後輩に対してカツアゲした疑いで大学生を逮捕

後輩に対してカツアゲした疑いで大学生を逮捕

犯罪行為で得たお金

後輩に対してカツアゲした疑いで大学生が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都府北警察署は、京都市内の大学に通う男子大学生A(22)を恐喝罪の疑いで逮捕した。
体育会系の部活の4回生であるAは、同じ部活に所属する後輩の1回生Vが部活に遅刻した際に、「部活舐めてんのか!?遅刻した罰金として3万よこせ!金払わないならケツバットな!」などと言って、後輩の財布に入っていた2万円と、銀行から下ろさせてきた1万円の計3万円を受け取ったとされている。
京都府北警察署の取調べに対し、Aは「パチンコの新台を打ちたかったが、お金がなかったので、後輩からカツアゲしようと思った」と容疑を認めている。

カツアゲは犯罪?

刑法249条
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

カツアゲ恐喝罪になる可能性があります。
本件では、Aは、同じ部活に所属する後輩Vに3万円を差し出させています。
3万円という財物を交付させていますから、Aの発言が恐喝に当たるのであれば、恐喝罪が成立する可能性があります。

恐喝とは、①財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫または暴行であって、②その反抗を抑圧するに至らない程度の行為を言います。
本件で、Aは、Vに対し、金銭をよこさないとケツバットすると言って後輩を怖がらせています。
ケツバットするというのは、身体に対する害悪の告知ですから、Aの発言は、財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫に該当しそうです(①)。

では、②についてはどうでしょうか?
Aの上記行為は、Vの反抗を抑圧するに至らない程度と言えるでしょうか?
反抗を抑圧する程度の脅迫というのは、例えば、拳銃の銃口を突きつけながら「金を出さないと殺す」などと脅すような場合がこれに当たります。
銀行強盗をイメージするとわかりやすいかもしれません。
この場合、要求に応じないと殺されそうなので、言われた通りお金を差し出すほかないでしょうから、上記脅迫は、反抗を抑圧する程度の脅迫と言えます。

これに対し、本件でのAのケツバットするぞという害悪の告知は、大学に入ったばかりの1回生を怖がらせるのには十分かもしれませんが、反抗を抑圧する程度に至ってはいないと考えられます(②)。
以上より、Aのケツバットするぞという発言は恐喝に当たり、Aには恐喝罪が成立する可能性があります。

恐喝から現金の交付までの因果関係

加えて、恐喝罪の成立には、次の因果関係が必要です。
①相手方を恐喝し、②それにより相手方が畏怖し、③その畏怖に基づいて相手方が交付行為を行い、④その交付行為によって財物が行為者に移転するという因果関係が必要です。

本件では、AがケツバットするぞとVを恐喝し(①)、それによりVが畏怖し(②)、その畏怖に基づいてVは3万円をAに差し出し、(③)、その交付行為によって財物がAに移転(④)しています。
以上より、Aには恐喝罪が成立する可能性があります。

なるべく早く弁護士に相談を

カツアゲと聞くと大した犯罪ではないと思われるかもしれせんが、恐喝罪の法定刑は10年以下の懲役と非常に重たくなっています。
執行猶予がつくためには、量刑が3年以下であることが条件の1つですから、カツアゲをすると実刑判決が下される可能性があります。
仮に執行猶予がつかず実刑判決が下った場合、刑務所に拘束されるため大学に通ったり会社に出勤したりすることはできず、解雇退学処分となることが珍しくありません。
したがって、刑務所での拘束を避けるためには、科される量刑を3年以内に抑えて執行猶予付判決を獲得する必要があります。

では、量刑を3年以内に抑えるには、どうすれば良いのでしょうか?
この点については、被害者との間で示談を成立させることで、量刑を抑えることができる可能性があります。
ただし、カツアゲをした当の加害者が、直接被害者と示談交渉を進めることは通常困難です。
被害者は強い処罰感情を有していることは珍しくありません。
示談交渉のテーブルにつくことすらできないかもしれません。
そこで、交渉のプロである弁護士に第三者的立場から示談交渉をしてもらうことをおすすめします。
さらに、検察官に起訴される前に示談を締結できた場合には不起訴処分となる可能性も存在しますから、できる限り早い段階で弁護士に相談することが極めて重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、恐喝事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成功させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、量刑を軽くしたり執行猶予付判決不起訴処分を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
相談のご予約のお電話は0120-631-881で承っています。

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