「お前の店に火をつけるぞ」恐喝の疑いで飲食店経営の男を逮捕
「お前の店に火をつけるぞ」と恐喝した疑いで飲食店経営の男が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
事例
京都府東山警察署は、祇園エリアで飲食店を経営する男性Aを恐喝罪の疑いで逮捕した。
Aは、集客のため「店長とじゃんけんして買ったら代金無料!(負けたら倍額お支払い)」という施作を店頭に看板を設置して行ったところ、店舗の向かいで同じく飲食店を経営するVが、Aの断りなく同じキャンペーンをSNSをフル活用して行った。
V店舗のSNSがバズった結果、V店舗はそのキャンペーンを代名詞として有名となった。
内心Aは心穏やかでなかったため、AもSNSを使って宣伝をしたところ、逆に「AがVの真似をしている」として炎上してしまい、店には嫌がらせの電話が来るようになり休業するに至った。
我慢の限界に達したAは、V店舗に突撃し「お前がパクったんやろうが!店閉じなあかんなって商売あがったりや!賠償金として300万寄こせ!払わんならお前の店に火つけたるからな!」と言ってAから100万円を脅しとった。
(フィクションです)
恐喝罪とは
刑法249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
本件で、Aは、自身が始めた施作をあたかも自分がパクったかのような扱いを受けて休業することになってしまったため賠償金という名目で、Vに対して店に火をつけるぞと脅して100万円を支払わせたようです。
Aは、Vに対して、100万円という財物を自身に交付させていますから、Aの発言が恐喝に当たる場合には、恐喝罪が成立する可能性があります。
恐喝とは、①財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫または暴行であって、②その反抗を抑圧するに至らない程度の行為を言います。
本件で、Aは、Vに対して賠償金として300万円を要求し、払わないのであればVの店に火をつけると脅したようです。
Vの店に火をつけるというのは、Vの財産に対する害悪の告知と言えそうですから、
Aの発言は、財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫に該当しそうです(①)。
次に、Aの発言は反抗を抑圧するに至らない程度かどうかが問題となります(②)。
反抗を抑圧する程度の脅迫というのは、例えば、拳銃の銃口を突きつけながら「金を出さないと殺す」などと脅すような場合がこれに当たります。
この場合、言われた通りお金を差し出すほかないでしょうから、反抗を抑圧する程度の脅迫と言えます。
Aは、Vの店を燃やすと脅しているので、Vとしては恐怖を感じたと思われますが、口頭で言われただけです。
例えばガソリンを持ってきてV店舗に撒き散らし、右手のチャッカマンを見せつけながら「火をつけるぞ」と脅されたのであれば、反抗は困難であったでしょうが、本件では、そうではなさそうですから、反抗をすることが困難であったとまでは言えなさそうです(②)。
以上より、Aの発言は、恐喝に当たり、Aには恐喝罪が成立する可能性があります。
なるべく早く弁護士に相談を
恐喝罪の法定刑は10年以下の懲役です。
執行猶予がつくためには、量刑が3年以下であることが条件の1つですから、恐喝罪を犯してしまった場合、執行猶予がつかない可能性があります。
量刑を3年以下にしてもらう可能性を高めるためには、被害者との間で示談を成立させることができるかが重要となります。
示談交渉は、逮捕されているかどうかに関わらず、ご自分で行うことは望ましくありません。。
恐喝の被害者は加害者に脅されて金銭などの財物を無理やり差し出させた相手なわけですから、加害者のことを怖いと思っている可能性があります。
したがって、加害者本人が謝罪するために連絡してきたとしても応じてくれない可能性が高いです。
そこで、示談交渉は弁護士に一任することをおすすめします。
加害者本人ではなくその弁護士が相手であれば、被害者が示談交渉に応じてくれることは珍しくありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、恐喝事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成功させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、量刑を軽くしたり執行猶予付判決や不起訴処分を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
お電話は0120-631-881で承っています。