【事例紹介】車に引きずり込み逮捕・監禁罪などで逮捕

車に引きずり込み逮捕・監禁罪などで逮捕された事例ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

男性を車に監禁し現金を奪うなどしたとして、京都府警右京署は4日、逮捕監禁と強盗、傷害の疑いで、京都府内に住む20~21歳の男女4人を逮捕し、無職の男(23)=別の逮捕監禁、強要の疑いで逮捕=を再逮捕した。
5人の逮捕容疑は、共謀し、7月29日午後11時半ごろ、京都市右京区の路上で、アルバイト男性(18)を軽乗用車内に引きずり込んで粘着テープで目隠しをし、手足を縛って1時間余り監禁。
車内で現金2千円などが入った財布を奪ったほか、京都府長岡京市の駐車場で男性の髪の毛を焼いたりバットで殴ったりして、打撲などを負わせた疑い。
5人は「殴ったりしていない」「身に覚えがない」などと容疑を否認しているという。
(後略)

(10月4日 京都新聞 「18歳男性を車に監禁、財布奪い髪燃やす 容疑で20代男女5人逮捕、否認」より引用 )

逮捕・監禁罪

大まかに説明すると、一定時間身体を縛るなどして自由に移動できないようにすることを「逮捕」、脱出が難しい場所に閉じ込めることを「監禁」といい、それぞれ逮捕罪監禁罪という犯罪で取り締まられています(まとめて逮捕・監禁罪というときもあります。)。

今回の事例では、男女5人が逮捕されていますが、被害者を車に引きずり込み、目隠しをして手足を縛った状態で1時間車の中で過ごさせたという行為が逮捕容疑の1つとなっているようです。
先ほど触れた通り、一定時間身体をしばり移動を制限すると「逮捕」にあたりますので、今回の容疑の内容となっている1時間目隠しをさせて手足を縛った行為には逮捕罪が適用されます。
また、脱出が難しい場所に閉じ込める行為は監禁になりますので、1時間車内に閉じ込めるという行為は監禁罪にあたります。

今回の事例の行為が事実とすれば、それぞれが「逮捕」行為と「監禁」行為にあたりますので、逮捕された男女が実際に容疑にかけられている行為をしていて有罪となった場合には、3月以上7年以下の懲役が科されることになります。(刑法第220条)

強盗罪

今回取り上げた事例では、逮捕された男女にかけられている容疑は、先ほど挙げた逮捕・監禁罪だけではなく、強盗罪も含まれているようです。
簡潔に説明すると、相手が抵抗できないような暴力または脅迫を行い、それによって人のものをとった場合は強盗罪にあたります。

今回の事例では、逮捕された男女に対して、車内で現金などが入った財布を被害者から奪いとったという容疑が掛けられているようです。
先ほど説明したように、強盗罪が成立するためには抵抗することができない程の暴力や脅迫が必要になります。
今回の事例について、車内での暴行や脅迫に関して記事内には記載されていませんが、容疑者らが強盗罪の容疑で逮捕されていることから、車内で何らかの暴行や脅迫が行われていたと考えられているのでしょう。
車の中は、被害者からすれば狭い空間であり簡単には逃げられない場所であるため、激しい暴行や脅迫でなくとも、被害者の抵抗が非常に困難な程度の暴行や脅迫であると考えられた可能性もあります。

仮に、車内で暴行や脅迫が行われなかった場合や、行われていても被害者が抵抗することが可能な程度であった場合は、強盗罪は成立せず窃盗罪や暴行罪、脅迫罪が成立することになると考えられます。

強盗罪の法定刑は5年以上の有期懲役です。(刑法第236条第1項)
強盗罪では懲役刑以外の刑罰が規定されていないので、否認が認められず有罪になった場合は、執行猶予を得ない限り懲役刑が下されることになります。

傷害罪

これらに加え、今回の事例では、逮捕された男女に傷害罪の容疑もかけられています。
傷害罪を簡単に説明すると、人に暴行を振るうなどして、その人にけがを負わせた場合に適用される犯罪です。
傷害罪で有罪になった場合は、15年以下の懲役か50万円以下の罰金が科されます。(刑法第204条)

今回の事例では、逮捕された男女に、長岡京市の駐車場で被害者をバットで殴り、打撲(けが)などを負わせたという容疑がかけられています。
人を殴ってけがをさせるという行為は、まさに傷害罪の典型例でもあります。
この容疑の内容が事実であるとすれば、逮捕された男女には傷害罪が成立することになるでしょう。

ここまで今回の事例で逮捕された男女にかけられている容疑を確認してきましたが、報道によれば、逮捕された男女は容疑を否認しているとのことです。
否認事件では、当事者の供述を得るためなどにより勾留が長引く可能性や、証拠隠滅や口裏合わせを疑われて一般の方との接見が禁止されるおそれがあります。
家族や友人と会うことを制限される中、連日にわたる取調べで否認を貫き通すことは容易なことではありません。

こうした中で、たとえ接見が禁止されたとしても、弁護士は接見を行うことができます。
否認を続けるうえで、弁護士によるアドバイスや捜査機関などへの働きかけは、あなたや家族にとってより良い結果をもたらすかもしれません。
まずは弁護士に相談してみる、弁護士と会ってみるということで把握できることもあるため、弁護士への相談は早いに越したことはありません。
逮捕・監禁罪、強盗罪、傷害罪、その他刑事事件で捜査、逮捕された方は刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

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