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【事例紹介】現金を奪っていないのに、強盗致傷罪で逮捕された事例

2024-02-25

【事例紹介】現金を奪っていないのに、強盗致傷罪で逮捕された事例

窃盗や強盗で手に入れたお金

被害者を車で連れ去って監禁し暴行を加えることで現金を奪おうとしたとして、営利目的略取罪監禁罪強盗致傷罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警捜査1課と中京署は13日、営利目的略取と逮捕監禁、強盗致傷の疑いで、滋賀県豊郷町の建設会社社長など(中略)男4人を逮捕した。
4人の逮捕容疑は共謀して、(中略)京都市中京区の路上で、会社員男性(中略)の顔面を複数回殴り、車に押し込んで連れ去った後、滋賀県内の事務所に5日未明まで監禁。殴る蹴るの暴行を加えて軽傷を負わせ、「350万円払ったら逃がしたるわ」などと脅迫し、現金を奪おうとした疑い。府警は4人の認否を明らかにしていない。
(後略)

(2月13日 京都新聞 「退職申し出た従業員に暴行加え「350万円払ったら逃したる」 監禁などの疑いで建設会社社長ら4人逮捕」より引用)

営利目的略取罪

刑法第225条
営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

略取とは、暴行や脅迫を用いて現在の生活状態から離脱させることで自分や第三者の支配下に置くことをいいます。
営利目的略取罪は、大まかに説明すると、金銭を得るなどの営利目的で略取を行うと成立する犯罪です。

今回の事例では、被害者の顔面を複数回殴り車に押し込んで連れ去ったとされています。
殴る行為は暴行に当たりますし、車でどこかへ連れ去る行為は現在の生活状態から離脱させ、容疑者らの支配下に置く行為だと推測できます。
また、「350万円払ったら逃がしたるわ」などと脅迫したと報道されていますので、営利目的があったと考えられますので、実際に容疑者らが被害者を車で連れ去ったのであれば、容疑者らに営利目的略取罪が成立する可能性があります。

監禁罪

刑法第220条
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

監禁罪は簡単に説明すると、鍵のかかった部屋に閉じ込めるなど、脱出が難しいような場所に閉じ込めると成立する犯罪です。

今回の事例では、被害者を車で連れ去ったとされています。
走行している車内から外に出る行為は最悪の場合死に至りますし、少なくともけがを負うでしょうから、走行中の車から脱出することは困難だといえます。
ですので、相手の同意なく車に乗せて走行する行為は監禁罪が成立すると考えられます。

また、報道では滋賀県内の事務所に被害者を監禁したとされています。
報道内容だけでは詳しいことは明らかではありませんが、鍵をかけた部屋に閉じ込めていた場合などは、脱出することは困難でしょうから、監禁罪が成立するおそれがあります。
ですので、今回の事例で実際に容疑者らが被害者を車で連れ去り滋賀県内の事務所で監禁したのであれば、監禁罪が成立するおそれがあります。

強盗致傷罪

刑法第240条
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

強盗罪は簡単に説明すると、抵抗できないような暴行や脅迫を用いてお金などを奪うと成立する犯罪です。
強盗の際にけがを負わせると強盗致傷罪が成立します。

今回の事例では、容疑者らが被害者に殴る蹴るの暴行を加えて軽傷を負わせ、「350万円払ったら逃がしたるわ」などと脅迫して現金を奪おうとしたと報道されています。
軽傷といえどもけがはけがですし、実際に容疑者らが350万円払えば逃がすという発言をしたのであれば、容疑者らは暴行を加えることで現金を奪おうとしていると推測できるでしょう。
であれば、実際に容疑者らがそういった発言をし、被害者にけがを負わせたのであれば、強盗致傷罪が成立する可能性があります。

ですが、今回の事例では、実際に現金を手に入れることはできなかったようです。
その場合にも強盗致傷罪は成立するのでしょうか。

判例では、「強盗に着手した者がその実行行為中被害者に暴行を加へて傷害の結果を生ぜしめた以上財物の奪取未遂の場合でも強盗傷人罪の既遂をもつて論ずべき」(昭和23年6月12日 最高裁判所 決定)だとしており、お金などの財物の奪取が未遂、つまりお金などを奪えていなくても暴行を加えて傷害の結果を生じさせた以上、強盗傷人罪は成立するとされています。
強盗傷人罪は刑法で明確に規定されているわけではなく、強盗傷人罪も強盗致傷罪と同様の刑法第240条が適用されます。
ですので、強盗致傷罪についても、財物が奪えていない場合も強盗致傷罪が成立する可能性があると考えられます。

ですので、今回の事例で容疑者らが実際に被害者から現金を奪おうとして暴行を加え、けがを負わせたのであれば、強盗致傷罪が成立する可能性があります。

逮捕されたら弁護士に相談を

共犯者がいる事件では、証拠隠滅の観点から、家族の接見が認められない場合があります。
ですが、弁護士による接見等一部解除の申請により、家族の接見が認められる場合があります。
また、弁護士による意見書の提出や準抗告の申し立てにより釈放を実現できる場合がありますので、ご家族が逮捕された方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

返済見込みがない知人の会社に貸付を行ったとして背任罪で逮捕された事例

2024-02-15

返済見込みがない知人の会社に貸付を行ったとして背任罪で逮捕された事例

手錠とガベル

返済見込みがないにもかかわらず、知人の会社に貸付を行ったとして銀行の支店長が背任罪の疑いで逮捕された事例について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事件概要

京都府北警察署は、市内に支店を構えるイロハ銀行の支店長の男(45)を背任罪の疑いで逮捕した。
男は、資金繰りに苦しむ知人の経営する老舗の和菓子店から頼まれ、十分な担保を得ずに2000万の融資を当該和菓子店にする決断をした。
融資を受けた和菓子店の経営状況は非常に悪く、業績を回復する客観的な手立てもなかったため、融資の段階で男は返済が見込めないことはわかっていたが、小学校からの幼馴染が経営する店だったため独断で融資に踏み切ったとされている。
男の部下であるイロハ銀行の従業員から告発を受けて、京都府北警察署は捜査の上、男を逮捕した。
(フィクションです)

背任罪とは?

