落書き器物損壊事件で現行犯逮捕

落書き器物損壊事件で現行犯逮捕

外国人観光客Aさんは、観光で京都府宮津市を訪れました。
その際、道端にあった看板に、Aさんは持っていたラッカースプレーで自分のデザインしたイラストを落書きしました。
通行人がその様子を目撃して通報したため、Aさんは京都府宮津警察署器物損壊罪の容疑で現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんは「落書きではなくアートだ」と主張しています。
(※令和元年5月22日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・落書きで器物損壊罪?

今回Aさんが疑われている犯罪は刑法に規定されている器物損壊罪です。

刑法261条(器物損壊罪)
前3条(注:公文書等毀棄罪、私用文書等毀棄罪、建造物等損壊罪)に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪のいう「損壊」とは、物理的にその物を破壊する行為だけでなく、その物本来の効用を失わせる行為であると捉えられています。
例えば、看板を取り外して空き地に投げ捨てる行為は、看板というその物本来の効用=人の目に触れさせて広告・宣伝を行うという役目を失わせる行為であると言えます(最判昭和32.4.4)。
ですから、たとえその物が物理的に壊れているわけではなくとも器物損壊罪が成立することが分かります。

さて、今回のAさんは、看板にラッカースプレーでイラストを落書きしています。
看板は先ほど触れたように、何かしらを掲示することで人の目に触れさせ、広告・宣伝を行うものです。
その上に落書きをしてしまえば、看板本来の役目を果たすことはできなくなりますから、この落書き行為は「損壊」にあたり、器物損壊罪が成立するでしょう。
Aさん自身は「アートである」と主張をしているようですが、落書きでもアートでも、勝手に「損壊」行為をして器物損壊罪を犯してよいというわけではありませんので、器物損壊罪の成立には影響しないと思われます。

・現行犯逮捕と外国人

まさに犯行中であったり犯行をし終えていたりした場合、現行犯逮捕をされる可能性があります。
現行犯逮捕は冤罪の危険性が少ないため、私人(捜査機関以外の一般人)であってもできる逮捕であり、さらに逮捕の際に逮捕状を必要としない逮捕です。

Aさんのように外国人観光客であったとしても、日本で日本の法律に触れる行為をすれば、日本の刑事事件の手続きにのっとって処理されます。
ですから、犯罪行為をすれば現行犯逮捕されてしまうことも十分考えられます。
ここで注意したいのは、現行犯逮捕されてしまった外国人の方が、自分に何が起こっているのか、どういった手続きがなされるのか、という日本の刑事事件の流れを把握していない可能性が大きいということです。
外国人の方は、そもそも日本語がよく分からない、という方も多いです。
そんな中、専門用語も多く使われる刑事事件では、なかなか自分の状況や持っている権利が把握できないという状況に陥ってしまうおそれがあります。
だからこそ、現行犯逮捕されてしまった際には、迅速に弁護士にアドバイスをもらうよう手配することが望ましいのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕されてしまった外国人の方にも分かりやすく刑事事件についてのお話ができるよう、初回接見の際には通訳人の手配を行っています。
刑事事件専門の法律事務所だからこそ、外国人の方の起こしてしまった刑事事件にも素早く対応が可能です。
まずはお問い合わせから、0120-631-881までお電話ください。

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