Archive for the ‘薬物事件’ Category
覚醒剤取締法違反事件の任意同行
覚醒剤取締法違反事件の任意同行
覚醒剤取締法違反事件の任意同行について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都市伏見区に住んでいるAさんは、SNSを通じて覚醒剤を購入しました。
Aさんはそうして覚醒剤を使用していたのですが、ある日、京都府伏見警察署の警察官がAさんの自宅を訪れ、令状を示して家宅捜索を行いました。
Aさんは覚醒剤を使い切っていたことから、家宅捜索では覚醒剤が発見されることはありませんでしたが、警察官から任意同行と尿の提出を求められました。
Aさんは任意同行についていくことになったのですが、残された家族は、Aさんが任意同行の後逮捕されてしまうのではないかと心配しています。
(※この事例はフィクションです。)
・覚醒剤の所持と使用
ご存知の方も多いように、覚醒剤を使用することはもちろん、所持することもそれだけで犯罪となります。
覚醒剤取締法では、以下のように覚醒剤の所持や使用を禁止しています。
覚醒剤取締法第41条の2第1項
覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第42条第5号に該当する者を除く。)は、10年以下の懲役に処する。
覚醒剤取締法第19条
次に掲げる場合のほかは、何人も、覚醒剤を使用してはならない。
第1号 覚醒剤製造業者が製造のため使用する場合
第2号 覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者が施用する場合
第3号 覚醒剤研究者が研究のため使用する場合
第4号 覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者から施用のため交付を受けた者が施用する場合
第5号 法令に基づいてする行為につき使用する場合
覚醒剤取締法第41条の3第1項
次の各号の一に該当する者は、10年以下の懲役に処する。
第1号 第19条(使用の禁止)の規定に違反した者
今回のAさんは当然、覚醒剤取締法第19条にあるような覚醒剤製造業者等ではないため、覚醒剤を所持・使用することは覚醒剤取締法違反となります。
・任意同行
刑事訴訟法第198条第1項では、捜査の必要があるとき、検察官や司法警察職員は、被疑者の出頭を求め、取り調べることができるとされています。
いわゆる「任意同行」を求めることができるとされているのです。
刑事訴訟法第198条第1項
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。
但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。
任意同行は、文字通り任意で行われるものであるため、被疑者が出頭するかどうか自由に選べます。
任意同行について定めている刑事訴訟法第198条第1項の但し書きにも、出頭を拒否したり出頭後に退去したりすることができると書かれています。
しかし、任意同行を求められた時点ですでに逮捕状が出ている場合もあり、そうした場合は出頭を拒否すると逃亡のおそれがあると判断され、すぐに逮捕されてしまう可能性もあります。
また、今回のAさんの家族が心配しているように、任意同行をされた後に逮捕状がとられ、任意同行で出頭した後そのまま逮捕に至る、というケースもあります。
覚醒剤取締法違反のような薬物犯罪では、任意同行を受けた後尿検査の結果を待って逮捕されることもあります。
覚醒剤取締法違反のような薬物犯罪では、覚醒剤自体も隠滅しやすいうえに、覚醒剤の入手先である売人など関係者も存在することが考えられ、証拠隠滅のおそれが大きいと判断されやすい=逮捕されやすい犯罪であると考えられています。
前述のように任意同行の場合の出頭の拒否は自由ですが、拒否すれば逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとされてしまう可能性もあり、任意同行から帰宅が許されても尿検査の結果次第で逮捕されることも考えられるということであれば、どうしていいのか分からなくなってしまうという方も多いでしょう。
そんな時こそ、刑事事件に詳しい弁護士に相談することで、任意同行への対応や、その後の取調べへの対応の不安を解消する手助けになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部の弁護士は、刑事事件を専門に取り扱っています。
逮捕されてしまっている方には逮捕されている方に弁護士が直接会いに行く初回接見サービスを、在宅で捜査を受けている段階の方には初回無料法律相談をご用意しています。
任意同行後に逮捕されてしまった、任意同行後帰宅したが今後の逮捕が心配だ、というご相談も受け付けておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
危険ドラッグ所持事件で保釈請求
危険ドラッグ所持事件で保釈請求をする場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
◇危険ドラッグ所持事件で起訴された事例◇
京都府京田辺市に住んでいるAさん(23歳)は、SNSやメッセージアプリを利用して知り合ったXさんから、「気分がハイになる薬がある」といった話を聞き、譲ってもらうことにしました。
Xさんの話から、Aさんはその薬がいわゆる危険ドラッグであることを察しましたが、どこにも言わずにこっそりやっていればばれないだろうと考え、Xさんから危険ドラッグを譲り受けるとそのまま所持していました。
すると後日、Aさんが京都府京田辺市の路上で職務質問を受けたことからAさんが危険ドラッグを所持していることが発覚し、Aさんは薬機法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
