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閉店後のホストクラブで強盗事件
閉店後のホストクラブで強盗事件
閉店後のホストクラブに侵入して売上金を奪い取った男が強盗罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
事件概要
京都府東山警察署は、京都市内に住む元ホストで、現在自営業の男A(28)を強盗罪の疑いで逮捕した。
Aは、先月までホストとして勤務していたホストクラブに、閉店後の深夜3時にナイフを持って侵入し、金庫に保管されていたその日の売上金を強奪した疑い。
Aは、閉店後の店内に残っていた店のオーナーV(40歳男性)と鉢合わせたため、持っていたナイフをオーナーに突きつけ、「金庫を開けろ。妙なマネするとどうなっても知らないぞ」などと言って、金庫にあった現金300万を奪い取ったとされている。
取調べに対し、Aは、「生活のためお金が必要だった。金庫と鍵の場所はわかっていたのでやってしまった。」と容疑を認めている。
(フィクションです)
強盗罪
本件では、Aは、侵入したホストクラブのオーナーに対してナイフを突きつけて現金300万円を奪ったとして、強盗罪の疑いで逮捕されたようです。
刑法236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
強盗罪とは、簡単に説明すると、拳銃などの凶器を使うなどして、被害者が抵抗できない状態にした上で無理矢理財産を奪い取る犯罪です。
このような行為がなされると、被害者が死亡したり怪我をしたりといったことが発生しやすいと言えますから、強盗罪は、とても危険で悪質な犯罪として、法定刑は5年以上の有期懲役と非常に重たくなっています。
手段としての「暴行又は脅迫」
強盗罪の場合、暴行・脅迫は財物を無理やり奪い取る手段として規定されていますから、本罪における暴行とは、反抗を抑圧するに足りる程度の不法な有形力の行使を意味し、脅迫とは、反抗を抑圧するに足りる程度の害悪の告知を言います。
本件では、Aは、かつて勤務していたホストクラブに閉店後に侵入し、たまたま店内に残っていた店のオーナーに対して、ナイフを突きつけて現金300万円を奪い取ったようです。
したがって、Aのナイフを突きつけた行為は、反抗を抑圧するに足りる程度の不法な有形力の行使にあたるのかどうかが問題となります。
この点について、判例は、問題となった行為が、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫であるか否かは、「社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものかどうか」という客観的基準によって決せられる(最判昭和24年2月8日)としています。
本件Aは、ナイフという殺傷能力の高い凶器を用いています。
被害者のオーナーVからすると、抵抗すればナイフで刺されて殺されてしまうかもしれませんから、Aの行為は、反抗を抑圧するに足りる程度の有形力の行使、すなわち強盗罪における暴行にあたり、強盗罪が成立する可能性があります。
できるだけ早く弁護士に相談を
強盗罪の法定刑は5年以上の有期懲役です。
執行猶予がつくためには、下される量刑が3年以下である必要があるので、強盗罪を犯した場合、執行猶予がつかない可能性が高いです。
執行猶予がかずに有罪判決が下された場合、今まで通りの生活を送ることはできなくなります。
Aの場合、自営業を続けられず取引先との関係も切れてしまい、出所後の再スタートは難しいものとなる可能性が高いですから、なんとか執行猶予をつけることができないかが問題となります。
この点、被害者との間で示談が成立していれば、刑が減軽され3年以下の懲役となる可能性があり、この場合には、執行猶予がつくこともあります。
したがって、示談を成立させることができるかどうかが非常に重要となります。
本件ではAはもともと勤務していたホストクラブに侵入したようなので、被害者の連絡先を知っているかもしれません。
しかし、そうであっても、加害者自ら被害者に連絡をとって示談交渉を行うことは得策ではありません。
本件被害者Vからすれば、加害者は凶器を突きつけて大切なお金を奪っていった人物ですから、連絡を取ること自体拒絶される可能性が高いです。
そこで、示談交渉は法律のプロである弁護士に一任されることをおすすめします。
加害者とのコンタクトを取ることを拒絶する被害者であっても、弁護士相手であれば示談交渉に応じてくれることは珍しくありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、強盗事件を含む豊富な刑事弁護の経験を持つ法律事務所です。
法律のプロがあなたに代わって、示談交渉にあたります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。
コワーキングスペースの固定席に置かれていたPCを盗んだ男が逮捕された事件
コワーキングスペースの固定席に置かれていたPCを盗んだ男が逮捕された事件
