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銀行員の融資で背任事件

2019-02-11

銀行員の融資で背任事件

京都府木津川市の銀行で働く融資係のAさんは,得意先の雑貨屋を営むBさんから500万円の融資を頼まれました。
Aさんは,Bさんのお店が経営不振であることから融資しても返済が見込めないかもしれない,とも思いつつ,Bさんに融資しないままBさんが経営破たんしてしまうと,銀行が以前Bさんに融資したお金も回収できなくなるため,融資しないことは逆に銀行への不利益となってしまうのではないかと考えました。
また,BさんがBさんのお店の経営回復を行う対策をきちんと練っていることも伝えられていたため,Aさんはそうであれば銀行も返済を見込めるだろうし損にはならないはずだしそうなれば自分の銀行内での評価も上がるのではないかと考え,Bさんに500万円を貸し出しました。
しかし,Bさんは経営破たんし,銀行はBさんへのすべての融資金の回収が不可能になりました。
銀行は追加融資した500万円がAさんのずさんな融資のせいだと考え,京都府木津警察署背任罪の被害を受けたとして被害届を出そうとしていますが,Aさんは銀行に損を指せようと思ったり自分が得をしようと思って融資を決めたわけではないと主張しています。
(フィクションです。)

【銀行のためを思っても背任?】

今回の場合,Aさんは背任罪(刑法247条)で処罰される可能性があります。
しかし,Aさんとしては,銀行のためを思っての融資でもあったといえます。
この場合,Aさんは背任罪の責任を負うのでしょうか。

刑法247条(背任)
他人のためにその事務を処理する者が,自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で,その任務に背く行為をし,本人に財産上の損害を加えたときは,5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

この背任罪が成立するには,図利加害目的が必要となります。
つまり,今回の場合であれば,自分の利益のために今回の融資をやったという動機があったり(図利),銀行を加害してやろうという動機があったこと(加害)が必要になります。
しかし,人間は様々な感情や動機の下に動いているため,今回のAさんの融資にしても,銀行のためでもあり自分のためでもあったといえる場合もあるでしょう。
そこで,判例では,Aさんのどちらが主たる動機,決定的動機だったかで図利加害目的があったか否かを判断する,という立場を採っています。

今回の場合だと,Aさんの主張ではこの図利加害目的がないということになりますから,銀行のために融資を行ったのであり,自分の成績につながることは二の次だったと銀行や裁判所等に訴えかけたりする必要が出てきます。
このような訴えかけは,弁護士のお任せすることをおすすめします。
取調べでこのような訴えかけを行ってもなかなかすぐに信用されることは難しいですし,そうした中で厳しい取調べが行われれば,自分の本意でない供述を行ってしまう可能性も出てきてしまうからです。
弁護士であれば,より効果的な対応の仕方をアドバイスすることもできますし,捜査機関や裁判所に依頼者の主張を適切に主張していくこともできます。
特に,今回のような融資が背任罪になるかという複雑なケースでは,刑事事件に強い弁護士の弁護活動が必要不可欠ともいえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件を専門としている弁護士事務所ですので,一度,弊所フリーダイヤル0120-631-881までお電話下さい。
(初回接見費用は0120-631-881までお問い合わせください。)

文書偽造罪と詐欺罪②

2019-02-10

文書偽造罪と詐欺罪②

~前回の流れ~
滋賀県長浜市に住んでいるAさんは、本来は収入額が借入条件を満たさないV銀行から住宅ローンの融資を受けるために、源泉徴収票や所得証明書を偽造して、実際の収入よりも多い収入のあるような偽の源泉徴収票や所得証明書を作成しました。
そしてAさんは、それらの偽の書類をV銀行に提出し、住宅ローン3,500万円を融資してもらいました。
しかしその後、Aさんの収入が嘘であったことや、提出された書類が偽物であることが発覚し、V銀行が滋賀県木之本警察署に届け出たことで、Aさんは詐欺罪有印公文書偽造・同行使罪などの容疑で滋賀県木之本警察署に逮捕されてしまったため、Aさんの家族は京都府滋賀県刑事事件に対応している弁護士に相談しました。
(※平成31年2月6日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・文書偽造罪と詐欺罪

前回の記事では、Aさんが源泉徴収票や所得証明書を偽造した行為について文書偽造罪が成立することを取り上げました。
今回の記事では、その偽造文書を提出して、AさんがV銀行から住宅ローンの融資を受けた行為について検討します。

この行為でAさんに成立する可能性のある犯罪は、刑法に規定のある詐欺罪です。

刑法246条1項(詐欺罪)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

銀行の住宅ローンなどの融資には、借入条件が設定されていて、その条件を満たして審査を通れば融資が受けられるということになります。
この借入条件には、一定以上の収入額があることが決められていることもあり、各銀行等のパンフレットやホームページに記載されていることもあります。

