Archive for the ‘財産事件’ Category

偽造大型免許で刑事事件④複数の犯罪

2020-01-15

偽造大型免許で刑事事件④複数の犯罪

偽造大型免許から刑事事件に発展したケースで特に複数の犯罪が成立する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府京田辺市にある運送会社で働いています。
ある日、Aさんは上司から、「Aさんが大型トラックを運転できるようになると任せられる業務も増えて助かる。給料もアップするし大型免許を取得してみたらどうだ」と話されました。
Aさんの会社では、大型免許を取得すると給料が上がる給与体系になっていました。
Aさんは普通運転免許しかもっていなかったため、その話を聞いて大型免許を取得することに決め、上司にもその旨を伝えました。
しかし、教習所に通って試験を受けたものの、Aさんは大型免許の取得試験に落ちてしまいました。
それでも給料が上がることなどをあきらめきれなかったAさんは、インターネットで偽造運転免許を購入できることを知り、自分の名義の偽の大型免許を購入し、上司に大型免許を取得したとして報告し、偽造大型免許を提示しました。
その後、Aさんは大型免許取得者として給料を上げてもらい、いわゆる大型トラックを使用する業務をこなしていました。
すると後日、Aさんは京都府京田辺市の道路で行われていた京都府田辺警察署の交通検問で運転免許証の提示を求められ、偽造大型免許を提示しました。
そこで警察官に偽造大型免許が偽物であることを見破られ、Aさんは無免許運転による道路交通法違反と偽造有印公文書行使罪の容疑で逮捕されてしまいました。
その後、Aさんが家族の依頼によって接見に訪れた弁護士に相談したところ、Aさんには詐欺罪の成立も考えられると伝えられました。
(※令和2年1月8日福井新聞ONLINE配信記事を基にしたフィクションです。)

・複数の犯罪が成立する刑事事件

刑事事件と一口に言っても、それぞれ成立する犯罪の種類はもちろん、数も異なります。
例えば、今回のAさんは、複数の種類・数の犯罪を犯してしまっています。

前回までの記事をまとめると、Aさんには以下の犯罪が成立すると考えられます。
①会社の上司へ偽造大型免許を提示したことによる有印公文書行使罪
②警察官に偽造大型免許を提示したことによる有印公文書行使罪
③大型免許を持たずに大型自動車を運転した無免許運転(道路交通法違反)
④大型免許を取得したと見せかけて給料を受け取った詐欺罪

これらの関係を見ていくと、①の会社の上司へ偽造大型免許を提示した行為は、④の大型免許取得者用の給料を受け取るための行為であるといえます。
つまり、④という目的を達成するために①という手段を使ったということです。
このように、複数の犯罪が成立する場合にそれぞれが手段と目的の関係にあるケースを「牽連犯」と呼びます。
牽連犯の関係にある場合、刑罰の重さは以下のような形で判断されます。

刑法54条1項
(略)…犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

つまり、①と④については、その法律で定められている刑罰の範囲のうち、最も重い刑罰の範囲で判断されるということです。
①の有印公文書行使罪の法定刑は1年以上10年以下の懲役であり、④の詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役です。
「1年以上」という下限が定められていることから、①の有印公文書行使罪の方が重い刑といえるため、①と④の関係では、「1年以上10年以下の懲役」の範囲で刑罰が判断されることになります。

しかし、②・③の犯罪や、それらと①・④の犯罪はそれぞれがばらばらの関係であり、目的・手段の関係になっているわけでも、同じ1個の行為で別の犯罪に当たっている(この場合「観念的競合」という考え方になります。)わけでもありません。
こうした場合を「併合罪」と呼びます。

刑法45条
確定裁判を経ていない2個以上の罪を併合罪とする。(以下略)

併合罪のケースでは、以下のように刑罰の重さを判断します。

刑法47条
併合罪のうちの2個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とする。
ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。

併合罪という言葉からは、全ての犯罪の刑罰を単純に足して刑罰の重さを判断するというイメージがあるかもしれませんが、そうではありません。
併合罪の場合は、最も重い刑について定めた刑の長期の1.5倍が長期となる範囲で判断されるのです(ただし、但し書きにあるようにそれがそれぞれの犯罪の刑の長期の合計を超えることはできませんから、合計を超えるような場合は刑の長期の合計が長期となる範囲で判断されることになるでしょう。)。

例えば、Aさんの場合、有印公文書行使罪の法定刑は「1年以上10年以下の懲役」、無免許運転(道路交通法違反)の法定刑は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」、詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
となると、最も重い刑について定めた刑の長期は「(1年以上)10年以下の懲役」ということになりますから、「15年以下の懲役」の範囲でAさんに下される刑罰が判断されることになるでしょう。

複数の犯罪が成立している刑事事件では、このように刑罰の範囲だけでも非常に複雑で、刑事事件の知識がなければ見通しを立てることも大変です。
複数の犯罪の相互関係等を専門的立場から考えることのできる弁護士に相談し、見通しや弁護活動について詳しく聞くことをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門弁護士がご相談者様のニーズに合わせたサービスをご用意しています。
逮捕されてしまっている方、在宅捜査を受けている方、刑事事件化が心配な方など、状況を問わず、遠慮なくお問い合わせください。

