますから、その成立には傷害結果が生じたことも必要です。
傷害とは人の生理機能を侵害することをいいます(大判明治45年6月20日)。
本件の被害者は腹痛や下痢をうったえていますから、店長は、人の生理機能を侵害したと評価される可能性があります。

以上から本件では業務上致傷罪が成立する可能性があります。

できるだけ早い段階で弁護士に相談を

業務上過失致傷罪は被害者のいる犯罪です。
早い段階で被害者に真摯な反省と謝罪を伝え、示談を成立させることで事件化を防いだり不起訴処分を獲得することができるかもしれません。
仮に、起訴されたとしても示談が成立していることをふまえて量刑が軽くなる能性もあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、業務上過失致傷罪を含む豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、事件化や起訴を防ぐことができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約は、0120-631-881にて受け付けております。

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