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【事例紹介】無免許運転による事故と犯人隠避罪

2022-09-01

京都市下京区で起きた無免許運転事故を基に、無免許運転、事故不申告、犯人隠避罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警下京署は30日、道交法違反(無免許運転、事故不申告)の疑いで、京都市南区の解体業の男(21)を逮捕した。

逮捕容疑は8月4日午後6時45分ごろ、下京区で軽ワゴン車を無免許運転し、(中略)ワゴン車に追突してそのまま逃げた疑い。

(中略)事故の約1時間後に20代の同僚男性が身代わりで出頭しており、犯人隠避容疑で男性を調べる。

(8月30日 京都新聞 「無免許運転し車に追突、逃げた疑い 京都の21歳男を逮捕 同僚が身代わり出頭」より引用)

無免許運転と事故不申告

無免許運転は道路交通法第64条1項で禁止されています。
また道路交通法では、交通事故を起こした場合の措置について規定されており、事故の申告については第72条第1項で義務付けられています。

無免許運転で有罪になった場合は3年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金(道路交通法第117条2の2第1項)、事故不申告で有罪になった場合は3月以下の懲役か5万円以下の罰金(道路交通法第119条第1項第10号)がそれぞれ科されます。

事例の男性は無免許運転で事故の報告をしていないので、男性が有罪になった場合は3年3月以下の懲役か、55万円以下の罰金のどちらかが科されます。(無免許運転と事故不申告は併合罪になります。)

犯人隠避罪

大まかにいうと、犯人隠避罪は、罰金刑以上の犯罪を起こした人が警察官などに逮捕されたり捜査の対象になったりすることのないように手助けした場合に適用されます。
犯人隠避罪は刑法第104条で規定されており、有罪になると3年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。

事例の同僚男性のように、犯人の代わりに出頭する行為は隠避にあたります。
加えて、事例で事故を起こした男性は無免許運転と事故不申告の罪に問われており、どちらも有罪になれば罰金以上の刑が科されます。
今回の事例では、有罪になれば罰金刑以上が科される男性が無免許運転などの罪に問われないように、同僚男性が代わりに出頭しているので犯人隠避罪が適用されます。

犯人隠避罪で実際に有罪になってしまった場合、どれくらいの量刑が科されるのでしょうか。
犯人隠避罪で争われた裁判例をご紹介します。
※ご紹介する裁判例は事件内容などが異なります。

その事件の被告人はA鉄道会社のB自動車営業所でバスの運転手をしていました。
被告人と同じくB営業所で働いていたCさんは運転免許が失効しているにもかかわらず、無免許でバスを運転しており、バスの運転中に事故に遭遇しました。
警察が事故の捜査をしていることを知った被告人の上司であるD、E、FさんはCさんの処罰を免れるために、被告人がCさんの代わりに警察に名乗りでるように頼みました。
その後、被告人はCさんの代わりに出頭し、虚偽の供述をすることでCさんを隠避させました。

裁判では、被告人の行為により無免許運転の発覚が遅れたことなどから被告人の刑事責任は軽微なものとはいえないと判断されました。
しかし、被告人が上司の命令を断ることは困難な面もあり、社会的制裁も受けていることなどが考慮され、被告人は懲役10月執行猶予2年が言い渡されました。
平成15年10月8日 名古屋地方裁判所岡﨑支部より

今回の事例の同僚男性も、裁判例と同様に無免許運転だと知りながら身代わりに出頭しました。
裁判例と事件内容が異なる部分もありますが、事例の同僚男性も裁判例と同様の執行猶予付きの懲役刑や実刑判決が下される可能性があります。

家族や友達が犯罪行為をしたときに、軽い気持ちであっても身代わりに出頭すれば犯人隠避罪に問われることになります。
犯人隠避罪無免許運転、事故不申告はどれも有罪となった場合に懲役刑が下される可能性があります。
弁護活動により、不起訴処分や罰金刑を得られる可能性がありますので、犯人隠避罪、無免許運転や事故不申告による道路交通法違反で逮捕・捜査された際は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【事例紹介】綾部市で起きた脅迫による暴力行為等処罰法で逮捕

2022-08-30

京都府綾部市で起きた脅迫による暴力行為等処罰法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警綾部署は29日、暴力行為等処罰法違反の疑いで、住居不詳、無職の女(34)を逮捕した。

