Archive for the ‘性犯罪’ Category

身に覚えのない痴漢事件で高圧的な取調べを受けた

2022-02-18

身に覚えのない痴漢事件で高圧的な取調べを受けた

身に覚えのない痴漢事件の高圧的な取調べを受けた場合の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、京都市南区内を走る満員電車に乗車中、隣の女性から急に声をかけられ、「私に触りましたよね。次の駅で降りてください」と告げられました。
Aさんとしてはまったく身に覚えのないことでしたが、触っていないことを真摯に説明すれば理解してもらえると思い、次の駅で電車を降車しました。
しかしながら、被害を訴える女性はAさんの話を全く信用しようとせず、Aさんはそのまま駆け付けた鉄道警察隊によって京都府南警察署に連れて行かれてしまいました。
京都府南警察署では、Aさんは非常に高圧的な取調べを受け、勝手に作成された調書にサインするよう執拗に要求されたり、「被害者の気持ちを理解する気はないのか。お前、本当に人間なのか」、「お前はすべての女性の敵だ」などと人格を否定するような言葉を浴びせられています。
すでにAさんは女性によって現行犯逮捕された扱いとなっており、現在は留置場の中で不安にかられている状態です。
(フィクションです)

~身に覚えのない疑いである痴漢事件~

痴漢行為が許されるものではないことは誰においても明らかですが、身に覚えのない痴漢の疑いで逮捕されたり、前科がつくこともあってはなりません。
ケースの事件は、典型的な痴漢冤罪事件のようです。

今回のケースでは、Aさんはすでに逮捕されてしまっています。
一刻も早く外に出なければ、無断欠勤をしたとして解雇されてしまうなど、Aさんの社会的立場は日に日に危うくなるでしょう。

また、かなり高圧的な取調べが行われているようですから、外に出るためにやってもいない事件の自白をしてしまうおそれもあります。

さらに、身体拘束が及ぼす心身への悪影響も懸念されます。
このような場合は、すぐに弁護士を依頼して、早期の身柄解放を目指した弁護活動を行ってもらうことを強くおすすめします。

弁護士は、現状のAさんの力になれるほとんど唯一の味方といっていいでしょう。
逮捕などの身体拘束を受けると、非常に孤独な環境で、強大な権限を持つ捜査機関と向き合わなければなりません。
Aさんのために活動してくれる弁護士は、大きな心の支えとなるでしょう。

~今回のケースの問題点~

身に覚えのない疑いで逮捕されてしまったことがすでに大きな問題といえますが、取調官が非常に高圧的な取調べを行っていることも問題です。
最近では、取調室で暴力が振るわれることは少なくなったように思われますが、大声で怒鳴りつける、調書へサインするよう強く迫る、人格を否定する言葉を浴びせるなどの取調べは現在でも存在します。

このような取調べは当然ながら不当なものであり、即刻止めるように抗議する必要があります。
怒鳴りつけるなどの高圧的な取調べ、調書へのサインの強要、人格を否定するような言葉を浴びせられた場合には、すぐに弁護士に報告し、抗議を行ってもらいましょう。

抗議の方法として、警察署長宛の抗議文の送付、刑事課に赴いて直接抗議を行うことなどが考えられます。
その他、担当の取調官を変更してもらう、身体拘束を行う施設を拘置所へ移してもらう(拘置所は法務省の施設なので、警察とは一定の距離を置くことができます)、検察官に抗議を行うことなどが想定されるでしょう。

高圧的な取調べが長時間、長期間続けば、強いストレス、恐怖心が生じます。
ストレスや恐怖心は、身に覚えのない自白につながります。
冤罪「被害」の回避のために、すぐに弁護士と相談することが重要ですが、「弁護士と相談するとまた取調べでひどい目に遭うのではないか」と躊躇してしまう場合もあるかもしれません。
しかしながら、このような不当な取調べを甘受する必要は全くありません。
勇気をもって、取調室で起きていることを弁護士に打ち明け、対策をとってもらいましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件少年事件を多数取り扱ってきた法律事務所です。
ご家族が痴漢の疑いで逮捕されてしまいお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

高校の更衣室での盗撮事件は何罪に?

2022-02-07

高校の更衣室での盗撮事件は何罪に?

高校更衣室での盗撮事件は何罪に当たるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府城陽市にある高校に勤務する教師です。
Aさんは、度々インターネットで未成年の女子のヌード画像などを購入していましたが、そのうちに、「自分でも撮影してみたい」と考えるようになり、ついに勤務先の高校の更衣室にカメラを設置し、女子生徒の更衣室盗撮するようになりました。
しかし、ある日、京都府城陽警察署が児童ポルノ販売事件を捜査していたところ、購入者としてAさんが浮上。
Aさんのスマートフォンが捜査される中で、高校更衣室での盗撮行為も発覚しました。
Aさんは、盗撮事件についても捜査されることになり、今後のことについて弁護士に相談したいと考えています。
(※令和4年1月18日朝日新聞デジタル配信記事を基にしたフィクションです。)

・高校の更衣室での盗撮

今回のAさんの事例では、児童ポルノを購入したことから捜査され、その捜査の延長で盗撮事件が発覚したという経緯のようです。
多くの盗撮事件では、盗撮事件の起こった都道府県で定められている迷惑防止条例に違反する、迷惑防止条例違反という犯罪が成立します。
この迷惑防止条例という条例で注意しなければいけないことは、条例が都道府県ごとに定められている=内容が都道府県によって異なるため、盗撮行為は共通していたとしても、盗撮が行われた都道府県によって迷惑防止条例違反になるのかならないのかということが異なるということです。

今回の事例のAさんの盗撮事件を例にとって考えてみましょう。
盗撮事件が起こったのは京都府ですから、まずは京都府の迷惑防止条例(正式名称:「京都府迷惑行為等防止条例」)に当てはまるかどうかを確認します。

