Archive for the ‘刑事事件’ Category

【事例紹介】専門学生が同じ学校に通う学生の首を絞めて現金17万円を奪った事例①

2024-05-02

【事例紹介】専門学生が同じ学校に通う学生の首を絞めて現金17万円を奪った事例①

逮捕の瞬間

専門学生が首を絞めて現金を奪ったとして、恐喝罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

同じ専門学校に通う男性に因縁をつけて暴行を加え現金を奪ったとして、京都府警伏見署は1日、恐喝の疑いで、京都市南区(中略)の専門学校生、(中略)容疑者(21)を逮捕した。「間違いない」と容疑を認めている。
同署によると、2人の共通の知人女性と被害男性が仲良くしていることに容疑者が因縁をつけたとみられる。同署が詳しい動機を調べる。
逮捕容疑は4月18日、伏見区の男性宅で男性の首を絞めるなどの暴行を加え、コンビニのATMで現金17万円を引き出させ奪ったとしている。男性にけがはなかった。
(後略)

(5月1日 産経新聞 「知人女性巡りトラブルか、恐喝容疑で専門学校生を逮捕」より引用)

恐喝罪

刑法第249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

恐喝罪は簡単に説明すると、暴行や脅迫によって相手から現金などを受け取ると成立する犯罪です。
恐喝罪が規定する暴行や脅迫はどんなものでもいいわけではなく、抵抗することが困難な程度まではいかず、かつ、畏怖させるに足る程度の暴行や脅迫が行われている必要があります。

今回の事例では、容疑者が被害者の首を絞めるなどの暴行を加え、ATMで現金17万円を引き出させたと報道されています。
首を絞められれば窒息死してしまう可能性もありますから、恐怖を感じてもおかしくはないでしょう。
また、首を絞める行為は暴行に当たりますので、実際に容疑者が被害者の首を絞めて現金17万円を奪ったのであれば、恐喝罪が成立する可能性があります。

強盗罪

先ほど恐喝罪の暴行や脅迫について、抵抗することが困難な程度まではいかない暴行や脅迫だと説明しました。
では、抵抗が困難な程度である場合には恐喝罪は成立しないのでしょうか。

結論から言うと、抵抗が困難な程度の暴行や脅迫を用いて現金などを奪った場合には、強盗罪が成立します。

刑法第236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

今回の事例では、首を絞めて現金を奪い取ったと報道されています。
首を絞める行為は最悪の場合、死に至る可能性もある危険な行為だといえます。
ですので、実際に容疑者が首を絞めることで現金を奪っており、抵抗することが困難な状況であったと判断された場合には、恐喝罪ではなく強盗罪が成立する可能性が考えられます。

実際に首を絞められた状態で抵抗することは困難なように思われるのですが、なぜ今回の事例では恐喝罪の容疑がかけられているのでしょうか。

おそらく、首を絞めたとされる現場と現金を引き出させたとされるコンビニは別の場所だと思われます。
であれば、首を絞められている際に抵抗は難しくても、コンビニに入店した際に店員に助けを求めることは可能であった可能性があります。
もしかすると、上記の推測のように、被害者が容疑者に現金を渡す際に抵抗することが困難だったとはいえないと判断され、強盗罪ではなく、恐喝罪の容疑をかけられているのかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では無料法律相談を行っています。
恐喝罪強盗罪はどちらも有罪になると懲役刑が科されてしまう犯罪です。
弁護士に相談をすることで、少しでも刑を軽くできる可能性がありますから、恐喝罪強盗罪の容疑をかけられている方はお気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

昼営業終了後のラーメン店に侵入して売上金を奪い取った男を強盗罪で逮捕

2024-05-01

昼営業終了後のラーメン店に侵入して売上金を奪い取った男を強盗罪で逮捕

窃盗や強盗で手に入れたお金

昼営業終了後のラーメン店に侵入して売上金を奪い取った男が強盗罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事件概要

京都府下鴨警察署は、市内の会社に勤務する男(26)を強盗罪の疑いで逮捕した。
男は、昼営業を終えて仕込中のラーメン店に侵入し、レジに入っていた売上金を奪い取った疑いが持たれている。
ラーメン店に侵入した男は、物音に気づいた店長に対し、「レジを開けて中の金を全部よこせ」と言いながら持ち込んだ鉄パイプを店長に突きつけたとされている。
取調べに対し、男は「借金を返すためにお金が必要だった」と容疑を認めている。
(フィクションです)

強盗罪

刑法236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

本件で男は強盗罪の疑いで逮捕されています。
大まかにいうと、強盗罪とは、拳銃などの凶器を使うなどして、被害者が抵抗できない状態にした上で無理矢理財産を奪い取る犯罪です。

