会社の取締役が、知人の経営する会社と実体のない取引を結び会社に損害を与えた事例

会社の取締役が、知人の経営する会社と実体のない取引を結び会社に損害を与えた事例

財産犯

会社の取締役が、知人の経営する会社と実体のない取引を結んで代金を支払い会社に損害を与えた事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事件概要

京都府伏見警察署は、酒類販売を行う会社の取締役の男性(42)を特別背任罪の疑いで逮捕した。
男は、昔からの仲である知人に頼まれ、当該知人の経営する会社と実体のない売買を偽装し、売買商品を受け取ることなく一方的に男の会社から知人の会社に現金を振り込み、その見返りに代金の一部を受け取るなどして、会社に損害を与えた疑いが持たれている。
取調べに対し男は、「知人から頼まれて断れずに答えてしまった。」と容疑を認めている
(フィクションです)

特別背任罪とは?ー背任罪との違い

刑法247条
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

会社法960条1項本文
次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
(中略)
3号 取締役、会計参与、監査役又は執行役
(後略)

本件では、特別背任罪が問題となっています。
特別背任罪は、会社法960条が規定する犯罪であり、刑法247条の規定する背任罪と、犯罪の主体が限定されている点を除けば成立要件は同じです。
特別背任罪が成立する可能性のある犯罪の主体には、取締役が含まれます(会社法960条1項3号)。
本件では、会社の取締役である男がした偽装売買に基づく代金の振込が問題となっていますから、刑法の背任罪ではなく特別背任罪が成立する可能性があります。

特別背任罪は成立する?

条文によると、特別背任罪は(取締役などが)①自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、②その任務に背く行為をし、③本人に財産上の損害を加える犯罪です。

まず①についてみると、本件で男は、知人の男性と売買契約を装い、売買目的物である商品を受け取ることなく代金を支払ったうえ、代金の一部を受け取ったとされています。
したがって、第三者である知人の利益に加えて、自己の利益を図る目的で行為を行ったとして、特別背任罪が成立する可能性があります。

次に②任務に背く行為をしたことが必要です。
任務に背く行為とは、他人の事務の処理者として当該具体的事情の下で当然になすべきものと法的に期待される行為をせず、信任関係に違背することを言います(大判明治44年10月13日、大判大正3年6月20日)。
本件で男は、取締役として会社ができるだけ多くの利益を獲得できるように会社経営を行うことが求められており、知人から仮装売買の誘いがあった場合には、当然これを断ることが期待されるにもかかわらず、これに応じて会社との間の信任関係に違背したと言えそうです。

また③財産上の損害についても、男は対価を得ることなく代金を一方的に支払っていますから、当該代金の分だけ会社は財産上の損害を負っていると言えそうです。

男は自分の行為によって会社の現金が流出することを当然認識しているでしょうから、本件では特別背任罪が成立する可能性があります。

できるだけ早く弁護士に相談を

特別背任罪のように被害者のいる犯罪では、示談を成立させることが非常に重要です。
早い段階で示談締結ができれば、起訴猶予による不起訴処分となる可能性があるからです。
仮に、起訴されたとしても、示談が成立していることは量刑や執行猶予をつけるどうかの判断に影響します。

もっとも経営陣の一員として会社を任される立場にあったにもかかわらず、会社を裏切るような行為したわけですから、被害者である会社側は強い処罰感情を有している可能性が高く、示談交渉に応じてくれないかもしれません。

そこで、示談交渉は交渉のプロである弁護士に一任されることをおすすめします。
加害者に対しては示談交渉に応じない被害者であっても、弁護士が相手であれば示談交渉に応じてくれることは少なくありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、特別背任罪など刑事事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分の獲得のほか、量刑を軽くしたり執行猶予付判決を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

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