偽造大型免許で刑事事件③詐欺罪

2020-01-13

偽造大型免許で刑事事件③詐欺罪

偽造大型免許から刑事事件に発展したケースで特に詐欺罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府京田辺市にある運送会社で働いています。
ある日、Aさんは上司から、「Aさんが大型トラックを運転できるようになると任せられる業務も増えて助かる。給料もアップするし大型免許を取得してみたらどうだ」と話されました。
Aさんの会社では、大型免許を取得すると給料が上がる給与体系になっていました。
Aさんは普通運転免許しかもっていなかったため、その話を聞いて大型免許を取得することに決め、上司にもその旨を伝えました。
しかし、教習所に通って試験を受けたものの、Aさんは大型免許の取得試験に落ちてしまいました。
それでも給料が上がることなどをあきらめきれなかったAさんは、インターネットで偽造運転免許を購入できることを知り、自分の名義の偽の大型免許を購入し、上司に大型免許を取得したとして報告し、偽造大型免許を提示しました。
その後、Aさんは大型免許取得者として給料を上げてもらい、いわゆる大型トラックを使用する業務をこなしていました。
すると後日、Aさんは京都府京田辺市の道路で行われていた京都府田辺警察署の交通検問で運転免許証の提示を求められ、偽造大型免許を提示しました。
そこで警察官に偽造大型免許が偽物であることを見破られ、Aさんは無免許運転による道路交通法違反と偽造有印公文書行使罪の容疑で逮捕されてしまいました。
その後、Aさんが家族の依頼によって接見に訪れた弁護士に相談したところ、Aさんには詐欺罪の成立も考えられると伝えられました。
(※令和2年1月8日福井新聞ONLINE配信記事を基にしたフィクションです。)

・詐欺罪

前回までの記事では、Aさんが偽造大型免許を警察官に提示したり上司に提示したりする行為が偽造有印公文書行使罪にあたること、さらに普通免許しかもっていないのに大型自動車を運転したことが無免許運転(道路交通法違反)にあたることに触れました。
しかし、今回の事例では、Aさんは弁護士から、さらに詐欺罪の成立も考えられると言われています。
Aさんの行為のどの部分が詐欺罪に当たりえるのでしょうか。

まず、詐欺罪は刑法246条に規定されている犯罪です。

刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪の典型的な例としては、いわゆるオレオレ詐欺に代表される特殊詐欺や、還付金詐欺といったものが挙げられるでしょう。
詐欺罪の「人を欺いて」という行為は、「欺罔行為」とも呼ばれ、その物を引き渡すかどうかの判断をする際に重要な事項を偽ることであるとされています。
つまり、財物を引き渡させるために、その事実が嘘であると分かっていればその財物を引き渡さなかっただろうという事実について嘘をつくことで詐欺罪の「人を欺」く行為となるのです。
その欺罔行為によって相手が騙され、財物を引き渡すことで詐欺罪が成立します。

今回のAさんの行為を考えてみましょう。
Aさんの勤める会社では、大型免許を取得している人は給料を上げてもらうことができることになるという明確な基準があります。
そしてAさんは、実際には大型免許を取得していないにも関わらず、偽造大型免許を示すことで大型免許を受けたかのように見せかけ、給料を上げてもらっています。
もちろん、会社としては大型免許を取得しているという事実があるからこそ、Aさんの給料を大型免許取得者として上げているわけですから、その資格が嘘であるなら給料を上げることはしないでしょう。
すなわち、上司等会社の人間をだますことによって、Aさんは上がった給料の分だけお金=財物を引き渡させていると考えられるのです。
ですから、Aさんには詐欺罪の成立も考えられるということになるのです。

ちなみに、詐欺罪には未遂罪も規定されており、財物の交付に向けた「人を欺」く行為を開始した時点で詐欺未遂罪が成立するとされています。
今回のケースで言えば、例えば偽造大型免許を見せられた上司が偽造大型免許であることを見抜いたとしても、Aさんには詐欺未遂罪が成立する可能性が出てくるということになります。

たとえ特殊詐欺のような組織的犯行が行われていない詐欺事件であったとしても、偽造有印公文書行使罪などほかの犯罪が絡むことによってより複雑になってしまうこともあります。
刑事事件専門の弁護士が所属する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、こうした刑事事件のご相談も受け付けていますので、お気軽にご相談ください。

偽造大型免許で刑事事件②無免許運転

2020-01-11

偽造大型免許で刑事事件②無免許運転

偽造大型免許から刑事事件に発展したケースで特に無免許運転について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府京田辺市にある運送会社で働いています。
ある日、Aさんは上司から、「Aさんが大型トラックを運転できるようになると任せられる業務も増えて助かる。給料もアップするし大型免許を取得してみたらどうだ」と話されました。
Aさんの会社では、大型免許を取得すると給料が上がる給与体系になっていました。
Aさんは普通運転免許しかもっていなかったため、その話を聞いて大型免許を取得することに決め、上司にもその旨を伝えました。
しかし、教習所に通って試験を受けたものの、Aさんは大型免許の取得試験に落ちてしまいました。
それでも給料が上がることなどをあきらめきれなかったAさんは、インターネットで偽造運転免許を購入できることを知り、自分の名義の偽の大型免許を購入し、上司に大型免許を取得したとして報告し、偽造大型免許を提示しました。
その後、Aさんは大型免許取得者として給料を上げてもらい、いわゆる大型トラックを使用する業務をこなしていました。
すると後日、Aさんは京都府京田辺市の道路で行われていた京都府田辺警察署の交通検問で運転免許証の提示を求められ、偽造大型免許を提示しました。
そこで警察官に偽造大型免許が偽物であることを見破られ、Aさんは無免許運転による道路交通法違反と偽造有印公文書行使罪の容疑で逮捕されてしまいました。
その後、Aさんが家族の依頼によって接見に訪れた弁護士に相談したところ、Aさんには詐欺罪の成立も考えられると伝えられました。
(※令和2年1月8日福井新聞ONLINE配信記事を基にしたフィクションです。)

・無免許運転

無免許運転と聞くと、そもそも運転免許証を受けずに全く免許を持っていない状態で自動車を運転するケースを思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし、今回のAさんは普通運転免許証は持っているようです。
こうしたケースでも、実は無免許運転になりうることに注意が必要です。