京都府迷惑防止条例第3条第3項
何人も、住居、宿泊の用に供する施設の客室、更衣室、便所、浴場その他人が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる他人に対し、第1項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 当該状態にある他人の姿態を撮影すること。
第2号 前号に掲げる行為をしようとして、他人の姿態に撮影機器を向けること。
注:「第1項に規定する方法」とは、京都府迷惑防止条例第3条第1項にある「他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法」のことを指します。

京都府の迷惑防止条例第3条第3項では、「客室、更衣室、便所、浴場」などで行われるいわゆる盗撮行為をすることを禁止していますから、今回の事例のAさんのような、更衣室での盗撮行為はまさに京都府迷惑防止条例に違反するということになります。

このように、京都府では「客室、更衣室、便所、浴場」といった場所を挙げて盗撮行為を禁止していますが、都道府県によってはこれらの場所を含まない「公共の場所」「公共の乗物」などに限定して盗撮行為を禁止しているということもあります。
そういった場合には、その都道府県の迷惑防止条例違反ではなく、別の犯罪(軽犯罪法違反や建造物侵入罪・住居侵入罪など)が適用される場合もあります。

今回のAさんの事例でさらに注意が必要なのは、盗撮が起こった現場が高校の更衣室であるため、盗撮の対象となった人に、18歳未満の未成年者が含まれている可能性があり、Aさんもそれを認識していただろうという点です。
18歳未満の者を盗撮した場合、その盗撮した画像やデータが児童ポルノとなる可能性があり、そうなると、盗撮によって児童ポルノを作り出した=児童ポルノ製造による児童ポルノ禁止法違反という犯罪になる可能性があるのです。
児童ポルノ禁止法は、今回の事例のAさんが捜査されるきっかけとなった、児童ポルノの売買や所持も禁止している法律です。

児童ポルノ禁止法には、以下のような条文があります。

児童ポルノ禁止法第7条第5項
前二項に規定するもののほか、ひそかに第2条第3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第2項と同様とする。
※注:「第2項と同様とする。」とは、児童ポルノ禁止法第7条第2項に定められている刑罰の「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」と同様の刑罰に処するということです。

児童ポルノ禁止法のいう「児童」とは18歳未満の者のことであり(児童ポルノ禁止法第2条第1項)、「児童ポルノ」とは大まかにいえばそうした児童の性的な画像やデータなどを指します(児童ポルノ禁止法第2条第3項)。
掲載した児童ポルノ禁止法第7条第5条では、「ひそかに」撮影などをすることでこうした児童ポルノを製造したという場合について定めています。
今回のAさんの事例のようないわゆる盗撮行為は、「ひそかに」撮影することと言えるでしょうし、盗撮現場も更衣室という人が下着姿になったり裸になったりという場所ですから、その盗撮対象が18歳未満の「児童」でありそれを認識しながら盗撮していたのであれば、盗撮によって児童ポルノを製造したことによる児童ポルノ禁止法違反となる可能性が出てくるのです。

今回の事例のAさんの場合、その他に盗撮用のカメラを設置するという目的で更衣室に立ち入ったことによる建造物侵入罪(刑法第130条)が成立する可能性もあります。
このように、盗撮事件では、盗撮が行われた場所によっても成立する犯罪が異なってくる可能性がありますし、盗撮された被害者の年齢によっても成立する犯罪が異なってくる可能性があります。
盗撮事件という身近な刑事事件であるものの、どういった犯罪が成立するのか、見通しがどのようになるのかといったことを検討するには、専門的な知識や経験が必要となります。
だからこそ、当事者となってしまったら、まずは弁護士に相談してみましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、高校更衣室での盗撮事件など、性犯罪についてのご相談・ご依頼を受け付けています。
お問い合わせは0120-631-881で受け付けていますので、まずはお気軽にご相談ください。

高校生と出かけて青少年健全育成条例違反に

2021-12-23

高校生と出かけて青少年健全育成条例違反に

高校生と出かけて青少年健全育成条例違反に問われてしまったというケースで、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市上京区に住んでいる30歳の男性会社員Aさんは、SNSを通じて、Aさん自身と同じく京都市上京区に住んでいるという高校生Vさん(17歳)と知り合いました。
AさんとVさんはやり取りを経て親しくなり、実際に会って食事をしようという話になりました。
そこで、AさんとVさんは、お互いの仕事やアルバイトが終わる夜に会おうと約束し、22時頃に京都市上京区内で落ち合うと、24時前近くまで食事をしました。
AさんとVさんが帰宅しようと2人で歩いていたところ、巡回中の京都府上京警察署の警察官に声をかけられました。
そして、Aさんは「未成年を連れまわした」という青少年健全育成条例違反の容疑で話を聞かれることになりました。
その日は逮捕などされずに帰宅を許されたAさんですが、後日取調べに呼び出すと伝えられています。
不安になったAさんは、京都府刑事事件に対応している弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・青少年健全育成条例と未成年者の連れまわし

今回の事例のAさんは、青少年健全育成条例という条例に違反した容疑をかけられているようです。
青少年健全育成条例とは、各都道府県ごとに定められている条例の1つで、名前の通り、青少年=18歳未満の者の健全な育成を図り、それを阻害するおそれのある行為から青少年を保護するための条例です。
京都府でも、「青少年の健全な育成に関する条例」という条例が定められています。
多くの自治体でこういった条例の名前となっているため、一般に「青少年健全育成条例」や「青少年保護育成条例」などと呼ばれているのです。

この青少年健全育成条例が対象としている「青少年」とは、「18歳未満の者(婚姻により成年に達したとみなされる者を除く。)」とされています(京都府青少年健全育成条例第12条第1号)。
今回の事例では、Vさんが17歳の高校生ということですから、青少年健全育成条例の対象となる「青少年」であることが分かります。

青少年健全育成条例違反事件としてよく報道される事件は、青少年とみだらな行為をしたことによる、いわゆる「淫行事件」です。
京都府青少年健全育成条例にも青少年との淫行を禁止する規定があります。

京都府青少年健全育成条例第21条
何人も、青少年に対し、金品その他財産上の利益若しくは職務を供与し、若しくはそれらの供与を約束することにより、又は精神的、知的未熟若しくは情緒的不安定に乗じて、淫行又はわいせつ行為をしてはならない。

