チケットの高額転売は処罰対象②~京都府迷惑行為等防止条例~

チケットの高額転売は処罰対象②~京都府迷惑行為等防止条例~

取調べを受ける男性

チケットの高額転売が社会問題になりつつありますが、罪に問われることはあるのでしょうか。
前回のコラムに引き続き、チケットの高額転売について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都市伏見区に住むAさんは、チケットの転売で利益を得ようと考え、人気アーティストのライブチケットを購入しました。
Aさんはそのチケットをインターネットで転売し、定価の数倍の値段でチケットを高額販売していました。
チケットには、高額転売を禁止することが記載されていましたが、Aさんは許可を得ることなく転売を行いました。
(この話は事実を基にしたフィクションです)

チケットの不正転売と法律

前回のコラムで解説したように、チケットの不正転売は、特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律(チケット高額転売禁止法)以外にも様々な法律で規制されています。

京都府迷惑行為等防止条例

例えば、京都府迷惑行為等防止条例ではチケットの不正転売について、以下のように規定されています。

京都府迷惑行為等防止条例第8条※一部省略しています。
1項 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、入場券等(省略)について、不特定の者に転売し、又は不特定の者に転売する目的を有する者に交付するため、立ちふさがり、つきまとい、呼び掛け、ビラその他の文書図画を配布し、若しくは掲出し、又は公衆の列に加わって、買い、又は買おうとしてはならない。
2項 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、転売する目的で得た入場券等を、不特定の者に対し、立ちふさがり、つきまとい、呼び掛け、ビラその他の文書図画を配布し、若しくは掲出し、又は入場券等を提示して、売り、又は売ろうとしてはならない。

京都府迷惑行為等防止条例では、公共の場所や乗物で入場券等を不特定の者に転売する行為などを規制しています。
公共の場所とは道路や駅などの不特定多数の人が出入りすることができる場所をいい、公共の乗物とは電車やバスなどの不特定多数の人が利用できる乗物を指します。

今回の事例のAさんはライブチケットをインターネット上で高額転売していたようです。
インターネットは不特定多数の人が利用できるとはいえ「公共の場所」にあたるかどうかは判然とせず、インターネット上でチケットを不正転売する行為が京都府迷惑行為等防止条例の規定に該当するかどうかは意見が分かれそうです。

一方で、チケット高額転売禁止法第3条では「何人も、特定興行入場券の不正転売をしてはならない。」と、場所などを限定することなくチケットの不正転売を規制しています。
京都府迷惑行為等防止条例で抱えていたインターネット上での不正転売が規制の対象となるのかという問題について、チケット高額転売禁止法では解消しているといえます。
ですので、今回の事例のAさんのようにインターネット上でチケットの不正転売を行った場合には、京都府迷惑行為等防止条例違反が成立する可能性は低いと考えられます。
ですが、京都府迷惑行為等防止条例の規定に該当するのであれば、京都府迷惑行為等防止条例違反は成立する可能性がありますし、京都府迷惑行為等防止条例違反に該当しない場合にはその他の罪に問われる可能性がありますので注意が必要です。

ちなみに、チケットの不正転売により京都府迷惑行為等防止条例違反で有罪になった場合には、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。(京都府迷惑行為等防止条例第10条1項)
また、常習していたと判断された場合には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されることになります。(京都府迷惑行為等防止条例第10条2項)

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、無料法律相談を行っています。
チケットの不正転売は、チケット高額転売禁止法京都府迷惑行為等防止条例など様々な法律で規制されています。
チケットの不正転売を行うことで何らかの罪に問われる可能性がありますから、チケットの不正転売のことで捜査を受けている方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部ご相談ください。

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