実はAさんには、2年前にも危険ドラッグ所持行為によって逮捕され、罰金を受けた過去があり、Aさんは警察官から「今回はもう起訴されるだろう」という話を聞きました。
その後、Aさんの家族は、なんとかAさんを釈放してもらうことはできないかと弁護士に釈放を求める活動としてどういったことができるのか相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)
◇危険ドラッグの所持は薬機法違反◇
いわゆる危険ドラッグは、薬機法と呼ばれる法律によって規制されています。
薬機法とは、改正前には「薬事法」と呼ばれていた法律で、正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と言います。
この薬機法の中では「指定薬物」の製造や所持、使用等が規制されているのですが、この「指定薬物」の中にいわゆる危険ドラッグが含まれているということなのです。
今回のAさんは危険ドラッグを譲り受けて所持していたことから、危険ドラッグ所持による薬機法違反となったと考えられます。
薬機法では、以下のように危険ドラッグの所持行為が規制されています。
薬機法第76条の4
指定薬物は、疾病の診断、治療又は予防の用途及び人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途として厚生労働省令で定めるもの(以下この条及び次条において「医療等の用途」という。)以外の用途に供するために製造し、輸入し、販売し、授与し、所持し、購入し、若しくは譲り受け、又は医療等の用途以外の用途に使用してはならない。
薬機法第84条
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第26号 第76条の4の規定に違反した者(前条に該当する者を除く。)
※注:「前条」とは、「業として」危険ドラッグの製造等をした場合の刑罰を規定している薬機法第83条の9のことを指しています。
◇保釈を求めたい(保釈請求)◇
危険ドラッグ所持事件などの薬物事件では、一般的に捜査段階(起訴される前の段階)での釈放が難しいと言われています。
その理由は、危険ドラッグなどの薬物自体を隠滅することが容易であることや、売人などの関係者が多いことから、証拠隠滅のおそれがあると判断されやすいというところにあります。
まだ起訴するための証拠を集めて捜査している段階で釈放してしまえば、その証拠を隠滅されてしまうかもしれないということになるのです。
しかし、では釈放を求めることは全く望みがないかというと、そうではありません。
起訴された後であれば、今度は保釈を求めることができます。
保釈は、保釈金というお金を預け、裁判所の出す条件に従うことで裁判が終わるまでの間釈放を許してもらう制度です。
保釈は起訴後にしか請求することはできませんが、起訴後であればすでに起訴に足る証拠を捜査機関が集め終わった後であるため、証拠隠滅のおそれが減少していることを主張することができます。
そのため、一般的に捜査段階で釈放を求める場合よりも起訴後に保釈を求める場合の方が認められやすいと言われているのです。
もちろん、事件の詳しい事情によっては、すぐに保釈が通らないことも考えられます。
しかし、保釈請求に回数制限はありません。
保釈請求が却下されたとしても、さらに環境を整えるなどして再チャレンジすることができるのです。
◇保釈に強い弁護士◇
保釈が認められるための環境づくりを適切に行うには、専門家である弁護士のサポートを受けることが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、危険ドラッグ所持事件などの薬物事件で保釈を求めたいというご相談・ご依頼にも対応しています。
刑事事件専門の弁護士が、粘り強い身柄解放活動で被疑者・被告人ご本人だけでなく、そのご家族までサポートいたします。
まずはお気軽にご相談ください。
覚せい剤所持事件で釈放・保釈
覚せい剤所持事件で釈放・保釈
覚せい剤所持事件で釈放・保釈を狙う弁護活動について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都府亀岡市に住むAさんは,数年前から覚せい剤を使用しており,いつでも覚せい剤を使えるよう,常に覚せい剤を持ち歩いていました。
ある日,Aさんがいつものように覚せい剤を持って京都府亀岡市の路上を歩いていたところ,京都府亀岡警察署の警察官に職務質問され,Aさんが所持していた覚せい剤が見つかりました。
簡易鑑定の結果,Aさんが持っていた物が覚せい剤であると判明し,Aさんは,覚せい剤取締法違反(所持)で逮捕されました。
Aさんの家族は,何とかAさんを釈放することはできないかと,弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
~覚せい剤取締法違反(覚せい剤所持・使用)~
覚せい剤は,医師や研究者が研究する場合など一部の場合を除いて,原則所持や使用が禁止されています(覚せい剤取締法14条,19条)。
覚せい剤取締法14条1項
覚せい剤製造業者,覚せい剤施用機関の開設者及び管理者,覚せい剤施用機関において診療に従事する医師,覚せい剤研究者並びに覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のため交付を受けた者の外は,何人も,覚せい剤を所持してはならない。
覚せい剤取締法19条
左の各号に掲げる場合の外は,何人も,覚せい剤を使用してはならない。
1号 覚せい剤製造業者が製造のため使用する場合
2号 覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者が施用する場合
3号 覚せい剤研究者が研究のため使用する場合
4号 覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のため交付を受けた者が施用する場合