さて、ここで詐欺罪が成立する要件である「人を欺いて」という行為について確認してみましょう。
詐欺罪の言う「人を欺」くという行為は、財物交付における重要な事項を偽ることである、と解釈されています。
つまり、「その事実がなかったら(嘘であったら)財物を交付することはなかった」というような事実を偽れば、「人を欺」いたということになります。
Aさんの事例の場合、銀行側からしてみれば、借入条件を満たす収入額があるかどうかは、住宅ローンを融資するかどうか決定するために非常な重要な事項であると言えます。
借入条件を満たさないのであれば、そもそも住宅ローンを融資するということにならないからです。
しかしAさんは、その部分について偽造された源泉徴収票や所得証明書を提出することで偽っています。
それによって銀行は、Aさんが借入条件を満たしていると誤解し、住宅ローンを融資する=財物を交付するに至っていますから、このAさんの行動には詐欺罪が成立すると考えられるのです。

・Aさんに対する弁護活動

この通り、Aさんには文書偽造罪(・同行使罪)と詐欺罪が成立すると考えられますが、これらの弁護活動としてどのような活動が考えられるでしょうか。
まず考えられるのは、被害者との示談交渉です。
文書偽造・同行使行為によって損害が発生している被害者がいれば、そちらへの被害弁償を行うことや、詐欺行為の被害者への被害弁償を通して、示談を締結することを目指します。
示談が締結できていることは、起訴・不起訴の判断の際だけでなく、裁判での量刑を決める際にも有利に働く事情となります。

そして次に考えられるのが情状弁護です。
文書偽造罪詐欺罪も、一部を除いて懲役刑のみの規定となる非常に重い犯罪です。
それだけに、起訴されて有罪となれば、執行猶予がつかずに刑務所に入る可能性も高いため、再犯防止対策が構築できていることや、自身の反省が深まっていることなどを主張していくことで執行猶予の獲得や刑の減軽を狙っていくことが考えられます。

文書偽造罪詐欺罪も、複雑な刑事事件となりやすい犯罪です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、こうした知能犯についてのご相談も受け付けております。
刑事事件にお困りの際は、お気軽に弊所弁護士までご相談ください。
滋賀県木之本警察署までの初回接見費用:0120-631-881までお問い合わせください)

文書偽造罪と詐欺罪①

2019-02-09

文書偽造罪と詐欺罪①

滋賀県長浜市に住んでいるAさんは、V銀行から住宅ローンの融資を受けたいと考えていましたが、V銀行が融資をする借入条件の年収に届かない年収でした。
そこでAさんは、源泉徴収票や所得証明書を偽造して、実際の収入よりも多い収入のあるような偽の源泉徴収票や所得証明書を作成しました。
そしてAさんは、それらの偽の書類をV銀行に提出し、住宅ローン3,500万円を融資してもらいました。
しかしその後、Aさんの収入が嘘であったことや、提出された書類が偽物であることが発覚し、V銀行が滋賀県木之本警察署に届け出たことで、Aさんは詐欺罪有印公文書偽造・同行使罪などの容疑で滋賀県木之本警察署に逮捕されてしまったため、Aさんの家族は京都府滋賀県刑事事件に対応している弁護士に相談しました。
(※平成31年2月6日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・文書偽造罪と詐欺罪

今回のAさんは、収入部分を偽った源泉徴収票や所得証明書を作成し、住宅ローンの融資を受けていますが、どの部分でどういった犯罪が成立しうるのでしょうか。

【文書偽造罪】
まず、Aさんは偽の源泉徴収票や所得証明書をV銀行に住宅ローンの審査のために提出する目的で作成しています。
この点につき、文書偽造罪が成立すると考えられます。

文書偽造罪の言う「偽造」とは、一般的に、その名義でその文書を作成する権限がないにもかかわらず、勝手に他人名義で文書を作ってしまうことを指します。
そして、単にすでに存在している他人名義の文書の内容を変更することは「偽造」ではなく「変造」と呼ばれるのですが、「変造」と呼ばれるのは文書の非本質的部分を変更した時だけです。
つまり、他人名義の文書の内容を変更した時でも、その変更された部分が文書の本質的部分である場合には「偽造」したと認められるのです。

今回のAさんの行為をこれに当てはめて考えてみましょう。
Aさんが変更したのは源泉徴収票と所得証明書の収入の部分です。
源泉徴収票とは給与等の支払額や源泉徴収額を証明する文書であり、所得証明書とは所得とそれに対する住民税の課税金額を証明する文書です。
両者のこうした性質からすれば、収入額は源泉徴収票と所得証明書の本質的な部分といえますから、それを勝手に偽ったAさんはこれらの文書を偽造したと言えそうです。