強盗罪というとテレビドラマなどでよくある銀行強盗を思い浮かべる方も多いかと思います。
テレビドラマなどの銀行強盗では、「銀行員に金を出せ」と言いながら拳銃や刃物を突き付けています。
このような行為がなされると、被害者が死亡したり怪我をしたりといったことが発生しやすいと言えますから、強盗罪は、とても危険で悪質な犯罪と言えます。
強盗罪の法定刑が5年以上の有期懲役と非常に重たいのも、単に人の財産に対する侵害行為にとどまらず人の生命・身体・自由に対する侵害行為という側面も有する犯罪であるためです。

手段としての「暴行又は脅迫」

強盗罪の場合、暴行・脅迫は財物を無理やり奪い取る手段として規定されていますから、本罪における暴行とは、反抗を抑圧するに足りる程度の不法な有形力の行使を意味し、脅迫とは、反抗を抑圧するに足りる程度の害悪の告知を言います。
また、反抗を抑圧するに足りる程度とは、簡単にいうと、抵抗することが困難な程度のことをいいます。
問題となった行為が、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫であるか否かは、「社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものかどうか」という客観的基準によって決せられます(最判昭和24年2月8日)。

この判断は、暴行又は脅迫の態様、行為者及び被害者の状況、日時や場所などを総合的に考慮して判断されますが、特に重視されるのは、暴行又は脅迫の態様です。
例えば、拳銃やナイフなどの人を殺めたり怪我させたりする危険性の強い凶器を使用した場合には、社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫と判断される可能性が高くなります。

本件では、容疑者の男は、レジ金(財物)を奪い取るために、鉄パイプをラーメン店の店主に対して突きつけたようです。
ラーメン店の店主が男性であったとしても、鉄パイプを成人男性から突きつけられれば、反抗するのは難しいと言えると思われます。
仮に抵抗した場合、鉄パイプで殴られるおそれがあり、当たりどころが悪ければ命にも関わるからです。
したがって、男の鉄パイプを突きつける行為は、反抗を抑圧するに足りる程度の有形力の行使、すなわち強盗罪における暴行にあたりそうです。

以上より、本件では強盗罪が成立する可能性があります。

できるだけ早く弁護士に相談を

強盗罪を犯してしまった場合、執行猶予がつかない可能性があります。
というのは、執行猶予がつくためにはいくつかの要件があり、その1つに、下される量刑が3年以下であるという要件があるのに対し、強盗罪の量刑が5年以上の有期懲役であるからです。
執行猶予がつかなかった場合、会社に大学に今までどおり行くことができなくなり、会社員であれば解雇され、大学生であれば退学処分が下される可能性がありますから、なんとかして執行猶予をつけることはできないか問題となります。

この点、実は、被害者に真摯に謝罪して示談が成立していれば、刑の減軽がされ、3年以下の懲役が下される可能性があり、この場合には、執行猶予がつく可能性があります。
したがって、示談を成立させることができるかどうかが重要となりますが、加害者自ら示談交渉を行うことは得策ではありません。

本件のように逮捕されている場合は、そもそも自由に外部と連絡をとることができないため物理的に難しいです。
仮に逮捕されていない場合であっても、鉄パイプなどの凶器を突きつけられた被害者からすれば、加害者とは金輪際関わりたくないと思っている可能性が高く、直接連絡を取ろうとしても拒絶される可能性が高いです。

そこで、示談交渉は弁護士に一任されることをおすすめいたします。
被害者の中には、弁護士とであれば連絡を取ることに応じてくれる方も少なくありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、強盗事件を含む豊富な刑事弁護の経験を持つ法律事務所です。
被害者側との示談交渉はぜひ、弊所の弁護士にお任せください。
示談を数多く成立させてきた弊所の弁護士が交渉を行うことで、下される量刑を減軽させたり、執行猶予付判決を得たりすることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

家電量販店で携帯ゲーム機を盗もうとした専門学生を逮捕

2024-04-28

家電量販店で携帯ゲーム機を盗もうとした専門学生を逮捕

万引き

家電量販店で携帯ゲーム機を盗もうとした専門学生が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事件概要

京都市中京区の美容専門学校に通うAは、新しく発売された携帯ゲーム機が欲しいと思い学校帰りに家電量販店に実物と値段を見に行ったところ、デモ機が用意されていたので実際に手に取って遊んでいくうちにどうしても欲しくなった。
デモ機は、持ち去られないように細い紐のようなもので什器に繋げられていたが、Aはハサミがあれば紐を切れるのではないかと考え、授業で使うハサミがカバンに入っていることを思いだした。
しばらく考えた末、Aは紐を切ってゲーム機を持ち去ることを決意し、実行しようとしたが、紐が固くて切れずにいたところ、様子を見ていた小学生が店員に報告し、駆けつけた京都府中京警察署の警察官に、Aは窃盗未遂罪の疑いで現行犯逮捕された。
取調べに対し、Aは「実際に触ってたらどうしても欲しくなった。」と容疑を認めている。
(フィクションです。)

