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盗撮と児童ポルノの関係とは?

2021-09-27

盗撮と児童ポルノの関係とは?

盗撮と児童ポルノの関係について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

京都府京都市東山区に住んでいるAさんは、近所にある市民プールに行った際、女子更衣室に忍び込んでカメラを仕掛け、更衣室を利用した女性客を盗撮しました。
しかし、女性客らが盗撮用カメラに気づいたことから、京都府東山警察署が盗撮事件として捜査を開始し、ほどなくしてAさんは、京都府迷惑行為防止条例違反(盗撮)と、児童ポルノ禁止法違反の容疑で逮捕されることになりました。
Aさんは、盗撮をした自分が児童ポルノ禁止法違反まで犯していると疑われていることに驚き、家族の依頼で接見に訪れた弁護士に詳しく聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・盗撮行為と児童ポルノ

今回のAさんのような盗撮行為は、実は様々な犯罪に該当する可能性のある行為です。
代表的なものでいえば、各都道府県のいわゆる迷惑防止条例違反が挙げられます。
各都道府県で規定されている迷惑防止条例は、盗撮や痴漢といった行為を禁止しており、京都府も例外ではありません。

京都府迷惑防止条例第3条
第2項 何人も、公共の場所、公共の乗物、事務所、教室、タクシーその他不特定又は多数の者が出入りし、又は利用する場所又は乗物にいる他人に対し、前項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 通常着衣等で覆われている他人の下着等を撮影すること。
第2号 前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣等の中をのぞき込み、又は撮影する機能を有する機器(以下「撮影機器」という。)を通常着衣等で覆われている他人の下着等に向けること。
第3号 前項第6号に規定する機器を使用して、通常着衣等で覆われている他人の下着等の映像を撮影すること。
第3項 何人も、住居、宿泊の用に供する施設の客室、更衣室、便所、浴場その他人が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる他人に対し、第1項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 当該状態にある他人の姿態を撮影すること。
第2号 前号に掲げる行為をしようとして、他人の姿態に撮影機器を向けること。
第4項 何人も、第1項に規定する方法で第2項に規定する場所若しくは乗物にいる他人の着衣等で覆われている下着等又は前項に規定する場所にいる着衣の全部若しくは一部を着けない状態にある他人の姿態を撮影しようとして、みだりに撮影機器を設置してはならない。

京都府では、更衣室での盗撮も条例によって規制されていますから、今回のような更衣室での盗撮行為はまず京都府迷惑防止条例違反となることが考えられます。
注意しなければならないのは、京都府の場合、盗撮目的でカメラを設置することだけでも犯罪となるということです。

次に挙げられるのが、刑法の建造物侵入罪です。
建造物侵入罪は、文字通り建造物に「侵入」することで成立する犯罪ですが、「侵入」とは、管理者の意思に反する立ち入りであると言われています(この解釈については諸説ありますが、現在はこの解釈が一般的とされています。)。
どこかの建物やその内部の部屋に入る際、その人物が盗撮目的であるなら、管理者は立ち入りを許可しないでしょう。
そのため、盗撮目的の立ち入りは建造物侵入罪に該当すると判断されることがあります。

そして、その他にも盗撮行為によって成立しうる犯罪があります。
それが軽犯罪法違反です。
軽犯罪法では、いわゆる「のぞき見」を禁止しているのですが、盗撮することはこの「のぞき見」と同視されており、上記の迷惑防止条例違反や建造物侵入罪に当たらない盗撮行為は、軽犯罪法違反として検挙される事例が多く見られます。

このうち、今回のAさんは、市民プールの更衣室という公衆の利用する場所で通常人が着衣を身に着けない状態でいるような場所を盗撮していたことから、先ほど触れた通り京都府迷惑行為防止条例違反となる可能性が高いと言えるでしょう。
しかし、Aさんはこれに加えて児童ポルノ禁止法違反という犯罪の容疑をかけられています。
実は、先ほど挙げた3つの犯罪の他にも、盗撮した対象、つまり被害者がどういった人か、ということによって、児童ポルノ禁止法違反という犯罪が成立する可能性があります。
いわゆる児童ポルノ禁止法では、児童ポルノを製造することが禁止されています。
児童ポルノとは、18歳未満の児童の裸などの画像や動画、そのデータ等を指します。
つまり、盗撮した対象の中、被害者の中に18歳未満の児童がいた場合、その盗撮した写真が児童ポルノとなり、盗撮行為によって児童ポルノを製造したということになり、児童ポルノ禁止法違反が成立する可能性があるのです。
今回のようにプールの更衣室など、どの年齢層の人も利用する可能性があり、かつ裸になる可能性のある場所での盗撮事件では、被害者の中に児童が含まれている可能性が出てきます。
また、学生を狙った盗撮事件でも、被害者が18歳未満の児童である可能性があります。

さらに、児童ポルノ禁止法では、自動ポルノを盗撮によって製造した場合についての規定もありますから、こちらにも注意が必要です。

盗撮といっても、その対象や場所によって様々な犯罪が成立するため、刑事事件の経験・知識がなければかかっている容疑について把握することも難しい場合があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、盗撮事件・児童ポルノ禁止法違反事件のご相談・ご依頼も受け付けています。
突然の逮捕にどうしていいか分からないとお困りの際は、遠慮なく弊所フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

ストーカーで迷惑行為防止条例違反に?