道路交通法では、運転免許について、以下のように定めています。

道路交通法84条
1項 自動車及び原動機付自転車(以下「自動車等」という。)を運転しようとする者は、公安委員会の運転免許(以下「免許」という。)を受けなければならない。
2項 免許は、第一種運転免許(以下「第一種免許」という。)、第二種運転免許(以下「第二種免許」という。)及び仮運転免許(以下「仮免許」という。)に区分する。
3項 第一種免許を分けて、大型自動車免許(以下「大型免許」という。)、中型自動車免許(以下「中型免許」という。)、準中型自動車免許(以下「準中型免許」という。)、普通自動車免許(以下「普通免許」という。)、大型特殊自動車免許(以下「大型特殊免許」という。)、大型自動二輪車免許(以下「大型二輪免許」という。)、普通自動二輪車免許(以下「普通二輪免許」という。)、小型特殊自動車免許(以下「小型特殊免許」という。)、原動機付自転車免許(以下「原付免許」という。)及び牽けん引免許の十種類とする。

そして、道路交通法85条1項の表において、「大型自動車」を運転しようとする場合には、第一種免許の「大型免許」を受けなければならないとしています。
この「大型自動車」とは、道路交通法施行規則2条によると、「大型特殊自動車、大型自動二輪車、普通自動二輪車及び小型特殊自動車以外の自動車で、車両総重量が一一、〇〇〇キログラム以上のもの、最大積載量が六、五〇〇キログラム以上のもの又は乗車定員が三〇人以上のもの」とされており、いわゆる「大型トラック」と呼ばれているものはこの大型自動車に分類されるトラックなのでしょう。

そして、道路交通法では無免許運転を以下のように禁止しています。

道路交通法64条
1項 何人も、第84条第1項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第90条第5項、第103条第1項若しくは第4項、第103条の2第1項、第104条の2の3第1項若しくは第3項又は同条第5項において準用する第103条第4項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。

道路交通法117条の2の2
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
1号 法令の規定による運転の免許を受けている者(第107条の2の規定により国際運転免許証等で自動車等を運転することができることとされている者を含む。)でなければ運転し、又は操縦することができないこととされている車両等を当該免許を受けないで(法令の規定により当該免許の効力が停止されている場合を含む。)又は国際運転免許証等を所持しないで(第88条第1項第2号から第4号までのいずれかに該当している場合又は本邦に上陸をした日から起算して滞在期間が1年を超えている場合を含む。)運転した者

つまり、たとえ普通運転免許を持っていたとしても、道路交通法の定める「大型自動車」を運転しようというときにはそれだけでは足りず、「大型免許」を受けていなければそれは運転免許の効力のある範囲外の許されていない範囲での運転をしていることになりますから、無免許運転ということになってしまうのです。
このように、無免許運転は全く運転免許を持っていないというケース以外にも成立しうることに注意が必要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、無免許運転事件などの交通違反に関わる刑事事件のご相談も受け付けています。
今回のAさんのような、偽造大型免許に関わる無免許運転事件では、無免許運転以外の部分の容疑も絡み合い、複雑な刑事事件となることが考えられますから、こうしたケースでは早期に弁護士までご相談ください。

偽造大型免許で刑事事件①偽造有印公文書行使罪

2020-01-09

偽造大型免許で刑事事件①偽造有印公文書行使罪

偽造大型免許から刑事事件に発展したケースで特に偽造有印公文書行使罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府京田辺市にある運送会社で働いています。
ある日、Aさんは上司から、「Aさんが大型トラックを運転できるようになると任せられる業務も増えて助かる。給料もアップするし大型免許を取得してみたらどうだ」と話されました。
Aさんの会社では、大型免許を取得すると給料が上がる給与体系になっていました。
Aさんは普通運転免許しかもっていなかったため、その話を聞いて大型免許を取得することに決め、上司にもその旨を伝えました。
しかし、教習所に通って試験を受けたものの、Aさんは大型免許の取得試験に落ちてしまいました。
それでも給料が上がることなどをあきらめきれなかったAさんは、インターネットで偽造運転免許を購入できることを知り、自分の名義の偽の大型免許を購入し、上司に大型免許を取得したとして報告し、偽造大型免許を提示しました。
その後、Aさんは大型免許取得者として給料を上げてもらい、いわゆる大型トラックを使用する業務をこなしていました。
すると後日、Aさんは京都府京田辺市の道路で行われていた京都府田辺警察署の交通検問で運転免許証の提示を求められ、偽造大型免許を提示しました。
そこで警察官に偽造大型免許が偽物であることを見破られ、Aさんは無免許運転による道路交通法違反と偽造有印公文書行使罪の容疑で逮捕されてしまいました。
その後、Aさんが家族の依頼によって接見に訪れた弁護士に相談したところ、Aさんには詐欺罪の成立も考えられると伝えられました。
(※令和2年1月8日福井新聞ONLINE配信記事を基にしたフィクションです。)

・偽造有印公文書行使罪

今回のAさんについて、まず成立が考えられる犯罪として、偽造有印公文書行使罪という犯罪が挙げられます。

刑法158条(偽造公文書行使等)
第154条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第1項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。

参考:刑法155条1項(有印公文書偽造罪)
行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。

Aさんがインターネットで購入したのは、偽造されたAさん名義の大型免許です。
そもそも、大型免許などの運転免許証は各都道府県の公安委員会によって発行されるものです。
Aさんが手に入れた偽造大型免許は、本来であれば公安委員会=公務所もしくは公務員が作成するべき文書であり、さらに公安委員会の印章(簡単に言えばハンコ)が用いられている文書です。
それを公安委員会ではない、運転免許証を作成する権限のない第三者が作成したものですから、Aさんの手にした偽造大型免許は、刑法155条1項のいう「公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造」した物であるといえます。
つまり、Aさんの購入した偽造大型免許は刑法158条の「第154条から前条までの文書若しくは図画」であるといえます。