コワーキングスペースの固定席に置かれていたPCを盗んだ男が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
事案
京都府中京警察署は、コワーキングスペースの他の利用者が固定席に置いていたPCを、無断で持ち去ろうとしたとして、窃盗罪の疑いで自称フリーランスの男A(29)を逮捕した。
Aは、コワーキングスペースの自由席プランを契約して、自分のオフィス代わりに利用していた。
Aの利用していたコワーキングスペースには、固定席というものがあり、その席の契約者は自分のPC等の仕事用品を席に置いたままにしていることが多かった。
Aは、固定席契約者のVが、PCを席に置いたまま帰宅しているのを見て、そのPCを自分のカバンに入れて持ち帰ってしまった。
翌日やってきたVが自分のPCがなくなっていることに気づき、被害届を提出したところ、防犯カメラからAが特定され逮捕されるに至った。
取調べに対しAは、「ちょうど自分のPCが壊れて新しいPCが必要だった。VのPCは中古でも高く売れる物なので、転売して得たお金で新しいPCを買おうと思っていた」と容疑を認めている。
(フィクションです)
窃盗罪とは
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
窃取とは、他人の占有する財物を、その占有者の意思に反して自己または第三者の占有に移転することを言います。
簡単にいうと、他人の支配下にある物を自分の支配下に移すことです。
本件で、窃盗罪が成立するためには、VがPCを占有していたと言える必要があります。
AがVのPCを持ち出した時には、Vはその場にはいなかったようですから物理的にVの元にあったわけではありません。
もっとも、当該PCはVの固定席に置かれていたようです。
固定席は、契約者しか利用することができないので、そこにあるPCは客観的に見てVの支配が及んでいると言えそうです。
また、自由席ではなく自分しか使えない固定席に置いていることから、VはPCに対して強い支配意思を有していると言えそうです。
以上より、Vは当該PCを占有していたと言えそうです。
Vは、自分の仕事道具であるPCを誰かが勝手に持ちさることを容認していないでしょうから、Aは占有者であるVの意思に反して自己の占有に移転したと言えそうです。
また、Aは取調べに対して、盗んだPCを転売して換金して新しいPCを買うつもりだったと述べ、容疑を認めているようです。
したがって、本件では窃盗罪が成立する可能性があります。
なるべく早く弁護士に相談を
本件のように警察に逮捕されると、単に身柄を拘束されるだけでなく、容疑についての取調べが行われることになります。
取調べの結果は、調書として文書化されて、被疑者はそれにサインするよう求められます。
サインされた調書は、裁判が始まった際に証拠として用いられることがあり、仮に、証拠として提出された場合、覆すのは非常に困難です。
したがって、取調べ前に何をどのように供述するのかを整理しておく必要があります。
もっとも、法律に詳しくない一般の方にとって、どのように受け答えするのが適切か判断することは困難です。
そこで、できるだけ早い段階で弁護士に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、窃盗罪を含む豊富な刑事弁護の経験を持つ法律事務所です。
早い段階で弁護士に相談して取調べに対するアドバイスを得ておくことで、適切に取調べに対処することができ、供述調書が思いがけず不利に働くことを防げる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
初回無料法律相談、初回接見サービスをご希望の方は、0120-631-881までお電話ください。
知人をロリコン性犯罪者などと中傷した疑いで大学生を逮捕
知人をロリコン性犯罪者などと中傷した疑いで大学生を逮捕
知人をロリコン性犯罪者などと中傷した疑いで大学生が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事例解説
京都府下鴨警察署は、京都市内に住む大学4年生の男Aを、名誉毀損罪の疑いで逮捕した。
Aは、自分が最終面接で落ちた第一希望の会社Cに、同じサークルに所属するVが自分は内定をもらったと自慢された挙句、「俺は第一希望じゃないからAに分けてあげたいわ笑」と言われたことに腹を立て、SNS上で、「VがC社に内定もらったらしい。そいつロリコン性犯罪者ですよ」「Vみたいなロリコン性犯罪者を採用するとか見る目ないな」などと投稿した。
Aの投稿に、サークルのメンバー伝えにVが気づき、被害届を提出したところ、Aは京都府下鴨警察署に逮捕された。
取調べに対しAは、「あいつはサークルの合宿で小学生と付き合いたいと言っていた。だからロリコンだし性犯罪者予備軍だから本当のことを言っただけ」などと供述している。
(フィクションです)
名誉毀損罪とは
刑法230条1項
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
本件で、Aは、SNS上でVをロリコン性犯罪者などと中傷する投稿をしたようですが、このAの行為は、「公然と」「事実を摘示して」人の名誉を棄損したといえるのでしょうか?
