Archive for the ‘少年事件’ Category

少年の万引き事件で不処分を目指す

2019-11-18

少年の万引き事件で不処分を目指す

少年の万引き事件不処分を目指す弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府舞鶴市に住むAさんは、高校2年生の17歳です。
Aさんは普段は校則などの規則もきちんと守る生徒でしたが、ある日、Aさんは勉強がうまく進まないストレスから自棄になり、近所のスーパーで500円相当の菓子を万引きしてしまいました。
その万引きをスーパーの従業員が目撃しており、Aさんは店の外に出た段階で従業員に声をかけられました。
通報を受けた京都府舞鶴警察署の警察官が臨場し、Aさんは京都府舞鶴警察署で話を聞かれた後、両親が迎えに来ることで帰宅を許されました。
Aさんの両親は普段真面目に過ごしていたAさんが窃盗事件を起こしたことに驚きましたが、Aさんは自分のしてしまったことに大変反省していました。
そこでAさんの両親は、Aさんと一緒に、少年事件に強いという弁護士に今後の対応を聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・少年事件の処分

今回のAさんが行ってしまった万引きは、刑法の窃盗罪にあたる行為です。

刑法235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

ただし、今回のAさんのような20歳未満の者が犯罪をした場合は、通常の刑事事件の手続きではなく少年事件の手続きにのっとって処分が決められることになります。
少年事件の手続きでは、原則として刑罰を科されることはありません。
ですから、例外的に行われる「逆送」という手続きが取られて起訴されない限り、Aさんも「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」という刑罰を受けることはなく、したがって前科もつかないということになります。

では少年事件として処理されれば、成人の刑事事件よりも「軽い」処分となってしまうのではないか、と思う方もいるかもしれません。
しかし、ここで注目しなければならないのは、少年事件の手続きが少年の更生を重視しているということです。
少年事件で少年が受ける処分は、少年の更生のためにそれが一番適切だと判断された処分です。
よくイメージされる少年院への送致や児童自立支援施設への送致、保護観察といった処分は全て少年の更生のための処分であり、保護処分と呼ばれています。
これらの処分のどの処分がその少年の更生のために適当かを専門家が調べるために、少年事件は原則として全ての事件が家庭裁判所に送致されます。
つまり、少年事件では、成人の刑事事件で検察官が下す「起訴猶予」にあたる処分がないのです。
例えば、成人の刑事事件であれば示談をして不起訴(起訴猶予)になる可能性の高い事件であっても、少年事件の場合は原則として検察官から家庭裁判所に事件が送致されることになります。
これは、少年事件の手続きは少年の更生に重きを置いているために、少年事件のプロ=家庭裁判所の調査・審判にゆだねた方が少年の更生にとって適切な判断ができるということによります。

さらに、先述の通り、少年事件の手続きで少年の更生を重視しているために、処分の内容もその更生のために何が必要かによって決められます。
すなわち、極端な例ではありますが、少年の資質や環境によっては、数百円の万引き事件でも少年院に行く可能性もあるということになります。

・万引き事件で不処分を目指す

今まで見てきたように、少年事件では家庭裁判所に事件が送致され、そこで調査・審判を経て少年の処分が決まります。
審判の結果には前述したような少年院送致や保護観察といった保護処分を受けるものもありますが、そうした処分が不要な場合は「不処分」、つまり何の処分も受けなくてよいという結果が出ることもあります。

不処分となった場合、それ以降で何か時間を割く必要もなくなりますし、施設に収容されることもありません。
しかし、少年の更生を重視する少年事件の手続きで不処分と判断されるということは、少年の更生にとって特に処分が必要ない=このままの環境で少年の更生が可能であると判断されるということであり、非常に難しいことです。
不処分を目指すためには、少年本人だけでなく、ご家族等周囲の人も一緒に協力しながら、少年の更生に十分な環境を作っていく必要があります。
その環境づくりには、少年事件に強い弁護士のサポートを受けることがおすすめです。

例えば、今回のAさんの事例では、被害店舗への謝罪・弁償だけでなく、自分の万引き行為が被害店舗へどのような被害を与えてしまったのか等を弁護士とともに考えていくことによって、Aさん自身の内省を深めていくことが考えられます。
また、Aさんはストレスに耐え兼ねて万引きをしてしまったようですが、今後そういった状況になってしまった時、自分自身が同じことをしないためにどうするべきなのか、周囲の家族はどのような態勢をとれるのか、第三者的立場にいて専門知識のある弁護士と一緒に考えることで、今まで思いつかなかった問題点・改善点が見えやすくなることが期待できます。
このような環境づくり・対策を整え、さらに弁護士がそれらを証拠化して主張していくことで、不処分を目指していくことが考えられるでしょう。

もちろん、弁護活動・付添人活動は少年事件によって千差万別です。
京都府少年事件にお悩みの方は、まずは遠慮なく、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部までご相談ください。

向日市の公衆トイレで建造物侵入盗撮事件

2019-11-04

向日市の公衆トイレで建造物侵入盗撮事件

向日市の公衆トイレでの建造物侵入盗撮事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~
京都府向日市に住むAさん(高校2年生)は,アダルトサイトを見ているうちに,自分でも盗撮をしてみたいと考えるようになりました。
そこでAさんは,近所にある公園の公衆トイレに盗撮カメラを仕掛けて盗撮をしようと考え,自宅近くにある公園の女子トイレに侵入してカメラを設置しました。
しかし後日,Vさんがトイレを利用しようとした際,Aさんが仕掛けたカメラを発見し,京都府向日町警察署へ通報しました。
捜査の結果,Aさんは京都府向日町警察署の警察官に建造物侵入罪京都府迷惑防止条例違反の容疑で逮捕されました。
(フィクションです。)

