生レバー提供の食品衛生法違反事件で逮捕
生レバー提供の食品衛生法違反事件で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都府京田辺市で焼き肉店を経営していたAさんは、メニューでは「牛の炙りレバー」と表記していたものの、実際には牛の生レバーを客に提供していました。
Aさんは客にレバーを提供する際に加熱するよう伝えることもなく、Aさんの店では生レバーが食べられると口コミで話題になっていました。
するとある日、京都府田辺警察署に警察官がAさんの店に訪れ、Aさんは食品衛生法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、Aさんが逮捕されてしまったと聞き、慌てて今後の対応を刑事事件に対応している弁護士事務所に問い合わせ、相談しました。
(※令和2年7月14日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・生レバー提供と食品衛生法違反
今回のAさんの逮捕容疑は食品衛生法という法律に違反したことです。
そもそも、食品衛生法とは、「食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もつて国民の健康の保護を図る」ことを目的としている法律です(食品衛生法第1条)。
この目的のために、食品衛生法では、以下のようなことを定めています。
食品衛生法第13条
第1項 厚生労働大臣は、公衆衛生の見地から、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、販売の用に供する食品若しくは添加物の製造、加工、使用、調理若しくは保存の方法につき基準を定め、又は販売の用に供する食品若しくは添加物の成分につき規格を定めることができる。
第2項 前項の規定により基準又は規格が定められたときは、その基準に合わない方法により食品若しくは添加物を製造し、加工し、使用し、調理し、若しくは保存し、その基準に合わない方法による食品若しくは添加物を販売し、若しくは輸入し、又はその規格に合わない食品若しくは添加物を製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、保存し、若しくは販売してはならない。
食品衛生法第72条
第1項 第13条第2項(第62条第1項及び第2項において準用する場合を含む。)若しくは第3項、(中略)の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処する。
第2項 前項の罪を犯した者には、情状により懲役及び罰金を併科することができる。
つまり、特定の食品については、厚生労働省によって指定された方法で加工等を行わなければ、販売できないということになり、これを守らなければ食品衛生法違反となってしまうのです。
牛のレバーについては、「食品、添加物等の規格基準」という厚生労働省が定めている基準の中に、規定が定められています。
「食品、添加物等の規格基準」の1-Bの9では、牛の肝臓、すなわち牛のレバーは加熱して提供するか、客に加熱させる場合には加熱が必要なこと等を伝えなければならないとされています。
つまり、牛のレバー提供する際、客に加熱させるのであればその客に加熱が必要なことを伝えなければならず、それを怠った場合、「基準に合わない方法による食品若しくは添加物を販売」していることになりますから、食品衛生法に違反することになるのです。
今回のAさんの事例を考えてみましょう。
Aさんは、牛のレバーを提供する際、客に対して加熱するように伝えず提供していたことから、「食品、添加物等の規格基準」に合わない方法でレバーを販売していたことになります。
こうしたことから、Aさんは食品衛生法違反となったのでしょう。
生レバー提供による食品衛生法違反事件の場合、内偵捜査が入り、実際に生レバー提供行為があるかどうかを確認してから逮捕となる流れが多いでしょう。
今回のAさんの事例でも、Aさんにとっては突然の逮捕だったかもしれませんが、事前に捜査員が内偵捜査をして事実を確かめてから逮捕に至った可能性があります。
店全体で生レバー提供行為をしていたとなれば、事件の関係者も多数に及ぶことから、口裏合わせ防止などのために逮捕されてしまう可能性が高まります。
逮捕に迅速に対応していくためには、早い段階で専門家の弁護士からサポートを受けることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、生レバー提供による食品衛生法違反事件にも刑事事件専門の弁護士が対応いたします。
0120-631-881では、逮捕直後からスピードをもって活動を開始できるよう、24時間いつでも専門スタッフがお問い合わせを受け付けています。
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