まず、「公然と」とは、摘示された事実を不特定または多数人が認識しうる状態をいいます(最判昭和36年10月13日)。
不特定とは、相手方が限定されていないという意味です。
多数人とは、社会一般に知れわたる程度の人数という意味であり相当の多数であることを必要とします。
本件では、Aは、SNS上で、Vがロリコン性犯罪者と中傷する投稿をしたようです。
SNSに投稿された内容は、だれでも見ることができますから、Aによって摘示されたVがロリコン性犯罪者だと中傷する投稿は、不特定の人が認識しうる状態にあったといえますから、「公然と」人の名誉を棄損したといえそうです。
次に、「事実を摘示」したといえるかも問題となります。
ここでの事実とは、事実証明の対象となりうる程度に具体的であり、かつ、それ自体として人の社会的評価を低下させるような事実をいいます。
Aの「Vはロリコン性犯罪者」とする投稿は、真実かどうか証明の対象となりうる程度に具体的です。
加えて、ロリコンで性犯罪者であるといわれると、Vは常人には理解し難い特殊な性癖の持ち主であり、あまり関わってはいけない人物だと思われて社会的評価が低下する可能性があります。
以上より、Aは、公然と事実を摘示して人の名誉を棄損したとして、名誉棄損罪が成立する可能性があります。
条文にも書いてある通り、ここでの事実とは、真実と虚偽のどちらも含まれます。
したがって、仮にBが本当にロリコンで性犯罪者であったとしても名誉棄損罪の成立は妨げられません。
なお、条文の規定上、名誉棄損罪の成立には、現実にVの名誉が棄損されたことが必要であるかのように思えます。
しかし、被害者の名誉が現実に棄損されたかどうかの判断は非常に困難ですから、判例によれば被害者の名誉が現実に侵害される必要はありません(大判昭和13年2月28日)。
できるだけ早く弁護士に相談を
名誉棄損罪は親告罪、すなわち検察官が起訴するために被害者などの告訴が必要な犯罪です(刑法232条)。
名誉棄損罪が親告罪とされるのは、起訴されることで、かえって被害者の名誉を侵害する恐れがあるためです。
したがって、名誉毀損罪を犯してしまった場合には、被害者に対して真摯に謝罪をし、必要な示談金を支払うことを約束した上で、告訴をしない旨を約束してもらう形で示談を成立させることが重要となります。
本件Vは、SNS上でAからロリコン性犯罪者と罵られ、内定先の企業等に悪いイメージを持たれてしまう可能性などの被害を受けていますから、Aに対して強い処罰感情を有しており、Aが直接謝罪しようとしても取り合ってくれない可能性があります。
そこで、示談交渉のプロである弁護士に示談交渉をお任せすることをおすすめします。
加害者からの示談交渉を拒絶する被害者であっても、弁護士相手であれば交渉に応じてくれることは珍しくありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、名誉毀損事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行い、告訴を取り下げてもらうことで不起訴処分を得ることができる可能性があります。
一度起訴されてしまうと、告訴を取り下げることはできません。
ですので、可能な限り早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
業務上横領事件の加害者が独力で示談交渉をした結果、被害届を出されて逮捕された事例
業務上横領事件の加害者が独力で示談交渉をした結果、被害届を出されて逮捕された事例
業務上横領事件の加害者が独力で示談交渉をした結果、被害届を出されて逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事件概要
京都府山科警察署は、京都市山科区にある和菓子製造会社で経理責任者として働いていた男Aを、業務上横領罪の疑いで逮捕した。
Aは、原材料の取引先への支払業務を基本的に一人で担当していた。
ギャンブルにハマったAは、お金欲しさに、実際の取引額を水増しした金額を支払ったかのように関係書類を作成して会社に報告し、その水増し分を自身の口座に振り込むようになった。
Aは、初めのうちは数万円程度を水増ししていたが、次第に大胆になり数十万円規模の水増しを繰り返すようになった結果、他部署から数字がおかしいとの指摘があり、Aの行為が勤務先Vの知るところとなった。
Vとしては、Aが謝罪して示談金を支払う旨を伝えてきたので、事件を内々に処理して表には出さないつもりだったものの、示談金の額をめぐって折り合いがつかない状態が続いた。
示談交渉でAが執拗に示談金の減額を求めてきたので、Vは、Aが開き直って謝罪する意思がないのだと考えて被害届を提出したところ、Aは京都府山科警察署に逮捕された。
(フィクションです)
業務上横領罪とは
刑法253条
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。
業務上横領罪とは、「『業務』上自己の占有する他人の物を横領」する罪です。
業務上横領罪の「業務」とは、金銭その他の財物を委託を受けて占有・保管することを内容とする職業もしくは職務をいうと解されています。
京都府山科警察署によると、Aは、会社の経理担当者として、会社のお金を管理する立場にあり、和菓子原材料の購入代金の支払業務を担当していたようです。
したがって、Aの職務は、業務上横領罪における「業務」に該当し、業務上横領罪が成立する可能性があります。
ところで、男は「他人の物を占有」していたと言えるのでしょうか?