5号 法令に基いてする行為につき使用する場合
これに違反し,覚せい剤を所持・使用した者は,10年以下の懲役が科されます(覚せい剤取締法41条の2,41条の3)。
覚せい剤取締法41条の2
1項 覚せい剤を,みだりに,所持し,譲り渡し,又は譲り受けた者(第42条第5号に該当する者を除く。)は,10年以下の懲役に処する。
2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は,1年以上の有期懲役に処し,又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金に処する。
3項 前二項の未遂罪は,罰する。
覚せい剤取締法41条の3
1項 次の各号の一に該当する者は,10年以下の懲役に処する。
1号 第19条(使用の禁止)の規定に違反した者
(略)
2項 営利の目的で前項の違反行為をした者は,1年以上の有期懲役に処し,又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金に処する。
3項 前二項の未遂罪は、罰する。
~覚せい剤取締法違反事件と釈放・保釈~
覚せい剤取締法違反のような薬物事犯の場合,多くの場合は逮捕され,勾留延長満期まで勾留されてしまいます。
というのも,覚せい剤取締法違反のような薬物事犯では,覚せい剤を捨てるなどして物的証拠を隠滅してしまうことも,売買先等と口裏を合わせることで証言という証拠を隠滅してしまうことも容易であるとされているからです。
そのため,捜査段階で釈放を求める活動を行っても,覚せい剤取締法違反事件ではなかなか釈放が認められない傾向にあります。
もちろん,釈放のための環境を整え,それを主張していくことはできますし,後述する保釈の準備も同時に進めることにつながりますから,弁護士と協力しながら釈放を求めていくことが望ましいでしょう。
そして,勾留延長満期を迎え起訴されてしまえば,裁判が終わるまで勾留が続きます。
起訴後には,捜査段階とは異なり,保釈を請求することができます。
そのためには,身元引受人の確保や,帰住先の確保等を行う必要がありますから,釈放を求める活動と同様,弁護士のサポートを受けながら保釈を求めるための環境を作っていくことが大切です。
保釈のためには保釈保証金が必要ですが,保釈支援協会に立て替えてもらうこともできます。
保釈の場合,すでに起訴されて証拠が確保されていると考えられることや,保釈金を担保するという条件があることなどから,捜査段階よりもその請求が認められやすいと言われています。
また,保釈は理論上は何度でも請求できるため,一度保釈請求が認められなかったとしても,環境を整え直すなどすれば再度請求することができます。
弁護士に相談しながら粘り強く保釈を求める活動をしてもらうことも重要です。
釈放・保釈が認められることは,被疑者・被告人だけでなくその周囲の方の大きな手助けになります。
覚せい剤取締法違反の罪に問われてお困りの方,釈放・保釈にお悩みの方は,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部の弁護士にご相談下さい。
覚せい剤所持事件で逮捕されたら
覚せい剤所持事件で逮捕されたら
覚せい剤所持事件で逮捕されてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都市下京区在住のAさんは、友人のBさんから「覚せい剤を預かってくれ。数日したら取りに来るから預かっておいてくれるだけでいい」と頼まれました。
Aさんは、「自分で覚せい剤を使うわけでもないし、人の物を預かって持っているだけなら大丈夫だろう」と考え、軽い気持ちで引き受けました。
しかし、覚せい剤を預かってすぐにBさんが京都府下京警察署に逮捕されたことをきっかけに、Aさんにも捜査の手が伸び、Aさんは覚せい剤を所持していた容疑で京都府下京警察署に逮捕されることとなってしまいました。
Aさんは、自分は覚せい剤を使っていたわけでもなく、Bさんの物を預かっていただけなのになぜ逮捕されてしまったのかと不思議に思い、家族の依頼で接見に来た弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・預かっただけでも覚せい剤取締法違反
覚せい剤という薬物が覚せい剤取締法で禁止されている違法薬物であることは、記事を読まれている皆さんもご存知でしょう。
覚せい剤取締法では、覚せい剤の使用だけでなく、その所持や、輸出入、製造等が禁止されています。
覚せい剤取締法41条の2
1項 覚せい剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第四十二条第五号に該当する者を除く。)は、10年以下の懲役に処する。
2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、1年以上の有期懲役に処し、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金に処する。
3項 前二項の未遂罪は、罰する。
このように、覚せい剤取締法では覚せい剤の所持自体も禁止されているので、覚せい剤を持っているだけでも覚せい剤取締法違反となり、犯罪となるのです。
上記事例のAさんのように、たとえ使用していなくとも、たとえ他人の覚せい剤を預かっていただけであったとしても、覚せい剤を所持することは法律違反なのです。
覚せい剤取締法では、覚せい剤を所持していた場合、10年以下の懲役に処するとしています(覚せい剤取締法41条の2 1項)。
さらに、その覚せい剤の所持が、営利目的だった場合には、さらに重い、1年以上の有期懲役に処し、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金に処するとされています(覚せい剤取締法41条の2 2項)。