青少年健全育成条例違反というと、この「淫行」のイメージが強いかもしれません。
しかし、今回の事例のAさんは、Vさんと性行為をしたわけでもなく、単に食事をしただけのようです。
高校生と出かけただけとも言えますが、こうした場合でも青少年健全育成条例違反に問われることはあるのでしょうか。

実は、京都府青少年健全育成条例では、以下のようにして青少年の深夜の連れ回しを禁止しています。

京都府青少年健全育成条例第18条の2
第1項 保護者は、通勤、通学その他の特別な理由がある場合を除き、深夜に青少年を外出させないよう努めなければならない。
第2項 何人も、保護者の委託を受け、若しくは同意を得た場合又は深夜における勤務、緊急を要する特別な事情その他の正当な理由がある場合を除き、深夜に青少年を、その居所から連れ出し、その居所以外の場所において同伴し、又はその居所以外の場所にとどめてはならない。
第3項 深夜に営業を営む者は、深夜に当該営業に係る施設内又は敷地内にいる青少年に対し、帰宅を促すよう自主的に努めなければならない。

京都府青少年健全育成条例第18条の2第2項にあるように、京都府では、保護者から頼まれたり同意を得たりした場合や、深夜の勤務・緊急性のある場合等を除き、深夜に18歳未満の青少年を住んでいる家から連れ出したり、それ以外の場所にとどめたりしてはいけないとされています。
「深夜」というあいまいな言葉になっているようですが、京都府青少年健全育成条例では「深夜」という言葉の定義については以下のように定義しています。

京都府青少年健全育成条例第12条
この章以下において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
第8号 深夜 午後11時から翌日の午前4時までの時間をいう。

このことからすると、京都府では、夜11時から翌日朝4時までは、青少年の親の同意や依頼なしに青少年を外出させてそれに同伴することを、青少年健全育成条例によって禁止されているということになります。
今回の事例のAさんらの行動を振り返ると、Aさんは24時近く=午前12時近くまでVさんと出かけているため、「深夜」とされる午後11時以降に親の同意・依頼なしに18歳未満の青少年であるVさんを、その居住地から連れ出して同伴していたということになります。
こうしたことから、Aさんには、青少年を深夜に連れまわしたという青少年健全育成条例違反が成立すると考えられます。

青少年を深夜に連れまわしたとして青少年健全育成条例違反となった場合には、以下の刑罰を科せられる可能性があります。

京都府青少年健全育成条例第31条第5項
次の各号のいずれかに該当する者は、20万円以下の罰金に処する。
第7号 第18条の2第2項の規定に違反した者

青少年の深夜の連れ回しの青少年健全育成条例違反の場合、罰金のみの規定となっていることから、比較的軽い犯罪であるといえるでしょう。
しかし、刑務所に行くことがなくとも罰金刑を受ければ前科が付くことにもなりますし、深夜連れ回しだけでなく淫行などほかの犯罪の容疑をかけられてしまう可能性もあります。
刑事事件化してしまったら、まずは弁護士に相談し、見通しや対応の仕方を十分に聞いてから対応に臨むことが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回無料法律相談のご予約を24時間いつでも受け付けています。
お問い合わせは0120-631-881で受け付けておりますので、未成年と出かけたことによって青少年健全育成条例違反事件となってしまったとお困りの際は、まずはお気軽にご相談ください。

強制性交等事件で合意があったと主張したい

2021-11-27

強制性交等事件で合意があったと主張したい

強制性交等事件で合意があったと主張したいというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市北区に住んでいる会社員の男性Aさんは、知人のVさんと、自宅で性行為をしました。
Aさんは当然Vさんの合意があって性行為をしたと思っていたのですが、翌朝Aさんが目覚めたときにはVさんはすでにいなくなっており、京都府北警察署から「強制性交等罪の被害を受けたという被害届が出ている」と呼び出しの連絡がありました。
Aさんは、あくまで合意のもと性行為をしたと思っていたため、警察署に行く前に強制性交等事件について扱っている刑事事件専門の弁護士へ今後の対応について相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・強制性交等事件で合意があったと主張したい

今回の事例のAさんは、強制性交等罪の疑いをかけられているようです。

刑法第177条(強制性交等罪)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

強制性交等罪の条文には、性交等をする手段として「暴行又は脅迫を用い」ることが強制性交等罪が成立する要件として書かれています。
この条文の文字から、目立った暴行等がなければ「暴行又は脅迫」をしていないとして強制性交等罪にあたらないのではないかと考えられる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際に殴る蹴るといった分かりやすく強い暴行があったのかということだけではなく、被害者との体格等の違いや関係性、事件の起きた場所やその状況といった様々な事情を総合して考慮した結果、強制性交等罪の「暴行又は脅迫」に当たるのかどうかが判断されます。
そのため、強制性交等罪にあたり得るかどうかは、本人の供述だけではなく、事件当時の状況や被害者との関係等、全ての詳しい事情を専門的に検討する必要があるのです。

そして、今回の事例のAさんのように、強制性交等事件では「合意があった」と思って性交等をしたのに、相手方はそう思っておらず、思いもよらず被害届や告訴が出されたというケースも存在します。
Aさんが考えているように、あくまで合意のもとの行為だったと主張するのであれば、強制性交等罪の容疑に対して否認するということになります。

繰り返しになりますが、強制性交等事件では、当事者の認識だけでなく、客観的に見て合意があったように見えたのかどうか、当時の当事者の関係性はどうであったのか等の事情を詳細に検討する必要があります。

加えて、取調べを受ける際にも、「合意があった」と主張するためには取調べ対応の仕方をきちんと把握しておく必要があります。
被疑者の権利や刑事事件の手続を知らずに取調べに対応することになれば、手続きや権利を知らないことによって意図せず不利な言動をしてしまうリスクもあります。
もしも自白を迫られたり誘導されたりして自白をした供述調書を取られてしまえば、それを覆さなければならないという難しい状況にも陥ってしまいます。
だからこそ、合意があったと主張したいということであれば、まずは刑事事件に強い弁護士に相談し、強制性交等罪にあたる可能性があるのかどうか、捜査への対応はどのようにすべきなのかといったことを聞いておくことが大切なのです。