Aの支払業務では、会社の銀行口座にあるお金を、取引先の口座に振り込む形で行っていたようですから、物理的にAの手の触れる所にお金があったわけではないようです。
判例は、横領罪における「占有」とは、物に対する事実上の支配だけでなく法律上の支配も含むと解釈しており(大判大正4年4月9日)、法律上の支配とは、法律上自己が容易に他人のものを処分しうる状態のことを言います。
本件について見てみると、Aは原材料の購入のため、会社の口座にあるお金を、取引先の口座に振り込んでいたようです。
このように、Aは、経理担当者として、銀行のお金を自由に支払いにあてることができる地位にあったようですから、Aは、他人の物である会社のお金を占有していたと言えそうです。
仮に、これを勝手に引き出して私的に使用した場合には、業務上横領罪が成立する可能性があります。
そして、本罪の行為は、横領することです。
横領とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、他人の物に対し経済的用法に従って所有者でなければできないような処分をする行為です(最判24年3月8日)。
本件では、男は、会社のお金を引き出し、ギャンブルの元手として使用したようです。
お金を使うことは、その所有者にしか許されない行為ですから、Aのした行為は横領に当たる可能性があります。
以上から、本件では業務上横領罪が成立する可能性があります。
なるべく早く弁護士に相談を
本件では、Aは、自分で示談交渉を行った結果、もともとAの業務上横領事件を大っぴらにする意思はなかったVの神経を逆撫でしてしまい、被害届を提出されて逮捕されるに至ったようです。
仮に早期に示談が成立した場合には、不起訴処分を得られる可能性がありますし、仮に起訴されたとしても量刑の判断でAに有利に働く可能性がありますから、早期に示談を成立させることは非常に重要です。
もっとも、本件のように、加害者自ら示談交渉を行うのは得策ではありません。
事態がこじれて良くない方向に進んでしまう可能性があります。
そこで、示談交渉は交渉のプロである弁護士にお任せすることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、業務上横領事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、被害届が提出されるのを防ぎ、事件化を防げる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
ペットショップの雇われ店長が水増し請求して逮捕
ペットショップの雇われ店長が水増し請求して逮捕
ペットショップの雇われ店長が、餌代を水増し請求した疑いで逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事件概要
京都府下京警察署は、全国展開するペットショップ「アニマルセラー」の京都店の店長を背任罪の疑いで逮捕した。
Aは、アニマルセラー京都店の雇われ店長として、店舗の備品等の購入をオーナーVから一任されており、店舗で販売している猫にあげる餌の購入にあたっては、友人が経営するアニマルフード社Cを取引先としていた。
ギャンブルにハマって300万円ほどの借金を負うこととなったAは、Cと相談の上、C社に水増し請求をしてもらい、水増し請求分をAとCで折半することにした。
通常京都店の規模であれば、毎月の餌代は10万円程度となるところ、水増し請求されていた京都店では毎月30万円が餌代として計上されていたため、グループの経理担当者が異変に気づき事件が発覚した。
警察の取調べに対しAは、「このままでは借金を返せないと思い、水増し請求を思いついた。」と容疑を認めている。
(フィクションです)
背任罪とは?
