Archive for the ‘財産事件’ Category

強盗致傷事件の逮捕に対応

2021-07-12

強盗致傷事件の逮捕に対応

強盗致傷事件逮捕に対応する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、宝石を盗み出して儲けようと計画し、京都府舞鶴市にある宝石店Xに侵入し、宝石を物色していました。
しかし、宝石店Xの警備員であるVさんが巡回にやってきて、Aさんは宝石を物色しているところを発見されてしまいました。
Aさんは、こっそり宝石を盗み出すことは諦めて、警備員Vさんを脅して宝石を奪い取って逃げようと計画を変更し、携行していたナイフをチラつかせてVさんを脅すと、宝石を自分のカバンにしまい、逃げようとしました。
ところが、VさんはAさんが目を離したすきに警棒を持ち、Aさんをつかまえようと立ち上がりました。
ポケットにしまったナイフを取り出すのに手間取ったAさんは、とにかく逃げなければいけないと逃げ出しましたが、Vさんの追跡から逃げきれず、Vさんに追いつかれてしまいました。
この時点で、AさんがナイフでVさんを脅迫した時から10分が経過し、宝石店Xから150mほど離れた地点に来ていましたが、AさんはVさんの顔面を殴りつけるなどの暴行を加えて怪我を負わせると、逃亡を再開しました。
ですが、これらのやり取りを目撃した通行人が通報したことで京都府舞鶴警察署の警察官が駆け付け、Aさんは強盗致傷罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・強盗致傷罪と「強盗の機会」

Aさんは元々宝石をこっそり盗み出すという窃盗行為を計画していたようですが、犯行の途中で警備員Vさんを脅して宝石を奪うように計画を変更しています。
このように、当初窃盗行為を意図しながら被害者などに発見されたために、暴行や脅迫をを加えたうえで財物奪おうとする犯人のことを「居直り強盗」と呼ぶことがあります。
居直り強盗というだけあって、こうした行為には刑法の強盗罪が成立すると考えられます。

刑法第236条第1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

強盗罪の「暴行又は脅迫」とは、相手の反抗を抑圧するに足りる程度の強さのある暴行又は脅迫を指しています。
今回のAさんは、警備員Vさんに対してナイフを向けていますが、ナイフを向けられたVさんからすれば反抗するとナイフで刺されるなどする深刻な危害が加えられるおそれがあるため、Aさんの行為はVさんの反抗を抑圧するに足りる脅迫といえるでしょう。
そして、Aさんはそのような脅迫によって生じた状況を利用して宝石をカバンに入れているので「他人の財物を強取した」といえます。
以上から、Aさんには強盗罪が成立すると考えられるのです。

さらに、刑法には以下の規定があります。

刑法第240条
強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

これは、強盗致傷罪強盗致死罪と呼ばれる犯罪であり、強盗犯が人に怪我をさせたり死亡させたりしたときに成立する犯罪です。
しかし、条文からは強盗犯が「いつ」人に怪我をさせたり死亡させたりしたときにこの強盗致死傷罪が成立するか明示されていません。
となると、強盗犯が人に怪我をさせればいつのことであっても強盗致傷罪が成立してしまうのではないか、と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。

強盗犯が「いつ」人に怪我をさせた場合強盗致傷罪が成立するのかということについて、判例では、傷害の結果が「強盗の機会」に行われた行為から生じたものであればよいとしています(最判昭和24.5.28)。
どういった行為が「強盗の機会」における行為といえるかは事案ごとの事情を全て考慮した上で判断せざるを得ませんが、多くの判例は、犯意の継続性、強盗行為との時間的場所的近接性、強盗行為との関連性を考慮して判断しています(最判昭和32.7.18、東京高判平成23.1.25など)。
つまり、簡単に言えば、強盗行為と全く関係のないところで強盗犯が人を死傷したとしても強盗致死傷罪は成立しないということです。

本件では、AさんはVさんの顔面を殴る暴行を加えて怪我をさせているようです。
この暴行行為は、Vさんに捕まる=逮捕されることなく強盗行為を無事終えるためになされたのものであって、いまだ当初の強盗の犯意が継続しているといえます。
また、これは通常の強盗にも認められるような性質の行為であって強盗行為と関連性があります。
加えて、この暴行はAさんがナイフで警備員を脅迫した時から10分が経過し、宝石店Xから150m離れた地点でなされているなど、強盗行為と場所的時間的近接性が認められます。
これらの事情から、AさんがVさんを殴って怪我をさせたことは「強盗の機会」に行われたと考えられ、Aさんには強盗致傷罪が成立すると考えられるのです。

・強盗致傷事件と弁護活動

強盗致傷事件では、当然被害者が存在します。
今回のAさんのケースでは、宝石を奪われた宝石店Xと、Aさんから暴行を受けたVさんが被害者ということになるでしょう。
この被害者に対して、謝罪や被害弁償をしていくことも重要な弁護活動の1つです。

また、強盗致傷罪は法定刑に無期懲役を含む重大な犯罪であることから、逮捕・勾留による身体拘束を伴って捜査が進められることも十分予想されます。
釈放・保釈を求めて随時活動していくことも必要となるでしょう。

そして、強盗致傷事件は裁判員裁判対象事件でもあるため、起訴されれば裁判員裁判への対応が必要となります。
一般の刑事裁判とは異なる手続きも多い裁判員裁判に対応していくためには、入念な準備が必要となりますから、早期に弁護士と連携して備えることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件専門の弁護士事務所です。
強盗致傷事件逮捕にも迅速に対応し、被疑者・被告人やそのご家族のお悩みや疑問の解消をサポートいたします。
京都府逮捕強盗致傷事件にお困りの際は、お気軽にご相談ください。