今回のAさんは,建造物侵入罪京都府迷惑防止条例違反の容疑で逮捕されていますが,この2つの犯罪についてみていきましょう。

~建造物侵入罪~

正当な理由がないのに建造物に侵入した者には,建造物侵入罪(刑法130条前段)が成立し,3年以下の懲役又は10万円以下の罰金が科せられます。

刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

建造物侵入罪の対象となる「建造物」は,住居と邸宅以外の建物を広く含みます。
ですから,今回Aさんが立ち入った公園の女子トイレも「建造物」に当たると考えられます。

そして,建造物侵入罪の「侵入」とは,管理権者の意思に反した立ち入りをいいます(最決昭和31年8月22日)。
Aさんは,盗撮目的という不当な目的で女子トイレに入っています。
そのような立ち入りは,公園の管理権者の意思に反するものといえるでしょう。
こうしたことから,Aさんの行為は建造物侵入罪に当たると考えられます。

~京都府迷惑防止条例違反~

京都府迷惑防止条例では,盗撮行為自体はもちろんのこと,盗撮するためにカメラを設置したり差し出したりする行為も禁止しています。

京都府迷惑防止条例3条2項
何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、前項に規定する方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
1号 みだりに,着衣で覆われている他人の下着等を撮影すること。
2号 みだりに,前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣の中をのぞき込み,又は着衣の中が見える位置に写真機その他の撮影する機能を有する機器を差し出し、置く等をすること。
※注:「前項に規定する方法」とは,「他人を著しく羞恥させ,又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法」のことを指します。

今回,Vさんはトイレを利用する前にAさんの盗撮カメラに気づいたためにおそらくVさんの下着等については盗撮ができていないでしょう。
しかし,このように盗撮行為自体ができていない場合であっても,上記の京都府迷惑防止条例によって規制されているのです。
今回のAさんも,女子トイレ内に盗撮用のカメラを設置していますから,「着衣の中が見える位置に写真機その他の撮影する機能を有する機器を差し出し、置く等」しているといえます。
そのため,Aさんは京都府迷惑防止条例違反になると考えられるでしょう。

~少年の盗撮事件と弁護活動~

少年の盗撮事件の場合,性犯罪であるために,少年自身が保護者に犯行について話したくないがために否認してしまったり,保護者の手前正直な理由や態様を話せなかったりすることもあります。
少年事件では,少年が再犯をしないために,更生をするためにどのような処分とすべきかが重視されます。
そのため,少年が事件について周囲ときちんと話し合えないということは,この更生のための環境を作る上でデメリットとなってしまう可能性が出てきます。
ですから,そういった場合には,第三者的立場であり,さらに少年事件の知識のある弁護士がサポートとして入ることに効果が期待できるのです。
第三者であるからこそ,少年が相談しやすい立場であり,少年事件の手続きの上でもアドバイスを送ることができます。

また,少年事件といえど,被害者の方に対する謝罪や弁償を行うこと,示談締結は大切なことです。
建造物侵入罪の示談の相手方は建造物の管理者となりますが,今回のVさんのように実際に盗撮被害に遭いそうになった女性がいるような場合には,そのような実質的な被害者と示談することもあり得ます。
こうした被害者や被害に遭いそうになった方への謝罪により,少年自身やその家族が事件について受け入れ,反省していることを示すことができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では,少年事件についてのご相談・ご依頼も承っております。
まずはお気軽にご連絡ください(0120-631-881)。

のぞきで少年事件②

2019-09-11

のぞきで少年事件②

前回からの流れ~
Aくんは、京都市下京区の中学校に通っている15歳です。
ある日の下校途中、Aくんは自分の好みの女性がすぐそばのマンションの1階の部屋に入っていくのを目撃しました。
Aくんは女性のことが気になり、しばらくその姿を見ていると、ちょうどマンションの脇道部分に面している窓が風呂場の窓であることに気がつきました。
興味が出てきてしまったAくんは、その風呂場の窓の方へ行き、女性が風呂に入っている様子をのぞくようになりました。
後日、ついに女性がAくんののぞき行為に気づき、京都府下京警察署に通報しました。
その後の捜査でAくんがのぞき事件の犯人であることが発覚し、Aくんは京都府下京警察署に呼ばれることになりました。
Aくんの両親は寝耳に水のことで驚き、Aくんになぜそんなことをしたのか問い詰めましたが、Aくんはやましい気持ちがありなかなか両親に話すことができず悩んでいます。
そこで、AくんとAくんの両親は少年事件に精通している弁護士に相談し、のぞき事件への対応や、これからどういった活動をすべきなのかを相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・のぞき事件と住居侵入罪・建造物侵入罪

前回は、のぞき行為自体がどういった犯罪に抵触するのかについて取り上げましたが、のぞき事件では他にも犯罪が成立する可能性があります。
のぞきをするためにマンションの部屋やベランダ、敷地内に入っていたような場合には、住居侵入罪や建造物侵入罪が成立する可能性が出てくるのです。

刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

住居侵入罪・建造物侵入罪は刑法の同じ条文に定められており、どこに侵入したかで罪名が変わります。
今回のようなのぞき事件の場合、女性の部屋やベランダに侵入したような場合は住居侵入罪が、マンションの敷地内に侵入したような場合は建造物侵入罪が成立すると考えられます。
これは、住居侵入罪や建造物侵入罪は、その住居や建造物の管理者の意思に反して侵入することで成立すると解されていることからで、マンションの個別の部屋やそれに付随するベランダはそこの住人が管理しており、そうでないマンションの共用部分や敷地内についてはマンションの管理人やオーナーが管理していることから、罪名が変化するのです。
こうした場合、示談交渉の相手も侵入した場所の管理者になるため、住居侵入罪となるか建造物侵入罪となるかでは示談交渉の相手も異なってくることにも注意が必要です。

また、住居侵入罪・建造物侵入罪については、実際にのぞき行為が達成されていなかったとしてものぞき目的で部屋内やベランダ内、マンションの敷地内に入っただけで成立してしまうことにも注意が必要となります。

・のぞきと少年事件

特に、今回のAくんがそうであるように、少年事件、とりわけ性犯罪にかかわるようなものでは、なかなか少年自身が家族に素直に話ができないケースも多く見られます。
実際にはやってしまったことに間違いがないにもかかわらず親の手前容疑を認められずに話がこじれてしまった、少年事件を起こした原因を正直に話すことができずに再犯防止のための対策が立てられなかった、というケースも少なくありません。

だからこそ、第三者である弁護士のサポートを受けながら少年事件に対応していくことで、スムーズな解決を目指すことができます。
親などの身近な人にはなかなか話しにくいことであっても、他人だからこそ打ち明けやすいというケースもあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士は、刑事事件少年事件を専門に取り扱ってきていますから、まだ発展途上の少年が当事者だからこそ悩むポイントも多い少年事件への対応も心得ています。
まずはお気軽に弊所弁護士までご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所初回無料法律相談土日祝日も対応していますから、平日は仕事や学校があって相談しづらい、という少年やそのご家族の方でも安心です。
ご予約・お問い合わせも24時間いつでも受け付けていますから、遠慮なく0120-631-881までお電話ください。

のぞきで少年事件①

2019-09-09

のぞきで少年事件①

Aくんは、京都市下京区の中学校に通っている15歳です。
ある日の下校途中、Aくんは自分の好みの女性がすぐそばのマンションの1階の部屋に入っていくのを目撃しました。
Aくんは女性のことが気になり、しばらくその姿を見ていると、ちょうどマンションの脇道部分に面している窓が風呂場の窓であることに気がつきました。
興味が出てきてしまったAくんは、その風呂場の窓の方へ行き、女性が風呂に入っている様子をのぞくようになりました。
後日、ついに女性がAくんののぞき行為に気づき、京都府下京警察署に通報しました。
その後の捜査でAくんがのぞき事件の犯人であることが発覚し、Aくんは京都府下京警察署に呼ばれることになりました。
Aくんの両親は寝耳に水のことで驚き、Aくんになぜそんなことをしたのか問い詰めましたが、Aくんはやましい気持ちがありなかなか両親に話すことができず悩んでいます。
そこで、AくんとAくんの両親は少年事件に精通している弁護士に相談し、のぞき事件への対応や、これからどういった活動をすべきなのかを相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・のぞき事件と軽犯罪法

のぞき事件の場合、その態様によっては成立する犯罪が分かれます。
上記のAくんのように他人の風呂場をのぞき見した場合、まずは軽犯罪法違反とされる可能性があります。
軽犯罪法1条23号では、「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」を軽犯罪法違反とすることが規定されており、これに違反すると、拘留又は科料に処せられる可能性があります(ただし、Aくんの事件は少年事件となるため、原則として刑罰を受けることはありません。)。

なお、この「拘留」は、1日以上30日未満刑事施設に収容される刑罰のことで、捜査段階で逮捕に引き続いて行われる身体拘束である「勾留」とは別物です。
そして、「科料」は1,000円以上1万円未満を徴収する財産刑です。

・のぞき事件と迷惑防止条例違反

今回のAくんのように他人の風呂場をのぞき見た場合は、先述のように、軽犯罪法違反事件とされるケースが多いです。
しかし、その一方で、のぞきをした場所や態様が違えば、成立する犯罪も変わる可能性があるのです。
例えば、デパートや公園など、不特定多数の人が出入りする、いわゆる「公共の場所」で他人の下着等に対してのぞきを行った場合、軽犯罪法違反事件ではなく、各都道府県に定めのある、迷惑防止条例違反事件とされる可能性もあります。
京都府の迷惑防止条例(京都府迷惑行為防止条例)では、以下のような規定があります。

京都府迷惑防止条例3条1項
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
1~3号 (略)
4号 みだりに、着衣で覆われている他人の下着又は身体の一部(以下「下着等」という。)をのぞき見すること。
5号 みだりに、前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣の中をのぞき込み、又は着衣の中が見える位置に鏡等を差し出し、置く等をすること。
6号 みだりに、写真機等を使用して透視する方法により、着衣で覆われている他人の下着等の映像を見ること。

2項
何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、前項に規定する方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
2号 みだりに、前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣の中をのぞき込み、又は着衣の中が見える位置に写真機その他の撮影する機能を有する機器を差し出し、置く等をすること。

