無許可販売による薬機法違反事件
無許可販売による薬機法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都市左京区に住んでいるAさんは、インターネット上に自身のECショップを開設していました。
Aさんは、そこで海外から輸入したサプリメントや薬を販売していました。
するとある日、京都府下鴨警察署の警察官がAさんのもとにやってきて、Aさんは無許可販売による薬機法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、「海外で使われているサプリメントや薬なのだから販売しても問題ないはずなのではないか」と薬機法違反で逮捕された理由が分からずにいます。
そこでAさんは、Aさんの逮捕を知って家族が接見を依頼した弁護士に会うと、自身の逮捕容疑である薬機法違反について詳しく話を聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・薬機法と医薬品の販売
薬機法とは、正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」という法律です。
元々は薬事法などとも呼ばれていたこの法律ですが、改正を経て法律名も変更となり、現在の形となりました。
薬機法は、法律名にもある通り、医薬品や医療機器の品質、有効性、安全性の確保やそれらの使用によって危険が生じないための措置や規制、研究開発のための措置などを定める法律です。
なお、薬機法は医薬品だけでなく医薬部外品や化粧品についても規制しており、それに加えていわゆる危険ドラッグ(指定薬物)の規制をしている法律でもあります。
この薬機法では、名前に含まれている「医薬品」の販売について、以下のように定めています。
薬機法第12条第1項
次の表の上欄に掲げる医薬品(体外診断用医薬品を除く。以下この章において同じ。)、医薬部外品又は化粧品の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に定める厚生労働大臣の許可を受けた者でなければ、それぞれ、業として、医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造販売をしてはならない。
第49条第1項に規定する厚生労働大臣の指定する医薬品 第一種医薬品製造販売業許可
前項に該当する医薬品以外の医薬品 第二種医薬品製造販売業許可
医薬部外品 医薬部外品製造販売業許可
化粧品 化粧品製造販売業許可
薬機法第14条第1項
医薬品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬品を除く。)、医薬部外品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬部外品を除く。)又は厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品の製造販売をしようとする者は、品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けなければならない。
薬機法第24条第1項
薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、業として、医薬品を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列(配置することを含む。以下同じ。)してはならない。
ただし、医薬品の製造販売業者がその製造等をし、又は輸入した医薬品を薬局開設者又は医薬品の製造販売業者、製造業者若しくは販売業者に、医薬品の製造業者がその製造した医薬品を医薬品の製造販売業者又は製造業者に、それぞれ販売し、授与し、又はその販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列するときは、この限りでない。
薬機法第84条
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第3号 第14条第1項又は第13項の規定に違反した者
第9号 第24条第1項の規定に違反した者
薬機法第12条第1項では、医薬品等を製造販売するためには厚生労働大臣の承認を得なければならないということになっています。
そして、薬機法第24条第1項によると医薬品を販売するには「薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた者」でなくてはならないということが定められています。
つまり、医薬品等を販売する際にこれらの承認や許可を得ていなければ、薬機法違反という犯罪になるのです。
これは実際の店舗での販売だけでなく、今回のAさんのようなインターネット上のECショップでも適用されます。
ですから、たとえインターネット上であっても医薬品等を販売する場合には、薬機法上の承認や許可を得なければならないのです。
では、そもそもその薬機法上の「医薬品」とはどういったものなのでしょうか。
次回の記事で詳しく触れていきます。
刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、無許可販売による薬機法違反事件についてのご相談も受け付けています。
刑事事件専門だからこそ、なかなか耳慣れないケースの刑事事件でも安心してご相談いただけます。
まずはお気軽に0120-631-881からお問い合わせください。