逮捕容疑は(中略)持参してきたはさみを男性職員(42)の額に突きつけ(中略)脅した疑い。容疑を認めているという。

(8月29日 京都新聞 「「逃げるんか」市職員の額にはさみ突きつけて脅す 容疑で34歳女を逮捕」より引用)

暴力行為等処罰法

暴力行為等処罰法(暴力行為等処罰に関する法律)第1条
団体もしくは多衆の威力を示し、団体もしくは多衆を仮装して威力を示しまたは凶器を示しもしくは数人共同して刑法第208条、第222条または261条の罪を犯したる者は3年以下の懲役または30万円以下の罰金に処す。

刑法第208条では暴行罪、第222条では脅迫罪、第261条では器物損壊等罪がそれぞれ規定されています。

簡単に説明すると、脅迫罪は、生命や身体などに害を加えることを相手に伝えて脅した際に適用される犯罪です。
今回の事例の女性は男性職員にはさみを突き付けて脅しているので、男性職員の身体に対して害を加えるということを男性職員に伝えて脅しているといえ、脅迫罪が適用されると考えられます。
加えて、女性は脅す際にはさみを用いています。
凶器を用いて刑法第222条(脅迫罪)の罪を犯した場合は、暴力行為等処罰法の第1条に違反することになります。
ですので、今回の事例の女性が有罪となった場合は、3年以下の懲役か30万円以下の罰金が科されることになります。

では、実際に、暴力行為等処罰法違反で有罪になった場合、どのような量刑が科されるのでしょうか。

今年の8月に埼玉県で起きた、凶器のカッターナイフを用いてバスの乗客を脅した事件では、暴力行為等処罰法違反(暴力行為法違反)で送検され、略式起訴により罰金刑が科されました。
(8月27日 埼玉新聞 「路線バス内でカッターナイフ…凶行寸前に取り押さえられた男、不起訴に 暴力行為法違反では略式起訴」より)

略式起訴(略式手続)を大まかに説明すると、公判を行わずに非公開の場で罰金や科料の支払いを命じ、それによって刑事手続きを終了させる手続きのことです。
略式起訴は公判に比べて時間がかかりませんし、公判のように審理が公開されるわけではないため、時間的な負担や、周囲に刑事事件を知られるリスクが少なく刑事事件を終わらせることができます。
しかし、略式起訴で罰金刑になった場合でも、前科がつくことになってしまいますから、前科を回避したいとお考えの場合には、早い段階から不起訴処分を目指して活動を行う必要が出てきます。
不起訴処分を目指すには、被害者の方との示談締結や再犯防止策の構築などが有効ですが、これらの活動を当事者だけで行うには難しいため、弁護士へのご相談・ご依頼が望ましいでしょう。
暴力行為等処罰法違反でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【事例紹介】猫を殺害、動物愛護法違反で逮捕

2022-08-27

京都市北区で起きた動物愛護法違反事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

ペットショップで購入した猫を殺したとして、京都府警生活保安課と北署は24日、動物愛護法違反の疑いで、京都市北区の無職男(42)を再逮捕した。

逮捕容疑は6月25日~7月23日、メスの猫1匹を何らかの方法で殺害した疑い。
男は「血が出るまで爪を切ったが、他のことは身に覚えがない」などと容疑を否認しているという。

(中略)
府警が今月3日、別の猫を殺した疑いで男を逮捕し、自宅を捜索したところ、冷凍庫からビニールに包まれた猫の死骸が見つかったという。

(8月24日 京都新聞 「血が出るまで爪切った」ペットショップで購入の子猫殺害 容疑で男を再逮捕」より引用)

動物愛護法

動物愛護法は「動物の愛護及び管理に関する法律」の略称です。

愛護動物を殺したり、虐待を行った場合は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処されます。(動物愛護法第44条1項)

今回の事例で考えてみると、猫は愛護動物に含まれますので、今回の事例の男性の行為によって猫が死んでしまったと認められ有罪となった場合は、5年以下の懲役か500万円以下の罰金が科されることになります。

動物愛護法違反の裁判例

実際に愛護動物を殺したり虐待した場合はどのような量刑が科されるのでしょうか。
動物を虐待により殺傷してしまった事件と怪我を負わせてしまった事件の裁判例をそれぞれご紹介します。
※ご紹介する裁判例は事例とは事件内容などが異なります。