こうしたのぞき行為であった場合、以上の京都府迷惑防止条例違反となり、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金となります(ただし、先ほど触れた通り、Aくんののぞき事件少年事件として扱われるため、原則として刑罰が科せられることはありません。)。

このように、のぞき行為自体でも、その態様や状況で成立する犯罪が変わってきます。
少年事件では原則として刑罰を受けることはありませんが、成人の刑事事件の場合では刑罰の重さも異なってきますし、軽犯罪法違反なのか京都府迷惑防止条例違反なのかによって逮捕される可能性も異なってきます。
こうした違いやそれぞれに行うべき対応は、事案によって変わるものですから、まずは弁護士に相談し、適切な対応の仕方や見通しを聞いてみましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、のぞき事件についてのご相談ももちろんお任せいただけます。
刑事事件少年事件にお困りの際は、遠慮なく弊所弁護士にご相談ください。
ご来所いただいての法律相談は初回無料でご利用いただけます。

少年鑑別所での面会も弁護士へ

2019-09-07

少年鑑別所での面会も弁護士へ

15歳のAさんは、京都市下京区で複数痴漢事件を起こし、京都府下京警察署に逮捕されました。
その後、釈放されたAさんでしたが、事件が京都家庭裁判所に送致されると、観護措置となることになり、少年鑑別所に収容されることになりました。
警察署から釈放されていたため、たいしたことにはならないと考えていたAさんとその両親は、少年鑑別所に収容となったことに不安を覚え、少年事件にも対応している弁護士に相談し、まずはAさんに面会に行ってもらうことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・少年鑑別所

少年鑑別所とは、少年の資質や環境などを専門家が専門的に調査するための施設です。
少年事件を起こした少年が少年鑑別所に収容されるパターンは主に2つあります。

まずは、捜査段階=被疑者として警察や検察に捜査されている段階で行われる「勾留に代わる観護措置」となった場合です。
勾留に代わる観護措置」となった場合、被疑者である少年の留置場所は、警察署の留置所ではなく少年鑑別所となります。
勾留に代わる観護措置」とは、逮捕後の10日間、少年鑑別所に身体拘束をして捜査を行うもので、少年事件独特の手続きです。
この「勾留に代わる観護措置」となった場合、成人の刑事事件に見られるような勾留の延長は認められず、最大10日間の身体拘束期間の後は事件はすぐに家庭裁判所に送致されることになります。
そして、「勾留に代わる観護措置」の後、家庭裁判所に事件が送致された場合、次に説明する「観護措置」に自動的に切り替わり、引き続き少年鑑別所に身体拘束されることになります。

次に、事件が捜査機関から家庭裁判所に送致された後、「観護措置」となって、少年鑑別所に入ることになった場合です。
この場合の観護措置とは、通常4週間~8週間程度、少年鑑別所において、少年の性格等を専門的に調査するものを言います。
最初に触れた少年鑑別所の役割は、この「観護措置」の際に発揮されます。
観護措置」中、少年は少年鑑別所に収容され、家庭裁判所調査官や少年鑑別所の技師等から調査されます。

・少年鑑別所での面会

少年事件を起こした少年が少年鑑別所に収容された場合、警察署で面会するのとは何が異なるのでしょうか。

まず、少年鑑別所では、警察署のようにアクリル板の仕切りなしで面会することが可能となります(ただし、少年鑑別所によっては、勾留に代わる観護措置の場合はアクリル板のある部屋で面会させる場所もあります。)。
少年本人と遮るものなくコミュニケーションを取ることができるため、ご家族にとっても少年にとっても、ストレスの少ない面会ができます。

また、警察署での一般面会は近親者以外も可能ですが、少年鑑別所での一般面会は、近親者や保護者に限られており、誰でも面会できるというわけではありません。

なお、面会時間が10分~20分と限られていたり、受付が平日の昼間のみであったりすることは、警察署での一般面会と同様です。
しかし、土日祝日の面会については、弁護士であっても予約が必要であったりできなかったりするため、そういった点では警察署等の留置とは異なります。
どちらにせよ、ご家族の面会の際には事前に少年鑑別所や警察署にその日・その時間帯の面会が可能かどうか確認されてから面会に向かわれることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年鑑別所への接見依頼も承っております(初回接見サービス)。
少年事件も多く取り扱う弁護士が、少年本人はもちろんそのご家族にも、丁寧にご相談に乗らせていただきます。
接見のご依頼は、0120-631-881までお問い合わせください。

カツアゲ恐喝事件で少年逮捕

2019-08-24

カツアゲ恐喝事件で少年逮捕

京都府綾部市に住んでいるAさん(17歳)は、素行の好くない友人たちと付き合っており、夜遊びや学校をさぼることを頻繁にしていました。
ある日、Aさんがその友人といたところ、後輩のVさんとその友人が歩いてきました。
Vさんらがおこづかいをたくさんもらったという話をしていたことから、AさんらはVさんらからお金を巻き込んでやろうと数人でVさんらを取り囲み、「金を渡さないと痛い目を見る」などと言ってカツアゲを行いました。
VさんらはAさんらにリンチされるのではないかと怯え、持っていたお金をAさんらに渡しました。
その後、Vさんらが帰宅して親に相談をしたことからこのカツアゲが発覚し、後日、Aさんは京都府綾部警察署恐喝罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、まさか息子が逮捕されるような事態になるとは思わず、慌てて少年事件を取り扱っている弁護士に相談に行きました。
(※この事例はフィクションです。)

