Archive for the ‘財産事件’ Category

車を乗り回して横領事件②

2019-05-19

車を乗り回して横領事件②

~前回からの流れ~
京都府京丹後市の派遣会社で働くAさんは、ある日、郵便局の配送の仕事を引き受けることになりました。
その際、Aさんは郵便局から配送のために郵便局の車を使用するよう言われました。
しかし、Aさんは業務時間中に業務を行うのが嫌になり、配送の仕事をせずに郵便局の車を利用して遊びに出かけてしまいました。
Aさんが配送から戻ってこないことに気づいた郵便局員が捜索願いを出したことで、京都府京丹後警察署が捜査を開始したところ、Aさんが市内の駐車場に車を停め、車内でくつろいでいるところを発見しました。
Aさんは京都府京丹後警察署横領罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※令和元年5月15日NHKNEWSWEB配信記事を基にしたフィクションです。)

・横領罪と業務上横領罪

前回の記事では、Aさんが横領罪に当たりえるということを取り上げました。
ここで、横領罪という犯罪の中で「業務上横領罪という犯罪もあるのではないか」とイメージされる方も多いのではないかと思います。
特にAさんのような仕事中の横領事件については、業務上横領罪ではないか、と考える方もいらっしゃると思います。

ここで、横領罪と業務上横領罪の条文を見比べてみましょう。

刑法252条(横領罪)
自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。

刑法253条(業務上横領罪)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

横領罪業務上横領罪では、このように受ける可能性のある刑罰の重さが全く異なります。
条文上異なる部分と言えば「業務上」かどうかという部分ですが、これはどういった部分から判断されるのでしょうか。

業務上横領罪のいう「業務」とは、「委託を受けて他人の物を占有・保管する事務を反復継続して行う地位」であるとされています。
なお、この「業務」は仕事(職業)である必要はありません。
この地位に基づいて横領行為をすれば業務上横領罪となり、この地位が認められなければ(単純)横領罪となるということになります。

今回のAさんは、確かに仕事中ではありました。
しかし、Aさんは派遣会社の仕事として郵便局の配送業務を振られたということですので、ここに「反復継続」しているということが認められず、単なる横領罪となったのではないかと考えられます。

・横領事件の弁護活動

横領事件では、横領によって損害が発生していることがほとんどであることから、被害賠償を含めた被害者対応をすることが考えられます。
特に今回のAさんの場合には、横領行為そのものによって発生した損害、例えば車を使用することによって発生する使用価値の減少等以外にも、郵便物の配送の遅れや信用失墜等によって発生する損害も考えられます。
こうした際には、どういった損害が考えられるのか、どのようにその損害を弁償していくのか、ということも考えていかなければなりません。
そしてそれらを考慮しながら示談交渉も行わなければなりません。
弁護士に依頼することで、示談交渉そのものや、示談交渉の内容についての検討の際の負担を減らすことが期待できます。

また、Aさんのように逮捕されている横領事件では、その身柄解放のために弁護士に活動してもらうことが考えられます。
逮捕から勾留までは、最長でも72時間の間に決定がなされます。
横領事件自体の検討や釈放の可能性を高めるための準備を入念に行うためには、早い段階から弁護士に相談し、意見を取り入れることが重要であると言えるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、迅速な対応を行うために、お問い合わせ用フリーダイヤルは24時間いつでも通じるようになっています(0120-631-881)。
京都府滋賀県横領事件を含む刑事事件で逮捕されてお悩みの際には、まずはお気軽にこちらまでお電話ください。
京都府福知山警察署までの初回接見費用:お電話にてご案内いたします。)

車を乗り回して横領事件①

2019-05-18

車を乗り回して横領事件①

京都府京丹後市の派遣会社で働くAさんは、ある日、郵便局の配送の仕事を引き受けることになりました。
その際、Aさんは郵便局から配送のために郵便局の車を使用するよう言われました。
しかし、Aさんは業務時間中に業務を行うのが嫌になり、配送の仕事をせずに郵便局の車を利用して遊びに出かけてしまいました。
Aさんが配送から戻ってこないことに気づいた郵便局員が捜索願いを出したことで、京都府京丹後警察署が捜査を開始したところ、Aさんが市内の駐車場に車を停め、車内でくつろいでいるところを発見しました。
Aさんは京都府京丹後警察署横領罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※令和元年5月15日NHKNEWSWEB配信記事を基にしたフィクションです。)

・横領罪

横領罪は、刑法252条に規定されている犯罪です。

刑法252条(横領罪)
自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。

横領という言葉を聞くと、会社等のお金を自分の懐に入れるというイメージが強いかもしれませんが、条文を見ていただければお分かりいただける通り、横領罪の対象は「他人の物」であり、金銭に限定しているわけではありません。
そのため、例えば上記事例の車であったり、楽器や骨とう品といったものであっても、それが自己の占有する他人の物であれば、横領すれば横領罪となります。