さらに、これらには未遂罪の規定もあります。
覚せい剤を所持することは、これだけ重い犯罪なのです。
たとえ他人の覚せい剤を預かるだけでもこういった重い刑罰を受けることになってしまいますから、もしも覚せい剤所持の容疑で逮捕されてしまったら、なるべく早期に弁護士に相談することが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、24時間いつでも、初回接見サービスの受付を行っております(0120-631-881)。
初回接見サービスでは、弊所の刑事事件専門の弁護士が、逮捕されてしまったご本人に直接会って話をしてきます。
刑事事件では逮捕されてしまってから早期に取調べへのアドバイスを受けたり、釈放を求める活動などを開始してもらったりすることが重要です。
ご家族が覚せい剤事件で逮捕されてお困りの方は、まずは弊所の弁護士まで、ご相談ください。
覚せい剤使用事件で違法捜査を主張⑤
覚せい剤使用事件で違法捜査を主張⑤
覚せい剤使用事件で違法捜査を主張するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~前回からの流れ~
Aさんは、京都府福知山市に住んでいます。
ある日、Aさんは京都府福知山市内の路上で京都府福知山警察署の警察官に職務質問され、帰路につきながらそれにこたえていると警察官が複数人そのまま自宅まで訪ねてきました。
Aさんが玄関を閉めようとすると、警察官がそれを手で押さえ、Aさん宅内に無断で立ち入り、Aさんに「腕を見せてください」などと言ってAさん宅内でAさんの腕の写真を撮影しました。
この際、Aさんには令状等が見せられることはなく、何の容疑で捜査されたかも伝えられませんでした。
さらにAさんは警察署同行するように求められ、そこで尿を提出するよう言われましたが、これを拒んだところ、先ほど自宅に立ち入って撮影された写真を基に取得した令状を基に、強制採尿されることになってしまいました。
その後、Aさんは覚せい剤を使用したという覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕されてしまったのですが、違法捜査を受けたのではないかと不満に思っています。
そこでAさんは、家族の依頼によって接見にやってきた弁護士に、自分が違法捜査を受けたのではないかと相談してみることにしました。
(※令和元年10月29日毎日新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・Aさんの場合~強制採尿
前回の記事では、Aさんの部屋への立ち入りについて、違法捜査となる可能性があることに触れました。
では、その部屋の立ち入りで得られた写真等を利用して行われた強制採尿についてはどうでしょうか。
今回のAさんは、強制採尿されてしまっています。
強制採尿は、言わずもがな強制処分にあたる捜査です。
よって、強制採尿をするには令状が必要となります。
強制採尿は、尿道にカテーテルを挿入して強制的に採尿する捜査手法であるため、令状を得たとしても人格権を侵害して許されないのではないかという論争があるほどです。
そのため、強制採尿をするにはより厳格な審査が必要になると考えられています。
判例では、強制採尿について、「…犯罪の捜査上真にやむをえないと認められる場合に、最終週的手段として、適切な法律上の手続を経てこれを行うことも許されてしかるべきであり、ただ、その実施にあたっては、被疑者の身体の安全とその人格の保護のため十分な配慮が施されるべきもの」であるとしています(最決昭和55.10.23)。
つまり、強制採尿は強制捜査の中でも特に慎重に判断すべきものであるといえるのです。
今回のAさんも、部屋への立ち入りをされた際に写真を撮られ、その写真を疎明資料として強制採尿の令状を取られ、強制採尿されてしまっているようですが、強制採尿の手続きが本当に適切であったのかが問題となります。
もしAさんの受けた部屋への立ち入りや写真撮影が違法捜査だったとすれば、違法捜査によって得られた証拠によって令状が発行されているのであれば、その令状は大きくゆがめられた判断で発行されたことになります。
ですから、こうした場合、違法捜査によって得られた証拠によって発行された令状に基づいて行われた強制採尿についても、適切な手続きで行われたとはいえず、違法捜査であるといえるのです。
そして強制採尿が違法性の大きい違法捜査であるということになった場合、強制採尿の結果である鑑定書も違法捜査によって得られた証拠ということになり、違法収集証拠排除法則によって証拠として使うことができなくなります。
このように、元々違法捜査によって得られた証拠がありそれによってほかの強制捜査も行われていた場合、連鎖的に違法捜査となってしまう可能性が出てくるのです。
刑事事件では、強制捜査により権利を侵害されることが仕方のないこともありますが、それが違法捜査ではなく適法な捜査であることが求められます。
さらに、前回までの記事でも見てきたように、違法捜査が行われたとしてもその違法捜査で集められた証拠が排除されるかどうかはケースによりけりであり、排除されるべき証拠は排除されるように主張していかなければなりません。
しかし、当事者自身やその周囲の方のみで、こうした違法捜査に当たるのかどうか、違法捜査に当たる捜査を受けたとしてどのように主張していくべきなのかといったことは分からないことの方が多いでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門の弁護士がそうした違法捜査に関するご相談も受け付けています。
まずはお気軽に弁護士までご相談ください(ご相談のご予約・お申込み:0120-631-881)。
覚せい剤使用事件で違法捜査を主張④
覚せい剤使用事件で違法捜査を主張④
覚せい剤使用事件で違法捜査を主張するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~前回からの流れ~