窃盗罪とは

刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

窃取とは、他人の占有する財物を、その占有者の意思に反して自己または第三者の占有に移転することを言います。

まず、占有が認められるためには、客観的要件としての財物に対する事実的支配(客観的支配)と、主観的要件として財物に対する支配意思が必要です。
例えば、他人が自由に出入りすることができない自宅などの閉鎖的な支配領域内に置いている物には、家主の客観的支配が認められます。
また、家の中にある物については、家主はそれが自分のものだという支配意思もあるでしょう。
したがって、家の中に置いているものについては、家主が占有していると言えるでしょう。

本件のAは、家電量販店で販売されている最新の携帯ゲーム機のデモ機で遊ぶ内にどうしても欲しくなり、什器と繋ぐ紐をハサミで切ってゲーム機を持ち去ろうとしたようです。
このゲーム機は、家電量販店の中に什器に繋ぐ形で置かれていたものですから、店舗にはこのゲーム機に対する強い客観的支配が認められそうです。
店舗側にはこのゲーム機が店舗のものだという強い支配意思も有していると考えることができそうです。
したがって、家電量販店は、このゲーム機を占有していたと言えそうです。

そして、Aは、このゲーム機を無断で自宅に持ち帰ろうとしたようです。
デモ機は非売品であり店舗側は店外に持ち出されることを想定していないでしょうから、Aは、自宅に持ち帰ることで、当該ゲーム機をその占有者である店舗側の意思に反して自己の占有に移転しようとしたと言えそうです。

また、窃盗罪は未遂であっても罰せられます(刑法243条)。
本件では、Aはゲーム機につながっている紐を切ることはできませんでした。
ですが、Aは、デモ機が店舗のものであると認識した上で、どうしてもこのゲーム機で遊びたいと考え、自宅に持ち去ろうとしたようですから、ゲーム機を持ち去ることができなかったAには窃盗未遂罪が成立する可能性があります。

できるだけ早く弁護士に相談を

本件では、Aは現行犯逮捕されています。
逮捕による身柄拘束自体は最大で72時間ですが、さらに拘束の必要性があると判断された場合、「勾留」という逮捕に引き続く10日間の身柄拘束を受けることがあります。
検察官の請求によって裁判官が判断しますが、弁護士であれば、判断材料として勾留の必要ない旨の意見書を提出することができますから、勾留されずに身柄を解放してもらえる可能性があります。
勾留の判断がされた後では遅いですから、早い段階で弁護士に相談して、意見書を提出する機会を逃さないことが大切です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、窃盗罪を含む刑事事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
早期に弁護士に依頼することで、身柄拘束の長期化を防ぐことができる可能性があります。
刑事事件を起こしてしまった場合には、できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

経理責任者が会社のお金を横領して高級車を購入していた事例

2024-04-26

経理責任者が会社のお金を横領して高級車を購入していた事例

財産犯

経理責任者が会社のお金を横領して高級車を購入していた事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します

事例解説

京都府下京警察署は、京都市内にあるIT企業の経理責任者の男(50)を、勤務先の現金を横領していた疑いで逮捕した。
男は、業務で銀行からお金を引き出すために払戻請求書と印鑑を手にした際に、事前に手に入れていた白紙の払戻請求書にも捺印を行い、これを銀行窓口に持ち込んで現金を引き出し、私服をこやしていた疑いが持たれている。
男が高級車を複数台所有していること気づいた同僚が不審に思い、取締役に告げたことで調査が入り発覚した。
被害額は5000万ほどにのぼり、会社が被害届を出したため男は逮捕された。
(フィクションです)

業務上横領罪とは

刑法253条
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。

刑法は、横領罪として単純横領罪(刑法252条)、業務上横領罪(刑法253条)、占有離脱物横領罪(刑法254条)を規定しています。
単純横領罪とは、「自己の占有する他人の物を横領」する罪であり、
業務上横領罪とは、「『業務上』自己の占有する他人の物を横領」する罪です。
両罪は、横領した他人の物が『業務上』自己が占有する物であったかどうかで区別されます。
業務上横領罪「業務」とは、金銭その他の財物を委託を受けて占有・保管することを内容とする職業もしくは職務をいうと解されています。

京都府下京警察署によると、本件では、逮捕された男は、会社の経理担当者として、会社のお金を管理する立場にあり、取引先等への支払業務などを行っていたようです。
したがって、男の職務は業務上横領罪における「業務」に該当し、業務上横領罪が成立する可能性があります。

