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夏休みに大麻所持で逮捕
夏休みに大麻所持で逮捕
京都市右京区に住んでいる高校1年生のAさんは、夏休み中、自由な時間が増えたことで、「何かもっと楽しいことはないか」とインターネットサーフィンをしていました。
すると、とあるSNSで知り合ったBさんから「楽しい気持ちになれるものがある」と言われ、Aさんはそれを譲り受けることにしました。
その後、AさんはBさんと会い、Bさんから「楽しい気持ちになれるもの」を受け取りました。
自宅に帰ってからAさんがBさんから渡されたものを開封してみると、乾燥させた植物とパイプが入っていました。
Aさんは、その植物が何なのかは分かりませんでしたが、なんとなくよくないとされている類のものであろうと思いました。
しかし、Aさんは、どうせ少しの間しか使わないのだからばれないだろうと考え、同封されていたパイプを利用してその植物を吸っていました。
後日、Aさん宅に京都府右京警察署の警察官が訪れ、Aさんは大麻取締法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Bさんは大麻の売人であり、その連絡先等からAさんへの大麻譲渡が露見したようです。
(※この事例はフィクションです。)
・大麻取締法違反
ご存知の方も多いように、大麻は違法薬物です。
大麻については、その所持や譲渡等が大麻取締法によって規制されており、これに違反すれば大麻取締法違反という犯罪になります。
大麻の使用自体は、麻の生産者や研究者が偶然その成分を摂取してしまう可能性があること等から大麻取締法で禁止されてはいませんが、大麻を使用するのに所持はしない、ということは物理的に不可能であるため、大麻の使用をしても大麻所持の大麻取締法違反となることが多いです。
なお、今回のAさんの事件は少年事件であるため、Aさんは基本的には刑罰を受けることはありませんが、営利目的でない大麻所持については、「5年以下の懲役」(大麻取締法24条の2 1項)という刑罰が定められています。
ここで、今回のAさんは、「大麻である」というはっきりした認識を持って大麻を所持したわけではありません。
こうした場合でも、大麻取締法違反は成立するのでしょうか。
実は、一般にこうした違法薬物事件では、犯罪が成立するにあたって違法薬物名まではっきり認識している必要はなく、「何らかの違法薬物だろう」という程度の認識があればよいと考えられています。
Aさんも、よくないものであろうと認識しながら大麻を所持しているため、大麻取締法違反の故意があると認められる可能性があります。
・少年の大麻取締法違反事件
SNSの発達・普及等により、たとえ未成年者であっても、大麻等違法薬物の売人にコンタクトを取りやすくなっています。
実際に、最近では中学生や高校生が大麻取締法違反の容疑で逮捕される事件も起きています。
大麻は他の違法薬物よりも比較的安価なことが多いことから、こうした若年層でも手が出しやすくなってしまっているのかもしれません。
しかし、一度大麻という違法薬物に手を出してしまうと、違法薬物に手を出すという行為のハードルが下がり、大麻や他の違法薬物に手を出しやすくなってしまうといわれています。
それ自体への依存症の危険等もあることから、やはり違法薬物には触れないよう注意していくべきでしょう。
先ほど触れたように、Aさんは20歳未満であるため、この大麻取締法違反事件は少年事件として扱われます。
ただし、家庭裁判所へ事件が送られるまでは、成人の刑事事件とほぼ同じ扱いを受けるため、逮捕や勾留といった身体拘束がなされる可能性が高いでしょう。
大麻取締法違反事件などの違法薬物事件では、証拠隠滅が容易であったり関係者がいたりする性質上、逮捕等の身体拘束を伴う捜査が行われやすいといわれています。
また、少年が薬物に依存している可能性があったり、大麻に手を出した経緯に調査すべき点があれば、家庭裁判所に行ってからも、観護措置という形で少年鑑別所に収容されての調査が行われることも考えられます。
さらに、依存が深ければ、最終的には医療少年院に送致され、治療を受けるということになる可能性もあります。
こうした身体拘束や処分を回避したい場合には、少年が社会内でも更生可能であるということを主張していかなければなりませんが、そのためにはそれが可能であると客観的に認められる環境を作っていかなければなりません。
そのために、刑事事件だけでなく少年事件に強い弁護士に相談・依頼してみることをおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年による違法薬物事件のご相談・ご依頼も受け付けております。
夏休み中の少年事件にお困りの方、大麻取締法違反事件にお悩みの方はお気軽にご相談ください。
夏フェスで痴漢事件
夏フェスで痴漢事件
Aさんは、京都府舞鶴市で開催される夏フェスに参加することにしました。
その夏フェスは、野外に組まれた特設会場でアーティストがライブを行うというものでした。
Aさんは、ライブに参加していましたが、その際、自分の前に好みの女性Vさんがいることに気が付きました。
「こんな人混みの中なのだから、触ったところでばれないだろう」と考えたAさんは、Vさんの臀部を触ったり、胸を触ったりしました。
違和感を覚えたVさんが声を上げたことからAさんの犯行が発覚し、警備員が通報したことにより、Aさんは京都府舞鶴警察署に痴漢事件の被疑者として逮捕されることとなりました。
(※この事例はフィクションです。)
・夏フェスで痴漢事件
いわゆる「夏フェス」が多く開催される時期となりました。
夏フェスは、野外で行われるものからドームやホールで行われるものまで多種多様で、多くの人たちが参加し、楽しんでいます。
今回のAさんが参加した夏フェスは、野外での音楽フェスのようですが、そこでAさんは痴漢事件を起こし逮捕されてしまっています。
Aさんはどういった犯罪に問われることになるのでしょうか。
①京都府迷惑行為防止条例違反
多くの痴漢事件では、各都道府県の迷惑防止条例違反という犯罪が適用されます。
京都府では、「京都府迷惑行為防止条例」という条例が定められていて、その中には以下のような条文があります。
京都府迷惑行為防止条例3条1項
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