Aさんは、京都府福知山市に住んでいます。
ある日、Aさんは京都府福知山市内の路上で京都府福知山警察署の警察官に職務質問され、帰路につきながらそれにこたえていると警察官が複数人そのまま自宅まで訪ねてきました。
Aさんが玄関を閉めようとすると、警察官がそれを手で押さえ、Aさん宅内に無断で立ち入り、Aさんに「腕を見せてください」などと言ってAさん宅内でAさんの腕の写真を撮影しました。
この際、Aさんには令状等が見せられることはなく、何の容疑で捜査されたかも伝えられませんでした。
さらにAさんは警察署同行するように求められ、そこで尿を提出するよう言われましたが、これを拒んだところ、先ほど自宅に立ち入って撮影された写真を基に取得した令状を基に、強制採尿されることになってしまいました。
その後、Aさんは覚せい剤を使用したという覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕されてしまったのですが、違法捜査を受けたのではないかと不満に思っています。
そこでAさんは、家族の依頼によって接見にやってきた弁護士に、自分が違法捜査を受けたのではないかと相談してみることにしました。
(※令和元年10月29日毎日新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・任意捜査と強制捜査
これまでで、強制捜査の際には令状が必要であるということ、令状なしの強制捜査は違法捜査となり、その違法捜査によって得られた証拠は違法収集証拠排除法則によって証拠として使えなくなる可能性があるということがおわかりいただけたと思います。
では、そもそも任意捜査と強制捜査はどういった区別がされているのでしょうか。
第1回目の記事で取り上げた通り、任意捜査は被疑者・被告人の任意によって行われる捜査であり、強制捜査は強制的に行うことのできる捜査です。
捜査は任意捜査によって行われるべきであり、強制捜査は特別必要のある時にだけ行われるべきであるという任意捜査の原則という原則があり、さらに強制捜査は令状主義のほかにも、法律に決められている場合にのみ強制捜査が許されるという原則(強制処分法定主義)があるため、強制捜査以外の捜査が任意捜査とされています。
では、強制捜査がどういった捜査であるとされているかというと、「個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段」であるとされています(最決昭和51.3.16)。
ですから、この手段にあたる処分で捜査をした場合、強制捜査であるということになり、それが行われるには令状が必要であるということになるのです。
・Aさんの場合~部屋への立ち入り
まずは今回のAさんの事例の、警察官の部屋の立ち入りについて考えてみましょう。
今回のきっかけとなった職務質問自体は、警察官が何か犯罪をしている若しくはしようとしていると疑う合理的な理由があればすることのできる行為です。
そして、この職務質問はあくまで任意捜査、つまりはAさんの同意に基づいて行われるものですから、警察官がAさんについて何か犯罪をしている若しくはしそうと疑う合理的な理由があり、かつAさんが同意して警察官へ対応していたのであれば、問題にはなりません。
では、Aさん宅への立ち入りやAさんを撮影したことについて、検討してみましょう。
今回の事例の基となったケースでは、警察官らは女性である被告人が閉めようとした玄関のドアを押さえ、靴脱ぎ場までとはいえ断りもなく被告人の部屋に立ち入り、さらにドアを複数人で押さえて開いた状態にしたうえ、被告人が出ていくよう求めてもそれに応じずにとどまり続け、部屋内にいる被告人を撮影するという行為をしたようです。
これに対し、裁判所は、被告人の部屋への立ち入りやそこにとどまり続けた警察官らの行為は被告人の承諾を得て行ったものとは考えられず、被告人の意思を抑圧するものであったとしています。
そして、この行為は被告人のプライバシーや住居の平穏など個人的法益を害する強制処分(強制捜査)であるとしました。
前回の記事から触れているように、令状なしの強制処分(強制捜査)は違法捜査ですから、事例の基となったケースでは、部屋への立ち入りやそこに居座ったこと、撮影をしたことが違法捜査であるとされたのです。
今回のAさんの事例では、具体的に警察官らがどういった態様でAさんに嫌疑をかけたのか、そしてAさん宅にどれほどとどまりどのように立ち入っていたのかは詳しく書かれていませんが、事例の基となったケースのように、Aさんの意思を制圧するような形でAさんの権利を侵害する形で捜査をしていたのであれば、違法捜査であると判断されることも考えられます。
さらに、このケースの基となった事例では、被告人宅への立ち入りについて、嫌疑の具体性が乏しかったことに加え必要性・緊急性が低かった若しくはなかったとして、無令状で強制捜査をしたことは違法捜査の違法性が重大であるとし、この違法捜査によって得られた証拠=被告人の写真等は違法収集証拠であるとしました。
今回のAさんの事例でも、Aさん宅への立ち入りが違法捜査であると判断された場合、その違法性の大きさにより、Aさんの写真等が違法収集証拠排除法則により証拠として使えないと判断される可能性もあります。
こういった違法性の度合いについては、専門家の意見や考察を聞きながら判断し、適切に主張していくことが求められます。
違法捜査や違法収集証拠が絡んだ刑事事件では、刑事事件に詳しい弁護士に逐一状況を相談することが望ましいといえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門の弁護士がこういった複雑な刑事手続きについても丁寧にご説明いたします。
まずはお気軽に0120-631-881までご連絡ください。
次回の記事では、Aさんの強制採尿やそれによって得られた鑑定書について検討していきます。
大麻譲渡事件で逮捕
大麻譲渡事件で逮捕