ところで、男は「他人の物を占有」していたと言えるのでしょうか?
窃盗罪などにいう「占有」とは、物に対する事実上の支配を言いますが、横領罪における「占有」とは、物に対する事実上の支配だけでなく法律上の支配も含むと解釈しています(大判大正4年4月9日)。
法律上の支配とは、法律上自己が容易に他人のものを処分しうる状態のことを言います

本件について見てみると、男は経理責任者として、印鑑申請さえすれば銀行窓口で現金を引き出すのに使用する払戻請求書を使って会社のお金を引き出すことができたようですから、男は会社の現金という他人の物を占有していたと言えそうです。
仮に、これを勝手に引き出して私的に使用した場合には、業務上横領罪が成立する可能性があります。

そして、本罪の行為は、横領することです。
横領とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、他人の物に対し経済的用法に従って所有者でなければできないような処分をする行為です(最判24年3月8日)。
本件では、男は、会社のお金を引き出し、高級車などの購入するために使ったようです。
お金を使うことは、その所有者にしか許されない行為ですから、男のした行為は横領に当たる可能性があります。
以上から、本件では業務上横領罪が成立する可能性があります。

なるべく早く弁護士に相談を

横領罪は被害者のいる犯罪です。
本件では会社が被害届を提出したことで、事件化し男は逮捕されています。
実際に、被害者が被害届を提出したことをきっかけに捜査機関の捜査が始まることが多いようです。
加害者と被害者は見ず知らずの他人ではなく、元々物を預けるというような関係性があることから、被害弁償がされれば被害届を出さない被害者もいらっしゃるようです。
したがって、きちんと謝罪と被害弁償をすれば被害届が提出されず、事件化を防げる可能性があります。

もっとも、どのような示談内容であれば妥当なのかは法律に詳しくない人にとってはわからないのではないでしょうか。
被害者が、裏切られた怒りから過度な条件を提示してくる可能性もあります。
そこで、示談交渉は、交渉のプロである弁護士に一任されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、横領事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分や罪の減軽、執行猶予付き判決を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部ご相談ください。

会社の取締役が、知人の経営する会社と実体のない取引を結び会社に損害を与えた事例

2024-04-25

会社の取締役が、知人の経営する会社と実体のない取引を結び会社に損害を与えた事例

財産犯

会社の取締役が、知人の経営する会社と実体のない取引を結んで代金を支払い会社に損害を与えた事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事件概要

京都府伏見警察署は、酒類販売を行う会社の取締役の男性(42)を特別背任罪の疑いで逮捕した。
男は、昔からの仲である知人に頼まれ、当該知人の経営する会社と実体のない売買を偽装し、売買商品を受け取ることなく一方的に男の会社から知人の会社に現金を振り込み、その見返りに代金の一部を受け取るなどして、会社に損害を与えた疑いが持たれている。
取調べに対し男は、「知人から頼まれて断れずに答えてしまった。」と容疑を認めている
(フィクションです)

特別背任罪とは?ー背任罪との違い

刑法247条
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

会社法960条1項本文
次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
(中略)
3号 取締役、会計参与、監査役又は執行役
(後略)

本件では、特別背任罪が問題となっています。
特別背任罪は、会社法960条が規定する犯罪であり、刑法247条の規定する背任罪と、犯罪の主体が限定されている点を除けば成立要件は同じです。
特別背任罪が成立する可能性のある犯罪の主体には、取締役が含まれます(会社法960条1項3号)。
本件では、会社の取締役である男がした偽装売買に基づく代金の振込が問題となっていますから、刑法の背任罪ではなく特別背任罪が成立する可能性があります。

特別背任罪は成立する?

条文によると、特別背任罪は(取締役などが)①自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、②その任務に背く行為をし、③本人に財産上の損害を加える犯罪です。

まず①についてみると、本件で男は、知人の男性と売買契約を装い、売買目的物である商品を受け取ることなく代金を支払ったうえ、代金の一部を受け取ったとされています。
したがって、第三者である知人の利益に加えて、自己の利益を図る目的で行為を行ったとして、特別背任罪が成立する可能性があります。

次に②任務に背く行為をしたことが必要です。
任務に背く行為とは、他人の事務の処理者として当該具体的事情の下で当然になすべきものと法的に期待される行為をせず、信任関係に違背することを言います(大判明治44年10月13日、大判大正3年6月20日)。
本件で男は、取締役として会社ができるだけ多くの利益を獲得できるように会社経営を行うことが求められており、知人から仮装売買の誘いがあった場合には、当然これを断ることが期待されるにもかかわらず、これに応じて会社との間の信任関係に違背したと言えそうです。