勾留決定に対する準抗告で釈放を目指す

2021-07-08

勾留決定に対する準抗告で釈放を目指す

勾留決定に対する準抗告で釈放を目指すケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市左京区に住んでいる大学生のAさんは、近所のスーパーマーケットで万引きをしてしまいました。
スーパーを出たところで店員に呼び止められたAさんは、店員の呼んだ京都府下鴨警察署の警察官に窃盗罪の容疑で逮捕されてしまい、その後勾留されてしまいました。
Aさんは7日後に大学の卒業に関わる試験を控えていたため、どうにかして釈放してもらえないかと困っています。
こうしたAさんの状況を知ったAさんの家族は、京都府の刑事事件に対応している弁護士に相談し、Aさんの釈放を求める活動ができないかと聞きました。
そこでAさんの家族は、弁護士から、勾留決定に対する準抗告という不服申し立ての制度があることをききました。
(※この事例はフィクションです。)

・窃盗罪

窃盗罪は、刑法に定められている犯罪です。
刑法において窃盗罪は以下の様に定められています。

刑法第235条 
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪とは、他人が合理的に占有している財物を、その他人の意思に反して自分や第三者の占有の下に移すことを言います。
今回のAさんについては、商品を万引きしていますから、窃盗罪が成立する可能性が高いと思われます。

・勾留

勾留とは、刑事訴訟法に定められた身体拘束を伴う刑事手続きの1つです。
刑事訴訟法では、以下の様に定められています。

刑事訴訟法第60条第1項
裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
第1号 被告人が定まった住居を有しないとき。
第2号 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
第3号 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

刑事訴訟法第207条第1項
前3条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない。

これらの2つの規定は、前者が起訴後の勾留(被告人勾留)、後者が起訴前の勾留(被疑者勾留)を指していますが、今回Aさんに行われた勾留は、後者の起訴前の勾留です。

起訴前の勾留が認められるためには、
①犯罪をしたと疑う相当な理由があること
②以下のどれかの事由に当たること
(1)住所不定であること
(2)証拠の隠滅のおそれがあること
(3)逃亡のおそれがあること
③勾留の必要性があること
が必要とされています。

いずれの要件も条文から導かれています。
①と②は起訴後の勾留について定めた刑事訴訟法第60条第1項に定められている要件ですが、刑事訴訟法第207条第1項において、裁判間に同様の権限が与えられているため、起訴前の勾留でも必要と考えられています。

対して、③の要件は、刑事訴訟法第207条第1項には、直接記載されていません。
ただし、「前3条」による請求がそもそも勾留の必要性がある場合に限定していることや、刑事訴訟法第87条において勾留の必要性がなくなった場合には釈放をしなければならないとされている点から、起訴前の勾留請求を行う時点においても必要であると考えられています。
また、この必要性は必要なものがあるだけではなく、勾留によって生じる不利益を超える必要性があると考えられています。

・勾留決定に対する準抗告

先ほど挙げた要件に当てはまる際に勾留がつけられ、身体拘束されますが、裁判所から勾留決定が出たからといってそこから必ず10日間出れなくなったというわけではありません。
刑事訴訟法には、準抗告という制度があり、以下の条文に定められています。

刑事訴訟法第429条 
第1項 裁判官が左の裁判をした場合において、不服がある者は、簡易裁判所の裁判官がした裁判に対しては管轄地方裁判所に、その他の裁判官がした裁判に対してはその裁判官所属の裁判所にその裁判の取消又は変更を請求することができる。
第1号 忌避の申立を却下する裁判
第2号 勾留、保釈、押収又は押収物の還付に関する裁判
(以下略)

要するに、この場合の準抗告とは、勾留決定に対する不服申立ての手段です。
そのため、たとえ勾留決定が出た場合であっても、準抗告によって不服を申し立ててその準抗告が認められれば、勾留決定が取り消され、釈放が実現できるということになります。

本件のAさんの場合は、試験を受けることができなくなれば卒業できなくなってしまう可能性があるという重大な不利益がありますので、そういった事情を含めて準抗告などにより釈放を求めていくことになるでしょう。
勾留決定に対する準抗告の申し立ては経験や専門知識が必要になってきますので、刑事事件専門の弁護士に早い段階から相談・依頼することが望ましいといえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
窃盗事件にお悩みの方、勾留からの釈放活動をお考えの方は、まずは一度ご相談ください。

直接お金を奪わなくても強盗罪に?

2021-06-17

直接お金を奪わなくても強盗罪に?

直接お金を奪わなくても強盗罪になるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都市東山区にあるVさん宅に忍び込むと、Vさんのクレジットカードを盗み出しました。
そして、AさんがVさん宅から立ち去ろうとした際に、帰宅したVさんに出くわしました。
Aさんは、Vさんにナイフを突きつけると、盗み出したクレジットカードの暗証番号を聞き出し、その場を去りました。
その後、Vさんの通報によって京都府東山警察署の警察官が捜査を開始。
Aさんは、京都府東山警察署強盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、「お金を脅して奪ったわけでもないのに強盗罪になるのか」と疑問に思い、弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・強盗利得罪

強盗というと、金銭や財物を脅し取るイメージが強いでしょう。
しかし、強盗罪には刑法第236条第1項で定められた暴行や脅迫を手段として財物の占有を得る形態のほかに、同法同条第2項の財産上不法の利益を得る類型が存在します。
この第2項の規定に該当する強盗罪を特に2項強盗罪強盗利得罪と呼ぶこともあります。

