車を乗り回して横領事件②

車を乗り回して横領事件②

~前回からの流れ~
京都府京丹後市の派遣会社で働くAさんは、ある日、郵便局の配送の仕事を引き受けることになりました。
その際、Aさんは郵便局から配送のために郵便局の車を使用するよう言われました。
しかし、Aさんは業務時間中に業務を行うのが嫌になり、配送の仕事をせずに郵便局の車を利用して遊びに出かけてしまいました。
Aさんが配送から戻ってこないことに気づいた郵便局員が捜索願いを出したことで、京都府京丹後警察署が捜査を開始したところ、Aさんが市内の駐車場に車を停め、車内でくつろいでいるところを発見しました。
Aさんは京都府京丹後警察署横領罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※令和元年5月15日NHKNEWSWEB配信記事を基にしたフィクションです。)

・横領罪と業務上横領罪

前回の記事では、Aさんが横領罪に当たりえるということを取り上げました。
ここで、横領罪という犯罪の中で「業務上横領罪という犯罪もあるのではないか」とイメージされる方も多いのではないかと思います。
特にAさんのような仕事中の横領事件については、業務上横領罪ではないか、と考える方もいらっしゃると思います。

ここで、横領罪と業務上横領罪の条文を見比べてみましょう。

刑法252条(横領罪)
自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。

刑法253条(業務上横領罪)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

横領罪業務上横領罪では、このように受ける可能性のある刑罰の重さが全く異なります。
条文上異なる部分と言えば「業務上」かどうかという部分ですが、これはどういった部分から判断されるのでしょうか。

業務上横領罪のいう「業務」とは、「委託を受けて他人の物を占有・保管する事務を反復継続して行う地位」であるとされています。
なお、この「業務」は仕事(職業)である必要はありません。
この地位に基づいて横領行為をすれば業務上横領罪となり、この地位が認められなければ(単純)横領罪となるということになります。

今回のAさんは、確かに仕事中ではありました。
しかし、Aさんは派遣会社の仕事として郵便局の配送業務を振られたということですので、ここに「反復継続」しているということが認められず、単なる横領罪となったのではないかと考えられます。

・横領事件の弁護活動

横領事件では、横領によって損害が発生していることがほとんどであることから、被害賠償を含めた被害者対応をすることが考えられます。
特に今回のAさんの場合には、横領行為そのものによって発生した損害、例えば車を使用することによって発生する使用価値の減少等以外にも、郵便物の配送の遅れや信用失墜等によって発生する損害も考えられます。
こうした際には、どういった損害が考えられるのか、どのようにその損害を弁償していくのか、ということも考えていかなければなりません。
そしてそれらを考慮しながら示談交渉も行わなければなりません。
弁護士に依頼することで、示談交渉そのものや、示談交渉の内容についての検討の際の負担を減らすことが期待できます。

また、Aさんのように逮捕されている横領事件では、その身柄解放のために弁護士に活動してもらうことが考えられます。
逮捕から勾留までは、最長でも72時間の間に決定がなされます。
横領事件自体の検討や釈放の可能性を高めるための準備を入念に行うためには、早い段階から弁護士に相談し、意見を取り入れることが重要であると言えるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、迅速な対応を行うために、お問い合わせ用フリーダイヤルは24時間いつでも通じるようになっています(0120-631-881)。
京都府滋賀県横領事件を含む刑事事件で逮捕されてお悩みの際には、まずはお気軽にこちらまでお電話ください。
京都府福知山警察署までの初回接見費用:お電話にてご案内いたします。)

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