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置き引き事件で準現行犯逮捕

2020-08-06

置き引き事件で準現行犯逮捕

置き引き事件準現行犯逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府木津川市の道路で、傍らに荷物を置いて電話をしていたVさんの荷物を手に取ると、素早くその場を去ろうとしました。
しかし、Vさんは荷物を取られたことにすぐに気が付き、Vさんの荷物を持って逃げるAさんを「待て、泥棒!」などと声を上げながら追いかけました。
途中でAさんは追いかけてきたVさんに捕まり、その場で通報を受けた京都府木津警察署の警察官に引き渡されました。
Aさんは、窃盗罪の容疑で準現行犯逮捕されたこととなり、京都府木津警察署に留置されることになりました。
その知らせを聞いたAさんの家族は、すぐに弁護士に相談してAさんの様子を見てきてもらったうえで、準現行犯逮捕とは何か、今後の手続きはどのようになるのかなどを詳しく聞くことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・置き引き

そもそも、置き引きとは、置いてある他人の荷物を勝手に持って行ってしまうことを指し、窃盗行為の1種類であるとされています。
状況によっては占有離脱物横領罪という犯罪が成立することもありますが、置き引きは多くの場合、刑法の窃盗罪が成立するとされています。

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

今回のAさんも、Vさんの傍に置いてあったVさんの荷物を勝手に持っていくという置き引きの態様であることから、この窃盗罪が成立すると考えられます。

・準現行犯逮捕とは?

現行犯逮捕とは、皆さんがご存知のように、現在犯罪をしている人や現在犯罪を行い終わった現行犯を逮捕することを指します。

刑事訴訟法第212条第1項
現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者を現行犯人とする。

刑事訴訟法第213条
現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

現行犯逮捕はまさに犯罪が行われていたり行い終わったりしているその場で犯人を逮捕することから冤罪の危険性も少ないとされ、通常の逮捕とは異なり、「逮捕状なくして」できる逮捕です。
さらに、現行犯逮捕は「何人でも」できるとされていることから、警察官や検察官だけでなく、一般人もすることができます。
一般人の行った現行犯逮捕は「常人逮捕」や「私人逮捕」と呼ばれることもあります。

では、今回のAさんがされた準現行犯逮捕とはどういった逮捕なのでしょうか。
刑事訴訟法では、先ほど挙げた「現行犯人」でなくとも、以下の条件に当てはまった場合には「現行犯人」とみなすとしています。

刑事訴訟法212条第2項
左の各号の一にあたる者が、罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。
第1号 犯人として追呼されているとき。
第2号 贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。
第3号 身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。
第4号 誰何されて逃走しようとするとき。

つまり、まさに犯行現場であるという状況でなくとも、上記の条件に当てはまれば現行犯人と同じように現行犯逮捕ができるということになります。
こうしたことから、刑事訴訟法第212条第2項に該当して現行犯逮捕されることを、現行犯逮捕に準ずることから「準現行犯逮捕」と呼ぶのです。

今回のAさんは、置き引きをしてからすぐにVさんに見つかり追いかけられていますから、「罪を行い終つてから間がないと明らかに認められる」と言えるでしょう。
そして、AさんはVさんに「待て、泥棒!」と声を上げられながら追いかけられていますが、これは「犯人として追呼されているとき」に当たります。
こうしたことから、Aさんは「現行犯人」とみなされることになりますから、準現行犯逮捕されうることになります。
先述のように、現行犯逮捕は警察官でない一般人でも可能な逮捕ですから、今回の場合はVさんがAさんを準現行犯逮捕し、京都府木津警察署の警察官に引き渡したということになるでしょう。

現行犯逮捕準現行犯逮捕されてしまうと、突然周囲と連絡がつかなくなってしまい、逮捕された方の家族も心配されることが多いです。
特に準現行犯逮捕の場合には、本当に準現行犯逮捕の条件に当てはまっているのか、手続きに誤りはないのかなど検討すべきことも多いです。
だからこそ、準現行犯逮捕されてしまったらまずは弁護士に相談しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、365日いつでもお問い合わせを受け付けていますので、京都府準現行犯逮捕にお困りの際はお気軽にお問い合わせください。

開店前の店での窃盗事件で逮捕

2020-06-25

開店前の店での窃盗事件で逮捕

開店前の店での窃盗事件逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、自分の欲しい商品が人気商品であり、自分が店に行ったときには売切れになってしまっていることに不満を持っていました。
そこでAさんは、「開店前の店であれば在庫があるに違いない」と考えると、京都府八幡市にあるドラッグストアに開店時間前に忍び込み、目当ての商品を盗み出しました。
しかし、店を出るところで出勤してきた店員に見つかり、京都府八幡警察署に通報され、Aさんは建造物侵入罪窃盗罪の容疑で逮捕されました。
(※この事例はフィクションです。)

・窃盗事件で逮捕

今回のAさんは、開店前の店に忍び込んで窃盗事件を起こし、京都府八幡警察署逮捕されてしまっています。
当然、物を盗むことは刑法の窃盗罪に当たります。

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

今回のAさんもドラッグストアの商品を盗み出していることから、窃盗罪が成立することには疑いがないでしょう。
しかし、今回のAさんの犯行態様を考えると、成立する犯罪は窃盗罪だけではない可能性が出てきます。
それが、今回のAさんのもう1つの逮捕容疑である建造物侵入罪です。

刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

Aさんは、欲しかった商品を盗むために開店時間前のドラッグストアに忍び込んでいます。
建造物侵入罪での「侵入」とは、その建造物の管理者の意思に反する立ち入りを指すと言われています。
つまり、ドラッグストアの管理者(例えば店長など)が許可しない立ち入りは建造物侵入罪の「侵入」となりうるのですが、ドラッグストアの開店時間前に店員でもない人が商品を盗むために店内に立ち入る行為は、この「侵入」となりうるでしょう。

・窃盗罪と建造物侵入罪の関係

ここまで見てきたように、Aさんには窃盗罪建造物侵入罪が成立すると考えられます。
Aさんの窃盗事件では、この窃盗罪建造物侵入罪の2つは、結果と手段の関係にあります。
すなわち、建造物侵入罪に当たる行為を手段として用いられ、窃盗罪に当たる行為が結果になるという関係です。
今回のAさんはドラッグストアに忍び込むことを手段として、商品を盗むという結果を起こしていることから、このような関係となります。
2つ以上の犯罪が成立するとき、このようにそれぞれの犯罪が手段と結果の関係になるものを「牽連犯」と言います。

刑法第54条第1項
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

条文でいうと、この刑法第54条第1項の後段部分が「牽連犯」にあたります。
「その最も重い刑により処断」されることになるため、窃盗罪建造物侵入罪では、最も重い窃盗罪の「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」という法定刑の中で刑罰の重さが決められることになります。

今回のAさんのような窃盗事件は、窃盗罪に加えて建造物侵入罪という犯罪が成立することもあり、単純な窃盗事件よりも重く処分されることが考えられます。
だからこそ、まずは刑事事件に強い弁護士に相談し、どのように釈放や刑罰の減軽を目指していくのか把握しながら対応していくことが重要でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、逮捕されている方には初回接見サービスを、在宅捜査を受けている方には初回無料法律相談をご用意しています。
まずは弁護士の話を聞いてみたいという方もお気軽にご利用いただけます。
0120ー631ー881では、スタッフがサービスについていつでもご案内しています。
まずはお電話ください。

給付金詐欺事件・助成金詐欺事件で逮捕

2020-06-18

給付金詐欺事件・助成金詐欺事件で逮捕

給付金詐欺事件助成金詐欺事件逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市東山区に住んでいるVさんは、「給付金の申請代行のご案内」という葉書を受け取りました。
そこには、京都市東山区から頼まれて、政府からの給付金を受け取るための手続きを代行するサービスをしている業者であること、申請から給付金を受け取るまで全て任せられることといった内容が書いてありました。
Vさんはその葉書の内容をすっかり信じ込み、葉書に書いてあった電話番号に電話すると、やってきた代行業者を名乗るAさんに自身の口座情報とキャッシュカードを手渡しました。
しかし、Vさんの元にAさんが戻ってくることはなく、Vさんが京都府東山警察署に相談したことで、これが給付金詐欺であることが発覚。
捜査の結果、Aさんがこの給付金詐欺事件に関わっていることが判明し、Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・給付金詐欺事件・助成金詐欺事件

今回のAさんが行った形態の詐欺行為は、給付金詐欺助成金詐欺と呼ばれる種類のものです。
今回のAさんの事例のように、給付金や助成金の申請代行をすると偽ってキャッシュカード等を騙し取ったり、存在しない給付金自体を偽ってATMなどに誘導し、預金を犯人の口座へ振り込ませたりといった手口が考えられます。
こういった行為は、名前の通り詐欺罪に当たることになります。

刑法第246条第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪の「人を欺」く行為は、「欺もう行為」とも呼ばれます。
詐欺罪の「欺もう行為」は、簡単に言えば人を騙す行為であるのですが、「財物を交付」するかどうかの判断に際して重要な事項について人を騙す行為でなければいけません。
ですから、単純に嘘をついていたからといって必ずしも詐欺罪の「欺もう行為」に当てはまるわけではありません。

今回のAさんの給付金詐欺事件では、AさんはVさんに給付金の申請代行サービスであると偽ってキャッシュカードを引き渡させていますが、この代行サービスが嘘であれば、当然Vさんはキャッシュカードを引き渡すことはしなかったでしょう。
すなわち、Aさんは、財物(=キャッシュカード)を引き渡すに当たって重要な事項(=給付金代行サービス)を偽っていたと言えますから、Aさんは詐欺罪の「欺もう行為」をしてVさんを騙し、それによって財物を交付させていることから詐欺罪が成立すると考えられるのです。

・給付金詐欺事件・助成金詐欺事件で逮捕されたら

今回のような給付金詐欺事件助成金詐欺事件は、複数人で構成されるグループによって犯行が行われていることも多いです。
当然、捜査機関としてもそうした場合を想定して捜査を行うでしょう。
共犯者がいる刑事事件の場合、口裏合わせなどによる逃亡・証拠隠滅のおそれがあることから、逮捕されて捜査が進められる可能性が高いです。
釈放を求めたい場合、捜査段階から迅速に活動することはもちろん、起訴後の保釈請求も粘り強く活動していくことが求められます。