さらに、容疑に対して否認する場合、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されやすい傾向にあり、そうなると逮捕・勾留による身体拘束のリスクもあります。
そうなってしまった場合にすぐに活動を開始できるように準備しておく必要もあるため、やはり弁護士には早い段階で相談・依頼しておくことが重要でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件を専門に取扱っています。
強制性交等事件で合意があったと主張したい、警察から呼び出されて弁護士の話を聞いておきたいという方は、お気軽にご相談下さい。

児童ポルノ製造・強要事件を弁護士に相談

2021-11-15

児童ポルノ製造・強要事件を弁護士に相談

児童ポルノ製造・強要事件を弁護士に相談するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、動画配信アプリを通じて京都府宮津市に住んでいるという女子高生Vさん(16歳)と知り合いました。
アプリ内のメッセージ機能を使ってやり取りするようになったAさんとVさんは、メッセージアプリでもアカウントを教え合い、やり取りをするようになりました。
その後、Aさんが「裸の写真が見たい」とVさんに伝え、Vさんに服を脱いだ写真を送ってもらう関係に発展しました。
しかし、Vさんが次第に写真を送ることを怖がり渋るようになると、AさんはVさんに対して「言うことを聞かないなら今まで送って来た写真を拡散するぞ」「晒されたくないなら写真を送れ」などと言うようになりました。
VさんはしばらくAさんの言う通りにしていましたが、恐怖に耐え切れず、両親に相談。
Vさんとその両親は京都府宮津警察署へ被害を申告し、Aさんは児童ポルノ製造による児童ポルノ禁止法違反強要罪の容疑で逮捕されてしまいました。
事件について知ったAさんの家族は、京都府の逮捕に対応している弁護士に相談し、Aさんのもとへ接見に行ってもらうことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・写真を送らせる=児童ポルノ製造に

今回のAさんの逮捕容疑の1つである児童ポルノ製造行為とは、文字通り児童ポルノを作り出すことを指します。

児童ポルノ禁止法第7条第4項
前項に規定するもののほか、児童に第2条第3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第2項と同様とする。

「前項に規定するもの」とは、児童ポルノを提供する目的での児童ポルノの製造・所持・運搬・輸出入行為のことです。
児童ポルノを提供する、すなわち、他の人へ渡したり広めたりする目的以外で児童に児童ポルノ禁止法第2条第3項にある姿態を取らせて写真などを撮影して児童ポルノを作成した場合に、この条文に該当する児童ポルノ禁止法違反となります。
つまり、自分でその写真を見て楽しむといった目的のために児童ポルノ製造行為をしたような場合には、この条文に該当する児童ポルノ禁止法違反になるということです。

そして、「第2条第3項各号」とは、児童ポルノ禁止法の中で児童ポルノというものを定義している条文です。
例えば、児童相手の性交の様子や性交類似行為や、児童が一部又は全部服を脱いでいて性的部分を強調している様子などが当てはまります。

今回のAさんがVさんに写真を送らせた目的は定かではありませんが、自分で写真を見る目的であれば、先述の児童ポルノ禁止法の条文に当たることになります。
さらに、Aさんが送らせたVさんの写真はVさんの裸の写真であるため、「児童ポルノ」に定義されることになるでしょう。

そして、ここで、その児童ポルノを「製造した」という文言から、実際に児童ポルノにあたる写真を撮影したのはVさん自身ではないかと考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、今回の事例ではAさんから児童ポルノをVさんに作らせたという経緯ですから、AさんがVさんに写真を撮らせることで児童ポルノ製造をしたということになります。
こうしたことから、Aさんには児童ポルノ製造の罪に当たると考えられるのです。

・児童ポルノと強要罪

今回のAさんは、児童ポルノ製造による児童ポルノ禁止法違反だけでなく、強要罪の容疑もかけられています。

刑法第223条第1項(強要罪)
命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。

強要罪は、脅迫や暴行を用いて人に義務のないことをさせることで成立する犯罪です。
似たような犯罪に脅迫罪がありますが、脅迫罪が脅迫するだけにとどまるのに対し、強要罪では加えて人に義務のないことを行わせる犯罪です。
人に義務のないことを強いるという分、強要罪の方が法定刑も重く設定されています。

参考:刑法第222条第1項(脅迫罪)
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

今回のAさんは、Vさんの裸の写真を拡散させると脅迫し、Vさんにさらなる写真の提供を要求しています。
裸の写真を拡散されるということはVさんの名誉が害される可能性のあることで、「名誉…に対し害を加える」旨の告知と言えるでしょう。
当然、VさんにAさんへ裸の写真を提供する義務はないですから、Aさんには強要罪が成立すると考えられるのです。

児童ポルノを児童から送らせていたという事件では、その児童ポルノ自体を材料に脅迫罪強要罪にあたる行為をしてしまったという被疑者・被告人の方もままいらっしゃいます。
児童ポルノ製造による児童ポルノ禁止法違反だけでなく、脅迫罪や強要罪も犯してしまっているとなれば、それぞれの犯罪にどのように対応していけばよいのか分からなくなってしまうかもしれません。
だからこそ、まずは専門家である弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、児童ポルノ禁止法違反事件強要事件などの刑事事件を専門に取扱っています。
0120-631-881ではお問い合わせを24時間いつでも受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。

盗撮と児童ポルノの関係とは?

2021-09-27

盗撮と児童ポルノの関係とは?