文書偽造罪といっても、偽造する文書の種類により、成立する犯罪名が異なります。
例として2つの文書偽造罪を挙げてみます。

刑法155条1項(有印公文書偽造罪)
行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。

刑法159条1項(有印私文書偽造罪)
行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。

この2つの違いは、文書の作成者が誰か、という点です。
公務員や公務所が作成する文書で印章を使用する文書を偽造した場合には、「有印公文書偽造罪」が成立しますし、私人の作成する文書で印章を使用する文書を偽造した場合には「有印私文書偽造罪」が成立します。
今回のAさんは、会社が発行する源泉徴収票と、役所が発行する所得証明書を偽造しています。
ですから、それぞれ「有印私文書偽造罪」と「有印公文書偽造罪」が成立すると考えられるのです。
なお、こうして偽造された文書を使用した場合には、文書偽造罪だけでなく、偽造文書を行使した罪も成立します。

このように、文書偽造罪はそもそも「偽造」になっているのかという点からも争われる可能性のある犯罪であり、何を偽造したかによっても罪名や法定刑の変わってくる複雑な犯罪です。
文書偽造罪でお悩みの際は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士までご相談ください(お問い合わせ:0120-631-881)。
次回はAさんについて成立しうるもう1つの罪である詐欺罪について取り上げます。

【京都府亀岡市】すり窃盗事件で逮捕

2019-02-05

【京都府亀岡市】すり窃盗事件で逮捕

Aさんは、節分でにぎわっている京都府亀岡市の神社で、参拝客であるVさんのカバンから財布をすりました。
しかし、Vさんの近くにいたBさんがすりの犯行を目撃し、Aさんを取り押さえ、現行犯逮捕しました。
そして、警戒にあたっていた京都府亀岡警察署の警察官にAさんを引き渡し、Aさんは警察署に連行され、窃盗罪の容疑で取調べを受けることになりました。
取調べで、Aさんは余罪についても容疑をかけられていることを知り、家族の依頼で接見に訪れた弁護士に対応を聞いてみることにしました。
(※平成31年2月3日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・すりによる窃盗事件

すりとは、窃盗の手口の1つを指す言葉で、人ごみの中などで、他人の懐の中などから金品などを気づかれないように盗む行為を指します。
京阪神地方では、すりのことを「チボ」などと呼ぶこともあるようです。
すりは、刑法235条に規定のある窃盗罪に該当する犯罪です。

刑法235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

警察庁の統計(警察白書)によると、平成29年中に認知されたすりによる窃盗は3,524件でした。
そして、京都府警の統計によると、京都府警が認知した平成29年中のすりによる窃盗は47件でした。
窃盗犯全体からするとこの数字はそこまで多くはありませんが、単純に考れば、京都府警の管轄地域で1か月に4件程度のすりによる窃盗が認知されていることになります。
特にこれからバレンタインや春休みなど、人ごみの多くなる時期ですから、すりによる窃盗事件の被害に遭わないことはもちろんのこと、出来心ですりによる窃盗事件を起こさないようにということにも注意すべきでしょう。

・現行犯逮捕

上記事例のAさんは、すり行為の目撃者であるBさんに現行犯逮捕されています。
このように、現行犯逮捕の場合には警察などの捜査機関以外の一般人でも行うことができます。
通常の逮捕は、捜査機関など決められた立場の者しか行うことができず、さらに逮捕状も必要となります。
逮捕されるということは、強制的に身柄を拘束されるということですから、当然被疑者にかかる負担は大きく、被疑者の人権を侵害することになるため、厳格に要件が定められているのです。
しかし、現行犯逮捕の場合、その場で犯罪が行われていることから冤罪の可能性が低いなどの事情もあり、逮捕状なしでの逮捕や私人(一般人)の逮捕が認められています。

現行犯逮捕されてしまった場合、逮捕状が示されて逮捕されるわけではないので、ご家族など周囲の方が、どのような容疑で逮捕されてしまったのかを把握しないまま逮捕の事実だけ知らされる、というケースが多く存在します。
そうした場合、ご家族としてはどのようなサポートをすべきなのかもわからず、困ってしまうことも多いです。
こうした場合にこそ、弁護士を利用することをご検討いただきたいのです。

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長浜市の業務上横領・薬機法違反事件で逮捕なら

2019-02-04

長浜市の業務上横領・薬機法違反事件で逮捕なら

Aさんは、滋賀県長浜市にある病院で、薬剤部の管理職として働いています。
ある日Aさんは、自分の管理している薬の中に、知人が欲しがっていた薬があることに気が付きました。
そこでAさんは、その薬を抜き出し、知人に手渡しで販売しました。
こうしたことに味を占めたAさんは、管理している薬の在庫をごまかし、売却することを繰り返していました。
しかし、監査によって薬の在庫におかしな点があることが判明し、病院は滋賀県長浜警察署に届出ました。
その後、Aさんによる着服が発覚し、Aさんは業務上横領罪薬機法違反の容疑で逮捕されることとなりました。
(※平成31年1月21日福井新聞ONLINE配信記事を基にしたフィクションです。)

・お金でなくても業務上横領罪?