刑法第236条
第1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
第2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

財産上の利益とは、人の財産の中で財物を除くすべてをいうとされます。
現在、財物は有体物(三態をとって空間の一部を占める物)であるという有体物説が通説となっており、この解釈に従うと、財産上の利益は有体性をもたない無形の財産ということになります。
財産上の利益に当たるものとしては、債権を取得すること、債務の履行を免れること、財産的情報、ノウハウ、企業秘密、重要なデータを取得することなどが挙げられます。

大まかにいえば、強盗罪は、刑法第236条第1項で有形の財産=「財物」に対する強盗行為を、同法同条第2項で無形の財産に対する強盗行為を規制しているということになります。
つまり、よく想像される物理的に金品を奪っていく強盗が第1項の強盗罪、そうではなく利益などの無形の財産を得る強盗が第2項の強盗罪=2項強盗罪や強盗利得罪と呼ばれる強盗罪ということになるのです。

今回のケースでは、AさんはVさんのクレジットカードを盗んだ上で、帰宅したVさんを脅して暗証番号を聞き出しています。
Aさんが盗み出したクレジットカードは有体物であり財産的価値もあるでしょうから「財物」に当たるでしょう。
では、Aさんが脅迫を用いてVさんから聞き出した暗証番号はどうなるのでしょうか。

暗証番号は物として実態があるわけではないため、「財物」には当たらないと考えられます。
そして、クレジットカードや銀行口座などの暗証番号は、それだけでは何の役にも立たない財産的価値のないものといえます。
しかし、暗証番号はクレジットカードによる決済や銀行からの払戻しを受けるために役立つ情報であり、このように特定の状況下で一定の財物を取得するための手段としての価値をもっているため、これを財産上の利益となし得るかどうかが争われています。

過去の高裁判例では,今回のケースと似た事案で、キャッシュカードを窃取した被告人が被害者に包丁を突き付けて同人名義の預金口座の暗証番号を聞き出したという事件について、口座から預金の払戻しを受ける地位という財産上の利益を得たとして強盗利得罪の成立を認めたものがあります(東京高裁判平成21.11.16)。
この高裁判例が強盗利得罪の成立を認める判断は、行為者がいまキャッシュカードを有し、ATMが付近に存在するという状況があり、そのことによってはじめて暗証番号に関する情報が具体的な利益性をもつに至っているというもので、単に暗証番号を聞き出すことが直ちに財産上の利益を得ることと評価されるわけではないため、注意も必要ですが、こういった判断がされる可能性もあるということです。

今回のケースでは、Aさんは既にVさんのクレジットカードを有しており、その状態で暗証番号を聞き出していることから、高裁判例の考えによって強盗利得罪の成立が認められる可能性があります。

・事後強盗罪

今回のケースのAさんとVさんの具体的な状況によっては、強盗利得罪が成立しなかったとしても、事後強盗罪(刑法第238条)が成立する可能性があります。

刑法第238条
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

事後強盗罪は窃盗犯人が窃取した財物を取り返されたり、捕まることを避けたり、あるいは犯罪の痕跡を隠滅したりするために暴行・脅迫を行った場合に成立する罪で、その法定刑は強盗罪と同じく5年以上の有期懲役です。

今回のケースでは、AさんはVさんにナイフを突きつけ脅していますが、この脅迫行為が、すでに盗んでいたクレジットカードを取り返されたり、捕まることの回避や罪証隠滅のために行われたとすると、クレジットカードを盗んだ行為と合わせて事後強盗罪に当たるとされるおそれがあるのです。

暴行・脅迫によって財物でないものを手に入れたとき、それが財産上の利益といえるかどうかは罪名および科刑上大きな違いを生みます。
どの行為がどの犯罪になるかということも含めて、その分析には刑事事件に関する専門的な法的知識が必要となります。

さらに、今回のAさんのケースのように逮捕・勾留を伴う捜査が行われている場合には、身体解放のための弁護活動も考えられますが、そのためには刑事事件に強い弁護士にいち早く相談し,適切な対応を行っていくしかありません。
対応が遅れると刑事手続が進行し、取り返しのつかない事態に陥ってしまう可能性もあります。
どういった場合にせよ、刑事事件の当事者となってしまったら、早期に弁護士に相談してみることが重要でしょう。

刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、弁護士による初回無料法律相談だけでなく、逮捕・勾留中の方に向けた初回接見サービスも受け付けています。
強盗事件などの重大な刑事事件についてのご相談・ご依頼も受け付けていますので、まずはお気軽にお問い合わせください(0120-631-881)。

ペットの連れ去りで刑事事件に

2021-05-31

ペットの連れ去りで刑事事件に

ペット連れ去りから刑事事件化したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

~事例~

京都府京田辺市に住んでいるAさんが自宅付近を散歩していると、赤い首輪を付けた小型犬がスーパーマーケットのすぐ前にある柵にリードで繋いであるところを見つけました。
その小型犬は、飼い主であるVさんがスーパーマーケットで買い物をする10分程度の間、外に繋いでおいた犬でした。
Aさんは、もともと犬を飼いたいと思っていたこともあり、一目を盗んで犬のリードを外すと犬を抱えて持ち帰り、自分のペットとして飼育し始めました。
その後5分ほどして買い物を終えてスーパーマーケットを出てきたVさんは、繋いでおいたはずの犬がいなくなっていることに気が付き周囲を探しましたが、犬が見つからないことから、京都府田辺警察署に相談。
その後の捜査で、AさんがVさんの犬を連れ去ったことが発覚し、Aさんは窃盗罪の容疑で逮捕されるに至りました。
Aさんの家族は、まさかAさんが他人のペットを連れ去って逮捕されるとは思わず、刑事事件を取り扱っている弁護士に相談し、Aさんに成立する犯罪やその見通し、可能な弁護活動について詳しく聞くことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・ペットの法律上の立ち位置