また、給付金詐欺事件助成金詐欺事件では、Vさんのような被害者が存在します。
被害者への謝罪・弁償の有無は釈放・保釈を求める上でも、裁判で量刑が決められる際にも重要な事情となります。
ですから、示談交渉についても並行して活動することが求められます。

こうした活動は、刑事事件に精通した弁護士に相談しながら活動してもらうことが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門弁護士給付金詐欺事件逮捕にも迅速に対応しています。
京都府刑事事件にお困りの際は、お気軽にご連絡ください。

侵入盗事件で逮捕されたら

2020-05-05

侵入盗事件で逮捕されたら

侵入盗事件逮捕されたケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市北区に住むAさんは,ある日,近所に住んでいるVさんが,「今自宅には200万円の現金が保管してある」と話していたのを聞き,Vさん宅からその200万円を盗み出すことを思いつきました。
AさんはVさんが出かけた時間を狙ってVさん宅に侵入し,部屋内から金庫の合い鍵を見つけ金庫の鍵を開けて現金200万円を盗みました。
帰宅したVさんが金庫が開いていることに気づき,200万円の盗難が発覚。
Vさんの通報により,京都府北警察署が捜査を開始しました。
捜査の結果,防犯カメラの映像からAさんの犯行であると発覚し,Aさんは,住居侵入罪窃盗罪の容疑で京都市北区を管轄する京都府北警察署の警察官に逮捕されました。
(フィクションです。)

~侵入盗事件~

他人の財物を盗んだ(窃取した)者には,窃盗罪(刑法235条)が成立します。
窃盗罪で有罪となれば,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑が科せられます。

刑法235条
他人の財物を窃取した者は,窃盗の罪とし,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は,他人の財物を窃取した場合に成立します。
「窃取」とは,その物の持ち主の意思に反して財物の占有を移転し,それを取得することをいいます。
窃盗罪の典型例である万引きや,侵入盗・空き巣の手口を考えれば,持ち主の意思に反して勝手にその物を自分の物としてしまっていることがわかると思います。
もちろん,今回のAさんの行為も窃盗罪に当たると考えられます。

さて,この窃盗罪は様々な手口によって犯行が行われていますが,今回のAさんの手口は,人の家や建物に侵入して物を盗む,いわゆる侵入盗という分類にあたるでしょう。
侵入盗としては,空き巣や忍び込み,金庫破り,事務所荒らしや出店荒らしなどが挙げられます。
今回のAさんはVさんの留守中を狙って忍び込んで窃盗行為をしていることから,侵入盗のうち空き巣にあたるでしょう。
なお,窃盗事件の中には侵入盗とは反対に,家等に侵入せずに盗みをはたらく非侵入盗と呼ばれる分類もあります。
非侵入盗の手口としては,万引きやすりといった手口が挙げられます。

侵入盗事件の場合,窃盗行為をするためにどこかに侵入しているわけですから,窃盗罪だけでなく住居侵入罪や建造物侵入罪(刑法130条)にも問われることになります。

刑法130条
正当な理由がないのに,人の住居若しくは人の看守する邸宅,建造物若しくは艦船に侵入し,又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は,3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

例えば今回のAさんは,窃盗行為をする目的で勝手にVさん宅に侵入しています。
窃盗行為をする目的で立ち入っていることから,もちろん「正当な理由」とは言えませんし,家主であるVさんもこの立ち入りには同意しないでしょうから,Aさんには窃盗罪に加えて住居侵入罪も成立することになるでしょう。

Aさんのような侵入盗事件では,窃盗罪に当たる行為と住居侵入罪に当たる行為は,手段と目的の関係に立ちます(窃盗罪という目的のために住居侵入罪という手段を使ったということです。)。
そのため,牽連犯という考えが用いられ,重い窃盗罪の刑で処断されることになります(刑法54条1項前段)。

刑法54条1項
一個の行為が二個以上の罪名に触れ,又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは,その最も重い刑により処断する。

~侵入盗事件と弁護活動~

侵入盗事件を起こしたことに争いがない場合,弁護士を通じて早期に被害者の方に対する被害弁償や示談交渉を進めることが重要です。
侵入盗事件の被害届が提出される前であれば,示談締結により警察の介入を回避し,逮捕されたりすることなく,刑事事件化を阻止できる可能性もあります。
また,警察が介入して刑事事件化し,逮捕されてしまったような場合でも,示談締結ができれば早期釈放や不起訴処分など早期の職場復帰や社会復帰を実現できる可能性が高くなります。
なお,刑事事件化し,裁判が始まった後の示談であっても,示談締結の事実により執行猶予付き判決や減刑など効果が期待できます。

侵入盗事件では,窃盗罪だけでなく住居侵入罪も成立することから,犯行が悪質であると判断されやすく,厳しい処分がくだされることも考えられます。
なるべく早く弁護士に相談し,示談交渉等の活動に取り掛かってもらうのが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では,侵入盗事件逮捕にお悩みの方のご相談も受け付けています。
まずはお気軽に,弊所弁護士までご相談ください。

置き引きで出頭要請

2020-05-03

置き引きで出頭要請

置き引き出頭要請を受けたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

京都府綾部市内の駅近くのファミリーレストランにいたAさんは、Vさんが同じフロアのトイレに行くために席を外したことに乗じて、Vさんの席に置いてあった財布を盗み店を後にした。
5分後、席に戻ったVさんは財布が盗まれたことに気付き、京都府綾部警察署に通報した。
通報を受けた京都府綾部警察署の警察官は捜査を開始し、店の防犯カメラからAさんを特定。
後日、Aさんへ京都府綾部警察署から連絡があり、Aさんは置き引き事件の事情聴取のために京都府綾部警察署へ出頭するように指示を受けました。
(事例はフィクションです。)