刑法247条が規定する背任罪は、他人のためにその事務を処理する者(①)が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的(②)で、その任務に背く行為(③)をし、本人に財産上の損害を加える(④)犯罪です。
背任罪の主体は、「他人のためにその事務を処理する者(①)」です。
本件Aは、全国展開するペットショップ「アニマルセラー」の京都店の雇われ店長として、京都店の物品の購入をオーナーから任されていたようです。
したがって、Aは、背任罪が規定する、「他人のためにその事務を処理する者」(①)に当たる可能性があります。
また、背任罪が成立するためには、図利・加害目的すなわち「自己もしくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的(②)」が必要です。
ここでの「本人」とは背任行為の行為者に事務処理を委託した者を言います。
本件では、Aを雇われ店長として雇用しているグループのオーナーVが、京都店の店長であるAに、物品等の購入を任せていたようですので、オーナーVが「本人」にあたります。
そしてAは、「本人」であるオーナーVに支払わせた水増し請求分を、知人と山分けしていたようです。
したがって、自己と知人(第三者)の利益を図ったとして図利・加害目的があった(②)と評価されそうです。
次に、背任行為すなわち「任務に背く行為(③)」が背任罪の成立に必要です。
背任行為について、判例は信任関係の違背による財産の損害と考えているようです。
大審院の判決では、質物の保管者が信任関係に違背し、質物を債務者に返還することで財産上の損害を与えた事例では、背任行為にあたると判断されました(大判明治44年10月13日、大判大正3年6月20日)。
そのほかにも、信任関係の違背の例としては、銀行員が回収見込みがないに相手に対して、本来得るべき十分な担保や保証なしに、金銭を貸し付ける不良貸付や、保管を任されていた物を壊す行為などがこれにあたります。
本件では、京都店の雇われ店長であるAは、主力商品である猫の餌代を適正価格で購入することをオーナーから任されていたにもかかわらず、それに反して、自身の友人の経営するアニマルフード社に水増し請求させ、過大な代金をアニマルセラー社(V)に支払わせていたようなので、背任行為があったと言えそうです(③)。
最後に、「本人に財産上の損害を加えたこと(④)」も必要となります。
本件では、本人すなわちアニマルセラーのオーナーは、水増し請求により適正価格よりも毎月10万円分多く支払っているので、Aは本人に財産上の損害を与えたと言えそうです(④)。
以上より、本件では背任罪が成立する可能性が高いと言えそうです。
なるべく早く弁護士に相談を
背任罪を犯してしまった場合には、早期に被害者との間で示談を成立させることができるかどうが重要となりますから、示談交渉のプロである弁護士に相談されることをお勧めします。
本件のAが、アニマルセラー京都店の店長として、オーナーから信用されていたにもかかわらず、それを裏切って毎月10万円の損害を生じさせたように、背任罪の加害者は被害者からの信頼を裏切って損害を与えています。
したがって、通常加害者は被害者に対して強い処罰感情を有していることが多く、加害者自ら示談交渉に乗り出しても対応してもらえない可能性が高いです。
このような場合であっても、弁護士相手であれば、被害者が示談交渉に応じてくれることは珍しくありませんので、弁護士に一度相談されることをおすすめします。
早い段階で被害者との間で示談を成立させ、真摯な謝罪と背任行為により与えてしまった損害を弁償することができれば、不起訴処分になる可能性があります。
仮に不起訴処分にならなかったとしても、判決前に被害者との間で示談を成立させることができれば、量刑が軽くなったり執行猶予付判決が得られるかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、背任事件をはじめとする豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分の獲得のほか、量刑を軽くしたり執行猶予付判決を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
【事例紹介】大手筋商店街にある時計店から130万円分の指輪を盗んだ事例②
【事例紹介】大手筋商店街にある時計店から130万円分の指輪を盗んだ事例②
前回のコラムに引き続き、時計店から130万円分の指輪を盗んだとして窃盗罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事例
京都府警伏見署は11日、時計店から指輪を盗んだとして、窃盗の疑いで、(中略)男(32)を逮捕した。
(5月11日 京都新聞 「京都市の時計店で計130万円の指輪盗んだ疑い、32歳男を逮捕 「商品見せて」と言って持ち逃げ」より引用)
逮捕容疑は(中略)、京都市伏見区の伏見大手筋商店街にある時計店で「指輪を見せてもらいたい」などと言って、受け取った商品の指輪2個(販売価格計130万円)を持って店から逃げた疑い。
窃盗罪の初犯と懲役刑
窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金(刑法第235条)であり、決して科される罪の軽い犯罪ではありません。