業務上横領罪というと、銀行員や経理として働いている人が銀行や会社のお金を着服する、というイメージが強いかもしれませんが、業務上横領罪の対象となる物はお金そのものだけとは限りません。

刑法253条(業務上横領罪)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

業務上横領罪の対象となる物は、「業務上自己の占有する他人の物」です。
「物」としか定めがありませんから、それがお金かどうかは業務上横領罪が成立するうえで問題とはなりません。
「自己の占有する」とは、自分が管理・支配している、という意味です。
今回の事例に当てはめてみると、Aさんは薬剤部の管理職として働いており、その立場に基づいて反復継続して薬を管理していました。
しかし、その薬はAさん自身の物ではなく、当然病院の物です。
ですから、Aさんの管理している薬は「業務上自己の占有する他人の物」であり、それを横領することは業務上横領罪となるのです。

なお、業務上横領罪にいう「横領」とは、自身の権限を越えてその物に対して行う不法領得の意思を実現する一切の行為を言うとされています。
今回のAさんは、薬を管理してこそいますが、勝手に薬を自分の物にして第三者に売ってしまうような権限はないでしょうから、「横領」したと考えられるのです。

・薬を売ったら薬機法違反?

今回のAさんは、横領によって着服した薬を勝手に第三者に販売していますが、これは薬機法違反医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律違反)になる行為です。
薬機法では、医薬品や医薬部外品、化粧品を業として販売するために許可を受けなければならないと規定しています(薬機法12条1項)。
しかし、今回のAさんは勝手に第三者に薬を販売していたのですから、この規定に違反する無許可販売を行っていたことになります。
薬の無許可販売で薬機法違反となると、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処せられるか、又はこれらの併科とされる可能性が出てきます(薬機法84条2号)。

今回のAさんのように、その行為の態様によっては、業務上横領罪薬機法違反という、一見なかなか結びつかないような犯罪を同時にしてしまうこともありえます。
こうした場合、処分の重さはもちろん、それぞれの犯罪がどうして成立するのか、それぞれの犯罪に合った弁護活動はどのようなものか、といった様々なことを考慮しなければならず、逮捕されてしまった本人だけでなく、周囲の方も不安になってしまうことでしょう。
こうした時こそ、刑事事件専門の弁護士事務所である弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所初回接見サービスをご利用ください。
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滋賀県米原市の口座譲渡詐欺事件で逮捕

2019-01-31

滋賀県米原市の口座譲渡詐欺事件で逮捕

Aさんは、滋賀県米原市にあるV銀行で自身名義の預金口座を開設し、通帳やキャッシュカード等を受け取りました。
しかし実はその口座は、Aさんが知人であるBさんから頼まれて開設したものであり、Aさんはその口座を自分で利用するつもりは一切ありませんでした。
Aさんはキャッシュカードや通帳をBさんに渡して暗証番号なども教えることで、お礼として5万円をもらいました。
その後、Aさんのもとに滋賀県米原警察署の警察官がやってきて、Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
どうやらAさんがBさんに譲渡した口座が特殊詐欺に使われ、そこから捜査の手が伸びたようです。
Aさんの家族は、すぐに逮捕に対応してくれる刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(※平成31年1月24日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・譲渡するつもりで口座開設すると…

昨今、オレオレ詐欺などに代表される振り込め詐欺・特殊詐欺が話題に上ることも多く、これらの犯罪を防止しようという動きも活発になってきています。
各都道府県の警察が周知のためにホームページ上や交番等で情報を掲載したり、報道番組でこれらの詐欺事件の手口や注意点を報道したり、といった場面も多く見られます。
こうした詐欺事件は組織的に行われていることも多く、バイト感覚で行ったら実は詐欺の片棒を担がされていた、というケースも見られます。

さて、今回のAさんは、他人に譲渡する目的で銀行口座を開設し、逮捕されてしまっています。
先ほど触れたような特殊詐欺事件では、他人の口座を譲受け、それを利用して特殊詐欺を働いているというケースも多くあります。
特殊詐欺を行うことはもちろん詐欺罪に該当することですが、他人への譲渡を目的として自身の口座を作ることも詐欺罪となってしまうのでしょうか。