Aさんは、その偽造大型免許を利用して大型トラックを運転し、京都府田辺警察署の交通検問で提示しています。
さらに、Aさんは会社の上司にも偽造大型免許を大型免許を取得したとして提示しています。
これらの行為はこの偽造大型免許を使っていることにほかならず、「行使」しているといえるでしょう。
そのため、Aさんはこれらの偽造大型免許の使用それぞれについて、偽造有印公文書行使罪に問われていると考えられるのです。

今回のAさんはすでに偽造された大型免許を購入しているようですが、自分で大型免許を偽造してしまったような場合は、さらに有印公文書偽造罪も成立することになります。
運転免許証の偽造や偽造された運転免許証の利用だけでも、これだけの犯罪が成立してしまうのです。
どちらも非常に重い刑罰が設定されていますから、これらの刑事事件の当事者となってしまったらすぐに弁護士に相談しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、偽造有印公文書行使罪有印公文書偽造罪のご相談も刑事事件専門弁護士がお受けいたします。
まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
ご相談者様の状況に応じ、専門スタッフが弊所弁護士によるサービスをご案内いたします。

侵入盗事件で逮捕されたら

2020-01-07

侵入盗事件で逮捕されたら

侵入盗事件逮捕されたケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市北区に住むAさんは,ある日,近所に住んでいるVさんが,「今自宅には200万円の現金が保管してある」と話していたのを聞き,Vさん宅からその200万円を盗み出すことを思いつきました。
AさんはVさんが出かけた時間を狙ってVさん宅に侵入し,部屋内から金庫の合い鍵を見つけ金庫の鍵を開けて現金200万円を盗みました。
帰宅したVさんが金庫が開いていることに気づき,200万円の盗難が発覚。
Vさんの通報により,京都府北警察署が捜査を開始しました。
捜査の結果,防犯カメラの映像からAさんの犯行であると発覚し,Aさんは,住居侵入罪窃盗罪の容疑で京都市北区を管轄する京都府北警察署の警察官に逮捕されました。
(フィクションです。)

~侵入盗事件~

他人の財物を盗んだ(窃取した)者には,窃盗罪(刑法235条)が成立します。
窃盗罪で有罪となれば,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑が科せられます。

刑法235条
他人の財物を窃取した者は,窃盗の罪とし,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は,他人の財物を窃取した場合に成立します。
「窃取」とは,その物の持ち主の意思に反して財物の占有を移転し,それを取得することをいいます。
窃盗罪の典型例である万引きや,侵入盗・空き巣の手口を考えれば,持ち主の意思に反して勝手にその物を自分の物としてしまっていることがわかると思います。
もちろん,今回のAさんの行為も窃盗罪に当たると考えられます。

さて,この窃盗罪は様々な手口によって犯行が行われていますが,今回のAさんの手口は,人の家や建物に侵入して物を盗む,いわゆる侵入盗という分類にあたるでしょう。
侵入盗としては,空き巣や忍び込み,金庫破り,事務所荒らしや出店荒らしなどが挙げられます。
今回のAさんはVさんの留守中を狙って忍び込んで窃盗行為をしていることから,侵入盗のうち空き巣にあたるでしょう。
なお,窃盗事件の中には侵入盗とは反対に,家等に侵入せずに盗みをはたらく非侵入盗と呼ばれる分類もあります。
非侵入盗の手口としては,万引きやすりといった手口が挙げられます。

侵入盗事件の場合,窃盗行為をするためにどこかに侵入しているわけですから,窃盗罪だけでなく住居侵入罪や建造物侵入罪(刑法130条)にも問われることになります。

刑法130条
正当な理由がないのに,人の住居若しくは人の看守する邸宅,建造物若しくは艦船に侵入し,又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は,3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

例えば今回のAさんは,窃盗行為をする目的で勝手にVさん宅に侵入しています。
窃盗行為をする目的で立ち入っていることから,もちろん「正当な理由」とは言えませんし,家主であるVさんもこの立ち入りには同意しないでしょうから,Aさんには窃盗罪に加えて住居侵入罪も成立することになるでしょう。

Aさんのような侵入盗事件では,窃盗罪に当たる行為と住居侵入罪に当たる行為は,手段と目的の関係に立ちます(窃盗罪という目的のために住居侵入罪という手段を使ったということです。)。
そのため,牽連犯という考えが用いられ,重い窃盗罪の刑で処断されることになります(刑法54条1項前段)。

刑法54条1項
一個の行為が二個以上の罪名に触れ,又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは,その最も重い刑により処断する。

~侵入盗事件と弁護活動~

侵入盗事件を起こしたことに争いがない場合,弁護士を通じて早期に被害者の方に対する被害弁償や示談交渉を進めることが重要です。
侵入盗事件の被害届が提出される前であれば,示談締結により警察の介入を回避し,逮捕されたりすることなく,刑事事件化を阻止できる可能性もあります。
また,警察が介入して刑事事件化し,逮捕されてしまったような場合でも,示談締結ができれば早期釈放や不起訴処分など早期の職場復帰や社会復帰を実現できる可能性が高くなります。
なお,刑事事件化し,裁判が始まった後の示談であっても,示談締結の事実により執行猶予付き判決や減刑など効果が期待できます。

侵入盗事件では,窃盗罪だけでなく住居侵入罪も成立することから,犯行が悪質であると判断されやすく,厳しい処分がくだされることも考えられます。
なるべく早く弁護士に相談し,示談交渉等の活動に取り掛かってもらうのが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では,侵入盗事件逮捕にお悩みの方のご相談も受け付けています。
まずはお気軽に,弊所弁護士までご相談ください。

京都市上京区内飲食店での食い逃げ

2019-12-12

京都市上京区内飲食店での食い逃げ

京都市上京区内の飲食店での食い逃げについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~ケース~

Aさんは京都市上京区のレストランにてランチセットを注文し、その提供を受けました。
食事後に代金を支払いたくないと翻意したAさんは、会計時に従業員に対して「財布を忘れたので、車に取りに戻る」と言い、店を後にして逃走してしまいました。
その後、飲食店がAさんの食い逃げに気づいて京都府上京警察署に被害届を出した結果、Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕され、京都府上京警察署に連行されました。
(事例はフィクションです。)