2021-09-23

ストーカーで迷惑行為防止条例違反に?

ストーカー迷惑行為防止条例違反に問われた事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

京都府亀岡市に住んでいるAさんは、近所に住んでいる隣人Vさんのことを気にくわないと思っており、ことあるごとに対立していました。
Vさんへの嫌悪感を抑えきれなかったAさんは、嫌がらせ目的でVさんにつきまとったり、Vさんの自宅のポストへ「お前のことを監視している」「いつも見ているぞ」という内容の手紙を何度も投函したりしました。
Vさんが「ストーカー被害に遭っている」と京都府亀岡警察署に相談した結果、京都府亀岡警察署が捜査を開始。
その後、Aさんは京都府亀岡警察署に、京都府迷惑防止条例違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、警察から「つきまといなどの嫌がらせの件」で逮捕されたと聞いていたため、てっきりストーカー規制法違反逮捕されていると思ったため、京都府迷惑防止条例違反という罪名を聞いて驚き、弁護士にこれがどういった犯罪なのか詳しく聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・ストーカーで迷惑防止条例違反に

今回の事例でAさんがしていたつきまとうなどの行為から、ストーカーという単語を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
ストーカーとは、元々英語の「stalk」という単語からきている言葉で、「stalk」には忍び寄る、追跡するといった意味があります。
ですから、「ストーカー」という場合には、人のことをこっそりついていく=つきまといなどをする人というイメージが強いでしょう。

では、ストーカー行為によって成立する犯罪として、どんな犯罪を思い浮かべるでしょうか。
多くの方は、いわゆるストーカー規制法をイメージするのではないでしょうか。
文字通り、ストーカー規制法ではストーカー行為を規制しているのですが、今回のAさんは、Vさんへのつきまとい行為等をした結果、京都府迷惑防止条例違反の容疑で逮捕されています。
Aさんのつきまとい行為等はストーカー行為ではないのでしょうか。

ここで、京都府迷惑防止条例(正式名称:京都府迷惑行為等防止条例)を確認してみましょう。

京都府迷惑行為防止条例第6条
何人も、特定の者に対する職場、学校、地域社会、商取引、金銭貸借、係争又は調停の関係に起因する妬み、恨みその他悪意の感情(これらの感情のうち、ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)第2条第1項に規定する怨恨の感情を除く。)を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次に掲げる行為(第1号から第4号までに掲げる行為については、身体の安全若しくは住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復して行ってはならない。
第1号 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ち塞がり、住居等の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
第2号 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
第3号 面会その他の義務のないことを行うことを要求すること。
第4号 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
第5号 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、若しくはファクシミリ装置その他電気通信の手段を用いて送信すること。
第6号 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
第7号 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
第8号 その性的羞恥心を害する事項を告げ、若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し、若しくはその知り得る状態に置くこと。

第1号〜第8号で挙げられている行為は、確かに一般的に「ストーカー」と呼ばれる行為でしょう。
しかし、ストーカー規制法が規制しているストーカー行為は「恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」(ストーカー規制法第2条)で行われるものであると定義されています。
つまり、恋愛感情やそれが満たされなかったことによる怨恨での「ストーカー」でないかぎり、ストーカー規制法違反とはならないのです。
一方で、迷惑防止条例で規制しているストーカー行為は、このストーカー規制法が規制している目的でのストーカー行為以外であるため、今回のAさんのように嫌がらせ目的でつきまとい等をした場合、一般に呼ばれる「ストーカー」であったとしても、ストーカー規制法違反ではなく迷惑防止条例違反となるということになります。

刑事事件では、このように、一般に知られている単語と実際に成立する犯罪の間にギャップがあるケースもあります。
だからこそ、刑事事件専門弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部弁護士がお力になります。
弊所の弁護士は初回無料法律相談や初回接見サービスなど様々なサービスをご用意しています。
まずはお気軽にご相談ください。

少年によるDV事件

2021-09-20

少年によるDV事件

少年によるDV事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

Aさんは、京都市上京区に住んでいる17歳の男子高校生です。
Aさんは、母親と兄弟と一緒に生活していましたが、気にくわないことがあると日常的に母親に対して暴力をふるっていました。
ある日、Aさん宅から激しい物音を聞いて不審に思った隣人が通報したことで、Aさんは暴行罪の容疑で京都府上京警察署逮捕されてしまいました。
Aさん逮捕の連絡を聞いたAさんの祖父母は、家庭内のトラブルが警察沙汰になったことに驚くと同時に、今後どのように対応すべきなのか分からず、困ってしまいました。
そこでAさんの祖父母は、京都府少年事件に対応している弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・DVと少年事件

DVとは、「domestic violence」の略であり、いわゆる家庭内暴力のことを指します。
DVというと、親が子どもに対して暴力を振るうなどするケースが思い浮かびやすいですが、あくまで「家庭内」の暴力であることから、大人が子どもに対して行うものと限定されているわけではありません。
今回の事例のAさんのように、子どもから親への暴力、子どもから大人に対して行うDVも存在します。