1号 みだりに、他人の身体の一部に触ること(着衣の上から触ることを含む。)。
今回のような夏フェスの会場は、不特定多数の人が訪れる場所であることから、「公共の場所」であると考えられます。
その夏フェス会場で、AさんはVさんの臀部や胸を触っています。
見知らぬ人に臀部や胸をいきなり触られることは、「他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法」であるといえるでしょうから、Aさんの痴漢行為は京都府迷惑防止条例違反となると考えられます。
こうした痴漢行為で京都府迷惑防止条例違反となった場合には、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります(京都府迷惑行為防止条例10条1項)。
②強制わいせつ罪
Aさんの痴漢行為の態様によっては、①で取り上げた京都府迷惑防止条例違反ではなく、刑法上の強制わいせつ罪となることも考えられます。
刑法176条(強制わいせつ罪)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
臀部や胸をもんだり、衣服の中にまで手を入れたりしていたような場合、その痴漢行為自体が強制わいせつ罪のいう「暴行」であり「わいせつな行為」であると認められ、強制わいせつ罪が成立する可能性があります。
強制わいせつ罪が成立した場合、①の京都府迷惑防止条例違反とは異なり、法定刑に罰金刑が規定されていませんから、起訴=公開の法廷で刑事裁判を受けるということになり、執行猶予がつかなければ刑務所に行くことになります。
最近では、ライブ会場やフェス会場での痴漢・盗撮行為も問題視され話題となっており、アーティストからそういった行為をしないように、というPRもされるほどです。
ここまで見てきたように、どれほど人混みであったとしても、痴漢行為をすることはれっきとした犯罪ですから、注意しましょう。
痴漢行為をしてしまった場合には、被害者への謝罪・弁償をはじめとして、さまざまな活動をすることが考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、痴漢事件のご相談・ご依頼も多くいただいています。
京都の痴漢事件にお困りの際は、お気軽に弊所弁護士までご相談ください。
熱中症の看病で強制わいせつ罪を疑われた?
熱中症の看病で強制わいせつ罪を疑われた?
ある日、Aさんが京都市南区を歩いていると、通行人の女性Vさんがふらふらと歩いており、道端にうずくまってしまったのを目にしました。
Aさんは大変だと思い、Vさんに近づいて様子を見ると、どうやらVさんは熱中症になってしまったようでした。
Vさんの意識がぼんやりしていることから、すぐに看病をしなければならないと考えたAさんは、救急車を呼んだうえでVさんを日陰に誘導し、飲み物を渡し、Vさんの胸元のボタンを外したりベルトを緩めたり、濡れタオルをあてるなどして体を冷やしたりしていました。
すると、別の通行人Wさんが通りかかり、その様子を見て「男性が意識のない女性の服を無理矢理脱がせて体を触っている」と勘違いし、京都府南警察署に通報してしまいました。
Aさんは駆け付けた警察官に、熱中症の看病をしていただけだと説明しましたが、強制わいせつ罪の容疑で話を聞かれることになってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・熱中症の看病で強制わいせつ罪?
最近は気温も高く、最高気温が38度や39度となる日もあります。
全国的に暑い日が続いており、報道などでも繰り返し言われているように熱中症に注意が必要な時期となっています。
今回のAさんは、その熱中症になってしまったVさんの看病をしていたところ、強制わいせつ罪の容疑をかけられてしまったようです。
もちろん、こうした状況であった場合に事情を話して分かってもらえることも多いでしょうが、犯罪を疑われてしまうこともあるのでは、と不安になる方もいらっしゃるかもしれません。
もし強制わいせつ罪そうなってしまった場合、どうなるのでしょうか。
まず、Aさんが容疑をかけられている強制わいせつ罪は、刑法176条に規定されています。
刑法176条(強制わいせつ罪)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
強制わいせつ罪においては、「暴行」が「わいせつな行為」と一体となっている場合でも成立が認められます。
例えば、別途殴ったりする分かりやすい「暴行」がなくとも、抱き着いたり胸やお尻をもんだりといった行為が「暴行」であり「わいせつな行為」であるとされ、強制わいせつ罪となることがあるのです。
今回のAさんは特にVさんに個別に暴行をふるっているわけではありませんから、看病のためにVさんの体に触れた(もしくは触れたように見えた)ことがこうしたとらえ方をされてしまった可能性もあります。
また、相手に意識がないような場合には、刑法178条の準強制わいせつ罪を疑われる可能性もあります。
刑法178条(準強制わいせつ罪)
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
「人の心神喪失若しくは抗拒不能」とは、簡単に言えば人が意識を失うなどして抵抗できない状態になっていることを指します。
そうした状況に相手を陥らせたり、相手がそうした状態になっていることを利用してわいせつ行為をした場合に成立するのが準強制わいせつ罪です。
しかし、Aさんはあくまで熱中症の看病のためにVさんに触れていたのであり、わいせつな行為をしようとしていたわけではありません。
そもそもAさんの行為はあくまで看病であり、その行為にわいせつ性があったとは考えにくいです。
さらに、Aさん自身も熱中症の看病をしようと動いていたわけですから、強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪の故意もなかったと考えられます。
ですから、強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪を疑われてしまったら、そうしたことを具体的な事情に基づいて主張して、Aさんの行為が強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪に当たらないと主張していくことが重要でしょう。