被告人は5カ所で6匹の猫を空気銃で撃ち、2匹を殺し、4匹に大腿骨折などの怪我を負わせました。
6匹の猫以外にも、被告人は2年半にわたって80~100回程度、猫を空気銃で撃っていました。
被告人は、銃刀法違反(銃砲刀剣類所持等取締法)、動物愛護法違反で有罪となり、懲役1年6月執行猶予3年の判決が下されました。
※銃刀法違反で有罪となった場合の量刑は以下になります。
空気銃を違法に所持した場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金(銃刀法第31条の16第1項第1号)
所持を許可された者が正当な理由なく携帯・運搬をした場合、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金(銃刀法第31条の18第1項)
所持を許可された者が練習場を除いて被害防止のため殺傷・捕獲する目的以外で発射する場合、3年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金(銃刀法第31条の16第3項)
(2021年11月8日 千葉日報 「【速報】猫殺傷 被告に懲役1年6月、執行猶予3年 千葉地裁判決 「強固な犯意あり計画的」参考)

男性はストレスを理由に、飼い猫に消毒用アルコールを浴びせて火のついた割りばしを押し付けました。
猫の耳は焼きただれ、腹部の毛は抜け落ち、全身にやけどが広がりました。
翌日、男性は猫を動物病院へ連れて行き、虐待を打ち明けました。
男性は猫を連れて動物病院へ受診したことが考慮され不起訴処分となりましたが、その後の検察審査会の判断によって略式手続により罰金10万円が科されました。
(2022年1月1日 産経新聞 「飼い猫に火で不起訴が一転、動物虐待許さず」参考)

空気銃により猫を2匹殺し、4匹に怪我を負わした事件では、銃刀法に違反しているとはいえ懲役1年6月執行猶予3年の判決が下されています。
また、猫にやけどを負わせた事件では、一度は不起訴処分になったものの罰金刑が言い渡されています。
おそらく今回の事例の男性は、2匹の猫の死の原因が男性によるものだと認められた場合、何らかの刑事罰が科されるでしょう。
動物愛護法違反は軽い犯罪ではありません。
実刑判決を回避し、罰金刑になった場合でも前科になります。
前科がついてしまうと資格のはく奪など日常生活に影響が出る可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
動物愛護法違反で逮捕・捜査された際には、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】京都市中京区の詐欺事件、窃盗罪で逮捕

2022-08-25

事例

京都府警中京署は25日、窃盗の疑いで、神戸市中央区の会社員の男(37)を逮捕した。
逮捕容疑は、共謀して7月27日、百貨店従業員などをかたり、京都市中京区の女性(85)宅に「クレジットカードが不正利用されている」と電話し、女性宅を訪れてキャッシュカード4枚を盗み取った疑い。
(中略)
中京署によると、男は同27~28日、キャッシュカード4枚を使い、京都市内の金融機関のATMで計300万円を引き出したという。

(8月25日 京都新聞 「百貨店員かたり高齢女性のカード盗む 300万円引き出し 容疑で会社員男逮捕」より引用)

今回の事例では詐欺罪が適用されないのか疑問に思われた方もいると思います。
実際に、身分を偽ってキャッシュカードなどを不正に入手する行為は詐欺事件でよく使われる手口です。
今回の事例の男性はなぜ詐欺罪ではなく窃盗罪の容疑で逮捕されたのでしょうか。
今回のブログでは、窃盗罪と詐欺罪について解説していきます。

窃盗罪と詐欺罪

まずは、窃盗罪と詐欺罪の条文を見ていきましょう。

刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。

刑法第246条第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

刑法第235条が窃盗罪、刑法第246条第1項が詐欺罪の条文になっています。

簡単に窃盗罪、詐欺罪を説明すると、人の物を盗むと窃盗罪、人をだまして物を交付させると詐欺罪にあたります。
詐欺罪が適用されるためには、人をだますことと、物を交付させることが必要になります。