先ほども触れた通り、横領罪の対象となる物については、「自己の占有する」「他人の物」とされています。
なお、横領罪の「物」には、不動産も含むとされています。
この「他人の物」とは言葉通り、自分以外の他の人の物であるということを指しますが、「自己の占有する」という部分が分かりにくいのではないかと思います。
そもそも横領罪での「占有」とは、物に対しての事実上または法律上の支配のある状態のことを指します。
つまり、「自己の占有する他人の物」とは、「自分が事実上又は法律上支配している他人の物」ということになります。
横領罪では、この「占有」がその物の所有者と横領を行った者との委託信任関係に基づく占有である必要があるとされています。

そして、「横領」とは、その委託物について「不法領得の意思を実現するすべての行為」を言うとされています(最判昭和28.12.25)。
「不法領得の意思」とは、「他人の物の占有者が委託の任務に背いてその物につき権限がないのに、所有者でなければできないような処分をする意思」であるとされています(最判昭和24.3.8)。

さて、今回のAさんは、配送業務に使用するために郵便局の車を預けられている状態です。
車はそもそも郵便局の物ですから横領罪の言う「他人の物」ということになるでしょう。
Aさんは配送業務をするためにその車を借り、鍵等も渡されていると考えられます。
こうしたことから、Aさんは郵便局から車の管理権限を委託されていたと考えられますから、車は「自己の有する他人の物」となります。
そしてAさんはその車を、委託された任務である配送業務には使わずに、私用で乗り回してしまっています。
私用で車を乗りまわすという行為は、Aさんに与えられた権限を超えていると考えられますし、所有者でなければできない行為でしょう。
ですから、Aさんは車を「横領」したと考えられ、そのためにAさんには横領罪が成立すると考えられるのです。

このように、横領罪1つとっても条文の中に分かりづらい言葉が紛れていたり、過去の判例からその意味や解釈を推し量っていかなければならなかったりします。
こうした作業ができるのが、専門知識のある弁護士です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を専門に扱う弁護士が、ご相談者様の悩みを解消すべく迅速に対応します。
京都府滋賀県横領事件にお困りの際は、弊所弁護士までご相談下さい。

次回の記事では、横領罪の中の種類と弁護活動について触れていきます。

不倫発覚から刑事事件~ほう助犯

2019-05-14

不倫発覚から刑事事件~ほう助犯

~前回からの流れ~
京都府向日市に住んでいるAさんは、ある日、夫のBさんと知人であるVさんが不倫していることを知りました。
Aさんは怒り心頭となって、Vさんを自宅に呼び出すと、「今回のことを許してほしいと思うなら払えるだけ慰謝料を支払え。そうでなければVさんの職場にでも近所にでも不倫のことをばらまいてそれ相応の代償を払ってもらうから」と言い放ちました。
Vさんが「今は手持ちのお金がない」と言ったところ、Aさんは「では車でATMまで連れて行くからそこでお金をおろして支払え」と言い、Vさんを車に乗せると近くのATMまで連れていき、そこでVさんに預金を引き出させ、慰謝料として300万円を支払わせました。
Aさんの夫であるBさんは、一連の出来事の最中ずっとAさんのそばにいましたが、Aさんの剣幕を見て、特に止めることもせずに黙ってみていました。
その後、Vさんが京都府向日町警察署に相談したことから、Aさんは恐喝罪監禁罪の容疑で逮捕されてしまいました。
そして、Bさんも恐喝罪監禁罪ほう助の容疑で話を聞かれることになりました。
(※この事例はフィクションです。)

・ほう助犯

前回までの記事では、Aさんを中心に恐喝・監禁事件を検討してきました。
今回の記事では、Bさんについて考えていきます。
Bさんは、恐喝罪と監禁罪のほう助犯として警察か取調べを受けていますが、そもそも「ほう助犯」とはどういったことを指すのでしょうか。

刑法62条
正犯を幇助した者は、従犯とする。

いわゆるほう助犯は、刑法62条のこの条文に当てはまる人のことを指します。
「幇助」は「ほうじょ」と読み、その意味は、(犯罪行為を)実行することを容易にする行為を言います。
つまり、ほう助犯と言われた場合、ある犯罪をする人を手助けして、その犯罪行為の実行を容易にした、という疑いが欠けられていることになります。
このほう助犯ほう助という行為については、物理的方法でも精神的方法でも構わないとされています。
物理的な方法でいえば、殺人をしようという人に対して凶器を渡すようなことが考えられます。
対して精神的な方法でいえば、犯罪をしようとする人に対して激励をするようなことが考えられます(なお、激励などによって犯罪をする意思を促進したり強固にしたりした場合にはほう助犯ということになりますが、犯罪をするつもりのない人に新たに犯罪をする意思を生じさせた場合にはほう助犯ではなく「教唆犯」となります。)。

ここで今回のBさんを考えてみましょう。
Bさんは、AさんのVさんに対する恐喝罪と監禁罪のほう助犯の容疑をかけられているようですが、Bさん自身はAさんに加勢したり、何か道具を準備したりということはしていないようです。
黙って見ていただけのBさんにも、ほう助犯は成立する可能性があるのでしょうか。

ほう助犯は、先ほど確認したように、正犯(犯罪を実行する本人)の犯罪実行行為を容易にすれば成立します。
今回のBさんの場合、Aさんの行為を止めずに黙って見ていることによってAさんが恐喝行為や監禁行為をすることを容易にしていると捉えることができます。
そのため、Bさんに恐喝罪と監禁罪のほう助犯が成立する可能性が出てくるのです。
このように、「何もしない」ということをすることでほう助と判断される可能性があることに注意が必要です。