例えば、今回の場合、Aさんは熱中症の看病に必要なこと以外でVさんの体には触れていないようですし、救急車も呼んでいます。
そうしたことから、Aさんの行為にはわいせつ性がなく、Aさん自身もそうした認識はしていなかったと主張していくことになるでしょう。
ただし、「看病にかこつけて体を触ってしまおう」などと考えていたような場合には、行為のわいせつ性や故意が認められ、強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪が成立する可能性があることにも注意が必要です。
そうでないかどうかは、看病に必要なこと以上に過剰な行為をしていないか、周囲の状況はどうだったか、といった詳しい事情を考慮して判断されることになるでしょう。
冤罪を主張するには、取調べ時の対応が非常に重要です。
しかし、被疑者本人1人で捜査官と対峙しなければならない取調べにおいて、自分の主張を間違いなく話し続けることは、実はとても負担の大きいことです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、そうした冤罪事件のご相談もお受けしています。
刑事事件専門の弁護士がフルサポートいたしますので、冤罪事件にお困りの際はお気軽にご相談ください。
花火大会でチケット不正転売防止法違反
花火大会でチケット不正転売防止法違反
Aさんは、京都府宮津市で開催される人気の花火大会の有料席のチケットを、行く気がないにも関わらず何枚も取得し、SNSなどで定価よりかなり高額の値段で買い取りを募集しました。
実はAさんはこの花火大会以外にもこうした手口でチケットの高額転売を繰り返しており、今回もチケットの転売により利益を得るつもりでした。
すると、京都府宮津警察署の警察官がAさん宅を訪れ、Aさんはチケット不正転売防止法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・花火大会でチケット不正転売防止法違反
夏も真っ盛りの時期となり、各地で花火大会も開催されています。
人気の花火大会では、有料席のチケットも販売されており、座って花火を見ることができたり、いい位置で花火を見ることができたりするところもあるようです。
今回は、この花火大会の有料席のチケットについて、刑事事件となってしまったようです。
Aさんに容疑がかけられているチケット不正転売防止法違反という犯罪は、つい先日、令和元年6月14日に施行された、チケット不正転売防止法(正式名称:特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律)に違反する犯罪です。
この法律では、主に①チケットの不正転売、②チケットの不正転売を目的にしたチケットの取得が禁止されています。
・チケット不正転売防止法の対象は
チケット不正転売防止法が対象としているチケットは、全てのチケットというわけではありません。
チケット不正転売防止法では、①「興行主等(興行主(興行の主催者をいう。以下この条及び第5条第2項において同じ。)又は興行主の同意を得て興行入場券の販売を業として行う者をいう。以下同じ。)が、当該興行入場券の売買契約の締結に際し、興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨を明示し、かつ、その旨を当該興行入場券の券面に表示し又は当該興行入場券に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器(入出力装置を含む。)の映像面に当該興行入場券に係る情報と併せて表示させたもの」(2条3項1号)であり、②「興行が行われる特定の日時及び場所並びに入場資格者(興行主等が当該興行を行う場所に入場することができることとした者をいう。次号及び第5条第1項において同じ。)又は座席が指定されたもの」(2条3項2号)であり、③「興行主等が、当該興行入場券の売買契約の締結に際し、次に掲げる区分に応じそれぞれ次に定める事項を確認する措置を講じ、かつ、その旨を第1号に規定する方法により表示し又は表示させたもの」(2条3項3号)を満たすチケットが対象とされています。
③については、入場資格者が指定されているチケットについては入場資格者の氏名及び電話番号、電子メールアドレス、その他の連絡先(2条3項3号イ)、座席が指定されたチケットについては購入者の氏名及び連絡先(2条3項3号ロ)が「次に定める事項」とされています。
多くの大手チケットサイトでは、チケット購入の際には①や③の確認を求められることが多いため、チケットサイトを通じて購入したようなチケットの多くが当てはまると考えられます。
また、今回のAさんの花火大会の有料席の場合には、日時や場所の指定はもちろんしてあると考えられます。
ですから、入場資格者や席が指定されていれば、Aさんの転売した花火大会のチケットもチケット不正転売防止法の対象になる可能性が高いと考えられます。
・チケットの不正転売とは
チケット不正転売防止法では、チケットの不正転売について、「興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償譲渡であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするもの」(チケット不正転売防止法2条4項)とされています。
つまり、興行主に無断で、反復継続の意思をもって、販売価格を超える価格でチケットの転売をした場合に、チケット不正転売防止法のいうチケットの不正転売にあたるのです。
今回のAさんの場合、公式のリセールサービスなどを使っていないことから、興行主に許可を取って転売をしているとは考えにくいです。
また、過去にも同様のチケットの転売をしていることや、花火大会のチケットを複数取得していることから、花火大会のチケットの転売について反復継続の意思があるとも考えられます。
さらに、Aさんは定価よりも高額にチケットを転売していますから、チケット不正転売防止法のいうチケットの不正転売をしていると考えられます。
チケットの不正転売をしてしまった場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金、もしくはその両方が科されます(チケット不正転売防止法9条1項)。
