盗撮用カメラの設置だけでも刑事事件に

2021-06-28

盗撮用カメラの設置だけでも刑事事件に

盗撮用カメラの設置だけでも刑事事件になりえるということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府綾部市に住んでいる男性会社員Aさんは、以前から盗撮に興味があり、ついに自分で小型カメラを購入すると、近所のファミリーレストランのトイレの個室内にカメラを設置しました。
Aさんは女性の下着姿や下着を脱いでいる姿を盗撮したいと思っていたのですが、

①カメラがうまく作動せず、結局トイレの様子は撮影できていませんでした。

②トイレが男女共用であったこともあり、カメラを仕掛けてからトイレを利用したのは男性客のみであり、盗撮できていたのは男性客がトイレを利用する様子だけでした。

しばらくして、トイレの個室内にカメラがあることに気が付いた客が店員に相談したことがきっかけで京都府綾部警察署に通報され、捜査の結果、Aさんは盗撮のためにカメラを設置した京都府迷惑防止条例違反の容疑で話を聞かれることになりました。
Aさんは、「目的通りのものが撮影できていなかったのに犯罪になるのか」と思い、盗撮事件を含む刑事事件を扱う弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・盗撮に関わる迷惑防止条例

多くの盗撮事件では、今回の事例のAさんが容疑をかけられているような迷惑防止条例違反という犯罪が成立します。
迷惑防止条例は、各都道府県ごとに定められている条例で、例えば京都府では「京都府迷惑行為等防止条例」という条例が定められています。
こうした迷惑防止条例では、公共の場所や乗物(都道府県によってはその他の場所も含む)での盗撮行為が禁止されていることが多く、そのため、先ほど触れたように盗撮事件ではこの迷惑防止条例に違反したという犯罪が成立することが多いのです。
当然、盗撮をしようとして目的通り盗撮を成し遂げた場合には、盗撮をしたことによる迷惑防止条例違反となることに不思議はないでしょう。
しかし、今回のAさんの事例の①や②のように、当初の目的とは異なる結果になってしまった場合はどうなるのでしょうか。

①の場合
今回のAさんの事例で①のように、盗撮目的でカメラを設置したものの結果的に撮影ができていなかったような場合は、盗撮できていなかったのだから犯罪とはならないのではないかと思う方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、京都府迷惑防止条例では、盗撮行為の禁止に関して、未遂罪の規定を置いているわけではありません(未遂罪が処罰されるには未遂罪の規定がなければいけません。)。
しかし、京都府迷惑防止条例には、盗撮行為自体以外の盗撮に関連する行為についても禁止している条文があります。

京都府迷惑防止条例第3条第4項
何人も、第1項に規定する方法で第2項に規定する場所若しくは乗物にいる他人の着衣等で覆われている下着等又は前項に規定する場所にいる着衣の全部若しくは一部を着けない状態にある他人の姿態を撮影しようとして、みだりに撮影機器を設置してはならない。

「第1項に規定する方法」とは、京都府迷惑防止条例第3条第1項にある「他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法」のことを指しています。
例えば、今回のAさんの事例のようにトイレの個室内にカメラを設置してトイレを利用する様子を盗撮するといった方法は、一般的に他人に恥ずかしいという感情を持たせたり、不安感や嫌悪感を抱かせたりするような方法と言えるでしょう。

また、「第2項に規定する場所若しくは乗物」とは、京都府迷惑防止条例第3条第2項の「公共の場所、公共の乗物、事務所、教室、タクシーその他不特定又は多数の者が出入りし、又は利用する場所又は乗物」のことを指します。
さらに、「前項に規定する場所」とは、京都府迷惑防止条例第3条第3項の「住居、宿泊の用に供する施設の客室、更衣室、便所、浴場その他人が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」を指します。
ですから、今回のAさんの事例のような飲食店内のトイレといった場所は、これらの場所に当てはまることになるのです。

そして、これらの方法でこれらの場所に盗撮目的で「みだりに撮影機器を設置」することがこの条文で禁止されているのですから、①のようにたとえ撮影が出来ていなかったとしても迷惑防止条例違反となるのです。

②の場合
今回のAさんの事例の②では、Aさんが盗撮しようと思っていた女性客ではなく、男性客が撮影されています。
「同性だからいいではないか」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、迷惑防止条例では盗撮行為の被害者の性別を限定することはしていません。
ですから、たとえ撮影されたのが同性であっても、盗撮する目的の人物でなくても、盗撮による迷惑防止条例違反は成立することになります。

京都迷惑防止条例第3条第2項
何人も、公共の場所、公共の乗物、事務所、教室、タクシーその他不特定又は多数の者が出入りし、又は利用する場所又は乗物にいる他人に対し、前項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 通常着衣等で覆われている他人の下着等を撮影すること。

京都府迷惑防止条例第3条第3項
何人も、住居、宿泊の用に供する施設の客室、更衣室、便所、浴場その他人が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる他人に対し、第1項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 当該状態にある他人の姿態を撮影すること。

当然、被害者感情としても、「同性だから盗撮されてもよい」とはならないでしょうから、容疑に間違いがないのであれば、真摯に被害者対応をしていくことも大切となるでしょう。

盗撮というと、実際に撮影できて初めて刑事事件となるというイメージの方もいらっしゃるかもしれませんが、カメラを設置するだけでも刑事事件化する可能性もあります。
態様によっては迷惑防止条例違反だけでなく、別の犯罪も成立する可能性もありますから、まずは刑事事件の専門家である弁護士に、成立しうる犯罪や対応を聞いてみることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、こうした盗撮に関連する刑事事件のご相談・ご依頼も承っていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。