刑法247条 
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

背任罪は、窃盗罪のように誰もが犯す可能性がある犯罪ではなく、「他人のためにその事務を処理する者」が特定の行為を実行した場合にのみ成立する犯罪です。
本件では、イロハ銀行の支店長の男性が返済見込みのない企業に融資をして背任罪の疑いで逮捕されています。
銀行の支店長は、銀行という法人のために融資の判断などの銀行の事務を処理する者です。
したがって、支店長である男は「他人のためにその事務を処理する者」にあたり、銀行との間で男が負っている任務に背いた場合には、背任罪が成立する可能性があります。

そして、背任罪が成立するためには、「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」が必要です。
本件では、男は、小学校からの幼馴染である知人の経営する和菓子店が資金繰りに困っていたので、その知人を助けるために2000万の融資を決断しています。
したがって、第三者である知人の利益を図るという目的を有していたといえそうです。

次に、背任罪となる行為である「任務に背く行為」があったかどうかが問題となります。
この意義について、いくつかの見解が存在しますが、判例は、信任関係の違背であると考えているようです(大判明治44年10月13日、大判大正3年6月20日)。
本件では、支店長の男は、銀行から支店の業務について任されており、融資の判断にあたっては、回収可能性の有無を担保も含めて厳しく判断し、もし回収できそうにないのであれば融資を見送ることが求められていると考えられます。
にもかかわらず、男は、幼馴染を助けようとして、担保を提供させることなく回収見込みのない融資をすることを決断しています。
したがって、支店長の男は、銀行との間の信任関係に違背したといえそうですから、背任罪が成立する可能性があります。

財産上の損害の有無

ところで、背任罪が成立するためには、「本人に財産上の損害を加えた」ことが求められています。
たしかに、本件では、男は2000万円の融資を決断していますから、本人である銀行は2000万を失うという損害を与えられたといえそうです。
しかし、同時に、銀行は融資先である和菓子店に対して、少なくとも2000万円の債権を取得していますから、両者を合わせるとでマイナスとはならないため、財産上の損害は存在しないのではないでしょうか?
財産上の損害が加えられたか否かの判断について、判例は、経済的見地から財産の価値が減少したか又は、増加するべく価値が増加しなかったどうかで判断するとしています(最決昭和58年5月24日)。
本件についてみると、たしかに、銀行は現金2000万の喪失と同時に、2000万円の債権を取得しています。
しかし、債務者である和菓子店の財政状態は危機的であるため債権の回収見込みはなく、額面上2000万である上記債権の価値は2000万には遠く及ばないといえそうです。
したがって、経済的見地からは、男の融資により、銀行の財産の価値は減少したといえそうです。
以上より、本件では背任罪が成立する可能性があります。

なお、会社法は、取締役等が背任罪にあたる行為をした場合に、これを重く処罰する特別背任罪という規定を設けています(会社法960条)。
刑法の背任罪の法定刑が5年以下の懲役又は50万円以下の罰金であるのに対して、特別背任罪10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとなっています(会社法960条1項2項本文)。
取締役等には支配人が含まれます(会社法960条1項6号)から、支店長の男が支配人として選任されていた(会社法10条)場合は、刑法の背任罪ではなく会社法の特別背任罪が成立することになります。

できるだけ早く弁護士に相談を

上記のように背任罪は損害を加えられた被害者のいる犯罪です。
通常刑事事件の被害者は加害者に対し強い処罰感情を有していることが多いです。
もっとも背任罪の被害者の中には事件を大ごとにしたくないと思う方もいらっしゃるため、真摯に謝罪し背任行為によって生じた損害を弁償すれば被害届の提出など事件化はしないという方向で示談に応じてくれることもあります。
仮に、警察が捜査に乗り出したとしても、示談が成立していれば不起訴処分となったり、量刑が軽くなったり、執行猶予付判決が得られる可能性があります。
もっとも、本件のように逮捕されていては、コンタクトを取ることは困難です。
そこで、なるべく早い段階で交渉のプロである弁護士に示談交渉を一任されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、背任事件など刑事事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が企業側と示談交渉を行い示談を締結することで、不起訴処分、刑の減軽、執行猶予付判決を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

預かっていた自動車を無断で売却したとして横領罪の疑いで逮捕された事例

2024-02-11

預かっていた自動車を無断で売却したとして横領罪の疑いで逮捕された事例

逮捕される男性

預かっていた自動車を無断で売却したとして横領罪の疑いで逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事件概要

京都府伏見警察署は、京都市伏見区内に住む会社経営の男性を横領罪の疑いで逮捕した。
男は、3年前から海外勤務をすることとなった知人から「帰国するまでの間、車を預かって欲しい」「預かってもらっている間は自由に使ってもらって構わない」と頼まれたため、経営する会社の駐車場にその自動車を停めていた。
ところが、経営する会社の負債が膨らみ立ち行かなくなったため、男は返済のためその自動車を売却した疑いが持たれている。
帰国した知人が、そのことに気づき被害届を提出したことで捜査の端緒となった。
男は取調べに対し「借金を返すため会社にあるめぼしい財産を片っ端から売る中で、知人の物ということを忘れてうっかり売却してしまった」と容疑を否認している。
(フィクションです)

横領罪とは

刑法252条1項
自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。

本件では、男は横領罪の疑いで逮捕されています。
横領罪とは、簡単にいうと他人から頼まれて預かった物などを自分の物にしてしまう犯罪です。
252条1項の横領罪が成立するための要件を①主体、②客体、③行為の3つの側面から見ていきましょう。

まず①主体すなわち、横領罪を犯すことができるのはどのような人物かについて。
252条1項の横領罪を犯すことができるのは、他人の物を占有(財物の事実的な支配や管理)する者に限られます。
本件では、男は、知人から頼まれて知人の自動車を預かっていますから、横領罪の主体にあたる可能性があります。