なお、チケットの不正転売目的にチケットを取得した場合にも、同様の刑罰を受ける可能性があることにも注意が必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、こうしたチケット不正転売事件のご相談も受け付けております。
チケット不正転売防止法はまだ施行されて日が浅い法律ですが、刑事事件を専門に扱う弁護士だからこそ、迅速で丁寧な対応が可能です。
まずはお気軽に0120-631-881までお問い合わせください。
室内熱中症事件で保護責任者遺棄致死罪③~裁判員裁判
室内熱中症事件で保護責任者遺棄致死罪③~裁判員裁判
~前回からの流れ~
京都市北区に住んでいる18歳のAさんは、1歳になる息子のVさんと2人で暮らしていました。
ある8月の日、Aさんは出かける用事があったのですが、Vさんは特に汗をかいているわけでもなく、よく寝ていました。
そこでAさんは、特に冷房を付けずにVさんを自宅に残し、出かけてしまいました。
Aさんは用事をすぐに済ませるつもりでしたが、「室内にいるのだから大丈夫だろう」と考え、それから4時間ほど家を空けていました。
するとVさんは室内熱中症になってしまい、帰宅したAさんが病院に連れて行きましたが、Vさんは死亡してしまいました。
その後、Aさんは京都府北警察署に保護責任者遺棄致死罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・Aさんが逆送・起訴されたら
前回の記事では、少年事件でも「逆送」され起訴されることで刑事裁判になりうるということを取り上げました。
では、Aさんが逆送され、起訴されてしまったとしたら、どういった裁判を受けることになるのでしょうか。
実は、Aさんに容疑がかかっている保護責任者遺棄致死罪は、裁判員裁判の対象となる犯罪です。
裁判員裁判の対象となる犯罪については、裁判員法(正式名称:裁判員の参加する刑事裁判に関する法律)に定められています。
裁判員法2条1項
地方裁判所は、次に掲げる事件については、次条又は第3条の2の決定があった場合を除き、この法律の定めるところにより裁判員の参加する合議体が構成された後は、裁判所法第26条の規定にかかわらず、裁判員の参加する合議体でこれを取り扱う。
1号 死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件
2号 裁判所法第26条第2項第2号に掲げる事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの(前号に該当するものを除く。)
裁判員法2条1項2号の「裁判所法第26条第2項第2号に掲げる事件」とは、「死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪(刑法第236条、第238条又は第239条の罪及びその未遂罪、暴力行為等処罰に関する法律(大正15年法律第60号)第1条の2第1項若しくは第2項又は第1条の3第1項の罪並びに盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和5年法律第9号)第2条又は第3条の罪を除く。)に係る事件」(裁判所法26条2項2号)のことを指します。
保護責任者遺棄致死罪は、「3年以上の有期懲役」が法定刑に定められている犯罪ですから、「裁判所法第26条第2項第2号に掲げる事件」です。
さらに、保護責任者遺棄致死罪では「故意の犯罪行為により被害者を死亡させ」ていますから、裁判員法2条1項2号に該当することになり、裁判員裁判の対象となるのです。
ですから、Aさんの事件が逆送され起訴された場合には、Aさんは裁判員裁判を受けることになります。
・裁判員裁判
裁判員裁判は、裁判官3人に加え、一般の国民の中から選ばれた裁判員6人が審理に参加する裁判の制度です。
裁判員は、プロの裁判官3人とともに、被告人が有罪なのか無罪なのか、有罪だとして刑罰はどの程度が適切なのかを判断することになります。
裁判員裁判は、一般の法律知識のない裁判員が参加することもあり、通常の刑事事件の裁判よりも特殊な手続きや日程となっており、それに合わせた弁護活動が必要となってきます。
例えば、裁判員裁判の際には必ず公判全整理手続という手続が取られます。
これは、争点や証拠を整理し、裁判本番になってスムーズに進行ができるようにするための準備の手続です。
通常の裁判ではこの手続がとられるかどうかは事件ごとの事情によりますが、裁判員裁判の場合は必ずこの手続がとられます。
また、裁判員裁判は連日裁判が行われることが多いことも特徴です。
通常の裁判では、1回の裁判が行われた後、次回の裁判まで1~2か月程度時間が空くことが多いのですが、裁判員裁判では裁判員の予定調整の負担を減らすために連日開催することが多いです。
最高裁判所の統計によると、多くの裁判員裁判で期日は5日間前後となっています。
裁判員裁判では、こうした手続きや期日に特徴があることに加え、一般の国民から選ばれた裁判員が審理に参加することから、裁判員にもわかりやすく争点やこちらの主張を伝えなければなりません。
ですから、裁判員裁判の弁護活動については、刑事事件・裁判員裁判への知識のある弁護士に相談されることをお勧めいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件専門の法律事務所ですから、裁判員裁判対象事件の弁護活動についても安心してご相談いただけます。
少年事件で逆送されてしまった、裁判員裁判となりそうだ、とお困りの際は、弊所弁護士までご相談ください。
室内熱中症事件で保護責任者遺棄致死罪②~逆送
室内熱中症事件で保護責任者遺棄致死罪②~逆送
~前回からの流れ~
京都市北区に住んでいる18歳のAさんは、1歳になる息子のVさんと2人で暮らしていました。
ある8月の日、Aさんは出かける用事があったのですが、Vさんは特に汗をかいているわけでもなく、よく寝ていました。
そこでAさんは、特に冷房を付けずにVさんを自宅に残し、出かけてしまいました。
Aさんは用事をすぐに済ませるつもりでしたが、「室内にいるのだから大丈夫だろう」と考え、それから4時間ほど家を空けていました。
するとVさんは室内熱中症になってしまい、帰宅したAさんが病院に連れて行きましたが、Vさんは死亡してしまいました。
その後、Aさんは京都府北警察署に保護責任者遺棄致死罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・少年事件でも刑事裁判に?