本件はいわゆる「置き引き」の事例ですが、刑法的には窃盗罪又は占有離脱物横領罪に該当する行為です。
この2つの犯罪はどのように区別されるのでしょうか。

(1)窃盗罪

刑法第235条(窃盗罪
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪にいう「窃取」とは、他人が占有する財物を、占有者の意思に反し自己又は第三者の占有に移転させる行為をいいます。
なお、騙したり脅すなどして占有者の(瑕疵ある)意思による財物の交付を受けた場合は、詐欺罪や恐喝罪になります。
ここでの「意思に反して」とは、占有者の隙を突いて財物を奪い取るひったくりのようなケースもあれば、被害者の目の届かないところに置いてある財物を持ち去る置き引きのようなケースもあります。

注意して頂きたいのは、窃盗罪の条文に「他人が占有する財物」とあるように、財物の所有権は問題とされていないことです。
したがって、一度盗られた自分の持ち物を取り返そうと犯人(占有者)から奪い返すことも、窃盗罪の実行行為に当たることになります。

(2)占有離脱物横領罪

刑法第254条(占有離脱物横領罪
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

他人の占有下にある財物を盗った場合は窃盗罪になりますが、占有下にない財物を盗った、つまり持ち主が財物を置いて完全に立ち去ってしまっていた時にその財物を盗った場合などには、占有離脱物横領罪に問われる可能性が出てきます。

占有離脱物横領罪の「横領」とは、不法領得の意思の発現行為一切をとされています。
そして、ここでの「不法領得の意思」とは、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思をいいます。
したがって、端的にいえば、「横領」とは、その物を自分の所有物として扱うことを意味します。
所有物として扱うということは、壊したり、捨てたりすることもできますので、これらの目的での占有離脱物横領罪も罰せられることが考えられます。
この点は、壊したり隠す目的での行為は処罰されない窃盗罪とは異なります。

(3)窃盗罪?占有離脱物横領罪?

窃盗罪占有離脱物横領罪のどちらかに該当するかは、財物に対して占有が及んでいるか否かで決まります。
過去の判例や裁判例では、どのように評価しているのでしょうか。

〇窃盗罪が成立したケース
バスの乗車待ちの列に並んでいたV1さんが、列を前進する際に傍に置いていたカメラを置きっ放しにしていた。途中で気付いて引き返したが、既にBさんに持ち去られた後だった。

このケースでは、置き忘れたカメラとV1さんが気付いて取りに戻ろうとした場所との距離が20メートル弱、置き忘れてから取りに戻るまでの時間が5分程度でした。
最高裁判所はカメラについて未だV1さんの占有下にあると判断して、Bさんの行為を窃盗罪に当たると判断しました。

〇占有離脱物横領罪が成立したケース
V2さんは、大規模スーパーの6階のベンチに財布を置いたまま地下1階に降りてしまった。約10分後そのことに気が付いたV2さんが取りに戻った時には、既にCさんが持ち去っていた。

高等裁判所は置き忘れた地点とV2さんが引き返そうとした地点との具体的な距離を明示せず、フロア数を示したのみでしたが、このケースの場合はV2さんの占有が及んでいないと判断しました。

さて、以上を踏まえて今回のケースを検討します。
通常ファミリーレストランの飲食スペースとトイレは本件と同様に同じフロア、離れていても1~2階程度の隔たりでしかないと判断できます。
距離としても数メートルでしょう。
Vさんが不在にしていた時間も5分程度であることを考慮して、財布にはVさんの占有が及んでいると判断できます。
つまり、Aさんの置き引き行為窃盗罪であると判断される可能性が高いと考えられるのです。

今回のケースでは、逮捕による身柄拘束がされることはありませんでした。
もっとも、事件を早期に解決するためには被害者の方への一刻も早い謝罪や示談を進める必要があります。
実際は、被疑者自身が直接被害者の方と謝罪や接触をすることは難しく、接触できた場合にも被害感情が峻烈になる場合もあります。
被害者対応に関して、間に入る弁護士の有無は非常に重要です。
早期に上記の対応がなされれば、被害届の取下げや不起訴処分での終結になる可能性も十分にあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、窃盗占有離脱物横領事件の経験豊富な弁護士による、身柄の早期解放や示談交渉について最善のアドバイスを受けることができます。
置き引き事件にお困りの際は、遠慮なく弊所弁護士までご相談ください。

下着泥棒・住居侵入事件で逮捕

2020-04-02

下着泥棒・住居侵入事件で逮捕

下着泥棒住居侵入事件逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、女性Vさんの自宅である京都市山科区にあるアパートの一室のベランダに侵入し、ベランダに干されていたVさんの下着を盗もうと考えました。
しかし、いざAさんがベランダに侵入し下着を手に取り、立ち去ろうとした時点で、通行人に見つかってしまいました。
Aさんの姿を見た通行人が「泥棒!」と声を上げたため、Aさんは急いでその場から逃走しました。
通報を受けた京都府山科警察署が捜査を開始した結果、Aさんの犯行が発覚。
Aさんは下着泥棒事件の被疑者として逮捕され、京都府山科警察署に連行されました。
(事例はフィクションです。)

