Archive for the ‘財産事件’ Category

少年の万引き事件で不処分を目指す

2019-11-18

少年の万引き事件で不処分を目指す

少年の万引き事件不処分を目指す弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府舞鶴市に住むAさんは、高校2年生の17歳です。
Aさんは普段は校則などの規則もきちんと守る生徒でしたが、ある日、Aさんは勉強がうまく進まないストレスから自棄になり、近所のスーパーで500円相当の菓子を万引きしてしまいました。
その万引きをスーパーの従業員が目撃しており、Aさんは店の外に出た段階で従業員に声をかけられました。
通報を受けた京都府舞鶴警察署の警察官が臨場し、Aさんは京都府舞鶴警察署で話を聞かれた後、両親が迎えに来ることで帰宅を許されました。
Aさんの両親は普段真面目に過ごしていたAさんが窃盗事件を起こしたことに驚きましたが、Aさんは自分のしてしまったことに大変反省していました。
そこでAさんの両親は、Aさんと一緒に、少年事件に強いという弁護士に今後の対応を聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・少年事件の処分

今回のAさんが行ってしまった万引きは、刑法の窃盗罪にあたる行為です。

刑法235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

ただし、今回のAさんのような20歳未満の者が犯罪をした場合は、通常の刑事事件の手続きではなく少年事件の手続きにのっとって処分が決められることになります。
少年事件の手続きでは、原則として刑罰を科されることはありません。
ですから、例外的に行われる「逆送」という手続きが取られて起訴されない限り、Aさんも「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」という刑罰を受けることはなく、したがって前科もつかないということになります。

では少年事件として処理されれば、成人の刑事事件よりも「軽い」処分となってしまうのではないか、と思う方もいるかもしれません。
しかし、ここで注目しなければならないのは、少年事件の手続きが少年の更生を重視しているということです。
少年事件で少年が受ける処分は、少年の更生のためにそれが一番適切だと判断された処分です。
よくイメージされる少年院への送致や児童自立支援施設への送致、保護観察といった処分は全て少年の更生のための処分であり、保護処分と呼ばれています。
これらの処分のどの処分がその少年の更生のために適当かを専門家が調べるために、少年事件は原則として全ての事件が家庭裁判所に送致されます。
つまり、少年事件では、成人の刑事事件で検察官が下す「起訴猶予」にあたる処分がないのです。
例えば、成人の刑事事件であれば示談をして不起訴(起訴猶予)になる可能性の高い事件であっても、少年事件の場合は原則として検察官から家庭裁判所に事件が送致されることになります。
これは、少年事件の手続きは少年の更生に重きを置いているために、少年事件のプロ=家庭裁判所の調査・審判にゆだねた方が少年の更生にとって適切な判断ができるということによります。

さらに、先述の通り、少年事件の手続きで少年の更生を重視しているために、処分の内容もその更生のために何が必要かによって決められます。
すなわち、極端な例ではありますが、少年の資質や環境によっては、数百円の万引き事件でも少年院に行く可能性もあるということになります。

・万引き事件で不処分を目指す

今まで見てきたように、少年事件では家庭裁判所に事件が送致され、そこで調査・審判を経て少年の処分が決まります。
審判の結果には前述したような少年院送致や保護観察といった保護処分を受けるものもありますが、そうした処分が不要な場合は「不処分」、つまり何の処分も受けなくてよいという結果が出ることもあります。

不処分となった場合、それ以降で何か時間を割く必要もなくなりますし、施設に収容されることもありません。
しかし、少年の更生を重視する少年事件の手続きで不処分と判断されるということは、少年の更生にとって特に処分が必要ない=このままの環境で少年の更生が可能であると判断されるということであり、非常に難しいことです。
不処分を目指すためには、少年本人だけでなく、ご家族等周囲の人も一緒に協力しながら、少年の更生に十分な環境を作っていく必要があります。
その環境づくりには、少年事件に強い弁護士のサポートを受けることがおすすめです。

例えば、今回のAさんの事例では、被害店舗への謝罪・弁償だけでなく、自分の万引き行為が被害店舗へどのような被害を与えてしまったのか等を弁護士とともに考えていくことによって、Aさん自身の内省を深めていくことが考えられます。
また、Aさんはストレスに耐え兼ねて万引きをしてしまったようですが、今後そういった状況になってしまった時、自分自身が同じことをしないためにどうするべきなのか、周囲の家族はどのような態勢をとれるのか、第三者的立場にいて専門知識のある弁護士と一緒に考えることで、今まで思いつかなかった問題点・改善点が見えやすくなることが期待できます。
このような環境づくり・対策を整え、さらに弁護士がそれらを証拠化して主張していくことで、不処分を目指していくことが考えられるでしょう。

もちろん、弁護活動・付添人活動は少年事件によって千差万別です。
京都府少年事件にお悩みの方は、まずは遠慮なく、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部までご相談ください。

京丹後市で居直り強盗事件

2019-11-08

京丹後市で居直り強盗事件

京丹後市居直り強盗事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

【事件】

Aさんは京都府京丹後市にあるVさん宅に侵入し,金品を盗もうと物色していました。
Vさんの通帳を発見したAさんがこれを盗もうと思ったところ,在宅していたVさんに発見され,焦ったAさんは抵抗する意思を見せなくなるまで所持していたスパナでVさんを数回殴打し,Vさんに全治2か月のけがを負わせました。
そのまま通帳を持って逃走したAさんでしたが,後日,京都府京丹後警察署強盗致傷罪住居侵入罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)

【居直り強盗】

居直り強盗とは,初めは空き巣など窃盗のつもりで盗みに入った者が家人などに見とがめられ,急に態度を豹変させ強盗となることをいいます。
Aさんのように空き巣から強盗になった場合,住居侵入罪強盗罪あるいは強盗致傷罪などに問われる可能性があります。

