マスクの高額転売で刑事事件①

2020-03-19

マスクの高額転売で刑事事件①

マスク高額転売刑事事件へ発展したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市南区に住んでいるAさんは、新型の感染症が流行していることでマスクの品切れが続いていることに乗じて、マスクを転売して儲けようと考えました。
そこでAさんは、ドラッグストアやスーパーマーケットでマスクを買い占めると、通常販売価格の10倍以上の値段をつけてフリマアプリやショッピングサイトに出品・売買し、いわゆる高額転売を行いました。
すると後日、京都府南警察署の警察官がAさん宅を訪れ、Aさんはマスク高額転売をしたことで警察から話を聞かれることとなってしまいました。
Aさんは、マスク高額転売刑事事件に発展するとは思いもよらず、刑事事件に強い弁護士に相談することとしました。
(※この事例はフィクションです。)

・マスクの高額転売で刑事事件?

現在、新型肺炎の影響でマスクの品切れ状態が続いているところが多いようです。
そんな中、Aさんのようにマスクを買い占め、通常の販売価格以上の高額で転売する行為が多く見られています。
こうした事態を受け、つい先日、「国民生活安定緊急措置法施行令」という政令が改正され、3月11日に公布、3月15日に施行されました。
これにより、マスク高額転売をした場合、刑事事件となる可能性が出てくることになったのです。

そもそも、国民生活安定緊急措置法とはどういった法律なのでしょうか。
国民生活安定緊急措置法は、第一次オイルショックの際にできた法律です。
なかなか聞くことのない法律名ですが、国民生活安定緊急措置法の目的は以下のように決められています。

国民生活安定緊急措置法1条
の法律は、物価の高騰その他の我が国経済の異常な事態に対処するため、国民生活との関連性が高い物資及び国民経済上重要な物資の価格及び需給の調整等に関する緊急措置を定め、もつて国民生活の安定と国民経済の円滑な運営を確保することを目的とする。

第一次オイルショックでは、物価が急激に上昇し、トイレットペーパーの買い占め騒動が起こるなどしました。
こうした事態に対応するためにできたのが国民生活安定緊急措置法なのです。
国民生活安定緊急措置法では、物価の高騰やそのおそれによって生活と関連性が高い物についての価格の著しい上昇やそのおそれがあるとき、その生活と関連性が高い物について「生活関連物資等」として指定することができます。
第一次オイルショック時には、国民生活安定緊急措置法国民生活安定緊急措置法施行令によってトイレットペーパーが指定物資とされ、標準価格が定められたことがあります。

今回のマスク高額転売に関わるのも、この国民生活安定緊急措置法国民生活安定緊急措置法施行令です。
国民生活安定緊急措置法では、先ほど触れたトイレットペーパーのように指定物資の標準価格を定めることだけでなく、指定物資の供給が著しく不足し、相当期間その需要と供給のバランスを回復させることが難しい場合には、国民生活安定緊急措置法施行令によって指定物資の譲渡等について制限等を設けることができるうえ、それに違反した物については刑罰を科すことを定めることができるとされています。

国民生活安定緊急措置法26条1項
物価が著しく高騰し又は高騰するおそれがある場合において、生活関連物資等の供給が著しく不足し、かつ、その需給の均衡を回復することが相当の期間極めて困難であることにより、国民生活の安定又は国民経済の円滑な運営に重大な支障が生じ又は生ずるおそれがあると認められるときは、別に法律の定めがある場合を除き、当該生活関連物資等を政令で指定し、政令で、当該生活関連物資等の割当て若しくは配給又は当該生活関連物資等の使用若しくは譲渡若しくは譲受の制限若しくは禁止に関し必要な事項を定めることができる。

国民生活安定緊急措置法37条
第26条第1項の規定に基づく政令には、その政令若しくはこれに基づく命令の規定又はこれらに基づく処分に違反した者を5年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する旨の規定及び法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して当該違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する旨の規定を設けることができる。

つまり、今回のマスク高額転売に対する規制は、この国民生活安定緊急措置法26条1項と37条に基づいて国民生活安定緊急措置法施行令が改正されたことによるということなのです。
その詳しい内容については次回の記事で触れていきます。

新しく法律や政令が改正された場合、報道で「何をしたらどれだけの刑罰があるか」は簡単に触れられていても、具体的にどういった法律や政令に違反するのか、どのような行為がどういった条文に基づいて処罰されるのか、自分の行為のどこが違反するのか等、細かいことが分からないことも多いでしょう。
刑事事件専門弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、そういった刑事事件の細かい疑問にも、専門家である弁護士が丁寧にお答えいたします。
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