窃盗罪の初犯であれば懲役刑は科されないだろうと思っている方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、初犯だからといって必ずしも懲役刑が科されないわけではありません。
窃盗罪では、被害額の大小が量刑に影響してきます。
今回の事例では、被害額が130万円だと報道されており、かなり高額であるといえます。
被害額だけで判断されるわけではありませんが、被害額がかなり高額であることから悪質性が高いと判断される可能性が高く、実際に容疑者が盗んでいた場合には、初犯であったとしても罰金刑では済まずに懲役刑が科されてしまうこともあるかもしれません。
刑事事件では執行猶予付き判決を獲得することができれば、懲役刑を科されたとしても刑務所に行かなくて済む場合があります。
執行猶予付き判決は、初犯であれば必ず獲得できるわけではありませんし、窃盗罪の前科があれば絶対に獲得できないわけでもありません。
被害店舗との示談締結や更生に向けた取り組みなどで、執行猶予付き判決を獲得できる可能性があります。
ですが、当事者同士の示談交渉ではトラブルに発展するケースも少なくないですし、更生に向けて取り組んでいたとしても裁判官に伝わらなければ意味がありません。
弁護士が間に入ることでトラブルを未然に防げる場合がありますし、裁判で更生に向けて取り組んでいることを弁護士が裁判官に伝えることで有利な事情として考慮される可能性があります。
また、更生に向けてどのようなことをしていけばいいのかわからない方もいらっしゃるかもしれません。
弁護士に相談をすることで、再犯をしないためにはどうしたらいいのか、あなたやご家族にとってより良い方法が見つかるかもしれません。
相談をしにくいことであっても弁護士であれば相談をしやすい場合もありますから、窃盗罪の容疑をかけられている方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
【事例紹介】大手筋商店街にある時計店から130万円分の指輪を盗んだ事例①
【事例紹介】大手筋商店街にある時計店から130万円分の指輪を盗んだ事例①
時計店から130万円分の指輪を盗んだとして窃盗罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事例
京都府警伏見署は11日、時計店から指輪を盗んだとして、窃盗の疑いで、(中略)男(32)を逮捕した。
(5月11日 京都新聞 「京都市の時計店で計130万円の指輪盗んだ疑い、32歳男を逮捕 「商品見せて」と言って持ち逃げ」より引用)
逮捕容疑は(中略)、京都市伏見区の伏見大手筋商店街にある時計店で「指輪を見せてもらいたい」などと言って、受け取った商品の指輪2個(販売価格計130万円)を持って店から逃げた疑い。
窃盗罪
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
窃盗罪は、刑法第235条で規定されています。
窃盗罪を簡単に説明すると、他人の物を持ち主の許可なく、自分の物や他人の物にすると成立する犯罪です。
今回の事例では、京都市伏見区にある伏見大手筋商店街の時計店で指輪を2個盗んだとされています。
盗んだとされる指輪は時計店の商品でしょうから、お店の持ち物になります。
通常、お店に売られている物を自分の物にしたい場合には、商品の代金を支払うかと思います。
商品の代金を支払い、お店から商品を受け取ることで、お店の許可を得て商品を自分の物にすることができます。
ですので、お店側が「商品の代金は要らないですよ」と言った場合などを除いて、商品を手に入れるためには代金を支払う必要があります。
代金が不要だと言われていないのに、代金を支払わずに自分の物にする行為は、商品の持ち主に許可を得て自分の物にしているわけではありませんので、窃盗罪が成立する可能性が高いといえます。
ですので、実際に、容疑者が代金が不要だと言われていないにもかかわらず、代金を支払うことなく指輪2点を自分の物にしたのであれば、容疑者に窃盗罪が成立するおそれがあります。
逮捕と釈放
刑事事件では逮捕後72時間以内に勾留の判断が行われます。
勾留が決定してしまうと、最長で20日間勾留されることになりますので、いかに勾留を回避するかが重要になります。
勾留の回避を求める手段として、意見書の提出が挙げられます。
弁護士が勾留の判断前に、検察官や裁判官に勾留請求に対する意見書を提出することで、勾留されずに釈放を認めてもらえる可能性があります。
勾留をするかどうかは逮捕後72時間以内に決まりますので、この72時間を逃してしまうと、釈放を求める大切な機会を2回も失ってしまうことになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービスを行っています。
ご家族など大切な方が逮捕された場合には、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
えっ、娘が逮捕?!ご家族が逮捕されたら速やかに弁護士にご相談を
えっ、娘が逮捕?!ご家族が逮捕されたら速やかに弁護士にご相談を
事例
ある日、母親の下に娘が逮捕されたと京都府中京警察署から連絡がありました。
突然の逮捕であり、娘がなぜ逮捕されたのかもわからず、どうすればいいのかわかりません。