犬や猫に代表されるペットを、自分の家族と同じように大事な存在として大切に飼育されている方も多いでしょう。
しかし、法律上、ペットのような動物は「物」として扱われます。
したがって、誰かがペットが傷つけても人を傷つけたときのように傷害罪(刑法第208条)は成立しませんし、ペットを連れ去ったとしても人を誘拐したときのように誘拐罪(刑法第224条)は成立しません。
大切にしているペットだからこそ、こういった扱いが腑に落ちないという方もいらっしゃるかもしれませんが、現在の法律上、ペットの扱いはそのようになっているのです。

・ペットの連れ去りで成立する犯罪?

今回の事例では、AさんはVさんのペットの犬を勝手に連れ帰っています。
こうしたケースでは、今回のAさんの逮捕容疑でもある窃盗罪が問題となります。

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

条文を確認すると、窃盗罪が成立するためには①「他人の財物を」、②「窃取」することが必要です。

まず①について、他人の財物とは他人が「占有」する「他人の財物」を意味します。
先ほど触れた通り、法律上ペットは「物」ですから、Vさんのペットの犬も法律上は「物」と考えられます。
そして、窃盗罪の「財物」は、財産的価値がなくとも、社会通念上刑法的価値に値する主観的・感情的価値があるものであればよいとされます(大判明治44.8.15)。
したがって、例えばVさんのペットの犬が血統書付きの犬などではなくとも、窃盗罪の「財物」といえるでしょう。

そして、②「窃取」するということは、持ち主の意思に反してその物の占有を自分や第三者に移転することです。
「占有」とは、財物に対する事実上の支配をいいます。
今回のAさんの事例の場合、犬の飼い主であるVさんは犬のもとを離れてスーパーマーケットの中に行っていることから、Vさんが犬を占有しているかどうか疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、Vさんが犬のもとを離れたのは10分程度という短い時間であり、Vさんとしてもすぐに戻るつもりで犬を柵に繋いでおり、距離的にも近い位置にいます。
こうしたことから、一時的に犬と離れていたとしても、Vさんは犬を占有している状態であったと考えられるでしょう。
その状況からAさんはVさんの意思に反して勝手に犬を連れ去り自分のペットとして扱っている=犬の支配をAさんのもとに移していると考えられるため、窃盗罪の「窃取」に該当する行為をしていると考えられます。

なお、窃盗罪には条文にある条件以外にも「不法領得の意思」という意思が必要とされています。
「不法領得の意思」を簡単に言えば、持ち主の権利を排除して自分が持ち主のようにその物を利用したり処分したりする意思のことを指します。
今回のAさんは、Vさんのもとからペットの犬を連れ去り、自分のペットとする=Vさんを排除して自分が犬の持ち主のようにふるまう意思をもって行動しているので、この「不法領得の意思」もあったと考えられます。

こうしたことから、Aさんのペットの連れ去り行為は窃盗罪にあたると考えられるのです。

先ほども触れた通り、法律上ペットは「物」として扱われますが、飼い主からすれば家族同然であったりします。
そうしたペットを連れ去られたとなれば、被害感情が大きいことも当然考えられます。
被害者対応なども慎重に行うことが求められますから、刑事事件の専門家である弁護士に相談してみることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、窃盗事件を含む刑事事件を専門的に取り扱っています。
お悩みの際はお気軽に弊所弁護士までご相談ください。

美人局で逮捕されてしまったら

2021-05-27

美人局で逮捕されてしまったら

美人局逮捕されてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、「人妻です。京都市西京区で会える不倫相手募集」というようなメッセージを出会い系サイトに投稿し、その投稿に男性会社員のVさんが反応しました。
AさんはVさんと何通かメッセージのやりとりをし、京都市西京区で会う約束をしました。
後日、AさんとVさんが京都市西京区で約束通り会い、ラブホテルから出てきたところ、Aさんの夫を名乗るBさんが現れ、「人妻に手を出して不倫してただで済むと思っているのか」「誠意をもって対応しなければ裁判にしてやる」「裁判になれば職場にも不倫をしたことがばれるぞ」などと言って慰謝料として30万円を支払うよう言ってきました。
VさんはBさんの言葉に怖くなってしまい、Bさんの要求通り30万円を支払ってしまいました。
実は、AさんとBさんは一緒に計画を立てて美人局をしていたのでした。
しかし、その後もBさんから何か言われるのではないかと不安になったVさんが京都府西京警察署に相談したことから被害が発覚し、捜査が開始されました。
AさんとBさんは、恐喝罪の容疑で逮捕され、京都府西京警察署で取調べを受けることになりました。
(※この事例はフィクションです。)

・美人局

美人局(つつもたせ)とは、女性が被害者となる男性を誘って肉体関係をもったり関係をもとうとしたりしたときに、事前に共謀していた第三者(多くは男性)が現れ因縁をつけ、金銭などを脅し取ることをいいます。
美人局を行う女性と男性は実際に夫婦関係や恋愛関係にある場合もありますが、そうでないこともあります。
今回のケースでも、AさんはVさんを誘い出し、ラブホテルで密会した後に夫を名乗るBさんが現れ30万円を脅し取っています。
この美人局によってBさんが行った金銭を脅し取る行為は、恐喝罪(刑法第249条)によって処罰される可能性があります。