【住居侵入罪】

正当な理由がないのに,人の住居もしくは人の看守する邸宅,建造物もしくは艦船に侵入した場合には住居侵入罪(刑法第130条前段)が成立します。
この罪の法定刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。
また,住居侵入罪は未遂も処罰されます(刑法第132条)。

住居侵入罪の条文にある「住居」とは,人の起臥寝食に使用される場所を指します。
一方,「邸宅」とは,住居用に作られた建造物とこれに付随する囲繞地(塀や柵などで囲まれている土地)のことです。
そして「人の看守する」とは,管理人や監視人がいたり,鍵がかけられているなど,現実に人が支配・管理している状況にあるという意味です。

また,住居侵入罪の「侵入」とは,住居権者またはその委任を受けた看守者等の推定的意思を含む意思に反して,住居等の領域に立ち入ることと理解されています。
違法な目的を隠しての住居権者等の承諾を得た場合も,真意に基づく承諾ではないため本罪の成立が認められています。

AさんがVさん宅に立ち入ったことについてVさんの承諾はありませんので,Aさんの侵入行為は住居侵入罪に当たる可能性が非常に高いです。

【強盗致傷罪】

AさんはスパナでVさんを殴打しけがを負わせたうえでVさんの通帳を持ち去っています。
ここで,強盗行為について定めた刑法の条文を見てみましょう。

刑法第236条第1項(強盗罪)
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は,強盗の罪とし,5年以上の有期懲役に処する。

刑法第240条(強盗致死傷罪)
強盗が,人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し,死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

Vさんに見つかっても暴行や脅迫がなければ通常の空き巣と同様に窃盗罪(刑法第235条)となる可能性が高いですが,今回のケースでは強盗致傷罪の適用が考えられます。
強盗致傷罪は強盗の機会に相手に傷害を加えることで成立します。
よってAさんの行為が強盗に当たるかがまず問題となります。

強盗罪が成立するためには手段として暴行・脅迫がなければなりません。
また,その暴行・脅迫は反抗を抑圧するに足りる程度の強さのものでなければなりません。
これは,暴行罪(刑法第208条)に規定されている暴行が,端的に人に向けられた有形力(物理力)であればよいとされているのに比べて,それが客観的に見て反抗を抑圧する程度のものであると認められる必要があることを意味します(最判昭和24年2月8日刑集3巻2号75頁)。

また,暴行・脅迫は,財物を奪うための手段として行われる必要があります
そのため,暴行・脅迫によって相手の反抗が抑圧された後に財物奪取の意思が生じたような場合には強盗罪とはなりません(大判昭和8年7月17日刑集12巻1314頁)。
ただし,財物奪取の意思を生じた後に新たに反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫があったことが認められれば強盗罪に問われる可能性があります。

そして,暴行・脅迫の相手方は必ずしも財物の所有者に限られません
例えば,過去の判例の中には,留守番をしていた10歳の子供に対して暴行・脅迫を加えて財物を奪取したときであっても強盗罪が成立するとされた事例があります(最判昭和22年11月26日刑集1巻1号28頁)。

加えて,「強取」とは,暴行・脅迫によって相手方の反抗を抑圧し,財物の占有を移転することを意味します。
ここでの占有とは,財物に対する事実上の支配状況のことで,他者の管理の及んでいる状態(例えば,鍵付きの金庫に保管してある状態やすぐ手の届く場所に置いてある状態にあるなど)があれば占有があると認められる場合が多いです。

さらに,相手方の反抗が抑圧されなかった場合について,財物を取得することができなかった場合は強盗未遂罪に問われる可能性があります。
暴行・脅迫を行ったものの被害者の反抗は抑圧されてはおらず任意に財物を差し出した場合について,学説上の争いはありますが,判例によれば強盗罪の既遂が認められるようです(最判昭和24年2月8日刑集3巻2号75頁)。
AさんはVさんが反抗の姿勢を見せなくなるまでスパナで殴打していますので,強盗罪が要求している強度の暴行の存在が認められます。
また,Aさんの暴行行為がVさんの通帳を盗むためだということが立証されれば強盗致傷罪の成立が認められることになると考えられます。

【居直り強盗事件の弁護方針】

まず,Aさんのように逮捕・勾留されている場合,逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがないことを示して早期の身体拘束状態からの解放を目指すことが考えられます。
Aさんが釈放されても逃亡や証拠隠滅をするリスクがない環境を整えたり,Aさんが釈放されなければ困る事情を訴えたりして,釈放を求めることになるでしょう。

また,被害者と示談をまとめることによって,不起訴や執行猶予を得られる可能性を高めることができます。
刑事事件に強い弁護士に事件を依頼することで,より円滑に示談交渉を進められることが期待できます。
示談締結ができれば,前述した釈放を求める活動でも有利に働くことが考えられます。

具体的な事件の内容に応じて,弁護士は依頼者と相談しながら弁護活動を展開していくことになります。

空き巣や,居直り強盗による強盗事件強盗致傷事件の被疑者となってしまった方,ご家族やご友人が京都府京丹後警察署に逮捕されてしまってお困りの方は,お早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

強盗致傷事件で示談交渉

2019-10-19

強盗致傷事件で示談交渉

強盗致傷事件とその示談交渉について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~
Aさんは,京都市右京区にある中古車販売の事務所に侵入し,経営者のVさんを刃物で刺して現金約100万円を奪いました。
Vさんは,刃物で刺されたことにより,全治1カ月のけがを負いました。
Vさんが通報したことで,京都府右京警察署の警察官が駆け付け,Aさんは強盗致傷罪の容疑で京都府右京警察署の警察官に逮捕されました。
(フィクションです。)

~強盗致傷罪~

強盗犯人が人を負傷させた場合には,強盗致傷罪(刑法240条前段)が成立し,無期又は6年以上の有期懲役が科せられます。

刑法240条
強盗が,人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し,死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

強盗致傷罪の条文を見ていただければわかる通り,強盗致傷罪が成立するためには「強盗が,人を負傷させた」と認められることが必要です。
しかし,「強盗が,人を負傷させた」に当てはまるかどうかは,単に強盗罪を犯した人が誰かに怪我をさせたかどうかということだけで判断できません。
怪我の結果がいかなる行為から発生した場合に強盗致傷罪が成立するかというと,判例では,強盗の機会に結果が生じた場合に強盗致傷罪が成立するとしています(大判昭和6年10月29日)。
つまり,強盗罪を犯した人が強盗行為とは離れたところで人に怪我をさせたとしても強盗致傷罪とはならず,強盗をしたその機会に人に怪我をさせたような場合にのみ強盗致傷罪となるということです。

また,強盗致傷罪が成立するために,どの程度の傷害結果が発生する必要があるかについても争いがあります。
判例は,傷害における傷害と同程度で足りるとしています(大判大正11年12月22日)。
傷害罪における傷害とは,人の生理的機能に障害を加えることであるとされています。
例えば,骨折してしまったりどこかから出血させてしまったりといったわかりやすい怪我はもちろんのこと,気絶させてしまうことで意識障害を引き起こしたり,PTSDを引き起こしたりすることも傷害であるとされています。

今回のAさんは,Vさんを刃物で刺すという暴行を加え,Vさんが反抗できないようにして現金約100万円を奪っているので,強盗犯人です。
そして,Aさんの強盗行為の際に行われた暴行行為そのものによってVさんが怪我をしているので,Aさんには強盗致傷罪が成立すると考えられます。

~建造物侵入罪~

先ほど触れた強盗致傷罪に加え,今回のAさんは中古車販売の事務所に侵入しているので,建造物侵入罪も成立します。
強盗致傷罪と建造物侵入罪は,目的手段の関係に立ちます。
つまり,強盗致傷行為をするために建造物侵入行為をしているという関係になります。
複数の犯罪をしてしまった際にその犯罪がこういった目的手段の関係になるときには「牽連犯」という考え方によって処断されることとなり,重い強盗致傷罪で処断されることになります(刑法54条1項後段)。

~強盗致傷事件と示談交渉~

強盗致傷罪が成立することに争いがない場合,弁護士を通じで早期に被害者の方に対する謝罪や被害弁償,示談交渉を進めることが重要です。
すでに警察が介入している事案であっても,前科前歴や犯行の態様,被害の大きさなどの事情によっては,被害者と示談をすることで早期の釈放や不起訴処分を獲得することができる可能性もあります。
早期の釈放や不起訴処分の獲得により,職場復帰や社会復帰をスムーズに行いやすくなります。
不起訴とならなくとも,被害者への謝罪や弁償が行われ示談が締結できていれば,刑罰を判断する際に有利に考慮してもらえる材料とすることができます。

ただし,強盗致傷事件は先ほど触れたように非常に重い刑罰が定められている犯罪ですから,逮捕されてしまい,身体拘束されてしまうことが多いです。
そうなれば,自分自身で謝罪等を行い示談交渉することはできません。
さらに,強盗致傷事件の被害者の方の中には,強盗致傷事件の加害者へ恐怖を感じている方も多く,被疑者本人やその周囲の人と直接やり取りをすることや自分の情報を伝えることを望まない方も多いです。
だからこそ,弁護士示談交渉を依頼するメリットがあるといえるでしょう。

強盗致傷罪で家族,友人が逮捕された,今後が不安という方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士へご相談ください。
弊所は刑事事件専門の法律事務所です。
逮捕直後からスピーディーに活動に移れるよう,0120-631-881でいつでもお問い合わせを受け付けております。
まずはお気軽にお問い合わせください。

詐欺事件と窃盗事件で逮捕

2019-10-17

詐欺事件と窃盗事件で逮捕

詐欺事件窃盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~
Aさんは、京都府宇治市に住む高齢者Vさん宅を訪れ、X銀行の職員を装って「キャッシュカードの切り替えが必要です。切り替えのためには今まで使っていたキャッシュカードと暗証番号を預けてください」と伝え、Vさんからキャッシュカードを受け取り、暗証番号を教えてもらいました。
そしてAさんは、Vさんのキャッシュカードを使ってX銀行のATMからVさんの預金を引き出しました。
後日、VさんがX銀行に問い合わせたことでAさんの行為が発覚し、Vさんは京都府宇治警察署に被害を届け出ました。
京都府宇治警察署の捜査の結果、Aさんは詐欺罪窃盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、自分のした行為によって詐欺罪が成立することはなんとなく理解していましたが、まさか窃盗罪まで成立するとは思いもよらず、家族の依頼で接見に訪れた弁護士に相談することにしました。
(※令和元年10月15日朝日新聞DIGITAL配信記事を基にしたフィクションです。)

・詐欺事件と窃盗事件

今回のAさんの行為が詐欺罪にあたることには疑いがないでしょう。

刑法246条
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪は、簡単に言えば、財物を引き渡させるために相手をだます行為をして、それによってだまされた相手が財物を引き渡すことで成立します。
そして、このだます行為=「人を欺」く行為は、相手が財物を引き渡す際の判断に重要な事項を偽ることであるといわれています。
つまり、その事実が嘘であるなら財物を引き渡さなかった、と考えられる事実について嘘をつくことが「人を欺」く行為であるとされているのです。