・カツアゲで恐喝罪

カツアゲとは、脅して金品を巻き上げる行為を指す言葉で、カツアゲは刑法上の恐喝罪にあたるとされています。
恐喝罪は、刑法249条に規定されている犯罪で、「人を恐喝して財物を交付させた者」に成立します。
今回のAさんの起こした事件は少年事件として処理されるため、原則として刑罰を受けることにはなりませんが、成人の刑事事件で恐喝罪として検挙された場合には、10年以下の懲役という刑罰を受ける可能性が出てきます。

そもそも「恐喝」するとは、財物を交付させるために暴行又は脅迫によって相手を畏怖させることを言います。
今回のAさんも、Vさんらからお金を巻き上げるために不良仲間とVさんらを取り囲んで脅していることから、恐喝をしていると言えそうです。
そして、Vさんらはその脅し怯え、Aさんらにお金を渡していることから、AさんらはVさんらに「財物」を「交付させた」と言えそうです。
このことから、Aさんには恐喝罪が成立すると考えられるのです。
ただし、注意すべきは恐喝罪の「恐喝」にあたる暴行又は脅迫は、相手の反抗を抑圧しない程度のものであることが必要とされるという点です。
もしも相手の反抗を抑圧するほどの暴行又は脅迫であると認められれば、恐喝罪ではなく、強盗罪が成立する可能性が出てきます。
強盗罪の法定刑は5年以上の有期懲役となっていますから、恐喝罪と比べても重い犯罪であることが分かります。
Aさんの場合は少年事件ですから、原則こうした刑罰は受けませんが、それでもより重い犯罪が成立することで、処分に影響が出てくる可能性があります。

・少年のカツアゲ恐喝事件

今回のように、20歳未満の者が法律に触れる事件を起こした場合には、少年事件として扱われ、最終的に家庭裁判所の判断によって処分が決められることになります。
繰り返し記載しているように、少年事件では、法定刑の重い犯罪だから必ず少年院に行くとも限りませんし、逆に法定刑の軽い犯罪だから何も処分を下されないとも限りません。
通常の成人の刑事事件とは違い、少年事件ではその少年のその後の更生が第一に考えられるためです。

しかし、では少年事件において、通常の成人の刑事事件と同じような弁護活動は不要か、というとそういうわけでもありません。
例えば、今回のAさんのカツアゲによる恐喝事件では、Vさんという被害者がいます。
この被害者に対して謝罪をする、被害に遭った分について賠償をする、ということは、少年事件であっても全く不要というわけではありません。
確かに、起訴・不起訴を決める成人の刑事事件に比べれば、少年事件では示談は必須というわけではありませんが、少年が反省しているのかどうか、少年自身やその家族・周囲の人がどのように事件について受け止めているのか、といった事情を示す1つの材料として、被害者に謝罪をしていることや示談をしていることは有効であるのです。

ただし、今回の事件のように、子どもの間で起きてしまった少年事件では、示談するにも困難が伴うことも多々見られます。
未成年者との示談では、示談交渉の相手は親となりますが、自分のお子さんが被害に遭ったとなれば、当然のことながら被害感情も小さくありません。
そうしたことから当事者同士の示談交渉で逆に話がこじれてしまうケースもあります。
だからこそ、少年事件の弁護活動にも専門家であり第三者である弁護士を介入させることが望ましいと言えるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
被害者との示談交渉だけでなく、釈放を目指した身柄解放活動や取調べ対応のアドバイスまで、一貫した弁護活動をご提供いたします。
京都府少年事件にお困りの際は、少年事件の取り扱いも多い弊所弁護士に、ぜひご相談下さい。

夏休みに大麻所持で逮捕

2019-08-18

夏休みに大麻所持で逮捕

京都市右京区に住んでいる高校1年生のAさんは、夏休み中、自由な時間が増えたことで、「何かもっと楽しいことはないか」とインターネットサーフィンをしていました。
すると、とあるSNSで知り合ったBさんから「楽しい気持ちになれるものがある」と言われ、Aさんはそれを譲り受けることにしました。
その後、AさんはBさんと会い、Bさんから「楽しい気持ちになれるもの」を受け取りました。
自宅に帰ってからAさんがBさんから渡されたものを開封してみると、乾燥させた植物とパイプが入っていました。
Aさんは、その植物が何なのかは分かりませんでしたが、なんとなくよくないとされている類のものであろうと思いました。
しかし、Aさんは、どうせ少しの間しか使わないのだからばれないだろうと考え、同封されていたパイプを利用してその植物を吸っていました。
後日、Aさん宅に京都府右京警察署の警察官が訪れ、Aさんは大麻取締法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Bさんは大麻の売人であり、その連絡先等からAさんへの大麻譲渡が露見したようです。
(※この事例はフィクションです。)

・大麻取締法違反

ご存知の方も多いように、大麻は違法薬物です。
大麻については、その所持や譲渡等が大麻取締法によって規制されており、これに違反すれば大麻取締法違反という犯罪になります。
大麻の使用自体は、麻の生産者や研究者が偶然その成分を摂取してしまう可能性があること等から大麻取締法で禁止されてはいませんが、大麻を使用するのに所持はしない、ということは物理的に不可能であるため、大麻の使用をしても大麻所持の大麻取締法違反となることが多いです。
なお、今回のAさんの事件は少年事件であるため、Aさんは基本的には刑罰を受けることはありませんが、営利目的でない大麻所持については、「5年以下の懲役」(大麻取締法24条の2 1項)という刑罰が定められています。