次に横領罪の②客体は、条文上「自己の占有する他人の物」とされていますが、文字通り自己の占有する他人の物すべてが客体となるわけではありません。
占有を離れた物を横領する行為については、刑法254条の占有離脱物横領罪が成立します。
したがって、252条の横領罪の客体となるのは、持ち主から頼まれて預かった場合のように、委託信任関係を原因として事実上または法律上支配力を有する状態下にある他人の物に限定されます。
本件では、男は知人から頼まれて自動車を預かっていますから、252条の横領罪が規定する客体にあたる可能性があります。

そして③本罪の行為は、横領することです。
横領とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、他人の物に対し経済的用法に従って所有者でなければできないような処分をする行為です(最判24年3月8日)。
本件では、男は、知人から自動車を預かるよう頼まれていたにもかかわらず、当該自動車を売却しています。
物を売るという行為は、その物の所有者にしかできない行為ですから男の行為は横領に当たるといえそうです。

加えて、横領罪が成立するためには、故意すなわち男が横領にあたる行為を認識しながら実行したことが必要です。
警察が疑っているように、男が、自身の借金を返済するために知人の物とわかっていながら自動車を売却したのであれば、故意もあったということになり、横領罪が成立する可能性があります。

なるべく早く弁護士に相談を

横領罪は被害者のいる犯罪です。
多くの場合、本件のように、被害者が被害届を提出したことをきっかけに捜査機関の捜査が始まります。
加害者と被害者は見ず知らずの他人ではなく、元々物を預けるというような関係性があることから、被害弁償がされれば被害届を出さない被害者もいらっしゃるようです。
したがって、きちんと謝罪と被害弁償をすれば被害届が提出されず、事件化を防げる可能性があります。
仮に、被害届が提出され事件化してしまった場合であっても、被害者との間で示談が成立していれば、不起訴処分となったり、執行猶予付き判決が得られる可能性もあります。
もっとも、加害者自ら、示談成立のための条件を交渉した場合、強気にいきすぎて被害者の神経を逆撫でする可能性がありますし、逆に相手のいうことをなんでも飲んでしまい不利な示談条件となってしまう可能性もあります。
そこで、示談交渉は、交渉のプロである弁護士に一任されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、横領事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分や罪の減軽、執行猶予付き判決を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

ブランド品のバッグを売ると偽りSNSで知り合った相手から代金を騙しとったとされる事例

2024-02-09

ブランド品のバッグを売ると偽りSNSで知り合った相手から代金を騙しとったとされる事例

犯罪行為で得たお金

ブランド品のバッグを売ると偽りSNSで知り合った相手から代金を騙しとったとされる事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府右京警察署によると、京都市内に住む会社員の女性Aが、SNS上で知り合ったフォロワーに対して、有名高級ブランド品のバッグを売ると偽り、その代金として50万円を騙し取った疑いが持たれている。
被害に遭った女性のフォロワーは、代金を振り込んだ後にAから連絡があまり返ってこなくなり、一向にバッグも送られてこないことを不審に思い最寄りの警察署に被害届を提出したことで事件が発覚した。
Aが京都府右京警察署からの出頭要請を何回も無視したため、逃亡の恐れありとしてAは逮捕された。
女性Aは、「騙すつもりはなく本当に約束のバッグを調達して送るつもりだった」「今回は、バッグの調達予定先が在庫切れとなり、バッグを仕入れることができなくなったため代わりの調達先を探していたため遅くなっただけ」として容疑を否定している。
(フィクションです)

詐欺罪とは

刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

「人を欺いて財物を交付させた」というのは、①被害者を欺いて(欺罔行為)、②それにより被害者が錯誤に陥り、③その錯誤に基づいて被害者が処分行為を行い、④その処分行為により財物が行為者に移転する、ということを意味します。
上記の4つの要件が満たされていた場合に、詐欺罪は成立します。

欺罔行為はあったのか?

本件では、Aは有名高級ブランドのバッグをフォロワーに渡すと言っておきながら、いまだに引き渡していないようです。
そのため、被害者とされるフォロワーは、自分は騙された、詐欺に遭ったんだと考えて警察に被害届を提出したという経緯です。
Aがしたことは詐欺罪にあたるのでしょうか?

詐欺罪が成立するためには、少なくとも上記①〜④にあたる事実が全て必要です。

①の欺罔行為とは、財物の交付に向けて人に錯誤に陥らせることをいい、その内容は財物の交付の判断の基礎となる重要な事項を偽ることであるとされています。

仮に、Aがはじめから約束のバッグを引き渡すつもりがなく取引を持ちかけ現金50万円を受け取ったとします。
この場合、Aは、50万という現金を自分の口座に振り込ませるために、被害女性を、バッグが手に入るという錯誤に陥らせています。
バッグが手に入らないのであれば50万をAに振り込むことはなかったでしょうから、財物交付の判断の基礎となる重要な事項を偽ったということになりそうです。
したがって、Aによる欺罔行為があったことになり詐欺罪が成立することになりそうです。

ところが、本件では、Aは取調べに対して、容疑を否認しており、騙すつもりはなかったと言っています。
約束のバッグを本当に引き渡すつもりであったとのことなので、50万円の振込をするという判断の基礎となる重要な事項を偽ったわけではないことになります。
したがって、Aの主張が認められれば、欺罔行為は存在しないため詐欺罪が成立することもなさそうです。

結局、本件で詐欺罪が成立するかどうかは、Aの騙すつもりはなかったという主張が認められるかどうかにかかっているといえそうです。

出頭要請にどう対処すればよかった?