今回のAさんで言えば、AさんはX銀行の職員を装ってキャッシュカードの切り替えが必要であるとVさんに伝えています。
VさんはAさんが本物のX銀行の職員であり、キャッシュカードの切り替えが必要なのであると信じてキャッシュカードを渡しているのであって、Aさんが偽物のX銀行の職員であり、キャッシュカードの切り替えの話が嘘であると知っていればキャッシュカードを渡すことはなかったでしょう。
ですから、AさんがX銀行の職員を装ってキャッシュカードの切り替えが必要であるとVさんに伝えた行為は、詐欺罪の「人を欺」く行為にあたるのです。
さらに、今回のVさんはAさんの「人を欺」く行為によってだまされ、キャッシュカードという財物をAさんに引き渡しています。
ですから、Aさんは詐欺罪にあたると考えられます。

ここまでは、詐欺罪について詳しく知らなくともなんとなく予想のつくことではないでしょうか。
しかし、Aさんにはこの詐欺罪だけでなく、窃盗罪の容疑もかけられて逮捕されています。
それはなぜなのでしょうか。

実は、AさんがVさんのキャッシュカードを利用して、X銀行のATMから預金を引き出した行為については、銀行に対する窃盗罪が成立する可能性があるのです。

刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

詐欺行為をしているのになぜ窃盗罪が出てきて、どうして銀行が被害者となる窃盗罪なのでしょうか。

まず、ATMなどにある預金は、銀行が管理・支配をしているお金です。
通常、その預金を引き出すのは、その銀行に預金をしている預金者本人や、その預金者の同意を得た人であり、その人たちは銀行の管理・支配するお金を引き出す正当な権利に基づいてお金を引き出しているといえるでしょう。

しかし、今回のAさんのケースでは、AさんはVさんからだまし取ったキャッシュカードを用いて、Vさんの同意のないままに預金を引き出していることになります。
つまり、Aさんは銀行の管理・支配するお金を正当な権利のないまま、銀行の管理・支配するお金を自分の物としてしまっているのです。
窃盗罪は、簡単に言えば、他人の管理・支配している物を管理・支配している人の意思に反して自分の物としてしまう犯罪ですから、Aさんの一連の行為がこの窃盗罪に当てはまる可能性が出てくるというわけなのです。

特に今回のケースのようなキャッシュカードをだまし取る形態の詐欺事件では、このように詐欺罪だけでなく窃盗罪の成立も考えられることが多々あります。
どういった犯罪が成立しうるのか、どれほどの重さとなるのか、弁護士に相談し、今後の活動方針を決定することをお勧めいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、詐欺事件窃盗事件やその逮捕のご相談も受け付けています。
まずはお気軽に、弊所弁護士までご相談ください。

窃盗罪の逮捕からの釈放

2019-09-17

窃盗罪の逮捕からの釈放

京都市東山区在住のAさんは,近所にある牛丼店で,牛丼を持ち帰りで注文し,1万円札で支払いました。
Aさんは,店員が釣りの用意でレジを離れた際,カウンターに残された1万円札を持ち去りました。
店員が通報し,Aさんは,窃盗罪の容疑で京都市東山区を管轄する京都府東山警察署の警察官に逮捕されました。
(フィクションです。)

~窃盗罪~

人の財物を盗んだ(窃取した)者には,窃盗罪(刑法235条)が成立します。
その場合,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑が科せられます。

刑法235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

条文にある通り,窃盗罪は他人の財物を窃取した場合に成立します。
「窃取」とは,他人の占有している財物の占有を侵害し,その占有を自分又は第三者に移転することをいいます。
簡単に言えば,他人が支配・管理している物を,その支配・管理をしている人の意思に反して支配・管理を破って奪い,自分又は第三者の支配・管理のもとに置くことを指します。
この時に暴行や脅迫を手段として財物を奪った場合には窃盗罪ではなく強盗罪が成立する可能性が出てきます。

さて,今回のケースについて考えてみましょう。
1万円札は,Aさんが牛丼の代金として牛丼店に支払ったものであり,その占有=管理・支配は牛丼店にあったといえます。
Aさんはその1万円を牛丼店の意思に反して無断で持ち去っているわけですから,1万円札を窃取したものといえ,Aさんには牛丼店に対する窃盗罪が成立する可能性が高いでしょう。

~窃盗事件で釈放を目指す弁護活動~

窃盗罪逮捕され,刑事事件化し,身体拘束が続く可能性がある場合には,弁護士に依頼して釈放のために活動してもらうのがよいでしょう。
弁護士は,早期の釈放に向けて活動をしていくことができます。
逮捕直後であれば,検察官や裁判所に対し,勾留の必要性がないことを主張することができます。
例えば,被疑者が反省していること,家族の監督が期待できること,被疑者が職場で責任ある立場にあること,被疑者に扶養家族がいること,被害者と示談が成立しそうであることなどの事情があれば,こうした事情を利用して釈放を求めていくことが考えられます。

特にその中でも,窃盗罪の成立に争いがない場合,弁護士を通じて早期に被害者の方に対する被害弁償や示談交渉を進めることが重要です。
窃盗事件の被害届が提出される前に示談が成立した場合,刑事事件化を回避できますし,刑事事件化した後であっても不起訴処分によって早期の職場復帰や社会復帰を実現できる可能性が高くなります。
裁判が始まった後の示談であっても,執行猶予付き判決や減刑など効果があります。
さらに,今回のように逮捕されている場合であっても,示談により被害感情のおさまりや被疑者本人の逃亡・証拠隠滅の意思のないことを表すことができ,釈放を実現するための大きな一歩となり得ます。
いずれにせよ,なるべく弁護士に相談し,示談をして解決するのが望ましいといえます。
ただし,今回のケースのように示談交渉の相手方がお店であるような場合には,そもそも示談交渉をしてもらえないということも少なくありません。
だからこそ弁護士に相談し,示談交渉に取り掛かってもらうと同時に,示談ができなかった場合に備えての活動も行ってもらいましょう。

0120-631-881では,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士による初回接見サービスや初回無料法律相談のお問い合わせを365日24時間いつでも受け付けております。
窃盗事件逮捕されてしまってお困りの方,刑事事件釈放を目指したいという方は,弊所弁護士まで一度ご相談ください。

詐欺のような窃盗事件?②

2019-09-05

詐欺のような窃盗事件?②

前回からの流れ~
Aさんは、京都市左京区に住んでいるVさん(84歳)の家を銀行員を装って訪ね、「銀行の者ですが、現在キャッシュカードの悪用が相次いでいるので、システムの変更が必要となりました。それまでキャッシュカードを使用せずに厳重に保管してもらいたいのです」などと言って、Vさんにキャッシュカードを封筒に入れさせ封をさせました。
そして、「開けていないという証拠のために封の部分に印鑑を押してもらいたいので取ってきてください」などと言ってVさんにいったん席を外させ、その隙に偽物のカード状のものが入った別の封筒とVさんのキャッシュカードの入った封筒をすり替えました。
さらにVさんに「システムの変更に必要です」と言ってキャッシュカードの暗証番号を聞き出し、「2週間程度でシステム変更のお知らせをしますので、それまでカードはこのまま封筒に入れておいて使わないでください」と言ってVさん宅を後にしました。
後日、いつまでたっても連絡がこないと不審に思ったVさんが封筒を確認すると、偽物のカードが入っていたため、京都府下鴨警察署に通報。
捜査の結果、Aさんは窃盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※令和元年9月2日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・詐欺のような窃盗事件?

前回の記事では、今回のAさんのケースにかかわりがあると考えられる2つの犯罪、窃盗罪詐欺罪を取り上げました。
今回の記事では、具体的にAさんのケースがなぜ窃盗罪に問われたのか、検討していきます。

前回の記事でも取り上げたように、窃盗罪詐欺罪はそれぞれ刑法に規定されている犯罪です。

刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法246条
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

窃盗罪詐欺罪は、どちらも財産に対する犯罪ですが、窃盗罪は相手の意思に反して物を自分の管理・支配下におくことで成立し、詐欺罪は相手をだますことで相手の意思で財物を引き渡させることで成立する点に違いがあります。
この点を頭に置きながら、今回のAさんのケースを見てみましょう。

Aさんは、たしかにVさんに銀行員を装ってシステム変更のためにキャッシュカードの保管と暗証番号が必要だという嘘をつき、Vさんをだましています。
ここだけ見ると、人をだましているのだから詐欺罪のようにも思えますが、AさんはVさんにキャッシュカードを引き渡させているのではなく、Vさんが印鑑を取りに行っている間にカードの入った封筒をすり替えることでキャッシュカードを取っています。
つまり、Aさんのケースでは、AさんはVさんのことをだましてはいますが、キャッシュカードをVさんの意思で「交付させ」ているのではなく、Vさんの意思に反して奪い取ってしまったということになります。
ですから、Aさんには詐欺罪ではなく窃盗罪が成立すると考えられるのです。

・詐欺のような窃盗事件の量刑

窃盗罪詐欺罪では、その刑罰に罰金刑のみの規定がある分、窃盗罪の方が軽い刑罰の定められている犯罪であるといえます。
詐欺罪の場合、刑罰として定められているのが懲役刑のみですから、罰金刑のみで処罰する規定がない=起訴されるということは必ず正式な刑事裁判を受けることになり、そこで有罪となれば執行猶予が付かない限り刑務所へ行くことになるのです。

では、詐欺罪で起訴されれば必ず刑事裁判になるのであれば、詐欺罪にならないように、Aさんのような詐欺のような窃盗事件を起こせば軽い処分で済むのでしょうか。
たしかに、窃盗罪は先ほど触れたように罰金刑のみで処罰することが可能であり、万引きなどの軽微な窃盗事件では、事件にもよりますが不起訴処分や略式罰金(罰金を支払うことで事件を終了させる手続き)となる場合も多いです。

しかし、窃盗罪であれば必ず不起訴や罰金刑で終了するわけではありません。
条文にもある通り、窃盗罪にも懲役刑は規定されており、個々の窃盗事件の被害額や犯行態様といった様々な事情を考慮して科せられる刑罰が決められます。
特に今回のような、詐欺に近い手段を用いての窃盗事件では、より悪質な犯行態様であるとみなされ、窃盗罪の中でも重く、詐欺罪に近い量刑で判断されることも十分考えられます。
ですから、成立する罪名が窃盗罪だからと言って軽く考えることはせず、まずは弁護士に相談することが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕・勾留された方向けの初回接見サービスや、在宅捜査を受けている方向けの初回無料法律相談を実施しています。
詐欺事件窃盗事件にお困りの際は、遠慮なく0120-631-881までお問い合わせください。