ここで、今回のAさんは、「大麻である」というはっきりした認識を持って大麻を所持したわけではありません。
こうした場合でも、大麻取締法違反は成立するのでしょうか。
実は、一般にこうした違法薬物事件では、犯罪が成立するにあたって違法薬物名まではっきり認識している必要はなく、「何らかの違法薬物だろう」という程度の認識があればよいと考えられています。
Aさんも、よくないものであろうと認識しながら大麻を所持しているため、大麻取締法違反の故意があると認められる可能性があります。

・少年の大麻取締法違反事件

SNSの発達・普及等により、たとえ未成年者であっても、大麻等違法薬物の売人にコンタクトを取りやすくなっています。
実際に、最近では中学生や高校生が大麻取締法違反の容疑で逮捕される事件も起きています。
大麻は他の違法薬物よりも比較的安価なことが多いことから、こうした若年層でも手が出しやすくなってしまっているのかもしれません。
しかし、一度大麻という違法薬物に手を出してしまうと、違法薬物に手を出すという行為のハードルが下がり、大麻や他の違法薬物に手を出しやすくなってしまうといわれています。
それ自体への依存症の危険等もあることから、やはり違法薬物には触れないよう注意していくべきでしょう。

先ほど触れたように、Aさんは20歳未満であるため、この大麻取締法違反事件少年事件として扱われます。
ただし、家庭裁判所へ事件が送られるまでは、成人の刑事事件とほぼ同じ扱いを受けるため、逮捕や勾留といった身体拘束がなされる可能性が高いでしょう。
大麻取締法違反事件などの違法薬物事件では、証拠隠滅が容易であったり関係者がいたりする性質上、逮捕等の身体拘束を伴う捜査が行われやすいといわれています。

また、少年が薬物に依存している可能性があったり、大麻に手を出した経緯に調査すべき点があれば、家庭裁判所に行ってからも、観護措置という形で少年鑑別所に収容されての調査が行われることも考えられます。
さらに、依存が深ければ、最終的には医療少年院に送致され、治療を受けるということになる可能性もあります。
こうした身体拘束や処分を回避したい場合には、少年が社会内でも更生可能であるということを主張していかなければなりませんが、そのためにはそれが可能であると客観的に認められる環境を作っていかなければなりません。
そのために、刑事事件だけでなく少年事件に強い弁護士に相談・依頼してみることをおすすめいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年による違法薬物事件のご相談・ご依頼も受け付けております。
夏休み中の少年事件にお困りの方、大麻取締法違反事件にお悩みの方はお気軽にご相談ください。

室内熱中症事件で保護責任者遺棄致死罪③~裁判員裁判

2019-08-10

室内熱中症事件で保護責任者遺棄致死罪③~裁判員裁判

~前回からの流れ~
京都市北区に住んでいる18歳のAさんは、1歳になる息子のVさんと2人で暮らしていました。
ある8月の日、Aさんは出かける用事があったのですが、Vさんは特に汗をかいているわけでもなく、よく寝ていました。
そこでAさんは、特に冷房を付けずにVさんを自宅に残し、出かけてしまいました。
Aさんは用事をすぐに済ませるつもりでしたが、「室内にいるのだから大丈夫だろう」と考え、それから4時間ほど家を空けていました。
するとVさんは室内熱中症になってしまい、帰宅したAさんが病院に連れて行きましたが、Vさんは死亡してしまいました。
その後、Aさんは京都府北警察署保護責任者遺棄致死罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・Aさんが逆送・起訴されたら

前回の記事では、少年事件でも「逆送」され起訴されることで刑事裁判になりうるということを取り上げました。
では、Aさんが逆送され、起訴されてしまったとしたら、どういった裁判を受けることになるのでしょうか。

実は、Aさんに容疑がかかっている保護責任者遺棄致死罪は、裁判員裁判の対象となる犯罪です。
裁判員裁判の対象となる犯罪については、裁判員法(正式名称:裁判員の参加する刑事裁判に関する法律)に定められています。

裁判員法2条1項
地方裁判所は、次に掲げる事件については、次条又は第3条の2の決定があった場合を除き、この法律の定めるところにより裁判員の参加する合議体が構成された後は、裁判所法第26条の規定にかかわらず、裁判員の参加する合議体でこれを取り扱う。
1号 死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件
2号 裁判所法第26条第2項第2号に掲げる事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの(前号に該当するものを除く。)

裁判員法2条1項2号の「裁判所法第26条第2項第2号に掲げる事件」とは、「死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪(刑法第236条、第238条又は第239条の罪及びその未遂罪、暴力行為等処罰に関する法律(大正15年法律第60号)第1条の2第1項若しくは第2項又は第1条の3第1項の罪並びに盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和5年法律第9号)第2条又は第3条の罪を除く。)に係る事件」(裁判所法26条2項2号)のことを指します。
保護責任者遺棄致死罪は、「3年以上の有期懲役」が法定刑に定められている犯罪ですから、「裁判所法第26条第2項第2号に掲げる事件」です。
さらに、保護責任者遺棄致死罪では「故意の犯罪行為により被害者を死亡させ」ていますから、裁判員法2条1項2号に該当することになり、裁判員裁判の対象となるのです。
ですから、Aさんの事件が逆送され起訴された場合には、Aさんは裁判員裁判を受けることになります。