ほう助犯となった場合、正犯の受ける可能性のある刑罰よりも軽い範囲で刑罰を受けることになります(刑法63条)。

・Bさんの注意点

今回のBさんは、ほう助犯として取調べを受けることになっていますが、ここで注意すべき点があります。
それは、もしも取調べで自分の認識と違う発言をしてしまったり、そういった認識なく誘導に乗ってしまったりした場合、不当に重い犯罪の容疑をかけられてしまう可能性があるということです。

先ほど触れたように、ほう助犯は正犯よりも受ける可能性のある刑罰が軽くなります。
しかし、ほう助犯ではなく共犯(ここでいう「共犯」とは、単に一緒に犯罪に関わったという意味の「共犯」ではなく、犯行の共謀をしたり実行を一緒にしたりといった「共犯」を指します。)であるとされてしまえば、犯行を実行した正犯と同じ範囲で刑罰を科される可能性が出てくるのです。
そうなれば、本来受けるべき刑罰よりも不当に重い刑罰を受けてしまう可能性が出てきてしまうのです。
例えば、実はAさんと共謀して恐喝行為や監禁行為をしていたのではないか、Aさんの恐喝・監禁行為にもっと積極的に加担していたのではないか、と疑われ、取調べでも聞かれるかもしれません。
そうした際、自分の思う主張の通りに供述を行えなければ、知らず知らずの間に冤罪をかけられてしまうかもしれないのです。

これは恐喝・監禁事件に限らず、刑事事件全般に言えることです。
だからこそ、ほう助犯などの容疑をかけられてしまったら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門弁護士までご相談ください。
取調べの対応の仕方から被害者の方への対応まで、刑事事件を専門に扱う弁護士が一貫してサポートを行います。
お問い合わせは0120-631-881までお電話ください。
京都府向日町警察署までの初回接見費用:3万7,200円)

不倫発覚から刑事事件~監禁罪

2019-05-13

不倫発覚から刑事事件~監禁罪

~前回からの流れ~
京都府向日市に住んでいるAさんは、ある日、夫のBさんと知人であるVさんが不倫していることを知りました。
Aさんは怒り心頭となって、Vさんを自宅に呼び出すと、「今回のことを許してほしいと思うなら払えるだけ慰謝料を支払え。そうでなければVさんの職場にでも近所にでも不倫のことをばらまいてそれ相応の代償を払ってもらうから」と言い放ちました。
Vさんが「今は手持ちのお金がない」と言ったところ、Aさんは「では車でATMまで連れて行くからそこでお金をおろして支払え」と言い、Vさんを車に乗せると近くのATMまで連れていき、そこでVさんに預金を引き出させ、慰謝料として300万円を支払わせました。
Aさんの夫であるBさんは、一連の出来事の最中ずっとAさんのそばにいましたが、Aさんの剣幕を見て、特に止めることもせずに黙ってみていました。
その後、Vさんが京都府向日町警察署に相談したことから、Aさんは恐喝罪監禁罪の容疑で逮捕されてしまいました。
そして、Bさんも恐喝罪監禁罪のほう助の容疑で話を聞かれることになりました。
(※この事例はフィクションです。)

・監禁罪

前回までの2つの記事では、Aさんにかかっている容疑の1つである恐喝罪という犯罪に着目しました。
今回の記事では、Aさんにかかっているもう1つの容疑である監禁罪という犯罪に注目していきます。

監禁罪は、刑法220条に規定されている犯罪です。

刑法220条(逮捕・監禁罪)
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

逮捕・監禁罪は、被害者の行動の自由を奪う行為をする犯罪であり、人の身体・行動の自由を守るための規定であると言えます。
このうち、今回注目する監禁罪は、この刑法220条の後段部分、「不法に人を」「監禁」することで成立します。
監禁罪に言う「監禁」とは、一般に、人の身体を場所的に拘束し、その行動の自由を奪うことを言います。
つまり、ある場所からその人が脱出することを不可能もしくは著しく困難にすることによって「監禁」したと言えるのです。

今回のAさんは、この監禁罪に問われていますが、事例の中で「監禁」という単語に結びつくシチュエーションがなかなか分かりづらいと感じる方も多いのではないでしょうか。
実は、監禁罪の言う「監禁」とは、部屋や建物の中への監禁だけに限りません。
たとえ脱出の方法があったとしても、社会通念上人が脱出するのに困難を感じるような方法で行動の自由を奪っていれば、監禁罪の「監禁」になります。
例えば、過去の事案には、自動車を疾走させて脱出困難としたことに監禁罪を認めた事案(最決昭和30.9.29)や、走る原付バイクから降りられないようにしたことを監禁罪と認めた事案(最決昭和38年4月18日)などがあります。
これらを考えた上でAさんの事案を見てみると、Aさんは不倫の慰謝料を支払わせるために、Vさんを車に乗せてATMまで連れて行っています。
車に乗せられて発進されてしまえば、車がどこかに停車しない限り、車内から脱出することは一般的に困難と言えるでしょう。
こうしたことから、Aさんには、Vさんを車内に監禁したという監禁罪が成立しうるということなのです。

なお、監禁罪の成立には、一般に被害者が「自分は監禁されている」と認識していなくてもよいと考えられています。
冒頭で触れたように、監禁罪は行動の自由を保護するための規定であると考えられているため、「自由に行動できない」という状況がある以上、被害者の現実的な認識は不要であると考えられているのです。

・恐喝罪と監禁罪

今回のAさんは、恐喝罪監禁罪の容疑をかけられていますが、仮にこの2つの犯罪が成立するとすれば、どれほどの刑罰を受ける可能性があるのでしょうか。
過去の事案では、恐喝罪監禁罪併合罪の関係にあるとされました(最判平成17年4月14日)。
併合罪とは、同一人物が起こした確定裁判を経ていない2つ以上の犯罪を処理する時の考え方です。
併合罪となった場合には、以下の刑法の規定にのっとって法定刑が決められます。

刑法47条
併合罪のうちの2個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とする。
ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。

今回の恐喝罪監禁罪の場合であれば、最も重い刑は恐喝罪の「10年以下の懲役」であるため、その2分の1を加え、「15年以下の懲役」が恐喝罪監禁罪が併合罪となった場合に受ける可能性のある刑罰の範囲となるのです。

恐喝罪監禁罪は、どちらも懲役刑のみの規定という、非常に重い犯罪です。
態様や被害状況によっては刑事裁判となる可能性も高い犯罪ですから、すぐにでも弁護士に相談し、より早く弁護活動やその準備にとりかかってもらうことがおすすめされます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、いつでも専門スタッフに繋がるフリーダイヤルをご用意しています(0120-631-881)。
まずはこちらまでお問い合わせください。
京都府向日町警察署までの初回接見費用:3万7,200円)

不倫発覚から刑事事件~恐喝罪②

2019-05-12

不倫発覚から刑事事件~恐喝罪②

~前回からの流れ~
京都府向日市に住んでいるAさんは、ある日、夫のBさんと知人であるVさんが不倫していることを知りました。
Aさんは怒り心頭となって、Vさんを自宅に呼び出すと、「今回のことを許してほしいと思うなら払えるだけ慰謝料を支払え。そうでなければVさんの職場にでも近所にでも不倫のことをばらまいてそれ相応の代償を払ってもらうから」と言い放ちました。
Vさんが「今は手持ちのお金がない」と言ったところ、Aさんは「では車でATMまで連れて行くからそこでお金をおろして支払え」と言い、Vさんを車に乗せると近くのATMまで連れていき、そこでVさんに預金を引き出させ、慰謝料として300万円を支払わせました。
Aさんの夫であるBさんは、一連の出来事の最中ずっとAさんのそばにいましたが、Aさんの剣幕を見て、特に止めることもせずに黙ってみていました。
その後、Vさんが京都府向日町警察署に相談したことから、Aさんは恐喝罪監禁罪の容疑で逮捕されてしまいました。
そして、Bさんも恐喝罪監禁罪のほう助の容疑で話を聞かれることになりました。
(※この事例はフィクションです。)

・不倫相手への慰謝料請求で恐喝罪?

前回の記事では、恐喝罪という犯罪について詳しく検討しました。
今回の記事では、Aさんが恐喝罪にあたるのかどうかについて考えていきます。

さて、今回のAさんですが、夫Bさんの不倫相手であるVさんに対し、慰謝料を請求しています。
ここで、「不倫相手に対して慰謝料を請求することは正当なことなのではないのか」とも思えます。
確かに、実際に不倫の事実があった場合には、不倫相手に対して慰謝料を請求できる場合があります。
しかし、問題はその請求等のやり方です。

過去の事案では、借金の取り立てについて恐喝罪の成否が争われたものがあります。
貸したお金を返してもらうことや、その催促をすることは正当な行為であるといえるでしょう。
しかし、その事案では、たとえ権利行使の手段として行った恐喝行為であったとしても、その権利の範囲内を超えた行為であったり、その権利行使の方法が社会通念上一般に認容すべきものと認められるべき程度を超えているような場合には、恐喝罪が成立するとされました(最判昭和30.10.14)。
つまり、不倫の慰謝料を請求するという正当な権利があったとしても、その方法次第では恐喝罪になってしまうおそれがあるのです。

今回のAさんの言動を具体的に見てみましょう。
Aさんは、「不倫を許されたければ慰謝料を払え。さもなくば職場や近所に不倫の事実を広める」という旨をVさんに伝えています。
職場や近所に不倫の事実を広められるということは、Vさんにとって自身の社会的評価を下げる可能性のあること=害を加えられることであるといえます。
ですから、Aさんは害悪の告知=脅迫という手段を用いてVさんに慰謝料=財物を要求していることになり、恐喝行為をしていることになります。
そしてAさんは、その脅し文句に基づき、Vさんから慰謝料として300万円を受け取っています。
不倫の事実を広めることを脅し文句に慰謝料を請求することは、社会通念上一般に認容すべきものとは言い難いでしょうから、Aさんには恐喝罪が成立する可能性が高いと考えられるのです。

京都府滋賀県刑事事件にお困りの際は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士までご相談ください。
不倫のトラブルが絡んだ刑事事件では、その性質上、なかなか他人には相談しづらいでしょう。
しかし、弁護士が相手であれば、相談内容が漏洩する心配もありませんし、専門知識に基づいて見通しやアドバイスをもらうことができます。
まずはお気軽にご相談ください。
京都府向日警察署までの初回接見費用:3万7,200円)

不倫発覚から刑事事件~恐喝罪①

2019-05-11

不倫発覚から刑事事件~恐喝罪①

京都府向日市に住んでいるAさんは、ある日、夫のBさんと知人であるVさんが不倫していることを知りました。
Aさんは怒り心頭となって、Vさんを自宅に呼び出すと、「今回のことを許してほしいと思うなら払えるだけ慰謝料を支払え。そうでなければVさんの職場にでも近所にでも不倫のことをばらまいてそれ相応の代償を払ってもらうから」と言い放ちました。
Vさんが「今は手持ちのお金がない」と言ったところ、Aさんは「では車でATMまで連れて行くからそこでお金をおろして支払え」と言い、Vさんを車に乗せると近くのATMまで連れていき、そこでVさんに預金を引き出させ、慰謝料として300万円を支払わせました。
Aさんの夫であるBさんは、一連の出来事の最中ずっとAさんのそばにいましたが、Aさんの剣幕を見て、特に止めることもせずに黙ってみていました。
その後、Vさんが京都府向日町警察署に相談したことから、Aさんは恐喝罪監禁罪の容疑で逮捕されてしまいました。
そして、Bさんも恐喝罪監禁罪のほう助の容疑で話を聞かれることになりました。
(※この事例はフィクションです。)

上記事例のように、不倫発覚からトラブルとなり、それが刑事事件となってしまった、というケースもまま見られます。
今回の記事から複数回、恐喝罪監禁罪の容疑で逮捕されてしまったAさんと、ほう助犯として取調べを受けているBさんのケースについて取り上げていきます。

・恐喝罪

まず、Aさんが容疑をかけられている犯罪の1つである恐喝罪について詳しく見ていきましょう。

刑法249条(恐喝罪)
人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

刑法を見てみると、恐喝罪については以上のように規定されています。
文面だけ見れば非常に短く単純なものではあるのですが、では具体的にどういったことが「恐喝」に当たるのかどうかということは、専門知識がなければ検討することは難しいです。
だからこそ、恐喝罪に限らず、犯罪の容疑をかけられた際には専門知識を有する弁護士に相談することが望ましいのですが、以下では簡単に恐喝罪の内容を説明します。

恐喝罪のいう「恐喝」とは、脅迫または暴行を用いて相手を畏怖させ、財物の交付を要求することを言います。
脅迫は害悪の告知(害悪を加えることの告知)、暴行は有形力の行使を言います。
この時、脅迫または暴行の程度が相手の犯行を抑圧しない程度であることが求められます(もしも相手の犯行を抑圧するほどの脅迫または暴行であった時には、恐喝罪ではなく強盗罪が成立することになります。)。
例えば、ナイフなどの凶器を手にして相手を脅迫し金銭を要求したような場合には、相手はそれに対して反抗することはできないと考えられますから、恐喝罪ではなく強盗罪が成立すると考えられます。

そして、恐喝して「財物を交付させた」とは、先述の恐喝行為によって畏怖した相手が処分行為をすることで、その財物の支配(占有)を得ることを言います。
つまり、恐喝罪が成立するには、恐喝行為と交付行為の間に因果関係がなければならないことになります。
例えば、恐喝行為を受けたものの、被害者が全く畏怖しておらず、逆に恐喝をしてきた者を憐れんで金銭を渡してやった、という場合には、恐喝行為と財物の受け渡しの間に因果関係がないことになりますから、恐喝罪は成立せず、恐喝未遂罪が成立するにとどまることになります。

なお、恐喝行為をしたものの、財物の交付まで達成されなかった場合には、恐喝未遂罪となります。
恐喝未遂罪となった場合には、「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる」という刑法43条の規定により、恐喝罪が成立した時よりも刑罰が減軽される可能性があります。

では、今回のAさんはこの恐喝罪にあたるのでしょうか。
次回の記事で詳しく当てはめていきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、恐喝事件の取り扱いももちろん行っています。
逮捕されてしまっている方にも安心して、かつ迅速にご相談いただけるように、初回接見サービスなどのお問い合わせを24時間365日いつでも受け付けています(0120-631-881)。
まずはお気軽にお電話ください。
京都府向日町警察署までの初回接見費用:3万7,200円)

改元詐欺事件で自首②

2019-04-18

改元詐欺事件で自首②

~前回からの流れ~
Aさんは、京都市伏見区に住んでいる高齢者Vさんの元を訪れ、「私はX銀行の銀行員です。改元される影響で、現在お使いのキャッシュカードが利用できなくなります。更新手続きを行いますので、いったんカードを預ります。更新手続きに必要になるので、暗証番号も教えてください」と言い、Vさんからキャッシュカードと暗証番号の情報を受け取りました。
しかし、Aさんは銀行員でもなんでもなく、改元に便乗してキャッシュカードをだまし取り、お金を手に入れようと実行に移しただけでした。
その後、AさんはVさんのキャッシュカードを利用してX銀行のATMでVさんの口座から現金を引き出したのですが、ニュースで改元詐欺が取り上げられているところを見て、自分も逮捕されたり刑務所に入ったりすることになるのではないかと怖くなりました。
そうであれば自首をして謝りたいと考えたAさんは、刑事事件に強い弁護士自首について相談することにしました。
(※平成31年4月11日NHK NEWS WEB配信記事を基にしたフィクションです。)

・自首

前回の記事では、改元詐欺について、そしてAさんに詐欺罪だけでなく窃盗罪も成立する可能性があることについて触れました。
Aさんは改元詐欺をしてしまい、自首を考えているようです。
今回の記事ではこの「自首」について触れていきます。

刑法42条1項
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

自首は、犯罪が発覚する前、もしくはその犯罪の犯人が誰であるのか発覚する前に犯人が自ら捜査機関に犯人であることを申し出ることを言います。
世間一般のイメージでは、何か犯罪をした人が自ら警察などの捜査機関に出頭することを自首であるとされているかもしれませんが、自首は犯罪自体かその犯罪の犯人(被疑者)が発覚する前に自発的に申告をしなければ成立しません。
上記条文の「捜査機関に発覚する前に」とはそういうことなのです。

ですから、例えばAさんの事例でいうと、すでにVさんが京都府伏見警察署に被害申告をしており、改元詐欺事件として捜査が始まっており、さらにAさんが被疑者として捜査線上に上がっていたような場合には、Aさんが自発的に警察署に出頭したとしても自首は成立しないということになります。
つまり、Aさんが自首を成立させるためには、改元詐欺事件が発覚する前に自ら出頭するか、改元詐欺事件の被疑者としてAさんが捜査線上に上がる前に出頭することが必要になるのです。

・自首のメリット

ではそもそも、自首が成立することによってどういったメリットがあるのでしょうか。
刑法の条文には、「その刑を減軽することができる」と書いてあります。
つまり、自首の成立によって、最終的に受ける刑罰が減軽されることが期待できるのです。
ただし、ここで注意しなければならないのは条文上は「することができる」という表現になっているため、自首が成立したからといって必ずしも刑罰の減軽に繋がるわけではないということです。
自首が成立するかどうかのタイミングや、自首後の対応の仕方、自首をしたという事情の主張を含め、弁護士に詳しく相談してみることがおすすめです。

また、自首のメリットはそれだけではありません。
自首をするということは、自ら罪を認めて捜査機関に申し出るということですから、逃亡するおそれや証拠隠滅をするおそれがないと主張する事情の1つとなります。
これにより、自首をしたということは逮捕や勾留といった身体拘束を避けるために有利に働くことが考えられるのです。

・自首にならない出頭はメリットがない?

では、先ほど触れたような、犯罪が発覚して被疑者として特定された後に自ら出頭するような、自首にはならない出頭にはメリットがないのでしょうか。
実は、自首が成立しなくとも、罪を認めて自ら申し出てきたという事情は、逃亡・証拠隠滅のおそれがないことを主張したり、情状酌量の余地がある旨を主張したりする事情となりえます。
ですから、「自首が成立しないならメリットはない」と決めつけず、まずは弁護士に手続きを含めて詳しい話を聞いてみることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士による初回無料の法律相談を行っています。
自首や出頭を考えているという方も、まずは弁護士の法律相談を受けることによって、その後の流れや見通しを把握しながら自首や出頭に臨むことができます。
弁護活動をご依頼いただいた場合には、弁護士に逐一助言をもらいながら対応していくことも、場合によっては弁護士と一緒に自首・出頭をしてもらうこともできます。
改元詐欺事件などの刑事事件自首や出頭を迷っている方は、遠慮なく弊所弁護士にご相談ください。
(お問い合わせ:0120-631-881

改元詐欺事件で自首①

2019-04-17

改元詐欺事件で自首①

Aさんは、京都市伏見区に住んでいる高齢者Vさんの元を訪れ、「私はX銀行の銀行員です。改元される影響で、現在お使いのキャッシュカードが利用できなくなります。更新手続きを行いますので、いったんカードをこちらで預ります。更新手続きに必要になるので、暗証番号も教えてください」と言い、Vさんからキャッシュカードと暗証番号の情報を受け取りました。
しかし、AさんはX銀行の銀行員というわけではなく、改元に便乗して嘘をついてキャッシュカードを騙し取り、お金を手に入れようと実行に移しただけでした。
その後、AさんはVさんのキャッシュカードを利用してX銀行のATMでVさんの口座から現金を引き出したのですが、ニュースで改元詐欺が取り上げられているところを見て、似たようなことをした自分も京都府伏見警察署に逮捕されたり刑務所に入ったりすることになるのではないかと怖くなりました。
そうであれば自首をして謝りたいと考えたAさんは、刑事事件に強い弁護士自首について相談することにしました。
(※平成31年4月11日NHK NEWS WEB配信記事を基にしたフィクションです。)

