未承認の検査キット販売で薬機法違反

未承認の検査キット販売で薬機法違反

未承認の検査キット販売で薬機法違反に問われたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市中京区で会社を経営しているAさんは、感染症Xへの感染の有無が判定できると宣伝し、検査キットYを販売しました。
しかし、この検査キットYは国の承認を受けていない未承認のものでした。
京都府中京警察署が捜査をした結果、Aさんは薬機法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、「検査キットとして作られたものを販売したのに犯罪となったのか」と不思議に思い、自分のどういった行為にどのような犯罪の容疑がかけられているのかなどを、家族の依頼によって接見に訪れた弁護士に相談することにしました。
(※令和3年9月28日NHK NEWS WEB配信記事を基にしたフィクションです。)

・薬機法と「医薬品」

今回のAさんは違反した容疑をかけられている薬機法とは、正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」という法律です。
法律名の中に入っているように、この法律では「医薬品」についての規制もおこなっています。

薬機法で「医薬品」とは以下のように定義づけられています。

薬機法第2条第1項
この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。
第1号 日本薬局方に収められている物
第2号 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)
第3号 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)

このうち、第2号部分では、「人…の疾病の診断…に使用されることが目的とされている物であって、機械器具等…でないもの」が「医薬品」であるとされています。
逆に言えば、目的が「人…の疾病の診断…に使用されること」であれば「医薬品」となりうるわけですから、人が何かの病気にかかっていないか診断する目的であると表されている物は、その実態がどうあるかに関わらず、薬機法内の「医薬品」となりえることになります。
今回の事例のAさんは「感染症Yへの感染の有無が判定できる」=「人…の疾病の診断」ができるとして検査キットYを宣伝していることから、検査キットYはまさしく「人…の疾病の診断…に使用されることが目的とされている物」=薬機法の「医薬品」であるということになるでしょう。

薬機法では、この「医薬品」の製造販売について、厚生労働大臣の承認を得なければならないとされています。

薬機法第14条第1項
医薬品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬品を除く。)、医薬部外品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬部外品を除く。)又は厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品の製造販売をしようとする者は、品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けなければならない。

例えば、外国で医薬品として製造販売が許可されている製品や、「医薬品」として製造されていた物でも、日本で厚生労働大臣の承認を受けていなければ、それは薬機法上未承認の「医薬品」となってしまい、薬機法に違反してしまうということになります。

加えて、薬機法では、この「医薬品」を販売するにあたって、許可を得なければいけないと定められています。

薬機法第24条第1項
薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、業として、医薬品を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列(配置することを含む。以下同じ。)してはならない。ただし、医薬品の製造販売業者がその製造等をし、又は輸入した医薬品を薬局開設者又は医薬品の製造販売業者、製造業者若しくは販売業者に、医薬品の製造業者がその製造した医薬品を医薬品の製造販売業者又は製造業者に、それぞれ販売し、授与し、又はその販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列するときは、この限りでない。

医薬品」としてその物を販売するには、先ほど触れた「医薬品」その物に対する厚生労働大臣の承認を受けるだけでなく、販売のための許可も受けなければいけません。

なお、注意が必要なのは、未承認の「医薬品」については、広告も薬機法内で規制されているということです。

薬機法第68条
何人も、第14条第1項(中略)の認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。

Aさんの事例からは、少なくとも未承認の「医薬品」の広告をし、さらにその未承認の「医薬品」を販売していることが分かりますので、これらの行為による薬機法違反が考えられます。
さらに、Aさんが「医薬品」を販売する許可を受けずに販売をしていた場合、無許可販売による薬機法違反が成立することも考えられます。

このように、特に薬機法のような特別法の関わる刑事事件では、違反となる行為が細かく定められており、定義も細かく決められていることが多いため、一般の方だけで理解しようとすると難しい面もあります。
だからこそ、まずは刑事事件に対応している弁護士に相談してみることをおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、未承認の医薬品販売による薬機法違反事件のご相談・ご依頼も承っています。
まずはお気軽にご相談ください。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら