【事例紹介】猫を殺害、動物愛護法違反で逮捕

京都市北区で起きた動物愛護法違反事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

ペットショップで購入した猫を殺したとして、京都府警生活保安課と北署は24日、動物愛護法違反の疑いで、京都市北区の無職男(42)を再逮捕した。

逮捕容疑は6月25日~7月23日、メスの猫1匹を何らかの方法で殺害した疑い。
男は「血が出るまで爪を切ったが、他のことは身に覚えがない」などと容疑を否認しているという。

(中略)
府警が今月3日、別の猫を殺した疑いで男を逮捕し、自宅を捜索したところ、冷凍庫からビニールに包まれた猫の死骸が見つかったという。

(8月24日 京都新聞 「血が出るまで爪切った」ペットショップで購入の子猫殺害 容疑で男を再逮捕」より引用)

動物愛護法

動物愛護法は「動物の愛護及び管理に関する法律」の略称です。

愛護動物を殺したり、虐待を行った場合は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処されます。(動物愛護法第44条1項)

今回の事例で考えてみると、猫は愛護動物に含まれますので、今回の事例の男性の行為によって猫が死んでしまったと認められ有罪となった場合は、5年以下の懲役か500万円以下の罰金が科されることになります。

動物愛護法違反の裁判例

実際に愛護動物を殺したり虐待した場合はどのような量刑が科されるのでしょうか。
動物を虐待により殺傷してしまった事件と怪我を負わせてしまった事件の裁判例をそれぞれご紹介します。
※ご紹介する裁判例は事例とは事件内容などが異なります。

被告人は5カ所で6匹の猫を空気銃で撃ち、2匹を殺し、4匹に大腿骨折などの怪我を負わせました。
6匹の猫以外にも、被告人は2年半にわたって80~100回程度、猫を空気銃で撃っていました。
被告人は、銃刀法違反(銃砲刀剣類所持等取締法)、動物愛護法違反で有罪となり、懲役1年6月執行猶予3年の判決が下されました。
※銃刀法違反で有罪となった場合の量刑は以下になります。
空気銃を違法に所持した場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金(銃刀法第31条の16第1項第1号)
所持を許可された者が正当な理由なく携帯・運搬をした場合、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金(銃刀法第31条の18第1項)
所持を許可された者が練習場を除いて被害防止のため殺傷・捕獲する目的以外で発射する場合、3年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金(銃刀法第31条の16第3項)
(2021年11月8日 千葉日報 「【速報】猫殺傷 被告に懲役1年6月、執行猶予3年 千葉地裁判決 「強固な犯意あり計画的」参考)

男性はストレスを理由に、飼い猫に消毒用アルコールを浴びせて火のついた割りばしを押し付けました。
猫の耳は焼きただれ、腹部の毛は抜け落ち、全身にやけどが広がりました。
翌日、男性は猫を動物病院へ連れて行き、虐待を打ち明けました。
男性は猫を連れて動物病院へ受診したことが考慮され不起訴処分となりましたが、その後の検察審査会の判断によって略式手続により罰金10万円が科されました。
(2022年1月1日 産経新聞 「飼い猫に火で不起訴が一転、動物虐待許さず」参考)

空気銃により猫を2匹殺し、4匹に怪我を負わした事件では、銃刀法に違反しているとはいえ懲役1年6月執行猶予3年の判決が下されています。
また、猫にやけどを負わせた事件では、一度は不起訴処分になったものの罰金刑が言い渡されています。
おそらく今回の事例の男性は、2匹の猫の死の原因が男性によるものだと認められた場合、何らかの刑事罰が科されるでしょう。
動物愛護法違反は軽い犯罪ではありません。
実刑判決を回避し、罰金刑になった場合でも前科になります。
前科がついてしまうと資格のはく奪など日常生活に影響が出る可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
動物愛護法違反で逮捕・捜査された際には、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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