【事例紹介】無免許運転による事故と犯人隠避罪

京都市下京区で起きた無免許運転事故を基に、無免許運転、事故不申告、犯人隠避罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警下京署は30日、道交法違反(無免許運転、事故不申告)の疑いで、京都市南区の解体業の男(21)を逮捕した。

逮捕容疑は8月4日午後6時45分ごろ、下京区で軽ワゴン車を無免許運転し、(中略)ワゴン車に追突してそのまま逃げた疑い。

(中略)事故の約1時間後に20代の同僚男性が身代わりで出頭しており、犯人隠避容疑で男性を調べる。

(8月30日 京都新聞 「無免許運転し車に追突、逃げた疑い 京都の21歳男を逮捕 同僚が身代わり出頭」より引用)

無免許運転と事故不申告

無免許運転は道路交通法第64条1項で禁止されています。
また道路交通法では、交通事故を起こした場合の措置について規定されており、事故の申告については第72条第1項で義務付けられています。

無免許運転で有罪になった場合は3年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金(道路交通法第117条2の2第1項)、事故不申告で有罪になった場合は3月以下の懲役か5万円以下の罰金(道路交通法第119条第1項第10号)がそれぞれ科されます。

事例の男性は無免許運転で事故の報告をしていないので、男性が有罪になった場合は3年3月以下の懲役か、55万円以下の罰金のどちらかが科されます。(無免許運転と事故不申告は併合罪になります。)

犯人隠避罪

大まかにいうと、犯人隠避罪は、罰金刑以上の犯罪を起こした人が警察官などに逮捕されたり捜査の対象になったりすることのないように手助けした場合に適用されます。
犯人隠避罪は刑法第104条で規定されており、有罪になると3年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。

事例の同僚男性のように、犯人の代わりに出頭する行為は隠避にあたります。
加えて、事例で事故を起こした男性は無免許運転と事故不申告の罪に問われており、どちらも有罪になれば罰金以上の刑が科されます。
今回の事例では、有罪になれば罰金刑以上が科される男性が無免許運転などの罪に問われないように、同僚男性が代わりに出頭しているので犯人隠避罪が適用されます。

犯人隠避罪で実際に有罪になってしまった場合、どれくらいの量刑が科されるのでしょうか。
犯人隠避罪で争われた裁判例をご紹介します。
※ご紹介する裁判例は事件内容などが異なります。

その事件の被告人はA鉄道会社のB自動車営業所でバスの運転手をしていました。
被告人と同じくB営業所で働いていたCさんは運転免許が失効しているにもかかわらず、無免許でバスを運転しており、バスの運転中に事故に遭遇しました。
警察が事故の捜査をしていることを知った被告人の上司であるD、E、FさんはCさんの処罰を免れるために、被告人がCさんの代わりに警察に名乗りでるように頼みました。
その後、被告人はCさんの代わりに出頭し、虚偽の供述をすることでCさんを隠避させました。

裁判では、被告人の行為により無免許運転の発覚が遅れたことなどから被告人の刑事責任は軽微なものとはいえないと判断されました。
しかし、被告人が上司の命令を断ることは困難な面もあり、社会的制裁も受けていることなどが考慮され、被告人は懲役10月執行猶予2年が言い渡されました。
平成15年10月8日 名古屋地方裁判所岡﨑支部より

今回の事例の同僚男性も、裁判例と同様に無免許運転だと知りながら身代わりに出頭しました。
裁判例と事件内容が異なる部分もありますが、事例の同僚男性も裁判例と同様の執行猶予付きの懲役刑や実刑判決が下される可能性があります。

家族や友達が犯罪行為をしたときに、軽い気持ちであっても身代わりに出頭すれば犯人隠避罪に問われることになります。
犯人隠避罪無免許運転、事故不申告はどれも有罪となった場合に懲役刑が下される可能性があります。
弁護活動により、不起訴処分や罰金刑を得られる可能性がありますので、犯人隠避罪、無免許運転や事故不申告による道路交通法違反で逮捕・捜査された際は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

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