それでは、Aは本件でどのような行動を取ればよかったのでしょうか?
Aは、警察からの度重なる出頭要請を無視した結果、逮捕されています。
Aとしては、自分が詐欺をしたとは思っていないわけですから、警察に行く必要はないと考えたのかもしれません。
しかし、出頭要請を無視すると逃亡のおそれありとして逮捕されることがありますし、実際に逮捕されていますから、出頭要請を無視するのは得策ではなく、出頭すべきであったと言えるでしょう。

ただし、出頭するにしても何も準備しないで行くのはやはり得策ではありません。
出頭した場合、捜査機関からの取調べを受けることになります。
捜査機関が、すでにAが怪しいと考えていた場合、取調べにおいて、詐欺をしたと認めるように誘導してくる可能性もあります。
このような誘導に乗ってしまい、その発言を文書化した供述調書にサインをし、裁判になった際に証拠として使われた場合、これを覆すのは非常に困難です。

なるべく早く弁護士に相談を

したがって、出頭する前に、取調べで、何を認めて何を認めないのか、きちんと整理しておくことが重要となります。
このような判断を十分な法律の知識なしに適切に行うことは、非常に困難です。
そこで、法律のプロである弁護士に相談することをお勧めします。

以上をまとめると、Aは、出頭要請を受けた段階ですぐに弁護士に相談して、取調べにどう対処するか準備をした上で出頭すべきであったと言えるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、詐欺罪の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
刑事事件に詳しい弁護士に事前に相談して取調べのアドバイスを得ることで、逮捕されるのを防げるかもしれません。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

金庫の金を脅し取った男を強盗罪で逮捕

2024-01-28

金庫の金を脅し取った男を強盗罪で逮捕

ハンマーを振りかざす男性

金庫の金を脅し取った男が強盗罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都府上京警察署は、無職の男性(34)を強盗罪の疑いで逮捕した。
男は、深夜に包丁を持って一人暮らしの女性宅に侵入し、物音に気づいて起床した女性に刃物を突きつけながら「家にある現金を全てだせ。出すまで刺すぞ」と脅し、金庫に入っていた50万円を奪って逃走した疑いが持たれている。
(フィクションです。)

強盗罪とは

刑法236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

強盗罪は、量刑が5年以上の有期懲役ですから、非常に重たい犯罪の1つです。
例えば、他人を凶器で殴ったり、脅したりして抵抗することを難しくさせ、無理やりに財産を奪うような行為が強盗罪にあたります。

このような行為がなされると、被害者が死亡したり怪我をしたりといったことが非常に発生しやすいと言えますから、とても危険で悪質な犯罪と言えます。
強盗罪に当たる行為が、単に人の財産に対する侵害行為にとどまらず人の生命・身体・自由に対する侵害行為という側面も有するため重い刑が課されます。

手段としての「暴行又は脅迫」

一般に暴行とは、人の身体に対する不法な有形力の行使を意味し、脅迫とは害悪の告知を言います。
しかし、暴行・脅迫を犯罪行為の一部としている犯罪は暴行罪恐喝罪などたくさんあり、各犯罪によってその意味は微妙に異なるものと理解されています。

強盗罪の場合、暴行・脅迫は財物を無理やり奪い取る手段として規定されていますから、本罪における暴行とは、反抗を抑圧するに足りる程度の不法な有形力の行使を意味し、脅迫とは、反抗を抑圧するに足りる程度の害悪の告知を言います。
また、反抗を抑圧するに足りる程度とは、簡単にいうと、抵抗することが困難な程度のことをいいます。
問題となった行為が、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫であるか否かは、「社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものかどうか」という客観的基準によって決せられます(最判昭和24年2月8日)。

この判断は、暴行又は脅迫の態様、行為者及び被害者の状況、日時や場所などを総合考慮して判断されます。
特に暴行又は脅迫の態様が重視されます。
例えば、加害者が殺傷能力の高い凶器を使用した場合には、社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫と判断される可能性が高くなります。

本件では、男は、現金という財物を手に入れようとして、被害者の女性に対し包丁を突きつけています。
寝起きの無防備な女性が、自分よりも力の大きい男性に包丁という殺傷能力の高い凶器を突きつけられた場合、反抗するのは困難と言えます。
したがって、男の包丁を突きつける行為は、反抗を抑圧するに足りる程度の有形力の行使、すなわち強盗罪における暴行にあたりそうです。

また、男は被害女性に対し、現金を出さないと包丁で刺すと脅しています。
包丁で刺すというのは身体に対する害悪の告知であり、上述のように、被害女性が男に反抗するのは困難でしょうから、強盗罪における脅迫にもあたりそうです。

結局、本件で男は、暴行脅迫を用いて現金50万という他人の財物を奪ったと言えそうですから、強盗罪が成立する可能性があります。

できるだけ早く弁護士に相談を

強盗罪の量刑は5年以上の有期懲役です。
執行猶予がつくためには懲役刑の場合は下される量刑が3年以下である必要がありますから、本件の男のように強盗罪を犯した場合、執行猶予がつくことは諦めざるを得ないのでしょうか?

実は、被害者に真摯に謝罪して示談が成立していれば、刑の減軽がされ、3年以下の懲役が下される可能性があります。
この場合には、執行猶予がつく可能性があります。
したがって、示談を成立させることができるかどうかが重要となります。

もっとも、本件のように、凶器を突きつけてきた加害者から謝罪がしたいと言われたとしても、被害者はこれに応じてくれる可能性は低いでしょう。
被害者としては、非常に怖いと思っているでしょうし、加害者に対する処罰感情も強いでしょうから、加害者が直接接触しようとするのは得策ではありません。 
そこで、弁護士に示談交渉を一任されることをおすすめいたします。加害者を断固拒絶している被害者も、弁護士とであれば連絡を取ることに応じてくれるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、強盗事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、量刑を減軽させたり、執行猶予付判決を得たりすることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