~食い逃げは何罪か?~

食い逃げ」を行った場合どの罪に当たるのかという点については、

①注文時から代金を支払う意思が無かった場合
②料理の提供を受けた後に、代金を支払う意思が無くなった場合
イ)店員に対して暴行・脅迫を用いて、支払いを免れた場合
ロ)店員を欺いて、支払いを免れた場合
ハ)店員の隙を見て逃走した場合

のそれぞれの場合で何罪が成立するのか分かれることになります。

①注文時から代金を支払う意思が無かった場合

注文時から代金を支払う意思が無かった場合、詐欺罪が成立する可能性があります。

刑法第246条(詐欺罪)
1.人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2.前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

支払う意思がないにも関わらずあるかのように装って店員を騙し、飲食物(財物)の提供を受けているので、刑法第246条第1項の詐欺罪に当たるということになるのです。

②料理の提供を受けた後に、代金を支払う意思が無くなった場合

料理の提供を受けた後に代金を支払う意思が無くなった場合については、さらにイ・ロ・ハの場合に分けられます。

イ)店員に対して暴行・脅迫を用いて、支払いを免れた場合
料理の提供を受けた後に代金を支払う意思が無くなった場合で、さらに店員に対して暴行・脅迫を用いて、支払いを免れた場合には、強盗罪や恐喝罪が成立する可能性が出てきます。

刑法第236条(強盗罪) 
1.暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
2.前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

刑法第249条(恐喝罪) 
1.人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2.前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

②の場合、飲食物の提供を受けた人はその代金を支払う債務が発生しています。
そしてイ)では、暴行又は脅迫を用いた結果、かかる債務を免れており、かかる債務免除は「財産上」の「利益」といえます。
したがって、刑法第236条第2項の強盗利得罪又は第249条第2項の恐喝利得罪に当たります。
この2条のいずれかになるのかは、相手に加えた暴行・脅迫が「反抗を抑圧する程度」であれば強盗、至らなければ脅迫という区別になります。

ロ)店員を欺いて、支払いを免れた場合
料理の提供を受けた後に代金を支払う意思が無くなった場合で、さらに店員を欺いて支払いを免れた場合には、①同様に詐欺罪が成立する可能性が出てきます。

本件のケースもこのパターンとなるでしょう。
本件では、Aには代金支払債務があるにも関わらず、「車に財布を取りに行ってくる」と嘘を言い、Aの言葉を信じた店員がそれを承諾しています。
店員の承諾はAの支払債務の一時的に猶予すると言う旨の黙示の意思表示であると考えられ、Aにとってかかる債務の猶予を受けることは利益といえます。

ハ)店員の隙を見て逃走した場合
では、料理の提供を受けた後に代金を支払う意思が無くなった場合で、さらに店員の隙を見て逃走した場合にはどうなるのでしょうか。
食い逃げであるのだから窃盗罪が成立するのではないか、と考える方が多いのではないでしょうか。

刑法第235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

店員の隙を見て逃走したという行為は、Aに騙された店員がその(瑕疵ある)意思表示を以て支払債務を免除している訳ではなく、あくまで店員の意思に反して支払債務の免除という利益を得ているに過ぎません。
いわゆる利益窃盗という行為に当たりますが、刑法第235条は利益窃盗を処罰していません。
したがって、ハ)のケースは刑事事件としては不処罰となります。
もちろん、刑事事件にならないからといって民事上の責任が問われないわけではありませんし、今まで見てきた他の犯罪に当たるケースだと疑われてしまう場合もあります。
何より食い逃げはいけないことですから、絶対にやめましょう。

~食い逃げ事件を起こしてしまったら~

本件の場合のように被害届が出されてしまう前に弁護士に相談し、早い段階で謝罪や示談をすることができれば、刑事事件化することなく事態を解決することができる場合もあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、詐欺罪窃盗事件に関わる弁護の経験豊富な弁護士が多数在籍しております。
また、逮捕・勾留された方に対しての初回接見サービスの予約も24時間受け付けております。
事件化前であってもご自身がした行為について不安な方や、既にご家族が逮捕・勾留され会うことができない方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部へご連絡下さい。

置き引きで出頭要請

2019-12-10

置き引きで出頭要請

置き引き出頭要請を受けたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

京都府綾部市内の駅近くのファミリーレストランにいたAさんは、Vさんが同じフロアのトイレに行くために席を外したことに乗じて、Vさんの席に置いてあった財布を盗み店を後にした。
5分後、席に戻ったVさんは財布が盗まれたことに気付き、京都府綾部警察署に通報した。
通報を受けた京都府綾部警察署の警察官は捜査を開始し、店の防犯カメラからAさんを特定。
後日、Aさんへ京都府綾部警察署から連絡があり、Aさんは置き引き事件の事情聴取のために京都府綾部警察署へ出頭するように指示を受けました。
(事例はフィクションです。)

本件はいわゆる「置き引き」の事例ですが、刑法的には窃盗罪又は占有離脱物横領罪に該当する行為です。
この2つの犯罪はどのように区別されるのでしょうか。

(1)窃盗罪

刑法第235条(窃盗罪
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪にいう「窃取」とは、他人が占有する財物を、占有者の意思に反し自己又は第三者の占有に移転させる行為をいいます。
なお、騙したり脅すなどして占有者の(瑕疵ある)意思による財物の交付を受けた場合は、詐欺罪や恐喝罪になります。
ここでの「意思に反して」とは、占有者の隙を突いて財物を奪い取るひったくりのようなケースもあれば、被害者の目の届かないところに置いてある財物を持ち去る置き引きのようなケースもあります。

