【事例解説】気分をスカッとさせるため竹やぶに放火して逮捕
気分をスカッとさせるため竹やぶに放火した疑いで男が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事案
京都府警城陽署は11月9日、建造物等以外放火の疑いで、京都府城陽市、無職の男(25)=同放火の罪で起訴=を再逮捕した。
(11月9日 京都新聞 「竹やぶ放火の疑いで25歳男を再逮捕「気分スカッとさせたくて」」より引用)
再逮捕容疑は、9月24日午後7時~7時半に城陽市の竹やぶに火をつけ、117平方メートルを焼いた疑い。「気分をスカッとさせたかった」などと容疑を認めているという。
(後略)
放火の罪にはどんな種類がある?
刑法は、何を燃やそうとして放火したかに着目して、いくつかの放火の罪を規定しています。
これは、何が燃やされるかによって生命・身体・財産が脅かされる危険性が異なるためであり、例えば住居や人がいる建造物に放火した場合には現住建造物等放火罪が成立し、死刑又は無期もしくは5年以上の懲役となります(刑法108条)。
放火の罪は、燃やそうとしたものが建造物等かそれ以外によって大きく分類されます。
建造物等とは、家屋や小屋などの建物のほか、汽車、電車、艦船又は鉱鉱を言います。
前者は、さらに「現に人が住居に使用し又は現に人がいる」建造物等かそうでない建造物等かで異なる規定が用意されています。
前者の現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物等への放火は、現住建造物等放火罪が成立し、それ以外の建造物等への放火の場合には、非現住建造物等放火罪が成立します。
現住建造物等放火罪の法定刑は死刑又は無期若しくは5年以上の懲役です(刑法第108条)。
また、非現住建造物等放火罪の法定刑は2年以上の有期懲役(刑法第109条1項)であり、放火した建物が自己所有である場合には6月以上7年以下の懲役が科され、公共の危険を生じない場合には刑罰は科されません(刑法第109条2項)。
住居や人がいる建物に放火した場合には、生命や財産が脅かされる可能性が高く、現住建造物等放火罪は非現住建造物等放火罪よりもはるかに重い刑罰が規定されています。
また、刑法では、放火の罪として、現住建造物等放火罪や非現住建造物等放火罪以外に、建造物等以外放火罪を規定しています。
建造物等以外放火罪はその名の通り、建造物以外の放火を対象にしています。
現住建造物等放火罪や非現住建造物等放火罪が規定する物以外を焼損し、公共の危険を生じさせた場合には建造物等以外放火罪が成立し、1年以上10年以下の懲役が科されます(刑法第110条1項)。
また、焼損した物が自己の所有物だった場合には、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金が科されます(刑法第110条2項)。
建造物等以外放火罪
報道によると本件で男は、竹やぶに直接火をつけたとされています。
竹やぶに火をつける行為は「放火」したと評価できるでしょう。
次に竹やぶが「焼損」したことが必要ですが「焼損」とはどういう意味でしょうか?
判例によると「焼損」とは、火が媒介物を離れて目的物にうつり、目的物が独立に燃焼を継続する状態のことです(大判大正7年3月15日)。
報道によれば本件では、容疑者は媒介物を用いずに目的物である竹やぶに直接放火したとされており、その火が広がっていき117平方メートルが焼けるに至ったようですから、独立に燃焼を継続する状態に至っていたといえそうです。
最後に「公共の危険が生じさせ」たことも必要です。
公共の危険とは、一般人の印象からみて、不特定または多数人の生命・身体・財産に対する危険を感じさせる状態を言います。
本件では竹やぶにつけられた火が117平方メートル広がったとのことですので、その周囲に住む多数人からすると自分たちの生命・身体・財産に危険が及んでいると感じる状態となったといえそうです。
竹やぶは建造物にはあたりませんから、本件では建造物等以外放火罪が成立する可能性があります。
弁護士に相談を
本件の建造物等以外放火罪(自己所有を除く)も含め、放火の罪の多くは刑罰に罰金刑が含まれておらず起訴された場合には裁判となり、初犯であっても執行猶予がつかない可能性があります。
執行猶予がつけば、今まで通り大学への通学や会社への出勤ができるため退学や解雇を避けられる可能性があります。
執行猶予がつく可能性を少しでも上げる手段として、自主をするという選択があります。
自主は捜査機関に発覚する前でなければ成立しません。
発覚前とは、犯罪そのものの発覚前または犯人のだれであるかが判明する前をいいます。
ですので、捜査機関が犯罪行為が行われたと知る前か、犯人がだれであるか全くわからない状態で自主をしないと自主は成立しません。
自主が成立することで罪が減刑される可能性があることは大きなメリットになりますが、自主をしなければ犯人が特定されなかった可能性もあり、自主をすることで犯人が特定されてしまうことは大きなデメリットになります。
自主はメリットだけでなくデメリットもありますので、自主を検討している方は、一度弁護士に相談をしてみることをお勧めします。
また、放火の罪は重い刑罰を科される可能性のある犯罪であることから逮捕される可能性が高いです。
弁護士と出頭することで逮捕を回避できる可能性がありますので、自主や出頭をする際には、弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、放火事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
刑事事件に詳しい弁護士に自主前に相談することで、自主をすべきか、するとして取り調べにどう対応すべきかといったアドバイスを受けることができます。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
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