大麻譲渡事件の逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
Aさんは、SNSを通じて知り合った京都市南区に住むBさんが大麻に興味があると言っていたため、無料通信アプリを利用してやり取りを行い、京都市南区でBさんと落ち合うと、Bさんから料金を受け取り大麻を譲渡しました。
しばらくすると、Bさんが京都府南警察署に大麻を所持していたとして大麻取締法違反の容疑で逮捕されたといううわさが流れてきました。
そしてそのすぐ後に、Aさんの自宅に京都府南警察署の警察官が訪れ、Aさんは大麻を譲渡したとして、大麻取締法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、Aさん自身も自分たちも京都在住ではなかったため、Aさんが京都府南警察署に逮捕されたということに大変驚き、どのように対応すべきか困ってしまいました。
そこで、Aさんの両親は全国的に刑事事件の対応を行っている弁護士事務所に相談していることにしました。
(※令和元年10月9日毎日新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・大麻譲渡で大麻取締法違反
大麻を所持していれば大麻取締法違反という犯罪となることは、多くの方がご存知でしょう。
しかし、大麻は所持だけでなく、他人への譲渡なども大麻取締法で禁止されています。
大麻取締法24条の2
1項 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。
2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、7年以下の懲役に処し、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金に処する。
3項 前二項の未遂罪は、罰する。
大麻の使用自体は大麻取締法で禁止されていないことは有名ですが、所持や譲渡といった行為はこのように大麻取締法で禁止されています。
たとえ自分が大麻を使用する目的でなかったり、実際に大麻を使っていなかったりしても、大麻を所持したり譲渡したりすれば大麻取締法違反となりますから、「自分は使っていない」ことは言い訳にはなりません。
この大麻取締法の規定に違反すればその目的により5年以下の懲役、もしくは7年以下の懲役と情状により200万円以下の罰金となってしまいます。
今回の事例のAさんは、大麻をBさんに有償で譲り渡しています。
有償での大麻譲渡行為であることから、営利の目的で行われたと推測され、営利目的での大麻譲渡の容疑で捜査されることも考えられます。
もしもAさんが営利目的ではなかった場合、不当に重い刑罰を受けることになりかねませんから、逮捕直後の取調べの段階から、弁護士に自分の認識をきちんと話し、その後の取調べ等への対応についてアドバイスをもらうことが重要となってくるでしょう。
・遠方で逮捕されてしまったら
さて、今回逮捕されてしまったAさんやその両親は、Aさんが逮捕された京都市南区に住んでいるわけではないようです。
刑事事件では、しばしば住所地とは違う地域の警察署が捜査を行っており、住んでいる場所から遠く離れた場所で逮捕されてしまうことがあります。
こうした際、ご家族が被疑者本人の様子を知りたいと思ってもなかなか面会に行けなかったり、弁護士を依頼しようにもどこの弁護士に頼んでいいのかわからなかったりといった問題が出てきてしまいます。
だからこそ、遠方での逮捕にお困りの際は、全国13都市に事務所を構える弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士までご相談ください。
様々な場所に事務所があるからこそ、離れた土地での逮捕やそのご報告にも柔軟に対応が可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、北は北海道札幌市、南は福岡県福岡市まで全国に展開を行っています。
住所地で逮捕されてしまった時はもちろんのこと、それ以外の逮捕にお困りの際も、お気軽にご相談ください。
お近くの支部の弁護士と事件地に近い支部の弁護士で連携を行い、ご相談者様・ご依頼者様の不安を解消すべく、サポートに尽力いたします。
覚せい剤所持事件で保釈を目指す
覚せい剤所持事件で保釈を目指す
Aさんは、覚せい剤に興味を持ち、数か月前からインターネットを利用して覚せい剤を購入し、京都府福知山市の自宅で覚せい剤を使用していました。
しかし、Aさんの挙動がおかしいことに気づいた近隣住民が京都府福知山警察署に通報したことにより、Aさんは覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
その後、Aさんは勾留され、起訴されることも決まりました。
Aさんの家族は、どうにかAさんの身体拘束を解くことはできないかと、保釈について弁護士に相談することにしました。
相談後、Aさんの家族は弁護活動を依頼することにし、弁護士はAさんに速やかに接見を行い、保釈請求をするための準備を始めました。
(※この事例はフィクションです。)
・保釈とは
保釈とは、起訴後、保釈保証金の納付を条件に、被告人の身体拘束を解く制度のことを言います。
保釈は起訴後に可能となる制度であるため、逮捕段階や被疑者段階での勾留では利用することはできません。
そして、保釈の際に納付する保釈保証金とは、一般的に保釈金と呼ばれるもので、その額は事件や被告人の環境によって変動します。
保釈金は、保釈中に逃亡したり証拠隠滅をしたりしないようにするための担保とされるもので、それらの条件を破ってしまった場合に一部または全部没収されることになります。
そのため、その人の没収されてしまったら困るという額が保釈金とされるのです。
なお、保釈中に保釈の条件を守ることができれば、最終的に保釈金は戻ってきます。
そして、保釈金が払えれば保釈される、というわけではないことに注意が必要です。