今回のAさんは保護責任者遺棄致死事件の被疑者となっていますが、Aさんの年齢は18歳です。
ご存知の方も多いように、20歳未満の者が事件を起こした際には、少年事件として扱われ、少年法に基づいた手続きによって事件が進んでいきます。
原則として少年事件では成人の刑事事件のように、起訴・不起訴という考え方はなく、公開の法廷に立ち裁判を受けたり、刑事罰を受けたりすることはありません。
代わりに家庭裁判所での審判(非公開)を受け、少年院送致や保護観察といった保護処分を受けることになるのが一般です。
しかし、今回のAさんの保護責任者遺棄致死罪のような特定の犯罪に限っては、この原則の流れではない手続きとなる可能性が出てきます。
・逆送
少年法では、いわゆる「逆送」という手続きが定められています。
少年法20条
1項 家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
2項 前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るものについては、同項の決定をしなければならない。
ただし、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。
警察の捜査から検挙された少年事件の場合、検察官に事件が送られた後、今度は検察官から家庭裁判所に事件が送致されます。
その家庭裁判所から検察官に事件が送られることで、たどってきたところを戻るような形になるため、「『逆』送致」略して「逆送」と呼ばれるのです。
そして、逆送された後の少年事件の手続きについては、少年法では以下のように定められています。
少年法45条5号
検察官は、家庭裁判所から送致を受けた事件について、公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑があると思料するときは、公訴を提起しなければならない。
ただし、送致を受けた事件の一部について公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑がないか、又は犯罪の情状等に影響を及ぼすべき新たな事情を発見したため、訴追を相当でないと思料するときは、この限りでない。
送致後の情況により訴追を相当でないと思料するときも、同様である。
この条文の通り、逆送されて検察官のもとへいった少年事件については、基本的に起訴されることになります。
つまり、少年事件であっても、この逆送をされれば起訴され、刑事裁判となるのです。
刑事裁判で有罪となれば、刑務所(この場合は少年刑務所)に行くことになる可能性も出てくるのです。
では、逆送される条件とはどういったものかというと、先ほど挙げた少年法20条1項・2項に定められているものとなります。
今回のAさんが容疑をかけられている保護責任者遺棄致死罪について考えてみましょう。
保護責任者遺棄致死罪は、保護する責任のある者が相手を保護せずに死なせてしまったという犯罪です。
つまり、「(保護する責任のある者が)保護しないという故意」を持って行い、その結果相手を死なせてしまう犯罪ですから、少年法20条2項のいう「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪」となります。
そのため、Aさんの事件は原則として逆送されることになると考えられます。
・逆送は避けられない?
少年法20条2項の規定に当てはまる事件は「原則逆送事件」とも呼ばれますが、条文の但し書きにあるように、当てはまったからといって絶対に逆送されるわけではなく、個別の事情によっては逆送を避けられる可能性もあります。
犯行動機や少年の周囲の環境等、様々な事情を考慮した結果、少年に保護する必要性(要保護性)があると判断されれば、逆送を回避できる可能性もあります。
逆送の結果起訴され、有罪となればもちろん前科はつきます。
さらに、少年の更生を主眼においた保護処分ではなく、罰として刑事罰を受けることになります。
こうしたことから、逆送を回避したいと考える方も多いですが、そのためには家庭裁判所に少年の要保護性を訴えていかなければなりません。
少年事件は手続きや考え方が難しく、まだ一般に浸透していない部分も多いですから、専門家の弁護士にまずは相談してみましょう。
弁護士のフルサポートを受けておくことで、もしも逆送されてしまった場合にも迅速に裁判に向けて活動を開始することもできます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件だけでなく少年事件も専門に取り扱っています。
逆送事件にお悩みの際は、お気軽にご相談ください。
室内熱中症事件で保護責任者遺棄致死罪①
室内熱中症事件で保護責任者遺棄致死罪①
京都市北区に住んでいる18歳のAさんは、1歳になる息子のVさんと2人で暮らしていました。
ある8月の日、Aさんは出かける用事があったのですが、Vさんは特に汗をかいているわけでもなく、よく寝ていました。
そこでAさんは、特に冷房を付けずにVさんを自宅に残し、出かけてしまいました。
Aさんは用事をすぐに済ませるつもりでしたが、「室内にいるのだから大丈夫だろう」と考え、それから4時間ほど家を空けていました。
するとVさんは室内熱中症になってしまい、帰宅したAさんが病院に連れて行きましたが、Vさんは死亡してしまいました。
その後、Aさんは京都府北警察署に保護責任者遺棄致死罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・室内でも熱中症になる
熱中症というと、炎天下の中外にいるとなってしまうというイメージも強いですが、たとえ室内であっても熱中症にはかかってしまうことがあります。
毎年、車内にいた子どもが熱中症になるなどするケースが報道されていますが、車内だけではなく室内であっても、湿度が高かったり、風の通りが悪かったり、冷房を使用していなかったりすると熱中症になってしまうこともあります。