~下着泥棒事件と住居侵入罪~

さて、今回のAさんは下着泥棒事件の犯人として逮捕されていますが、どのような犯罪の容疑で逮捕されたのでしょうか。
まず今回のAさんに成立が考えられるのは、住居侵入罪です。

刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する

・住居侵入罪の「住居」

住居侵入罪の「住居」には、人の起臥寝食に使用される場所であるとされています。
人の気が浸食に使用される「住居」というと、継続的に人が生活の拠点としている一軒家やマンションの一室が思い浮かばれやすいですが、日常生活に使用されるのは一時的であってもよいので、ホテルや旅館の一室も宿泊者の「住居」とされています。

・住居侵入罪の「侵入」

住居侵入罪の「侵入」の意味は、管理権者(住居における住民など)の意思に反する立入りであると解されています。
このことから、住居侵入罪の保護法益は住居などに誰を立ち入らせるかの自由(住居権)であるとされています。
つまり、その「住居」を管理している人の同意のない立ち入りは、住居侵入罪の「侵入」行為になりうるということです。
ですから、例えば、友人の自宅に招かれていたような場合でも、立ち入りを許されていない部屋にまで勝手に入ってしまえば、それは家=「住居」の管理者の意思に反する立ち入りであることから、住居侵入罪のいう「侵入」行為になりうるということなのです。

そして、管理権者が予め立ち入り拒否の意思を積極的に明示しておらず、行為者の立ち入りにも外見上不審な点が見られない場合であっても、住居侵入罪の「侵入」と判断される可能性があります。
住居侵入罪の「侵入」に当たるか否かは、当該住居の性質、使用目的、管理状況、管理者の態度、立ち入りの目的などを勘案して、合理的に判断されることになります。
判例は、一般的に立ち入りが許容されている場所への立ち入りについても、目的が違法である場合には広く住居侵入罪の成立を認めています。

今回のAさんは、下着泥棒目的でVさんの住むマンションの一室のベランダに立ち入っています。
ベランダは確かに室外ではありますが、ベランダと外部を仕切る柵や壁があることや、マンションの一室の一部と考えられるだろうことを考慮すれば、住居侵入罪の「住居」と判断される可能性も十分あるといえるでしょう。
そして、当然部屋に住んでいるVさんからすれば、下着泥棒をしようという人の立ち入りを許可することはないと考えられますから、住居侵入罪の「侵入」行為にも当たりそうです。
こうしたことから、Aさんには住居侵入罪が考えられるのです。

~住居侵入罪と他の犯罪の関係~

住居侵入事件では、別の犯罪行為の前提として住居侵入罪に該当する行為を行うケースも多くあります。

住居等内にある財物を盗むこと=窃盗罪に当たる行為を目的としているケースを例に挙げます。
具体的には、本件のように下着泥棒をするためにベランダへ侵入する行為や、詐欺グループの出し子が騙し取ったキャッシュカードを用いて現金を引き出そうと無人ATMコーナーへ立ち入る行為などが挙げられます。
双方とも窃盗罪(刑法第235条)の手段として、住居侵入罪を犯していることになります。
この場合、住居侵入罪は牽連犯(刑法第54条第1項)として扱われます。

刑法第54条1項
1個の行為が2個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の犯罪に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

窃盗罪の刑罰は住居等侵入罪よりも重い(10年以下の懲役又は50万円以下の罰金)ので、窃盗罪の刑で処断されるのみになります。

特に本件のような窃盗目的の住居侵入行為が認められる場合、逮捕などの身柄拘束を受ける可能性があります。
逮捕の場合最大72時間、逮捕後勾留までされた場合には前述の72時間に加えて最大20日間拘束されることになります。
本件のように現行犯としてその場で逮捕されなかったとしても、警察が目撃者や周囲の監視カメラからの情報によって、後日逮捕されるケースもあります。
警察が家に来ていないから大丈夫と安心せず、まずは弁護士に相談されることをおすすめします。
警察の捜査が開始されていない段階で弁護士に動いてもらうことで、被害者の方との和解交渉もスムーズに行うことができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、弁護士による無料相談のご予約を24時間体制で受け付けております。
刑事事件を起こしてしまったがどうしたらいいのか分からない、まずはこのようなご質問からでも構いませんので、お電話をお待ちしております。

万引きGメンに現行犯逮捕されたら

2020-03-23

万引きGメンに現行犯逮捕されたら

万引きGメン現行犯逮捕されてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府木津川市に住むAさんは、生活費を節約したいとの思いから、ここ何か月か近所のスーパーで万引きをすることを繰り返していました。
その日もスーパーに行って万引きをしてしまったAさんでしたが、スーパーの出入り口から店を出たところ、スーパーの万引きGメンに腕をつかまれ、「万引きしましたよね」と言われ、逮捕されてしまいました。
その後、Aさんは京都府木津警察署の警察官に引き渡され、警察署の留置場に留置されることになりました。
Aさんの家族は、京都府木津警察署からAさんが現行犯逮捕されて警察署にいるということを聞き、慌てて弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・万引き