また③財産上の損害についても、男は対価を得ることなく代金を一方的に支払っていますから、当該代金の分だけ会社は財産上の損害を負っていると言えそうです。

男は自分の行為によって会社の現金が流出することを当然認識しているでしょうから、本件では特別背任罪が成立する可能性があります。

できるだけ早く弁護士に相談を

特別背任罪のように被害者のいる犯罪では、示談を成立させることが非常に重要です。
早い段階で示談締結ができれば、起訴猶予による不起訴処分となる可能性があるからです。
仮に、起訴されたとしても、示談が成立していることは量刑や執行猶予をつけるどうかの判断に影響します。

もっとも経営陣の一員として会社を任される立場にあったにもかかわらず、会社を裏切るような行為したわけですから、被害者である会社側は強い処罰感情を有している可能性が高く、示談交渉に応じてくれないかもしれません。

そこで、示談交渉は交渉のプロである弁護士に一任されることをおすすめします。
加害者に対しては示談交渉に応じない被害者であっても、弁護士が相手であれば示談交渉に応じてくれることは少なくありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、特別背任罪など刑事事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分の獲得のほか、量刑を軽くしたり執行猶予付判決を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

【事例紹介】公務員が嵐山公園内で女性の下着を盗撮しようとした事例②

2024-04-19

【事例紹介】公務員が嵐山公園内で女性の下着を盗撮しようとした事例②

解雇

前回のコラムに引き続き、嵐山公園内で下着を撮影しようとしたとして、性的姿態等撮影未遂罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警右京署は15日、性的姿態撮影処罰法違反(撮影未遂)の疑いで、京都府山城南土木事務所副主査の男(34)=亀岡市=を逮捕した。
逮捕容疑は、(中略)京都市右京区の嵐山公園内の河川敷付近に座っていた女性(17)のスカート内にスマートフォンを向けて下着を撮影しようとした疑い。
同署によると、女性の前を行き来する男を不審に思った女性の友人が110番した。容疑者は「盗撮するために嵐山公園に来た」と供述しているという。
(後略)

(4月15日 京都新聞 「京都・嵐山の公園で17歳女性の下着撮影しようとした疑い 京都府職員の男逮捕「盗撮のために来た」」より引用)

地方公務員と盗撮

今回の事例では、容疑者が京都府山城南土木事務所の職員のようです。
地方公務員である容疑者が実際に性的姿態等撮影未遂罪にあたる行為を行っていた場合には、地方公務員という身分に何か悪影響を及ぼすのでしょうか。

地方公務員法第28条4項
職員は、第十六条各号(第二号を除く。)のいずれかに該当するに至つたときは、条例に特別の定めがある場合を除くほか、その職を失う。

地方公務員法では、同法16条の2号を除いた各号に該当する場合には失職すると規定しています。
下記が地方公務員法第16条の条文です。

地方公務員法第16条
次の各号のいずれかに該当する者は、条例で定める場合を除くほか、職員となり、又は競争試験若しくは選考を受けることができない。
一 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
(2号省略)
三 人事委員会又は公平委員会の委員の職にあつて、第六十条から第六十三条までに規定する罪を犯し、刑に処せられた者
四 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者

地方公務員法第16条1号では、禁錮以上の刑に処された場合について規定されています。
地方公務員法第16条1号は地方公務員法第28条4項の対象となりますから、地方公務員に禁錮以上の刑が科されてしまった場合には、失職してしまうことになります。

性的姿態等撮影罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑又は3百万円以下の罰金です(性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律第2条1項)ので、性的姿態等撮影未遂罪で有罪になってしまった場合に地方公務員の職を失ってしまう可能性があります。
ですので、報道されているように、実際に容疑者が盗撮をしようとしていて、性的姿態等撮影未遂罪で有罪になり拘禁刑を科された場合には、失職してしまうおそれがあります。

性的姿態等撮影未遂罪の容疑をかけられている場合には、不起訴処分無罪を獲得するか、罰金刑にとどめることが重要になります。

前回のコラムでも解説をしましたが、被害者と示談を締結することで不起訴処分を得られる場合があります。
未成年が被害者である刑事事件や盗撮などの性犯罪では、加害者自らが被害者と連絡を取り合うことは容易ではありませんし、最悪の場合、証拠隠滅を疑われてしまう可能性もあります。
弁護士が間に入ることで示談を円滑に締結できる可能性がありますから、示談交渉を行う際は弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

また、弁護士は検察官に処分交渉を行うことができます。
弁護士が検察官に失職してしまう可能性があることなど、多大な不利益を被る可能性があることを主張することで、不起訴処分の獲得や略式命令による罰金刑で事件を終わらせられるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、無料法律相談を行っています。
弁護士に相談をすることで失職を免れられる可能性がありますので、公務員の方で刑事事件でお困りの方は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【事例紹介】公務員が嵐山公園内で女性の下着を盗撮しようとした事例①