詐欺のような窃盗事件?①

2019-09-03

詐欺のような窃盗事件?①

Aさんは、京都市左京区に住んでいるVさん(84歳)の家を銀行員を装って訪ね、「銀行の者ですが、現在キャッシュカードの悪用が相次いでいるので、システムの変更が必要となりました。それまでキャッシュカードを使用せずに厳重に保管してもらいたいのです」などと言って、Vさんにキャッシュカードを封筒に入れさせ封をさせました。
そして、「開けていないという証拠のために封の部分に印鑑を押してもらいたいので取ってきてください」などと言ってVさんにいったん席を外させ、その隙に偽物のカード状のものが入った別の封筒とVさんのキャッシュカードの入った封筒をすり替えました。
さらにVさんに「システムの変更に必要です」と言ってキャッシュカードの暗証番号を聞き出し、「2週間程度でシステム変更のお知らせをしますので、それまでカードはこのまま封筒に入れておいて使わないでください」と言ってVさん宅を後にしました。
後日、いつまでたっても連絡がこないと不審に思ったVさんが封筒を確認すると、偽物のカードが入っていたため、京都府下鴨警察署に通報。
捜査の結果、Aさんは窃盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※令和元年9月2日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・窃盗罪

まずは今回のAさんの逮捕容疑である窃盗罪がどういった犯罪が確認してみましょう。
皆さんがご存知のように、窃盗罪は誰かの物を盗むことで成立し、身近なところでは万引きや置引き、ひったくり(例外あり)などが代表的な窃盗罪にあたる行為として挙げられます。

刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は、その物を占有している人=その物を管理・支配している人の意思に反してその物を奪取=奪う犯罪です。
こうしたことから窃盗罪は「奪取罪」というくくりでくくられたりもします。
ここでポイントとなるのは、窃盗罪はその物の占有者の意思に反してその物を自分の管理・支配下においてしまうことで成立するのだということです。

・詐欺罪

今回のAさんの事例を見て、「Vさんをだましてキャッシュカードを取っているのに窃盗罪で逮捕されているのはなぜなのだろう」「窃盗罪ではなく詐欺罪なのではないか」と不思議に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
では、そもそも詐欺罪とはどういった犯罪なのでしょうか。
こちらも確認してみましょう。

刑法246条
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

つまり、詐欺罪の成立には、「人を欺」き、さらに「財物を交付させ」ることが必要とされます。
「人を欺」くとは、大まかに言えば人をだますことではありますが、この行為は「財物を交付させ」るために行われている必要があります。
単純に嘘をついただけ、人をだましただけでは詐欺罪にはなりません。
そして「財物を交付させ」るとは、簡単に言えば財物を引き渡させるということです。
すなわち、詐欺罪の場合、窃盗罪のようにその物の占有者の意思に反して物を奪い取る犯罪ではなく、相手をだますことで相手の意思でこちらに物を受け渡させる=交付させる犯罪なのです。
こうした点が窃盗罪詐欺罪の異なる点の1つであり、窃盗罪が「奪取罪」というくくりに入るのに対し、詐欺罪が「交付罪」というくくりに入るゆえんでもあります。

今回の記事では、今回のAさんの事例にかかわりそうな窃盗罪詐欺罪という2つの犯罪とその違いを詳しく確認しました。
次回は具体的にAさんのケースを考えていきます。

京都府詐欺事件窃盗事件にお困りの際は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士にご相談ください。
弊所の刑事事件専門弁護士が、複数の犯罪でどれが成立するのか分からない、似たような犯罪の違いが分からない、見通しを教えてほしいといったご相談にも丁寧に対応いたします。
ご予約・お問い合わせは0120-631-881でいつでも受け付けております。

盗品等関与事件で逮捕②盗品等保管罪

2019-09-01

盗品等関与事件で逮捕②盗品等保管罪

京都市左京区に住んでいるAさんは、知人であるBさんから、「引っ越しをするのだがその準備のために一時的に荷物を預かってほしい」と頼まれ、Bさんから時計のコレクションや高級バッグなど複数の荷物を預かりました。
Aさんは、その頼みを受け入れ、Bさんからの荷物を預り、自宅で保管していました。
すると後日、京都府下鴨警察署の警察官が来て、Aさんは盗品等保管罪の容疑で逮捕されてしまいました。
警察官の話では、Bさんが預かってくれと言ってきていた荷物は、Bさんが強盗をして奪ったものであるとのことでした。
Aさんは、家族が接見を依頼した弁護士に面会し、無実を訴えています。
(※この事例はフィクションです。)

・盗品等関与罪の「盗品等」

今回のAさんが容疑をかけられているのは、盗品等関与罪のうち、盗品等保管罪です。

刑法256条1項
盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。

刑法256条2項
前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。

この条文のうち、刑法256条2項の「前項に規定する物」(=刑法256条1項の「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって両得された物」)を「保管」しているという部分にあたると考えられたのでしょう。

ここで、Aさんが預かっていた物は、Bさんが強盗事件を起こして奪ってきたものです。
盗品等保管罪という犯罪名から、「強盗で奪われた被害品も対象となるのか」「あくまで窃盗で盗まれた物のみが対象なのではないか」と不思議に思う方もいるでしょう。
しかし、盗品等関与罪の対象と定められている物は、刑法256条1項で「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物」とされています。
盗品」は窃盗によって盗まれた被害品であることに不思議はないでしょう。
問題は、「その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物」の部分です。

財産に対する罪とは、一般的に「財産犯」とも呼ばれ、窃盗罪のほか、強盗罪、詐欺罪、恐喝罪、横領罪、背任罪が挙げられます。
さらに、盗品等関与罪では、それらの犯罪によって「領得」された物を盗品等関与罪の客体としています。
「領得」とは、簡単に言えば、他人の財物を自分又は第三者の物にするために取得することを言います。
そのような「領得」が可能な財産犯は、先ほど挙げた財産犯のうち、窃盗罪、強盗罪、詐欺罪、恐喝罪、横領罪となります。
つまり、盗品等関与罪の客体としては、窃盗罪の被害品である「盗品」だけではなく、強盗罪、詐欺罪、恐喝罪、横領罪の被害品も含まれることになるのです。