美容サロン7店に侵入し約130万円を盗み出した事例

2024-01-21

美容サロン7店に侵入し約130万円を盗み出した事例

窃盗や強盗で手に入れたお金

ポストに置かれていた合鍵を使用して美容サロンに進入し、約130万円等を盗んだとして、窃盗罪建造物侵入罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警捜査3課と下京署などは11日、建造物侵入と窃盗の疑いで、(中略)を逮捕、追送検し、7件、計約131万円の被害を裏付け、捜査を終結したと発表した。
府警によると、(中略)夜間帯に京都市下京区(中略)など7府県で、店舗関係者がテナントビルの集合ポストに置いたままにしていた合鍵を使い、美容サロン7店舗に侵入し、売上金や釣り銭計131万円と、鍵やポーチなど計4点を盗んだ疑いがある。「生活のためにやった」と供述しているという。

(1月11日 京都新聞 「ポストの合鍵使い、美容サロンで窃盗繰り返す 容疑の男「生活のため」」より引用)

窃盗罪

窃盗罪は刑法第235条で規定されています。

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は簡単に説明すると、お金などの財物を持ち主の許可なく、自分など持ち主以外の人の所有物にすると成立する犯罪です。

今回の事例では、容疑者がテナントビルの集合ポストに置かれていた合鍵を使用して美容サロンに進入し、売上金や鍵、ポーチなどを盗んだと報道されています。
本来の売上金の持ち主は美容サロンですし、鍵やポーチは美容サロンかその従業員の持ち物でしょう。
容疑者が美容サロンの責任者やポーチ等の持ち主の許可なく美容サロンから持ち去ったのであれば、窃盗罪が成立する可能性があります。

建造物侵入罪

建造物侵入罪は刑法第130条で規定されています。

刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

住居とは人が普段生活している家などを指し、邸宅は現在人が生活していない空き家や使用していない別荘などを指します。
住居や邸宅以外の建物を建造物といい、お店や学校などの公共施設がこの建造物にあたります。

大まかに説明すると、建造物に正当な理由や管理者の許可なく立ち入ると建造物侵入罪が成立します。

今回の事例では、容疑者は集合ポストに置いたままにされていた合鍵を使用して夜間に美容サロンに進入したとされています。
おそらく容疑者は合鍵を使用する許可や、夜間に施錠された美容サロンに立ち入る許可を得ていないでしょう。
また、物を盗むために立ち入る行為は正当な理由にはならないでしょう。美容サロンは建造物にあたりますから、実際に容疑者が合鍵を用いて美容サロンに入ったのであれば、建造物侵入罪が成立する可能性があります。

窃盗罪と裁判

窃盗罪は身近な犯罪の一つだと思います。
そのため、初犯であれば、実刑判決は下されずに執行猶予が付くと考えている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、悪質性が高かったり、被害額が高額な場合には、初犯であっても実刑になる可能性は十分にあります。
ですので、執行猶予付き判決の獲得に向けた弁護活動が重要になってくる場合があります。

今回の事例では、報道によると被害額は130万円を超えているようですし、7店舗で侵入盗をしているそうなので、悪質性が高いと判断され、もしかすると実刑判決を下されてしまうかもしれません。

では、実刑判決を回避するためにはどういったことをすればいいのでしょうか。

執行猶予付き判決の獲得を目指すうえで、一番初めにしてもらいたいことは弁護士に相談をすることです。
事件の見通しは事案ごとによって異なってきます。
ですので、一度弁護士に相談をして科される可能性のある量刑など、今後の見通しを聞いておくことがかなり重要になります。

また、執行猶予付き判決の獲得を目指すうえで、示談の締結が有利に働くことがあります。
当事者だけで示談をすることは不可能ではありませんが、法律の知識が乏しい中で、示談書を作成することはかなり大変な作業になることが予想されます。
何とか示談書を作成し被害者と交渉を行い示談書に署名等をもらったものの、示談書の内容に法的な穴が散見され示談書としての効力を有しない示談書になってしまうおそれもあります。
そういった事態を避けるためにも、弁護士に示談を任せることをおすすめします。
弁護士が代理人として示談交渉を行うことで、トラブルの回避につながることもありますので、そういった面でも示談交渉を行う際には、弁護士を介して行うことが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件に精通した法律事務所です。
窃盗事件建造物侵入事件の豊富な弁護経験を持つ弁護士による弁護活動で、執行猶予付き判決を獲得できる可能性がありますので、示談を考えている方、窃盗罪建造物侵入罪でお困りの方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
初回接見サービス無料法律相談のご予約は、0120―631―881で受け付けております。

後輩に対してカツアゲした疑いで大学生を逮捕

2024-01-19

後輩に対してカツアゲした疑いで大学生を逮捕

犯罪行為で得たお金

後輩に対してカツアゲした疑いで大学生が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都府北警察署は、京都市内の大学に通う男子大学生A(22)を恐喝罪の疑いで逮捕した。
体育会系の部活の4回生であるAは、同じ部活に所属する後輩の1回生Vが部活に遅刻した際に、「部活舐めてんのか!?遅刻した罰金として3万よこせ!金払わないならケツバットな!」などと言って、後輩の財布に入っていた2万円と、銀行から下ろさせてきた1万円の計3万円を受け取ったとされている。
京都府北警察署の取調べに対し、Aは「パチンコの新台を打ちたかったが、お金がなかったので、後輩からカツアゲしようと思った」と容疑を認めている。

カツアゲは犯罪?