保釈されるためには、逃亡や証拠隠滅等のおそれがないと認められる必要が出てきますから、客観的に見てそうしたおそれのない環境であることを主張していくことが求められます。
つまり、よくイメージされがちなように「お金をたくさん払えば保釈される」ということではないのです。
保釈には、3つの種類があり、それぞれ権利保釈、裁量保釈、義務的保釈と呼ばれています。
権利保釈は、保釈の要件(刑事訴訟法89条1~6号)を満たす場合は、保釈の請求があれば保釈しなければならないという保釈のことをいいます。
また、裁量保釈は、上記権利保釈に該当しない場合でも、裁判所が適当と認める場合には、保釈を許すことができるという保釈です。
最後の義務的保釈とは、勾留による身体拘束が不当に長くなった場合になされる保釈のことをいいます。
これらの保釈をするためには、裁判所に対して保釈請求を行わなくてはなりません。
保釈請求の際には、先ほど触れたように、被告人が逃亡しないことや証拠隠滅のおそれがないことなどを、具体的な事情にからめながら裁判官に主張する必要があります。
刑事事件に強い弁護士と被告人本人、被告人の周囲の方々が一丸となることで、この環境をつくり、保釈に向けた一歩を踏み出すことができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所ですから、保釈に関連したご相談やご依頼も、多数承っております。
覚せい剤などの薬物事件は、逮捕・勾留といった身体拘束を受ける確率が高い事件であると言われています。
京都府の覚せい剤事件やその保釈請求についてお困りの際は、まずは弊所の弁護士まで、ご相談ください(お問い合わせフリーダイヤル:0120-631-881)。
夏休みに大麻所持で逮捕
夏休みに大麻所持で逮捕
京都市右京区に住んでいる高校1年生のAさんは、夏休み中、自由な時間が増えたことで、「何かもっと楽しいことはないか」とインターネットサーフィンをしていました。
すると、とあるSNSで知り合ったBさんから「楽しい気持ちになれるものがある」と言われ、Aさんはそれを譲り受けることにしました。
その後、AさんはBさんと会い、Bさんから「楽しい気持ちになれるもの」を受け取りました。
自宅に帰ってからAさんがBさんから渡されたものを開封してみると、乾燥させた植物とパイプが入っていました。
Aさんは、その植物が何なのかは分かりませんでしたが、なんとなくよくないとされている類のものであろうと思いました。
しかし、Aさんは、どうせ少しの間しか使わないのだからばれないだろうと考え、同封されていたパイプを利用してその植物を吸っていました。
後日、Aさん宅に京都府右京警察署の警察官が訪れ、Aさんは大麻取締法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Bさんは大麻の売人であり、その連絡先等からAさんへの大麻譲渡が露見したようです。
(※この事例はフィクションです。)
・大麻取締法違反
ご存知の方も多いように、大麻は違法薬物です。
大麻については、その所持や譲渡等が大麻取締法によって規制されており、これに違反すれば大麻取締法違反という犯罪になります。
大麻の使用自体は、麻の生産者や研究者が偶然その成分を摂取してしまう可能性があること等から大麻取締法で禁止されてはいませんが、大麻を使用するのに所持はしない、ということは物理的に不可能であるため、大麻の使用をしても大麻所持の大麻取締法違反となることが多いです。
なお、今回のAさんの事件は少年事件であるため、Aさんは基本的には刑罰を受けることはありませんが、営利目的でない大麻所持については、「5年以下の懲役」(大麻取締法24条の2 1項)という刑罰が定められています。
ここで、今回のAさんは、「大麻である」というはっきりした認識を持って大麻を所持したわけではありません。
こうした場合でも、大麻取締法違反は成立するのでしょうか。
実は、一般にこうした違法薬物事件では、犯罪が成立するにあたって違法薬物名まではっきり認識している必要はなく、「何らかの違法薬物だろう」という程度の認識があればよいと考えられています。
Aさんも、よくないものであろうと認識しながら大麻を所持しているため、大麻取締法違反の故意があると認められる可能性があります。
・少年の大麻取締法違反事件
SNSの発達・普及等により、たとえ未成年者であっても、大麻等違法薬物の売人にコンタクトを取りやすくなっています。
実際に、最近では中学生や高校生が大麻取締法違反の容疑で逮捕される事件も起きています。
大麻は他の違法薬物よりも比較的安価なことが多いことから、こうした若年層でも手が出しやすくなってしまっているのかもしれません。
しかし、一度大麻という違法薬物に手を出してしまうと、違法薬物に手を出すという行為のハードルが下がり、大麻や他の違法薬物に手を出しやすくなってしまうといわれています。
それ自体への依存症の危険等もあることから、やはり違法薬物には触れないよう注意していくべきでしょう。
先ほど触れたように、Aさんは20歳未満であるため、この大麻取締法違反事件は少年事件として扱われます。
ただし、家庭裁判所へ事件が送られるまでは、成人の刑事事件とほぼ同じ扱いを受けるため、逮捕や勾留といった身体拘束がなされる可能性が高いでしょう。
大麻取締法違反事件などの違法薬物事件では、証拠隠滅が容易であったり関係者がいたりする性質上、逮捕等の身体拘束を伴う捜査が行われやすいといわれています。
また、少年が薬物に依存している可能性があったり、大麻に手を出した経緯に調査すべき点があれば、家庭裁判所に行ってからも、観護措置という形で少年鑑別所に収容されての調査が行われることも考えられます。
さらに、依存が深ければ、最終的には医療少年院に送致され、治療を受けるということになる可能性もあります。
こうした身体拘束や処分を回避したい場合には、少年が社会内でも更生可能であるということを主張していかなければなりませんが、そのためにはそれが可能であると客観的に認められる環境を作っていかなければなりません。
