チケット転売事件で逮捕されたら
チケット転売事件で逮捕されてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都市下京区に住んでいるAさんは、有名歌手のコンサートチケットなどを高い値段で転売して生活していました。
そしてAさんはある時、Xという歌手のコンサートの指定席のチケットをインターネット上で購入し、通常の3倍の価格で転売を行いました。
Xのコンサートは京都市下京区内で開催予定であり、チケットにはAさんの氏名と連絡先、そして転売禁止の文言が書かれていました。
しかし、後日、Aさんの自宅に京都府下京警察署の警察官が来て、Xのチケットを転売したことについてのチケット転売禁止法違反の容疑で、Aさんは逮捕されてしまいました。
Aさんが逮捕されたという連絡を受けたAさんの家族は、急いで京都市の刑事事件やその逮捕に対応している弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・チケット不正転売禁止法とは
チケットの不正転売を禁止した法律の正式名称は、「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」と言います(以下「チケット不正転売禁止法」とします。)。
チケット不正転売禁止法は、令和元年6月14日に施工された施行された、比較的新しい法律です。
この法律では、以下の行為が禁止されています。
チケット不正転売禁止法
第3条(特定興行入場券の不正転売の禁止)
何人も、特定興行入場券の不正転売をしてはならない。
第4条(特定興行入場券の不正転売を目的とする特定興行入場券の譲受けの禁止)
何人も、特定興行入場券の不正転売を目的として、特定興行入場券を譲り受けてはならない。
第9条(罰則)
第1項 第3条又は第4条の規定に違反した者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
そして、ここでいう特定興業入場券とその不正転売については、チケット不正転売禁止法第2条で規定されています。
チケット不正転売禁止法第2条
第3項 この法律において「特定興行入場券」とは、興行入場券であって、不特定又は多数の者に販売され、かつ、次の要件のいずれにも該当するものをいう。
第1号 興行主等(中略)が、当該興行入場券の売買契約の締結に際し、興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨を明示し、かつ、その旨を当該興行入場券の券面に表示し又は当該興行入場券に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器(中略)の映像面に当該興行入場券に係る情報と併せて表示させたものであること。
第2号 興行が行われる特定の日時及び場所並びに入場資格者(中略)又は座席が指定されたものであること。
第3号 興行主等が、当該興行入場券の売買契約の締結に際し、次に掲げる区分に応じそれぞれ次に定める事項を確認する措置を講じ、かつ、その旨を第一号に規定する方法により表示し又は表示させたものであること。
イ 入場資格者が指定された興行入場券 入場資格者の氏名及び電話番号、電子メールアドレス(中略)その他の連絡先(以下略)
ロ 座席が指定された興行入場券(イに掲げるものを除く。) 購入者の氏名及び連絡先
第4項 この法律において「特定興行入場券の不正転売」とは、興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償譲渡であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするものをいう。
長い条文ですが、簡単にまとめると、
①不特定多数の人に販売されたイベントのチケット
②転売の禁止することが販売時とチケットに明示されたもの
③日時と入場できる人又は座席が指定されているもの
④主催者などが入場できる人や購入者の名前と連絡先を確認しチケットに記載があるもの
がチケット不正転売禁止法の「特定興業入場券」に当たります。
そして、この「特定工業入場券」に当たるチケットを主催者の同意を得ないで販売価格以上で販売することや、そのために他の第三者から「特定興業入場券」に当たるチケットを買うことが禁止されています。
今回のAさんの事例ではどうでしょうか。
Aさんの購入したチケットは、インターネット上で販売された転売禁止の座席指定のチケットであり、Aさんの名前も記載されていることからすれば、チケット不正転売禁止法の定める「特定興業入場券」に当たる可能性が高いです。
Aさんはそのチケットを定価の3倍以上の値段で転売しているので、この行為は不正転売に当たり、チケット不正転売禁止法違反に問われる可能性があるといえるでしょう。
・チケットの転売で他の犯罪も成立する?
今回は、チケット不正転売禁止法に焦点を当てて検討しましたが、不正転売を目的として購入する行為については詐欺罪が成立する可能性もあります。
どういった行為にどの犯罪が成立するのかは、刑事事件や法律の専門的知識がなければ判断することが難しいです。
だからこそ、刑事事件の当事者となってしまったら、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
チケット不正転売禁止法違反事件などの刑事事件にお困りの際は、お気軽にご相談下さい。