刑法249条
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

カツアゲ恐喝罪になる可能性があります。
本件では、Aは、同じ部活に所属する後輩Vに3万円を差し出させています。
3万円という財物を交付させていますから、Aの発言が恐喝に当たるのであれば、恐喝罪が成立する可能性があります。

恐喝とは、①財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫または暴行であって、②その反抗を抑圧するに至らない程度の行為を言います。
本件で、Aは、Vに対し、金銭をよこさないとケツバットすると言って後輩を怖がらせています。
ケツバットするというのは、身体に対する害悪の告知ですから、Aの発言は、財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫に該当しそうです(①)。

では、②についてはどうでしょうか?
Aの上記行為は、Vの反抗を抑圧するに至らない程度と言えるでしょうか?
反抗を抑圧する程度の脅迫というのは、例えば、拳銃の銃口を突きつけながら「金を出さないと殺す」などと脅すような場合がこれに当たります。
銀行強盗をイメージするとわかりやすいかもしれません。
この場合、要求に応じないと殺されそうなので、言われた通りお金を差し出すほかないでしょうから、上記脅迫は、反抗を抑圧する程度の脅迫と言えます。

これに対し、本件でのAのケツバットするぞという害悪の告知は、大学に入ったばかりの1回生を怖がらせるのには十分かもしれませんが、反抗を抑圧する程度に至ってはいないと考えられます(②)。
以上より、Aのケツバットするぞという発言は恐喝に当たり、Aには恐喝罪が成立する可能性があります。

恐喝から現金の交付までの因果関係

加えて、恐喝罪の成立には、次の因果関係が必要です。
①相手方を恐喝し、②それにより相手方が畏怖し、③その畏怖に基づいて相手方が交付行為を行い、④その交付行為によって財物が行為者に移転するという因果関係が必要です。

本件では、AがケツバットするぞとVを恐喝し(①)、それによりVが畏怖し(②)、その畏怖に基づいてVは3万円をAに差し出し、(③)、その交付行為によって財物がAに移転(④)しています。
以上より、Aには恐喝罪が成立する可能性があります。

なるべく早く弁護士に相談を

カツアゲと聞くと大した犯罪ではないと思われるかもしれせんが、恐喝罪の法定刑は10年以下の懲役と非常に重たくなっています。
執行猶予がつくためには、量刑が3年以下であることが条件の1つですから、カツアゲをすると実刑判決が下される可能性があります。
仮に執行猶予がつかず実刑判決が下った場合、刑務所に拘束されるため大学に通ったり会社に出勤したりすることはできず、解雇退学処分となることが珍しくありません。
したがって、刑務所での拘束を避けるためには、科される量刑を3年以内に抑えて執行猶予付判決を獲得する必要があります。

では、量刑を3年以内に抑えるには、どうすれば良いのでしょうか?
この点については、被害者との間で示談を成立させることで、量刑を抑えることができる可能性があります。
ただし、カツアゲをした当の加害者が、直接被害者と示談交渉を進めることは通常困難です。
被害者は強い処罰感情を有していることは珍しくありません。
示談交渉のテーブルにつくことすらできないかもしれません。
そこで、交渉のプロである弁護士に第三者的立場から示談交渉をしてもらうことをおすすめします。
さらに、検察官に起訴される前に示談を締結できた場合には不起訴処分となる可能性も存在しますから、できる限り早い段階で弁護士に相談することが極めて重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、恐喝事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成功させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、量刑を軽くしたり執行猶予付判決不起訴処分を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
相談のご予約のお電話は0120-631-881で承っています。

書店で本を万引きして逮捕された事件

2024-01-17

書店で本を万引きして逮捕された事件

万引き

書店で本を万引きして逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事案

大学生のAは、京都市中京区の書店Bで、週刊誌で連載中の漫画の単行本を鞄の中に入れてお金を支払わずに店の外に出た。
一部始終を見ていた私服警備員はAを呼び止めたところ、Aは、「自分は単行本派なので、最新刊が出たらすぐ読みたいとずっと思っていたが財布にお金がなった。どうしても前刊の続きが気になっていたが、週間連載には手を出さずに我慢していたところなので、つい万引きしてしまった。」と万引きしたことを認めた。
書店Bは、京都府中京警察署に通報し、その後Aは逮捕された。
(フィクションです)

窃盗罪とは

刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

窃取とは、他人の占有する財物を、その占有者の意思に反して自己または第三者の占有に移転することを言います。
大まかに説明すると、占有とは物の支配や管理のことを指し、占有者は物の所有者を指します。

占有が認められるのは、客観的要件としての財物に対する事実的支配(客観的支配)と、主観的要件として財物に対する支配意思が必要です。
例えば、自宅に置いてあるゲーム機は、自宅という限られた人しか入れない閉鎖的な支配領域内にあるため、強い客観的支配が認められます。
また、すぐ使えるようにテレビの前などの目に入る場所に置いてあるのであれば、このゲーム機は自分の物だという支配意思も強いと言えるでしょうから、家主に占有が認められます。

本件では、Aは、書店で販売されていた単行本を鞄にいれて店外に持ち出したようです。
Aが持ち出した単行本は、書店の中に置かれていたようですので、書店Bには当該単行本に対して強い客観的支配が認められます。
書店Bは、店内に置いてある商品である単行本に対して、自店舗のものだという強い支配意思を有しているでしょう。
したがって、書店Bは、当該単行本を占有していたと言えそうです。

そして、Aは、当該単行本を代金を支払うことなく外に持ち出したようです。
書店Bは、代金を支払わずに商品を店外に持ち出すことを許してはいないでしょうから、Aは、占有者である書店の意思に反して自己の占有に移転したといえます。
したがって、本事案では窃盗罪が成立する可能性があります。

犯行時のAの認識

窃盗罪は故意犯、すなわち自らの行為が犯罪であることをわかった上で行うと成立する犯罪です。
窃盗罪の場合、故意の内容は、他人の財物を窃取することを認識・認容していたことです。
Aは書店に商品として置いてある本を鞄に入れて意識的に店外に持ち出していますから故意は認められそうです。

このほかに、条文には明記されていないものの、窃盗罪の成立には不法領得の意思が必要であると解されています。
不法領得の意思とは、「権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従いこれを利用しまたは処分する意思」とされています(最判昭和26年7月13日)。
権利者を排除し他人の物を自己の所有物として振る舞う意思を権利者排除意思といい、経済的用法に従いこれを利用し処分する意思を利用処分意思と言います。

まず、権利者排除意思は、刑罰を科されない使用窃盗窃盗を区別するための概念です。
使用窃盗とは、他人の財物を無断で一時的に使用することであり、被害者の被る被害が軽微であることから不可罰とされています
本件では、Aは、万引きを認めており、持ち出した単行本を書店Bに返すつもりはなかったようです。
仮にあったとしても商品を持ち出されては商売することができなくなるため、被害者の被る損害は軽微とは言えず、権利者排除意思が認められそうです。