とりあえず、娘が逮捕された場合はどうすればいいのかをインターネットで検索し、弁護士に相談をした方がいいという記載を見つけ、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部に電話をしてみることにしました。
(事例はフィクションです。)
初回接見サービス
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービスを行っています。
初回接見サービスでは、逮捕されたご家族に弁護士が接見をすることで直接お話しを聞き、取調べなどのアドバイスを行います。
逮捕直後や接見禁止が付いている場合にはご家族は面会をすることができません。
ある日突然逮捕されるわけですから、仕事先への連絡など、本人と話し合わなければならないこともあるかと思います。
ご家族が面会をできなくても弁護士であれば接見をすることが可能ですので、弁護士が代わりに話しをきき、確認した内容をご依頼者に伝えることができます。
また、弁護士から伝言を伝えることもできますので、ご家族に会えなくても少しでも勇気づけることができるかもしれません。
釈放と弁護活動
逮捕されてしまうと釈放されない限り会社に出勤できません。
長期間休みが続くことで、事件のことを会社に知られる可能性が高まりますし、知られた結果解雇されてしまう可能性もあります。
弁護士は、検察官や裁判官に対して釈放を求めることができます。
弁護士による身柄開放活動で、釈放を認めてもらえる可能性があります。
逮捕後72時間の間で勾留をするかどうかの判断が行われるのですが、勾留が決定した場合には最長で20日間勾留されることになります。
勾留の判断前であれば、弁護士は検察官と裁判官に対して勾留請求に対する意見書を提出することができます。
弁護士が意見書を提出することで、勾留されずに釈放をみとめてもらえる場合がありますので、ご家族が逮捕された場合には、速やかに弁護士に相談をすることをおすすめします。
逮捕後72時間を過ぎてしまうと、釈放を求める機会を2回失ってしまうことになります。
弁護士に相談をすることで早期釈放を実現できる可能性がありますので、ご家族が逮捕された場合には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部の初回接見サービスをご利用ください。
「同じ目に合わせるぞ」と恐喝した疑いで会社員の男性を逮捕
「同じ目に合わせるぞ」と恐喝した疑いで会社員の男性を逮捕
「同じ目に合わせるぞ」と恐喝した疑いで会社員の男性が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
事例
京都府伏見警察署は、京都市伏見区内のマンションに住む会社員の男性Aを逮捕した。
Aは、ロードバイクに乗ることを趣味にしており、マンションの1階の駐輪所に自身のロードバイクを置いていた。
Aのマンションの駐輪所は、簡単な屋根はあったものの雨風を完全に凌げるわけではなかったため、台風が襲来した折に、マンションの自転車はドミノ倒し状態となってしまった。
台風が過ぎ去り、サイクリングに出かけようとしたAは、自分のロードバイクが、同マンションの住人である男子大学生Vのママチャリが覆い被さる形で倒れているのを発見し、状態を確認したところ、本体フレームに目立つ傷ができてしまっていた。
大切にしていたロードバイクに傷がついたAは、ちょうど駐輪所にやってきたVに対し、「お前の自転車のせいで、俺のロードバイクが傷ついたやないか!弁償しろ!10万払え!払わないなら同じ目に遭わすぞ!」と言って3万円を脅し取った。
後日、Vが被害届を京都府伏見警察署に提出したところ、Aは逮捕された。
(フィクションです)
恐喝罪とは
刑法249条
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
本件で、Aは大切にしていたロードバイクが、台風で倒れたVの自転車によって傷ついてしまったため、弁償と称してVに対して10万円を要求し3万円を差し出させたようです。
AはVに対して、3万円という財物を自身に交付させていますから、Aの発言が恐喝に当たる場合には、恐喝罪が成立する可能性があります。
恐喝とは、①財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫または暴行であって、②その反抗を抑圧するに至らない程度の行為を言います。
本件で、Aは、Vに対して弁償と称して10万円を要求し、支払わないのであればVを自転車と同じ目に遭わすと脅したようです。
傷ついたロードバイクと同じ目に遭わすというのは、要するに、Vを痛めつけると言っているのと同じですから、Aの発言は、財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫に該当しそうです(①)。
次に、Aの発言は社会通念上一般に反抗を抑圧するに至らない程度かどうかが問題となります(②)。
反抗を抑圧する程度の脅迫というのは、例えば、拳銃の銃口を突きつけながら「金、時計、宝石あるもの全部出せ」などと脅すような場合がこれに当たります。
この場合、言われた通りお金などを差し出すほかないでしょうから、反抗を抑圧する程度の脅迫と言えます。
本件Aは、Vに対し、損傷したロードバイクと同じ目に遭わす(=Vを痛めつける)と脅しているので、Vとしては恐怖を感じたと思われますが、Aはナイフのような凶器を持っていた訳でもないので、成人男性であるVにとって反抗をすることが困難であったとまでは言えない可能性があります(②)。