盗撮と児童ポルノの関係について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

京都府京都市東山区に住んでいるAさんは、近所にある市民プールに行った際、女子更衣室に忍び込んでカメラを仕掛け、更衣室を利用した女性客を盗撮しました。
しかし、女性客らが盗撮用カメラに気づいたことから、京都府東山警察署が盗撮事件として捜査を開始し、ほどなくしてAさんは、京都府迷惑行為防止条例違反(盗撮)と、児童ポルノ禁止法違反の容疑で逮捕されることになりました。
Aさんは、盗撮をした自分が児童ポルノ禁止法違反まで犯していると疑われていることに驚き、家族の依頼で接見に訪れた弁護士に詳しく聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・盗撮行為と児童ポルノ

今回のAさんのような盗撮行為は、実は様々な犯罪に該当する可能性のある行為です。
代表的なものでいえば、各都道府県のいわゆる迷惑防止条例違反が挙げられます。
各都道府県で規定されている迷惑防止条例は、盗撮や痴漢といった行為を禁止しており、京都府も例外ではありません。

京都府迷惑防止条例第3条
第2項 何人も、公共の場所、公共の乗物、事務所、教室、タクシーその他不特定又は多数の者が出入りし、又は利用する場所又は乗物にいる他人に対し、前項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 通常着衣等で覆われている他人の下着等を撮影すること。
第2号 前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣等の中をのぞき込み、又は撮影する機能を有する機器(以下「撮影機器」という。)を通常着衣等で覆われている他人の下着等に向けること。
第3号 前項第6号に規定する機器を使用して、通常着衣等で覆われている他人の下着等の映像を撮影すること。
第3項 何人も、住居、宿泊の用に供する施設の客室、更衣室、便所、浴場その他人が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる他人に対し、第1項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 当該状態にある他人の姿態を撮影すること。
第2号 前号に掲げる行為をしようとして、他人の姿態に撮影機器を向けること。
第4項 何人も、第1項に規定する方法で第2項に規定する場所若しくは乗物にいる他人の着衣等で覆われている下着等又は前項に規定する場所にいる着衣の全部若しくは一部を着けない状態にある他人の姿態を撮影しようとして、みだりに撮影機器を設置してはならない。

京都府では、更衣室での盗撮も条例によって規制されていますから、今回のような更衣室での盗撮行為はまず京都府迷惑防止条例違反となることが考えられます。
注意しなければならないのは、京都府の場合、盗撮目的でカメラを設置することだけでも犯罪となるということです。

次に挙げられるのが、刑法の建造物侵入罪です。
建造物侵入罪は、文字通り建造物に「侵入」することで成立する犯罪ですが、「侵入」とは、管理者の意思に反する立ち入りであると言われています(この解釈については諸説ありますが、現在はこの解釈が一般的とされています。)。
どこかの建物やその内部の部屋に入る際、その人物が盗撮目的であるなら、管理者は立ち入りを許可しないでしょう。
そのため、盗撮目的の立ち入りは建造物侵入罪に該当すると判断されることがあります。

そして、その他にも盗撮行為によって成立しうる犯罪があります。
それが軽犯罪法違反です。
軽犯罪法では、いわゆる「のぞき見」を禁止しているのですが、盗撮することはこの「のぞき見」と同視されており、上記の迷惑防止条例違反や建造物侵入罪に当たらない盗撮行為は、軽犯罪法違反として検挙される事例が多く見られます。

このうち、今回のAさんは、市民プールの更衣室という公衆の利用する場所で通常人が着衣を身に着けない状態でいるような場所を盗撮していたことから、先ほど触れた通り京都府迷惑行為防止条例違反となる可能性が高いと言えるでしょう。
しかし、Aさんはこれに加えて児童ポルノ禁止法違反という犯罪の容疑をかけられています。
実は、先ほど挙げた3つの犯罪の他にも、盗撮した対象、つまり被害者がどういった人か、ということによって、児童ポルノ禁止法違反という犯罪が成立する可能性があります。
いわゆる児童ポルノ禁止法では、児童ポルノを製造することが禁止されています。
児童ポルノとは、18歳未満の児童の裸などの画像や動画、そのデータ等を指します。
つまり、盗撮した対象の中、被害者の中に18歳未満の児童がいた場合、その盗撮した写真が児童ポルノとなり、盗撮行為によって児童ポルノを製造したということになり、児童ポルノ禁止法違反が成立する可能性があるのです。
今回のようにプールの更衣室など、どの年齢層の人も利用する可能性があり、かつ裸になる可能性のある場所での盗撮事件では、被害者の中に児童が含まれている可能性が出てきます。
また、学生を狙った盗撮事件でも、被害者が18歳未満の児童である可能性があります。

さらに、児童ポルノ禁止法では、自動ポルノを盗撮によって製造した場合についての規定もありますから、こちらにも注意が必要です。

盗撮といっても、その対象や場所によって様々な犯罪が成立するため、刑事事件の経験・知識がなければかかっている容疑について把握することも難しい場合があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、盗撮事件・児童ポルノ禁止法違反事件のご相談・ご依頼も受け付けています。
突然の逮捕にどうしていいか分からないとお困りの際は、遠慮なく弊所フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

逮捕されていない少年事件も弁護士へ

2021-08-16

逮捕されていない少年事件も弁護士へ

逮捕されていない少年事件を弁護士に相談するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市南区の中学校に通っている中学3年生のAくん(15歳)は、ある日、出かけた先の京都市南区にある商業施設内の階段で、前を歩いていた女性Vさんのスカートの中をスマートフォンで盗撮してしまいました。
盗撮行為の目撃者が通報したことで、Aくんは駆け付けた京都府南警察署の警察官に任意同行されることになりました。
しかし、Aくんは逮捕されることなくその日のうちに帰宅を許され、後日また京都府南警察署に呼び出されて取調べを受けることになりました。
Aくんの両親は、逮捕されないのであれば大事にはならないのではないかと思っていましたが、少年事件は通常の刑事事件と異なる手続きであるということを知り、不安を感じて弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・逮捕されていない=弁護士は不要?