次に、利用処分意思は、毀棄・隠匿の罪と区別するために必要な概念です。
毀棄・隠匿の罪は、物を壊したり隠したりすることで利用を妨げる罪です。
単行本の場合、利用処分意思は、単行本を読むつもりだった場合などに認められると考えられます。
本件では、Aは、前刊の続きが気になっていて最新刊がどうしても読みたかったから万引きしたと言っているので、利用処分意思が認められそうです。
以上より本件では、窃盗罪が成立する可能性があります。

なるべく早く弁護士に相談を

本件では、Aは逮捕されています。
逮捕中は、ただ身体拘束されるだけでなく、警察官や検察官からの取調べが行われます。
取調べの結果は、調書として文書化されて、被疑者はそれにサインするよう求められます。
サインされた調書は、裁判が始まった際に証拠として用いられることがあり、仮に、証拠として提出された場合、被告人のサインがあるため不利な調書の内容を覆すのは非常に困難です。

したがって、取調べ前に何をどのように供述するのか、しっかり考えておく必要があります。
もっとも、法律に詳しくない一般の方にとって、どのように受け答えするのが適切か判断することは困難です。

そこで、できるだけ早い段階で弁護士に相談されることをおすすめします。
法律のプロである弁護士に相談すれば、事件の内容を踏まえて取調べでどのように受け答えすれば良いのかについてアドバイスを得ることができます。
また、逮捕されたことによる不安を軽減して落ち着いて取調べに対応できる可能性が高まります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、窃盗罪を含む豊富な刑事弁護の経験を持つ法律事務所です。
逮捕前であれば、弊所にて初回無料で弁護士に相談していただけます。
逮捕後の場合には、弁護士を留置場まで派遣する初回接見サービスがございます。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
初回無料法律相談初回接見サービスをご希望の方は、0120-631-881までお電話ください。

特殊詐欺事件で捜査を受けたら弁護士に相談を

2023-12-31

特殊詐欺事件で捜査を受けたら弁護士に相談を

特殊詐欺事件の新聞記事

日々、特殊詐欺事件のニュースを目にします。
特殊詐欺事件を起こした場合には、どのような犯罪が成立するのでしょうか。
今回のコラムでは、特殊詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

特殊詐欺事件

特殊詐欺事件は、高度な欺罔手段を用いて被害者から財物を騙し取る犯罪です。
これらの事件は、被害者の信頼を悪用し、金銭的な損失だけでなく、精神的な苦痛も引き起こします。
特殊詐欺事件の被害に遭うのは高齢の方が多いイメージですが、年々手口が巧妙化しており、年齢に限らず特殊詐欺事件にひっかかってしまうおそれがあります。
また、闇バイトなどで社会問題になったように、気づけば特殊詐欺事件に加担してしまっていたなど、特殊詐欺事件の被害に遭わないように注意するのと併せて特殊詐欺事件に加担しないために警戒することも重要になります。

詐欺罪

特殊詐欺事件で成立する犯罪として一番に思い浮かぶのは詐欺罪なのではないでしょうか。

詐欺罪は、刑法第246条1項に定められており、人を欺いて財物を交付させると成立します。
この犯罪は、相手に虚偽の事実を伝え、その虚偽を信じさせることで、財物を不当に得ることを目的としています。
詐欺罪の成立には、欺罔行為(人を欺く行為)、錯誤(相手に誤信させる)、財物の交付が必要です。
例えば、存在しない商品を販売することを偽って金銭を受け取る行為は、典型的な詐欺罪に該当します。
詐欺罪は、被害者の財産権を侵害する重大な犯罪であり、最悪の場合、10年の懲役に処される可能性があります。

窃盗罪

窃盗罪は、刑法第235条によって規定されており、大まかに説明すると他人の所有する財物を、その人の意志に反して盗むことで成立します。
窃盗罪の要件には、対象が他人の財物であること、盗む意図があること、所有者の意思に反していることが必要になります。
例えば、店舗から商品をこっそり持ち去る行為や、人の財布から金銭を抜き取る行為は、窃盗罪に該当します。
窃盗罪は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処される可能性があります。

詐欺罪と窃盗罪

特殊詐欺事件では、詐欺罪だけでなく窃盗罪の罪に問われる可能性があります。
例えば、キャッシュカードをだまし取り、そのカードを使用してATMから現金を引き出す行為は、詐欺罪窃盗罪の両方が成立するおそれがあります。
詐欺罪では、被害者を欺いて財物を交付させる行為が問題となり、窃盗罪では、その財物(例えば現金)を所有者の意思に反して取得する行為が問題となります。

特殊詐欺事件と弁護活動

弁護活動は、特殊詐欺事件において非常に重要な役割を果たします。
刑事事件では、捜査を受けると取調べが行われることになります。
取調べでは供述の内容を基に供述調書が作成されるのですが、警察官や検察官による供述の誘導や自白の強要などで、意に反した供述調書が作成される可能性があります。
また、刑罰を科されるかもしれないといった不安の中、ストレスにより判断が鈍り、不利になるような供述をしてしまうおそれもあります。
こういった事態を避けるためにも、あらかじめ供述すべき内容とそうでない内容を整理し、余裕をもって取調べに挑むことが重要になります。
とはいえ、何が供述すべき内容で何が供述しない方が良い内容なのかわからない方がほとんどだと思います。
ですので、取調べを受ける前に弁護士に相談をし、取調べの対策を練っておくことをお勧めします。
弁護士に相談をして供述すべき内容を精査することで、気持ちに余裕ができ、不利な内容の供述調書の作成を防げるかもしれません。