今回の事例では、百貨店従業員などをかたって不正利用されているとうその電話をしていることから、人をだます行為を行っていることがわかります。
次に、交付をさせたかどうかが問題になりますが、このような特殊詐欺事件の場合、キャッシュカードや現金の受け取り方方法により、交付させたのかどうかの判断が変わってきます。
例えば、キャッシュカードや現金を直接受け取る場合や宅配便で受け取る場合は交付されたとみなされ詐欺罪が適用されます。
一方で、キャッシュカードや現金を封筒に入れるなどしてすり替えた場合には窃取したとみなされ窃盗罪が適用されます。
ご紹介した事例では詳しい受け取り方法が明示されていませんが、引用記事内にキャッシュカードを窃取したと記載されていることから、交付されたとみなされない方法で受け取ったのだと考えられます。
財物を交付されていないのであれば詐欺罪は適用されませんので、今回の事例では窃盗罪が適用されることになります。

では、不正に入手したキャッシュカードでお金を引きだす行為は詐欺罪、窃盗罪のどちらが適用されるのでしょうか。
詐欺罪が適用されるためには、人を欺くことが必要です。
ATMからお金を引き出す行為(いわゆる出し子)は機械を相手にしているので、詐欺罪ではなく窃盗罪が適用されることになります。

詐欺罪で有罪となった場合には執行猶予が付かない限り、実刑判決が下されます。
詐欺事件に関わる犯行であった場合、窃盗罪と詐欺罪どちらで有罪になっても、詐欺事件に関与する行為であれば、科される量刑が大きく変わることはありません。
キャッシュカードをだまし取って詐欺罪となっても、キャッシュカードをすり替えて窃盗罪となっても、悪質性を考えた際には大きな差はないと考えられるためです。
ですので、逮捕時や起訴時の罪状が窃盗罪であっても、詐欺罪と同様に実刑判決が下される可能性があります。
詐欺行為に関わる窃盗罪で逮捕された場合はお早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

(事例紹介)家出させて未成年者誘拐罪に問われた事例

2022-08-23

~事例~

京都府警山科署は29日、未成年者誘拐の疑いで、京都市山科区、トラック運転手の男(41)と、妻で無職の女(31)を逮捕した。
(中略)
2人の逮捕容疑は21日午前7時ごろ、大阪府在住の無職少女(17)に対し家出をするよう誘い出し、大阪府内にある鉄道駅近くから自宅まで誘拐した疑い。
(後略)

(※2022年5月29日22:58京都新聞配信記事より引用)

~未成年者の家出と未成年者誘拐罪~

今回取り上げた事例では、男性とその妻の女性が未成年者誘拐罪の容疑で逮捕されています。
逮捕容疑である未成年者誘拐罪は、刑法で定められている犯罪の1つです。

刑法第224条
未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

刑法第224条では、未成年者を略取するか誘拐した場合に、3月以上7年以下の懲役となることが定められています。
未成年者を略取した場合には未成年者略取罪が、未成年者を誘拐した場合には未成年者誘拐罪となり、どちらもその刑罰が3月以上7年以下の懲役になるということです。
今回取り上げた事例では、このうち未成年者誘拐罪が逮捕容疑となっています。

刑法第224条の条文に登場する「略取」も「誘拐」も、未成年者を元々の生活環境から離れさせて、自分や第三者の支配下に置くということは共通している行為です。
しかし、「略取」と「誘拐」はその手段として用いるものが異なります。
「略取」は手段として暴行や脅迫を用いて、相手の意思に反して連れ出すイメージの行為です。
例えば、未成年者に対して「ついてこなければ殺すぞ」などと言ってその場から連れ去ったり、歩いている未成年者を無理矢理車に乗せてその場から連れ去ったりしたケースでは、未成年者略取罪となることが考えられるでしょう。

一方、「誘拐」は、誘惑や欺罔(人を騙すこと)を用いて連れ出すようなイメージの行為です。
例えば、未成年者に対して「ついてくれば好きなものを買ってあげる」などと言って連れ出したり、そういった事実はないのに「お母さんが倒れたから病院まで連れて行く」などと嘘をついて連れ出したりした場合には、未成年者誘拐罪に問われることが予想されます。

こうした手段の違いによって、刑法第224条の未成年者略取罪なのか未成年者誘拐罪なのかということが分かれます。

では、今回取り上げた事例のようなケースではどうでしょうか。
未成年者誘拐事件というと、「未成年者を連れ去ろう」という意識のもと行われるというイメージがあるかもしれませんが、先ほど挙げた通り、「誘拐」とは、大まかに言えば、誘惑や欺罔を手段として未成年者を元々の生活環境から離して自分や第三者の支配下に置くことを指します。
この「誘拐」という行為は、未成年者本人の権利だけでなく、未成年者の保護者の権利(未成年者を監護する権利)も侵害するものと解されています。
ですから、たとえ未成年者本人の同意があったとしても、その親などの保護者の同意がない状態で未成年者をその生活環境から離れさせてしまえば、未成年者誘拐罪となりえます。