まず、そもそも、金融機関では、口座を他人に譲渡することや、他人がその口座を利用することについては、利用規約などで禁止していることがほとんどです。
上記で例としてあげた特殊詐欺などに利用されてしまうことが考えられるほか、銀行にしてみればその人を信用して口座を開設するわけですから、その人本人が利用するのかどうかは大切なことなのです。
ですから、他人に口座を譲渡することを隠して預金口座を開設するということは、銀行からすれば口座を開設するかどうかに関わる重要な事項を偽られているということになるのです。
ここで、詐欺罪の条文を確認してみましょう。

刑法246条(詐欺罪
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪の「人を欺いて」というのは、財物を交付する際に交付するかどうかを判断する重要な事柄を偽るということを指します。
先述のように、銀行は他人にその預金口座を譲渡するという目的を知っていれば、預金口座を開設して通帳やキャッシュカード=財物を渡すということはしないでしょう。
ですから、今回のAさんのように、預金口座を他人に譲渡する目的で開設し、通帳やキャッシュカードを受け取るという行為は、銀行に対する詐欺罪に該当すると考えられるのです。

なお、もしもAさんが、譲渡した口座が特殊詐欺に使用されることを知っていたり、そもそも特殊詐欺の計画を一緒に立てて口座を調達する役割を負っていたりするような場合には、銀行に対する詐欺罪だけでなく、特殊詐欺の共犯として、特殊詐欺の被害者に対する詐欺罪についても問われてしまう可能性があります。

・口座譲渡詐欺事件の弁護活動

今回のような口座譲渡詐欺事件の場合でも、詐欺行為の被害者が存在するため、まずは被害者である銀行への被害弁償や謝罪が必要となってくるでしょう。

また、こうした口座譲渡詐欺事件では、特殊詐欺事件の方への関与も疑われ、逮捕や勾留といった身体拘束をともなっての取調べが行われることが予想されます。
組織的詐欺であれば、証拠隠滅のおそれもあると判断され、逮捕・勾留の可能性が高まると同時に、家族であっても面会を禁止される可能性が出てきます。
こうした場合には、取調べへの対応を逐一確認しながらの受け答えや、身柄解放活動や接見禁止の一部解除を目指した活動が重要となってきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、口座譲渡詐欺事件を含む詐欺事件のご相談も多く承っています。
弊所の初回接見サービスでは、お申込みから24時間以内弁護士が派遣されるため、最短即日での対応も可能です。
口座譲渡詐欺事件逮捕にお困りの際は、まずは弊所弁護士までご相談ください。
滋賀県米原警察署までの初回接見費用:3万9,960円)

売上金不正取得で背任罪②

2019-01-13

売上金不正取得で背任罪②

~前回からの流れ~
京都府宮津市の不動産会社Vに勤務していましたが、遊興費欲しさに社用パソコンを不正操作して売上金を自分の口座に送金する、売上金不正取得行為を繰り返していました。
Aさんの行為に気づいたVが京都府宮津警察署に被害申告したことから、Aさんは背任罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※平成31年1月9日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・背任罪

前回の記事では、Aさんの売上金不正取得行為が業務上横領罪や詐欺罪、窃盗罪にはあたらないと考えられるということを取り上げましたが、今回は、現在Aさんが容疑をかけられている背任罪について取り上げます。
まずは背任罪の条文を見てみましょう。

背任罪(刑法247条)
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

背任罪に言う「他人のためにその事務を処理する者」とは、他人から委託信任された事務を他人のために行う者を指します。
つまり、その人(人間だけでなく、法人や法人格のない団体も含まれます。)に代わってその人の事務処理を行う者が「他人のためにその事務を処理する者」となるのです。
Aさんの例に当てはめると、Aさんは不動産会社V=「他人」から、不動産会社における仕事=「事務」を処理することを任されている=委託信任されているということになります。
こうした人が、「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で」、その委託信任関係を侵害する行為をして本人に損害を与えた場合に、背任罪が成立するのです。

では、Aさんの売上金不正取得行為について当てはめてみましょう。
先ほど触れた通り、不動産会社Vの社員であるAさんは、背任罪の言う「他人のためにその事務を処理する者」であると言えます。
そして、遊興費欲しさに売上金不正取得行為していることから、Aさんは「自己~の利益を図」る目的で売上金不正取得行為をしたと考えられます。
売上金不正取得行為は、不動産会社Vの社員としての仕事から大きく外れることは間違いないでしょうから、「その任務に背く行為」であると言えるでしょう。
そして、売上金不正取得行為をしたことによって、Vは売上金をAさんに取られている形になりますから、AさんはVに「財産上の損害を加えた」と言えます。
以上のことからして、Aさんの売上金不正取得行為背任罪に当たると考えられるのです。