注意して頂きたいのは、窃盗罪の条文に「他人が占有する財物」とあるように、財物の所有権は問題とされていないことです。
したがって、一度盗られた自分の持ち物を取り返そうと犯人(占有者)から奪い返すことも、窃盗罪の実行行為に当たることになります。

(2)占有離脱物横領罪

刑法第254条(占有離脱物横領罪
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

他人の占有下にある財物を盗った場合は窃盗罪になりますが、占有下にない財物を盗った、つまり持ち主が財物を置いて完全に立ち去ってしまっていた時にその財物を盗った場合などには、占有離脱物横領罪に問われる可能性が出てきます。

占有離脱物横領罪の「横領」とは、不法領得の意思の発現行為一切をとされています。
そして、ここでの「不法領得の意思」とは、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思をいいます。
したがって、端的にいえば、「横領」とは、その物を自分の所有物として扱うことを意味します。
所有物として扱うということは、壊したり、捨てたりすることもできますので、これらの目的での占有離脱物横領罪も罰せられることが考えられます。
この点は、壊したり隠す目的での行為は処罰されない窃盗罪とは異なります。

(3)窃盗罪?占有離脱物横領罪?

窃盗罪占有離脱物横領罪のどちらかに該当するかは、財物に対して占有が及んでいるか否かで決まります。
過去の判例や裁判例では、どのように評価しているのでしょうか。

〇窃盗罪が成立したケース
バスの乗車待ちの列に並んでいたV1さんが、列を前進する際に傍に置いていたカメラを置きっ放しにしていた。途中で気付いて引き返したが、既にBさんに持ち去られた後だった。

このケースでは、置き忘れたカメラとV1さんが気付いて取りに戻ろうとした場所との距離が20メートル弱、置き忘れてから取りに戻るまでの時間が5分程度でした。
最高裁判所はカメラについて未だV1さんの占有下にあると判断して、Bさんの行為を窃盗罪に当たると判断しました。

〇占有離脱物横領罪が成立したケース
V2さんは、大規模スーパーの6階のベンチに財布を置いたまま地下1階に降りてしまった。約10分後そのことに気が付いたV2さんが取りに戻った時には、既にCさんが持ち去っていた。

高等裁判所は置き忘れた地点とV2さんが引き返そうとした地点との具体的な距離を明示せず、フロア数を示したのみでしたが、このケースの場合はV2さんの占有が及んでいないと判断しました。

さて、以上を踏まえて今回のケースを検討します。
通常ファミリーレストランの飲食スペースとトイレは本件と同様に同じフロア、離れていても1~2階程度の隔たりでしかないと判断できます。
距離としても数メートルでしょう。
Vさんが不在にしていた時間も5分程度であることを考慮して、財布にはVさんの占有が及んでいると判断できます。
つまり、Aさんの置き引き行為窃盗罪であると判断される可能性が高いと考えられるのです。

今回のケースでは、逮捕による身柄拘束がされることはありませんでした。
もっとも、事件を早期に解決するためには被害者の方への一刻も早い謝罪や示談を進める必要があります。
実際は、被疑者自身が直接被害者の方と謝罪や接触をすることは難しく、接触できた場合にも被害感情が峻烈になる場合もあります。
被害者対応に関して、間に入る弁護士の有無は非常に重要です。
早期に上記の対応がなされれば、被害届の取下げや不起訴処分での終結になる可能性も十分にあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、窃盗占有離脱物横領事件の経験豊富な弁護士による、身柄の早期解放や示談交渉について最善のアドバイスを受けることができます。
置き引き事件にお困りの際は、遠慮なく弊所弁護士までご相談ください。

覚せい剤使用事件で違法捜査を主張①

2019-11-26

覚せい剤使用事件で違法捜査を主張①

覚せい剤使用事件違法捜査を主張するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府福知山市に住んでいます。
ある日、Aさんは京都府福知山市内の路上で京都府福知山警察署の警察官に職務質問され、帰路につきながらそれにこたえていると警察官が複数人そのまま自宅まで訪ねてきました。
Aさんが玄関を閉めようとすると、警察官がそれを手で押さえ、Aさん宅内に無断で立ち入り、Aさんに「腕を見せてください」などと言ってAさん宅内でAさんのの腕の写真を撮影しました。
この際、Aさんには令状等が見せられることはなく、何の容疑で捜査されたかも伝えられませんでした。
さらにAさんは警察署同行するように求められ、そこで尿を提出するよう言われましたが、これを拒んだところ、先ほど自宅に立ち入って撮影された写真を基に取得した令状を基に、強制採尿されることになってしまいました。
その後、Aさんは覚せい剤を使用したという覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕されてしまったのですが、違法捜査を受けたのではないかと不満に思っています。
そこでAさんは、家族の依頼によって接見にやってきた弁護士に、自分が違法捜査を受けたのではないかと相談してみることにしました。
(※令和元年10月29日毎日新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・覚せい剤の使用

多くの方がご存知のように、覚せい剤を所持したり使用したりすれば覚せい剤取締法違反となります。

覚せい剤取締法41条の2
1項 覚せい剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第42条第5号に該当する者を除く。)は、10年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、1年以上の有期懲役に処し、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。

覚せい剤取締法19条
左の各号に掲げる場合の外は、何人も、覚せい剤を使用してはならない。
1号 覚せい剤製造業者が製造のため使用する場合
2号 覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者が施用する場合
3号 覚せい剤研究者が研究のため使用する場合
4号 覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のため交付を受けた者が施用する場合
5号 法令に基いてする行為につき使用する場合