以上より、Aの発言は、恐喝に当たり、Aには恐喝罪が成立する可能性があります。
なるべく早く弁護士に相談を
恐喝罪を犯した場合、示談を成立させられなかった場合には、執行猶予がつかない可能性が高まります。
というのは、恐喝罪の法定刑は10年以下の懲役であるのに対し、執行猶予がつくためには、量刑が3年以下であることが条件の1つであり、示談の成立は量刑の判断に影響するからです。
仮に執行猶予がつかなかった場合、刑務所の中で服役することなり大学に通ったり会社に出勤したりすることはできず、解雇や退学処分となることが珍しくありませんから、示談を締結できるかどうかが非常に重要となります。
本件では、Aは逮捕されていますから、自分で示談交渉をすることが難しいですが、仮に逮捕されていなかったとしても、加害者自ら示談交渉を行うのは得策ではありません。
恐喝の被害者は加害者に脅されて金銭などの財物を無理やり差し出させた相手なわけですから、加害者のことを怖いと思っているでしょう。
したがって、加害者本人が謝罪するために連絡してきたとしても応じてくれない可能性が高いです。
そこで、示談交渉は弁護士に一任することをおすすめします。
加害者本人ではなくその弁護士相手であれば、被害者が示談交渉に応じてくれることは珍しくありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、恐喝事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成功させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、量刑を軽くしたり執行猶予付判決や不起訴処分を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
無料法律相談などのご予約のお電話は0120-631-881で承っています。
【事例紹介】専門学生が同じ学校に通う学生の首を絞めて現金17万円を奪った事例②
前回のコラムに引き続き、専門学生が首を絞めて現金を奪ったとして、恐喝罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事例
同じ専門学校に通う男性に因縁をつけて暴行を加え現金を奪ったとして、京都府警伏見署は1日、恐喝の疑いで、京都市南区(中略)の専門学校生、(中略)容疑者(21)を逮捕した。「間違いない」と容疑を認めている。
(5月1日 産経新聞 「知人女性巡りトラブルか、恐喝容疑で専門学校生を逮捕」より引用)
同署によると、2人の共通の知人女性と被害男性が仲良くしていることに容疑者が因縁をつけたとみられる。同署が詳しい動機を調べる。
逮捕容疑は4月18日、伏見区の男性宅で男性の首を絞めるなどの暴行を加え、コンビニのATMで現金17万円を引き出させ奪ったとしている。男性にけがはなかった。
(後略)
強盗罪と恐喝罪
刑法第236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
刑法第249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
刑法第236条が強盗罪を刑法第249条が恐喝罪を規定しています。
前回のコラムで解説したように、抵抗が困難な程度の暴行や脅迫であったかどうかで強盗罪、恐喝罪のどちらが成立するかが異なってきます。
強盗罪は5年以上の有期懲役であるのに対し、恐喝罪は10年以下の懲役ですので、強盗罪の方が恐喝罪よりも刑罰が重く規定されていることがわかります。
前回のコラムでは、容疑者が行ったとされる暴行が抵抗が困難な程度の暴行だとはいえないと判断され恐喝罪の容疑で逮捕されたのではないかと解説しました。
捜査が進むことで、容疑が切り替わることはありますので、現在恐喝罪で捜査されている事件が強盗罪で起訴される可能性もないとはいえません。
抵抗することが困難な暴行や脅迫であるかどうかは、様々なことから総合的に判断されます。
取調べ時に供述調書が作成されるのですが、この供述調書は裁判の際に証拠として扱われる重要なものであり、意に反した供述調書を作成されることで後に窮地に陥る可能性があります。
暴行や脅迫が抵抗が困難な程度であるかどうかは、社会通念上一般にそうであるかどうかで判断されます。
強盗罪が成立する暴行や脅迫がどういった暴行や脅迫なのか明確な基準があるわけではないため、行った行為が抵抗が困難な程度にあたるか微妙であった場合に、強盗罪が成立するように供述を誘導されることがあるかもしれません。
誘導に乗って供述し、その内容で供述調書を作成された場合には、恐喝罪ではなく強盗罪が成立してしまうおそれがあります。
そういった事態を避けるためにも、弁護士に相談をすることをおすすめします。
取調べ前に弁護士に相談をすることで、意に反した内容の供述調書を防げる可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、無料法律相談、初回接見サービスを行っています。
弁護士に相談をして取調べ対策を行うことで、少しでもよい結果を得られる可能性があります。
強盗罪や恐喝罪の容疑をかけられた場合には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。