金庫の金を脅し取った男を強盗罪で逮捕

金庫の金を脅し取った男を強盗罪で逮捕

ハンマーを振りかざす男性

金庫の金を脅し取った男が強盗罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都府上京警察署は、無職の男性(34)を強盗罪の疑いで逮捕した。
男は、深夜に包丁を持って一人暮らしの女性宅に侵入し、物音に気づいて起床した女性に刃物を突きつけながら「家にある現金を全てだせ。出すまで刺すぞ」と脅し、金庫に入っていた50万円を奪って逃走した疑いが持たれている。
(フィクションです。)

強盗罪とは

刑法236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

強盗罪は、量刑が5年以上の有期懲役ですから、非常に重たい犯罪の1つです。
例えば、他人を凶器で殴ったり、脅したりして抵抗することを難しくさせ、無理やりに財産を奪うような行為が強盗罪にあたります。

このような行為がなされると、被害者が死亡したり怪我をしたりといったことが非常に発生しやすいと言えますから、とても危険で悪質な犯罪と言えます。
強盗罪に当たる行為が、単に人の財産に対する侵害行為にとどまらず人の生命・身体・自由に対する侵害行為という側面も有するため重い刑が課されます。

手段としての「暴行又は脅迫」

一般に暴行とは、人の身体に対する不法な有形力の行使を意味し、脅迫とは害悪の告知を言います。
しかし、暴行・脅迫を犯罪行為の一部としている犯罪は暴行罪恐喝罪などたくさんあり、各犯罪によってその意味は微妙に異なるものと理解されています。

強盗罪の場合、暴行・脅迫は財物を無理やり奪い取る手段として規定されていますから、本罪における暴行とは、反抗を抑圧するに足りる程度の不法な有形力の行使を意味し、脅迫とは、反抗を抑圧するに足りる程度の害悪の告知を言います。
また、反抗を抑圧するに足りる程度とは、簡単にいうと、抵抗することが困難な程度のことをいいます。
問題となった行為が、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫であるか否かは、「社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものかどうか」という客観的基準によって決せられます(最判昭和24年2月8日)。

この判断は、暴行又は脅迫の態様、行為者及び被害者の状況、日時や場所などを総合考慮して判断されます。
特に暴行又は脅迫の態様が重視されます。
例えば、加害者が殺傷能力の高い凶器を使用した場合には、社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫と判断される可能性が高くなります。

本件では、男は、現金という財物を手に入れようとして、被害者の女性に対し包丁を突きつけています。
寝起きの無防備な女性が、自分よりも力の大きい男性に包丁という殺傷能力の高い凶器を突きつけられた場合、反抗するのは困難と言えます。
したがって、男の包丁を突きつける行為は、反抗を抑圧するに足りる程度の有形力の行使、すなわち強盗罪における暴行にあたりそうです。

また、男は被害女性に対し、現金を出さないと包丁で刺すと脅しています。
包丁で刺すというのは身体に対する害悪の告知であり、上述のように、被害女性が男に反抗するのは困難でしょうから、強盗罪における脅迫にもあたりそうです。

結局、本件で男は、暴行脅迫を用いて現金50万という他人の財物を奪ったと言えそうですから、強盗罪が成立する可能性があります。

できるだけ早く弁護士に相談を

強盗罪の量刑は5年以上の有期懲役です。
執行猶予がつくためには懲役刑の場合は下される量刑が3年以下である必要がありますから、本件の男のように強盗罪を犯した場合、執行猶予がつくことは諦めざるを得ないのでしょうか?

実は、被害者に真摯に謝罪して示談が成立していれば、刑の減軽がされ、3年以下の懲役が下される可能性があります。
この場合には、執行猶予がつく可能性があります。
したがって、示談を成立させることができるかどうかが重要となります。

もっとも、本件のように、凶器を突きつけてきた加害者から謝罪がしたいと言われたとしても、被害者はこれに応じてくれる可能性は低いでしょう。
被害者としては、非常に怖いと思っているでしょうし、加害者に対する処罰感情も強いでしょうから、加害者が直接接触しようとするのは得策ではありません。 
そこで、弁護士に示談交渉を一任されることをおすすめいたします。加害者を断固拒絶している被害者も、弁護士とであれば連絡を取ることに応じてくれるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、強盗事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、量刑を減軽させたり、執行猶予付判決を得たりすることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

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