また、熱中症はその時暑かったという場合だけでなく、その人が疲れていたり睡眠不足であったり、暑さに慣れていなかったりしてもかかってしまいます。
人間は汗をかいていなかったとしても皮膚や呼気から水分を出しており、さらに寝ているときには汗等でコップ1杯の水を出していると言われています。
室内だからといって油断することなく、こまめな水分補給や温度・湿度の管理をするよう注意しましょう。
・保護責任者遺棄致死罪
今回のAさんは、保護責任者遺棄致死罪の容疑をかけられていますが、保護責任者遺棄致死罪とはどのような犯罪なのでしょうか。
刑法218条(保護責任者遺棄罪)
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、3月以上5年以下の懲役に処する。
刑法219条(保護責任者遺棄致死罪)
前2条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
つまり、刑法218条の保護責任者遺棄罪を犯してしまい、その結果人を死なせてしまった、というのが保護責任者遺棄致死罪となります。
今回のAさんについて考えてみましょう。
「保護責任者」とは、条文で言う「老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者」のことを言います。
「保護する責任」があるかどうかは、法律や契約によって保護する義務があったり、道理として保護しなければならないような立場にいたりするかどうかといった事情を考慮して判断されます。
Aさんの場合、被害者であるVさんは実の息子で同居しており、さらに1歳になる非常に幼い年齢です。
2人暮らしであることからも、Aさんには「幼年者」であるVさんを保護する責任があるといえるでしょう。
そして、Aさんは4時間程度、冷房を付けずにVさんを家に置いたまま家を離れています。
Vさんは1歳になる子供ですから、自分で水分補給をしたり冷房を付けたりといったことは難しいことが明白です。
加えて、8月であれば高温になることも予想はたやすいことから、Aさんの行為はVさんの「生存に必要な保護」をしなかったものと考えられます。
ですから、まずAさんには保護責任者遺棄罪が成立することが考えられます。
さらに、その結果、Vさんは熱中症となり死亡していますから、保護責任者遺棄致死罪が成立すると考えられるのです。
さて、この保護責任者遺棄致死罪は、条文にある通り、「傷害の罪」(ここでは被害者がなくなっているため、「傷害致死罪」)と比較して重い刑により処断されます。
傷害致死罪の法定刑は3年以上の有期懲役(刑法205条)となっていますから、保護責任者遺棄致死罪の法定刑は3年以上の有期懲役となります。
ここで問題となるのは、Aさんの年齢が18歳であることです。
20歳未満の者が起こした事件は少年事件として扱われるため、こうした法定刑や刑事罰とはまた異なる処分や期間が定められています。
しかし、実はAさんの事件の場合、刑事裁判が全く無関係になるかというと、そうではないことに注意が必要です。
こちらについては次回詳しく取り上げます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、熱中症に関連した保護責任者遺棄致死事件のご相談も受け付けております。
まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
下着泥棒で示談②
下着泥棒で示談②
~前回からの流れ~
Aさんは、京都府京丹後市の会社に勤務していますが、ある日、帰路にあるとあるマンションの1階のベランダに女性の下着が干してあるのが目に入りました。
Aさんは、それを見て、「どんな女性が住んでいるのだろう」と思い、帰り道にその部屋の様子を気にするようになり、Vさんという女性が住んでいることを知りました。
そしてついに、AさんはVさんの部屋のベランダ内に侵入し、干してあったVさんの下着を盗み出しました。
下着がなくなったことに気づいたVさんは、京都府京丹後警察署に下着泥棒の被害に遭ったと相談しました。
京都府京丹後警察署が捜査をした結果、防犯カメラの映像などからAさんの犯行が発覚し、Aさんは下着泥棒をした住居侵入罪・窃盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、Vさんに謝罪し示談したいと考えており、Aさんの家族もそれに賛成していますが、どのようにしたらよいのかわからずに困っています。
(※この事例はフィクションです。)
・示談したい…どうすれば?
下着泥棒事件では、今回の事例のVさんのように被害者が存在します。
被害者が存在するため、当然被害者の方へ謝罪したい・被害弁償をしたい・示談をしたいと考える方も多くいらっしゃいます。
しかし、下着泥棒事件は窃盗事件(場合によってはAさんのように住居侵入事件も)とはいえ盗まれたものは下着ですから、被害者にとっては性犯罪的な側面もあります。
そうしたことから、加害者のことを怖いと思う被害者の方や、処罰感情の強い被害者の方も多くいらっしゃいます。
そうすると、なかなか当事者同士で話し合うことは難しく、そもそも捜査機関に被害者の方に謝罪や弁償をしたいので連絡を取りたいといっても取り次いでもらえなかったり断られたりすることも珍しくありません。
そこで、弁護士に相談することが重要となってきます。
弁護士が示談交渉をする際は、捜査機関を通じて被害者の方に連絡を取ってもらうことが多いです。
そこで被害者の方に了承を得られれば、弁護士が被害者の方とお話をして、謝罪や弁償をさせていただきたいと交渉していくことになります。
その示談交渉の際には、被害者の方の個人情報を弁護士限りでとどめておくことができます。
つまり、被害者の方の情報を加害者側が知るというリスクをなくすことができるため、被害者の方も安心して示談交渉に臨むことができるのです。
また、弁護士は刑事事件・法律のプロです。
被害者側の要望も加害者側の要望も適切な折り合いをつけられるよう、法律的な観点からの提案も期待できます。
・示談の内容は?