今回の事例は、報道では男性と女性が女子高生に対して家出に誘ってその生活環境から連れ出したという内容になっています。
つまり、未成年者本人は家出に乗り気であったとしても、その保護者に対して同意を得ていなかったのであれば、その家出に協力して未成年者を元々の生活環境から離したということは、家出の際の滞在場所を提供するという誘惑を用いて未成年者を連れ出したということで「誘拐」になり得るということになります。

いわゆる誘拐事件のイメージから、積極的に未成年者を連れ出したり連れ去ったりする行為がなければ誘拐罪にならないのではないかと考えられる方もいらっしゃいますが、繰り返すように、未成年者本人とその保護者が同意した上で生活環境から離れたものであるかどうかということが、未成年者誘拐罪となるかどうかにとって重要なことの1つです。
今回のケースのように「家出をした未成年に協力した」という場合でも未成年者誘拐罪に問われる可能性は十分存在します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にも、こうした未成年の家出に関わる未成年者誘拐事件のご相談やご依頼はしばしばございます。

未成年者誘拐罪は、親告罪といって、告訴がなければ起訴されない犯罪です(刑法第228条)。
そのため、示談によって告訴を取り下げてもらったり、告訴を出さないという約束をしてもらえれば、起訴されずに事件が終了する(刑事裁判にならない)ということになります。
未成年者誘拐罪の示談交渉相手は未成年者の保護者ということになりますから、被害感情が強かったとしても自然なことでしょう。
こうした場合に当事者だけで謝罪や示談交渉を進めて余計にこじれてしまうというケースもありえます。
刑事手続への対応のアドバイスを受けることも含め、専門家であり第三者である弁護士にサポートを求めることが有効でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、未成年者の家出に関連した未成年者誘拐事件についてもご相談いただけます。
まずはお気軽にご相談ください。

【解決事例】未成年相手の淫行事件で略式手続

2022-08-21

事件

京都府京田辺市に住むAさんは、Vさんとインターネットを通じて知り合いました。
連絡を取り合ううちに、AさんとVさんは実際に会うことになり、AさんはVさんが18歳未満だろうと思いながらも、Vさんに性行為を行いました。
その後、Vさんから妊娠したと連絡があり、自分の子どもではないだろうと思ったAさんはVさんとの連絡を絶ちました。
すると数か月後、Aさんは京都府青少年の健全な育成に関する条例違反の容疑で京都府田辺警察署の警察官に逮捕されました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

事件解決のながれ

今回の事件では、Vさんの妊娠をきっかけにVさんとその親御さんが捜査機関に相談し、Aさんの淫行が発覚したということのようでした。
AさんがVさんの連絡先を知っていたこと等もあり、Aさんは逮捕・勾留による身体拘束を受けながら捜査を受けることとなりました。
釈放を求める活動を行うと同時に、弁護士は何度もAさんに接見を行い、AさんとAさんのご家族との橋渡しや取調べでのアドバイスなどを行いました。

Vさんらの意向により謝罪や弁償を行うことができなかったことや、Vさんが妊娠しているのであればAさんがVさんに与えた影響が大きいということから、Aさんの淫行事件は起訴され刑事裁判となることも考えられました。
しかし、弁護士のアドバイスに基づきAさんが取調べにおいて自身の認識を適切に伝えることができたことなどから、Aさんの淫行事件略式手続による罰金によって終息することとなりました。

略式手続では、公判が開かれず、100万円以下の罰金か科料が科されます。
公判は、原則として公開した法廷で行われますので、公判が開かれた場合は不特定多数の人に事件の内容を知られる可能性があり、判決が言い渡されるまで時間もかかります。
一方で、略式手続は非公開の場で素早く行われますので、不特定多数の人に知られることを避けられる可能性があり、公判に比べて短期間で刑事事件を終わらせることができます。