覚せい剤取締法41条の3
次の各号の一に該当する者は、10年以下の懲役に処する。
1号 第19条(使用の禁止)の規定に違反した者

今回のAさんは、この覚せい剤の使用等の容疑をかけられて逮捕されているようです。

覚せい剤所持事件覚せい剤使用事件では、覚せい剤を所持しているかどうか調べるための家宅捜索や、覚せい剤を使用しているかどうか調べるための尿検査が行われることがあります。
しかし、これらの捜査は覚せい剤所持覚せい剤使用が疑われるから直ちに無条件で強制的に行ってよいというものではありません。
次回の記事では、これらの捜査が行われるための条件や、違法捜査について詳しく取り上げます。

刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、覚せい剤所持覚せい剤使用による覚せい剤取締法違反事件のご相談・ご依頼も受け付けています。
在宅で捜査されている方には初回無料の法律相談を、逮捕・勾留されてしまっている方には初回接見サービスをおすすめしています。
お問い合わせは0120-631-881で24時間いつでも受け付けています。
まずはお気軽にお問い合わせください。

少年の万引き事件で不処分を目指す

2019-11-18

少年の万引き事件で不処分を目指す

少年の万引き事件不処分を目指す弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府舞鶴市に住むAさんは、高校2年生の17歳です。
Aさんは普段は校則などの規則もきちんと守る生徒でしたが、ある日、Aさんは勉強がうまく進まないストレスから自棄になり、近所のスーパーで500円相当の菓子を万引きしてしまいました。
その万引きをスーパーの従業員が目撃しており、Aさんは店の外に出た段階で従業員に声をかけられました。
通報を受けた京都府舞鶴警察署の警察官が臨場し、Aさんは京都府舞鶴警察署で話を聞かれた後、両親が迎えに来ることで帰宅を許されました。
Aさんの両親は普段真面目に過ごしていたAさんが窃盗事件を起こしたことに驚きましたが、Aさんは自分のしてしまったことに大変反省していました。
そこでAさんの両親は、Aさんと一緒に、少年事件に強いという弁護士に今後の対応を聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・少年事件の処分

今回のAさんが行ってしまった万引きは、刑法の窃盗罪にあたる行為です。

刑法235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

ただし、今回のAさんのような20歳未満の者が犯罪をした場合は、通常の刑事事件の手続きではなく少年事件の手続きにのっとって処分が決められることになります。
少年事件の手続きでは、原則として刑罰を科されることはありません。
ですから、例外的に行われる「逆送」という手続きが取られて起訴されない限り、Aさんも「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」という刑罰を受けることはなく、したがって前科もつかないということになります。

では少年事件として処理されれば、成人の刑事事件よりも「軽い」処分となってしまうのではないか、と思う方もいるかもしれません。
しかし、ここで注目しなければならないのは、少年事件の手続きが少年の更生を重視しているということです。
少年事件で少年が受ける処分は、少年の更生のためにそれが一番適切だと判断された処分です。
よくイメージされる少年院への送致や児童自立支援施設への送致、保護観察といった処分は全て少年の更生のための処分であり、保護処分と呼ばれています。
これらの処分のどの処分がその少年の更生のために適当かを専門家が調べるために、少年事件は原則として全ての事件が家庭裁判所に送致されます。
つまり、少年事件では、成人の刑事事件で検察官が下す「起訴猶予」にあたる処分がないのです。
例えば、成人の刑事事件であれば示談をして不起訴(起訴猶予)になる可能性の高い事件であっても、少年事件の場合は原則として検察官から家庭裁判所に事件が送致されることになります。
これは、少年事件の手続きは少年の更生に重きを置いているために、少年事件のプロ=家庭裁判所の調査・審判にゆだねた方が少年の更生にとって適切な判断ができるということによります。

さらに、先述の通り、少年事件の手続きで少年の更生を重視しているために、処分の内容もその更生のために何が必要かによって決められます。
すなわち、極端な例ではありますが、少年の資質や環境によっては、数百円の万引き事件でも少年院に行く可能性もあるということになります。

・万引き事件で不処分を目指す

今まで見てきたように、少年事件では家庭裁判所に事件が送致され、そこで調査・審判を経て少年の処分が決まります。
審判の結果には前述したような少年院送致や保護観察といった保護処分を受けるものもありますが、そうした処分が不要な場合は「不処分」、つまり何の処分も受けなくてよいという結果が出ることもあります。

不処分となった場合、それ以降で何か時間を割く必要もなくなりますし、施設に収容されることもありません。
しかし、少年の更生を重視する少年事件の手続きで不処分と判断されるということは、少年の更生にとって特に処分が必要ない=このままの環境で少年の更生が可能であると判断されるということであり、非常に難しいことです。
不処分を目指すためには、少年本人だけでなく、ご家族等周囲の人も一緒に協力しながら、少年の更生に十分な環境を作っていく必要があります。
その環境づくりには、少年事件に強い弁護士のサポートを受けることがおすすめです。

例えば、今回のAさんの事例では、被害店舗への謝罪・弁償だけでなく、自分の万引き行為が被害店舗へどのような被害を与えてしまったのか等を弁護士とともに考えていくことによって、Aさん自身の内省を深めていくことが考えられます。
また、Aさんはストレスに耐え兼ねて万引きをしてしまったようですが、今後そういった状況になってしまった時、自分自身が同じことをしないためにどうするべきなのか、周囲の家族はどのような態勢をとれるのか、第三者的立場にいて専門知識のある弁護士と一緒に考えることで、今まで思いつかなかった問題点・改善点が見えやすくなることが期待できます。
このような環境づくり・対策を整え、さらに弁護士がそれらを証拠化して主張していくことで、不処分を目指していくことが考えられるでしょう。

もちろん、弁護活動・付添人活動は少年事件によって千差万別です。
京都府少年事件にお悩みの方は、まずは遠慮なく、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部までご相談ください。