・改元詐欺

今年の5月から元号が改められ、改元されることになりますが、その改元に便乗した詐欺、いわゆる改元詐欺が広まっているようです。
改元詐欺では、上記の事例のAさんのように、改元によってカードや口座が利用できなくなる、改元の際には更新が必要だなどと言ってキャッシュカードやクレジットカード、通帳などをだまし取る手口が用いられることが多いようです。

改元詐欺は、刑法上の詐欺罪にあたる犯罪です。

刑法246条1項(詐欺罪)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

改元詐欺は、改元に便乗して嘘の情報で相手を騙し、騙されたことによって相手がキャッシュカード等を引き渡すという流れをたどりますから、詐欺罪が成立する要件を満たすことになると考えられるのです。

そして、今回のAさんの改元詐欺の流れの中で、AさんはVさんから騙し取ったキャッシュカードを利用して、Vさんの口座から現金を引き下ろしていますが、この行為についても犯罪が成立することが考えられます。
騙し取ったキャッシュカードを利用して現金を引き出した場合、銀行に対する窃盗罪が成立する可能性が出てきます。

刑法235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

銀行のATMに保管されている現金は、銀行が管理・支配しているものです。
窃盗罪は、他人が管理・支配しているものをその相手の意志に反して奪ってしまうという犯罪です。
今回のAさんのように、騙し取ったキャッシュカードを利用して預金を下ろす行為は、銀行の管理・支配するお金を不正に引き出す行為となります。
ですから、自分で改元詐欺をしてその騙し取ったキャッシュカードを利用して預金を引き出した場合に限らず、詐欺事件でいわゆる「出し子」をした場合にも、銀行に対する窃盗罪が成立する可能性があるのです。

改元詐欺は、全国的に被害が出始めている詐欺の手口です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、全国に13の支部展開を行っている刑事事件専門の法律事務所です。
改元詐欺事件の被疑者として捜査されることとなって不安を抱えている方、ご家族・ご友人が逮捕されてしまってお困りの方は、まずは弊所弁護士までご相談ください。
0120-631-881では、お近くの事務所やご相談者様に合った弊所弁護士によるサービスを24時間いつでもご案内しております。
京都府伏見警察署までの初回接見費用:3万6,800円)

試着したまま逃げたら窃盗罪?詐欺罪?④

2019-04-13

試着したまま逃げたら窃盗罪?詐欺罪?④

~前回からの流れ~
Aさんは、京都府木津川市の宝飾店を訪れた際、そこで販売されている指輪を試着することができるということを知りました。
そこでAさんは、指輪を試着したまま店から出て、指輪を自分の物にしてしまうことを思いつきました。
Aさんは、宝飾店の店員に100万円する指輪を試着したい旨を伝え、指輪を試着した上で、電話がかかってきたフリをして、「少し離れます、すぐ戻ります」と言って店員から距離を取りました。
そしてAさんは店員が離れていることをいいことに、指輪をつけたまま店外へ逃走しました。
店員がすぐに京都府木津警察署に通報したことから、Aさんは窃盗罪の容疑で逮捕されることとなりました。
(※平成31年4月1日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・Aさんの事例と窃盗罪・詐欺罪

では、Aさんの事例に戻りましょう。
事例ではAさんは窃盗罪の容疑で逮捕されてはいますが、Aさんは試着を装って指輪を付けたまま持ち逃げしていることから、今まで見てきた詐欺罪の、人を騙して財物を渡させる、という行為に当てはまるのではないでしょうか。

ここで、詐欺罪の成立に必要な条件とAさんの行動を照らし合わせてみましょう。
前回の記事でも触れたように、詐欺罪は①「人を欺」き、②それに基づいて相手が錯誤に陥り、③その錯誤に基づいて相手が処分行為をし、④それによって「財物」の占有が移転、⑤財産的損害が生じることによって成立します。

Aさんが本当は指輪を持ち逃げするつもりであるのに試着を装って店員に指輪の試着を申し出たことは、①の「人を欺」く行為と言えそうです。
指輪の持ち逃げという本当の理由を知っていれば、店員側も指輪の試着を許可しなかったと考えられます。
そして、店員はAさんの試着をしたいという理由を信じて=錯誤に陥っていますから、②の要件も満たすと考えられるでしょう。

問題になるのは次に続く③④です。
③は錯誤に基づいた処分行為、④は処分行為による財物の占有の移転、となるのですが、今回のAさんの事例では、指輪の試着の際、すぐそばに店員はついていたようです。
すぐそばに指輪を管理している店員がついている状況から、店員がAさんに指輪を引き渡し、その事実上の支配をAさんに移したとは考えにくく、すなわち、店員による処分行為がないと考えられるため、③④の要件を満たさないと考えられるのです。
Aさんは店員から少し離れる際に、電話がかかってきたフリをして距離を取っているようですが、この嘘は店員に指輪を引き渡させるように動機づけるためのものとは言えないでしょうし、これによって店員が指輪の事実上の支配をAさんへ渡したというわけでもありません。
実際に、店員と距離を取っていたとはいえAさんが店から逃げてすぐに店員が通報を行っていることからも、店員が全くAさんを気にしておらず、指輪の支配をAさんに渡してしまっていたということではなさそうですから、やはり詐欺罪に必要な①~⑤の要件を全て満たすことはなさそうです。

