(事例紹介)検察審査会で不起訴不当となり起訴 実刑判決となった事例

~事例~

4年前(平成30年)、京都市内で女性客にわいせつな行為をしたとして逮捕された整体師が、同意があったと誤解していた可能性があるなどとして不起訴になり、その後、検察審査会の不起訴不当の議決を受けて一転して起訴されました。
京都地方裁判所は、9月1日、「被害者が抵抗できない状況を作り出したうえでの犯行で、狡猾で悪質だ」として懲役2年の実刑判決を言い渡しました。
(中略)被告(57)は、4年前、経営していた京都市のアロママッサージ店で、当時30代の女性客の胸を触ったなどとして、準強制わいせつの罪に問われました。
被告は、女性と同意があったなどとして無罪を主張していました。
この事件では、逮捕された被告について検察がいったん不起訴にしましたが、その後、検察審査会が不起訴不当を議決したため再捜査した結果、一転して起訴されました。
(中略)
弁護側は、控訴したとしています。
※求刑は3年。

(※2022年9月1日18:00NHK NEWS WEB配信記事より引用)

~検察審査会とは?~

刑事事件では、警察や検察の捜査を経て、検察官が起訴・不起訴を決めます。
起訴されればその事件は公開の法廷で刑事裁判にかけられることになり、裁判の場で有罪・無罪が争われ、有罪の場合には刑罰の重さまでが決められます。
一方、不起訴となった場合には、その事件はそこで終了となり、裁判にかけられることはありません。
不起訴となれば、被疑者は刑罰を受けることもありませんし、そもそも有罪・無罪を争うこともありません。

この「不起訴」という処分が本当に適切だったのかということを判断する組織が、検察審査会です。
検察審査会では、不起訴処分に対しての不服申立てや、その不起訴処分結果についての報道などをきっかけに、該当事件に対する不起訴処分という処分が適切であったのかということを審査します。
審査をするとなった場合には、くじで選ばれた国民が検察審査員として審査を行い、その過程で弁護士からアドバイスを受けたり、事件の記録を調べたりして不起訴という処分が適切だったのかを判断します。
検察審査会の審査の結果は、起訴をすべきであるという「起訴相当」、さらに詳細な捜査をすべきであるという「不起訴不当」、不起訴という処分が相当であったという「不起訴相当」という3つの結果に分かれます。
このうち、「起訴相当」と「不起訴不当」という結果が出た場合には、検察官が事件を再検討することとなります。
「起訴相当」の結果を受けても検察官が起訴をしないという場合には、再度検察審査会で審査を行い、それでも起訴をすべきであるという議決(起訴議決)とした際には、弁護士が検察官の役をして起訴を行うこととなります。

今回の事例では、検察審査会で「不起訴不当」の議決が出た後に起訴されていることから、「不起訴不当」の議決後に検察官が再度事件を検討し、起訴に至ったということになります。

検察審査会の審査を経て起訴に至った刑事事件であっても、起訴されたということであれば公開の法廷で刑事裁判を行うことになりますし、有罪判決が下れば刑罰を受けることとなります。
いったんは不起訴となった刑事事件であるだけに、当事者やその周りの方としては困惑も大きいかもしれませんが、刑事裁判になるのであれば、迅速に刑事裁判に向けて準備を開始しなければなりません。
早い段階から弁護士に相談・依頼を行い、見通しや可能な弁護活動、すべき準備などを把握することが求められるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件を広い範囲で取り扱っています。
検察審査会などの刑事事件に関わる組織や手続は、まだまだ一般には浸透していない部分もあります。
刑事事件やその手続きにお困りの際は、お気軽に弊所弁護士までご相談ください。
初回無料の法律相談も行っていますので、まずはお電話ください。

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