上記事例のAくんは、盗撮をした疑いで京都府南警察署に任意同行され、逮捕されることなく帰宅を許されています。
このような場合、今後は取調べのために何度か警察署に呼び出される、いわゆる在宅事件として捜査が進むことになるでしょう。
事例のAくんも、後日京都府南警察署で取調べを受けることになっているようです。

こうした、逮捕されずに手続きが進んでいく在宅事件の場合、「大事になっている」という感覚はわきにくいかもしれません。
逮捕されてしまえば、身体拘束によって家族とも会えなくなりますし、学校や職場にも通えなくなりますから、すぐにでも釈放をしてほしいと考える方が多く、弁護士のサポートが早急に必要であると考える方が多いでしょう。
ですが、逮捕されていない在宅事件では、通常通り自宅で生活することができますし、取調べのない日は職場や学校に通うことができますから、なかなか緊急性が高いようには見えず、弁護士に弁護活動を頼むほどのことではないのではないか、と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、逮捕されていない在宅事件においても、弁護士の役割は非常に大きいものなのです。

例えば、今回のAくんの事例を考えてみましょう。
Aくんは中学3年生の未成年ですから、Aさんの両親が聞いた話のとおり、成人の刑事事件とは異なる少年事件として手続きが進んでいくでしょう。
少年事件の場合、たとえ捜査段階で逮捕されずに在宅事件として進められていたとしても、事件が家庭裁判所に送致された後、観護措置という措置が取られれば、少年は一定期間(平均的には4週間程度)、鑑別所に収容されることとなってしまいます。
そうなれば、学校へ行けなかったり、就業先に行けなかったりといった不都合が出てくることはもちろん、少年本人や家族にも負担がかかってしまうことになりかねません。

さらに、家庭裁判所へ送致されるまでの取調べ等の手続きは、成人の刑事事件とほとんど同様の手続きによって行われます。
たとえ未成年でも、被疑者として1人で取調べに臨まなければならないのです。
未成熟な少年が、捜査官相手にきちんと主張したいことを貫けるかどうか、という問題も出てきます。
かけられている容疑が冤罪であった場合はもちろん、そうでなくとも目的や手段、実際にやったこと等を自分の認識通り話せるかどうかによって、処分にも大きな影響が出てしまう可能性があります。

また、今回の事例のAくんのような盗撮事件では、被害者の方への謝罪や賠償をしていくことも考えられるでしょう。
盗撮事件においては、被害者の方は見ず知らずの方であることも多いです。
そうした中で謝罪や賠償を行っていくには、まずは被害者の方と連絡を取るために連絡先を教えてもらわなければなりませんが、通常、捜査機関は盗撮をした当事者に直接被害者の連絡先を教えることはしません。
盗撮された被害者としては、当然加害者側に対して処罰感情や恐怖を感じていることも多いためです。
そうすると、被害者に対して自分たちだけで謝罪や弁償をするということは難しくなってしまいます。

そして、少年事件の場合、終局処分は家庭裁判所が少年の更生にとって適切な処分を判断することで決まります。
少年の更生にとってよい環境を自分たちで作れているかどうかという点は、この判断の際に重視されることの1つです。
そのためには、少年の更生のためにどういったことが必要なのか、現在の環境からどこをどう変えるべきなのか適切に把握し、行動する必要があります。

このように、たとえ逮捕をされていなくとも、刑事事件・少年事件の専門的知識が必要な活動は多く存在します。
特に、少年事件の場合は、前述のように家庭裁判所に事件が送致されてからも身体拘束のリスクがある上に、終局処分での判断が少年の更生に適切かどうかという点で考えられることから、逮捕されていないから軽く済むに決まっている、ということはありません。
まずは専門家の話を聞いてみるというところから、刑事事件・少年事件を把握してみることをおすすめします。

京都府の少年事件でお困りの際は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部の弁護士まで、ご相談ください。
弊所の弁護士は、盗撮事件などの性犯罪から、傷害事件などの暴力犯罪、万引きなどの財産犯罪まで、幅広く活動しています。
初回無料法律相談もございますので、逮捕されていない在宅事件の少年事件を起こしてしまったという方もお気軽にご相談ください。

相手が同意していても強制わいせつ罪?

2021-07-19

相手が同意していても強制わいせつ罪?

相手が同意していても強制わいせつ罪に問われたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府宮津市に住んでいる24歳のAさんは、近所に住んでいる小学生のVさん(12歳)と度々挨拶や立ち話をする仲でした。
ある日、Vさんからキスをしてほしいと言われたAさんは、Vさんにキスをして抱きしめたり、Vさんの胸や臀部といった身体を触ったりするようになりました。
AさんとVさんがキスなどの行為をするようになってしばらくしてから、Vさんの両親が、Vさんが何か隠している様子であることに気が付き、Vさんを問い詰めたことで、AさんとVさんの関係が発覚しました。
Vさんの両親が京都府宮津警察署に相談し、Aさんは強制わいせつ罪の容疑で話を聞かれることになりました。
Aさんは、「キスやハグなどは全てVさんから言い出したことで、相手のVさんは同意していた。それでも犯罪になるのか」と思い、刑事事件に対応している弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・「相手の同意がある=強制わいせつ罪にならない」ではない?

強制わいせつ罪という名前から、強制わいせつ罪は「強制的にわいせつな行為をする」という犯罪のイメージがある方も多いのではないでしょうか。
そのため、「わいせつな行為に対して相手の同意がない=強制わいせつ罪が成立する」、「わいせつな行為に対して相手の同意がある=強制わいせつ罪が成立しない」というイメージの方も少なくありません。

しかし、今回のAさんは、相手であるVさんの同意があった上でキスなどをしているにもかかわらず、強制わいせつ罪に問われているようです。
このように、相手の同意があったにも関わらず強制わいせつ罪に問われることがあるのでしょうか。
まずは、強制わいせつ罪の条文を確認してみましょう。

刑法第176条(強制わいせつ罪)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ罪の条文の前段では、「暴行又は脅迫を用いて」わいせつな行為をした者に強制わいせつ罪が成立する旨が定められています。
これは先ほど挙げたような、「相手の同意を得ないわいせつな行為に強制わいせつ罪が成立する」といった、世間一般の強制わいせつ罪のイメージと重なるものではないでしょうか。
ただし、ここで注意しなければいけないのは、この「暴行又は脅迫を用いて」わいせつな行為をした場合に強制わいせつ罪が成立するのは、「13歳以上の者」への行為と限定されているということです。