ではAさんに成立する犯罪は何かというと、逮捕容疑である窃盗罪が考えられます。
繰り返しになりますが、窃盗罪は相手の意思に反して財物の占有を自分に移してしまう犯罪です。
先ほど詐欺罪について検討した際に触れたように、指輪を占有していた店員はAさんに対して指輪の占有を移したわけではありません。
ですが、Aさんは勝手に指輪を持ち逃げ=指輪を自分の占有下に置いたのですから、窃盗罪が成立すると考えられるのです。

なお、では店員を騙して試着をして持ち逃げをする、というケースでは必ず詐欺罪ではなく窃盗罪となるのかというと、そうではないこともあります。
例えば、持ち逃げをするつもりで試着を頼み、別の店員に試着したものはすでに買い取っている、もともと自分の物だ、などと言って店を出て持ち逃げをしたような場合には、人を欺く行為や店員の処分行為が認められるとして詐欺罪になる可能性も考えられます。
つまり、似たようなケースであっても必ずしも詐欺罪が成立せずに窃盗罪になるとは限らず、事案の細かな点を突き合わせていく必要があるということです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門弁護士年中無休刑事事件のご相談を承っています。
窃盗事件で逮捕されてしまった方、詐欺事件の容疑をかけられてしまった方は、お問い合わせ用フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。
京都府木津警察署までの初回接見費用:3万8,900円)

試着したまま逃げたら窃盗罪?詐欺罪?③

2019-04-12

試着したまま逃げたら窃盗罪?詐欺罪?③

~前回からの流れ~
Aさんは、京都府木津川市の宝飾店を訪れた際、そこで販売されている指輪を試着することができるということを知りました。
そこでAさんは、指輪を試着したまま店から出て、指輪を自分の物にしてしまうことを思いつきました。
Aさんは、宝飾店の店員に100万円する指輪を試着したい旨を伝え、指輪を試着した上で、電話がかかってきたフリをして、「少し離れます、すぐ戻ります」と言って店員から距離を取りました。
そしてAさんは店員が離れていることをいいことに、指輪をつけたまま店外へ逃走しました。
店員がすぐに京都府木津警察署に通報したことから、Aさんは窃盗罪の容疑で逮捕されることとなりました。
(※平成31年4月1日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・窃盗罪と詐欺罪の違い

前回までの2回の記事で、窃盗罪詐欺罪がどういった犯罪であるのか詳しくみてきました。
では、この2つの犯罪は具体的にどういった部分が異なるのでしょうか。

窃盗罪詐欺罪の2つの犯罪の大きな違いは、財物の占有(事実上の支配)の移転の際、相手方の処分行為があるかないかという点です。
窃盗罪は、財物の占有者、つまり財物を事実上支配している人の意思によらずにその支配を自分の方へ移してしまう犯罪です。
それに対して、詐欺罪は、相手を騙して相手方の錯誤に基づいた処分行為によって財物の占有が移転しますから、財物の占有の移転に際して相手方の行為が挟まる形になります。
つまり、窃盗罪詐欺罪は財物の占有の移転の仕方に違いがあるということになります。
こうしたことから、窃盗罪が「奪取罪」、詐欺罪が「交付罪」と分類されています。

また、窃盗罪詐欺罪では、法定刑が全く違うことにも注意が必要です。
窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金ですが、詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役です。
窃盗罪であれば、略式罰金手続による正式裁判の回避も考えられるのですが、詐欺罪となると懲役刑しか規定されていませんから、詐欺罪で起訴される場合には、法廷に立って正式裁判を受けることになります。
100万円以下の罰金であれば、略式罰金手続という手続きに基づき、罰金の納付によって刑事事件を終息させることができますが、詐欺罪には罰金の規定がないため、この略式罰金手続を利用することはできないのです。
そして、詐欺罪で有罪となるということは、執行猶予がつかなければ刑務所へ入ることになります。
これらも、窃盗罪詐欺罪の大きな違いの1つと言えるでしょう。

なお、こうした刑罰の重さの違いもあることから、窃盗罪で処罰されるべきである事案で詐欺罪として処罰されるような事態は避けなければなりません。
成立する犯罪が窃盗罪なのか詐欺罪なのかという事案では、特に慎重に検討しなければなりません。
しかし、刑事事件の知識・経験がない一般の方のみでこうした検討をすることは困難ですし、そもそも事案を聞いて「もしかしたら成立すべきは詐欺罪ではなく窃盗罪の方なのではないか」と思うことすら難しいのが現実でしょう。
だからこそ、窃盗事件や詐欺事件に関わらず刑事事件の容疑をかけられてしまったら、すぐに弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談することで、自分たちだけでは気づけなかった可能性に気づけたり、判断できなかった見通しが見えたりする可能性も出てきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回無料の法律相談も行っています。
初回無料だからこそ、お気軽にご利用いただけます。
逮捕・勾留された方向けの初回接見サービスでも、当事者ご本人と弁護士が直接話すことができます。
まずはフリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。
京都府木津警察署までの初回接見費用:3万8,900円)

« Older Entries