【事例紹介】ゴミ処理場の職員が同僚を刺したとして殺人未遂罪で逮捕された事件②
前回のコラムに引き続き、センター職員が同僚を刺したとして殺人未遂罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
今回のコラムでは、裁判員裁判について解説します。
殺人未遂罪については前回のコラムで解説していますので、殺人未遂罪に興味のある方は、前回のコラムをご覧ください。
事案
(前略)京都府警右京署によると、同日午前7時50分ごろ、同センターの男性職員(65)=西京区=が同僚の男にサバイバルナイフで左脇腹を刺されて重傷を負い、救急搬送された。同署は殺人未遂の疑いで、下京区小稲荷町、同センター職員の男(59)を緊急逮捕した。
(11月16日京都新聞「ごみ処理場の男性職員が同僚に刺され重傷 殺人未遂の疑いで緊急逮捕」より引用)
(中略)「殺してやろうと思って刺したのではない」と容疑を否認している。
裁判員裁判って?
本件報道によると、容疑者は殺人未遂罪の疑いで逮捕されているとのことです。
仮にこのまま殺人未遂罪で起訴された場合、原則として裁判員裁判となります。
裁判員裁判では、国民の中から選ばれた裁判員6人が裁判官3人とともに、被告人が有罪かどうか、有罪の場合にはどのような刑にするのか決める制度です。
このような国民が裁判に参加する制度は、アメリカやフランスなど欧米でも行われており、司法に対する国民の信頼向上につながることが期待されています。
裁判員裁判になるのはどのような事件?
起訴された刑事事件の全てが裁判員裁判となるわけではありません。
裁判員裁判の対象事件は、①死刑又は無期の懲役・禁固にあたる事件もしくは②法定合議事件(裁判所法26条2項2号)のうち故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた事件です(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律2条1項)。
具体的には、殺人罪や現住建造物等放火罪、傷害致死罪や保護責任者遺棄致死罪など、国民の関心が高い重大な事件がこれに該当します。
ですので、本件容疑者が殺人未遂罪で起訴された場合には、原則として裁判員裁判によって裁かれることになります。
裁判員裁判に詳しい弁護士に相談を
上述のように、裁判員裁判では普通の国民が裁判員として審理に加わります。
裁判員は法律の専門家ではないため、専門用語を多用するのではなく、裁判員に向けてわかりやすく丁寧な説明をすることが必要不可欠です。
また、裁判員裁判では、裁判員がいることを踏まえて迅速な裁判の実現のため通常の刑事裁判とは手続きが異なる部分があります。
裁判員裁判の参加する刑事裁判に関する法律49条では、「裁判所は、対象事件については、第一回の公判期日前に、これを公判前整理手続に付さなければならない。」と規定しており、裁判員裁判が行われる場合には、公判前整理手続を行う必要があります。
公判前整理手続では、犯罪にあたる行為や罪名の明確化、争点や重要となる証拠の整理などが行われます。
公判前整理手続後に新たに証拠を提出することは原則できなくなりますので、公判前整理手続で、有利になるような証拠を集め証拠請求をする必要があります。
万が一、公判前整理手続で十分な証拠を得られない状態に陥ってしまいますと、裁判員裁判で窮地に立たされる可能性が非常に高いです。
そういった事態をさけるためにも、刑事事件に精通した弁護士に相談をすることが望ましいといえます。
加えて、裁判員裁判では、裁判官と裁判員の双方の意見を含む過半数の意見により決まります(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律67条1項)。
ですので、少しでも科される罪を軽くするためには、裁判官だけでなく、裁判員に対するアピールも必要になってきます。
先ほども述べましたが、裁判員は国民から選ばれた一般人ですので、法律の専門的な知識に触れたことがない方がほとんどだと思います。
そういった裁判員の方にも弁護士の主張を認めてもらうためには、わかりやすい弁論を行う必要があります。
公判前整理手続や弁論の仕方に工夫が必要など、裁判員裁判は通常の刑事裁判と比べて、非常に特殊ですので、裁判員裁判が控えている方は、裁判員裁判に詳しい経験豊富な弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
刑事事件に詳しい弁護士に依頼し、スピーディな裁判員裁判の手続を踏まえた弁護活動を行うことで、少しでも良い結果を得られるかもしれません。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
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