今回ご紹介したAさんのように、事件を起こした日から数か月が経っていようと、時効にならない限り逮捕されたり、刑罰を科される可能性があります。
早い段階から弁護士に相談をしておくことによって、逮捕や勾留のリスクを減らせる場合もあります。
刑事事件で逮捕された場合は初回接見サービスを、刑事事件の被疑者となってしまってお困りのことや不安なことがある場合は初回無料法律相談をご利用ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、いつでもご相談のご予約を受け付けておりますので、お気軽にお電話ください(0120-631-881)。

【事例紹介】福知山花火大会の事故と業務上過失致死罪

2022-08-19

9年前の8月15日、福知山花火大会爆発事故が起きました。
事故当時は多くのメディアで報道され、記憶に残っている方も多いと思います。
今回の記事では、9年前の福知山花火大会爆発事故を基に業務上過失致死傷罪を解説します。

事例

58人が死傷した京都府福知山市の花火大会での露店爆発事故で、京都府警は2日、業務上過失致死傷の疑いで、火元となったベビーカステラの露店の店主(中略)を逮捕したと発表した。

逮捕容疑は、(中略)容疑者は8月15日午後7時半ごろ、福知山市の由良川河川敷で露店を営業中、発電機に給油しようとして携行缶のガソリンを噴出させ、プロパンガスの火に引火爆燃させた。
この爆発で(中略)を死亡させ、54人にやけどなどを負わせたが、給油の際に業務上の注意義務を怠り、漫然と携行缶のキャップを開けた-としている。

(2013年 産経新聞 「漫然とガソリン携行缶のキャップ開けた…業過致死傷容疑で逮捕の露店店主」より引用)

殺人罪

人を殺してしまった場合には、殺人罪が適用されると考える方も多いと思います。
今回の事例で、なぜ殺人罪ではなく業務上過失致死傷罪が適用されたのか疑問に思った方もいるのではないでしょうか。
ですので、業務上過失致死罪の解説の前に、なぜ今回の事例で殺人罪が適用されないのかを説明します。

殺人罪は刑法第199条で規定されています。

刑法第199条
人を殺した者は、死刑または無期懲役もしくは5年以上の懲役に処する。

殺人罪が適用されるためには、その行為を行うことにより人が死ぬという認識があったかどうかが必要となります。
つまり、殺意(殺人罪の故意)をもって人を殺す必要があります。
例えば、車で人をひき殺してしまった場合、殺意を持ってひき殺したのであれば殺人罪、殺意がなかったのであれば過失運転致死罪などが適用されることになります。

今回取り上げた事例の容疑者は、人を殺そうと思ってあえて爆発を起こしたわけではありませんので、殺人罪は適用されないことになります。

業務条過失致死傷罪

業務上過失致死傷罪は刑法第211条で規定されています。

刑法第211条
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

業務上過失致死傷罪の適用範囲は幅広く、業務を行う上で過失により人を死傷させた場合に適用されます。(※交通事故の場合は別の罪名が適用されます。)
今回取り上げた事例の容疑者は、露店の営業中に過失によって事故を起こしました。
露店の営業は業務だと考えられますので、業務中の過失で人を死傷させたことになります。
前述したように、業務を行う上で過失により人を死傷させた場合に業務上過失致死傷罪が適用されますので、事例の容疑者は業務上過失致死傷罪で逮捕されたことは不思議なことではないといえます。

業務上過失致死傷罪で有罪となった場合は、5年以下の懲役か禁錮または100万円以下の罰金が科されることになります。
実際に福知山花火大会での爆発事故の裁判では、禁錮5年が言い渡されました。

業務上過失致死傷罪の裁判例

これからご紹介する裁判例は、花火大会の事故とは事故の性質や被害人数など様々な点で異なっていますが、花火大会の事故と同様に業務上の過失により起きた事故であり、被告人に対して年数は異なりますが禁錮刑が言い渡されていますのでご紹介します。