万引きと言ってしまえば聞こえは軽いかもしれません。
しかし、万引き窃盗罪という立派な犯罪の一種です。
窃盗罪を犯した者は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。

刑法235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

万引きという言葉の軽さや、初犯で被害額が少ない場合には弁償や謝罪をすることで微罪処分や不起訴処分となることも多いことから、万引きを繰り返してしまうという方も少なくありません。
確かに、万引きで長期の有期刑となることはなかなか多くなく、特に初犯の場合は大事にならずに済む場合も少なくないことから、「万引きくらいではたいしたことにならない」と思ってしまうかもしれません。
しかし、それはあくまで初犯であったり、被害額が少額であったり、謝罪や弁償やできて被害者・被害店舗が許してくれたりといった事情が重なったがためのことであることが多いです。
たとえ少額の万引きであろうと、前科・前歴があったり、余罪が大量にあったりした場合は、当然、刑罰も重い処分となってきます。
万引きだからと甘く考えずに、刑事事件に強い弁護士に早期に相談し、してしまった万引き行為の対処だけでなく、今後万引きを繰り返さないよう、当事者だけでなくその周囲の人と弁護士と協力して考えていくことが、真の事件解決への一歩となります。

・万引きGメンに逮捕されることがある?

警察の特集やテレビ番組などで、いわゆる万引きGメンと呼ばれる私服警備員を見たことのある方もいるでしょう。
万引きGメンは、あくまで警備員などの民間の企業の者です。
しかし、今回のAさんのように、万引きGメン現行犯逮捕されることもあります。
一般人が警察などの捜査機関のように人を逮捕することはできるのでしょうか。

実は、現行犯人の逮捕=現行犯逮捕の場合、警察などの捜査機関でなくとも犯人を逮捕することは可能です。

刑事訴訟法213条(現行犯逮捕)
現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

刑事訴訟法の現行犯逮捕の条文では、「何人でも」と書いてあります。
つまり、現行犯逮捕の場合、捜査機関に限らず、誰でも犯人を逮捕をすることができるのです。
したがって、今回のような私服警備員や万引きGメンであっても、万引きの現場を目撃していた場合、犯人を逮捕できる、ということになります。

万引きGメンなどの私人に逮捕された被疑者は、その後すみやかに警察などに引き渡されます(刑事訴訟法214条)。
そしてその後、今回のAさんのように警察署の留置場に留置され、取調べ等を受けることになるでしょう。
取調べに臨む際には、被疑者のもつ権利や手続きの流れなどをきちんと把握して臨む方が望ましいです。
弁護士に接見してもらい、アドバイスをもらっておくことがおすすめです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、逮捕直後から弁護士が接見へ向かう初回接見サービスのお申し込みも受け付けています。
専門スタッフがご案内しますので、現行犯逮捕の知らせを受けてお困りの際は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。

PTAでの業務上横領事件

2020-03-01

PTAでの業務上横領事件

PTAでの業務上横領事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都市上京区に、近所の小学校に通う息子と夫と暮らしています。
Aさんは息子の小学校のPTAで、会費を管理する係を3年ほど行っていたのですが、ある日、生活費が少ないことに悩んだAさんは、手元に管理していたPTAの会費に手を付けてしまいました。
しかし、他のPTA会員が帳簿を見て不審に思ったことからAさんの横領が発覚。
PTAは京都府上京警察署業務上横領罪の被害届を提出し、Aさんは京都府上京警察署の警察官に業務上横領罪の疑いで逮捕されてしまいました。
Aさんは、逮捕されてから、取調べの対応をどうしたらよいのか、この身体拘束がいつまで続くのか等、ずっと困惑していますが、逮捕されていることから誰にも相談できず困り果てています。
そこに家族の依頼によってやってきた弁護士が接見。
Aさんは刑事事件の流れについて相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・仕事でなくても業務上横領罪?

業務上横領罪は、「業務上自己の占有する他人の物を横領した者」を、10年以下の懲役に処すると規定しています(刑法253条)。

刑法253条(業務上横領罪)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

業務上横領罪と聞いて皆さんがイメージされるのは、銀行員や会社の経理係がお金を着服する、という犯行態様ではないでしょうか。
「業務上」という言葉がついていることから、業務上横領罪はどうしても「仕事中にその仕事をしている人が横領する犯罪」というイメージがつきやすいです。
しかし、Aさんのような、PTAの会費の管理をする係というような、私たちに身近なところにある役職であっても、お金を横領すればこの業務上横領罪が成立する可能性があるのです。

実は、業務上横領罪の「業務」とは、イコール仕事のことではないのです。
たとえ職業としてお金を管理していなくても、社会的立場に基づいて反復継続してお金の管理を行っていれば、この「業務」に当てはまるのです。
ですから、AさんのようにPTAの会費を管理する係として継続してお金の管理を行っていたような場合にも、この業務上横領罪の「業務」に当てはまる可能性が出てくるといえるのです。
他にも、大学のサークルや町内会の会計係としてお金を管理していて横領を行った場合なども、業務上横領罪に該当する可能性があります。

・逮捕されたらどうする?