2024-04-17

【事例紹介】公務員が嵐山公園内で女性の下着を盗撮しようとした事例

盗撮

嵐山公園内で下着を盗撮しようとしたとして、性的姿態等撮影未遂罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警右京署は15日、性的姿態撮影処罰法違反(撮影未遂)の疑いで、京都府山城南土木事務所副主査の男(34)=亀岡市=を逮捕した。
逮捕容疑は、(中略)京都市右京区の嵐山公園内の河川敷付近に座っていた女性(17)のスカート内にスマートフォンを向けて下着を撮影しようとした疑い。
同署によると、女性の前を行き来する男を不審に思った女性の友人が110番した。容疑者は「盗撮するために嵐山公園に来た」と供述しているという。
(後略)

(4月15日 京都新聞 「京都・嵐山の公園で17歳女性の下着撮影しようとした疑い 京都府職員の男逮捕「盗撮のために来た」」より引用)

盗撮と犯罪

今回の事例では、容疑者が嵐山公園内で被害者のスカート内を盗撮しようとしたと報道されています。
実際には撮影できていないようなのですが、何か罪に問われるのでしょうか。

性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(以下「性的姿態等撮影処罰法」といいます。)
第2条1項 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
1号 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
(以降省略)

上記条文では、性的姿態等撮影罪を規定しています。
今回の事例では嵐山公園内の河川敷付近に座っていた被害者のスカート内を盗撮しようとしていたとされています。
嵐山公園内の河川敷は不特定多数の人の往来があるわけですから、通常衣服を着けている場所だといえます。
また、今回の事例で、被害者自ら下着を見られると認識しながら座っていたとは考えられないでしょう。
加えて、スカート内を撮影する行為は、身に着けている下着を撮影する行為と同義でしょうし、報道されているような状況でスカート内を撮影する正当な理由はないように思われますから、嵐山公園内の河川敷付近に座っていた被害者のスカート内を盗撮した場合には、性的姿態等撮影罪が成立する可能性があります。

では盗撮しようとしたが撮影することができなかった場合はどうでしょうか。

性的姿態等撮影処罰法第2条2項では、「前項の罪の未遂は、罰する。」と規定しています。
同法2条1項では性的姿態等撮影罪を規定していますので、盗撮しようとしてできなかった場合には、性的姿態等撮影未遂罪が成立することになります。

ですので、今回の事例では、容疑者がスカート内を盗撮しようとしていたのであれば、性的姿態等撮影未遂罪に問われる可能性があります。

盗撮は未遂であっても罪に問われることになります。
性的姿態等撮影罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑又は3百万円以下の罰金ですので、決して罪の軽い犯罪だとはいえません。
また、拘禁刑が規定されていますので、有罪になった場合には、刑務所に行かなければならない可能性があります。

盗撮事件では、被害者に対して謝罪と賠償を行い、示談を締結することで、不起訴処分を得られる場合があります。
盗撮の被害者が未成年である場合、窓口は被害者の保護者になる場合がほとんどです。
大切な娘が犯罪被害にあっているわけですから、加害者と連絡を取りたくないと思われる方が多くいらっしゃいます。
弁護士からの連絡であれば、話だけでも聞いてみようと思ってもらえる場合がありますので、示談などを考えている方は、一度、弁護士に相談をしてみることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
弁護士に相談をすることで、不起訴処分を獲得できる場合もありますので、盗撮などでお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【事例紹介】妻を包丁で刺し殺し、無理心中を図ったと思われる殺人事件②

2024-04-15

【事例紹介】妻を包丁で刺し殺し、無理心中を図ったと思われる殺人事件②

ナイフを持つ人

前回のコラムに引き続き、妻を包丁で刺し殺したとして殺人罪の容疑をかけられている事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都市伏見区小栗栖の集合住宅で女性(77)が死亡した事件で、京都府警山科署は9日、司法解剖の結果、死因は出血性ショックだったと発表した。(中略)同署は80代の夫が女性を包丁で刺したとみて調べている。
同署によると、(中略)夫から「妻を刺した」と110番があった。夫は自身の体も刺して搬送され、重傷という。無理心中を図った可能性があり、夫の回復を待って殺人容疑で事情を聴く方針。

(4月9日 京都新聞 「77歳女性の死因は出血性ショック死 80代夫が包丁で刺し無理心中か 京都市伏見区」より引用)

同意殺人罪

刑法第202条
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、六月以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。