京丹後市で居直り強盗事件

2019-11-08

京丹後市で居直り強盗事件

京丹後市居直り強盗事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

【事件】

Aさんは京都府京丹後市にあるVさん宅に侵入し,金品を盗もうと物色していました。
Vさんの通帳を発見したAさんがこれを盗もうと思ったところ,在宅していたVさんに発見され,焦ったAさんは抵抗する意思を見せなくなるまで所持していたスパナでVさんを数回殴打し,Vさんに全治2か月のけがを負わせました。
そのまま通帳を持って逃走したAさんでしたが,後日,京都府京丹後警察署強盗致傷罪住居侵入罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)

【居直り強盗】

居直り強盗とは,初めは空き巣など窃盗のつもりで盗みに入った者が家人などに見とがめられ,急に態度を豹変させ強盗となることをいいます。
Aさんのように空き巣から強盗になった場合,住居侵入罪強盗罪あるいは強盗致傷罪などに問われる可能性があります。

【住居侵入罪】

正当な理由がないのに,人の住居もしくは人の看守する邸宅,建造物もしくは艦船に侵入した場合には住居侵入罪(刑法第130条前段)が成立します。
この罪の法定刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。
また,住居侵入罪は未遂も処罰されます(刑法第132条)。

住居侵入罪の条文にある「住居」とは,人の起臥寝食に使用される場所を指します。
一方,「邸宅」とは,住居用に作られた建造物とこれに付随する囲繞地(塀や柵などで囲まれている土地)のことです。
そして「人の看守する」とは,管理人や監視人がいたり,鍵がかけられているなど,現実に人が支配・管理している状況にあるという意味です。

また,住居侵入罪の「侵入」とは,住居権者またはその委任を受けた看守者等の推定的意思を含む意思に反して,住居等の領域に立ち入ることと理解されています。
違法な目的を隠しての住居権者等の承諾を得た場合も,真意に基づく承諾ではないため本罪の成立が認められています。

AさんがVさん宅に立ち入ったことについてVさんの承諾はありませんので,Aさんの侵入行為は住居侵入罪に当たる可能性が非常に高いです。

【強盗致傷罪】

AさんはスパナでVさんを殴打しけがを負わせたうえでVさんの通帳を持ち去っています。
ここで,強盗行為について定めた刑法の条文を見てみましょう。

刑法第236条第1項(強盗罪)
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は,強盗の罪とし,5年以上の有期懲役に処する。

刑法第240条(強盗致死傷罪)
強盗が,人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し,死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

Vさんに見つかっても暴行や脅迫がなければ通常の空き巣と同様に窃盗罪(刑法第235条)となる可能性が高いですが,今回のケースでは強盗致傷罪の適用が考えられます。
強盗致傷罪は強盗の機会に相手に傷害を加えることで成立します。
よってAさんの行為が強盗に当たるかがまず問題となります。

強盗罪が成立するためには手段として暴行・脅迫がなければなりません。
また,その暴行・脅迫は反抗を抑圧するに足りる程度の強さのものでなければなりません。
これは,暴行罪(刑法第208条)に規定されている暴行が,端的に人に向けられた有形力(物理力)であればよいとされているのに比べて,それが客観的に見て反抗を抑圧する程度のものであると認められる必要があることを意味します(最判昭和24年2月8日刑集3巻2号75頁)。

また,暴行・脅迫は,財物を奪うための手段として行われる必要があります
そのため,暴行・脅迫によって相手の反抗が抑圧された後に財物奪取の意思が生じたような場合には強盗罪とはなりません(大判昭和8年7月17日刑集12巻1314頁)。
ただし,財物奪取の意思を生じた後に新たに反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫があったことが認められれば強盗罪に問われる可能性があります。

そして,暴行・脅迫の相手方は必ずしも財物の所有者に限られません
例えば,過去の判例の中には,留守番をしていた10歳の子供に対して暴行・脅迫を加えて財物を奪取したときであっても強盗罪が成立するとされた事例があります(最判昭和22年11月26日刑集1巻1号28頁)。

加えて,「強取」とは,暴行・脅迫によって相手方の反抗を抑圧し,財物の占有を移転することを意味します。
ここでの占有とは,財物に対する事実上の支配状況のことで,他者の管理の及んでいる状態(例えば,鍵付きの金庫に保管してある状態やすぐ手の届く場所に置いてある状態にあるなど)があれば占有があると認められる場合が多いです。

さらに,相手方の反抗が抑圧されなかった場合について,財物を取得することができなかった場合は強盗未遂罪に問われる可能性があります。
暴行・脅迫を行ったものの被害者の反抗は抑圧されてはおらず任意に財物を差し出した場合について,学説上の争いはありますが,判例によれば強盗罪の既遂が認められるようです(最判昭和24年2月8日刑集3巻2号75頁)。
AさんはVさんが反抗の姿勢を見せなくなるまでスパナで殴打していますので,強盗罪が要求している強度の暴行の存在が認められます。
また,Aさんの暴行行為がVさんの通帳を盗むためだということが立証されれば強盗致傷罪の成立が認められることになると考えられます。

【居直り強盗事件の弁護方針】

まず,Aさんのように逮捕・勾留されている場合,逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがないことを示して早期の身体拘束状態からの解放を目指すことが考えられます。
Aさんが釈放されても逃亡や証拠隠滅をするリスクがない環境を整えたり,Aさんが釈放されなければ困る事情を訴えたりして,釈放を求めることになるでしょう。

また,被害者と示談をまとめることによって,不起訴や執行猶予を得られる可能性を高めることができます。
刑事事件に強い弁護士に事件を依頼することで,より円滑に示談交渉を進められることが期待できます。
示談締結ができれば,前述した釈放を求める活動でも有利に働くことが考えられます。

具体的な事件の内容に応じて,弁護士は依頼者と相談しながら弁護活動を展開していくことになります。

空き巣や,居直り強盗による強盗事件強盗致傷事件の被疑者となってしまった方,ご家族やご友人が京都府京丹後警察署に逮捕されてしまってお困りの方は,お早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

« Older Entries