刑法第249条(恐喝罪)
第1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
第2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

条文中にある「恐喝」とは、暴行または脅迫を手段として相手方をその反抗を抑圧するに至らない程度に畏怖させることをいいます。
もし、財物や財産上不法の利益を得る手段として行った暴行または脅迫が相手方の反抗を抑圧する程度のものであった場合には、恐喝罪ではなく強盗罪(刑法第236条)が成立する可能性があります。
強盗罪の法定刑は5年以上の懲役となります。

また、同じような行為であっても害悪を告知して畏怖させた行為であるとして脅迫罪(刑法第222条)が適用されたり、威迫して人に義務のないことを行わせたとして強要罪(刑法第223条)が適用されたりすることも考えられます。
法定刑は、脅迫罪が2年以下の懲役または30万円以下の罰金で、強要罪が3年以下の懲役です。

さらに、美人局では、女性がまったく性交を行う気がないのに性交を行おうと被害者を呼出し金銭を要求したり、18歳未満であると偽って児童買春が成立するとして慰謝料や示談金の名目で金銭を要求するパターンもあります。
こうしたパターンでは、虚偽の事実を示して金銭などを要求する行為は場合によっては詐欺罪(刑法第246条)に問われる可能性もあります。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役です。

加えて、ここまでに挙げた主に脅迫行為を行う第三者に成立することが考えられる犯罪だけでなく、被害者を誘い出したり性的な行為を行ったに過ぎない女性(今回の事例でいうAさんの立ち位置)も、共犯(共同正犯あるいは幇助犯など)として第三者と共に罪に問われる可能性があります。

行われた美人局にここまでに挙げたどの罪名が適用されるかは、美人局を行った具体的な状況などによってさまざまで、美人局だからこの犯罪であると断定することは難しいです。
専門家に自身の行った美人局の詳細を話したうえで、どの犯罪に該当し得るのかを聞くことがベストでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、逮捕された方向けの初回接見サービスから、在宅捜査を受けていたり刑事事件化がまだされていなかったりする方向けの初回無料法律相談まで幅広くサービスをご用意しています。
美人局逮捕されてしまった、美人局刑事事件となりそうとお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。

盗品をもらってしまった~盗品等無償譲受罪~

2021-05-06

盗品をもらってしまった~盗品等無償譲受罪~

盗品をもらってしまって盗品等無償譲受罪に問われてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市右京区に住むAは友人が高価であろうスピーカーを持っていることに気が付きました。
友人に「やろうか」と言われたAはどうせ盗んだ物だろうと思っていましたが、どうしてもスピーカーが欲しかったので、そのままもらい受けました。
その後、友人は京都府右京警察署の警察官に窃盗罪で逮捕されることになってしまいました。
京都府右京警察署の捜査の結果、Aが友人からスピーカーをもらい受けたことが発覚し、Aも盗品等無償譲受罪で警察署から呼び出しを受けることになりました。
(この事例はフィクションです)

~盗品等無償譲受罪~

今回の事例では、盗品であるそのスピーカーを譲り受けたAも盗品等無償譲受罪で警察の捜査を受けています。
盗品等無償譲受罪とは、その名の通り盗品等を無償で譲り受けた場合に成立します。

刑法第256条第1項
「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。」

そして刑法第256条第2項では盗品等を運搬、保管、有償譲受、有償の処分あっせんをした者に対して、「10年以下の懲役及び50万円以下の罰金」を規定しています。
これらの罪については盗品等関与罪と呼ばれています。
今回のAも盗品を無償で譲り受けているので、盗品等無償譲受罪が成立することになるでしょう。

盗品等関与罪における「盗品その他財物に対する罪」とは、窃盗罪や横領罪によって不法領得した財物は当然のこと、詐欺罪や恐喝罪によって不正に取得した財物も対象となります。
また、財産罪によって領得された財物が盗品等となるのですが、ここにいう犯罪行為は、構成要件に該当する違法行為であれば足り、必ずしも有責であることを必要としません。
つまり財産罪を犯した犯人が、刑事未成年者であったり、親族間の犯罪に関する特例の適用によって刑の免除を受たりしている場合や、本犯の公訴時効が完成している場合でも、盗品等関与罪は成立してしまうのです。

そして、盗品等関与罪が成立するには、行為者に盗品であることの認識がなければなりません。
この認識は、いかなる財産罪によって取得した物なのか、犯人や被害者が誰なのか等の詳細まで必要とされませんが、その財物が何らかの財産罪によって領得された物であることの認識は必要です。
今回の事例の盗品等無償譲受罪では、譲り受けたりした物が盗品であると理解している場合だけでなく、それが盗品であるかもしれないと考えながらそのものを譲り受ける場合も含まれます。
そのため、今回のAがどうせ盗品だろうと思っていたとするならば、盗品等無償譲受罪が成立する可能性は高いでしょう。
しかし、盗品を譲り受ける時点でそのものが盗品であるという認識が全くなかった場合盗品等無償譲受罪は成立しません。
もしもこういった主張をしていくという場合には刑事事件に強い弁護士のアドバイスが必要となってくるので、すぐに相談するようにしましょう。