令和2年版犯罪白書によると、少年によるDVの認知件数は、平成24年から毎年増加しており、令和元年に認知された少年によるDVは3,596件だったそうです。
令和元年に認知されたDVを就学・就労別に見ると、一番多いのは中学生によるDV(1,525件)であり、その次に高校生(1,082件)、小学生(631件)となります。
特に近年は小学生によるDVが大きく増加しており、前年度に比較して40%も増加しているという数値が出ています。
そして、家庭内暴力の対象としては(同居の家族に限る)、母親が2,187件と最も多く、次いで父親が403件、兄弟姉妹が329件となっています。
さらに、家財道具等に暴力を振るうケースも465件認知されています。
こうした数値を見ると、子どもによるDVは少ないものではないということが分かりますし、近年では小学生という低年齢の子どもによるDV事案も少なくない数があるということが分かります。

DV事件、特に子どもによるDV事件では、「家庭内のトラブルだから大事にはならない」「子どもが反抗しているだけで大したことではない」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、人に暴力を振るう行為は刑法の暴行罪(刑法第208条)に、暴力によって人に怪我をさせれば傷害罪(刑法第204条)となります。
その他にも、DVの態様によっては、器物損壊罪や侮辱罪、名誉毀損罪など、様々な犯罪に触れる可能性があります。
家庭内で起こったこととはいえ、犯罪になることであれば刑事事件少年事件となりうることであり、警察などの捜査機関や裁判所が絡む話になってくるのです。

今回のAさんのような未成年者の起こした少年事件では、少年のその後、更正できる環境を整えることが重要です。
DV事件のように生活の拠点である家庭で起きた少年事件では、特にその環境調整活動に力を入れる必要がありますが、家族が当事者となるため、なかなか当事者だけで今までの問題を解決し環境を改善することは難しいことも多いです。
だからこそ、少年事件を取り扱う専門家の弁護士のフォローを受けながら手続きに臨んでいくことが望ましいと考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、子どもによるDV事件についてもご相談・ご依頼を承っています。
京都府少年事件にお困りの際は、お気軽にご相談ください。

2021年司法試験合格者向け法律事務所説明会

2021-09-16

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、2021年司法試験合格者及び第75期司法修習生予定者を対象に、オンライン事務所説明会への参加申込を以下のとおり受け付けています。刑事事件・少年事件に興味のある司法試験合格者及び第75期司法修習生予定者の方は是非ご参加ください。

あいち刑事事件総合法律事務所説明会概要

開催日時 申込者と個別調整
実施方法 ZoomによるWebオンライン開催(※接続URL等は追ってご案内)
申込方法 エントリー・説明会参加フォーム又は電子メール noritakesaiyou@keiji-bengosi.com 宛で随時受付

あいち刑事事件総合法律事務所の紹介

【事務所概要】
日本では稀有な、刑事事件・少年事件のみを専門的に取り扱う全国的刑事総合法律事務所です。創立以来、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動に従事し、重大著名事件から市民生活に密接した事件まで、数多くの事件をほぼ全分野にわたって幅広く取り扱ってきました。現在は、札幌、仙台、さいたま、千葉、東京(新宿、八王子)、横浜、名古屋、京都、大阪(梅田、堺)、神戸、福岡まで全国13都市に事務所を構えており、経験豊富な弁護士に加え、元裁判官、元検察官、元警察官等の専門領域を持ったエキスパートが集まる専門性の高い職場環境となっています。刑事・少年事件のリーディングファームとして、プロフェッショナル養成のための所内研修及び業務支援制度を整え、高レベルの弁護サービス普及を目指しています。

【京都支部紹介】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、JR・地下鉄京都駅から徒歩5分程度、京阪七条駅から徒歩7分程度のところに位置しており、アクセスにもよい環境です。
現在京都支部では、京都弁護士会所属の弁護士が、主に京都地方検察庁・京都地方裁判所・大津地方検察庁・大津地方裁判所等が管轄する刑事事件・少年事件に日々対応しています。
具体的には、京都府京都市(上京区、下京区、中京区、左京区、右京区、西京区、東山区、山科区、伏見区、南区、北区)、福知山市、舞鶴市、綾部市、宇治市、宮津市、亀岡市、城陽市、向日市、長岡京市、八幡市、京田辺市、京丹後市、南丹市、木津川市、大山崎町、久御山町、井手町、宇治田原町、笠置町、和束町、精華町、南山城村、京丹波町、伊根町、与謝野町といった京都府全域から、隣接する滋賀県大津市、草津市、守山市、栗東市、野洲市、甲賀市、近江八幡市、日野町、竜王町、湖南市、彦根市、愛荘町、豊郷町、甲良町、多賀町、米原市、長浜市、高島市といった滋賀県全域まで対応を行っています。
また、時には福井県や富山県、石川県といった北陸地方の刑事事件・少年事件にも対応するなど、幅広い範囲での弁護活動・付添人活動を行っています。
関西には他にも大阪支部や堺支部、神戸支部がありますが、そういった距離的に近い支部とも協力しながら関西の刑事事件・少年事件の解決に向けて尽力しています。
地理的にも分野的にも幅広く活動することができ、多種多様な刑事事件・少年事件に取り組みたい方にはまさにうってつけの環境といえるでしょう。