なお、取締役等の株式会社のある一定の役職についている者がこの背任罪に当たる行為をした場合には、会社法960条の規定する特別背任罪となります。
特別背任罪となった場合には、10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処されるか、これらを併科される可能性があります。
特別背任罪背任罪と比べても非常に重い刑罰が規定されていることに注意が必要です。

こうした背任罪は、日常生活ではなかなか目にする機会のない犯罪ですから、自分や家族、友人が容疑をかけられてしまった際に、具体的にどうしていいか分からなくなってしまうかもしれません。
そんな時こそ、刑事事件専門弁護士が所属する、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
例えば、背任行為の被害者への謝罪や被害弁償を通じた示談交渉活動、逮捕・勾留されてしまった方の身柄解放活動取調べのための対策やアドバイスなど、弁護士だからこそできるサポートは多く存在します。
まずは0120-631-881で、専門スタッフにお問い合わせください。
京都府宮津警察署までの初回接見費用:フリーダイヤルにお電話ください)

売上金不正取得で背任罪①

2019-01-12

売上金不正取得で背任罪①

京都府宮津市の不動産会社Vに勤務しているAさんは、Vの経営している民泊施設の売上金を、社用パソコンを不正に操作して自分の口座に複数回送金を行いました。
Aさんは売上金の管理者というわけではありませんでしたが、自分の使用する社用パソコンからも送金の操作が可能であることを知っていたために、このような行為をして自身の遊興費を増やそうと考えたのでした。
しかしその後、Vの調査によってAさんの売上金不正取得行為が明らかになり、Vは京都府宮津警察署に被害を届け出ました。
Aさんは京都府宮津警察署背任罪の容疑で逮捕されることとなり、Aさんの家族は弁護士に、逮捕されたAさんのもとに接見に行ってくれるよう依頼をしました。
(※平成31年1月9日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・売上金不正取得は何罪?

Aさんの起こしたような売上金不正取得事件を見て、皆さんはどういった犯罪が成立すると考えるでしょうか。
会社から金を不正取得しているという点から、業務上横領罪詐欺罪窃盗罪を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
しかし、今回のAさんは背任罪の容疑で逮捕されています。
なぜ業務上横領罪や詐欺罪、窃盗罪ではないのでしょうか。
それぞれの犯罪について検討してみましょう。

まず、横領罪と業務上横領罪について考えてみましょう。

横領罪(刑法252条)
自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。

業務上横領罪(刑法253条)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

横領罪は「自己の占有する他人の物」について、「横領」=不法領得の意思を実現する行為をすることで成立します。
なお、ここでいう「占有」とは、事実上・法律上の支配のことを指します。
この行為を委託を受けて他人の物を占有・保管する事務を反復継続して行う地位に基づいて行った場合には、業務上横領罪となるのです。
今回のAさんの売上金不正取得行為は、一見この業務上横領罪になりそうに見えますが、Aさんはこの売上金に関する管理を行っていたわけではありません。
条文にある通り、横領罪の類が成立するには、自分が支配・管理している他人の物がその対象である必要があります。
ですが、Aさんは売上金の管理者ではないので、Aさんには占有がない=Aさんの売上金不正取得行為に横領罪の類は成立しない、と考えられるのです。

次に、Aさんの売上金不正取得行為詐欺罪が成立しないかということについても考えてみましょう。

詐欺罪(刑法246条)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2)
前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪は、大まかに言えば、人を騙し、その騙されたことによって相手が財産や利益を交付することによって成立します。
また、人を介さず、コンピューターに対して不正な指令を与えて利益を得た場合には、電子計算機使用詐欺罪が成立します。
今回のAさんの売上金不正取得行為は、人を介することなく行われているため、通常の詐欺罪は成立しません。
ですから、問題となるとすれば電子計算機使用詐欺罪となります。
Aさんは社用パソコンを不正操作して本来するべきでない自分の口座に売上金の送金をしていますから、「不正な指令」を与えていると言えそうです。
しかし、その指令によって実際にVからAさんの口座への送金が行われていることから、「不実」=事実に反する電磁的記録を作ったとは言えないと考えられるため、Aさんの売上金不正取得行為は電子計算機使用詐欺罪とならないと考えられるのです。