・裁判員裁判

裁判員裁判は、裁判官3人に加え、一般の国民の中から選ばれた裁判員6人が審理に参加する裁判の制度です。
裁判員は、プロの裁判官3人とともに、被告人が有罪なのか無罪なのか、有罪だとして刑罰はどの程度が適切なのかを判断することになります。

裁判員裁判は、一般の法律知識のない裁判員が参加することもあり、通常の刑事事件の裁判よりも特殊な手続きや日程となっており、それに合わせた弁護活動が必要となってきます。
例えば、裁判員裁判の際には必ず公判全整理手続という手続が取られます。
これは、争点や証拠を整理し、裁判本番になってスムーズに進行ができるようにするための準備の手続です。
通常の裁判ではこの手続がとられるかどうかは事件ごとの事情によりますが、裁判員裁判の場合は必ずこの手続がとられます。

また、裁判員裁判は連日裁判が行われることが多いことも特徴です。
通常の裁判では、1回の裁判が行われた後、次回の裁判まで1~2か月程度時間が空くことが多いのですが、裁判員裁判では裁判員の予定調整の負担を減らすために連日開催することが多いです。
最高裁判所の統計によると、多くの裁判員裁判で期日は5日間前後となっています。

裁判員裁判では、こうした手続きや期日に特徴があることに加え、一般の国民から選ばれた裁判員が審理に参加することから、裁判員にもわかりやすく争点やこちらの主張を伝えなければなりません。
ですから、裁判員裁判の弁護活動については、刑事事件裁判員裁判への知識のある弁護士に相談されることをお勧めいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件・少年事件専門の法律事務所ですから、裁判員裁判対象事件の弁護活動についても安心してご相談いただけます。
少年事件で逆送されてしまった、裁判員裁判となりそうだ、とお困りの際は、弊所弁護士までご相談ください。

室内熱中症事件で保護責任者遺棄致死罪②~逆送

2019-08-08

室内熱中症事件で保護責任者遺棄致死罪②~逆送

~前回からの流れ~
京都市北区に住んでいる18歳のAさんは、1歳になる息子のVさんと2人で暮らしていました。
ある8月の日、Aさんは出かける用事があったのですが、Vさんは特に汗をかいているわけでもなく、よく寝ていました。
そこでAさんは、特に冷房を付けずにVさんを自宅に残し、出かけてしまいました。
Aさんは用事をすぐに済ませるつもりでしたが、「室内にいるのだから大丈夫だろう」と考え、それから4時間ほど家を空けていました。
するとVさんは室内熱中症になってしまい、帰宅したAさんが病院に連れて行きましたが、Vさんは死亡してしまいました。
その後、Aさんは京都府北警察署保護責任者遺棄致死罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・少年事件でも刑事裁判に?

今回のAさんは保護責任者遺棄致死事件の被疑者となっていますが、Aさんの年齢は18歳です。
ご存知の方も多いように、20歳未満の者が事件を起こした際には、少年事件として扱われ、少年法に基づいた手続きによって事件が進んでいきます。
原則として少年事件では成人の刑事事件のように、起訴・不起訴という考え方はなく、公開の法廷に立ち裁判を受けたり、刑事罰を受けたりすることはありません。
代わりに家庭裁判所での審判(非公開)を受け、少年院送致や保護観察といった保護処分を受けることになるのが一般です。
しかし、今回のAさんの保護責任者遺棄致死罪のような特定の犯罪に限っては、この原則の流れではない手続きとなる可能性が出てきます。

・逆送

少年法では、いわゆる「逆送」という手続きが定められています。

少年法20条
1項 家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。

2項 前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るものについては、同項の決定をしなければならない。
ただし、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。

警察の捜査から検挙された少年事件の場合、検察官に事件が送られた後、今度は検察官から家庭裁判所に事件が送致されます。
その家庭裁判所から検察官に事件が送られることで、たどってきたところを戻るような形になるため、「『逆』送致」略して「逆送」と呼ばれるのです。
そして、逆送された後の少年事件の手続きについては、少年法では以下のように定められています。

少年法45条5号
検察官は、家庭裁判所から送致を受けた事件について、公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑があると思料するときは、公訴を提起しなければならない。
ただし、送致を受けた事件の一部について公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑がないか、又は犯罪の情状等に影響を及ぼすべき新たな事情を発見したため、訴追を相当でないと思料するときは、この限りでない。
送致後の情況により訴追を相当でないと思料するときも、同様である。

この条文の通り、逆送されて検察官のもとへいった少年事件については、基本的に起訴されることになります。
つまり、少年事件であっても、この逆送をされれば起訴され、刑事裁判となるのです。
刑事裁判で有罪となれば、刑務所(この場合は少年刑務所)に行くことになる可能性も出てくるのです。

では、逆送される条件とはどういったものかというと、先ほど挙げた少年法20条1項・2項に定められているものとなります。
今回のAさんが容疑をかけられている保護責任者遺棄致死罪について考えてみましょう。
保護責任者遺棄致死罪は、保護する責任のある者が相手を保護せずに死なせてしまったという犯罪です。
つまり、「(保護する責任のある者が)保護しないという故意」を持って行い、その結果相手を死なせてしまう犯罪ですから、少年法20条2項のいう「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪」となります。
そのため、Aさんの事件は原則として逆送されることになると考えられます。

・逆送は避けられない?