【報酬】
年俸600万円〜

【採用求人情報】
司法修習生向け弁護士採用求人情報の詳細をご覧になりたい方は弁護士募集要項を御覧ください。

半グレ同士の喧嘩で傷害事件

2021-09-13

半グレ同士の喧嘩で傷害事件

半グレ同士の喧嘩で傷害事件を起こしてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府木津川市に住む18歳のAさんは、自身の通う高校の卒業生であり、素行のよくないBさんらが組織する、いわゆる半グレ集団に所属していました。
Aさんは半グレの仲間たちとたびたび夜間に外出したり学校をさぼったりしていました。
ある日、京都府木津川市内で、Aさんが所属している半グレグループとは異なる半グレグループXと喧嘩になってしまい、AさんはBさんらと一緒になって半グレグループXに所属している人たちを殴ったり蹴ったりして暴行し、怪我を負わせてしまいました。
喧嘩を目撃した人が通報したことにより、Aさんは半グレの仲間たちと一緒に京都府木津警察署に傷害罪の容疑で逮捕されることになりました。
Aさんは自身が逮捕されるほどの大事を起こしてしまったことに動揺し、両親が逮捕を知って悲しんでいることを知って、半グレから抜けて更生したいと思っているようです。
(※この事例はフィクションです。)

・「半グレ」とは?

ニュースなどで「半グレ」「半グレ集団」といった言葉を耳にしたことのある方もいらっしゃるかもしれません。
半グレは、暴力団に所属せずに犯罪を繰り返す不良集団のことを指しているとされています。
半グレの「グレ」は、不良などになることを指す「グレる」という言葉や、暴力団に所属していないながらも犯罪を繰り返すことから「グレーゾーン」であることなどによるとされています。

この半グレは、暴力団とは異なりその構成は若者が中心となっているといわれています。
暴力団のように上下関係がはっきりしてピラミッドのように組織が作られているわけではなく、暴走族等からそのまま半グレに移行したり、年代でまとまったりして半グレになったりということもあるようです。
そのため、先輩後輩関係から10代で半グレ集団と関わってしまうこともあると考えられるのです。

・喧嘩による傷害事件

多くの場合、人に暴力をふるえば刑法の暴行罪が、それによって相手に怪我をさせてしまえば傷害罪が成立します。
殴る蹴るの喧嘩となった場合、これらの犯罪の成立が考えられます。

刑法204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法208条(暴行罪)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

今回のAさんは18歳であるため、少年事件として扱われ、基本的に刑罰を受けることにはならないと考えられます。
しかし、成人の刑事事件として考えれば、集団で暴行をはたらいたことによる傷害事件は悪質性・危険性の高い犯行であると判断され、厳しい処分が下される可能性も考えられます。

・半グレと少年事件

先ほど触れたように、半グレの構成は若者が多いことから、10代の未成年者であっても半グレに所属してしまう可能性はあります。
Aさんも半グレに所属しており、そこで傷害事件を起こしてしまっているようです。

先述したように、未成年者が犯罪をしてしまった場合には、少年事件として処理されていくことになります。
少年事件で重視されるのは、少年自身が更生するのに適切な環境が整えられるのか否かということです。
例えば、半グレに所属して少年事件を起こしてしまったのに、その半グレとの関係を断ち切れない、断ち切る気がないといった環境のままでは、少年を現在の環境に戻して更生させることは難しいと判断されてしまいやすいと考えられます。

今回のAさんのような少年事件では、Aさん自身がやってしまったことを反省し、被害者への謝罪の気持ちをもつことはもちろんですが、これからの生活でどのような点を改めて再犯を防止していくのかということも重要なのです。

そうした環境の調整やその調整活動の証拠化には、少年事件に強い弁護士のサポートが心強いでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、少年事件も専門に扱う弁護士が初回無料法律相談や初回接見サービスも行っておりますので、まずはお問い合わせください(0120-631-881)。

無届風俗営業で風営法違反

2021-09-09

無届風俗営業で風営法違反

無届風俗営業風営法違反に問われたケースついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

Aさんは京都市左京区で男性客をメインの顧客とする個室マッサージ店を経営していました。
このマッサージ店は、表向きは一般のマッサージ店を装っていましたが、その実態は、マッサージと称して性的なサービスも提供されている、風俗店でした。
Aさんの店が無届営業をしている風俗店であるという通報があったことで京都府川端警察署が捜査を開始。
京都府川端警察署の捜査によって、Aさんのマッサージ店の内偵捜査等が行われ、ついにAさんは風営法違反の疑いで逮捕されました。
(※この事例はフィクションです。)

・風営法違反

風営法とは、正式名称を「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」という名前の法律で、風俗営業等に関してその営業時間や営業場所を制限し、青少年の立ち入りを規制することによって、風俗業務の適正化を図ることを目的としています。