同意殺人罪には、嘱託殺人承諾殺人があります。
承諾殺人とは、簡単に説明すると、相手の同意を得てその人を殺すことをいいます。
承諾殺人における同意は、この同意は真意に基づく同意である必要があります。

例えば、一緒に死のうと提案し相手に殺してもいいか確認した際に相手は冗談だと思って同意した場合には、実際に殺されることを認識していないわけですから同意を得ていたとはいえません。
ですので、相手が殺されることを認識したうえで同意している場合でなければ、承諾殺人にはあたらないことになります。

今回の事例では、容疑者である夫が妻を包丁で刺し殺し、自らの身体も包丁で刺したとされています。
また、報道によると無理心中を図った可能性があるようです。
無理心中の場合、前もって相手に殺すことに対して同意を取っていた可能性があります。
ですので、今回の事例で被害者が容疑者に殺されることに同意しており、同意のうえ、容疑者が被害者を刺し殺したのであれば、承諾殺人にあたり、殺人罪ではなく同意殺人罪が成立する可能性があります。

とはいえ、殺された被害者に同意の有無を確認することは不可能ですから、同意があったにもかかわらず、殺人罪が成立してしまう可能性があります。
そういった事態を避けるためにも、容疑者本人の供述も重要な証拠になってくるでしょうから、取調べの対策を立てておくことが重要になります。

初めての取調べでは緊張や不安からうまく話せない可能性があります。
また、警察官や検察官は供述を誘導してくる可能性があり、その誘導に乗ってしまった結果、自分に不利になる供述調書や意に反した供述調書を作成されてしまうおそれがあります。
事前に弁護士に相談をして、供述内容を整理しておくことで、こういった事態を避けられるかもしれません。

繰り返しになりますが、被害者が死亡してしまっている場合には同意の有無を確認することは難しく、実際に同意を得ていても殺人罪が成立してしまうおそれがあります。
刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士に相談をすることで、殺人罪の成立を避けられる可能性がありますから、殺人罪の容疑をかけられている場合には、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【事例紹介】妻を包丁で刺し殺し、無理心中を図ったと思われる殺人事件①

2024-04-12

【事例紹介】妻を包丁で刺し殺し、無理心中を図ったと思われる殺人事件①

ナイフを持つ人

妻を包丁で刺し殺したとして殺人罪の容疑をかけられている事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都市伏見区小栗栖の集合住宅で女性(77)が死亡した事件で、京都府警山科署は9日、司法解剖の結果、死因は出血性ショックだったと発表した。(中略)同署は80代の夫が女性を包丁で刺したとみて調べている。
同署によると、(中略)夫から「妻を刺した」と110番があった。夫は自身の体も刺して搬送され、重傷という。無理心中を図った可能性があり、夫の回復を待って殺人容疑で事情を聴く方針。

(4月9日 京都新聞 「77歳女性の死因は出血性ショック死 80代夫が包丁で刺し無理心中か 京都市伏見区」より引用)

殺人罪

刑法第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

殺人罪とは簡単に説明すると、人を殺す意思をもって人を殺すと成立する犯罪です。
上記のように、殺人罪には故意、殺す意思をもっている必要がありますので、人を殺してしまった場合に必ず殺人罪が成立するわけではありません。

例えば、車を運転中に過失により歩行者に気づかず、轢いて亡くならせてしまった場合には、過失運転致死罪の成立が考えられます。
一方で、車の運転中に嫌いな上司を発見し、事故に見せかけて殺してやろうと考えてひき殺した場合には、殺す意思をもって人を殺したとして、殺人罪の成立が考えられます。
以上により、どちらの場合も車で人を轢いて殺してしまった点では同じですが、殺す意思があったかどうかで殺人罪が成立するか否かが変わってくることがわかります。

今回の事例を考えていきましょう。

今回の事例では、容疑者である夫が妻を包丁で刺し、その後出血性ショックで死亡したと報道されています。
無理心中を図った可能性があると報道されており、実際に無理心中をするつもりで容疑者が妻を刺したのであれば、殺す意思があったと判断される可能性が高いと思われます。
また、今回は凶器として包丁が使われているようです。
刺す箇所にもよりますが、包丁で急所を刺されれば死に至る可能性が高いですから、包丁などの凶器を用いている場合には殺す意思があったと判断される可能性があります。
実際に、容疑者が包丁で妻を刺し殺したのであれば、殺す意思があったとして殺人罪が成立する可能性があります。

殺人罪の法定刑は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役です。
殺人罪で有罪になると死刑や無期懲役刑が科される可能性があり、刑法の中でもかなり重い刑罰を科される犯罪だといえます。
殺人罪は死刑や無期懲役刑だけでなく、5年以上の有期懲役刑も規定されていますので、裁判で有利な事情を主張することで、死刑や無期懲役を避けられる可能性があります。
殺人罪では裁判員裁判が開かれることになり、通常の裁判の手続きとは異なりますので、刑事事件の経験豊富な弁護士に委任されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は刑事事件に精通した法律事務所です。
殺人罪の容疑をかけられている方は、一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