では、「お金を取った」ことから、Aさんの売上金不正取得行為窃盗罪にあたらないかどうか考えてみましょう。

窃盗罪(刑法235条)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

このように、窃盗罪の成立には「他人の財物を窃取」する必要がありますが、今回のAさんの場合、実際に現金を盗んだわけではなく、パソコンで送金させたにすぎませんから、窃盗罪には当たらないと考えられます。
では、Aさんに容疑がかかっている背任罪とは、どのような犯罪なのでしょうか。
次回の記事で詳しく取り上げます。

このように、一見様々な犯罪が該当しうるように見える複雑な構造になっている刑事事件も存在します。
こうした刑事事件にお困りの時こそ、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士までご相談ください。
逮捕されている方向けの初回接見サービス0120-631-881で受け付けております。

近江八幡市の窃盗・特殊詐欺事件なら

2019-01-10

近江八幡市の窃盗・特殊詐欺事件なら

Aさんは、滋賀県近江八幡市に住む高齢者Vさんに電話し、「私は金融庁の職員です。あなたのキャッシュカードが偽造され、不正利用されていることが分かりました。確認と対策を行いたいので、キャッシュカードと暗証番号のメモを封筒に入れて用意しておいてください」と伝えました。
VさんはAさんの言う通り、封筒にキャッシュカードと暗証番号を書いたメモを用意したところ、金融庁の職員を装ったAさんがVさん宅を訪れ、「被害が特定できるまで、これから誰もカードを利用できないように封筒に封をして、万が一封筒が開かれれば分かるように封筒に押印しておきましょう。そのために印鑑を持ってきてください」と伝えました。
VさんがAさんの指示に従って印鑑を取りに行っている間に、Aさんは持参していた偽のカードの入った封筒と、Vさんのキャッシュカードが入った封筒を入れ替え、Vさんのキャッシュカードを持ち帰りました。
そして、AさんはVさんのキャッシュカードを利用し、滋賀県近江八幡市内の銀行で現金をおろしました。
後日、Vさんの話を聞いたVさんの家族がおかしいと感じたことからAさんの犯行が発覚し、Aさんは滋賀県近江八幡警察署窃盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※平成30年11月3日福井新聞ONLINE配信記事を基にしたフィクションです。)

・特殊詐欺?窃盗?

オレオレ詐欺などに代表される特殊詐欺事件は後を絶ちません。
特殊詐欺事件では、被害者に対して身分を偽ったり、身内を装ったりして金品をだまし取る手口が用いられます。
今回の事例も一見するとそうした特殊詐欺事件のように見えますが、Aさんは窃盗罪の容疑で逮捕されています。
これはいったいどうしてでしょうか。

詐欺罪が成立するためには、大まかに①被害者を騙す行為があること、②被害者が騙されること、③被害者が③に基づいて財物を交付することという条件がそろうことが必要とされます。
特殊詐欺事件では、被害者に嘘の身分や話等を信じさせ(①・②)、それによって被害者に指定した口座までお金を振り込ませる(③)、という流れをたどるために、詐欺罪が成立します。
しかし、今回のAさんの場合、自分の身分が金融庁の職員であり、Vさんのキャッシュカードが不正利用されている、という嘘を話してVさんを騙してはいるものの、Vさん自身にキャッシュカードを渡させたわけではなく、Vさんが席を外した隙に封筒をすり替える、という手口で自分のものとしています。
つまり、Aさんの行為には、詐欺罪が成立するための③の条件が不足していると考えられ、そのために詐欺罪が成立しないと考えられるのです。
もしも今回のケースで、AさんがAさんの嘘を信じたVさんに「キャッシュカードを渡してください」と言ってキャッシュカードを渡させていれば、①②③の条件が満たされ、詐欺罪が成立すると考えられます。

こうしたことから、Aさんには詐欺罪が成立せず、「他人の財物を窃取した者」として窃盗罪が成立するにとどまると考えられます。
さらに、Aさんは盗んだVさんのキャッシュカードを利用し、銀行で現金をおろしています。
この行為についても、Aさんは窃盗罪に問われる可能性があります。
銀行に預けられている現金は、銀行が管理しているお金ですから、Aさんのように盗んだ他人のキャッシュカードを使ってその現金を不正に取得することは、「他人の財物を窃取」する行為と考えられるためです。
窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
今回のような窃盗事件の場合、被害者を騙して窃盗行為をするという点などから、その悪質性を考慮され、前科等がなくとも起訴され裁判に臨むことになる可能性もあります。
こうした窃盗事件で逮捕されてしまったら、その後の活動をスムーズにするためにも、早いうちに弁護士に相談してみることをおすすめいたします。

特殊詐欺事件も起きている中、最近ではこうしたキャッシュカードのすり替えや、隙を見て通帳等を盗み出すといった形での窃盗事件も起き始めています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所として、こうした「最近多発している」「近年起き始めた」という犯罪の手口にも対応していきます。
滋賀県窃盗事件特殊詐欺事件を始めとする刑事事件にお困りの際は、ぜひ弊所弁護士までご相談ください。
滋賀県近江八幡警察署までの初回接見費用:3万9,000円

居空き窃盗事件で逮捕

2019-01-08

居空き窃盗事件で逮捕

Aさんは、京都市左京区にあるVさん宅に忍び込み、家の中を物色し、現金10万円と宝飾類を盗み出しました。
Vさんは高齢で耳が聞こえづらく、Aさんが別の部屋に侵入していることに気付くことができていませんでした。
しかし、数時間後、荒らされた室内を見てお金と宝飾類が盗られていることに気づいたVさんは、京都府下鴨警察署に相談しました。
防犯カメラの映像などから、Aさんが捜査線上に浮上し、Aさんは京都府下鴨警察署に、住居侵入罪と窃盗罪の容疑で逮捕されることとなりました。
実は京都市左京区では、相次いでこうした居空き事件が発生しており、Aさんは余罪についても疑われています。
(※この事例はフィクションです。)

・居空き

皆さんは、居空きという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
居空きは、窃盗の手口の1つを指す言葉です。
住人の留守中を狙った窃盗空き巣と呼ばれますが、反対に、住人の在宅時に窃盗を行うのが居空き(いあき)です。
なお、住人の在宅時の窃盗であっても、住人が就寝中の住宅に侵入して窃盗を行うものは居空きではなく忍び込みと呼ばれます。
京都府警の統計によれば、平成29年に京都府警が検挙した居空きは16件、それに対して空き巣が253件、忍び込みが92件となっています。
居空き空き巣忍び込みに比べれば数は少ないですが、耳の聞こえづらい高齢者や、一人暮らしの住人を狙って行われることが多く、家族構成や生活パターンを調べた上で行われる窃盗の手口であると言われています。
そのため、居空き事件は計画性があり悪質性の高い窃盗事件として扱われる可能性も否定できません。

居空きは、窃盗行為をしていることから窃盗罪にあたることはもちろん、窃盗行為のために住居への侵入をしていることから、住居侵入罪にも問われることになります。
窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金、住居侵入罪の法定刑は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。
居空きの場合、住居侵入行為は窃盗行為のための手段であると言えます。
このように、複数の犯罪をしているケースで、1つの犯罪をすることが別の犯罪をする手段となっているものを「牽連犯」と言います。
牽連犯となった場合では、「その最も重い刑により処断」されるため(刑法54条1項)、居空きでは、より重い窃盗罪の法定刑である10年以下の懲役又は50万円以下の罰金という範囲で処断されることとなるでしょう。

・余罪がある場合

さて、今回のAさんは、Vさん宅における居空き窃盗事件の被疑者として逮捕されていますが、余罪についても疑われているようです。
余罪とは、現在容疑をかけられて捜査されている犯罪以外の犯罪のことを指します。
例えば、AさんがVさん宅の居空き窃盗事件以外に窃盗事件を起こしていれば、それが余罪ということになるのです。

余罪がある場合、様々なリスクが考えられます。
まず、本件事件以外に余罪があれば、その余罪を捜査する必要があるとして再逮捕等のさらなる身体拘束をされるおそれがあります。
日本の法律では、同じ犯罪・事件についての再逮捕は原則的にできないこととなっていますが、別の犯罪・事件であればすでに逮捕した被疑者を再逮捕することができます。
つまり、余罪があれば、理論上は、余罪の分だけ逮捕や勾留を繰り返すこともできるのです。

また、余罪があれば行った犯罪の数が多くなるわけですから、処分にも影響が出てくる可能性があります。
1つの窃盗事件だけを起こした場合と3つの窃盗事件を起こした場合では、当然刑罰にも差が出てきます。
余罪の数や期間等によっては、常習的に犯罪をしていたと判断される可能性も出てきてしまいます。

しかし、では余罪があることへ何の対応もできないのかというと、そうではありません。
自分のやっていない余罪を誘導に乗って認めることを避けるために弁護士取調べ対応をアドバイスしてもらったり、発覚した余罪分についても示談交渉を進めてもらったりといったことが考えられます。
余罪があるからと言ってあきらめずに、まずは弁護士に相談し、見通しや弁護活動について詳しい話を聞いてみましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、居空き事件を含めた窃盗事件・住居侵入事件のご相談もお待ちしております。
逮捕された被疑者の方向けに、お申込みから最短即日対応が可能な初回接見サービスもご用意しております。
京都刑事事件にお困りの際は、お気軽に0120-631-881までお問い合わせください。
京都府下鴨警察署までの初回接見費用:3万5,000円

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