【事例紹介】手紙を送り、京都府迷惑行為等防止条例違反の容疑で逮捕

「保険金詐欺の犯罪者」などと書かれた手紙を送り、京都府迷惑行為等防止条例違反の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

交通事故の訴訟で敗訴したことを逆恨みし、訴訟相手に「くず人間」などと記した手紙を送ったとして、京都府警向日町署は31日、大山崎町の無職の男(64)を府迷惑行為防止条例違反(つきまとい行為等の禁止)容疑で逮捕した。
(中略)男性(47)に対し、「保険金詐欺の犯罪者」「大うそつきのくず人間、事故のでっちあげ」などと書いた手紙を13回郵送し、不安にさせるなどした疑い。「私が残した記録とつき合わせるまで何も言えません」と供述しているという。

(2月1日 読売新聞 「大うそつきのくず人間・詐欺の犯罪者…敗訴して相手逆恨み、13回手紙を郵送」より引用)

京都府迷惑行為等防止条例

京都府迷惑行為等防止条例第6条では、係争などに起因する妬み、恨みなどの悪意の感情(ストーカー規制法で規定されているものを除く)により、つきまとい行為等を行うことを禁止しています。

また、京都府迷惑行為等防止条例第6条に違反し有罪になった場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。(京都府迷惑行為等防止条例第10条2項)
加えて、常習的に行っていた場合は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されることになります。(京都府迷惑行為等防止条例第10条4項)

つきまとい行為等

京都府迷惑行為等防止条例第6条では、以下の8つの行為をつきまとい行為等として規定しています。

1、つきまとい、待ち伏せし、進路に立ち塞がり、住居等の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
2、その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
3、面会その他の義務のないことを行うことを要求すること。
4、著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
5、電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、若しくはファクシミリ装置その他電気通信の手段を用いて送信すること。
6、汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
7、その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
8、その性的羞恥心を害する事項を告げ、若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し、若しくはその知り得る状態に置くこと。

今回の事例では、容疑者が「保険金詐欺の犯罪者」などと書いた手紙を13回郵送したとされています。
「保険金詐欺の犯罪者」という言葉は、名誉を害する事項にあたると思われます。
名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くことは、京都府迷惑行為等防止条例第6条7号に違反することになりますので、報道が事実であった場合には京都府迷惑行為等防止条例違反が成立するする可能性があります。

ストーカー規制法

今回の事例では、容疑者が京都府迷惑行為等防止条例違反(つきまとい行為等の禁止)の容疑で逮捕されています。
つきまとい行為といえばストーカー行為等の規制等に関する法律(以下「ストーカー規制法」といいます)をイメージする方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ストーカー規制法京都府迷惑行為等防止条例では何が違うのでしょうか。

ストーカー規制法では、恋愛感情や好意の感情、それが満たされなかったことに対する怨恨の感情によるつきまとい行為等を規制しています。
一方で、京都府迷惑行為等防止条例では、好意の感情などに関係なく、悪意の感情によるつきまとい行為等を規制しています。
京都府迷惑行為等防止条例第6条では好意の要件について「ストーカー規制法で規定されているものを除く」と定めていることからも、京都府迷惑行為等防止条例は、ストーカー規制法では対応できない部分をカバーしているのでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を中心に扱う法律事務所です。
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