~親族等の間の犯罪に関する特例~

上記の盗品等関与罪には、親族等の間の犯罪に関する特例があります。

第257条
「配偶者との間又は直系血族、同居の親族若しくはこれらの者の配偶者との間で前条の罪を犯した者は、その刑を免除する。」

つまり、親族が窃盗を行った場合にその親族を庇護しようと盗品等関与罪をしてしまった場合には刑が免除されます。
なお、この規定は親族ではない共犯には適用されません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件に強い弁護士無料法律相談初回接見サービスを行っています。
ご予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

窃盗罪と住居侵入罪

2021-04-29

窃盗罪と住居侵入罪

窃盗罪住居侵入罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市山科区に住むAは近所に住むVが出かけているのに家の鍵が開いていることに気が付きました。
お金に困っていたAは、Vの家に空き巣に入ることに決め、Vの家に侵入し、現金約10万円と腕時計など数点を盗みました。
帰宅したVが部屋を見ると、明らかに荒らされており、Vはすぐに京都府山科警察署に連絡しました。
周囲の防犯カメラの映像や部屋に残された指紋や靴跡などからAの犯行であることが特定され、Aは、窃盗罪住居侵入罪の疑いで逮捕されることになってしまいました。
Aが逮捕されてしまったと聞いたAの両親は窃盗罪住居侵入罪という2つの罪を犯してしまったAがどうなってしまうのか不安になり、刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼することにしました。
(この事例はフィクションです)

~窃盗罪と住居侵入罪~

今回のAは、窃盗罪住居侵入罪という二つの罪に該当する行為をしています。
このような場合、どのような範囲で処罰されることになってしまうのでしょうか。
まずは、住居侵入罪窃盗罪の条文を確認してみましょう。

刑法第130条 住居侵入罪
「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。」

刑法第235条 窃盗罪
「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」

単純に考えると二つの罪に規定されている罰則を足してしまうという方法が思いつくかもしれません。
しかし、それでは不当に重い刑罰となってしまう可能性が高まってしまいます。
そこで、刑法では二つ以上の罪にあたる場合についていくつかの規定をおいています。

~牽連犯~

二つの罪名にあたる行為のうち、今回の事例の窃盗罪住所侵入罪のような関係となるような場合は牽連犯と呼ばれます。
牽連犯は刑法第54条に規定されています。

刑法第54条
「一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。」

上記条文の前段にある「一個の行為が二個以上の罪名に触れ」る場合を観念的競合といい、後段に規定されている「犯罪の手段又は結果である行為」を牽連犯といいます。
そして、この観念的競合や牽連犯だとされる場合については、複数ある罪名のうち、「最も重い刑により処断する」とされています。

今回の事例である侵入等事件の場合、窃盗罪の手段として住居侵入罪をしていますので、牽連犯の代表的な態様であるといえます。
そして、こうした場合の処断刑の範囲は住居侵入罪窃盗罪を比べたときに重い罪である窃盗罪の「10年以下の懲役又は50万以下の罰金」の範囲で処断されることになります。
このように、法律の規定自体は条文を見ればわかるかもしれませんが、実際の事例においてどのように運用されていくのかについては、刑事事件に強い弁護士の見解を聞いたほうがよいでしょう。
なお、二つ以上の罪についての規定は、このほかにも併合罪などがありますので、詳しくは刑事事件に強い弁護士の見解を聞くようにしましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見サービスを行っています。
初回無料での対応となる法律相談、逮捕されている方のもとへ弁護士を派遣する初回接見サービスのご予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間体制で専門スタッフが受付を行っています。
京都市山科区窃盗罪住居侵入罪やその他刑事事件でお困りの方がおられましたらまずはお気軽にお問い合わせください。

窃盗事件と略式罰金

2021-03-22

窃盗事件と略式罰金

窃盗事件略式罰金について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

京都府宮津市に住んでいるAさんは、近所のスーパーで万引きをしたことによる窃盗事件により、京都府宮津警察署で捜査を受けていました。
Aさんは以前にも万引きをしたことがあり、その時は不起訴処分となったものの、「今回は不起訴では終わらないぞ」と警察官に言われてしまいました。
Aさんは、自分がどういった処分を受けるのか不安になり、弁護士に相談したところ、予想される処分に略式罰金という処分があると言われました。
そこでAさんは、略式罰金がどういった処分なのか弁護士に詳しく聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・刑事事件の流れと略式罰金

窃盗事件を含む刑事事件では、まず警察が事件を発見して捜査することが多いでしょう。
そして警察が捜査を完了したところで、事件は警察から検察へ移される(送られる)ことになります。
ニュースなどでもよく耳にする「送検」とは、その刑事事件を警察から検察に移すことをいいます。
事件が送検されたら、今度はその刑事事件の担当となった検察官が、被疑者を起訴するかどうかを判断することとなります。

刑事事件で被疑者となり、起訴されると裁判となります。
よく言われることではありますが、日本では起訴された刑事事件の99%は有罪となっています。
ですから、前科を回避したいと考える方などは、被疑者となってしまったら第一に起訴を回避する=不起訴処分を獲得するために弁護士に弁護活動をしてもらうなどすることになります。

ここで今回のポイントとなる「略式罰金」に関わることですが、通常、検察官は地方裁判所に公訴提起=起訴をすることになるのですが、一部の比較的軽微な犯罪については簡易裁判所に公訴提起=起訴をすることができます。
一部の比較的軽微な罪とは、裁判所法第33条第1項第2号に規定されている以下の犯罪です。

裁判所法第33条第1項
簡易裁判所は、次の事項について第一審の裁判権を有する。
第2号 罰金以下の刑に当たる罪、選択刑として罰金が定められている罪又は刑法第186条、第252条若しくは第256条の罪に係る訴訟