トラブルがあった隣人の家に放火した女が逮捕された事件

2024-04-10

トラブルがあった隣人の家に放火した女が逮捕された事件

放火

トラブルがあった隣人の家に放火した女が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事案

京都府西京警察署は、京都府内の会社に勤務する会社員の女性A(37)を現住建造物等放火罪の疑いで逮捕した。
Aは、隣にすむV家族の話し声を耳障りに思っており、たびたび口論になっていたところ、Aが仕事の関係で京都市外に引っ越すことになった。
引越しの準備が完了し家を出ようとしたAは、最後にVをこらしめてやろうと考え、コンビニで購入したライターを使ってV宅の壁に火をつけた。
しばらくして、壁に火が定着して燃え広がり始めたのでAはその場を去った。
京都府西京警察署の取調べに対し、Aは、「話し声のうるさいV家族に日頃からむかついていた。」「自分は引っ越すから放火しても自分には影響ないので、最後にこらしめてやろうと思ってやった」と容疑を認めている。
(フィクションです)

放火の罪

刑法108条
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

刑法は、何を燃やそうとして放火したかに着目して、いくつかの放火の罪を規定しています。
これは、何が燃やされるかによって生命・身体・財産が脅かされる危険性が異なるためです。
例えば、住居や人がいる建造物に放火した場合には現住建造物等放火罪が成立し、死刑又は無期もしくは5年以上の懲役となります(刑法108条)。
住居や人がいる建物に放火した場合には、生命や財産が脅かされる可能性が高いことから、現住建造物等放火罪は、その他の放火の罪よりもはるかに重い刑罰が規定されています。

現住建造物等放火罪の他には、非現住建造物等放火罪(109条)や建造物等以外放火罪(110条)などがあります。
非現住建造物等放火罪は、放火の対象が建造物等である点は、現住建造物等放火罪と共通ですが、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物等を焼損した場合に成立します。
建造物等以外放火罪は、バイクやベッドなどの建造物等でないものを焼損した場合に成立する可能性のある犯罪です。

本件で、Aは、隣人V家族の話し声がうるさくてムカついていたという理由で、V宅に火を点けたようです。
V宅は、V家族が住居に使用している建造物ですから、本件では現住建造物等放火罪が成立する可能性があります。

現住建造物等放火罪

本件でAは、隣人V家族をこらしめてやろうと考えて、V宅の壁に火をつけたようです。
壁にライターで火をつける行為は、放火すなわち目的物の焼損を惹起させる行為と評価できるでしょう。

次に、V宅が焼損したことが必要です。
判例によれば、焼損とは、火が媒介物を離れて目的物にうつり、目的物が独立に燃焼を継続する状態のことを言います(大判大正7年3月15日)。
本件では、Aがライターの火を壁に当て続けることで、壁に炎が移り定着して燃え広がったようです。
したがって、炎がV宅の壁に定着し燃え広がり始めた時点で、独立に燃焼を継続する状態に至っていたと言えそうです。

以上より、本件では、現住建造物等放火罪が成立する可能性があります。

弁護士に相談を

現住建造物等放火罪の法定刑は、死刑又は無期もしくは5年以上の懲役と非常に重たいです。
執行猶予がつくためには、下される量刑が3年以下の懲役である必要がありますから、実刑判決が下される可能性が高く、有罪となった場合には今まで通り会社で働くことができず、解雇される可能性が非常に高いです。

現住建造物等放火罪を犯した場合、執行猶予がつくことはないのでしょうか?
この点、被害者との間で示談が成立していた場合、刑が減軽されて3年以下の懲役となれば、執行猶予がつく可能性があります。

本件Aのように犯人が逮捕されている場合には、自由に動くことができませんから実際に示談交渉することは困難です。
仮に自由に動けたとしても、V家族からすれば、Aは自宅に火をつけてきた加害者であるわけですから、示談交渉に応じてくれる可能性は低いです。

そこで、示談交渉は弁護士に一任されることをおすすめします。
加害者と直接連絡を取ることに強い抵抗を感じる被害者であっても、弁護士とであれば示談交渉に応じてくれることは珍しくありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、現住建造物等放火罪をはじめとする放火事件など刑事事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
刑事事件に詳しい弁護士に示談交渉を任せることで、執行猶予付き判決を得られるかもしれません。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
初回接見サービス無料法律相談のご予約は0120-631-881にて受け付けております。

« Older Entries

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら