「淫行」をしたら何罪?

「淫行」をしたら何罪?

淫行」をしたら何罪になるのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市下京区に住むAさんは、SNSとメッセージアプリを通じて高校2年生のVさんと知り合いました。
Vさんと親しくなったAさんは、Vさんと食事をすることになりました。
京都市下京区の飲食店でVさんと食事をした後、AさんとVさんは近くのホテルへ向かい、そこで性交をしました。
その後、2人はそろってホテルを出たのですが、巡回中の京都府下京警察署の警察官から職務質問を受けたことで、Vさんが18歳未満であることと、Aさんと性交したことが発覚しました。
Aさんは児童買春の容疑で逮捕されてしまいましたが、Aさん自身としてはお金を払って性交したわけではないと容疑を否認しています。
そこでAさんは、家族が依頼して接見に訪れた弁護士に、自分の認識でも児童買春となってしまうのか相談しました。
(※この事例はフィクションです。)

・18際未満の者との性交で成立する犯罪

時折ニュースでも聞かれる「淫行」や「児童買春」が18歳未満の者との性交等によって成立する犯罪であるということは、ご存じの方も多いでしょう。
ぼんやりとでも「18歳未満の者と性交等をすれば犯罪になる」とだけ認識している方もいらっしゃるかもしれません。
その通り、18歳未満の者と性交等をすれば、その態様によって、いわゆる「淫行」や「児童買春」といった犯罪になりえます。
では、その「淫行」や「児童買春」はどういった犯罪で、それぞれの違いはどういったところにあるのでしょうか。

・「淫行」とは

報道などでもよく聞かれる「淫行」ですが、実は「淫行」という犯罪があるわけではありません。
「淫行」とは、各都道府県の青少年健全育成条例が禁止している、青少年=18歳未満の者との「みだらな行為」や「淫行」をしてしまったことによる青少年健全育成条例違反のことを指しています。

京都府の場合、「青少年の健全な育成に関する条例」という条例があり、その中で18歳未満である青少年との淫行を禁止している条文があります。

青少年の健全な育成に関する条例第21条第1項
何人も、青少年に対し、金品その他財産上の利益若しくは職務を供与し、若しくはそれらの供与を約束することにより、又は精神的、知的未熟若しくは情緒的不安定に乗じて、淫行又はわいせつ行為をしてはならない。

淫行」の定義については、過去の判例で「青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為」とされています(最判昭和60.10.23)。
この定義から、例えば結婚を前提とした真剣交際のような場合には、この「淫行」には当たらないと考えられています。

京都府の場合、18歳未満の者との淫行をして青少年健全育成条例違反となった場合、以下の刑罰に処せられます。

青少年の健全な育成に関する条例第31条第1項
次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第1号 第21条の規定に違反した者

なお、京都府の場合、淫行に関して相手の年齢を知らなかったという場合でも、以下の規定があることに注意が必要です。

青少年の健全な育成に関する条例第31条第7項
第13条の2第4項、(略)、第21条、(略)の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第1項から第3項まで、第4項(第4号に係る部分に限る。)及び第5項(第2号、第5号、第6号及び第10号に係る部分を除く。)の処罰を免れることができない。
ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失がないときは、この限りでない。

すなわち、単に相手の年齢を知らなかった(相手が18歳未満だと思わなかった)と言っても、過失がない場合をのぞいて淫行となってしまうということなのです。
例えば、単に年齢を聞いていなくて18歳以上だと思い込んでいたというような場合には、年齢を確認していない過失があるとされ、淫行となってしまうと考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、淫行事件のご相談・ご依頼も多く承っています。
京都府淫行事件にお困りの際は、お気軽に弊所弁護士までご相談ください。

次回の記事では18歳未満の者と性交等をした際に成立が考えられるもう1つの犯罪「児童買春」について詳しく取り上げます。

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