Aさんのように、逮捕されてしまった人は、身体拘束されて外界とのコンタクトを絶たれた中で、取調べ等に対応していかなければなりません。
逮捕されることを何回も経験している、という方はそう多くないでしょうから、皆さん不安に思われるでしょう。
相談したくとも逮捕されていれば他の方に相談することもできませんし、家族とも自由に会うことはできません。
取調べでどう対応していいのか、刑事事件の流れはどんな風に進んでいくのか、把握しなければいけないけど分からない、ということは多いです。

そんな時こそ、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部をご利用ください。
弊所の弁護士は、初回接見サービス等を通して、被疑者・被告人の方やその周囲の方の不安を取り除けるよう活動いたします。
まずは0120-631-881までお問い合わせください。
専門スタッフがご相談者様の状況に合ったサービスをご案内いたします。

ごみの持ち去りで刑事事件③占有離脱物横領罪

2020-02-10

ごみの持ち去りで刑事事件③占有離脱物横領罪

ごみの持ち去りから刑事事件に発展したケースで、特に占有離脱物横領罪の容疑をかけられた場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府宇治市に住んでいる22歳の学生です。
ある日、Aさんは近所のごみ捨て場に自転車が捨てられているのを発見しました。
見たところ、それはまだ使えそうな自転車であったうえ、有名な自転車ブランドの物でした。
そこでAさんは、「拾って行って自分で使おう。捨てられている物なのだから問題ない」と考え、自転車を持ち帰ると使用していました。
しかし、Aさんが自転車を使っていたところ、巡回中の京都府宇治警察署の警察官に声をかけられました。
警察官曰く、Aさんの乗っていた自転車が盗難届の出ている自転車であるとのことです。
後日京都府宇治警察署で話を聞かれることとなったAさんでしたが、その前に弁護士に相談し、捨ててあった自転車を拾っただけなのに何か問題になるのか聞いてみることになりました。
(※この事例はフィクションです。)

・ごみを持ち去って占有離脱物横領罪に?

前回までの記事で、ごみの持ち去りで成立しうる犯罪について、各自治体の条例違反や窃盗罪などに触れましたが、もう1つ成立しうる犯罪があります。
それは、刑法に定めのある占有離脱物横領罪です。

刑法254条
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

前回の記事で取り上げた通り、誰かがその物を事実上支配・管理している状態である「占有」のある他人の物を無断で自分の物としてしまえば、窃盗罪となってしまいます。
しかし、この世の全ての物が誰かの支配・管理下にあるわけではない、つまり、「占有」のない物があることはお分かりいただけるでしょう。
誰もその物を支配・管理していない=「占有」のない状態である他人の物=「占有離脱物」について自分の物としてしまった場合に成立するのが、この占有離脱物横領罪なのです。
以下で詳しく見ていきましょう。

まず、占有離脱物横領罪が対象としている物は、「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物」です。
「遺失物」とは、その物を占有(支配・管理)していた人の意思によらずにその物が占有していた人の支配・管理から離れてしまい、さらにまだ誰の支配・管理下にもない状態の物を指します。
「遺失物」の代表例としては、道端に落ちている落し物が挙げられます。
道端に落ちていた落とし物をいわゆる「ネコババ」したような場合には、この罪の成立が考えられます(この場合、罪名としては占有離脱物横領罪ではなく遺失物横領罪と呼ばれることが考えられます。)。
そして、「漂流物」とは、水中にある「遺失物」のことを指します。
さらに、「その他占有を離れた」とは、その物を支配・管理していた人の意思に基づかずにその人の支配・管理下から離れたということを指します。
ですから、占有離脱物横領罪の対象となる物は、簡単に言えば「支配・管理していた人のもとをその人の意思によらずに離れてしまった他人の物」ということになります。

占有離脱物横領罪は前述の対象となる物を、「不法領得の意思」に基づいて自分の支配・管理下に置く=「横領」することで成立するとされています。
「不法領得の意思」とは、大まかに説明すると、権限がないにもかかわらず自分の物でないとできないような処分をする意思のことを指します。

今回のAさんの事例を考えてみましょう。
Aさんが持ち帰った自転車は、盗難届のあった自転車でした。
盗難届を出しているということは、自転車の持ち主はまだ自転車は自分の物であると考えていると思われますから、自転車は持ち主の意思に反してその支配・管理下から離れてしまった持ち主の物=占有離脱物横領罪にいう「占有を離れた他人の物」でしょう。
Aさんはその自転車を自分の物としてしまったわけですから、占有離脱物横領罪の「横領」にあたる行為をしてしまったと考えられます。
これらのことから、Aさんは占有離脱物横領罪の容疑をかけられてしまったと考えられるのです。

なお、盗難届が出ていないごみ捨て場に捨ててあった単なるごみであっても、持ち帰れば占有離脱物横領罪が成立する可能性があることにも注意が必要です。
例えば家電や空き缶といった資源ごみ・リサイクルごみ等は、リサイクルなどの使い道があるものです。
自治体ではこういったごみを活用する事業等がある場合もあり、決められた場所に捨て、決められた業者が回収・活用することになっているところも多いです。
そうした場合には、それらのごみは決められたごみ捨て場に捨てられた時点で自治体の物=「他人の物」となることもあり、事実上の支配・管理がないからといってそれを勝手に自分の物としてしまえば、占有離脱物横領罪となる可能性が出てくるということなのです。

今まで見てきたように、ごみの持ち去りであっても刑事事件となってしまう可能性はあります。
軽く考えてしてしまった行動が思わぬ刑事事件のきっかけとなってしまうこともありますから、そうなった場合には遠慮なく専門家である弁護士のサポートを求めましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門の弁護士によるサービスを土日祝日問わず受け付けていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