これに対して、相手が13歳未満の者であった場合については、強制わいせつ罪の条文の後段に定められています。
13歳未満の者が相手であった場合、強制わいせつ罪は「わいせつな行為をした」だけで成立します。
つまり、被害者の年齢次第では、「暴行又は脅迫」という手段が用いられなくとも、わいせつな行為をしただけで強制わいせつ罪が成立することになるのです。
「わいせつな行為をした」だけで成立するのですから、相手がわいせつな行為に同意していたとしても強制わいせつ罪が成立することになるのです。
当然、13歳未満の者に対して暴行や脅迫を用いてわいせつな行為をした場合にも強制わいせつ罪は成立しますが、相手の同意があったからといって必ずしも強制わいせつ罪にはならないというわけではないのです。

今回の事例のAさんは、12歳のVさん相手にキスなどをしているようです。
AさんはVさんの同意を得てした行為だと考えているようにですが、先ほど確認したように、相手が13歳未満の場合、相手に同意があったとしても、わいせつな行為をしただけで強制わいせつ罪が成立します。
ですから、Vさんの同意の有無に関係なく、Aさんには強制わいせつ罪が成立すると考えられるのです。

・被害者が未成年の強制わいせつ事件

強制わいせつ事件は被害者の存在する刑事事件ですから、被疑者・被告人が容疑を認めているのであれば、被害者への謝罪や被害弁償は、重要な弁護活動の1つとなってきます。

しかし、加害者である被疑者・被告人やその家族など近しい人たちが被害者に直接接触することは、刑事手続上よくないと考えられることが多いです。
被疑者・被告人やその家族が被害者に謝罪したいと捜査機関に申し出ても、連絡先等を教えられないと断られることが多いです。

というのも、加害者である被疑者・被告人が直接被害者に接触することで、証拠隠滅(例えば証言の変更を迫るなど)や被害者へ危害を加えるといったおそれが考えられるためです。
被害者側としても、当然加害してきた被疑者・被告人に怒りや恐怖の感情を抱いていることが多く、直接接触することは避けたいという意向であることも多いです。
特に、被害者が未成年である場合には、被害者本人ではなく、その両親などの保護者が謝罪等の相手となります。
自分の子供が性被害にあった状況ですから、被害感情が強いことが当然予想されます。
もしも当事者同士で謝罪の場を設けられたとしても、余計にこじれてしまう可能性も考えられます。

だからこそ、謝罪・被害弁償・示談交渉には、弁護士を間にはさむことがおすすめされます。
被害者の側からしても、直接加害者本人と接触せずに済むため、安心して話を聞くことができます。
被疑者・被告人の側からしても、法律の専門家であり第三者である弁護士が間に入ってくれることは安心できる要素でしょう。
早い段階から弁護士に相談・依頼することが望ましいといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、強制わいせつ事件などの性犯罪事件も承っています。
京都府の強制わいせつ事件にお困りの際は、お気軽にご相談ください。

児童ポルノ所持事件と略式手続

2021-07-05

児童ポルノ所持事件と略式手続

児童ポルノ所持事件略式手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

~事例~

京都府福知山市に住んでいるAさんは、海外の動画サイトから16歳の女子学生が性交する動画1本と衣服を一切に身に着けていない女子学生の画像1点をダウンロードして保存していました。
これらの動画は、Aさんが個人で見るために、Aさんのパソコンで保管していました。
しかし、ある日、Aさんの自宅に京都府福知山警察署の警察官が来て、児童ポルノ所持による児童ポルノ禁止法違反の疑いで家宅捜査を受けました。
Aさんは京都府福知山警察署で取調べを受けることになり、その後も何回か取調べに呼ばれると伝えられました。
その中で、自分の刑事事件について略式手続が取られるかもしれないと耳にしたAさんは、詳しい話を聞いてみたいと弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・児童ポルノ所持事件

児童ポルノの所持の禁止は、正式名称を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」という法律(以下、児童ポルノ禁止法)で定められた犯罪行為です。
児童ポルノ禁止法では、以下の条文で児童ポルノの所持を禁止しています。

児童ポルノ禁止法第7条第1項
自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
自己の性的好奇心を満たす目的で、第2条第3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。

児童ポルノ禁止法において、児童ポルノの単純所持は、たとえその所持の目的が自身の性的欲求を満たすためであっても禁止されています。
児童ポルノの単純所持の場合は、児童ポルノの販売目的の所持の場合に比べて法的刑は軽くなっています。
これは、販売目的で児童ポルノを持っていたのであれば、児童ポルノがさらに広がるおそれがありますが、単純所持であればその可能性は低いことから、性的虐待の程度が小さいと判断されるためです。

本件の場合には、Aさんは児童ポルノの単純所持に当たり、かつ所持している児童ポルノは計2点と少ないため、罰金刑も考えられる事案です。

・略式手続

では、Aさんが受けるかもしれないと言われた略式手続とは、どういった手続きなのでしょうか。
一般に略式手続と呼ばれる手続きは、刑事訴訟法第461条から第470条にかけて定められている刑事裁判の手続です。
略式手続の特徴は、簡易に迅速に裁判が行われるため、迅速な裁判が行われる点です。

この略式手続をするためには、
1 簡易裁判所の管轄に属する事件であること
2 100万円以下の罰金、科料などを科すことができる事件であること
3 被疑者が略式手続を行うことに異議がないこと
が必要になります。
以上の要件を満たす場合に、検察官が簡易裁判所に対して書面で公訴を提起することによって行われることができます(刑事訴訟法第462条第1項)。

また、略式手続の日数ですが、略式手続の請求を受けた裁判所は、略式命令が可能かつ略式命令が相当と判断した場合には略式手続の請求を受けた日から14日以内に判断することになっています(刑事訴訟法規則第290条第1項)。
そのため約2週間という速さで罰金などの判断が出ることになります。