今回、Aさんが預かっていたBさんの荷物は、強盗事件の被害品でした。
その荷物を自宅で預かる=保管していたわけですから、客観的に見れば、Aさんは盗品等関与罪のうちの盗品等保管罪を犯してしまっていたことになります。

・盗品等保管罪と否認

しかし、前回の記事の事例同様、Aさんは盗品であると知っていたわけではありません。
こうした場合、事実を争っていくことになるでしょう。
刑事事件で容疑を否認して事実を争っていくとなると、裁判で有罪か無罪かを判断してもらうのだから、裁判の場で主張をすればいいと思われがちです。
ですが、実はこうした否認事件の場合、裁判当日に自分自身の主張を証言すればそれだけでよいというわけではありません。

なぜなら、裁判では今まで受けた取調べで作成された供述調書などが証拠として出され、そうした証拠も含めて有罪なのか無罪なのかが判断されるからです。
すなわち、逮捕され取調べを受ける段階から、その供述が裁判で証拠として出されるかもしれないということを考えながら対応を行っていかなければ、意図せずして自分に不利な証拠を自分で作ってしまう可能性があるということなのです。
逮捕や勾留がつらいからとりあえず認めて、後で裁判の時に弁解しようなどと思っても、容疑を認めている供述調書があれば、それを裁判当日の証言のみで撤回するのは至難の業です。

そうした事態を避けるためにも、逮捕されてしまった時にはすぐに弁護士のサポートを受けることが望ましいでしょう。
逮捕・勾留されるということは身体拘束され、周りとの自由な連絡もできなくなるということですから、誰にも助けを求めることができません。
ただでさえ容疑を否認し続けるということは精神的にも大きな負担のかかることです。
弁護士にこまめに面会し、取調べのアドバイスや見通しだけでなく、周囲の人たちとの橋渡しをしてもらうことで、事件の面だけでなく、精神的な面でもケアしてもらうことができます。

前回の記事でも述べたように、盗品等保管罪など、盗品等関与罪のうち刑法256条2項に規定されている犯罪は、罰金刑と懲役刑が併科される前提の法定刑であり、非常に重い犯罪です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、事例のような否認事件はもちろん、容疑を認めているような事件についてもご相談・ご依頼をお待ちしています。
逮捕・勾留・呼び出しにお困りの際は、遠慮なく0120-631-881までお電話ください。

盗品等関与事件で逮捕①盗品運搬罪

2019-08-30

盗品等関与事件で逮捕①盗品運搬罪

京都府南丹市に住むAさんは、友人のBさんから「少し運んでほしいものがある。自分の車では積み込むスペースが足りないので、Aさんの車で運んでほしい。お礼はするから指示した場所まで来て荷物を積み込み、目的地まで運んでほしい」と頼まれました。
Bさんがお礼はするといっていたため、Aさんは快く引き受け、Bさんが指定した場所でAさんの持ってきていた荷物を積み込むと、Aさんから聞いていた目的地まで自動車を運転して荷物を運び、Aさんに引き渡しました。
すると後日、京都府南丹警察署の警察官がBさんのもとを訪れ、盗品運搬罪の容疑で逮捕してしまいました。
警察官から聞いたところ、AさんがBさんから頼まれて運んだ荷物は全て盗品で、Bさんは窃盗罪の容疑で逮捕されているとのことでした。
Bさんは寝耳に水であるとして容疑を否認しています。
(※この事例はフィクションです。)

・盗品等関与罪

窃盗行為によって盗まれた物(被害品)や、そのほか財産犯罪によって奪われた物に関連する犯罪として、盗品等関与罪と呼ばれる犯罪があります。
この盗品等関与罪は刑法256条1項・2項に規定されています。

刑法256条1項
盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。

刑法256条2項
前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。

この2つの条文が規定している犯罪を盗品等関与罪と呼ぶのですが、その形態により、より細かく分けた犯罪名で呼ばれることもあります。
今回の記事から複数回にわたって、この盗品等関与罪について取り上げていきます。

・なぜ盗品等関与罪は罰せられる?

そもそも、なぜ盗品等関与罪は罰せられるのでしょうか。
盗品等関与罪では、窃盗行為や財産犯罪をした人ではなく、その被害品である盗品等にかかわった人が罰せられます。
窃盗行為等をしていない人が罰せられるのに疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。

盗品等関与罪が犯罪とされている理由については、一般に、窃盗罪等の財産犯罪の被害を受けた被害者(「盗品等」を盗まれてしまったり奪われてしまったりした被害者)が盗品を取り返そうと思っても、盗品等関与罪に規定されているような行為をされてしまえば、盗品の追求が困難になってしまうからだ、と言われています。
そのほか、学説によっては、財産犯罪によって発生した違法な状態(例えば盗品が盗まれたままの状態)を継続させてしまう行為だからであるという説や、盗品等関与罪に定められている行為が認められてしまえば財産犯罪が起こることを助長してしまうからであるという説もあります。
こうしたことから、窃盗行為等をした本人でなくとも、盗品等関与罪に定められた行為をしてしまえば罰せられることになるのです。

・盗品運搬罪

では、今回のAさんは盗品等関与罪のうちどういった罪に当たるのでしょうか。
Aさんは、盗品をBさんの指示に従って運搬していることから、いわゆる「盗品運搬罪」に該当するおそれがあります。
先ほど挙げた条文で言えば、刑法256条2項の「前項に規定する物を運搬し」という部分が当てはまります。
盗品運搬罪で有罪となれば、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金となります。