まとめると、罰金以下の刑に当たる犯罪や、選択刑として罰金が定められている犯罪がこの対象とされていることになります。

例えば、今回の事例のAさんは、万引きによる窃盗罪(刑法第235条)の被疑者となっています。
窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」となっていますので、窃盗罪は「選択刑として罰金が定められている犯罪」に当たります。
つまり、Aさんの事例では、Aさんの窃盗事件は簡易裁判所に起訴される可能性があるといえます。

検察官が簡易裁判所に起訴する場合には、検察官は略式命令請求書を提出して書面審査のみによる簡便な手続を請求することができます。
この手続を略式手続といいます。
略式手続による起訴が略式起訴と呼ばれるもので、よくドラマなどで見る公開の法廷で行われる正式な裁判に対して簡単な手続きであることから略式起訴、略式手続きなどと呼ばれてい流のです。
この略式手続では、後述のように罰金刑しか科せないことから、略式手続を経て罰金刑となることを略式罰金と呼んだりもします。
今回のAさんも、略式手続を経て罰金刑となる可能性があるため、弁護士から略式罰金の可能性があると言われたのでしょう。

この略式罰金の手続きでは、正式起訴されて行われる裁判と異なり、公開の法廷で行われることもなく、何日も裁判所に行く必要がないことから、正式裁判を避けて略式罰金にしてほしいと考える方もいらっしゃいます。
しかし、略式罰金の手続きをするにも希望すればできるというわけではなく、いくつかの条件があります。

①簡易裁判所が管轄する事件であること
先ほど挙げたように、容疑をかけられている犯罪が上記の裁判所法第33条第1項第2号に当てはまらなければなりません。

②100万円以下の罰金・科料に当たる事件であること
①に該当する犯罪であっても、事件の重大さなどから罰金刑以下の刑では不適当と判断される場合があります。
略式罰金を行うためには、相当であると考えられる刑が100万円以下の罰金または科料でなければいけません(それ以上の金額は簡易裁判所が取り扱いできないため。)。

③被疑者が容疑を認めていること
検察官は略式罰金の手続を行う前に被疑者に略式手続について説明し、略式罰金の手続によることに異議がない場合に限って略式命令を請求できることとなっています。
略式罰金の手続きでは、公開の裁判は開かれず、書面のみで審理が行われます。
迅速で行われる上、被告人として公開の法廷に立つ必要がないことはメリットでもありますが、同時に裁判の場で反論することができないため、デメリットでもあるのです。
ですから、容疑を認めているいわゆる「認め」の事件にしか略式罰金の手続きは適用できないのです。

そして、罰金刑であっても有罪となり刑罰を受けることに変わりはありませんから、略式罰金を受けるということは前科がつくことになります。
略式罰金によるメリット・デメリットを弁護士とよく相談しながらどのような処分を目指していくのか、どういった処分を受け入れるのか決めていくことが良いでしょう。

刑事事件の処分や手続きはさまざまで、一般に浸透していないことも多いです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、略式罰金の手続きなど、刑事手続きについてのご相談も多く承っています。
窃盗事件などの刑事事件にお悩みの際は、お気軽に弊所弁護士までご相談ください。

品物を預かって盗品保管罪に

2021-03-11

品物を預かって盗品保管罪に

品物を預かって盗品保管罪に問われたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

京都市左京区に住んでいるAさんは、骨董品店を営んでいるBさんから「店が手狭になったから品物を数店預かってくれないか」と骨董品を数点渡されました。
Aさんは、「預かるくらいならいいか」と思い、自宅で骨董品を預かり、しばらく保管していました。
しかし、実はこの骨董品は数日前にBさんが京都市左京区にあるVさん宅から盗んだ盗品だったのでした。
後日、Vさん宅の窃盗事件京都府川端警察署に捜査され、Bさんが窃盗罪の容疑で捜査されることになり、そこでBさんが盗品をAさんに預けたと供述したことから、Aさんは盗品保管罪の容疑で話を聞かれることになってしまいました。
困ったAさんは、弁護士に対応を相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・盗品関与罪〜盗品保管罪

今回Aさんが疑われている盗品保管罪は、盗品関与罪と呼ばれる犯罪の1つです。
盗品等関与罪は、刑法第256条に定められている犯罪です。

刑法第256条
第1項 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。
第2項 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪(刑法第235条)や詐欺罪(刑法第246条第1項)などの財産罪を犯した人が、これらの犯罪によって得た財物をどう処分しようと、そのことによって改めて盗品等関与罪で処罰されることはありません(このような行為を不可罰的事後行為といいます。)。
しかし、窃盗罪を犯した本人や詐欺罪を犯した本人以外の人については、この盗品等関与罪が成立する可能性があります。

盗品等関与罪は、盗品等を譲り受けることなどによって本犯の被害者が盗品等の回復を行うことを困難にしたり、本犯により生じた違法な財産状態を維持・継続させることになるために処罰されます。
例えば、窃盗罪の被害を受けた人(盗まれた人)からすれば、被害品=盗品が盗んだ本人から別の人に移ってしまえばそれを取り戻しにくくなるということです。

盗品等関与罪が成立し得る具体的な態様としては、譲り受け、有償処分のあっせん、運搬、保管があります。
このうち、今回のAさんが疑われているのは盗品保管罪ということになります。