兵庫県で起こった火災事故の裁判例をご紹介します。

この裁判例の被告人は、兵庫県でカラオケ店Aを経営していました。
事故当日、AでアルバイトをしていたBさんは、調理のために中華鍋を用いてサラダ油を加熱していましたが、加熱している間に他の業務を行っていたBさんは鍋のことを忘れてしまい、鍋を加熱したままの状態で厨房を離れてしまいました。
その後、鍋のサラダ油が発火し火災が起きました。
厨房は1階にあり、2階の客室には8人の人がいましたが、カラオケ店Aは1階と2階をつなぐ階段等を通じて火災が拡大しやすい構造をしていました。
実際に火災が起きた際には、この階段を通じて一酸化炭素を含む高温の煙が2階に充満し、3人が一酸化炭素中毒により死亡し、人が怪我を負いました。
被告人は防火上必要な措置を講じるべき業務上の注意義務がありましたが、誘導灯や避難はしご等の避難器具や使用できる消火器などを設置せず、従業員に対して、消火訓練もしていませんでした。
裁判で被告人は、防火管理上の措置を行うべき義務を負いながら義務を果たしておらず、被告人自身の行為が本件の重大な要因となっていることから間接的な過失にとどまるものではなく、被告人の行為は厳しい非難を免れないと、判断されました。
また、死亡した3人は若く、怪我をした人も後遺症が残る可能性があることから被告人の刑事責任は重いと判断され、被告人には業務上過失致死傷罪による禁錮4年の有罪判決が言い渡されました。
(以上、神戸地方裁判所 平成19年12月12日より)

ご紹介した裁判例も福地山花火大会と同様に禁錮刑が言い渡されています。
業務中のちょっとした過失により事故を引き起こしてしまったとしても、人を死傷させてしまえば、禁錮刑や懲役刑などの実刑判決が言い渡される可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部刑事事件を中心に取り扱う法律事務所です。
業務上過失致死傷罪などの刑事事件でお困りの際は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【解決事例】駅での暴行傷害事件で不起訴処分獲得

2022-08-16

事件

Aさんは、飲み会の帰り道、酒に酔って京都市山科区にある駅で駅員とトラブルになり、駅員の脚を蹴りました。
Aさんは、Aさんの暴行を阻止しようとした他の駅員にも暴行を加えました。
その後、Aさんは通報を受けた京都府山科警察署の警察官に暴行罪の容疑で逮捕され、翌日釈放されました。
被害者に謝罪と賠償をしたいと考えたAさんは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部に相談に訪れました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

事件解決のながれ

法律相談後、Aさんから弁護活動の依頼を受けた弁護士は、Aさんの意向に沿うために示談交渉を行いました。
弁護士は、警察を通じてAさんが謝罪と賠償の意思があり弁護士の話だけでも聞いてもらえないかと被害者に伝えましたが、当初色よい返事はもらえませんでした。
しかし弁護士は諦めず、数か月にわたって被害者に交渉を行いました。
すると、交渉を重ねるにつれ、Aさんの反省や弁護士の誠意が伝わったのか、最終的には被害者全員と示談を結ぶことができました。
また、示談締結のみならず、被害者全員にAさんを許すと言ってもらうことができました。

示談締結や被害者からお許しの言葉をいただいていることなどがAさんにとって有利に働き、Aさんは暴行事件傷害事件ともに不起訴処分となりました。
なお、Aさんの逮捕時の罪名は暴行罪でしたが、被害者のうち数名が怪我をしていることから、暴行罪傷害罪の両方で検察庁に送致されていました。

被害者に謝罪と賠償を行う場合、当事者間のやり取りではなく弁護士を間に挟むことによって、謝罪や賠償を受け取ってもらいやすくなる可能性があります。
また、当事者間でのやり取りですと、話がこじれたり、トラブルになることもあるかもしれません。
そういった問題を避けるためにも、弁護士に弁護活動を依頼をすることは被疑者・被告人や周囲の方にメリットになる可能性があります。
刑事事件でお困りの方、謝罪と賠償を行いたいと考えている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
0120―631―881ではいつでも初回接見サービス、初回無料法律相談のご予約を受け付けております。

【解決事例】窃盗事件で勾留阻止後、無罪獲得

2022-08-13

事件

Aさんは京都府京丹後市にある施設の売店で欲しかった靴を見つけました。
Aさんは靴の他に気になった服を試着し、靴と一緒にレジへと持っていきました。
この売店は施設を利用した後に施設の利用料金と一緒に精算することができる後払いのサービスがあったのですが、Aさんは手に持っていた服と一緒に靴を後払いで買いたいことを店員に伝えました。
しかし、店員とAさんの間で誤解が生じており、店員にAさんが靴を購入したいことは伝わっていませんでした。
そのため、靴の代金が後払いの金額に加算されていなかったのですが、Aさんはそのことに気付かないまま靴を持って帰ってしまいました。
後日、Aさんは靴を盗んだ窃盗罪の容疑で、京都府京丹後警察署の警察官に逮捕されてしまいました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