風営法が規制の対象とする風俗営業等には、第2条第1項の定義する風俗営業や、同第4項が定義する接待飲食等営業、同第5項が定義する性風俗関連特殊営業などがあります。
そのうち性風俗関連特殊営業は、店舗型性風俗関連特殊営業無店舗型性風俗特殊営業映像送信型性風俗特殊営業店舗型電話異性紹介営業と無店舗型電話異性紹介営業に分けられます。
今回のAさんのケースでは、お店で性的なサービスを行っていますので、Aさんのお店が店舗型性風俗関連特殊営業に当たらないかが問題となります。

店舗型性風俗関連特殊営業について、風営法は以下のように定義しています。

風営法第2条第6項
この法律において「店舗型性風俗特殊営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。

第1号 浴場業(公衆浴場法(昭和23年法律第139号)第1条第1項に規定する公衆浴場を業として経営することをいう。)の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業
第2号 個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業(前号に該当する営業を除く。)
第3号 専ら、性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態を見せる興行その他の善良の風俗又は少年の健全な育成に与える影響が著しい興行の用に供する興行場(興行場法(昭和23年法律第137号)第1条第1項に規定するものをいう。)として政令で定めるものを経営する営業
第4号 専ら異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む。以下この条において同じ。)の用に供する政令で定める施設(政令で定める構造又は設備を有する個室を設けるものに限る。)を設け、当該施設を当該宿泊に利用させる営業
第5号 店舗を設けて、専ら、性的好奇心をそそる写真、ビデオテープその他の物品で政令で定めるものを販売し、又は貸し付ける営業
第6号 前各号に掲げるもののほか、店舗を設けて営む性風俗に関する営業で、善良の風俗、清浄な風俗環境又は少年の健全な育成に与える影響が著しい営業として政令で定めるもの

これらの具体例を挙げてみると、ソープランドなどが第1号に、店舗型ファッションヘルスなどが第2号に、ストリップ劇場などが第3号に、ラブホテルなどが第4号に、アダルトグッズショップなどが第5号に、出会いカフェなどが第6号に、それぞれ当たると考えられます。
今回の事例のAさんのお店は、表向きは一般的なマッサージ店を称しているものの、個室で性的なサービスを行っていることから、実質的にはこのうちの第2号営業に当たると考えられます。

風営法上、これらの風俗営業や性風俗関連特殊営業を行う際には、管轄する都道府県公安委員会に届出を行わなければならず、風俗営業の場合は許可も必要になります(風営法第3条、同第27条)。
性風俗関連特殊営業の営業の届出をしなかった場合、6月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金または併科に処されます(風営法第52条)。

さらに、店舗型性風俗関連特殊営業は、一部の官公庁、学校、図書館、児童福祉施設やその他各都道府県が定める条例で指定された区画の周囲200メートルの区域内で営業することを禁止されています(風営法第28条)。

性風俗関連特殊営業を営業禁止区域内で営業した場合には、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金または併科に処されます(風営法第49条)。

事件の概要からは明らかではありませんが、Aさんが経営するマッサージ店は無届営業もしくは禁止区域内営業またはその両方で摘発を受け、Aさんが逮捕されるに至ったものと考えられます。

無届営業や禁止区域内営業による風営法違反では被害者と呼べる存在がなく、示談によって解決を図ることが難しいため、被害者対応以外の活動によって釈放を求めたり刑の減軽を求めたりしなければなりませんから、早急に刑事事件に強い弁護士に事件を相談・依頼し、事案に応じた適切な対応をとることが重要になります。
どういった弁護活動が可能であり効果的であるのかは、専門家でなければ分からないでしょう。
だからこそ、刑事事件を取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部へお気軽にご相談ください。
0120-631-881では専門スタッフがご相談者様に合ったサービスをご案内しています。

振り込め詐欺の組織犯罪処罰法違反事件

2021-09-06

振り込め詐欺の組織犯罪処罰法違反事件

振り込め詐欺組織犯罪処罰法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

京都府京田辺市在住のAさん(18歳)は、自由に使えるお金が少ないことから、SNSで稼げるバイトがないか探しました。
そしてAさんは、SNSを通じて京都府内で活動している振り込め詐欺グループに参加して報酬をもらうようになりました。
しかし、振り込め詐欺の被害が相次いだことから捜査を開始した京都府田辺警察署の捜査により、Aさんら振り込め詐欺グループの存在が判明。
しばらくして、Aさんは振り込め詐欺グループのメンバーと共に、組織犯罪処罰法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、聞き慣れない犯罪でAさんが逮捕されたことに困惑し、京都府内の逮捕に対応してくれる弁護士を探すと、Aさんへの接見を依頼しました。
(※この事例はフィクションです。)

・組織犯罪処罰法とは

組織犯罪処罰法とは、文字通り、組織的に行われた犯罪への処罰を強化し、組織犯罪の防止を行う法律で、正式名称を「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」という法律です。
組織犯罪処罰法によれば、刑法上の詐欺罪にあたる犯罪行為を、団体の活動として、詐欺罪にあたる行為をするための組織によって行われた場合、1年以上の有期懲役に処するとされています。

組織犯罪処罰法第3条第13号
次の各号に掲げる罪に当たる行為が、団体の活動(団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するものをいう。以下同じ。)として、当該罪に当たる行為を実行するための組織により行われたときは、その罪を犯した者は、当該各号に定める刑に処する。
第13号 刑法第246条(詐欺)の罪 1年以上の有期懲役

振り込め詐欺グループは、振り込め詐欺をするために徒党を組んでいる団体ですから、「団体の活動」として振り込め詐欺詐欺罪に当たる行為をしているということになります。
つまり、振り込め詐欺グループが何件も振り込め詐欺を繰り返しているような場合、まさにこの組織犯罪処罰法違反となってしまう可能性が高いのです。

刑法上の詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役ですから、「1年以上」と刑罰の下限が設定されている分、組織犯罪処罰法違反の方が重い刑罰が規定されていることが分かります。
上記Aさんは未成年者ですから、原則刑事罰を受けることはありませんが、振り込め詐欺グループに所属し、繰り返し振り込め詐欺を行っていたとなると、少年院送致といった厳しい処分も考えられます。
少年の更生にとって振り込め詐欺グループとの交流がある環境はいい影響を与えない=一度その環境から切り離さなければ少年は更生できないだろうと判断される可能性があるからです。

さらに、組織犯罪処罰法違反事件では複数の共犯者が存在するため、捜査段階で逮捕や勾留といった身体拘束がなされる可能性が高いです。
共犯者との連絡を絶つために、接見禁止処分(弁護士以外が面会できない処置)とされる可能性もあります。

ですから、たとえ未成年の少年事件であったとしても、組織犯罪処罰法違反事件の場合、すぐに専門家である弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、24時間体制でお問い合わせを受け付けております(0120−631−881)。
逮捕・勾留されている方には、上記フリーダイヤルにて、初回接見サービスのご案内もしております。
逮捕されてしまったら、弁護士への相談は早すぎるということはありません。
まずはお気軽にお電話ください。

自白と自首は違う?

2021-09-02

自白と自首は違う?

自白自首は違うのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

Aさんは、京都市西京区に住んでいる21歳の大学3年生です。
Aさんは、小遣い欲しさに振り込め詐欺グループの募集していた闇バイトに応募しました。
そして、振り込め詐欺グループから渡された通帳やキャッシュカードを利用してATMからお金をおろすと、そのお金を振り込め詐欺グループに渡して報酬をもらうという、いわゆる「出し子」の役割をしていました。
Aさんがこうした闇バイトを開始してしばらくした頃、いつも通りにATMでお金をおろそうとしたAさんの元に、京都府西京警察署の警察官がやってきて、Aさんは職務質問を受けました。
どうやら過去の出し子行為の際にATMの防犯カメラなどに映っていた映像をもとに捜査が進められ、Aさんに目星がつけられていたようでした。
Aさんは、警察官に問い詰められて出し子行為を認めて自白し、京都府西京警察署に逮捕されてしまいました。
Aさんは、家族の依頼で接見に訪れた弁護士に、「職務質問の時点で認めて自白したのだから、自首したことになって罪が軽くならないか?」と相談しました。
(※この事例はフィクションです。)

・自首は必ず罪が軽くなる?

多くの方が「自首をすれば罪が軽くなる」というイメージをお持ちなのではないでしょうか。
刑事事件をモチーフにしたドラマや映画などでも、「自首して罪を軽くしよう」といった話が出ることもあります。
しかし、こうしたイメージに反して、実は自首をしたからといって必ず罪が軽くなるというものではありません。

刑法第42条第1項
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

刑法に定められている自首は「その刑を減軽することができる」となっているため、あくまで刑の減軽は任意的なものであることがわかります。
ですから、自首が成立したからといって必ずしも刑罰が軽くなるというわけではないのです。
ですが、自首をするということは、自発的に罪を認めて出頭するということですから、反省の度合いが深いことなどを表すことにつながり、刑の減軽を主張するために有利な事情になることに違いはありません。

・自白と自首は違うもの?

では、今回の事例のAさんのように、職務質問などをされてその場で罪を認めて自白したというようなケースは「自首」とならないのでしょうか。

自首の条文を見てみると、「捜査機関に発覚する前に」「自首」することが自首成立の要件となっています。
これは、犯罪の事実が捜査機関に発覚していない場合、もしくは犯罪の事実は捜査機関に発覚していてもその犯人が誰かは捜査機関に発覚していない場合(「捜査機関に発覚する前に」)に、自発的に自己の犯罪事実を申告して訴追を求めること(「自首」)を指しています。

この自首成立のための条件を考えると、職務質問で警察官から声をかけられ、その末に自白したような場合には、刑法上の「自首」が成立する可能性は低いと考えられます。
今回のAさんのような職務質問で自白に至った場合はもちろん、警察署に任意同行されて取り調べを受けそこで自白した場合、警察から取り調べのための呼び出しを受けて出頭し自白した場合なども刑法上の「自首」には当たらないでしょう。