そのために、刑事事件だけでなく少年事件に強い弁護士に相談・依頼してみることをおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年による違法薬物事件のご相談・ご依頼も受け付けております。
夏休み中の少年事件にお困りの方、大麻取締法違反事件にお悩みの方はお気軽にご相談ください。
覚せい剤事件では逮捕されやすい?②
覚せい剤事件では逮捕されやすい?②
~前回からの流れ~
京都府八幡市に住んでいるAさんは、数年前から覚せい剤をインターネットで購入しては使用していました。
ある日、覚せい剤の購入に使用していたホームページが閉鎖されているのを見たAさんは、もしかして捜査の手が及んでホームページ閉鎖に至ったのではないかと考えました。
そうであるならば、自分自身も捜査されることになり、京都府八幡警察署に逮捕されてしまうのではないかと不安に思ったAさんは、刑事事件に強い弁護士に相談してみることにしました。
そこで、まずはインターネットから弁護士を探し、無料法律相談を受け付けている事務所で予約を取ることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
前回の記事では、覚せい剤に関連する犯罪を取り上げました。
Aさんはこのうち、覚せい剤の譲受や所持、使用にあたることが考えられますから、覚せい剤取締法違反となるでしょう。
では、Aさんは、Aさん自身が不安に思っているように、覚せい剤取締法違反で逮捕されてしまうのでしょうか。
・覚せい剤事件では逮捕されやすい?
一般に、覚せい剤や大麻、危険ドラッグ、麻薬といった違法薬物にかかわる薬物事件は、他の犯罪と比べても逮捕されやすいと言われています。
そもそも逮捕は、現行犯逮捕を除き、逮捕状に基づいて行われます(緊急逮捕の場合は逮捕状の請求が事後的なものになりますが、逮捕状は必要です。)。
逮捕状に基づく逮捕については、刑事訴訟法に以下のような条文があります。
刑事訴訟法199条
1項 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。(以下略)
2項 裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。以下本条において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。但し、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。
つまり、逮捕は原則として、①「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」と、②「逮捕の必要」があるときに認められるのだということになります。
①「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」
これは、被疑者にかかっている嫌疑が相当なものかどうか、ということです。
客観的に全く疑いようのない人に対して容疑がかかっている場合、この条件を満たさず、逮捕状による逮捕はできないということになります。
②「逮捕の必要」
これは、被疑者が逃亡・証拠隠滅をするおそれがあるかどうか、という部分に関係してきます。
逃亡・証拠隠滅が考えられる場合には、それを防ぐために逮捕が行われます。
さて、通常、逮捕はこの①②の条件を満たした場合に行われることになりますが、覚せい剤などの薬物事件と照らし合わせて考えてみましょう。
①の「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」があると仮定すると、残りの②「逮捕の必要」があるかどうかが判断の基準となります。
ここで、覚せい剤などの薬物事件の特性を考えてみましょう。
覚せい剤などの薬物事件で考えられる証拠といえば、当然、覚せい剤などの違法薬物そのものが考えられます。
しかし、この違法薬物そのものは、捨ててしまうことも容易で、簡単に隠滅できてしまうものです。
さらに、Aさんのように、覚せい剤を他の場所から購入していたり、逆に販売していたりした場合、その売買の相手が存在します。
刑事事件でいう「証拠」とは、物的証拠のみならず、関係者の証言や記録も含まれます。
関係者が多ければ、口裏合わせなどによって証言の変更や隠滅が行われる可能性が出てきてしまいます。
こうしたことから、覚せい剤事件等の薬物事件では、②「逮捕の必要」があると判断されることが多いのです。
そのため、覚せい剤事件では逮捕されることが多いといわれるのです。
・逮捕は避けられない?
では、覚せい剤事件に関わってしまったら、必ず逮捕されてしまい、勾留といった長期間に及ぶ身体拘束を受けることになるのでしょうか。
たしかに、覚せい剤事件では前述のように逮捕される可能性は高いですが、それでもできる対策はあります。
例えば、弁護士に相談し、「逮捕の必要」がないといえる環境を整えたうえで自首や自ら出頭することも考えられます。
逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを専門家である弁護士からポイントを押さえて主張してもらうのです。
それでも逮捕されてしまった場合には、勾留の阻止や取り消し、さらには保釈を見据えて身柄解放活動を行ってもらうことになるでしょう。
どういった対策を講じることがよいのか、見通しはどういったものなのかは、事件ごとに検討しなければなりませんから、逮捕が不安な場合には、まずは弁護士の話を聞いてみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回無料の法律相談も受け付けています。
覚せい剤事件で逮捕が不安な方、すでにご家族ご友人が逮捕されてしまってお困りの方、まずは0120-631-881までお電話ください。