また、略式判決に不服がある場合には、公判を請求することもできます(刑事訴訟法第465条)。

今回の事案についてみると、児童ポルノの単純所持の量刑は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。
そのため、Aさんが同意すれば、管轄の簡易裁判所に公訴を提起することによって略式手続となる可能性も考えられるでしょう。

ただ、実際にAさんの立場になった場合、どうするべきかよくわからないと思う人も多いでしょう。
その場合には、刑事事件に強い弁護士に相談しながら決めることをおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
専門のスタッフが、 24時間体制で無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。

盗撮用カメラの設置だけでも刑事事件に

2021-06-28

盗撮用カメラの設置だけでも刑事事件に

盗撮用カメラの設置だけでも刑事事件になりえるということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府綾部市に住んでいる男性会社員Aさんは、以前から盗撮に興味があり、ついに自分で小型カメラを購入すると、近所のファミリーレストランのトイレの個室内にカメラを設置しました。
Aさんは女性の下着姿や下着を脱いでいる姿を盗撮したいと思っていたのですが、

①カメラがうまく作動せず、結局トイレの様子は撮影できていませんでした。

②トイレが男女共用であったこともあり、カメラを仕掛けてからトイレを利用したのは男性客のみであり、盗撮できていたのは男性客がトイレを利用する様子だけでした。

しばらくして、トイレの個室内にカメラがあることに気が付いた客が店員に相談したことがきっかけで京都府綾部警察署に通報され、捜査の結果、Aさんは盗撮のためにカメラを設置した京都府迷惑防止条例違反の容疑で話を聞かれることになりました。
Aさんは、「目的通りのものが撮影できていなかったのに犯罪になるのか」と思い、盗撮事件を含む刑事事件を扱う弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・盗撮に関わる迷惑防止条例

多くの盗撮事件では、今回の事例のAさんが容疑をかけられているような迷惑防止条例違反という犯罪が成立します。
迷惑防止条例は、各都道府県ごとに定められている条例で、例えば京都府では「京都府迷惑行為等防止条例」という条例が定められています。
こうした迷惑防止条例では、公共の場所や乗物(都道府県によってはその他の場所も含む)での盗撮行為が禁止されていることが多く、そのため、先ほど触れたように盗撮事件ではこの迷惑防止条例に違反したという犯罪が成立することが多いのです。
当然、盗撮をしようとして目的通り盗撮を成し遂げた場合には、盗撮をしたことによる迷惑防止条例違反となることに不思議はないでしょう。
しかし、今回のAさんの事例の①や②のように、当初の目的とは異なる結果になってしまった場合はどうなるのでしょうか。

①の場合
今回のAさんの事例で①のように、盗撮目的でカメラを設置したものの結果的に撮影ができていなかったような場合は、盗撮できていなかったのだから犯罪とはならないのではないかと思う方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、京都府迷惑防止条例では、盗撮行為の禁止に関して、未遂罪の規定を置いているわけではありません(未遂罪が処罰されるには未遂罪の規定がなければいけません。)。
しかし、京都府迷惑防止条例には、盗撮行為自体以外の盗撮に関連する行為についても禁止している条文があります。

京都府迷惑防止条例第3条第4項
何人も、第1項に規定する方法で第2項に規定する場所若しくは乗物にいる他人の着衣等で覆われている下着等又は前項に規定する場所にいる着衣の全部若しくは一部を着けない状態にある他人の姿態を撮影しようとして、みだりに撮影機器を設置してはならない。

「第1項に規定する方法」とは、京都府迷惑防止条例第3条第1項にある「他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法」のことを指しています。
例えば、今回のAさんの事例のようにトイレの個室内にカメラを設置してトイレを利用する様子を盗撮するといった方法は、一般的に他人に恥ずかしいという感情を持たせたり、不安感や嫌悪感を抱かせたりするような方法と言えるでしょう。

また、「第2項に規定する場所若しくは乗物」とは、京都府迷惑防止条例第3条第2項の「公共の場所、公共の乗物、事務所、教室、タクシーその他不特定又は多数の者が出入りし、又は利用する場所又は乗物」のことを指します。
さらに、「前項に規定する場所」とは、京都府迷惑防止条例第3条第3項の「住居、宿泊の用に供する施設の客室、更衣室、便所、浴場その他人が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」を指します。
ですから、今回のAさんの事例のような飲食店内のトイレといった場所は、これらの場所に当てはまることになるのです。

そして、これらの方法でこれらの場所に盗撮目的で「みだりに撮影機器を設置」することがこの条文で禁止されているのですから、①のようにたとえ撮影が出来ていなかったとしても迷惑防止条例違反となるのです。

②の場合
今回のAさんの事例の②では、Aさんが盗撮しようと思っていた女性客ではなく、男性客が撮影されています。
「同性だからいいではないか」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、迷惑防止条例では盗撮行為の被害者の性別を限定することはしていません。
ですから、たとえ撮影されたのが同性であっても、盗撮する目的の人物でなくても、盗撮による迷惑防止条例違反は成立することになります。

京都迷惑防止条例第3条第2項
何人も、公共の場所、公共の乗物、事務所、教室、タクシーその他不特定又は多数の者が出入りし、又は利用する場所又は乗物にいる他人に対し、前項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 通常着衣等で覆われている他人の下着等を撮影すること。

京都府迷惑防止条例第3条第3項
何人も、住居、宿泊の用に供する施設の客室、更衣室、便所、浴場その他人が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる他人に対し、第1項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 当該状態にある他人の姿態を撮影すること。

当然、被害者感情としても、「同性だから盗撮されてもよい」とはならないでしょうから、容疑に間違いがないのであれば、真摯に被害者対応をしていくことも大切となるでしょう。

盗撮というと、実際に撮影できて初めて刑事事件となるというイメージの方もいらっしゃるかもしれませんが、カメラを設置するだけでも刑事事件化する可能性もあります。
態様によっては迷惑防止条例違反だけでなく、別の犯罪も成立する可能性もありますから、まずは刑事事件の専門家である弁護士に、成立しうる犯罪や対応を聞いてみることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、こうした盗撮に関連する刑事事件のご相談・ご依頼も承っていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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