ガールズバーで刑事事件①児童福祉法違反
ガールズバーで刑事事件となったケースで、特に児童福祉法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都市南区でガールズバーを経営していたAさんは、17歳のVさんを、18歳未満だと知りながら雇い、接客の際に性的な行為をさせていました。
しかしある日、Aさんの店に、京都府南警察署の警察官が訪れ、Aさんは児童福祉法違反と風営法違反の容疑で、京都府南警察署に逮捕されてしまいました。
どうやらAさんの店では、しばらくの間京都府南警察署による内偵捜査が行われていたようです。
Aさんの家族は、児童福祉法や風営法という法律を聞いたことがなかったため、刑事事件を専門とする弁護士に詳しく聞いてみることにしました。
そこで、Aさんの家族は、まずは逮捕されているAさんに会いに行ってもらうよう、弁護士に依頼することにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・ガールズバーで刑事事件
ガールズバーとは、通常、カウンター越しに女性が接客する態様のバーを指します。
キャバクラ等は客の隣に従業員の女性、いわゆるキャバ嬢が座って接客する形になりますが、ガールズバーではカウンター越しでの接客になります。
こうしたガールズバーの形態で営業しているバーは多く存在しますが、そんなガールズバーで刑事事件が起こってしまうことがあります。
今回は、Aさんの逮捕容疑である風営法違反と児童福祉法違反について詳しく注目していきます。
・ガールズバーで児童福祉法違反
児童福祉法という法律は、文字通り、児童の福祉の保障のための法律で、児童の健やかな成育や生活の保障、愛護などを理念とし、児童のための施設や禁止行為について規定しています。
児童福祉法では、満18歳未満の者を「児童」と定義しています。
今回の事例のAさんがガールズバーで働かせていたVさんは17歳ですから、児童福祉法の「児童」であることになります。
児童福祉法34条6号では、「児童に淫行をさせる行為」を禁止しており、これに違反して児童に淫行をさせた場合、10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はその併科という刑に処されます(児童福祉法60条1項)。
児童福祉法34条
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
6号 児童に淫行をさせる行為
児童福祉法60条1項
第34条第1項第6号の規定に違反した者は、10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
「淫行」とは、「広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性行為類似をいうもの」と解されています(最判昭和60.10.23)。
この解釈からすると、上記事例のAさんはガールズバーを経営する立場にあり、Vさんを17歳と知りながら雇って接客をさせ、性的な行為をさせていたのですから、「淫行」をさせていたと考えられます。
つまり、Aさんの行為は「児童に淫行をさせる行為」を禁止している児童福祉法の条文にあたり、児童福祉法違反に当たると考えられます。
なお、この他にも「満15歳に満たない児童に酒席に侍する行為を業務としてさせる行為」(児童福祉法34条5号)などが児童福祉法違反とされていますから、もしもAさんのガールズバーで「満15歳に満たない児童に主席に侍する行為を業務としてさせる行為」が行われていたとすれば、Aさんはこちらの行為についても児童福祉法違反になると考えられます。
児童福祉法違反事件の量刑については、初犯でも執行猶予がつかずに実刑判決が下る可能性があります。
特に、今回の事例のAさんのように、児童福祉法違反の店を経営していたような場合や、児童を何人も雇って性的な行為を繰り返させていたような場合は、下される判決が重くなることが予想されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門の弁護士が児童福祉法違反事件にお困りの方のお力になります。
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次回の記事では風営法違反について取り上げます。