少年法20条2項の規定に当てはまる事件は「原則逆送事件」とも呼ばれますが、条文の但し書きにあるように、当てはまったからといって絶対に逆送されるわけではなく、個別の事情によっては逆送を避けられる可能性もあります。
犯行動機や少年の周囲の環境等、様々な事情を考慮した結果、少年に保護する必要性(要保護性)があると判断されれば、逆送を回避できる可能性もあります。

逆送の結果起訴され、有罪となればもちろん前科はつきます。
さらに、少年の更生を主眼においた保護処分ではなく、罰として刑事罰を受けることになります。
こうしたことから、逆送を回避したいと考える方も多いですが、そのためには家庭裁判所に少年の要保護性を訴えていかなければなりません。
少年事件は手続きや考え方が難しく、まだ一般に浸透していない部分も多いですから、専門家の弁護士にまずは相談してみましょう。
弁護士のフルサポートを受けておくことで、もしも逆送されてしまった場合にも迅速に裁判に向けて活動を開始することもできます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件だけでなく少年事件も専門に取り扱っています。
逆送事件にお悩みの際は、お気軽にご相談ください。

室内熱中症事件で保護責任者遺棄致死罪①

2019-08-06

室内熱中症事件で保護責任者遺棄致死罪①

京都市北区に住んでいる18歳のAさんは、1歳になる息子のVさんと2人で暮らしていました。
ある8月の日、Aさんは出かける用事があったのですが、Vさんは特に汗をかいているわけでもなく、よく寝ていました。
そこでAさんは、特に冷房を付けずにVさんを自宅に残し、出かけてしまいました。
Aさんは用事をすぐに済ませるつもりでしたが、「室内にいるのだから大丈夫だろう」と考え、それから4時間ほど家を空けていました。
するとVさんは室内熱中症になってしまい、帰宅したAさんが病院に連れて行きましたが、Vさんは死亡してしまいました。
その後、Aさんは京都府北警察署保護責任者遺棄致死罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・室内でも熱中症になる

熱中症というと、炎天下の中外にいるとなってしまうというイメージも強いですが、たとえ室内であっても熱中症にはかかってしまうことがあります。
毎年、車内にいた子どもが熱中症になるなどするケースが報道されていますが、車内だけではなく室内であっても、湿度が高かったり、風の通りが悪かったり、冷房を使用していなかったりすると熱中症になってしまうこともあります。
また、熱中症はその時暑かったという場合だけでなく、その人が疲れていたり睡眠不足であったり、暑さに慣れていなかったりしてもかかってしまいます。
人間は汗をかいていなかったとしても皮膚や呼気から水分を出しており、さらに寝ているときには汗等でコップ1杯の水を出していると言われています。
室内だからといって油断することなく、こまめな水分補給や温度・湿度の管理をするよう注意しましょう。

・保護責任者遺棄致死罪

今回のAさんは、保護責任者遺棄致死罪の容疑をかけられていますが、保護責任者遺棄致死罪とはどのような犯罪なのでしょうか。

刑法218条(保護責任者遺棄罪)
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、3月以上5年以下の懲役に処する。

刑法219条(保護責任者遺棄致死罪)
前2条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

つまり、刑法218条の保護責任者遺棄罪を犯してしまい、その結果人を死なせてしまった、というのが保護責任者遺棄致死罪となります。
今回のAさんについて考えてみましょう。
「保護責任者」とは、条文で言う「老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者」のことを言います。
「保護する責任」があるかどうかは、法律や契約によって保護する義務があったり、道理として保護しなければならないような立場にいたりするかどうかといった事情を考慮して判断されます。
Aさんの場合、被害者であるVさんは実の息子で同居しており、さらに1歳になる非常に幼い年齢です。
2人暮らしであることからも、Aさんには「幼年者」であるVさんを保護する責任があるといえるでしょう。

そして、Aさんは4時間程度、冷房を付けずにVさんを家に置いたまま家を離れています。
Vさんは1歳になる子供ですから、自分で水分補給をしたり冷房を付けたりといったことは難しいことが明白です。
加えて、8月であれば高温になることも予想はたやすいことから、Aさんの行為はVさんの「生存に必要な保護」をしなかったものと考えられます。
ですから、まずAさんには保護責任者遺棄罪が成立することが考えられます。
さらに、その結果、Vさんは熱中症となり死亡していますから、保護責任者遺棄致死罪が成立すると考えられるのです。

さて、この保護責任者遺棄致死罪は、条文にある通り、「傷害の罪」(ここでは被害者がなくなっているため、「傷害致死罪」)と比較して重い刑により処断されます。
傷害致死罪の法定刑は3年以上の有期懲役(刑法205条)となっていますから、保護責任者遺棄致死罪の法定刑は3年以上の有期懲役となります。
ここで問題となるのは、Aさんの年齢が18歳であることです。
20歳未満の者が起こした事件は少年事件として扱われるため、こうした法定刑や刑事罰とはまた異なる処分や期間が定められています。
しかし、実はAさんの事件の場合、刑事裁判が全く無関係になるかというと、そうではないことに注意が必要です。
こちらについては次回詳しく取り上げます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、熱中症に関連した保護責任者遺棄致死事件のご相談も受け付けております。
まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。

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