ごみの持ち去りで刑事事件②窃盗罪

2020-02-08

ごみの持ち去りで刑事事件②窃盗罪

ごみの持ち去りから刑事事件に発展したケースで、特に窃盗罪の容疑をかけられた場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市伏見区に住んでいるAさんは、ある日、近所のごみ捨て場に自転車が停められているのを発見しました。
Aさんが見てみたところ、その自転車はまだ使えそうであったため、Aさんはその自転車を持ち帰って使用していました。
するとある日、Aさんが自転車を使用して買い物に出ていた際、巡回していた京都府伏見警察署の警察官から職務質問を受けました。
そこで調べてみると、その自転車は盗難届が出されているものであったことが判明しました。
Aさんはごみ捨て場にあったから持ってきただけだと話しましたが、窃盗罪の容疑で京都府伏見警察署で話を聞かれることとなってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・ごみを持ち帰って窃盗罪?

ごみ捨て場に捨ててある物はごみとして捨てられたものであるから持ち帰っても問題ないだろうと考えている方もいるかもしれません。
まだ使えそうなものがごみ捨て場にあった場合、Aさんのように「もったいない」と考えてしまうかもしれません。
ですが、だからといってごみを持ち帰ってしまえば、刑事事件に発展してしまう可能性があるのです。
前回の記事で取り上げたように、地方自治体によっては条例によってごみの持ち去りを禁止しており、禁止命令に反した場合の刑罰まで定めているところもあります。
しかし、今回のAさんの事例で登場する京都市ではごみに関する条例に罰則は定められていません。
それでも刑事事件になってしまう可能性はあるのでしょうか。

まずは、今回のAさんが容疑をかけられている窃盗罪について検討してみましょう。

刑法235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪のいう「他人の財物」とは、他人が「占有」している他人の財物のことを指すとされています。
「占有」とは、人がその財物を事実上支配・管理している状態のことを指します。
さらに、「占有」があるのかどうかは、人がその物を事実上支配している状態であるかどうかという客観的な要素と、人がその物に対して事実上支配する意欲や意思があるかどうかという主観的な要素を総合的に考慮して判断されます。
つまり、窃盗罪の客体となる物は、他人が事実上支配・管理している他人の物、ということになります。

そして、窃盗罪にいう「窃取」とは、先ほど触れた「占有」をしている人の意思に反して、その占有している人の財物に対する「占有」を排除し、財物を自分や第三者の「占有」下に置くことを指します。
すなわち、すでにその物を支配・管理している人の意思に反してその物を自分や他の人の支配・管理下にしてしまうことが窃盗罪の「窃取」なのです。

窃盗罪の典型例として挙げられる万引きで考えてみれば分かりやすいでしょう。
お店の商品はもちろん、お店の支配・管理下にあるといえます。
お店の中に陳列されていることからも、お店が事実上支配・管理していると考えられますし、お店側も商品はお店が支配・管理しているものであると認識しているはずですから、商品にはお店の「占有」があるといえるでしょう。
ここから、商品は窃盗罪のいう「他人の財物」であると考えられます。
しかし、万引きの場合はその商品を会計せずに持ち去って自分の物としてしまいます。
これは商品を「占有」しているお店の意思に反することであり、商品を自分の「占有」下に移していることですから、窃盗罪のいう「窃取」にあたると考えられ、窃盗罪が成立するということになるのです。

では、今回のAさんの事例を考えてみましょう。
そもそも、Aさんはごみ捨て場にあった自転車だからと自転車を持ち去っていますが、その自転車が本当に捨ててあったものなのかどうかということが問題となります。
事例では詳しく書かれていませんが、もしもたまたま自転車の持ち主がごみ捨て場近くに用事があり自転車を停めていただけであれば、自転車の「占有」は持ち主のもののままと考えることもできます。
そうなれば、その場から自転車を持ち去ってしまったAさんには窃盗罪が成立する可能性も出てくることになります。

なお、もしも捨ててあった自転車であったとしても、ごみ捨て場がその自治体等の管理する場所であり、そこに捨てられていたものが自治体等の支配・管理下にあると判断された場合には、持ち去ったものによっては窃盗罪となる可能性もあります。
ごみということは財産的価値がなく、窃盗罪のいう「財物」といえないのではないかとも考えられますが、窃盗罪の「財物」の財産的価値については判断が分かれています。
過去の事例ではメモ1枚やちり紙13枚といったものについて、財産的価値がわずかであるとして窃盗罪の「財物」とはいえないとした事例も見られますが、例えばAさんの持ち帰ったような自転車などは、まだそれ自体として使用できたり、リサイクルする物としての価値があったりと判断されれば、財産的価値がある=窃盗罪の「財物」にあたる、と判断される可能性もあります。

このように、ごみの持ち去りだと思っていても、窃盗罪となる可能性はあります。
では、自転車が捨てられていた場合で誰の占有にもなかった場合には、持って帰ってしまっても犯罪は成立せず、刑事事件化することはないのでしょうか。
こちらは次回の記事で取り上げていきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、ごみの持ち去りから窃盗事件に発展してしまったというご相談もお受けしています。
お困りの際は遠慮なく、弊所弁護士までご相談ください。

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