アイスピックで自転車のタイヤをパンクさせた男を逮捕①

アイスピックで自転車のタイヤをパンクさせたとして逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務京都支部が解説いたします。
事例
京都府東山警察署によりますと、今年2月13日、京都市東山区在住の男を器物損壊罪の疑いで逮捕したとのことです。
男は、集合住宅の駐輪場に止めてある自転車の一部が自分のバイクの出入りを妨げていることに不満を感じていました。
ある日、イライラが募った男は、自宅にあったアイスピックを手に取り、駐輪中の複数の自転車のタイヤに穴を開けてパンクさせたとこのことです。
翌日、被害者の一人がパンクした自転車を不審に思い、防犯カメラの映像を確認したところ、アイスピックを持ってタイヤに何かをしている男の姿が記録されていました。
警察に通報があり、器物損壊罪の疑いで男は逮捕されました。
取り調べに対して男は、「イライラしてやった。たいしたことではないと思った」と話しましたが、警察は男の行為を「反復的・悪質」と評価。
複数の自転車所有者が被害届を提出していたこともあり、検察官は起訴を視野に入れて対応を進めることとなりました。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)
器物損壊罪とは何か?
器物損壊罪(きぶつそんかいざい)は、刑法第261条に規定された犯罪です。
この条文では「前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する」と定められています。
器物損壊罪が成立するためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
1つ目は、対象が刑法第258条~260条の対象を除いた「他人の物」であることです。
自分の所有物であれば損壊しても罪に問われることはありませんが、共有物や借り物であっても他人の権利が及んでいれば「他人の物」に該当します。
2つ目は、「損壊」や「傷害」の行為があることです。
この「損壊」は物理的な破壊に限らず、使用不能にする、価値を著しく減少させるといった行為も含まれます。
タイヤのパンクや接着剤でのロックの封印など、見た目の変化が小さくても、機能を損ねていれば「損壊」に当たります。
3つ目は、故意があることです。
誤って壊した場合には原則として器物損壊罪は成立しません。
一方で、「腹いせでやった」「壊してやろうと思った」という明確な意図がある場合は、刑事責任を免れません。
なお、器物損壊罪は「親告罪」であり(刑法第264条)、被害者からの告訴がなければ起訴されないという特徴があります。
器物損壊で逮捕された場合の流れと留意点
器物損壊罪で逮捕されると、まず警察署に連行され、取り調べが行われます。
通常は、逮捕から48時間以内に検察庁へ送致され、さらに24時間以内に勾留請求の判断がなされます。
勾留が認められれば、最大で10日間(延長含め最大20日間)勾留が続く可能性があります。
この間に被疑者の供述調書が作成され、被害者への事情聴取、証拠の収集が行われ、事件の起訴・不起訴が検討されます。
一見「軽微な事件」と思われがちな器物損壊罪でも、反復性や動機の悪質性がある場合には、身柄拘束が長引くおそれもあるのです。
また、勾留期間中は職場や学校に行けず長期間欠勤や欠席が続くことで社会的信用を失うリスクもあります。
こうした不利益を回避するためには、早期に弁護士を通じて、被害者との示談や不起訴処分を目指す対応が重要となります。
取り調べでは黙秘権や弁護人選任権が保障されていますので、冷静な判断と法的助言を受けることが求められます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では初回接見サービスを行っています。
ご家族が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

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