盗品等関与罪は故意犯ですから、目的物が盗品等であることを認識・予見していなければ処罰されることはありません。
今回のケースでは、AさんはBさんからのしばらく預かっていてほしいという依頼を受け、盗品である骨董品を保管しています。
しかし、Bさんから骨董品を預かり保管していた時点で、Aさんがこの骨董品が盗品であることを認識・予見していたかどうかは事例からはわかりません。
もしもAさんがBさんが売買などによって正当に所有している骨董品であると認識していた場合、盗品保管罪の故意はないことになり盗品保管罪は成立しません。

ただし、判例によれば、保管開始後、保管中に盗品であることを知った場合にも故意を認め盗品保管罪が成立するとされています。
ここでの故意は、譲り受けや保管などの目的物が盗品等であることを確定的に知っていることまでは必要ではなく、もしかしたら盗品かもしれないと思いながら敢えて譲り受けたり保管するなどの意思を有していた場合(いわゆる未必の故意)にも認められます。
ですから、今回のケースでは、Aさんの認識や当時の状況を詳しく聞いた上で主張を組み立てていく必要があると言えます。

取調べなどで主張をしていくには、自分にかけられた容疑の犯罪がどのような犯罪であるのか、自分の認識はどのようなものなのか、客観的な事情はどういったものがあるのかといった詳しい事情を専門的に検討しなければいけません。
だからこそ、弁護士に細かく相談することがお勧めです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回無料法律相談も受け付けています。
預かり物から盗品保管事件に巻き込まれてしまった方は、まずはお気軽に弊所弁護士までご相談ください。

治療費水増し請求による詐欺事件

2021-02-01

治療費水増し請求による詐欺事件

治療費水増し請求による詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

Aさんは、京都市山科区で個人病院を経営しています。
Aさんは、患者の通院日数を実際よりも多く記載された診療報酬明細書(レセプト)を保険会社に提出して、実際よりも多い治療費を受け取る、いわゆる治療費の水増しをしていました。
しかし、保険会社の調査によりAさんの水増し請求行為が発覚。
保険会社は京都府山科警察署に被害を届け出て、京都府山科警察署が捜査を開始しました。
その後、Aさんは詐欺罪の容疑で京都府山科警察署に逮捕され、Aさんの逮捕を心配したAさんの家族は、京都府詐欺事件に対応している弁護士に、Aさんの元に接見に行ってもらうことにしました。
(※令和3年1月19日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・治療費の水増し請求

治療費の水増し請求は、今回のAさんの事例のように病院や整骨院など、治療をする側の人が行うことによって実際の治療費よりも多い治療費を得る行為です。
そもそも、治療費は病院等で治療を受けた患者から全額を受け取るわけではありません。
患者が負担して病院等へ支払う分だけでなく、保険から病院等へ支払われる分があるのです。

患者が負担する分の治療費は、患者が病院等へ行った際に支払われることになるでしょう。
これに対し、保険が負担している分の治療費については、病院等が該当患者の診療内容等を診療報酬明細書(レセプト)に記載し、保険が負担する分の治療費を支払う機関に提出し、審査を受けることで病院側へ支払われます。
すなわち、この流れを悪用し、提出する診療報酬明細書(レセプト)に実際の診療内容よりも多い診療内容を記載し、本来受け取れる治療費よりも多い治療費を受け取るというのが、治療費の水増し請求の手口なのです。

・治療費の水増し請求は詐欺罪になる

治療費の水増し請求行為は、刑法の詐欺罪に当たると考えられます。

刑法第246条第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪の条文には、「人を欺いて」「財物を交付させ」るという詐欺罪が成立するための条件が定められています。
「人を欺」く行為は欺もう行為とも呼ばれ、ただ単に嘘をつくだけではなく、相手が財物を交付するかどうか判断する時に重要な事項について偽ることだとされています。
詐欺罪が成立するには、この欺もう行為によって相手が騙され、騙されたことで相手が財物を交付するという判断を下し、財物が交付されるという流れを辿ることになります。
なお、欺もう行為をした時点で詐欺罪の実行に着手したと判断され、詐欺未遂罪が成立するとされています。

今回のAさんの行ったような治療費の水増し請求行為は、診療報酬明細書(レセプト)に嘘の内容を書いて治療費を請求することになります。
治療費を支払う側としては、診療報酬明細書(レセプト)の内容が異なっているのであれば、当然その分の治療費を支払うことはありません。
ですから、Aさんは詐欺罪の「人を欺」く行為=欺もう行為をしていることになります。
今回の事例の場合、Aさんは保険会社から水増し請求した治療費をもらっていることから、「財物を交付させた」こととなり、詐欺罪が成立すると考えられるのです。

ここで、もしもAさんが水増しした内容の診療報酬明細書(レセプト)を提出したものの、保険会社の審査でその水増しが発覚したような場合も考えておきましょう。
先ほど触れたように、詐欺罪は欺もう行為をした時点で詐欺未遂罪が成立します。
確認したように、Aさんが水増しした内容の診療報酬明細書(レセプト)を提出して水増しされた治療費を請求する行為自体が欺もう行為に当たるため、たとえ保険会社の審査で水増し請求が発覚して治療費が支払われるところまでに至らなくても、詐欺未遂罪が成立すると考えられます。

治療費水増し請求による詐欺事件では、被害額が大きくなってしまうことや、余罪の詐欺事件が複数存在することも考えられます。
刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、そうした詐欺事件のご相談・ご依頼も受け付けています。
被害者対応の円滑化や、複数ある事件の取り調べ対応のポイント把握など、弁護士のサポートを受けることで得られるメリットは大きいでしょう。
まずはお気軽にご相談ください。

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