また、特殊詐欺事件では、初犯であっても実刑判決を下される可能性があります。
実刑判決を避けるためには、不起訴処分執行猶予付き判決の獲得に向けた弁護活動が重要になります。
特殊詐欺事件では、被害者と示談を締結することで、不起訴処分執行猶予付き判決の獲得に有利に働く可能性があります。
加害者が直接被害者と示談交渉を行うことは不可能ではありませんが、トラブルに発展する可能性が高く、あまりおすすめできません。
また、加害者本人が被害者と直接連絡をとることで、証拠隠滅を疑われてしまう可能性もありますので、示談締結を考えている場合は、弁護士に相談をしてみることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、詐欺罪窃盗罪の弁護経験が豊富な法律事務所です。
数々の詐欺事件窃盗事件不起訴処分を獲得してきた弁護士に相談をすることで、不起訴処分執行猶予付き判決の獲得などより良い結果を得られる可能性があります。
特殊詐欺事件など、詐欺罪窃盗罪でお困りの方は、年末年始も即日対応可能弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
初回接見サービス無料法律相談は、0120-631-881で受け付けております。

【事例紹介】心霊スポットに訪れた人からお金を脅し取った事例

2023-12-29

【事例紹介】心霊スポットに訪れた人からお金を脅し取った事例

犯罪行為で得たお金

心霊スポットに立ち入った人から、示談金の名目でお金を脅し取ったとして恐喝罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

「心霊スポット」とされるホテル跡地に立ち入った若者から示談金名目で現金を脅し取ったなどとして、京都府警木津署は19日、恐喝などの疑いで(中略)容疑者(32)と(中略)容疑者(40)と(中略)容疑者(30)を逮捕した。(中略)容疑者は容疑を認め、(中略)容疑者と(中略)容疑者は否認している。
逮捕容疑は共謀し今年8~9月、京都府笠置町にあるホテル跡地に立ち入った20代男性ら4人に対し「不法侵入です」「前科がつく」などと脅し、示談金として計120万円を脅し取ったなどとしている。
木津署によると(中略)容疑者は今夏から、ホテル跡地の所有者から現場の管理業務を任されていた。(後略)

(12月19日 産経新聞 「廃ホテル侵入者に「前科がつく」 120万円恐喝容疑でユーチューバーら3人逮捕」より引用)

恐喝罪

刑法第249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

恐喝罪は、簡単に説明すると、強盗罪にいたらない程度の暴行や脅迫を用いてお金などを受け取ると成立する犯罪です。
大まかに説明すると、強盗罪は抵抗できないような暴行や脅迫を用いてお金などを奪うと成立します。
ですので、恐喝罪が規定する暴行や脅迫は、強盗罪が成立するような抵抗できない程度には至らない程度のものになります。

暴行は、殴る、蹴るはもちろんのこと、腕をつかむ行為や髪の毛を引っ張る行為なども暴行にあたります。
また、相手に恐怖を感じさせる害を与える告知が脅迫にあたります。

今回の事例では、容疑者らが心霊スポットに訪れた被害者らに対して、「不法侵入です」「前科がつく」などと脅して計120万円を脅し取ったとされています。
他人の敷地に無断で侵入して「不法侵入です」や「前科がつく」などと言われれば、前科がついて将来を棒に振ってしまうのではないかと恐怖を感じるのではないでしょうか。
また、「不法侵入です」や「前科がつく」と言われただけでは、その場から逃げ出すなどできそうですから、抵抗できない程度とはいえないでしょう。
ですので、被害者に対して「不法侵入です」や「前科がつく」と言う行為は、恐喝罪で規定する脅迫にあたりそうです。
報道によると、容疑者らは示談金の名目でお金を受け取っているようですので、実際に容疑者らが被害者に対して「前科がつく」などと脅してお金を受け取ったのであれば、恐喝罪が成立する可能性があります。

肝試しと建造物侵入罪

今回の事例では、事件現場が心霊スポットされているホテル跡地のようです。
報道によれば、容疑者らは被害者に「前科がつく」などと脅していたようです。
実際に被害者に前科がつくことはあるのでしょうか。

刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

大まかに説明すると、人が現在暮らしている家や宿泊しているホテルの一室などを住居、人が住んでいない空き家や使用していない別荘などを邸宅、住居や邸宅にあてはまらない建物を建造物といいます。
住んでいる人や管理している人の許可や正当な理由がなく、住居や邸宅、建造物に進入すると、住居侵入罪邸宅侵入罪建造物侵入罪がそれぞれ成立することになります。

今回の事例では、被害者はホテル跡地に立ち入っているようです。
このホテル跡地にはホテルだった建物が残っているようですから、建造物にあたると考えられます。
ですので、管理者に無断で侵入したり、侵入する正当な理由がない場合には、建造物侵入罪が成立する可能性があります。
今回の事例では、容疑者の一人がホテル跡地の所有者から管理を任されているようですので、許可を得て立ち入ったわけではなさそうです。
また、立ち入った理由は報道からでは明らかではありませんが、仮に肝試し目的での侵入だった場合は侵入するための正当な理由とはいえないでしょうから、被害者は建造物侵入罪に問われる可能性があります。

もしも、今回の事例で建造物侵入罪が成立した場合には、有罪になれば前科がつくことになります。

このように、心霊スポットで廃墟などに進入する行為は建造物侵入罪など、何らかの犯罪が成立する可能性があります。
罪に問われたり、トラブル生まないようにするためにも、他人が所有する敷地内には無断で立ち入らないようにしましょう。

容疑をかけられたら弁護士に相談を

恐喝罪建造物侵入罪は、被害者と示談を締結することで、不起訴処分を得られる可能性があります。
不起訴処分を獲得することができれば、罰金刑や懲役刑は科されませんし、前科がつくこともありません。
示談を締結するためには示談交渉を行う必要がありますが、加害者本人が示談交渉を行う場合には、被害者の連絡先を教えてもらえない場合があります。
ですが、加害者には連絡先を教えたくないが弁護士であれば教えてもいいと思われる被害者の方もいらっしゃいますので、示談交渉を行う場合には、弁護士に相談をすることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
恐喝罪建造物侵入罪などの刑事事件でお困りの方は、年末年始も即日対応可能弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

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