そもそも示談とは、お互いの間で争いごとを解決することを指します。
先ほど触れたように、被害者の存在する刑事事件では、示談締結を目指した活動を行うことも多いです。
それは、示談締結により、被害弁償ができていることや、加害者側の反省の気持ち、被害者の処罰感情のおさまりなどを表すことができ、それによって処分に影響を及ぼすことが多いこともあるためです。
よく「示談」という言葉でイメージされるのは、示談の際に被害弁償金や慰謝料等が含まれる示談金を被害者の方へお支払いするというものですが、示談は単に示談金の支払いだけを意味するものではなく、事件によってさまざまな内容が見られます。
例えば、よく見られるのは、お互い今後は接触をしないといういわゆる接触禁止という内容を盛り込むことです。
痴漢や盗撮といった性犯罪事件では、被害者の方が万が一にも加害者に会いたくないという要望を持たれている場合には、事件現場付近に近づかないようにすることや、事件の起こった電車の路線を使用しないようにすること、といった具体的な条件を示談の内容に入れることもあります。
他にも、二度と再犯をしないという約束を入れることや、盗撮などのデータがあればそれを抹消することといった条件を加えることもありますし、被害者の方から「今回の示談で加害者を許します」という具体的なお許しの言葉をいただくこともあります。
また、刑事だけでなく、民事上の争いもその示談によって解決するという文言を盛り込み、今後お互いに蒸し返しによってトラブルが起きないようにすることも多く見られます。
このように、示談といっても金銭の支払いだけでなく、色々な内容を盛り込むことができます。
もちろん、示談金についても、被害弁償金のみで示談締結をする場合もありますし、例えば今回の下着泥棒事件で、Aさんに家を知られて怖いと思ったVさんが引っ越しをしていた場合などは、そうした費用も含めて示談金を支払うことも考えられます。
示談と一口に言っても、色々な面で柔軟な対応が求められるのです。
ただし、被害者側にも加害者側にもできないことは存在しますから、お互いの言ったことを全て了承していくといったことはできないこともあります。
そうした時こそ、弁護士がお互いの要望を聞き、お互いの納得できる着地点を目指して提案をしていくことになります。
弁護士に相談することで、そういったメリットも期待できるのです。
それは示談交渉を数多くこなしてきた専門家だからこそ可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、さまざまな刑事事件の示談交渉についてご依頼をいただいています。
刑事事件の示談交渉にお困りの際は、まずはお気軽に弊所弁護士までご相談ください。
所得隠しの脱税で所得税法違反
所得隠しの脱税で所得税法違反
Aさんは、京都市西京区で会社を経営しています。
Aさんは、所得税として多額のお金を引かれることに納得がいかず、自分の所得を実際よりも少なく申告していました。
しかし、それを怪しんだ右京税務署が調査を行い、Aさんの脱税行為が発覚しました。
右京税務署が京都地方検察庁に告発したことから、Aさんは所得税法違反の容疑で話を聞かれることになりました。
(※この事例はフィクションです。)
・脱税
脱税とは、本来払うべき税金を払うことを不当に免れることやその行為を指します。
この「脱税」は犯罪となるため、刑事事件となり「脱税事件」として報道されているところを目にしたことのある方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、脱税罪という犯罪が刑法に規定されているわけではありません。
脱税をするとどういった犯罪になるのでしょうか。
今回のAさんのように、いわゆる「所得隠し」を行って所得税の支払いを免れた場合には、所得税法違反という犯罪が成立します。
そもそも所得税とは、所得税法で支払うことが義務付けられている税金であり、個人の所得に対して課される税です。
累進課税制度が適用されているため、たくさん所得のある人はそれだけ多くの税金を引かれることになります。
ですから、「所得隠し」をして実際よりも少ない所得を申告してしまえば、払うべきとされる税金が少なくなるということなのです。
しかし、所得隠しをして脱税をすれば、以下の所得税法の規定に該当する所得税法違反となります。
所得税法238条1項
偽りその他不正の行為により、第120条第1項第3号(確定所得申告)(第166条(申告、納付及び還付)において準用する場合を含む。)に規定する所得税の額(第95条(外国税額控除)又は第165条の6(非居住者に係る外国税額の控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした所得税の額)若しくは第172条第1項第1号若しくは第2項第1号(給与等につき源泉徴収を受けない場合の申告)に規定する所得税の額につき所得税を免れ、又は第142条第2項(純損失の繰戻しによる還付)(第166条において準用する場合を含む。)の規定による所得税の還付を受けた者は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
この規定は、簡単に言えば「偽る等の不正行為により払うべき所得税の支払いを免れたり、所得税の還付を受けた者は10年以下の懲役若しくは1000万円罰金、又はこれの併科とする」ということです。
いわゆる「所得隠し」では、実際よりも少ない所得を申告する手口が用いられますから、「偽」って所得税の支払いを免れているといえるでしょう。
ですから、「所得隠し」による脱税は所得税法違反となるということになるのです。
・「所得隠し」と「申告漏れ」