自ら罪を認めるという点では「自白」も「自首」も重なるところがあるかもしれませんが、法律上は意味が異なるものとなっています。
刑事事件では、一般に知られた言葉でも法律上の意味は一般に浸透していないこともあります。
だからこそ、刑事事件の当事者になってしまったら、専門家である弁護士に早い段階で相談・依頼し、手続きや意味について早期に理解しておくことが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門の弁護士逮捕された方向けの初回接見サービスもご用意しています。
京都府の逮捕にお困りの際は、お気軽にご相談・ご依頼ください。

触法少年と児童相談所

2021-08-26

触法少年と児童相談所

触法少年児童相談所について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府八幡市の中学校に通う12歳のAさんは、ある日、近所に住んでいる女性Vさんに注意されたことをきっかけにVさんと口論になりました。
そして、AさんはVさんに対して暴行を加え、Vさんに全治1ヶ月の大けがを負わせてしまいました。
その様子を目撃した通行人が京都府八幡警察署に通報たことで、京都府八幡警察署の警察官が現場へ駆け付け、Aさんを要保護児童として一時保護し、児童相談所に通告することにしました。
京都府八幡警察署からの連絡でAさんが児童相談所に保護されたことを知ったAさんの家族は、少年事件を取り扱っている弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・触法少年事件と一時保護

14歳未満の少年が犯罪に該当する行為を行った場合、触法少年事件と呼ばれ、その少年のことは触法少年と呼ばれます。
刑法では、14歳未満の者について刑事責任能力をないものとし、罰しないとしています。

刑法第41条
14歳に満たない者の行為は、罰しない。

そのため、14歳未満の少年が犯罪に該当する行為をした場合、つまり、触法少年事件の場合、触法少年が逮捕されることはありません。
つまり、14歳未満の少年が犯罪に該当する行為をしたとしても、刑法上14歳未満は刑事責任能力がないとされてることからそもそも犯罪が成立しないため、逮捕できないのです。

では、触法少年少年事件を起こしても全く身体拘束を受けることがないのかというと、そうではありません。
児童福祉法では、児童相談所長が必要と認める時には「一時保護」を行う、または行わせることができるとされています。

児童福祉法第33条第1項
児童相談所長は、必要があると認めるときは、第26条第1項の措置を採るに至るまで、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため、児童の一時保護を行い、又は適当な者に委託して、当該一時保護を行わせることができる。

このうち、「第26条第1項の措置」とは、児童やその保護者を福祉施設へ送致する等の措置を指します。

上記事例のAさんも、要保護児童(保護の必要がある児童)として一時保護されています。
一時保護は原則として保護者や子ども自身の同意が必要ですが、子どもを放置することでその子どもの福祉を害すると判断された場合はその限りでないとされています(児童相談所運営指針より)。

・児童相談所への通告

先ほど挙げたように、刑法第41条の規定により、14歳未満の者が犯罪に該当する行為をしても犯罪は成立しない(罰せられない)ということになります。
しかし、刑法上犯罪が成立しない(罰せられない)からといって、少年事件を起こした触法少年に対して何の手続きも処分もなく少年事件が終わるということではありません。

少年法では、触法少年について、警察官の調査の結果、「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪」、「死刑又は無期若しくは短期2年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪」に触れると考えられるときや、「家庭裁判所の審判に付することが適当であると思料するとき」に、児童相談所長に事件を送致しなければならないとされています。

少年法第6条の6第1項
警察官は、調査の結果、次の各号のいずれかに該当するときは、当該調査に係る書類とともに事件を児童相談所長に送致しなければならない。
第1号 第3条第1項第2号に掲げる少年に係る事件について、その少年の行為が次に掲げる罪に係る刑罰法令に触れるものであると思料するとき。
イ 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪
ロ イに掲げるもののほか、死刑又は無期若しくは短期2年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪
二 前号に掲げるもののほか、第3条第1項第2号に掲げる少年に係る事件について、家庭裁判所の審判に付することが適当であると思料するとき。

さらに、児童福祉法では、要保護児童を発見した者は、児童相談所へ通告しなければならないとされています。

児童福祉法第25条第1項
要保護児童を発見した者は、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。
ただし、罪を犯した満14歳以上の児童については、この限りでない。
この場合においては、これを家庭裁判所に通告しなければならない。

この児童相談所への通告を要する要保護児童とは、「保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童」(児童福祉法第6条の2第8項)とされています。
この要保護児童の定義には、不良行為や犯罪行為をしたり、そういった行為をするおそれのある児童を含みますから、触法少年も要保護児童に該当するケースが多いのです。

そして、この児童相談所への通告や送致がなされると、そこから、触法少年に対してどのような処遇がなされるのか決定されます。
具体的には、訓戒を与えたり、児童自立支援施設等に入所させたり、家庭裁判所に送致して審判を受けたりという処遇が挙げられます。
このうち、家庭裁判所へ送致されて審判を受けるということになれば、それまでの期間に家庭裁判所調査官からの調査を受け、少年事件を起こしてしまった原因や今後少年が再犯をせずに更生するために必要なことを専門的に探っていくことになります。
その後、少年の更生に適切であると考えられる処分、例えば少年院や児童自立支援施設への送致や保護観察処分などが下されることになります。