事件解決のながれ

Aさんは職場で責任ある立場についていたため、Aさんが逮捕後勾留され長期的に出勤できなくなってしまうと、Aさんの職場に多大な不利益や混乱が生じる可能性がありました。
Aさんの不在により全く関係のない人たちに大きな不利益が及んでしまうことや、Aさんが解雇されてしまうことを避けるためにも、Aさん自身やそのご家族は、一刻も早く釈放してほしいと考えていました。
弁護士は、弁護活動が依頼されてからすぐに、Aさんの勾留によって周りに不利益を与えること、証拠隠滅や逃亡のおそれがないことを裁判所に訴え、勾留を認めずAさんを釈放するよう求めました。
この主張が認められ、Aさんは勾留されずに釈放となり、Aさんは普段通りに仕事や生活をしながら、取調べ等を受けることができるようになりました。

Aさんの認識では、あくまで代金を支払ったつもりで靴を持って帰ったのであり、窃盗をする意思はなかった(故意はなかった)ということでした。
Aさんは窃盗罪の容疑を否認して争う立場であったことから、Aさんは窃盗罪の容疑で起訴され、公判が開かれることになりました。

公判で弁護士は、Aさんは盗むつもりはなく購入したと誤解して持ち去ってしまったことを具体的な事情と共に裁判官に訴え、Aさんの無罪を主張しました。
弁護士だけでなく、Aさんも公判廷で自身の認識を述べる機会があるため、弁護士はAさんや証人として公判廷に立つAさんのご家族とも綿密に打合せを行い、Aさんが自分の主張を誤解なく伝えられるようサポートを行いました。

公判の結果、弁護士の主張が認められ、Aさんは無罪となりました。

日本では有罪判決率が99%と非常に高く、無罪を勝ち取ることは容易ではありません。
ですので、無罪を勝ち取るためには公判に向けて入念な準備が必要になってきます。
また、無罪の獲得に限らず、身柄解放活動においても早期から弁護活動を行うことは、貴方や貴方の家族にとって大きなメリットとなり得ます。
窃盗罪での逮捕など刑事事件でお困りの際には、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【解決事例】職場での盗撮事件で示談・不起訴処分獲得

2022-08-11

事件

Aさんは、京都市伏見区にある会社の女性更衣室にカメラを仕掛けて盗撮を行いました。
後日、会社がカメラの存在に気付き、京都府伏見警察署に届け出を出しました。
Aさんが会社に正直に申し出たことにより、Aさんは京都府迷惑行為等防止条例違反の容疑で京都府伏見警察署の警察官に取調べを受けることになりました。
今後の対応について相談をしたいと思ったAさんは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部無料法律相談を利用しました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

事件解決のながれ

Aさんは盗撮をしてしまったことを後悔し、深く反省をしていました。
被害女性に謝罪と賠償をしたいと考えたAさんは、弁護士にその意向を相談しました。
相談を受けた弁護士は、Aさんの意向に沿って、被害女性にAさんの謝罪の意向を伝えて被害弁償を行うべく、示談交渉をスタートさせました。
弁護士は、被害女性に警察を通じて連絡を取り、Aさんが謝罪と賠償の申し出をしていることを伝えました。
弁護士の交渉により、今後Aさんが被害女性に近づかないことを条件に示談を締結してもらえることになりました。
また、示談締結と併せて、Aさんは被害女性に許すと言っていただくこともできました。

Aさんが示談を締結していることや被害女性に許してもらえていることが考慮され、Aさんは不起訴処分となりました。
不起訴処分になったことにより、Aさんは今回の盗撮事件で前科前歴が付くことを避けることができました。

盗撮は各都道府県の条例や軽犯罪法で禁止されています。
盗撮を行い、京都府迷惑行為等防止条例違反で有罪となった場合、懲役刑や罰金刑が科されることになります。
そうなってしまうと、前科がついてしまい就職や転職を目指すうえで不利に働く可能性があります。
不起訴を目指す場合には、示談交渉などの弁護活動をしてもらうことが効果的でしょう。
盗撮により捜査・逮捕された際には、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

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