ここで注意すべきなのは、盗品運搬罪の法定刑は10年以下の懲役「及び」50万円以下の罰金であるという点です。
つまり、懲役刑と罰金刑が併科されることが前提となっているのです。
ですから、罰金刑が規定されてはいるものの、罰金刑のみで処罰されることはありませんので、盗品運搬罪で起訴されるということは正式な刑事裁判を受けるということになるのです(つまり、罰金だけ払って事件終了となる略式手続は利用できません。)。
だからこそ、公判弁護活動も見据えて、早め早めに弁護士に相談することが求められるのです。

今回の事例では、Aさんは盗品であることを知らずに運搬を行ってしまっています。
こうした場合、盗品運搬罪の故意がないとして争うことも考えられます。
先ほど触れたように、盗品運搬罪で起訴されるということは公開の法廷に立って刑事裁判を受けることを意味します。
裁判本番での対応はもちろんのこと、そこできちんと自分の言い分を主張するためには、取調べ段階から慎重な対応をしていくことが求められます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に精通した弁護士が、取調べ段階から公判弁護活動まで、一貫して丁寧な弁護活動で被疑者・被告人本人やそのご家族をサポートします。
盗品運搬事件等の盗品等関与事件逮捕にお困りの際は、お気軽に弊所までお問い合わせください。

カツアゲ恐喝事件で少年逮捕

2019-08-24

カツアゲ恐喝事件で少年逮捕

京都府綾部市に住んでいるAさん(17歳)は、素行の好くない友人たちと付き合っており、夜遊びや学校をさぼることを頻繁にしていました。
ある日、Aさんがその友人といたところ、後輩のVさんとその友人が歩いてきました。
Vさんらがおこづかいをたくさんもらったという話をしていたことから、AさんらはVさんらからお金を巻き込んでやろうと数人でVさんらを取り囲み、「金を渡さないと痛い目を見る」などと言ってカツアゲを行いました。
VさんらはAさんらにリンチされるのではないかと怯え、持っていたお金をAさんらに渡しました。
その後、Vさんらが帰宅して親に相談をしたことからこのカツアゲが発覚し、後日、Aさんは京都府綾部警察署恐喝罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、まさか息子が逮捕されるような事態になるとは思わず、慌てて少年事件を取り扱っている弁護士に相談に行きました。
(※この事例はフィクションです。)

・カツアゲで恐喝罪

カツアゲとは、脅して金品を巻き上げる行為を指す言葉で、カツアゲは刑法上の恐喝罪にあたるとされています。
恐喝罪は、刑法249条に規定されている犯罪で、「人を恐喝して財物を交付させた者」に成立します。
今回のAさんの起こした事件は少年事件として処理されるため、原則として刑罰を受けることにはなりませんが、成人の刑事事件で恐喝罪として検挙された場合には、10年以下の懲役という刑罰を受ける可能性が出てきます。

そもそも「恐喝」するとは、財物を交付させるために暴行又は脅迫によって相手を畏怖させることを言います。
今回のAさんも、Vさんらからお金を巻き上げるために不良仲間とVさんらを取り囲んで脅していることから、恐喝をしていると言えそうです。
そして、Vさんらはその脅し怯え、Aさんらにお金を渡していることから、AさんらはVさんらに「財物」を「交付させた」と言えそうです。
このことから、Aさんには恐喝罪が成立すると考えられるのです。
ただし、注意すべきは恐喝罪の「恐喝」にあたる暴行又は脅迫は、相手の反抗を抑圧しない程度のものであることが必要とされるという点です。
もしも相手の反抗を抑圧するほどの暴行又は脅迫であると認められれば、恐喝罪ではなく、強盗罪が成立する可能性が出てきます。
強盗罪の法定刑は5年以上の有期懲役となっていますから、恐喝罪と比べても重い犯罪であることが分かります。
Aさんの場合は少年事件ですから、原則こうした刑罰は受けませんが、それでもより重い犯罪が成立することで、処分に影響が出てくる可能性があります。

・少年のカツアゲ恐喝事件

今回のように、20歳未満の者が法律に触れる事件を起こした場合には、少年事件として扱われ、最終的に家庭裁判所の判断によって処分が決められることになります。
繰り返し記載しているように、少年事件では、法定刑の重い犯罪だから必ず少年院に行くとも限りませんし、逆に法定刑の軽い犯罪だから何も処分を下されないとも限りません。
通常の成人の刑事事件とは違い、少年事件ではその少年のその後の更生が第一に考えられるためです。

しかし、では少年事件において、通常の成人の刑事事件と同じような弁護活動は不要か、というとそういうわけでもありません。
例えば、今回のAさんのカツアゲによる恐喝事件では、Vさんという被害者がいます。
この被害者に対して謝罪をする、被害に遭った分について賠償をする、ということは、少年事件であっても全く不要というわけではありません。
確かに、起訴・不起訴を決める成人の刑事事件に比べれば、少年事件では示談は必須というわけではありませんが、少年が反省しているのかどうか、少年自身やその家族・周囲の人がどのように事件について受け止めているのか、といった事情を示す1つの材料として、被害者に謝罪をしていることや示談をしていることは有効であるのです。

ただし、今回の事件のように、子どもの間で起きてしまった少年事件では、示談するにも困難が伴うことも多々見られます。
未成年者との示談では、示談交渉の相手は親となりますが、自分のお子さんが被害に遭ったとなれば、当然のことながら被害感情も小さくありません。
そうしたことから当事者同士の示談交渉で逆に話がこじれてしまうケースもあります。
だからこそ、少年事件の弁護活動にも専門家であり第三者である弁護士を介入させることが望ましいと言えるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
被害者との示談交渉だけでなく、釈放を目指した身柄解放活動や取調べ対応のアドバイスまで、一貫した弁護活動をご提供いたします。
京都府少年事件にお困りの際は、少年事件の取り扱いも多い弊所弁護士に、ぜひご相談下さい。

« Older Entries