少年事件では、少年の更生により適切な環境・処分となるよう、少年自身だけでなく少年の周りの環境も整えていく必要があります。
この環境調整活動は、当事者のみで行うよりも専門家のサポートを受けて行っていくことでより効果的なものになると考えられます。
さらに、今回のAさんの事例のように、被害者が存在する少年事件では被害者対応も必要となってくるでしょうから、まずは少年事件を取り扱っている弁護士に相談してみることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、触法少年事件を含む少年事件・刑事事件を取り扱っています
少年事件は成人の刑事事件とは異なる手続きや処分があることでイメージしづらい部分も多いですが、触法少年事件となるとより一般の方に分かりづらくなってしまうおそれもあります。
まずは弁護士の話を聞くだけでも少年事件の全体像を把握しながら手続きに臨むことが期待できますから、お気軽にご相談ください。

覚醒剤使用事件と再犯防止の弁護活動

2021-08-23

覚醒剤使用事件と再犯防止の弁護活動

覚醒剤使用事件再犯防止の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都市北区に住んでいる会社員です。
Aさんは、以前から覚醒剤に興味を持っており、SNSを通じて覚醒剤を購入すると、自分で使用するようになりました。
Aさんが覚醒剤を使用するようになってしばらくしてから、Aさんと同居する家族がAさんの挙動がおかしいことに気付き、京都府北警察署に相談したところ、京都府北警察署が捜査を開始し、Aさん宅へ家宅捜索へ入りました。
そこでAさんの所持していた覚醒剤が発見され、さらにAさんの簡易鑑定の結果が要請であったため、Aさんは覚醒剤取締法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、覚醒剤には依存性があると聞いたことがあったため、Aさんが今後同じことを繰り返さずに社会復帰できるようにしてあげたいと考え、京都市の覚醒剤事件に対応している弁護士に今後について相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・覚醒剤の使用と犯罪

多くの方がご存知の通り、覚醒剤は持っているだけでも犯罪となる違法薬物ですし、もちろん使用することも犯罪となります。
覚醒剤取締法では、覚醒剤の所持や使用を以下のように規制しています。

覚醒剤取締法第41条の2
第1項 覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第42条第5号に該当する者を除く。)は、10年以下の懲役に処する。
第2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、1年以上の有期懲役に処し、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金に処する。
第3項 前二項の未遂罪は、罰する。

覚醒剤取締法第41条の3第1項
次の各号の一に該当する者は、10年以下の懲役に処する。
第1号 第19条(使用の禁止)の規定に違反した者

覚醒剤の所持や使用は、「10年以下の懲役」という重い刑罰が設定されています。
罰金刑のみの規定がないことから、覚醒剤の所持や使用による覚醒剤取締法違反で起訴されるということは必ず公開の法廷で裁判をするということであり、有罪になるということは執行猶予が付かない限り刑務所に行くということです。

・覚醒剤取締法違反と再犯防止

上記事例のAさんのように、覚醒剤使用事件などの違法薬物に関連する刑事事件では、同居する家族などが様子のおかしいことに気付いて警察に通報したり相談したりすることで発覚することもあります。
こうしたケースでは、通報したご家族が、覚醒剤を使用してしまった人に対して嫌がらせで通報や相談をするわけではなく、どうにか助けることはできないかと苦渋の決断をして通報や相談をされているケースも多いです。
今回の事例のAさんの家族が心配しているように、覚醒剤に依存性があることは広く知られています。
さらに、覚醒剤の使用が続くことで、心身に影響を及ぼしてしまうことも多くの方がご存知でしょう。
こういった悪影響を避けてやりたいという一心で、ご家族などが警察への通報や相談に及ぶケースもあるのです。

しかし、今回の事例のAさんがそうであるように、覚醒剤に関わる刑事事件では、被疑者が逮捕され、身体拘束されてしまうことが多いです。
覚醒剤自体が隠滅しやすいものであることに加え、売買などで関わっている事件関係者が多く口裏合わせが疑われることなどがその理由です。
一度逮捕・勾留されてしまえば、釈放されるまでの期間は強制的に社会と離れることとなってしまいますから、ご家族としては、覚醒剤の使用からの脱却と合わせて、できるだけ早くスムーズに社会復帰をさせたいと考えられることでしょう。

覚醒剤の再犯防止活動としては、専門機関でのカウンセリング・治療を受けるなど専門家のサポートを受けることや、本人の反省を深めるための振り返り、それまでの薬物に関連した人間関係を断つことなどが主だった活動として挙げられるでしょう。
こうしたカウンセリング・治療などは早期に取り組みはじめ、継続することが大切ですから、釈放を求める活動と合わせて開始することが望ましいでしょう。
再犯防止活動に取り組むことは、覚醒剤を使用してしまった本人の今後のためになることはもちろん、裁判等で寛大な処分を求めていくときにも有利に働く事情となり得ます。
公判活動のためにも、刑事事件の当事者となった人のためにも、早期に活動の準備・開始ができるよう、まずは刑事事件の専門家に相談してみましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、覚醒剤使用事件などの薬物事件に関するご相談・ご依頼も受け付けています。
まずはお気軽にご相談ください。

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