今回のAさんは意図的に所得隠しを行っており、京都検察庁に告発されていることから脱税事件として刑事事件化していますが、意図せず所得を少なく申告してしまった、いわゆる「申告漏れ」の状態であった場合でも犯罪として罰せられてしまうのでしょうか。
犯罪の成立には、原則として「故意」という、犯罪をしているという認識や意思が必要です。
故意が欠けている場合、つまりわざとではない場合については、犯罪は基本的には成立しません。
故意がなくても例外的に犯罪が成立するのは、「過失犯」=不注意によって罪を犯してしまった場合についても処罰する規定があるものに限られます。
所得税法には、先ほどの所得隠しについての規定について過失犯の規定はありません。
ですから、うっかり申告するのを忘れてしまったり、計算ミスで少なく申告してしまったりといった申告漏れについては、脱税として犯罪となることはないといえます(ただし、支払い額等の面でペナルティーが科せられる可能性は考えられます。)。
万が一、所得隠しをしたつもりはないのに脱税を疑われてしまった場合には、冤罪ということになりますから、早急に弁護士に相談してみることがおすすめされます。
脱税事件の場合、逮捕・勾留といった身体拘束をされず、在宅での捜査によって手続きを進められるものも多いです。
しかし、逮捕や勾留をされていないからといって軽い処分で済むというわけではありません。
先ほど示したように、所得隠しによる脱税は「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金」、「又はこれを併科」という重い刑罰が設定されていますから、在宅で手続きが進んでいたのに裁判の結果刑務所へ行くことになった、となってもおかしくはありません。
所得隠しをするつもりのなかった申告漏れの分まで脱税と疑われて不要に重い刑罰を下されてしまう可能性もあります。
脱税事件は事情が複雑であることも多いため、まずは刑事事件の専門家である弁護士までご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所はフリーダイヤル0120-631-881でいつでもお問い合わせを受け付けております。
危険運転致死事件の公判弁護活動
危険運転致死事件の公判弁護活動
Aさんは、深夜、京都府向日市の交差点で法定速度を大幅に超えるスピードで走行したうえ、赤信号をあえて無視していた結果、歩行者Vさんをはねて死亡させてしまいました。
事故を目撃した人が通報したことで、Aさんは京都府向日町警察署の警察官に危険運転致死罪の容疑で逮捕され、その後勾留されました。
Aさんの家族は、弁護士にAさんの接見に行ってもらい、その後の見通しを聞いたのですが、弁護士からは、公判請求されて刑事裁判になるだろうということを伝えられました。
(※この事例はフィクションです。)
・危険運転致死傷罪と公判請求
危険運転致死罪とは、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」、いわゆる「自動車運転処罰法」に定められている犯罪です。
最近では自動車の暴走やあおり運転での人身事故事件で報道番組や新聞、ネット記事といった皆さんが目にする場所にもこの危険運転致死罪という犯罪名があることも多いため、知っている方も多いかもしれません。
自動車運転処罰法の中では、赤信号を殊更無視したり、アルコールや薬物の影響で正常な運転が困難であるにもかかわらず運転したり等することを危険運転行為であるとしています。
その危険運転行為を行い、よって人を死亡させた場合、危険運転致死罪となり、1年以上の有期懲役に処せられるのです(人を負傷させた場合は、危険運転致傷罪となり、15年以下の懲役となります。)。
この危険運転致死傷罪については、少し古いデータではありますが、平成28年の犯罪白書の統計によると、平成27年に検察庁へ送致された危険運転致死傷事件のうち76.6%が起訴され(公判請求され)て=刑事裁判とされていることが分かります。
上記の法定刑からも分かっていただけるように、危険運転致死傷罪には罰金刑の規定がありませんから、起訴される=刑事裁判になるということになるのです。
同じ統計で過失運転致死傷罪についてみてみると、こちらは起訴され公判請求されたものが1.1%で、不起訴が86.6%となっていますから、危険運転致死傷罪がどれほど重大な犯罪なのかお分かりいただけると思います。
公判請求され、刑事裁判となれば、公開の法廷に立たなければなりません。
さらに、危険運転致死事件の場合、故意の行為=危険運転行為によって人を死亡させている事件であるため、裁判員裁判の対象事件でもあります。
そして、危険運転致死罪の法定刑には罰金刑の規定がありませんから、執行猶予がつかない有罪判決=すぐに刑務所に行かなければならないということになります。
こうしたことから、危険運転致死事件では、慎重な公判弁護活動が求められます。
ですが、起訴されてから弁護士に相談しても、裁判が間近に迫っていては十分な準備ができないおそれもあります。
先ほど触れたように、危険運転致死事件では高確率で起訴されている現状がありますから、危険運転致死罪の容疑で逮捕されてしまった、取り調べを受けている、という早い段階から弁護士に相談し、見通しとともにこれからとれる弁護活動を詳しく聞いてみることが望ましいでしょう。
そして早い段階から刑事裁判での公判弁護活動を見据えた準備に、弁護士と一緒に取り組んでいくことがおすすめです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、危険運転致死事件などの交通事故事件の公判弁護活動にも取り組んでいます。
まずは0120-631-881からお問い合わせください。